JP5771812B2 - 嵩高獣毛紡績単糸、嵩高性撚り糸および嵩高布帛 - Google Patents

嵩高獣毛紡績単糸、嵩高性撚り糸および嵩高布帛 Download PDF

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Description

本発明は、嵩高獣毛紡績単糸、嵩高性撚り糸および嵩高布帛に関する。
過去に「複数の毛羽の少なくとも一部の毛羽の先端を集束部に撚込むことにより、その毛羽をループ状にして、軽くて膨らみのある嵩高紡績糸を製造する方法(例えば、特開平08−100341号公報等参照)」や「バックローラの直前にトランペットを設け、バックローラとミドルローラとの間にデバイダを設け、ミドルローラとフロントローラの間にコレクタを設け、そのような紡績機に複数本のスライバを平行に供給することにより、強伸度が大きく膨らみのある糸を製造する方法」(例えば、特開平08−337932号公報等参照)が提案されている。
特開平08−100341号公報 特開平08−337932号公報
ところで、現在、軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有する獣毛繊維よりなる嵩高紡績布帛が衣服等に利用され、一般消費者に好評を博している。
しかし、上述の嵩高紡績布帛に用いられる嵩高紡績糸は、嵩高性を付与することにより糸抜けが起こりやすくなる。糸抜けとは、例えば、羊毛繊維を紡績加工した場合、紡績糸の嵩高性を重視し、嵩高性を上げていくことにより、羊毛繊維同士の絡み合いが小さくなり、紡績糸を引っ張った場合に小さい力で絡み合っていた繊維が解れ、繊維が抜けてしまう現象をいう。したがって、当然ながら、糸抜けが多い程、その紡績糸の強度が低下する。このため、現在、十分な嵩高性と十分な強度とを兼ね備える嵩高紡績糸を製造することは極めて難しいと思われる。
本発明の課題は、十分な嵩高性と十分な強度とを兼ね備えると共に、軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有する嵩高紡績糸を提供することにある。
本発明の第1局面に係る嵩高紡績単糸は、獣毛繊維よりなる嵩高紡績単糸であって、下記の(1)から(3)の特性値を全て満たす。
(1)嵩高性が13.5cm3/g以上25.0cm3/g以下である。
(2)単位強度(1ニュートン(N))あたりの伸び率が7.98%/N以上36.0%/N以下である。
(3)引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値が0.048N/(cm3/g)以上0.140N/(cm3/g)以下である。
この嵩高紡績単糸は、汎用的に使用される糸番手31から37番手において好適に利用することができる。なお、ここでいう糸番手とは羊毛番手を示し、番手を表す数字は1gあたりの長さ(m)を示す。また、このような特性を有する嵩高紡績単糸は、衣料品の幅広い分野において利用することができる。
また、このような嵩高紡績単糸は、例えば、糸番手を31番手以上37番手以下の糸番手とする場合、撚り数を520から690回/mに設定することにより得られる。
なお、糸番手が31番手以上37番手以下の糸番手に設定される場合、撚り数が520回/mより少ないと、嵩高性は改良されるが、糸抜けが起こりやすく、抗ピリング性(抗ピリング性とは、獣毛が外部摩擦等によって、いわゆる毛玉になり難い性質のことをいう。)の低下や衣料品としての耐久性に乏しくなり好ましくない。また、撚り数が690回/mより多いと、紡績糸の繊維同士の絡み合いが強くなり、引張強度が向上し、糸抜けは起こりにくくなるが、繊維同士が締め付けられる状態になるため、嵩高性が得られにくく、好ましくない。
本発明において、嵩高性が13.5cm/gより低いと、嵩高紡績単糸から得られる嵩高布帛等の風合いや保温性が低下する。一方、嵩高性が25.0cm/gより高いと、嵩高布帛の抗ピリング性が悪くなり好ましくない。なお、本発明において、嵩高性は15.0cm/g以上23.0cm/g以下であるのが好ましい。
