JP5770116B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、フライホイールに取付けられる冷却ファンを備えた内燃機関に関する。
従来、発電機を備えたフライホイールをクランク軸の軸端に備えた内燃機関において、フライホイールの外表面に、クランク軸の回転位置を確認するためのマークを設けるとともに、フライホイールの外表面に取付けられた冷却ファンの一部を切り欠いて、上記マークをこの切り欠きを介して車両の外部から確認できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、上記マークの位置合わせの基準となる基準突起がクランクケース側に設けられており、フライホイールのマークと基準突起とが所定の位置関係になっているかどうかを、外部から確認できるようになっている。
特願2003−76173号公報
しかしながら、上記従来の内燃機関では、フライホイールのマークを視認できるようにすべく冷却ファンに切り欠きを形成するため、冷却ファンの回転時に切り欠きの周囲に応力が集中し易くなるという課題がある。また、上記切り欠きへの応力集中を低減すべく、切り欠きを小さく形成する場合は、それに応じてマークも小さくする必要があり、外部からのマークの確認が難しくなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、内燃機関において、クランク軸の回転位置を確認するためのマークを確認し易くできるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、クランク軸(50)の軸端部に同軸に取付けられて前記クランク軸(50)の回転に連動するフライホイール(101)及び、当該フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)に取付けられるとともに、外部からの空気を吸引して内燃機関(41)を冷却する冷却ファン(80)を備えた回転体(100)と、前記クランク軸(50)の所定の回転位置に対応して前記回転体(100)に設けられるマーク(86,186,286,386)とを備えた内燃機関において、前記冷却ファン(80)は、前記フライホイール(101)の回転方向に対して所定の角度位置に位置決めされ、前記マーク(86,186,286,386)は前記冷却ファン(80)に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、フライホイールの軸方向外側の外表面に取付けられる冷却ファンは、フライホイールの回転方向に対して所定の角度位置に位置決めされ、クランク軸の所定の回転位置に対応して設けられるマークは冷却ファンに設けられるため、冷却ファンに切り欠き等を設けることなく、マークを外部から容易に確認できる。切り欠きを冷却ファンに設けないため、切り欠きへの応力の集中を防止できるとともに、マークを設けるためのスペースを確保し易くなり、より大きく視認し易いマークを設けることができ、マークを容易に確認することができる。
また、上記構成において、前記マーク(86,186,286,386)は、前記冷却ファン(80)の径方向外側寄りに設けられる構成としても良い。
この場合、マークは、冷却ファンの径方向外側寄りに設けられるため、冷却ファンの径方向外側寄りに位置するクランクケース等に設けられる基準位置に対してマークが近くなり、位置合わせを容易に行うことができる。
また、前記マークは、前記マーク(86,186,286,386)は、前記冷却ファン(80)の軸方向外側寄りに設けられても良い。
この場合、マークは、冷却ファンの軸方向外側寄りに設けられるため、外側からマークを容易に確認できる。
さらに、前記冷却ファン(80)は、前記フライホイール(101)に取付けられるベース部(81)と、当該ベース部(81)から軸方向外側に向けて立設される複数の羽部(82)と、当該羽部(82)間を連結する板状の連結部(83)とを備え、前記マーク(86,186,286,386)は、前記連結部(83)に設けられる構成としても良い。
この場合、マークは羽部間を連結する板状の連結部に設けられるため、マークを設けるためのスペースを確保し易く、より一層マークを大きな表示にできる。また、連結部によって冷却ファンが補強されるため、冷却ファンの径を拡大してマークをクランクケース等に設けられる基準位置に対して近づけることができる。
また、前記連結部(83)は、前記羽部(82)における軸方向外端部(82B)に設けられる構成としても良い。
この場合、連結部は羽部における軸方向外端部に設けられ、羽部によって隠れ難い位置にマークが位置するため、マークを容易に確認することができる。
また、前記クランク軸(50)を軸支するクランクケース(51)に、前記マーク(86,186,286,386)の位置合わせの基準となる基準突起(51A)が設けられ、前記連結部(83)は、径方向外側に向かうに連れて前記基準突起(51A)に近づくように傾斜する構成としても良い。
この場合、連結部は、径方向外側に向かうに連れてクランクケースの基準突起に近づくように傾斜するため、マークと基準突起とを近づけることができ、位置合わせを容易に行うことができる。
