(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。また、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
(実施の形態1)
<半導体チップ(半導体装置)の構造>
まず、本実施の形態に係る半導体チップ(半導体装置)の構造について説明する。図1は本実施の形態の半導体装置である半導体チップの主面側を示す平面図である。また、図2は図1のA−A線に沿った断面図、図3は図1のB−B線に沿った拡大断面図である。また、図4は図1のC部の拡大平面図である。図1および図2は、半導体チップの全体構造を示す平面図および断面図であり、半導体チップの詳細構造についてはそれぞれの拡大図である図3および図4を用いて説明する。なお、図4は平面図であるが、主面側に積層される各絶縁層や金属パターンなどの平面形状を判りやすくするため、ハッチングを付している。
図1〜図4に示す本実施の形態の半導体チップ(半導体装置)1は、主面2a、主面2aの反対側に位置する裏面2b、および主面2aと裏面2bの間に位置する側面2cを有する半導体基板2を有している。半導体基板2は、例えばシリコンからなり、主面2aには、例えば、トランジスタやダイオードなどの複数の半導体素子2e(図3参照)が形成されている。半導体チップ1の主面2aの平面形状は四角形からなり、本実施の形態では1辺の長さが例えば700μmの正方形となっている。また半導体チップ1は裏面2b側を研削することにより薄型化が図られており、本実施の形態では例えば厚さが240μmとなっている。
半導体チップ1の主面2a上には、それぞれ絶縁層(絶縁膜)3および複数の配線4からなる複数の配線層5が積層されている。本実施の形態では、図3に示すように第1層目の配線層5a、第2層目の配線層5b、および第3層目の配線層(最上層配線層)5cが主面2a側から順に積層された3層構造となっている。したがって、本実施の形態では、第3層目の配線層5cが最上層の配線層5となっている。
各配線層5を構成する絶縁層3は、例えば酸化シリコン(SiO2)などの半導体酸化膜からなる。詳しくは、配線層5aを構成する第1層目の絶縁層(絶縁膜)3aは、SiO2にボロン(B)、リン(P)を加えたBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)膜である。また、配線層5b、5cを構成する第2層目および第3層目の絶縁層3b、3cは、それぞれ、反応ガスとしてTEOS(Tetraethylorthosilicate)を供給し、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置で成膜した酸化シリコン(SiO2)膜であるPTEOS膜である。
また、各配線層5を構成する配線4は、それぞれ、アルミニウム(Al)に銅(Cu)およびシリコン(Si)を含む、Al−Cu−Siからなる。さらに、この配線4の表面には、めっき膜(図示は省略)が形成されており、本実施の形態では、例えばチタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、あるいはこれらの積層膜が形成されている。本実施の形態では、配線層5は、絶縁層3上に複数の配線4が形成された構造となっている。配線4は、第1層目の配線4a、第2層目の配線4b、および第3層目(最上層)の配線(最上層配線)4cからなり、各配線層5には、それぞれ複数の配線4が形成されている。絶縁層3上に形成された配線4は、それぞれ絶縁層3内に各絶縁層3を貫通するように形成された層間導電路であるビア(配線)6を介して下層の配線層5や主面2aの半導体素子2eと電気的に接続されている。ビア6は、例えばタングステン(W)からなり、このビア6との電気的接続性を向上させるため、各配線4の下面側にもTi膜などのめっき膜(図示は省略)が形成されている。
なお、複数層の配線層5のうち、配線層5a、5bについては、所謂ダマシン構造の配線としてもよい。すなわち、絶縁層3に溝を形成した後に、銅を主体とする導電膜を溝内に埋め込んだ配線構造としてもよい。また、配線層5aとビア6とを一体構造としたデュアルダマシン構造としてもよい。
また、複数層の配線層5のうち、最上層に配置される配線層5cに形成された複数の配線4cは、半導体チップ1の外部端子である複数のパッド(電極、端子)7とそれぞれ一体に形成され、パッド7と電気的に接続している。つまり、図1に示す複数のパッド7は、それぞれ図3に示す配線層5cに形成され、複数の配線4(およびビア6)を介して複数の半導体素子2eと電気的に接続されている。また、パッド7の平面的配置は、図1に示すように、四角形の平面形状をなす半導体チップ1の各辺に沿って配置されている。
また、複数のパッド7が配置される領域の外側の周囲にはガードリング(金属パターン)8が形成されている。ガードリング8は、半導体チップ1の側面2cからガードリング8の内側に侵入することを防止する機能を有し、複数のパッド7が形成された領域を取り囲んで、連続的に形成されている。また、図3に示すようにガードリング8は、最上層の配線層5cから主面2aまで、各配線層5(絶縁層3)を貫通するように形成されている。このように、半導体基板2の主面2a上は、複数のパッド7よりも周縁部側に配置されるガードリング8に取り囲まれ、内部への水分の侵入を防止している。なお、本実施の形態ではガードリング8は主面2aに形成された、基準電位が供給される半導体素子2eに電気的に接続されている。
また、複数の配線層5のうち、最上層に配置される配線層5c上には、絶縁層9が形成され、絶縁層3c、配線4cおよびガードリング8は絶縁層9により被覆されている。本実施の形態では、絶縁層9は、例えば前記したPTEOS膜からなる絶縁層9aと、絶縁層9a上に形成され、例えば窒化シリコン(SiN)からなる絶縁層9bと、で構成される積層構造の絶縁層(絶縁膜)となっている。
絶縁層9には、複数のパッド7と重なる位置に複数の開口部9cがそれぞれ形成され、パッド7は開口部9cにおいて絶縁層9から露出している。詳しくは、開口部9cは絶縁層9a、9bのそれぞれに形成され、パッド7は積層された絶縁層9から露出している。
また、半導体チップ1は、デバイス領域1aと、平面視においてデバイス領域1aの周囲を取り囲んで配置されるスクライブ領域1bと、を有している。デバイス領域1aは、半導体素子2eおよびこれに電気的に接続される配線4などで構成される電気回路が形成された領域である。前記したガードリング8は、電気回路が形成されたデバイス領域1aを水の侵入から保護するため、四角形の平面形状をなすデバイス領域1aの外周に沿って、デバイス領域1a内に形成されている。
一方、スクライブ領域1bは、後述する半導体チップ1の製造工程において、半導体ウエハから複数の半導体チップ1を個片化して取得する際の切断領域の残部である。このため、半導体チップ1に残留するスクライブ領域1bには、デバイス領域1a内の電気回路と電気的に接続される配線などは形成されていない。
ここで、図3または図4に示すように半導体チップ1のスクライブ領域1bの角部(コーナ部)には、デバイス領域1a内と同様に複数層の絶縁層3(絶縁層3a、3b、3c)が積層され、配線4cと同層には金属パターン10aが形成されている。また、この金属パターン10aの上面(絶縁層3cとの対向面の反対側に位置する面、表面)は、絶縁層9a、9bからなる絶縁層9に全体が覆われている。また、金属パターン10aは、半導体チップ1の側面2cにおいて、絶縁層3、9から露出している。つまり、金属パターン10aの側面10bは、絶縁層9から露出している。また、金属パターン10aは、ガードリング8とは離間して形成され、このガードリング8とは電気的に接続されていない。本実施の形態では、金属パターン10aは、1つの角部に2個形成されている。また、図4では、半導体チップ1の1つの角部を拡大した拡大平面図であるが、図1に示す半導体チップ1の4つの各角部に、それぞれ2個ずつ金属パターン10aが形成されている。
これら金属パターン10aおよびこれを覆うスクライブ領域1bの絶縁層9は、後述する半導体チップ1の製造工程の裏面研削工程において、半導体チップ1の主面2a側の汚染を防止ないしは抑制するストッパ(障壁、ストッパ部)11(後に説明する図9参照)を切断した残部である。このストッパ11の機能および詳細な構造については、半導体チップ1の製造方法を説明する際に詳述する。
また、デバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界では、絶縁層9が取り除かれ、デバイス領域1aの絶縁層9とスクライブ領域1bの絶縁層9とは、分離している。換言すれば、デバイス領域1aの絶縁層9とスクライブ領域1bの絶縁層9の間には溝部9dが形成され、両者は離間して形成されている。これは後述する半導体チップ1の製造工程のダイシング工程において、スクライブ領域1bの絶縁層9にクラックなどの損傷が発生した場合でもその損傷がデバイス領域1a内まで進展することを防止するためである。
また、スクライブ領域1bの2つの角部の間の辺部では、複数層の絶縁層3の一部および絶縁層9が取り除かれ、絶縁層3が露出している。すなわち、後に詳しく説明する図8に示すように、ストッパ11が配置されるスクライブ領域1bの交差部の間(デバイス領域1aの辺部)は、絶縁層9および絶縁層3の一部が取り除かれた溝部(窪み部、凹部)1cが配置されている。ストッパ11やテストパターン12あるいはヒューズターゲット13を配置しないスクライブ領域については、溝部1cを配置する。このように、スクライブ領域1bの絶縁層3および絶縁層9を取り除くことにより、後述するダイシング工程において、ダイシングブレードに対する負荷を低減することによりダイシングブレード損傷は防止ないしは抑制される。また、本実施の形態では、溝部1cを配置してダイシングブレードに対する負荷を低減する構造であり、半導体ウエハの主面側の表面は一様な平坦面ではなくなるが、後述するように、ストッパ11を設けることにより半導体チップ1の製造工程の裏面研削工程において、半導体チップ1の主面2a側の汚染は防止ないしは抑制される。