また、単位強度(1ニュートン(N))あたりの伸び率が上述の範囲内であると、いわゆる糸抜けが発生しにくい。なお、本発明において、単位強度あたりの伸び率は、17.0%/N以上36.0%/N以下であるのが好ましい。
また、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値が上述の範囲内であると、高い嵩高性によって得られる風合いや保温性を維持しながら高強度の嵩高紡績単糸を得ることができる。なお、本発明において、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.048N/(cm/g)以上0.080N/(cm/g)以下であるのが好ましい。
なお、ここにいう「獣毛」とは、例えば、羊毛、カシミヤ、モヘヤ、キャメル、アンゴラなどである。これらの中でも、羊毛は、高い吸放湿特性を持ち、染色性が高く、低コストであるなどの優れた特性を持っているため、特に好ましい。
本発明の第2局面に係る嵩高紡績単糸は、第1局面に係る嵩高紡績単糸であって、嵩高紡績糸の製造装置から製造される。嵩高紡績糸の製造装置は、牽伸機構、ローラ対および撚り機構を備える。牽伸機構は、複数の単繊維を引き揃えた繊維群を牽伸して繊維束を形成する。ローラ対は、牽伸機構の繊維流れ方向下流側に配置される。また、このローラ対は、表面に開口する独立溝が少なくとも一方のローラに形成されている。撚り機構は、ローラ対の繊維流れ方向下流側に配置される。また、この撚り機構は、ローラ対の独立溝を通過した繊維束に撚りをかける。
本発明の第3局面に係る嵩高性撚り糸は、第1局面または第2局面に係る嵩高紡績単糸を撚り合せて得られる。このような嵩高性撚り糸としては、例えば、嵩高紡績単糸を2本撚り合わせた双糸、双糸と単糸を撚り合わせた三子糸、複数本の単糸を撚り合わせたもの等が挙げられる。さらに、この嵩高性撚り糸は、最終の衣料品の特性を考慮して、合成繊維などと複合して複合糸としてもよい。
なお、嵩高性撚り糸が双糸である場合、下記の特性を満たしていることが好ましい。
(1)単位強度あたりの伸び率が4.3%/N以上12.0%/N以下である。
(2)引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値が0.05N/(cm3/g)以上0.61N/(cm3/g)以下である。
上述の特性を全て満たした嵩高性撚り糸(双糸)は、嵩高性を維持したまま引張強度が向上する。このため、このような嵩高性撚り糸(双糸)は、製織、製編加工及びその後の整理加工等において多種多様な加工や処理が可能となる。そして、このような嵩高性撚り糸(双糸)を利用すれば、風合い、保温性、軽量化等に優れた特性を有する衣料品を製造することができる。
本発明の第4局面に係る嵩高性撚り糸は、第3局面に係る嵩高性撚り糸であって、撚り方向が、第1局面または第2局面に係る嵩高紡績単糸の撚り方向の逆方向である。「嵩高紡績単糸の撚り方向の逆方向にする」とは、例えば、嵩高紡績単糸の撚り方向をZ方向(時計回り)とした場合、嵩高紡績双糸の撚り方向をS方向(反時計回り)に撚り合わせることを意味する。単糸の撚り方向と逆に撚ることにより、嵩高紡績単糸を撚り糸にした場合でも、高い嵩高性が維持される。このため、このような嵩高性撚り糸から得られる嵩高布帛等は、風合いや保温性に優れる。
また、嵩高性撚り糸が双糸である場合、撚り数は、嵩高紡績単糸の撚り数の40%以上65%以下であることが好ましい。撚り数が上述の範囲内であると、嵩高性と引張強度のバランスの取れた嵩高紡績双糸を製造することができるからである。
本発明の第5局面に係る嵩高布帛は、第1局面または第2局面に係る嵩高紡績単糸、および、第3局面または第4局面に係る嵩高性撚り糸の少なくとも一方の糸を含む。なお、ここにいう「布帛」とは、例えば、織物や、編物(ニット)、不織布などである。これらの布帛は、例えば、起毛、ヒートセット、染色、撥水加工、抗菌、あるいは煮絨,洗縮絨等の各種の整理加工を付加することによって、軽量で防縮性、抗ピリング性の優れた布帛を得ることができる。