また、前記フライホイール(101)は、前記クランク軸(50)に固定されるボス部(102)と、当該ボス部(102)に形成されるフランジ部(103)と、当該フランジ部(103)の軸方向内側に取り付けられる碗状カップ部(104)とを有し、前記ボス部(102)の径は前記碗状カップ部(104)よりも小さく、且つ、前記冷却ファン(80)の径は前記碗状カップ部(104)の径よりも大きく形成され、前記マーク(86,186,286,386)は前記碗状カップ部(104)よりも径方向外側の位置に設けられる構成としても良い。
この場合、フライホイールのボス部の径は碗状カップ部よりも小さく、且つ、冷却ファンの径は碗状カップ部の径よりも大きく形成され、マークは碗状カップ部よりも径方向外側の位置に設けられるため、フライホイール側をコンパクトに構成して軽量化を図りながら、冷却ファンのみを大径にして、冷却ファンのマークの視認性を向上できる。
さらに、前記冷却ファン(80)には位置決め突起(84)が設けられるとともに、前記フライホイール(101)には、当該フライホイール(101)の着脱用の工具孔(110)が複数形成され、複数の前記工具孔(110)のうちの特定の工具孔(110A)と前記位置決め突起(84)とが係合することで、前記冷却ファン(80)が前記フライホイール(101)に位置決めされる構成としても良い。
この場合、フライホイールの着脱用の工具孔と冷却ファンの位置決め突起とが係合することで、冷却ファンがフライホイールに位置決めされるため、工具孔と位置決め突起用の孔とを共用でき、簡単な構成で冷却ファンを位置決めできる。
また、前記位置決め突起(84)は、前記フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)と対向する位置に形成され、前記フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)には、前記冷却ファン(80)の取付け状態で前記マーク(86,186,286,386)と同位相の位置に位置する第2のマーク(111)が設けられる構成としても良い。
この場合、位置決め突起は、フライホイールの軸方向外側の外表面と対向する位置に形成され、位置決め突起が冷却ファンの外形形状に大きく影響を与えないため、冷却ファンの機能を十分に確保できる。また、冷却ファンをフライホイールに取付ける際に、冷却ファンのマークとフライホイールの第2のマークとの位相を合わせることで、冷却ファンの位置決め突起をフライホイールに容易に係合させることができ、位置決め突起が冷却ファンの裏面に設けられる構成であっても、容易に組み付けできる。
また、前記マーク(86,186,286,386)は、前記連結部(83)の軸方向の外側外表面(83A)に、凹状または凸状に形成される構成としても良い。
この場合、マークは、連結部の軸方向の外側外表面に、凹状または凸状に形成されるため、冷却ファンの外形形状に影響を与えることなく、大きなマークを容易に設けることができる。
また、前記マーク(386)は、前記冷却ファン(80)の軸方向に沿って、前記冷却ファン(80)の径方向外側に突出して設けられる構成としても良い。
この場合、マークは、冷却ファンの軸方向に沿って、冷却ファンの径方向外側に突出して設けられるため、径方向外側寄りに位置するクランクケース等にマークを近づけることができる。
本発明に係る内燃機関では、クランク軸の所定の回転位置に対応して設けられるマークは冷却ファンに設けられるため、冷却ファンに切り欠き等を設けることなく、マークを外部から容易に確認できる。
また、マークは、冷却ファンの径方向外側寄りに設けられて、クランクケース等に設けられる基準位置に対して近くなるため、位置合わせを容易に行うことができる。
また、マークは、冷却ファンの軸方向外側寄りに設けられるため、外側からマークを容易に確認できる。
さらに、マークは、スペースを確保し易い羽部間の連結部に設けられるため、より一層マークを大きな表示にできる。また、連結部によって冷却ファンを補強することで、冷却ファンの径を拡大でき、マークをクランクケース等の基準位置に近づけることができる。
また、連結部は羽部における軸方向外端部に設けられ、羽部によって隠れ難い位置にマークが位置するため、マークを容易に確認することができる。
また、連結部は、クランクケースの基準突起に近づくように傾斜するため、マークと基準突起とを近づけることができ、位置合わせを容易に行うことができる。
また、マークは碗状カップ部よりも径方向外側の位置に設けられるため、フライホイール側をコンパクトに構成して軽量化を図りながら、冷却ファンのみを大径にして、冷却ファンのマークの視認性を向上できる。
また、フライホイールの着脱用の工具孔と位置決め突起用の孔とを共用でき、簡単な構成で冷却ファンを位置決めできる。
さらに、位置決め突起が冷却ファンの外形形状に大きく影響を与えないため、冷却ファンの機能を十分に確保できる。また、冷却ファンをフライホイールに取付ける際に、冷却ファンのマークとフライホイールの第2のマークとの位相を合わせることで、冷却ファンを容易に組み付けできる。