<半導体チップ(半導体装置)の製造工程>
次に、図1〜図4に示す半導体チップ1の製造工程について、説明する。本実施の形態における半導体チップ1は、図5に示すフローに沿って製造される。図5は図1〜図4に示す半導体チップの製造工程フローを示す説明図である。各工程の詳細については、図6〜図23を用いて、以下に説明する。
1.半導体ウエハ準備工程;
まず、図5に示す半導体ウエハ準備工程S1として、図6〜図17に示す半導体ウエハ20を準備する。図6は図5に示す半導体ウエハ準備工程で準備する半導体ウエハの主面側の全体構造を示す平面図、図7は図6のD部を拡大した拡大平面図、図8は図7のE部をさらに拡大した拡大平面図である。また、図9は図8のF部の拡大平面図、図10および図11はそれぞれ図9のG−G線、H−H線に沿った拡大断面図である。また、図12は図8のI部の拡大平面図である。また、図13、図14、図15および図16は、それぞれ図12のJ−J線、K−K線、L−L線、M−M線に沿った拡大断面図である。また、図17は図8のN−N線に沿った拡大断面図である。なお、図7および図8は平面図であるが、無効チップ領域と有効チップ領域の区別を判り易くするため、無効チップ領域にハッチングを付している。また、図9および図12も平面図であるが、主面2a側に積層される各絶縁層や金属パターンなどの平面形状を判りやすくするため、ハッチングを付し、絶縁層9の下層に配置されるガードリング8、金属パターン10、テストパターン12やヒューズターゲット13の輪郭を点線で示している。
本実施の形態で使用する半導体ウエハ20は、主面2a、主面2aの反対側に位置する裏面2b(図10参照)、主面2a側に形成された複数のデバイス領域1a、および複数のデバイス領域1aの間に配置されるスクライブ領域(スクライブライン)1bを有している。図7に示すように、複数のデバイス領域1aは行列状に配置され、スクライブ領域1bは、これら複数のデバイス領域1aそれぞれの間に配置されている。このため、スクライブ領域1bの平面形状は格子状(複数本のスクライブラインがそれぞれ行列状に延在する形状)となっている。つまり、スクライブ領域1bは行方向に沿って延在する複数のスクライブライン(行スクライブライン)と、列方向に沿って延在する複数のスクライブライン(列スクライブライン)を有し、行スクライブラインと列スクライブラインは、互いに交差している。一方、複数の行スクライブライン同士、複数の列スクライブライン同士は交差せず、略平行に配置されている。このようにデバイス領域1aとスクライブ領域1bは規則的に配置され、半導体ウエハ20の主面2aの周縁部まで形成されている。また、本工程で準備する半導体ウエハ20は後述する裏面研削工程を施す前なので、図1〜図4で説明した半導体チップ1よりも厚さが厚く、例えば550μmである。半導体ウエハ20に半導体素子などの集積回路を形成する工程では、このように半導体ウエハ20の厚さを厚くしておくことにより、半導体ウエハ20を損傷することなくハンドリングすることができる。
また、例えば図8に示すように複数のデバイス領域1aには、図1〜図4を用いて説明した複数の半導体素子2e(図3参照)、配線層5(図3参照)、複数のパッド7、ガードリング8および絶縁層9などがそれぞれ形成されている。デバイス領域1aは前記したように、半導体ウエハ20の周縁部まで規則的に形成されているが、半導体ウエハ20の周縁部では、デバイス領域1aを所定の形状(本実施の形態では四角形)とするスペースが確保できない。また、半導体ウエハ20の周縁部付近では形成される回路に不良が発生する場合がある。したがって、半導体ウエハ20の周縁部は、無効チップ領域(図7および図8にハッチングを付したデバイス領域1a)とし、無効チップ領域の内側(半導体ウエハ20の中心側)を有効チップ領域(図7および図8にハッチングを付していないデバイス領域1a)としている。図1〜図4に示す半導体チップ1は有効チップ領域であるデバイス領域1aから取得する。つまり、無効チップ領域は、有効チップ領域と同様に、半導体素子や各部材を規則的に形成するが、半導体チップ1を取得することを予定していない領域である。
一方、スクライブ領域1bには、例えば図10に示すようにデバイス領域1a内と同様に複数層の絶縁層3(絶縁層3a、3b、3c)が積層されている。また、格子状(行列状)に配置されるスクライブ領域1bの交差部(行方向に延在するスクライブラインと列方向に延在するスクライブラインが交差する領域)には、ストッパ(障壁、ストッパ部)11が配置されている。換言すれば、半導体ウエハ20の各デバイス領域1aの角部には、ストッパ11がそれぞれ配置されている。図9、図10および図11に示すようにストッパ11が配置されるスクライブ領域1bの交差部では、配線4cと同層(すなわち、絶縁層3c上)に金属パターン10が形成されている。各ストッパ11には複数(図9では4つ)の金属パターン10が形成され、各金属パターン10は長方形の平面形状を成す。また、各金属パターン10は、スクライブラインの延在方向と交差する方向に延在するように配置されている。換言すれば、金属パターン10の短辺は、スクライブラインの延在方向に沿って配置されている。
図10に示すように、金属パターン10はデバイス領域1aに形成されたガードリング8とは電気的に接続されていない。つまり、ガードリング8と金属パターン10は離間して形成されている。本実施の形態では、ガードリング8は、基準電位が供給される半導体素子2eと電気的に接続されている。後述するダイシング工程後に半導体チップ1(図3参照)の側面2c(図3参照)から露出する金属パターン10とガードリング8を電気的に接続すると、半導体チップ1にノイズなどが発生する原因となり、半導体チップ1の信頼性が低下してしまうからである。また、ガードリング8とは異なり、この金属パターン10の直下の配線層5a、5bには配線や金属パターンが形成されておらず、金属パターン10は半導体基板2に形成された半導体素子2eと電気的に接続されないフローティング構造となっている。なお、金属パターン10の直下の配線層5a、5bに金属パターンを形成することもできるが、後述するダイシング工程において、ダイシングブレードの負荷を低減する観点からは、本実施の形態のように配線層5a、5bには金属パターンを形成しないことが好ましい。
また、各金属パターン10は、絶縁層9で全体が覆われている。本実施の形態では、絶縁層3cを形成した後、配線層5cに配線4c(図3参照)、パッド7(図3参照)、ガードリング8(図3参照)や金属パターン10などのメタル層を形成する前に、絶縁層3cの上面側に研磨処理を施している。詳しくは、各配線層5を積層する際には、まず絶縁層3を成膜し、次に絶縁層3に貫通孔を形成して、該貫通孔に層間導電路となるビア6(図3参照)を埋め込む。続いて絶縁層3上にメタル層を形成し、これを例えばマスクパターンを介してエッチングすることにより配線4(図3参照)を形成する。これを順次繰り返し、最上層の絶縁層3c内にビア6を形成した後、かつ、配線4cを形成する前に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により絶縁層3cを研磨して表面を平坦化する。
一方、絶縁層9は、最上層(配線層5c)のメタル層を例えばエッチングにより配線4cなどの所定のパターンに形成した後、配線層5c上に積層して成膜し、成膜後の研磨処理は施していない。このため、絶縁層9表面の平坦度は、絶縁層3c表面の平坦度よりも低く、金属パターン10などの形状に倣って凹凸が形成されている。詳しくは、例えば図10に示すように、ガードリング8上の絶縁層9および金属パターン10上の絶縁層9は、周囲の絶縁層9と比較して盛り上がっている(凸になっている)。換言すれば、ガードリング8上には、絶縁層9が周囲と比較して盛り上がった凸部が形成されている。また、本実施の形態では配線4c(図3参照)、パッド7(図3参照)、ガードリング8(図3参照)や金属パターン10などのメタル層は例えばめっき法により一括して形成している。このため、金属パターン10の厚さは、ガードリング8と同じ厚さとなっている。このため、金属パターン10上の絶縁層の高さは、ガードリング8上の絶縁層9の高さと同じになっている。このように金属パターン10を形成した領域では絶縁層9が周囲と比較して盛り上がって形成されるので、後述する裏面研削工程において、絶縁層9と保護シートを密着させることができる。
また、スクライブ領域1bのストッパ11が配置される交差部とは別の一部には、複数のテストパターン12が配置されている。本実施の形態では、図7に示すように、列方向に延在するスクライブラインに沿って複数のテストパターン(金属パターン)12を配置している。このテストパターン12は、例えばパッド7と同じ金属からなる導体パターンであって、半導体ウエハ20を切断する前に半導体ウエハ20に形成した半導体素子2eなどを電気的試験により評価するためのパターンである。図12、図13および図14に示すように、評価用のパターンであるテストパターン12は、半導体基板2の主面に形成されたTEG(Test Element Group)と呼ばれる評価用の半導体素子2fと電気的に接続されている。詳しくは、配線層5cに形成されるテストパターン12は、配線層5cよりも下層に配置される配線層5b、5aに形成された配線4b、4aやビア(配線)6を介して、スクライブ領域1bの主面2aに形成された半導体素子2fと電気的に接続されている。また、配線層5cに形成されるテストパターン12は、パッド7(図3参照)や配線4c(図3参照)と同層において、少なくとも一部が絶縁層9から露出している。これは、テストを行う際に、絶縁層9からの露出部を電極として用いるためである。また、露出部を電極として用いるためには、テストパターン12の面積を広くとる必要がある。このため、テストパターン12の面積は、金属パターン10の面積よりも大きい。換言すれば、金属パターン10は、テストパターン12のように電極として用いるパターンではないので、テストパターン12よりも面積を小さくしている。なお、評価用の半導体素子2fおよびテストパターン12を含めてTEGと呼ぶ場合もある。