また、このような嵩高布帛を圧縮加工すると、軽量で防縮性、抗ピリング性の優れた圧縮布帛が得られる。圧縮加工方法としては、例えば、煮絨、洗縮絨、乾絨、釜蒸絨等が挙げられる。なお、これらの方法には、通常、洗縮絨機等が用いられる。
本発明に係る嵩高紡績糸や嵩高性撚り糸は、十分な嵩高性と強度とを兼ね備えると共に、軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有している。ここでいう軽量とは、本発明の嵩高紡績糸の糸番手とほぼ同じ外径(紡績糸の太さ)を有する一般的な羊毛紡績糸と比較した場合の重量差を示す。すなわち、本実施例で作製した36番手の嵩高紡績糸の外径は一般的な羊毛紡績糸の30番手とほぼ同じであり、これらの紡績糸を用いて打込み本数が同じ織物を製作した場合には、織物の厚みや目の詰まりの状態は、ほぼ同じに製織されるが、単位面積あたりの重量は本発明の嵩高紡績糸の36番手を使用した織物の方が17〜20%程度軽くなり、純羊毛製品は重いという先入観を払拭でき新規な羊毛衣料製品を提供できる。このため、本発明に係る嵩高紡績糸や嵩高性撚り糸を利用して布帛を作製すれば、堅牢かつ軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有する嵩高布帛を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るリング紡績装置の模式的概略図である。 本発明の実施の形態に係るリング紡績装置に設けられるネップローラ対の斜視図および断面図である。
本発明の実施の形態に係る嵩高紡績単糸の製造方法について以下に記述する。
本発明の実施の形態に係る嵩高紡績単糸の製造方法では、図1に示されるリング紡績装置20に獣毛スライバSが供給されることにより嵩高紡績単糸が作製される。
上述のリング紡績装置20は、図1に示されるように、主に、牽伸機構25、ネップローラ対Nおよび撚り機構26から構成されている。以下、リング紡績装置20の各構成要素について詳述する。
<リング紡績装置の各構成要素>
(1)牽伸機構
牽伸機構25は、図1に示されるように、主に、バックローラ1、エプロン3及びフロントローラ4から構成されている。なお、エプロン3には、ミドルローラ2が含まれている。
この牽伸機構25では、バックローラ1、ミドルローラ2、フロントローラ4の回転速度がバックローラ1、ミドルローラ2、フロントローラ4の順に速くなっている(バックローラ1の回転速度が最も遅く、フロントローラ4の回転速度が最も速い)。この速度差により獣毛スライバSが牽伸される。なお、通常、バックローラ1、エプロン3、フロントローラ4における獣毛スライバSの牽伸率は、8〜25倍である。
また、この牽伸機構25では、従来のリング紡績装置の牽伸機構と同様に、獣毛スライバS中の単繊維がバックローラ1とミドルローラ2との間、ミドルローラ2とフロントローラ4との間で切断されることのないように、バックローラ1とミドルローラ2との間隔、及び、ミドルローラ2とフロントローラ4との間隔が獣毛スライバSの最大繊維長以上に設定されている。
(2)ネップローラ対
ネップローラ対Nは、図1に示されるように、主に、トップローラ6およびベースローラ5から構成されている。
トップローラ6には、図2に示されるように、幅方向中央部付近に、表面に開口する独立溝21が複数形成されている。なお、これらの独立溝21は、図2に示されるように、3列に所定の間隔をあけて整列されて設けられており、トップローラ6の全周に亘って形成されている。なお、このトップローラ6としては、従来のリング紡績装置にそのまま取り付けができるように、直径40mm〜60mm、幅50mm程度のサイズのものを使用するのが好ましい。また、トップローラ6は、単繊維を確実に把持するためにゴム材料で覆われているのが好ましい。また、そのゴム材料の硬度は、耐久性及び把持力などの面から60度から80度の範囲のものが好ましく、65度から75度の範囲がより好ましい。
ベースローラ5は金属製であるのが好ましい。また、ベースローラ5は、繊維を確実に把持するためにフリューデッド構造とされることが好ましい。