また、マークは、凹状または凸状に形成されるため、冷却ファンの外形形状に影響を与えることなく、大きなマークを容易に設けることができる。
また、マークは、冷却ファンの径方向外側に突出して設けられるため、径方向外側寄りに位置するクランクケース等にマークを近づけることができる。
本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの断面図である。 パワーユニットの右側面図である。 図3のIV−IV断面図である。 フライホイールを冷却ファン側から見た平面図である。 冷却ファンをファンカバー側から見た平面図である。 図6のVII−VII断面図である。 図6のVIII−VIII断面図である。 実施の形態の変形例における連結板の断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる図面において、矢印FRは車両前方を、矢印UPは車両上方を、矢印LHは車両の左方をそれぞれ示しており、以下の説明ではこれらの方向を適宜用いるものとする。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図1に示すように、自動二輪車1は、運転者が足を載せる低床フロア32を有するスクーター型の車両であり、車体フレームFの前方に前輪3を有し、駆動輪である後輪4は、車体フレームFの後部に連結されるパワーユニット10に支持されている。車体フレームFは、樹脂製の車体カバーCによって覆われている。
車体フレームFは、複数の金属部品を溶接等により一体に結合して構成されており、前部に設けられるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後下方に延出するダウンフレーム12と、ダウンフレーム12の下端から後下がりに傾斜して後方へ延びるアンダーフレーム13と、アンダーフレーム13の後部から後上がりに後方へ延びる左右一対のシートフレーム14とを有している。
前輪3を支持する左右一対のフロントフォーク15は、ヘッドパイプ11に回動自在に支持され、操向ハンドル16は、フロントフォーク15の上部に設けられる。
アンダーフレーム13の後部には、パワーユニット10を上下に揺動自在に支持するリンク17の一端が連結され、リンク17の他端にはパワーユニット10の前部が連結されている。パワーユニット10の後部とシートフレーム14の後部との間には、リヤクッションユニット18が掛け渡されている。
物品を収納可能な収納ボックス20は、パワーユニット10の前部の上方でシートフレーム14に支持され、燃料タンク21は、収納ボックス20の後方でシートフレーム14に支持されている。収納ボックス20及び燃料タンク21は、運転者が着座するシート22によって上方を覆われている。シート22は前部のヒンジ(不図示)を中心に回動し、開閉可能である。
車体カバーCは、ヘッドパイプ11及びダウンフレーム12の前方を覆うフロントカバー30と、ヘッドパイプ11及びダウンフレーム12の後方を覆うレッグシールド31と、アンダーフレーム13の上方を覆い、運転者の足が載せられる低床フロア32と、アンダーフレーム13の側方を覆う左右一対のアンダーカバー33と、シート22の下方で収納ボックス20を覆うセンターカバー34と、センターカバー34に連続して後方に延び、パワーユニット10の前部及び燃料タンク21の側方を覆う左右一対のサイドカバー35と、シート22の後方で燃料タンク21を覆う後部カバー36と、操向ハンドル16の中央部を覆うアッパーカバー37とを有している。前輪3はフロントフェンダー38によって上方を覆われている。後輪4は、リヤフェンダー39によって上方を覆われている。
パワーユニット10は、エンジン41(内燃機関)と変速機42とを一体に備えるとともに、後輪4を支持するスイングアームとしても機能する、いわゆるユニットスイング式のエンジンである。
エンジン41はシリンダ軸線Lが略水平に配置された空冷の単気筒エンジンである。変速機42は、エンジン41の後部から車体中心よりも左側を通って後輪4の左側面へ延び、後輪4は、変速機42の後部に片持ちで軸支されている。
燃料タンク21からの燃料をエンジン41に供給するキャブレーター43は、エンジン41と収納ボックス20との間に配置されている。エンジン41の排気管44は、エンジン41の下面から後方に延び、後輪4の右側面側のマフラー45に接続されている。キャブレーター43に接続されるエアクリーナーボックス46は、後輪4の左側において変速機42の上方に配置されている。
図2は、パワーユニット10の断面図である。
図2に示すように、エンジン41は、車幅方向に延びるクランク軸50を支持するクランクケース51と、クランクケース51に結合されるシリンダブロック52と、シリンダブロック52に結合されるシリンダヘッド53と、シリンダヘッド53の動弁室58を閉じるヘッドカバー54と、シリンダブロック52内を摺動するピストン55と、ピストン55とクランク軸50とを連結するコンロッド56とを有している。
クランク軸50の軸方向の一側(右側)には、発電機63が設けられ、他側(左側)には、変速機42が接続されている。