また、スクライブ領域1bのさらに別の一部には、半導体ウエハ20に集積回路を形成した後で、かつ、半導体ウエハ20を切断する前に、半導体ウエハ20に加工を施す際の位置合わせ用のマーク(アライメントマーク)が形成されている。図8、図12、図15および図16では、アライメントマークの一例として、デバイス領域1a内に形成されたヒューズを切断する際のアライメントマークであるヒューズターゲット(アライメントマーク、金属パターン)13を示している。このヒューズターゲット13は、例えばパッド7と同じ金属(本実施の形態では、Al−Cu−Si)からなるパターンであって、デバイス領域1a内に形成されたヒューズ(図示は省略)を切断する際に、周囲の絶縁層3あるいは絶縁層9との反射率の相違を利用して位置合わせを行うためのパターンである。したがって、ヒューズターゲット13の一部または全部が、絶縁層9から露出している。また、反射率の違いを利用して位置合わせを行う観点から、露出面積は出来る限り広くすることが好ましい。このため、本実施の形態では、図12や図16に示すように、ヒューズターゲット13の長辺側の両端部が露出するように絶縁層9を取り除いた開口部が形成されている。
このように、金属パターン10が形成される配線層5cには、テストパターン12やヒューズターゲット13も形成されているが、全体が絶縁層9で覆われている(換言すれば絶縁層9から露出していない)点で、金属パターン10はこれらと相違する。
また、金属パターン10は、後述する裏面研削工程において、デバイス領域1a内の汚染を防止ないしは抑制するために形成している。詳細は後述するが、汚染源は、スクライブ領域(スクライブライン)1bに沿って侵入する。したがって、金属パターン10のスクライブラインと交差する方向の長さ(すなわち長辺の長さ)は出来る限り長くとり、スクライブラインの幅を塞ぐことが好ましい。一方、金属パターン10のスクライブラインに沿った方向の長さ(すなわち短辺の長さ)は、短くしてもストッパとして汚染を防止ないしは抑制することができる。また、後述するダイシング工程において、ダイシングブレードの損傷を抑制する観点からは、スクライブ領域1b内の障害物は出来る限り少なくすることが好ましい。したがって、本実施の形態では、金属パターン10の長辺の長さは、テストパターン12やヒューズターゲット13のスクライブラインと交差する方向の長さ以上としている。また、金属パターン10の短辺の長さは、テストパターン12やヒューズターゲット13のスクライブラインと沿った方向の長さよりも短くしている。
また、本実施の形態では、ストッパ11が配置されるスクライブ領域1bの交差部の間(デバイス領域1aの辺部)は、絶縁層9および絶縁層3の一部が取り除かれている。換言すれば、複数のストッパ11の間には絶縁層9および絶縁層3の一部が取り除かれた溝部(窪み部、凹部)1cが配置されている。このように、ストッパ11やテストパターン12あるいはヒューズターゲット13を配置しないスクライブ領域については、溝部1cを配置することにより、後述するダイシング工程において、ダイシングブレードへの負荷を低減することができる。
また、デバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界では、絶縁層9の間に溝部9dが形成され、デバイス領域1aの絶縁層9とスクライブ領域1bの絶縁層9とは、分離している。これにより、後述する後述するダイシング工程において、スクライブ領域1bの絶縁層9にクラックなどの損傷が発生した場合でもその損傷がデバイス領域1a内まで進展することを防止することができる。
この溝部9dは、以下のように形成する。まず、配線4c、パッド7、ガードリング8や金属パターン10など、配線層5cに形成される金属パターンをパターニングした後、これら全体を覆うように絶縁層9を成膜する。本実施の形態では絶縁層9a、9bの順で順次積層する。続いて、エッチングにより図3に示す開口部9cを形成するが、この時に絶縁層9を覆うように配置するマスクとして、開口部9cおよび溝部9dの位置(パッド7と重なる位置およびデバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界線と重なる位置)に貫通孔が形成されたマスク(図示は省略)を用いる。この結果、溝部9dは開口部9cと一括して形成することができる。またこの時、図11に示す溝部1cと重なる位置にも貫通孔が形成されたマスクを用いることにより、溝部1cも開口部9c、溝部9dと一括して形成することができる。
なお、本実施の形態では、開口部9cを形成する際に、絶縁層9b、9aを順にエッチングにより取り除く。その後さらに、パッド7の表面に形成された図示しないめっき膜(Ti/TiN膜)もエッチングにより取り除く。このように、パッド7上に積層された各部材をエッチングで取り除く際に、同じマスクを用いた場合、図10に示す溝部9dや図11に示す溝部1cでは、絶縁層9aよりもさらに下層の絶縁層3の一部までエッチングにより取り除かれる。したがって、例えば、絶縁層9bをエッチングした後、溝部9dと重なる位置には貫通孔が形成されていない(つまり、溝部9dを覆う)マスクに交換してさらにエッチングを行った場合、絶縁層9bのみに選択的に溝部9dを形成することもできる。この場合、溝部9dの深さを図10と比較して浅くすることができる。後述するダイシング工程で、特にクラックが発生しやすいのは、最上層に配置される絶縁層9bであり、少なくともデバイス領域1aの絶縁層9bとスクライブ領域1bの絶縁層9bが分離されていれば、クラックの進展を抑制することができる。ただし、クラックの進展を確実に防止する観点からは、図10に示すように、絶縁層9aおよび絶縁層9bを貫通する溝部9dを形成する方がより好ましい。
また、図10に示すように、絶縁層9bに形成された溝部9dの開口幅は、絶縁層9aや絶縁層3に形成された溝部9dの開口幅よりも広い。溝部9dはパッド7上の開口部9cを形成する時に同時に形成されるが、チタン(Ti)膜および窒化チタン(TiN)膜を異方性エッチングで除去する時に、使用されるエッチングガスが絶縁層9bもエッチングするからである。
さらに、図11に示す溝部1cの溝深さは、図10に示す溝部9dの溝深さよりも深い。これは、溝部1cの平面積の方が溝部9dの平面積よりも広いためである。つまり、エッチングにより溝部1cを形成するためのマスクの貫通孔の開口面積は、溝部9dを形成するためのマスクの貫通孔の開口面積よりも広い。このため、溝部1cは溝部9dよりも深く取り除かれ、絶縁層3bの一部も取り除かれている。
2.裏面研削工程;
次に、図5に示す裏面研削工程S2として、図6〜図17に示す半導体ウエハ20の裏面2b側を研削する。図18は図6に示す半導体ウエハの主面側に保護シートを貼り付けた状態を示す断面図、図19は、図18のP部の拡大断面図である。また、図20は図18に示す保護シートを貼り付けた半導体ウエハの裏面を研削する工程を示す断面図である。さらに、図21は、図10に示す半導体ウエハの主面側の表面に保護シートを貼り付けて反転させた状態を示す拡大断面図である。また、図31は図7に示す半導体ウエハの第1の比較例である半導体ウエハを示す拡大平面図である。また、図32は図31に示す半導体ウエハの主面側の表面に保護シートを貼り付けて反転させた状態を示す拡大断面図である。さらに、図33は、図21に示す半導体ウエハの第2の比較例である半導体ウエハの主面側の表面に保護シートを貼り付けて反転させた状態を示す拡大断面図である。
本工程では、まず、図18に示すように半導体ウエハ20の主面2a側に保護シート(保護フィルム)30を貼り付ける。詳しく説明すると、半導体ウエハ20の主面2a上に、保護シート30を緊張させた状態で広げ、保護シート30の上面から貼り付け治具であるローラ(貼り付け治具)31で押圧して貼り付ける。保護シートの下面(半導体ウエハ20との対向面)側には粘着層が配置されており、下面の反対側に位置する上面側から押圧すると、半導体ウエハ20と、この粘着層が密着し、接着される。これにより、半導体ウエハ20の主面2a側の表面は保護シート30で覆われた状態となる。この裏面研削工程では、半導体ウエハ20の表面保護が不充分であると、集積回路を傷つけたり、汚染させたりして不良の原因となる。このため、半導体ウエハ20の裏面2bを研削する前に、半導体ウエハ20の主面2a側の表面を保護シート30で覆うことにより、本工程における半導体ウエハ20の損傷や汚染を防止ないしは抑制する。
また、図19に示すように半導体ウエハ20の側面20cは、主面2aに対して直交しない傾斜面を成している。このため保護シート30を貼り付けた半導体ウエハ20の側面20cと保護シート30の間には隙間30aが形成される。
保護シート30を貼り付けた後は、図18に示す半導体ウエハ20の上下を反転し、図20に示すように半導体ウエハ20を、保護シート30を介して、研削装置32のステージ33上に固定する。続いて、半導体ウエハ20の裏面2b側を研削し、半導体ウエハ20の厚さを裏面2b側から薄くする。
本工程における研削手段は、以下の具体例に限定されるものではないが、例えば図20に示すように砥石34などの研削部材を用いて半導体ウエハ20の裏面2bを研削することができる。また、研削を行う際には、半導体ウエハ20に研削液(研削流体)35を供給して研削する。詳しくは、本実施の形態の裏面研削工程は、半導体ウエハ20の裏面2b側に研削液供給装置35aから研削液35を供給しながら行う。この研削液35は、砥石34が半導体ウエハ20の裏面2bを研削する際の潤滑液としての機能を有し、本実施の形態では例えば水(研削水)を用いている。また、研削液35を供給しながら研削することにより、削られた研削屑(例えばSiからなる研削屑)を研削液35に同伴して裏面2bから取り除くことができる。