また、ネップローラ対Nとフロントローラ4との芯間隔(ゲージ)は、獣毛スライバSの平均繊維長よりも短く設定されている。このため、このネップローラ対Nでは、獣毛スライバSを構成する各単繊維の殆どは、フロントローラ4およびネップローラ対Nのいずれか一方に把持された状態か、あるいは両方に把持された状態で移動していくことになる。また、フロントローラ4とネップローラ対Nの両方に把持された単繊維は、フロントローラ4の圧接力がネップローラ対Nのそれよりも高いことから、フロントローラ4の周速度と同じ速度で移動することになる。また、ネップローラ対Nの周速度は、フロントローラ4の周速度より高く設定されている。なお、フロントローラ4の周速度を1とすると、ネップローラ対Nの周速度は1.2〜2.0程度に設定される。また、ネップローラ対Nのベースロール5とトップロール6の圧接力は、フロントローラ4の圧接力よりも低く設定されている。
(3)撚り機構
撚り機構26は、図1に示されるように、主に、リング7及びスピンドル9から構成されている。
リング7は、ネップローラ対Nから送られてくる嵩高獣毛繊維束に撚りをかけて嵩高紡績単糸8を得るための部材である。
スピンドル9は、ボビンBを回転させて、ボビンBに嵩高紡績単糸8を巻き取らせるものである。
<嵩高紡績単糸の製造過程>
そして、このリング紡績装置20では、獣毛スライバSがバックローラ1、エプロン3、フロントローラ4、ネップローラ対Nを順次通過して牽伸されることによって、獣毛スライバSが順次細くなり獣毛繊維束となる。そして、この獣毛繊維束は、ネップローラ対Nを通過する際、トップローラ6の独立溝21を通り、嵩高加工される。そして、この嵩高加工された獣毛繊維束は、スピンドル9の回転によって撚りがかけられ嵩高紡績単糸8としてボビンBに巻き取られる。
<嵩高加工原理>
嵩高加工の原理については完全には解明されていないが、以下の通りであると推察される。
上述のようにトップローラ6には、独立溝21が形成されている。このため、獣毛繊維束がネップローラ対Nを通過するとき、トップローラ6には、周期的にベースロール5と接触しない部分(以下「局部的非接触部)と称する)が生じる。
また、上述したように、ネップローラ対Nの周速度は、フロントローラ4の周速度の1.2〜2.0倍に設定されている。このため、フロントローラ4で把持されていない獣毛スライバS中の単繊維はネップローラ対Nの周速度に基づきネップローラ対Nから送り出される。
その結果、ネップローラ対Nでは、局部的非接触部を移動する単繊維と、接触部を移動する単繊維とがそれぞれの速度で送り出されることになり、局部的非接触部を移動する単繊維は、接触部を移動する単繊維にわずかに遅れる。そして、この遅れた部分がネップロール対Nから送り出されると、芯糸となり、早く送り出された単繊維が芯糸の外側に巻き付けられる。
したがって、このリング紡績装置20のネップローラ対Nの繊維流れ方向下流側において製造中の嵩高獣毛単糸を観察すると、トップローラ6の独立溝21の影響を受けない単繊維の毛羽が芯糸、すなわち「フロントローラ4の周速度と同じ速度で移動しない単繊維の束」に巻きついている現象を確認することができる。
<実施例>
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
図1に示されるリング紡績装置20に羊毛繊維100%のスライバ(平均繊維長74.9mm、最大繊維長150mm、繊度19.5μm)を供給し、撚り数520回/mの32番手の嵩高紡績単糸を作製した。
なお、本実施例では、トップローラ6の独立溝21の形状を円周方向に沿って長細の長方形とし、そのサイズを長さ4mm、幅1.5mm、深さ3mmとした。そして、このような形状の独立溝21をトップローラ6に18個設けた。なお、このトップローラ6の外径は、47mmであった。また、本実施例では、フロントローラ4の圧接力を8kg/cmに、ネップローラ対の圧接力を1kg/cmに設定した。また、本実施例では、フロントローラ4とネップローラ対Nの周速度比を1.59に設定した。なお、フロントローラ4とネップローラ対Nの周速度比は、フロントローラ4の周速度をネップローラ対Nの周速度で割ることにより算出される。また、本実施例では、ネップローラ対Nとフロントローラ4との芯間隔(ゲージ)を50mm(羊毛繊維の繊維長よりも短い)に設定した。また、本実施例において、牽伸機構におけるドラフト率を14とした。