シリンダブロック52及びシリンダヘッド53の外側面には、空冷用のフィン52A,53Aが設けられている。シリンダヘッド53には、点火プラグ57が燃焼室53Bに臨むように設けられている。
動弁室58には、クランク軸50と平行に配置されるカムシャフト59と、排気弁(不図示)及び吸気弁(不図示)とを備えた動弁機構60が設けられている。エンジン41の変速機42側の側面部には、カムチェーン室61が形成されており、カムシャフト59はカムチェーン室61を通るカムチェーン62によってクランク軸50に接続されている。
クランクケース51は、クランク軸50の軸方向の両側から結合されてクランク軸50を挟む左右割りのクランクケースであり、発電機63側の一側ケース64と、変速機42側の他側ケース65とを備えて構成されている。
一側ケース64と他側ケース65との間には、クランク軸50のクランクウェブ74が収納されるクランク室66が形成される。
一側ケース64は、クランク軸50を軸支する支持壁64Aの周縁部から車幅方向外側に突出する壁部68Aを有し、この壁部68A及び支持壁64Aによって発電機室68が形成されている。発電機室68には発電機63が収納され、発電機室68は、板状のファンカバー67によって右側面を覆われる。また、壁部68Aは、発電機室68をフィン52A,53A側に連通させる開口部68Bを前部に有している。
他側ケース65は、後輪4側へ延びる変速機室69を構成するケースであり、変速機室69は、他側ケース65の左側部を覆う変速機カバー70によって閉塞されている。
クランク軸50は、一側ケース64に支持される一側シャフト72と、他側ケース65に支持される他側シャフト73と、一側シャフト72と他側シャフト73とを連結するクランクピン71とを備えている。クランクピン71は、一側シャフト72及び他側シャフト73のクランクウェブ74に圧入されている。
一側シャフト72は、一側ケース64に支持されて発電機室68内に突出しており、一側シャフト72の先端には、クランク軸50と一体に回転する回転体100が固定されている。回転体100は、クランク軸50と同軸に固定される有底円筒状のフライホイール101と、フライホイール101に取り付けられる樹脂製の冷却ファン80とを備えている。フライホイール101の内側には、発電機63のローター63Aが固定されている。一側ケース64においてローター63Aの内側の位置には、発電機63のステーター63Bが固定されている。
冷却ファン80は、フライホイール101と一体に回転することで風を発生させて、この風によってエンジン41を冷却する。すなわち、エンジン41は、クランク軸50の回転に連動して駆動される冷却ファン80によって空冷される強制空冷式のエンジンである。
図2に示すように、変速機42は、ドライブプーリ130と、ドリブンプーリ131と、ドライブプーリ130とドリブンプーリ131との間に巻き掛けられるVベルト132とを備え、各プーリ130,131の可動プーリが軸方向に移動することでプーリ径が変更され、変速比が無段階で変化する無段変速機である。
クランク軸50の他側シャフト73は、他側ケース65に支持されて変速機室69内の前部に突出しており、他側シャフト73にはドライブプーリ130が設けられている。他側ケース65の後部には、他側シャフト73と平行な後部シャフト133が軸支され、ドリブンプーリ131は後部シャフト133上に回転可能に設けられている。後部シャフト133には、ドリブンプーリ131と後部シャフト133との間の動力伝達を切り替える遠心式のクラッチ装置134が設けられており、Vベルト132を介してドリブンプーリ131が所定の回転速度で回転されると、遠心力によってクラッチ装置134が接続され、後部シャフト133が駆動される。
後部シャフト133の駆動力は、他側ケース65の後部の中間歯車135を介して後輪4の車軸4Aに伝達される。
図3は、パワーユニット10の右側面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図3では、発電機室68の部分は、クランク軸50の軸方向に位置が異なる各位置が図示されている。
図3及び図4に示すように、ファンカバー67は、ファンカバー67の周縁部に挿通される複数のボルト67Aによって一側ケース64の壁部68Aの固定部68Cに締結される。ファンカバー67は、冷却ファン80に面する中央部にメッシュ状の通風孔67Bを有しており、通風孔67Bから発電機室68内に外部の空気が吸引される。
ファンカバー67は前方へ開口する開口部67Cを有し、冷却ファン80から吹き出される風は、開口部67Cから前方へ流れる。
エンジン41は、樹脂製のエンジンカバー75によって周囲を囲われている。エンジンカバー75は、シリンダブロック52の後端からシリンダヘッド53の前端にかけてエンジン41の周囲を囲うことで、エンジン41の音を低減するとともに、冷却ファン80の風をフィン52A,53Aへ導く風路を形成している。