ここで、本願発明者の検討によれば、図31に示す比較例の半導体ウエハ70のように、スクライブ領域1bに図7や図8に示すストッパ11を形成していない場合、裏面研削工程において、半導体ウエハ70の主面2a側が汚染されることが判った。詳しくは、図31に矢印72で示す侵入方向で、スクライブラインに沿って研削液35(図20参照)と伴に研削屑などの異物が半導体ウエハ70の主面2a側に侵入し、半導体ウエハ70の主面2a側を汚染する。これは、図32に示すように、スクライブ領域1bと保護シート30との間に空間73が形成され、この空間73を通じて研削液35(図20参照)が侵入するからである。また、図19に示すように半導体ウエハ20の側面20cと保護シート30の間には、隙間30aが形成されている(半導体ウエハ70にも同様の隙間30aが形成されている)ので、研削液35は一層侵入し易くなる。
このように、研削液35(図20参照)が半導体ウエハ70の主面2a側に侵入すると、スクライブ領域1bを切断して得られる半導体チップの外周が汚染される。また、デバイス領域1aはガードリング8により周囲を囲まれているので、ガードリング8を覆う絶縁層9と保護シート30が全周に亘ってしっかりと密着していれば、ガードリング8よりも内側への研削液35(図20参照)の侵入を防止することができる。しかし、ガードリング8を覆う絶縁層9と保護シート30の間に隙間が生じている場合、該隙間から研削液35がデバイス領域1a内に侵入してしまう。つまり、ガードリング8よりも内側の領域が汚染されることとなる。
本願発明者は、研削液35(図20参照)の侵入を防ぐ方法について種々の検討を行った。まず、図33に示す半導体ウエハ71のようにスクライブ領域1bの少なくとも一部に、複数の絶縁層3と、この絶縁層3を覆う絶縁層9からなるストッパ74を形成する構成について検討した。なお、図33に示すストッパ74は、配線層5cに金属パターン10が形成されていない点を除き、本実施の形態のストッパ11と同様の形状となっている。しかしながら、図33に示すストッパ74では、主面2a側への研削液35の侵入を十分に防ぐことができず、主面2a側が有効チップ領域内まで汚染することが判った。図33に示すように、主面2aからガードリング8を覆う絶縁層9までの高さの方が、主面2aからストッパ74の絶縁層9までの高さよりも高いため、保護シート30と、ストッパ74の間に空間75が形成される。空間75は、図32に示す空間73と比較すると面積が小さくなっているが、ストッパ74と、保護シート30が密着していないため、研削工程中の振動などの影響により、空間75から研削液35が侵入したと考えられる。
そこで、本願発明者はストッパ74の絶縁層9と保護シート30を密着させる構成、すなわち図10に示すように配線層5cに金属パターン10を形成して、これを絶縁層9で覆う本実施の形態のストッパ11の構成について検討を行った。本実施の形態の半導体ウエハ20に裏面研削工程を施した結果、図7に示す半導体ウエハ20の外周側から研削液35(図20参照)がスクライブライン(スクライブ領域1b)に沿って侵入した形跡は認められた。しかし、研削屑などの異物は、その殆どが最外周に配置されたストッパ11により堰き止められ、最外周のストッパ11よりも内側に入り込んだ僅かな異物も、最外周の内側に配置された第2列目のストッパ11により完全に堰き止められていることを確認した。これら最外周のストッパ11および第2列目のストッパ11は、いずれも無効チップ領域であるデバイス領域1aの周囲に配置されるストッパ11であって、有効チップ領域のデバイス領域1aについては、汚染されていないことを確認した。つまり、無効チップ領域のデバイス領域1aの周囲にストッパ11を配置することにより、有効チップ領域のデバイス領域1aが汚染することを防止することができた。この理由を以下に説明する。
図21に示すように、本実施の形態によれば、金属パターン10を形成することにより、金属パターン10を覆う絶縁層9は、ガードリング8を覆う絶縁層9と同じ高さまで盛り上がる。このため、保護シート30を半導体ウエハ20の主面2a側の表面に貼り付けると、ストッパ11の絶縁層9と保護シート30を密着させる(接着する)ことができる。そして、保護シート30とストッパ11を密着(接着)させてしっかりと固定することにより、裏面研削工程中の振動などの影響を低減することができる。この結果、ストッパ11により研削液35(図20参照)の侵入を防止ないしは抑制することができる。
ところで、本実施の形態においても、保護シート30と半導体ウエハ20の間に空間36は形成されている。空間36は後述するダイシング工程において、スクライブ領域の絶縁層9に損傷が発生した場合に、その損傷がデバイス領域1aまで進展することを防止するため、デバイス領域1aの絶縁層9とスクライブ領域1bの絶縁層9を分離する溝部9dに起因して形成される。したがって、単に研削液35(図20参照)の侵入を防止する観点からは、空間36が形成されないようにすることが好ましいが、絶縁層9の損傷により、図1〜図4に示す半導体チップ1の信頼性低下を抑制する観点からは、空間36が形成されることを回避するのは困難である。
本実施の形態では、保護シート30とストッパ11を密着させることにより、空間36の断面積は、図33に示す空間75と比較して小さくなっている。このように空間36の断面積を十分に小さくすることにより、以下の効果が得られると考えられる。すなわち、本実施の形態のように空間36の断面積を小さくすると、裏面研削工程において供給された研削液35(図20参照)が空間36を僅かな時間で満たすこととなる。このような現象はストッパ11を配置した各場所で同じタイミングで発生する。そして、ストッパ11よりも中心側の気体(例えば空気)は、ストッパ11の内側(半導体ウエハ20の中心側)に閉じ込められる。この結果、研削液35(図20参照)の侵入圧力と、ストッパ11の内側に閉じ込められた気体の内圧が拮抗し、研削液35の侵入はストッパ11の位置で止める事ができる。つまり、研削液35(図20参照)が複数の空間36に略同時に侵入することにより、研削液35のそれ以上の侵入を防止するシール効果が得られる。また、空間36の断面積が小さいため、空間36に研削屑などの異物が詰まると、空間36の断面積はさらに小さくなり、研削液35(図20参照)はより侵入し難くなる。
また、上記したシール効果を得る観点からは、図21に示す金属パターン10とガードリング8の間に形成された空間36の背後の空間、すなわち、金属パターン10よりも半導体ウエハ20の中央側に形成され、空間36に隣接する(通じる)空間の体積を小さくすることが好ましい。空間36に隣接する空間の体積を小さくすることにより、内部の気体が急激に圧縮され易くなり、侵入した研削液35(図20参照)の侵入圧力と拮抗させやすくなるからである。本実施の形態では、図9に示すように金属パターン10よりも背後の領域(図9では、4つの金属パターン10に囲まれた領域)は、絶縁層3および絶縁層9を取り除いていない。換言すれば溝部1cを形成していない。したがって、図21に示す空間36に隣接する空間の体積を小さくすることができるので、上記したシール効果が得られ易くなる。
さらに、図33に示すストッパ74では、仮に、裏面研削工程を開始した直後に上記したシール効果が得られたとしても、ストッパ74と保護シート30が密着していないので、例えば裏面研削工程中に生じる振動により、空間75の断面積が変化し易い。この結果、研削液35の侵入圧力と、ストッパ74の内側に閉じ込められた気体の内圧の拮抗が破れ、上記したシール効果を維持することができなくなる。一方、本実施の形態ではストッパ11と保護シート30を密着させるので、研削工程中に振動が生じた場合でも、空間36の断面積の変化量を低減することができるので、上記したシール効果を維持することができる。この結果、本実施の形態によれば、保護シート30とストッパ11の間に空間36を有していても、デバイス領域1a(特に、有効チップ領域のデバイス領域1a)の汚染を防止することができる。つまり、本実施の形態によれば、デバイス領域1aの汚染を防止しつつ、かつ、デバイス領域1aの絶縁層9が損傷することを防止することができる。
また、本実施の形態では、図7に示すように、複数のテストパターン12が配置されるスクライブライン(スクライブ領域1b)以外のスクライブライン(スクライブ領域1b)には、各交差部にストッパ11を配置している。一方、複数のテストパターン12が配置されるスクライブライン(スクライブ領域1b)には、ストッパ11を配置していない。これは、以下の理由による。まず、図7に示すように、複数のテストパターン12を特定のスクライブラインに密集して配置することにより、ストッパ11を配置するスペースが十分に確保することができない。また、図12に示すように、テストパターン12の外縁部は、全て絶縁層9に覆われている。このため、裏面研削工程において、テストパターン12の外縁部を覆う絶縁層9は、例えば図13に示すように、ガードリング8を覆う絶縁層9と同じ高さになっている。この結果、テストパターン12の外縁部を覆う絶縁層9は、保護シート30(図21参照)と密着させることができるので、テストパターン12をスクライブラインに配置することにより、研削液35(図20参照)の侵入を抑制することができる。
ただし、保護シート30(図21参照)と密着する絶縁層9の密着面積は、図10に示すストッパ11の金属パターン10を覆う絶縁層9よりも小さいため、ストッパ11を配置するスペースを確保することが可能であれば、ストッパ11を配置する方がより好ましい。また、テストパターン12を配置することにより、研削液35の侵入を抑制する事ができるので、全てのスクライブ領域に、テストパターン12を形成する方法も考えられるが、この場合、後述するダイシング工程で、ダイシングブレードの負荷が増大するという新たな課題が生じる。
なお、ヒューズターゲット13については、例えば図16に示すように、ヒューズターゲット13の周囲に、スクライブライン(スクライブ領域1b)の延在方向に沿って大きな開口部が形成されているため、このヒューズターゲット13を配置しても前記したシール効果を得る事はできない。
また、本実施の形態では、図7に示すようにテストパターン12が配置されるスクライブライン以外の各スクライブラインの交差部毎にストッパ11を配置している。つまり、無効チップ領域および有効チップ領域で、金属パターン10や溝部1c、9dの形状が同じ形状となるように規則的にパターニングしている。このように、ストッパ11を規則的に配置することにより、以下の効果が得られる。