上記のような条件下で得られた嵩高紡績単糸の評価を下記要領で行った。結果を表1に示す。
(1)嵩高性の測定
JIS L 1095A法に従って、嵩高紡績単糸の嵩高性を測定したところ、本実施例に係る嵩高紡績単糸の嵩高性は、17.9cm/gであった。
(2)引張強度及び伸び率の測定
全自動単糸強力試験機ST−2000(敷島テクノ株式会社製)を用いて嵩高紡績単糸の引張強度及び引張伸び率を測定した。なお、測定条件はJIS L 1095A法に従って行った。また、単位強度あたりの伸度は、下記式から算出した。
単位強度あたりの伸度(%/N)=破断時の伸び率(%)/破断時最大強度(N)
なお、本実施例に係る嵩高紡績単糸の引張強度は1.08Nであり、伸び率は29.7%であり、単位強度あたりの伸度は27.5%/Nであった。また、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.060N/(cm3/g)であった。
撚り数690回/mの36番手の嵩高紡績単糸を作製した以外は、実施例1と同様にして嵩高紡績単糸を作製し、それらの物性測定を行った。結果を表1に示す。
なお、本実施例に係る嵩高紡績単糸の嵩高性は22.9cm/gであり、引張強度は1.10Nであり、伸び率は26.7%であり、単位強度あたりの伸度は24.3%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.048N/(cm3/g)であった。
実施例1で作製した32番手の嵩高紡績単糸(下撚520回/m,Z撚り)2本を、合糸機を用いて単糸の撚り数の58%にあたる上撚300回/m、S撚りで撚り合わせて2/32番手の嵩高紡績双糸を作製し、その物性測定を実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
なお、本実施例に係る嵩高紡績双糸の嵩高性は15.9cm/gであり、引張強度は2.69Nであり、伸び率は28.7%であり、単位強度あたりの伸度は10.7%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.169N/(cm3/g)であった。
実施例2で作製した36番手の嵩高紡績単糸(下撚690回/m,Z撚り)2本を、合糸機を用いて単糸の撚り数の63%にあたる上撚430回/m、S撚りで撚り合わせて2/36番手の嵩高紡績双糸を作製し、その物性測定を実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
なお、本実施例に係る嵩高紡績双糸の嵩高性は14.3cm/gであり、引張強度は2.40Nであり、伸び率は27.6%であり、単位強度あたりの伸度は11.5%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.168N/(cm3/g)であった。
撚り数580回/mの36番手の嵩高羊毛単糸を作製した以外は、実施例1と同様にして嵩高紡績単糸を作製した。そして、24ゲージの編機を用いて、その嵩高紡績単糸から天竺編みの編地を作製した。また、その36番手とほぼ同じ外径(太さ)の標準的な30番手の紡績糸(440回/mZ撚り)から同様の天竺編みの編地を製作した。両編地の有効巾140cm、長さ100cm当りの重さを測定した結果、前者の重さは315g/mであり、後者の重さは378g/mであった。このように、両編地を比較した場合、厚みや目視による外観などは、ほとんど変化のない編地であっても本実施例の紡績糸で製編した編地は、約17%軽い。
(比較例1)
撚り数を300回/mに変更した以外は、実施例2と同様にして嵩高紡績単糸を作製し、実施例1と同様にしてその物性測定を行った。結果を表1に示す。