発電機室68の近傍では、エンジンカバー75は、ファンカバー67の前縁に接続されてシリンダヘッド53側へ前方に延びており、ファンカバー67の前部の開口部67Cは、エンジンカバー75内に連通している。また、発電機室68の近傍のエンジンカバー75内には、開口部67Cからシリンダブロック52の前端近傍まで延びる仕切り壁75Aが設けられており、仕切り壁75Aによって冷却ファン80の風が冷却風W1,W2に分流されて、シリンダブロック52及びシリンダヘッド53の両方へ冷却風が流れるようになっている。エンジンカバー75は後部に挿通されるボルト75Bによってファンカバー67の前部に結合されている。
図5は、フライホイール101を冷却ファン80側から見た平面図である。
図4及び図5に示すように、フライホイール101は、一側シャフト72のテーパー部に嵌合して固定される円筒状のボス部102と、ボス部102から径方向外側に突出するフランジ部103と、フランジ部103の軸方向の内側面に取り付けられる碗状カップ部104とを有している。
ボス部102は、内周面のキー溝102Aにキー102Bが係合することで回り止めされ、一側シャフト72の先端に螺合されるナット72Aによって一側シャフト72に固定される。
フランジ部103はボス部102の先端に設けられ、このフランジ部103には、碗状カップ部104をボス部102に固定するリベット等の固定具105Aが挿通される固定孔105が複数形成されている。
碗状カップ部104は、円筒状の外筒部106と、外筒部106の軸方向外側の端面を塞ぐ円板状の端板部107とを有して碗状に形成されている。端板部107は、固定具105A用の孔107Aを複数有するとともに、ボス部102に嵌合する嵌合孔107Bを中央部に有している。碗状カップ部104は、端板部107がフランジ部103の内側面に突き当てられた状態で、固定具105Aによってフランジ部103に固定される。
外筒部106の外周面には、突起106Aが形成されており、一側ケース64に設けられたセンサ(不図示)が突起106Aを検出することで、クランク軸50のクランク角や回転数が検出される。
端板部107には、ねじ孔109が複数形成されており、ねじ孔109には、冷却ファン80をフライホイール101に固定するボルト108が螺合する。さらに、端板部107には、複数の工具孔110が周方向に等間隔をあけて形成されている。各工具孔110には、フライホイール101を一側シャフト72に着脱する際に、フライホイール101を支持するための専用の工具(不図示)が挿通される。複数の工具孔110(本実施の形態では3個所)の内、一つの工具孔110A(特定の工具孔)は、同一径に形成された他の工具孔110Bよりも大径に形成されており、この工具孔110Aは、冷却ファン80を位置決めする位置決め孔としても機能する。
碗状カップ部104の軸方向外側の外表面104Aには、冷却ファン80が取り付けられる。外表面104Aの外周側の縁部の所定の位置には、フライホイール側マーク111(第2のマーク)と、フライホイール101の回転方向を示す矢印112が刻印されている。
図6は、冷却ファン80をファンカバー67側から見た平面図である。図7は、図6のVII−VII断面図である。
図4、図6及び図7に示すように、冷却ファン80は、円板状のベース部81と、ベース部81の周縁部に円環状の並びで複数立設される羽部82とを備えた多翼ファンであり、羽部82から径方向外側へ風を吹き出す。羽部82の軸方向の先端には、ベース部81よりも大径のリング状の連結板83(連結部)が設けられており、隣接する各羽部82は、連結板83によって互いに連結されている。このように、連結板83を設けることで、冷却ファン80の強度及び剛性を向上できる。
ベース部81は、フライホイール101の外表面104Aに当接する取付け面81Aと、取付け面と81Aの反対側でファンカバー67側へ略円錐状に突出する円錐部81Bとを有している。ベース部81は、円錐部81Bによって中央部が最も高くなっており、ファンカバー67から吸い込まれた空気は、円錐部81Bの斜面に沿ってベース部81の外周側の各羽部82へ流れる。ベース部81の周縁部には、円筒状のカラー81Cが複数埋め込まれており、各ボルト108はカラー81Cに外側から挿通される。
ベース部81の取付け面81Aには、フライホイール101の工具孔110A(図5)に係合する位置決め突起84が形成されており、冷却ファン80は、位置決め突起84によって、フライホイール101に対して所定の位置関係で位置決めされる。位置決め突起84は、他の工具孔110Bの径よりも大きく形成されており、工具孔110Bに係合不能である。このため、位置決め突起84を工具孔110Bに誤組みしてしまうことを防止できる。
羽部82は、略矩形の板であり、ベース部81から軸方向外側へ向けて立設されている。羽部82は、径方向においてベース部81の周縁部よりも外側に突出した突出部82Aを有している。
羽部82の軸方向外側の外端部82Bは、円錐部81Bの斜面に沿うように傾斜しており、この外端部82Bに設けられる連結板83も、径方向外側に向かって下るように配置されている。連結板83は、突出部82Aの外端部82Bに形成されており、冷却ファン80の最も外周側に位置している。
冷却ファン80の連結板83には、クランク軸50の所定の回転位置に対応した位置に、マーク86が設けられている。詳細には、マーク86は、ピストン55が圧縮上死点に位置するクランク軸50の回転位置に対応したTマーク86Aと、エンジン41の点火時期のクランク軸50の回転位置に対応したFマーク86Bとを有している。