まず、第1に、前記した保護シート30(図18参照)を貼り付ける工程において、貼り付け不良により保護シートに皺が発生し、ストッパ11と保護シート30の間の一部に隙間が生じた場合、有効チップ領域内に汚染が広がる場合がある。しかし、ストッパ11を各スクライブラインの交差部全て(本実施の形態では、テストパターン12が配置されるスクライブラインは除く)に配置することにより汚染される領域の拡大を防止することができる。
第2には、ストッパ11を規則的に配置することにより、金属パターン10や溝部1c、9dなどを効率的に形成することができる。一般に、金属パターンや溝部、開口部などを形成するためのマスクパターンを形成する際には、加工面にレジストを塗布した半導体ウエハを露光装置にセットして、露光処理、現像処理、ベーク処理を行ってマスタマスクのマスクパターンをレジスト膜に転写する。この時、半導体ウエハの主面側全体に一括してマスクパターンを形成するのは困難なので、1枚の半導体ウエハについて一連の転写処理を複数回に分けて順次走査して行う、ステップ・アンド・リピート方式で行う。このステップ・アンド・リピート方式では、1度の処理で加工することのできるデバイス領域の数を増加させる程、処理回数を低減することができるので、製造効率を向上させることができる。ここで、無効チップ領域と有効チップ領域とで異なる形状のパターニングを行う場合、1度の処理で加工できるデバイス領域の数は、極端に少なくなる。一方、本実施の形態のように、無効チップ領域および有効チップ領域で同じ形状のパターニングを行う場合、1度の処理で加工できるデバイス領域の数を増加させることができる。例えば、図7に示す本実施の形態の半導体ウエハ20の場合では、テストパターン12が配置されるスクライブラインと、ストッパ11が配置されるスクライブラインを含む複数のデバイス領域1aを無効チップ領域と有効チップ領域の区別なく一括して転写処理することができる。したがって、本実施の形態によれば、金属パターン10や溝部1c、9dなどを効率的に形成することができる。
次に、ストッパ11を構成する金属パターン10の好ましい態様について説明する。ストッパ11を構成する金属パターン10は前記したように長方形の平面形状を成すが、図21に示す保護シート30と絶縁層9の密着面積を増やす観点からスクライブラインに交差する方向に延在する長辺の長さは長い程好ましい。
しかし、本実施の形態では、以下の理由から金属パターン10はデバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界線(本実施の形態では溝部9dが形成された位置)よりもスクライブ領域1b側に配置している。まず、第1の理由は、金属パターン10をスクライブ領域1bからデバイス領域1aまで延在するように配置すると、図10に示す溝部9dを形成する工程において、金属パターン10が障害物となってエッチング不良が発生する懸念がある。また、溝部9dを形成する位置に金属パターン10を配置すると、金属パターン10が絶縁層9から露出することとなるため、金属パターン10の露出部分に腐食が生じる懸念がある。また、第2の理由は、金属パターン10をスクライブ領域1bからデバイス領域1aまで延在するように配置すると、ダイシング工程において、金属パターン10を切断する際の応力が、金属パターン10を介してデバイス領域1a内の絶縁層9に伝達される懸念がある。この場合、デバイス領域1a内の絶縁層9にクラックやチッピング(欠け)が生じる原因となる。このため、本実施の形態では、金属パターン10はスクライブ領域1b内に配置して、デバイス領域1aには配置していない。
また、図21に示すように、デバイス領域1aの絶縁層9とスクライブ領域1bの絶縁層9を分離する溝部9dのスクライブ領域1b側の端部から金属パターン10の端部までの距離L1は、溝部9dのデバイス領域1a側の端部からガードリング8の端部までの距離L2よりも短くなるように配置している。換言すれば、金属パターン10はガードリング8よりも溝部9d、すなわち、デバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界に近づけるように配置している。ガードリング8は、前記したように、デバイス領域1a内に水分が侵入することを防止する機能を有している。また、本実施の形態では、ガードリング8は、基準電位を供給する半導体素子2eと電気的に接続されているため、ガードリング8自身の腐食を防止する必要がある。このため、ガードリング8はデバイス領域1aとスクライブ領域1bの境界線よりもデバイス領域1a側に離して形成することが好ましい。一方、金属パターン10は、前記したように、図1〜図4に示す半導体チップに形成された電気回路とは電気的に接続されないフローティング構造の金属パターンである。したがって、金属パターン10が露出しない範囲で、デバイス領域1aの近くまで配置することが、保護シート30と絶縁層9の密着面積を増やす観点から好ましい。そこで、本実施の形態では、金属パターン10をガードリング8よりも溝部9dに近づくように配置して保護シート30と絶縁層9の密着面積の増大を図っている。また、これにより、図21に示す空間36の断面積を低減することもできるので、前記したシール効果をより確実に得ることができる。
また、本実施の形態では、図9に示すように金属パターン10は、行列状に配置される複数のデバイス領域1aのうち、隣り合うデバイス領域1aの間にそれぞれ配置されている。詳しくは、各金属パターン10の長辺の延長線がガードリング8と交差する位置に配置されている。換言すれば、各金属パターン10は、スクライブラインが交差する交差部内には形成されず、交差部の外側に形成されている。このため、ストッパ11の絶縁層3、絶縁層9は、スクライブラインの交差部から各スクライブラインの延在方向に向かって、それぞれ突出した突出部11dを有する形状となっており、金属パターン10はこの突出部11dに形成されている。このように金属パターン10を配置することにより、金属パターン10からガードリング8までの距離を近づけることができる。図21に示すように、空間36の幅は、金属パターン10からガードリング8までの距離によって規定される。そして、空間36の幅を小さくする程、前記したシール効果をより確実に発生させることができる。つまり、図9に示すように、金属パターン10をスクライブライン(スクライブ領域1b)同士が交差する領域ではなく、隣り合うデバイス領域1aの間に配置することにより、図21に示す空間36の幅を小さくすることができるので、研削液35(図20参照)の侵入を、より確実に抑制することができる。さらに、金属パターン10を交差部の外側に配置することにより、図21に示す金属パターン10とガードリング8の間に形成された狭い空間である空間36から空間36よりも広い溝部1c(図9参照)が形成された空間まで通じる経路距離を長くすることができる。このため、前記した研削液35(図20参照)の侵入圧力と空間36に隣接した空間の気体の圧力を拮抗させやすくなり、シール効果が得られ易くなる。
また、図9に示すように本実施の形態では、スクライブラインが交差する交差部毎に、複数(4つ)の金属パターン10を配置して、各金属パターン10を隣り合うデバイス領域1aの間に配置している。換言すれば、本実施の形態のストッパ11は、それぞれ複数(4つ)の金属パターン10を有している。このように、ストッパ11毎に複数の金属パターン10を形成することにより、図21に示す保護シート30とストッパ11の密着面積を増加させることができる。このため、裏面研削工程中の振動などの影響を低減することができるので、前記したシール効果を維持して、ストッパ11により研削液35(図20参照)の侵入を防止ないしは抑制することができる。
以上説明したように、裏面2bを研削し、半導体ウエハ20の厚さを所定寸法(本実施の形態では240μm)まで薄くした後、保護シート30を半導体ウエハ20から剥がして本工程が完了する。なお、裏面2bに残留する研削屑を除去するため、例えば研磨粒子などを用いて、裏面2bにポリシング(研磨)加工を行うことが好ましい。この場合、ポリシング加工が完了した後で、保護シート30を剥がす。ポリシング加工中に発生する研磨屑により半導体ウエハ20の主面2a側が汚染されるのを防止するためである。
3.ダイシング工程;
次に、図5に示すダイシング工程S3として、図22に示すように半導体ウエハ20のスクライブ領域(スクライブライン、ダイシングライン)1bに沿って半導体ウエハ20を切断する。図22は、裏面研削後の半導体ウエハをダイシングブレードにより切断した状態を示す拡大断面図である。また、図23は、図22に示すダイシングブレードの構造を示す拡大断面図である。また、図24は、図12に示す平面を切断した後の半導体チップを示す拡大平面図である。
本工程では、切削治具であるダイシングブレード40をスクライブ領域1bに沿って走らせることにより、半導体ウエハ20をデバイス領域1a毎に個片化して複数の半導体チップ1を取得する。
本実施の形態では、図22に示すように、半導体ウエハ20の裏面2bにダイシングテープ41を貼り付けた状態で、主面2a側から裏面2bまで切削し、デバイス領域1a毎に個片化する。ダイシングテープ41を貼り付けた状態で切削する理由の一つは、切断された半導体チップ1(図1〜図4参照)が周囲に飛び散ることを防止するためである。また、ダイシングテープ41を貼り付けた状態で切削する別の理由は、ダイシングステージ(図示は省略)上で、半導体ウエハ20の位置合わせを行うためである。したがってダイシングテープ41の半導体ウエハ20との対向面には、粘着層が配置され、ダイシングテープ41と半導体ウエハ20の裏面2bは、この粘着層を介してしっかりと固定される。なお、このダイシングテープ41に配置される粘着層は、熱や紫外線などのエネルギーを印加することにより硬化する成分を含んでなり、本実施の形態では、例えば、紫外線硬化性樹脂である。したがって、本工程が完了した後、ダイシングテープ41に紫外線を照射することにより、個片化された半導体チップ1を容易にダイシングテープ41から剥離することができる。