なお、本比較例に係る嵩高紡績単糸の嵩高性は24.0cm/gであり、引張強度は0.80Nであり、伸び率は30.1%であり、単位強度あたりの伸度は37.6%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.033N/(cm3/g)であった。また、得られた嵩高紡績単糸は、引っ張ると糸抜けが起こりやすかった。
(比較例2)
撚り数を1000回/mに変更した以外は、実施例2と同様にして紡績単糸を作製し、実施例1と同様にしてその物性測定を行った。結果を表1に示す。
なお、本比較例に係る嵩高紡績単糸の嵩高性は12.1cm/gであり、引張強度は1.38Nであり、伸び率は26.2%であり、単位強度あたりの伸度は19.0%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.114N/(cm3/g)であった。また、得られた嵩高紡績単糸は、引張強度は高かったが、十分な嵩高性が得られなかった。
(参考例)
参考例として、標準的なリング紡績機(図1においてネップロール対、符号5、6の機構を取り外した装置)を使用して実施例1のスライバを用い、撚り回数690回/mの36番手の紡績糸を作製した。この紡績糸の引張強度は2.16Nであり、伸び率は26.4%であり、嵩高性は7.4cm/gであり、単位強度あたりの伸び率は12.2%/Nであり、引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値は0.292N/(cm/g)であった。このリング紡績機を利用して十分な引張強度を有する紡績糸を製作することができたが、紡績糸の嵩高性が低く、本発明で得られる堅牢かつ軽量で保温性が高く肌触りの良い嵩高布帛を得ることはできなかった。
Figure 0005771812
本発明に係る嵩高紡績単糸、嵩高性撚り糸は、十分な嵩高性と十分な強度とを兼ね備えると共に、軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有しており、堅牢かつ軽量で、ソフトな肌触りや優れた保温性を有する衣類の素材として有用である。
1 バックローラ
2 ミドルローラ
3 エプロン
4 フロントローラ
5 ネップローラ対のベースローラ
6 ネップローラ対のトップローラ
7 リング
8 嵩高紡績単糸
9 スピンドル
20 リング紡績装置(嵩高紡績糸の製造装置)
21 独立溝
25 牽伸機構
26 撚り機構
N ネップローラ対
S スライバ(繊維群)
B ボビン

Claims (5)

  1. 獣毛繊維よりなる嵩高紡績単糸であって、下記(1)から()の特性値を全て満たす嵩高紡績単糸。
    (1)嵩高性が13.5cm/g以上25.0cm/g以下である。
    (2)単位強度あたりの伸び率が7.98%/N以上36.0%/N以下である。
    (3)引張破断時の最大強度を嵩高性の値で除した値が0.048N/(cm/g)以上0.140N/(cm/g)以下である。
    (4)糸番手が31番手以上37番手以下である。
  2. 複数の単繊維を引き揃えた繊維群を牽伸して繊維束を形成する牽伸機構と、
    前記牽伸機構の繊維流れ方向下流側に配置され、表面に開口する独立溝が少なくとも一方のローラに形成されているローラ対と、
    前記ローラ対の繊維流れ方向下流側に配置され、前記ローラ対の前記独立溝を通過した前記繊維束に撚りをかける撚り機構と
    を備える嵩高紡績糸の製造装置から製造される
    請求項1に記載の嵩高紡績単糸。
  3. 請求項1または2に記載の嵩高紡績単糸を撚り合せて得られる、嵩高性撚り糸。
  4. 撚り方向が前記嵩高紡績単糸の撚り方向の逆方向である
    請求項3に記載の嵩高性撚り糸。
  5. 請求項1または2に記載の嵩高紡績単糸、および、請求項3または4に記載の嵩高性撚り糸の少なくとも一方の糸を含む嵩高布帛。
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