クランクケース51における一側ケース64の壁部68Aの下部の内壁には、マーク86を位置合わせする際の基準となる基準突起51A(図3)が形成されている。すなわち、Tマーク86Aが基準突起51Aの位置に一致した状態では、ピストン55は圧縮上死点に位置し、Fマーク86Bが基準突起51Aの位置に一致した状態では、エンジン41は点火時期である。このように、Tマーク86Aを確認することで、エンジン41が正しく組立てられているか否かを知ることができ、また、点火時期と同期して点灯するタイミングライトを用いてFマーク86Bを確認することで、エンジン41の点火時期に対するクランク軸50の回転位置を確認できる。
図8は、図6のVIII−VIII断面図である。
図8に示すように、Fマーク86Bは、連結板83の外側外表面83Aの径方向外側部に形成された凹部であり、この凹部は、連結板83の最外径部まで形成されている。また、Tマーク86AもFマーク86Bと同様の凹部である。外側外表面83Aは、冷却ファン80における軸方向の外側の表面であり、ファンカバー67を取り外した状態では、車幅方向の外側から視認される。
本実施の形態では、マーク86を、フライホイール101ではなく、フライホイール101に取り付けられる冷却ファン80に設けたため、フライホイール101のマークを視認するための切り欠き等を冷却ファン80に設ける必要が無く、冷却ファン80の強度を確保できるとともに、外側から容易にマーク86を確認することができる。
また、マーク86を冷却ファン80の連結板83に設けるため、マーク86を設けるためのスペースを大きく確保でき、マーク86を大きくしてマーク86の視認性を向上できる。
フライホイール101のフライホイール側マーク111(図5)は、冷却ファン80を位置決め突起84によって位置決めしてフライホイール101に正しく取り付けた状態では、マーク86と同位相の位置に位置する。
冷却ファン80をフライホイール101に取付ける際には、冷却ファン80のマーク86をフライホイール側マーク111に重ねるようにしつつ、位置決め突起84をフライホイール101の工具孔110Aに係合させることで、冷却ファン80をフライホイール101に容易にセットできる。このように、組付けの際に目印となるフライホイール側マーク111を設けることで、位置決め突起84が冷却ファン80の裏面の取付け面81Aにある構成であっても、容易に冷却ファン80を位置決めできる。また、取付け面81Aに位置決め突起84を設けるため、位置決め突起84が冷却ファン80の送風性能に影響することがない。
フライホイール側マーク111は、Tマーク86A及びFマーク86Bに対応した一対の刻印を有している。
図4に示すように、基準突起51Aは、発電機室68の壁部68Aの外端部まで延びており、基準突起51Aの先端は冷却ファン80の羽部82の軸方向の中間部の近傍に位置している。冷却ファン80の連結板83は、基準突起51Aの先端よりも軸方向の外側に位置し、径方向の外側に向かうに連れて基準突起51Aの先端に近づくように傾斜している。これにより、連結板83に形成されたマーク86も基準突起51Aの先端に近づくため、マーク86と基準突起51Aとを容易に位置合わせできる。
また、マーク86は、冷却ファン80の径方向外側寄りに設けられており、冷却ファン80を囲うように設けられる壁部68Aの基準突起51Aにマーク86を近づけることができるため、マーク86の位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、マーク86は、冷却ファン80の軸方向外側寄りに設けられており、発電機室68よりも車幅方向の外側に突出しているため、外側からマーク86を容易に確認できる。
また、冷却ファン80の径は、フライホイール101の径よりも大きく形成されており、マーク86は、冷却ファン80の径方向外側部の連結板83に設けられている。このため、フライホイール101側をコンパクトに構成して軽量化を図りながら、冷却ファン80のみを大径にして、冷却ファン80の送風力を大きく確保できるとともに、マーク86を基準突起51Aに近づけることができ、マーク86を容易に位置合わせできる。
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、フライホイール101の軸方向外側の外表面104Aに取付けられる冷却ファン80は、フライホイール101の回転方向に対して所定の角度位置に位置決めされ、クランク軸50の所定の回転位置に対応して設けられるマーク86は冷却ファン80に設けられるため、冷却ファン80に切り欠き等を設けることなく、マーク86を外部から容易に確認できる。マークを視認するための切り欠きを冷却ファン80に設けないため、切り欠きへの応力の集中を防止できるとともに、マーク86を設けるためのスペースを確保し易くなり、より大きく視認し易いマーク86を設けることができ、マーク86を容易に確認することができる。