ダイシングブレード40は、例えば、高速回転可能なスピンドルなどの支持部材(図示は省略)の外周に取り付けられる切刃であって、図23に示すようにダイヤモンドなど被加工物よりも硬度が高い(硬い)材料からなる複数(多数)の砥粒42を金属や樹脂からなる結合材(ボンド材)43によって切刃部の基材(図示は省略)に固着させている。これら複数の砥粒42の一部はダイシングブレード40の表面(結合材43の表面)から露出している。図22に示すようにダイシングブレード40を回転させながらスクライブ領域1bに押し当てると、スクライブ領域1bに配置される各部材は主に砥粒42により切削される。詳しくは、図23に示すように砥粒42を含むダイシングブレード40は、砥粒42がスクライブ領域1b(図22参照)に配置される各部材を切削し、発生した切削屑をかきだすことにより切削加工する。また、ダイシングブレード40は、切削加工中に結合材43を磨耗させることにより、古い砥粒42を脱落させ、新たな砥粒42を露出(自生発刃)させながら半導体ウエハ20(図22参照)を加工する。
したがって、ダイシングブレード40の結合材43よりも柔らかい(硬度の低い)部材、例えばポリイミド樹脂やアルミニウムなどの金属を切削加工する場合には、露出する砥粒42の隙間に切削屑が詰まる目詰まりが発生し易い。また、結合材43が十分に摩耗しないため、新たな砥粒42を露出させる事ができず、切削性能が低下する原因となる。この結果、ダイシング不良が発生してしまうこととなる。つまり、本実施の形態において、被加工物であるスクライブ領域1bの構成部材に、結合材43よりも柔らかい(硬度の低い)部材が多く含まれている場合、ダイシング不良が発生し易くなる。例えば、絶縁層9にポリイミド樹脂などの樹脂材料を用いた場合、ダイシングブレード40の目詰まりによりダイシング不良が発生し易くなる。したがって、絶縁層9を構成する材料としては、ポリイミド樹脂よりも硬い(硬度が高い)材料が好ましく、ダイシングブレード40の結合材43よりも硬い(硬度が高い)材料が特に好ましい。本実施の形態では、例えば、ニッケル(Ni)を結合材43の主たる成分として、ダイヤモンド砥粒をめっき法により結合させたメタルボンドブレードを使用している。砥粒42を固着させるダイシングブレードには、メタルボンドブレードの他、レジンを結合材として用いるレジンブレードがあるが、メタルボンドブレードはレジンブレードと比較して、耐久性が高いという利点がある。
本実施の形態では、絶縁層9として、前記したようにシリコン酸化膜(SiO2膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)など、ダイシングブレード40の結合材43よりも硬い(硬度が高い)無機絶縁材料を用いている。したがって、ダイシングブレード40の目詰まりの発生を防止することができる。また、結合材43を摩耗させることにより、新たな砥粒42を露出させることができるので、切削性能の低下を防止して、ダイシング不良の発生を防止することができる。
また、本実施の形態において、スクライブ領域1bに配置させる各部材のうち、導体材料からなる部材(具体的には金属パターン10、テストパターン12、ヒューズターゲット13)は、前記したようにアルミニウムからなり、ダイシングブレード40の結合材43よりも硬度が低い、あるいは同程度である。しかし、これらの部材は、図3に示す配線4cやパッド7と一括して形成することにより、製造効率を向上させることができるので、電気的特性も踏まえて材料を選択する必要がある。
そこで、本実施の形態では、ダイシングブレード40により切削加工する金属パターン10、テストパターン12、およびヒューズターゲット13の量を低減することにより、ダイシング不良の発生を抑制している。まず、本実施の形態では、ストッパ11を設けることで、テストパターン12の配置数を、半導体ウエハ20の電気的試験による評価の観点から必要な最低限に留めている。また、ストッパ11に形成された金属パターン10を長方形の平面形状を成すように形成し、各金属パターン10を、スクライブラインの延在方向と交差する方向に延在するように配置している。つまり、金属パターン10の短辺をスクライブラインの延在方向に沿って配置している。これにより、ダイシングブレード40により切削加工する導体材料の量を低減することができるので、ダイシングブレード40の目詰まりによるダイシング不良の発生を抑制している。
なお、結合材43(図23参照)よりも柔らかい材料からなる部材を切削加工する場合であっても、結合材43よりも硬い材料からなる部材とともに切削加工することにより、目詰まりの発生を抑制することができる。硬い材料から部材を切削する際に、図23に示す結合材43が摩耗するので古い砥粒42を脱落させて、新たな砥粒42を露出させることができるからである。本実施の形態では、ダイシングブレード40を金属パターン10の短辺に沿って走らせることとなるので、金属パターン10を切削する際には、周囲の絶縁層9とともに切削加工することとなる。したがって、目詰まりの発生を抑制することができる。また、本実施の形態では、ダイシングブレード40によって、半導体ウエハ20を切断するため、ダイシングブレード40は、少なくとも半導体ウエハ20の裏面2bとダイシングテープ41の接着界面まで切削加工することとなる。このダイシングテープ41の基材は、例えばポリイミド樹脂などからなるため、ダイシングテープ41のみを切削加工する場合、目詰まりが発生する場合がある。しかし、本実施の形態のように、ダイシングテープ41が貼り付けられた裏面2bの反対側の面(主面2a)側から切削加工を行うことにより、ダイシングブレード40は、ダイシングテープ41の一部とともに、硬い半導体基板2を切削することとなる。したがって、例えば絶縁層9にポリイミド樹脂を用いた場合とは異なり、ダイシングブレード40の目詰まりの発生を抑制することができる。
また、本実施の形態のように平面寸法が小さい半導体チップ1(図1参照)の製造工程においては、1枚の半導体ウエハ20が有するスクライブラインの数が増加するので、本工程でのダイシングブレード40による切削加工回数が増大する。このため、ダイシングブレード40が損傷し易くなる。ダイシングブレード40が損傷頻度が増加すると、都度、新しいダイシングブレード40に交換する作業が必要となるので、製造効率が低下する原因となる。また、切削加工中に損傷した場合、ダイシング不良の原因となる。
また、製造効率向上の観点からは、スクライブ領域1bの幅(スクライブラインの幅)を狭くする程、1枚の半導体ウエハ20から取得可能な半導体チップ1(図1参照)の数が増加するが、スクライブ領域1bの幅を狭くすると、ダイシングブレード40の幅も狭くする必要がある。例えば、本実施の形態では、スクライブ領域1bの幅は60μmとしている。そしてダイシングブレード40の幅を狭くすると、ダイシングブレード40が損傷し易くなる。
このように、小型の半導体チップである本実施の形態の半導体装置の製造工程においては、ダイシングブレード40の損傷を防止ないしは抑制する技術が必要となる。ダイシングブレード40の損傷を防止ないしは抑制するためには、本工程におけるダイシングブレード40への負荷を低減することが好ましい。スクライブ領域1bを構成する各部材の量を低減することで、ダイシングブレード40の負荷を低減することができる。本実施の形態では、図7に示すようにストッパ11やテストパターン12、ヒューズターゲット13を形成していない場所には、溝部1cを形成することにより、絶縁層9および絶縁層3の一部を取り除いているので、スクライブ領域1bを構成する各部材の量を低減し、ダイシングブレード40の負荷を低減することができる。また、本実施の形態では、前記した裏面研削工程を施した後でダイシングするので、ダイシングブレード40の負荷を低減することができる。
本工程で、半導体ウエハ20の各スクライブラインに沿ってダイシングブレード40を走らせて切断し、各デバイス領域1aを個片化すると、図1〜図4に示す半導体チップ1が複数個取得できる。
以上説明した製造方法で得られる図1〜図4に示す半導体チップ1では、図4に示すように、金属パターン10(図9参照)の切断残部である金属パターン10aはガードリング8と離間して形成されている。
また、金属パターン10aから溝部9dの端部までの距離は、溝部9dからガードリング8の端部(詳しくは最上層に形成されるガードリング8の端部)までの距離よりも短い。
また、本実施の形態では図7に示すようにストッパ11をスクライブラインの交差部毎に配置するので、金属パターン10の切断残部である図4に示す金属パターン10aは半導体チップ1の4つの角部にそれぞれ複数個形成されている。
また、図12に示すテストパターン12やヒューズターゲット13が形成されたスクライブ領域1bを切断すると、図24に示すような平面形状となる。詳しく説明すると、テストパターン12(図12参照)の切断残部である金属パターン12aは、図4に示す金属パターン10aが形成された領域とは別の領域に形成される。金属パターン12aが形成された領域には、デバイス領域1aと同様に複数の絶縁層3が積層され、最上層の配線層である配線層5c(図3参照)には、金属パターン12aが形成され、金属パターン12aの一部を絶縁層9が覆っている。しかし、絶縁層9には開口部が形成され、金属パターン12aの上面の一部は絶縁層9から露出している。また、金属パターン12aの側面(切断面)12bはダイシング工程において切断されるので、側面12b全体が絶縁層9から露出している。また、テストパターン12(図12参照)は、前記したようにテスト用の電極として用いるために、平面積が広いので、この切断残部である金属パターン12aの側面12bの幅W2は図4に示す金属パターン10aの側面10bの幅W1よりも広い。換言すれば、金属パターン10aの幅(半導体チップ1の辺に沿った方向の長さ)W1は、金属パターン12aの幅(半導体チップ1の辺に沿った方向の長さ)W2よりも狭い。このように、金属パターン10aと金属パターン12aは区別される。
また、ヒューズターゲット13(図12参照)の切断残部である金属パターン13aは、図4に示す金属パターン10aが形成された領域とは別の領域に形成される。金属パターン13aが形成された領域には、デバイス領域1aと同様に複数の絶縁層3が積層され、最上層の配線層である配線層5c(図3参照)には、金属パターン13aが形成され、金属パターン13aの一部を絶縁層9が覆っている。しかし、絶縁層9には開口部が形成され、金属パターン13aの上面の一部は絶縁層9から露出している。また、金属パターン13aの側面(切断面)13bはダイシング工程において切断されるので、側面13b全体が絶縁層9から露出している。また、ヒューズターゲット13(図12参照)は、認識精度を向上させるために露出面積を拡大させる観点から、ヒューズターゲット13の周囲には、絶縁層9および絶縁層3の一部を取り除いた開口部が形成されている。このため、ヒューズターゲット13の切断残部である金属パターン13aの周囲は、絶縁層9および絶縁層3の一部が取り除かれている。このように、金属パターン10aと金属パターン13aは区別される。
なお、取得した半導体チップ1をリードフレームや配線基板などに実装し、半導体パッケージを組み立てる場合もあるが、本実施の形態ではこの組み立て工程の詳細な説明は省略する。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、半導体ウエハ20の主面2a上におけるストッパ11の配置レイアウトに関し、複数のスクライブラインの交差部毎にストッパ11を配置する実施態様について説明した。本実施の形態では、ストッパ11のレイアウトの変形例について説明する。図25は、図7に示す半導体ウエハの変形例である半導体ウエハの一部を示す拡大平面図である。なお、本実施の形態2の半導体ウエハ50は、ストッパ11のレイアウトを除き、前記実施の形態1と同様である。したがって、前記実施の形態1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。また、必要に応じて前記実施の形態1で説明した図1〜図23を援用して説明する。
図25に示す本実施の形態2の半導体ウエハ50と図7に示す前記実施の形態1の半導体ウエハ20との相違点は、ストッパ11のレイアウトである。詳しく説明すると、半導体ウエハ50では、図7に示す半導体ウエハ20と同様に、行方向に延在する複数のスクライブライン(スクライブ領域1b)と列方向に延在する複数のスクライブライン(スクライブ領域1b)が交差する複数の交差部を有している。この複数の交差部のうち、半導体ウエハ50の主面2a側の平面に対して最外周に位置する交差部、および最外周よりも内側に位置する第2列目の交差部にストッパ11が形成されている。また、第2列目よりも内側に位置する交差部には、ストッパ11が形成されていない。
前記実施の形態1で説明したように、本願発明者の検討によれば、スクライブ領域1bの交差部のうち、少なくとも最外周にストッパ11を設けることにより、ストッパ11よりも内側の領域の汚染を大幅に抑制することができることが判った。また、最外周および最外周よりも内側に位置する第2列目の交差部にストッパ11を設けることにより、第2列目の交差部に配置したストッパ11よりも内側の領域の汚染を防止できることが判った。
このため、図25に示す半導体ウエハ50のように、各スクライブラインの交差部のうち、最外周の交差部にストッパ11aを、最外周よりも内側に位置する第2列目の交差部にストッパ11bを配置すれば、第2列目よりも内側の領域は、ストッパ11の配置を省略することができる。換言すれば、本実施の形態2では、半導体ウエハ50の外周に配置される無効チップ領域の角部にストッパ11を配置して、無効チップ領域よりも内側の有効チップ領域にはストッパ11を配置していない。
この場合、図7に示すストッパ11のレイアウトと比較して、スクライブ領域1bに形成されるストッパ11の量を大幅に削減することができるので、前記実施の形態1で説明したダイシング工程におけるダイシングブレード40(図22参照)の負荷を低減することができる。
さらに、本実施の形態2では、有効チップ領域にストッパ11を形成しないので、第2列目の交差部よりも内側に位置する交差部では、絶縁層9および絶縁層3の一部を取り除き、溝部1cとしている。このため、図7に示す半導体ウエハ20と比較して、前記実施の形態1で説明したダイシング工程におけるダイシングブレード40(図22参照)の負荷を大幅に低減することができる。
したがって、本実施の形態2によれば、ダイシングブレード40(図22参照)の損傷によるダイシング不良の発生を前記実施の形態1よりも、さらに効果的に防止することができる。
ただし、図25に示す半導体ウエハ50の場合、前記実施の形態1で説明した保護シート30(図18参照)を貼り付ける工程において、ストッパ11(ストッパ11a、ストッパ11bのいずれか一方、または両方)と保護シート30の間の一部に隙間が生じた場合、有効チップ領域内に汚染が広がる場合がある。したがって、より確実に有効チップ領域の汚染を防止する観点からは、前記実施の形態1で説明したように、有効チップ領域の角部にもストッパ11を配置することが好ましい。
また、図25に示す変形例の場合、金属パターン10(図9参照)をパターニングする際、あるいは、絶縁層9などに溝部や開口部を形成する際に、無効チップ領域と有効チップ領域で、異なるパターンを形成する必要が生じる。したがって、有効チップ領域と無効チップ領域を同様のパターニングとして、効率的に金属パターン10、や溝部1cなどを形成する観点からは、前記実施の形態1で説明したように、無効チップ領域と有効チップ領域とで区別することなく規則的にパターニングすることが好ましい。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、半導体ウエハ20の主面2a上におけるストッパ11の構造に関し、複数(4つ)の金属パターン10を配線層5cに形成する例について説明した。本実施の形態では、ストッパ11に形成する金属パターンの変形例について説明する。図26は、図9に示す半導体ウエハの第1の変形例である半導体ウエハの一部を示す拡大平面図である。また、図27は、図9に示す半導体ウエハの第2の変形例である半導体ウエハの一部を示す拡大平面図である。また、図28は、図9に示す半導体ウエハの第3の変形例である半導体ウエハの一部を示す拡大平面図である。また、図29は、図9に示す半導体ウエハの第4の変形例である半導体ウエハの一部を示す拡大平面図である。なお、図26〜図29に示す本実施の形態3の半導体ウエハ51、52、53、54は、ストッパ51a、52a、53a、54aに形成する金属パターン51b、52b、53b、54bの平面形状を除き、前記実施の形態1と同様である。したがって、前記実施の形態1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。また、必要に応じて前記実施の形態1で説明した図1〜図23、あるいは前記実施の形態2で説明した図25を援用して説明する。また、図26〜図29は平面図であるが、主面2a側に積層される各絶縁層や金属パターンなどの平面形状を判りやすくするため、ハッチングを付し、絶縁層9の下層に配置されるガードリング8や金属パターン51b、52b、53b、54bの輪郭を点線で示している。
図26〜図29に示す本実施の形態3の半導体ウエハ51、52、53、54と前記実施の形態1で説明した半導体ウエハ20の相違点は、ストッパ51a、52a、53a、54aに形成された金属パターン51b、52b、53b、54bの平面形状である。また、この平面形状の相違に起因して、金属パターン51b、52b、53b、54bを覆う絶縁層9の盛り上がり部分の形状が異なるが、その他の点は前記実施の形態1と同様である。例えば、金属パターン51b、52b、53b、54bは、いずれも、最上層の配線層、つまり、図10に示す配線層5cに形成されており、この点で図9に示す金属パターン10と同様である。また、各ストッパ51a、52a、53a、54aのレイアウトについては、前記実施の形態1あるいは前記実施の形態2で説明した実施態様を適用することができるので重複する説明は省略する。以下、金属パターン51b、52b、53b、54bの平面形状についてそれぞれ説明する。
まず、図26に示す第1の変形例である半導体ウエハ51が有するストッパ51aには、行列状に配置され、かつ、それぞれが四角形の外形形状(図8参照)を成すデバイス領域1aの対角線に沿って、2本の金属パターン51bが交差するように配置されている。また、金属パターン51bは上面(表面)全体が絶縁層9に覆われている。
この半導体ウエハ51を用いて、前記実施の形態1で説明した裏面研削工程を行う場合、金属パターン51bを覆う絶縁層9と保護シート30(図21参照)を密着させることができるので、図32あるいは図33に示す比較例の半導体ウエハ70、71と比較すると、保護シート30とストッパ51aの間に形成される空間を小さくすることができる。
ただし、金属パターン51bは、スクライブライン(スクライブ領域1b)の交差部内に配置されているので、前記実施の形態1で説明した金属パターン10と比較すると、ガードリング8からの距離が遠い。したがって、図21に示す空間36の断面積を小さくして、前記実施の形態1で説明したシール効果を確実に得る観点からは、前記実施の形態1で説明した金属パターン10の方が好ましい。
なお、例えばアルミニウムからなる金属パターンの配置量を低減することにより、前記実施の形態1で説明したダイシング工程において、ダイシング不良の発生を防止する観点からは、前記実施の形態1で説明した金属パターン10と同程度の効果を得ることができる。
次に、図27に示す第2の変形例である半導体ウエハ52が有するストッパ52aには、スクライブラインの交差部内に、四角形の枠状の平面形状を成す金属パターン52bが交差部の輪郭に沿って配置されている。また、金属パターン52bは上面(表面)全体が絶縁層9に覆われている。
この半導体ウエハ52を用いて、前記実施の形態1で説明した裏面研削工程を行う場合、金属パターン52bを覆う絶縁層9と保護シート30(図21参照)を密着させることができるので、図32あるいは図33に示す比較例の半導体ウエハ70、71と比較すると、保護シート30とストッパ52aの間に形成される空間を小さくすることができる。