また、マーク86は、冷却ファン80の径方向外側寄りに設けられるため、冷却ファン80の径方向外側寄りに位置するクランクケース51の壁部68Aに設けられる基準突起51Aに対してマーク86が近くなり、マーク86の位置合わせを容易に行うことができる。
また、マーク86は、冷却ファン80の軸方向外側寄りに設けられるため、外側からマーク86を容易に確認できる。すなわち、ファンカバー67を外した状態では、マーク86が車幅方向の外側に露出するため、マーク86を容易に確認できる。
さらに、マーク86は羽部82間を連結する板状の連結板83に設けられるため、マーク86を設けるためのスペースを確保し易く、より一層マーク86を大きな表示にできる。また、連結板83によって冷却ファン80が補強されるため、冷却ファン80の径を拡大してマーク86をクランクケース51に設けられる基準突起51Aに対して近づけることができる。
また、連結板83は羽部82における軸方向の外端部82Bに設けられ、羽部82によって隠れ難い位置にマーク86が位置するため、マーク86を容易に確認することができる。
また、連結板83は、径方向外側に向かうに連れてクランクケース51の基準突起51Aに近づくように傾斜するため、マーク86と基準突起51Aとを近づけることができ、位置合わせを容易に行うことができる。
また、フライホイール101のボス部102の径は碗状カップ部104よりも小さく、且つ、冷却ファン80の径は碗状カップ部104の径よりも大きく形成され、マーク86は碗状カップ部104よりも径方向外側の位置に設けられるため、フライホイール101側をコンパクトに構成して軽量化を図りながら、冷却ファン80のみを大径にして、冷却ファン80のマーク86の視認性を向上できる。
さらに、フライホイール101の着脱用の工具孔110Aと冷却ファン80の位置決め突起84とが係合することで、冷却ファン80がフライホイール101に位置決めされるため、工具孔110Aと位置決め突起84用の孔とを共用でき、簡単な構成で冷却ファン80を位置決めできる。
また、位置決め突起84は、フライホイール101の軸方向外側の外表面104Aと対向する位置に形成され、位置決め突起84が冷却ファン80の外形形状に影響を与えないため、冷却ファン80の機能を十分に確保できる。また、冷却ファン80をフライホイール101に取付ける際に、冷却ファン80のマーク86とフライホイール101のフライホイール側マーク111との位相を合わせることで、冷却ファン80の位置決め突起84をフライホイール101に容易に係合させることができ、位置決め突起84が冷却ファン80の裏面に設けられる構成であっても、容易に組み付けできる。
また、マーク86は、連結板83の軸方向の外側外表面83Aに凹状に形成されるため、マーク86が冷却ファン80の外形形状に大きく影響を与えることがない。このため、冷却ファン80の性能を確保しつつ、大きなマーク86を容易に設けることができる。
また、上記実施の形態においては、マーク86は、連結板83の軸方向の外側外表面83Aに、凹状に形成されるものとして説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、マークを他の形状にしても良く、この場合について、変形例として説明する。なお、変形例において、上記実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
[変形例1]
図9は、実施の形態の変形例における連結板83の断面図であり、図9(a)は、変形例1の連結板83の断面図である。
変形例1では、マーク186は、連結板83の外側外表面83Aにおいて、連結板83の幅方向の途中に設けられており、マーク186によって連結板83の板厚が薄くなる部分は、連結板83の最外径部には形成されていない。このため、連結板83の最外径部の強度を確保しつつ、マーク186を設けることができる。
[変形例2]
図9(b)は、変形例2の連結板83の断面図である。
変形例2では、マーク286は、連結板83の外側外表面83Aの径方向外側部に形成された凸部であり、この凸部は、連結板83幅方向の途中から最外径部まで形成されている。このように、マーク286を凸状に形成することで、マーク286が冷却ファン80の外形形状に大きく影響しないため、冷却ファン80の性能を確保しつつ大きなマーク286を容易に設けることができる。
[変形例3]
図9(c)は、変形例3の連結板83の断面図である。
変形例3では、マーク386は、連結板83の外側外表面83Aの径方向外側部に形成された凸部386Aと、凸部386Aの外端部に連続し、冷却ファン80の軸方向に沿って羽部82の径方向端部から径方向外側に突出する径方向凸部386Bとを有している。
このように、マーク386は、冷却ファン80の径方向外側に突出する径方向凸部386Bを有するため、径方向外側寄りに位置するクランクケース51の基準突起51Aにマーク386を近づけることができる。このため、マーク386を容易に位置合わせできる。
41 エンジン(内燃機関)
50 クランク軸
51 クランクケース
51A 基準突起
80 冷却ファン
81 ベース部
82 羽部
82B 外端部(羽部における軸方向外端部)
83 連結板(連結部)