ただし、金属パターン52bは、スクライブライン(スクライブ領域1b)の交差部内に配置されているので、前記実施の形態1で説明した金属パターン10と比較すると、ガードリング8からの距離が遠い。したがって、図21に示す空間36の断面積を小さくして、前記実施の形態1で説明したシール効果を確実に得る観点からは、前記実施の形態1で説明した金属パターン10の方が好ましい。
なお、金属パターンの配置量を低減することにより、ダイシング工程においてダイシング不良の発生を防止する観点からは、前記実施の形態1で説明した金属パターン10と同程度の効果、あるいは前記実施の形態1で説明した金属パターン10の方がより好ましい効果を得ることができる。金属パターン52bは、スクライブラインの延在方向に沿って延在する辺の長さが、前記実施の形態1で説明した金属パターン10よりも長い。したがって、ダイシング工程において、ダイシングブレード40(図22参照)が、このスクライブラインの延在方向に沿って延在する辺を切削しない場合には、前記実施の形態1と同等の効果を得ることができる。一方、このスクライブラインの延在方向に沿って延在する辺をダイシングブレード40(図22参照)で切削する場合には、前記実施の形態1で説明した態様の方がダイシングブレード40の目詰まりを抑制する効果が高い。
次に、図28に示す第3の変形例である半導体ウエハ53が有するストッパ53aには、スクライブラインの交差部内に、四角形の平面形状を成す金属パターン53bが交差部の輪郭に沿って配置されている。また、金属パターン53bは上面(表面)全体が絶縁層9に覆われている。
この半導体ウエハ53を用いて、前記実施の形態1で説明した裏面研削工程を行う場合、金属パターン53bを覆う絶縁層9と保護シート30(図21参照)を密着させることができるので、図32あるいは図33に示す比較例の半導体ウエハ70、71と比較すると、保護シート30とストッパ53aの間に形成される空間を小さくすることができる。
また、ストッパ53aの場合、金属パターン53bを覆う絶縁層9と、保護シート30の密着面積は、前記実施の形態1で説明したストッパ11の場合と比較して増加するので、前記実施の形態1で説明したシール効果を維持する観点から、より好ましい。
ただし、金属パターン53bは、スクライブライン(スクライブ領域1b)の交差部内に配置されているので、前記実施の形態1で説明した金属パターン10と比較すると、ガードリング8からの距離が遠い。したがって、図21に示す空間36の断面積を小さくして、前記実施の形態1で説明したシール効果を確実に得る観点からは、前記実施の形態1で説明した金属パターン10の方が好ましい。
また、金属パターンの配置量を低減することにより、ダイシング工程においてダイシング不良の発生を防止する観点からは、金属パターン53bは前記実施の形態1で説明した金属パターン10よりも面積が切削する金属の平面積が大きいので、前記実施の形態1で説明した態様の方が好ましい。
なお、図28で示す金属パターン53bは図27で示す金属パターン52bと比較して平面積が広いので、少なくとも金属パターン53bの外周が、全て絶縁層9に覆われていれば、図27で示すストッパ52aと同等のシール効果を得ることができる。例えば、金属パターン53bの中央領域は絶縁層9に覆われていなくても良い。ただし、保護シート30(図21参照)との密着面積を増大させて、シール効果を維持しやすくする観点からは、金属パターン53bの全体を絶縁層9で覆うことが好ましい。
また、図26〜図28に示すストッパ51a、52a、53aでは、金属パターン51b、52b、53bがいずれも交差部内に配置している。したがって、金属パターン51b、52b、53bを配置するスペースを確保する観点からは、前記実施の形態で説明したストッパ11(図9参照)のように、スクライブラインの交差部から各スクライブラインの延在方向に向かって、それぞれ突出した突出部11dを形成しなくとも良い。しかし、ストッパ51a、52a、53aは、いずれも突出部11dを形成している。このように、交差部内に金属パターン51b、52b、53bを配置するストッパ51a、52a、53aにおいても、突出部11dを形成することにより、シール効果が得られ易くなる。前記実施の形態1で説明したように、金属パターン51b、52b、53bとガードリング8の間に形成された狭い空間よりも内側に配置される溝部1c(図9参照)が形成された空間まで通じる経路距離を長くすることができるからである。
次に、図29に示す第4の変形例である半導体ウエハ54が有するストッパ54aには、スクライブラインの輪郭に沿った枠状の平面形状を成す金属パターン54bが配置されている。金属パターン54bは図27に示す金属パターン52bと同様に枠形の形状であるが、外形形状は四角形ではなく、スクライブラインの交差部から各スクライブラインの延在方向に向かって、それぞれ突出した形状となっている。つまり、図27に示す金属パターン52bを各スクライブラインの延在方向に向かって突出させた形状である。換言すれば、図9に示す複数の金属パターン10を、スクライブ領域1bの輪郭に沿って連結し、一体化した形状となっている。また、金属パターン54bは上面(表面)全体が絶縁層9に覆われている。
この半導体ウエハ54を用いて、前記実施の形態1で説明した裏面研削工程を行う場合、金属パターン54bを覆う絶縁層9と保護シート30(図21参照)を密着させることができるので、図32あるいは図33に示す比較例の半導体ウエハ70、71と比較すると、保護シート30とストッパ54aの間に形成される空間を小さくすることができる。
また、ストッパ54aの場合、金属パターン54bを覆う絶縁層9と、保護シート30の密着面積は、前記実施の形態1で説明したストッパ11の場合と比較して増加するので、前記実施の形態1で説明したシール効果を維持する観点から、より好ましい。
さらに、ストッパ54aの場合、金属パターン54bが交差部よりも外側の突出部11dに配置されているので、ガードリング8から金属パターン54bまでの距離は前記実施の形態1で説明したストッパ11と同程度である。したがって、図21に示す空間36と同程度の断面積を有する空間が形成される。また、各突出部11dに形成された金属パターン54bが切れ目なく一体に形成されているため、空間36(図21参照)よりも半導体ウエハ54の内側に形成され、空間36に隣接する(通じる)空間の体積を小さくすることができる。このため、前記実施の形態1で説明したストッパ11よりも、シール効果が得られ易い。
ただし、金属パターンの配置量を低減することにより、ダイシング工程においてダイシング不良の発生を防止する観点からは、図27で説明したストッパ52aと同程度の効果となる。前記実施の形態1で説明した金属パターン10よりもスクライブラインの延在方向に沿って延在する辺の長さが長くなるからである。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態1、2、3では、半導体チップ1が有する配線層の積層構造として、図3に示すように絶縁層3を成膜し、絶縁層3を貫通するビア6を埋め込んだ後、絶縁層3上に配線4を形成して、このサイクルを順次繰り返すことにより積層する態様について説明した。しかし、配線層の積層構造はこれに限定されない。例えば、図3に示す半導体チップの変形例である半導体チップの拡大断面図である図30に示すように、各配線層5a、5bの配線4a、4bを絶縁層3a、3b内に埋め込んだ埋め込み配線構造に適用することもできる。図30に示すように、絶縁層3に配線4を埋め込んで形成する技術は、デュアルダマシンプロセスと呼ばれる。図30に示す半導体チップ60では、絶縁層3内に埋め込まれる配線4a、4bおよびビア6は、銅(Cu)からなり、最上層の配線層5cに配置される配線4cは、例えばアルミニウムからなる。そして、最上層の配線4cは、絶縁層3cには埋め込まれず、絶縁層3c上に形成されている。このように最上層の配線4cが絶縁層3c上に形成されているので、絶縁層3c上は平坦では無く、前記実施の形態1で説明した半導体チップ1と同様に凹凸が形成されている。したがって、配線4cを覆うように形成される絶縁層9は、配線4cなどの配置に倣って凹凸を有するので、前記実施の形態1、2、3で説明した技術を適用することができる。
また、例えば、前記実施の形態1では、ダイシング工程として、ダイシングブレード40により、半導体ウエハ20の主面2a側から裏面2bまで切断する態様について説明した。しかし、ダイシング方法はこれに限定されない。例えば、第1の幅を有する第1のダイシングブレードで、半導体ウエハ20の主面2a側から半導体ウエハ20の途中まで切削した後、第1の幅よりも狭い第2の幅を有する第2のダイシングブレードで裏面2bまで切削して切断する、ステップダイシング方法を適用することもできる。このステップダイシング方法では、ダイシング工程において、半導体ウエハ20に印加される応力を低減することができるので、半導体チップの損傷を抑制出来る点で有利である。また、このステップダイシング法でダイシングすることにより得られた半導体チップは、主面側の外周に沿って段差部またはテーパ部が形成された形状となる。
また、例えば、前記実施の形態2では、半導体ウエハの主面上におけるストッパ11の配置に係る変形例ついて例示的に説明した。しかし、ストッパの配置の変形例はこれに限定されない。例えば、本願発明者の検討によれば、少なくとも最外周の交差部にストッパ11を配置すれば、研削液35(図20参照)の侵入を大幅に削減することができる。したがって、少なくとも最外周の交差部にストッパ11が配置されていれば、前記実施の形態1で説明した図31、図32、図33に示す比較例の半導体ウエハと比較すると、有効チップ領域の汚染を抑制することができる。
また、例えば、前記実施の形態3では、ストッパに形成する金属パターンの平面形状に係る変形例ついて例示的に説明した。しかし、金属パターンの平面形状は、前記実施の形態1で説明した実施態様や、前記実施の形態3で説明した実施態様を組み合わせて適用しても良い。