83A 外側外表面
84 位置決め突起
86,186,286,386 マーク
100 回転体
101 フライホイール
102 ボス部
103 フランジ部
104 碗状カップ部
104A 外表面(フライホイールの軸方向外側の外表面)
110 工具孔
110A 工具孔(特定の工具孔)
111 フライホイール側マーク(第2のマーク)

Claims (11)

  1. クランク軸(50)の軸端部に同軸に取付けられて前記クランク軸(50)の回転に連動するフライホイール(101)及び、当該フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)に取付けられるとともに、外部からの空気を吸引して内燃機関(41)を冷却する冷却ファン(80)を備えた回転体(100)と、前記クランク軸(50)の所定の回転位置に対応して前記回転体(100)に設けられるマーク(86,186,286,386)とを備えた内燃機関において、
    前記冷却ファン(80)は、前記フライホイール(101)の回転方向に対して所定の角度位置に位置決めされ、前記マーク(86,186,286,386)は前記冷却ファン(80)に設けられることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記マーク(86,186,286,386)は、前記冷却ファン(80)の径方向外側寄りに設けられることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
  3. 前記マーク(86,186,286,386)は、前記冷却ファン(80)の軸方向外側寄りに設けられることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関。
  4. 前記冷却ファン(80)は、前記フライホイール(101)に取付けられるベース部(81)と、当該ベース部(81)から軸方向外側に向けて立設される複数の羽部(82)と、当該羽部(82)間を連結する板状の連結部(83)とを備え、前記マーク(86,186,286,386)は、前記連結部(83)に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 前記連結部(83)は、前記羽部(82)における軸方向外端部(82B)に設けられることを特徴とする請求項4記載の内燃機関。
  6. 前記クランク軸(50)を軸支するクランクケース(51)に、前記マーク(86,186,286,386)の位置合わせの基準となる基準突起(51A)が設けられ、前記連結部(83)は、径方向外側に向かうに連れて前記基準突起(51A)に近づくように傾斜することを特徴とする請求項4または5記載の内燃機関。
  7. 前記フライホイール(101)は、前記クランク軸(50)に固定されるボス部(102)と、当該ボス部(102)に形成されるフランジ部(103)と、当該フランジ部(103)の軸方向内側に取り付けられる碗状カップ部(104)とを有し、前記ボス部(102)の径は前記碗状カップ部(104)よりも小さく、且つ、前記冷却ファン(80)の径は前記碗状カップ部(104)の径よりも大きく形成され、前記マーク(86,186,286,386)は前記碗状カップ部(104)よりも径方向外側の位置に設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内燃機関。
  8. 前記冷却ファン(80)には位置決め突起(84)が設けられるとともに、前記フライホイール(101)には、当該フライホイール(101)の着脱用の工具孔(110)が複数形成され、複数の前記工具孔(110)のうちの特定の工具孔(110A)と前記位置決め突起(84)とが係合することで、前記冷却ファン(80)が前記フライホイール(101)に位置決めされることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の内燃機関。
  9. 前記位置決め突起(84)は、前記フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)と対向する位置に形成され、前記フライホイール(101)の軸方向外側の外表面(104A)には、前記冷却ファン(80)の取付け状態で前記マーク(86,186,286,386)と同位相の位置に位置する第2のマーク(111)が設けられることを特徴とする請求項8記載の内燃機関。
  10. 前記マーク(86,186,286,386)は、前記連結部(83)の軸方向の外側外表面(83A)に、凹状または凸状に形成されることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の内燃機関。
  11. 前記マーク(386)は、前記冷却ファン(80)の軸方向に沿って、前記冷却ファン(80)の径方向外側に突出して設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の内燃機関。
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