JP5769852B2 - Psf1遺伝子発現抑制剤 - Google Patents
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Description
項1.
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、ウバユリ、タネツケバナ、及びPandanus polycephalusから成る群より選択される1種以上の植物の抽出物を含む、PSF1遺伝子発現抑制剤。
項2.
がんの予防又は治療剤である、項1に記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
項3.
がんが、脳腫瘍、乳がん、呼吸器がん、消化器がん、泌尿器系腫瘍、女性性器腫瘍、及び血液腫瘍から成る群より選択される1種以上である、項2に記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
項4.
該抽出物が、アルコール抽出物である、項1〜3のいずれかに記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
項5.
該抽出物が、タネツケバナの脂肪酸低級アルキルエステル溶媒抽出物又は塩化脂肪族低級炭化水素溶媒抽出物である、項1〜3のいずれかに記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
項6.
該抽出物が、ウバユリ又はPandanus polycephalusの葉の抽出物である、項1〜4のいずれかに記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
項7.
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、ウバユリ、タネツケバナ、及びPandanus polycephalusから成る群より選択される1種以上の植物の抽出物が濃縮された食品。
項8.
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、ウバユリ、タネツケバナ、及びPandanus polycephalusから成る群より選択される1種以上の植物の抽出物のPSF1遺伝子発現抑制させるための使用(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
項9.
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、ウバユリ、タネツケバナ、及びPandanus polycephalusから成る群より選択される1種以上の植物の抽出物を、PSF1遺伝子発現抑制が必要な対象に投与することを含む、癌の治療方法。
ウバユリの葉の乾燥物2グラムに80%エタノール20mlを加え、50℃で8時間時々振盪し、室温で一晩静置した。これを濾過し、濾液の一部7mlを50℃で窒素パージを用いて乾燥させ、次いで一晩凍結乾燥させて、ウバユリの抽出物82mgを得た。同様の手順で、80%エタノール20mlを用い、タネツケバナの全草の乾燥物2グラムから得られた濾液の一部10mlを乾固させ、抽出物231mgを得た。
Pandanus polycephalusの葉の乾燥物100gにメタノール約1リットルを加え、室温で、時々振盪しながら4日間静置した。これを濾過し、濾液を40〜45℃にてロータリーエバポレートを用いて減圧濃縮した。得られた残渣を、真空ポンプを用いて一晩乾燥し、Pandanus polycephalusの抽出物9.83gを得た。
PSF1遺伝子プロモーター制御下にEGFPを発現する肺がん細胞株 LLC (Cancer Res 70, 1215-1224, 2010)を、大阪大学から入手した。この細胞株を10%胎仔牛由来血清(FCS)、100 units/mlのペニシリン、100 μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM中で、5% CO2、37℃の条件下で培養した。このようにして培養したLLCを104細胞ずつ6well培養皿に播種し、2mlの上記培養液中で24時間培養した。上記製造例1及び2で得た各抽出物を、最終濃度が100μg/mlとなるようにdimethyl sulfoxide (DMSO; ナカライ テスク社製)に溶解し、2μlをLLCを培養したウェルに添加した。ネガティブコントロールには、DMSOのみを2μl添加した。ポジティブコントロールには、製造例1と同様の方法でRhus taitensisの葉から得た抽出物を終濃度が100μg/mlとなるように添加した。その後、前記培養条件で16時間培養し、細胞の形態を顕微鏡で観察した。結果を図1に示す。ネガティブコントロールの細胞像と同様に、ウバユリ、タネツケバナ、及びP. polycephalusの抽出物を添加した細胞の形態は特に変化なく、細胞死が誘導されていないことが示された。一方、Rhus taitensisの抽出物を添加した細胞では、細胞死の誘導が確認された。
試験例1と同じ条件で培養したLLC細胞を5%FCSを含むリン酸緩衝液(PBS)で1回洗浄した後、500μlの5%FCSを含むPBSに分散させた。そこに、propidium iodide(PI:BD Bioscience社製)を2μl加えて穏やかに混和し、室温、暗所で15分間反応させた。その後、細胞をフローサイトメーター(FACS Calibur:Becton Dickinson社製)に供し、GFP蛍光強度及びPI蛍光強度についてフローサイトメトリー法を用いて解析した(図2)。ネガティブコントロールの細胞ではほとんどがGFP陽性PI陰性である。これは、細胞が生存しており、PSF1の遺伝子が転写され続けていることを意味する。一方、ポジティブコントロールであるRhus taitensisの抽出物を添加した細胞では、PI強度が上昇し、細胞死が誘導されたことが確認された。これらと比較して、ウバユリ、タネツケバナ、Pandanus polycephalusの抽出物を添加した細胞では、PIの強度はさほど上昇せず、GFP強度は低下することが確認された。この結果から、ウバユリ、タネツケバナ、Pandanus polycephalusの抽出物によって、細胞死は誘導されないがPSF1遺伝子のプロモーター活性が抑制されることが判明した。
定量リアルタイムPCR を用いて、LLC細胞,ヒトglioma細胞 (U87MG), breast cancer細胞 (MCF7), lung cancer細胞 (EBC1), gastric cancer細胞 (HGC-27), colon cancer細胞 (HT29), prostate cancer細胞 (PC3), cervical cancer細胞 (HELA),及びleukemia細胞 (MEG01)におけるPSF1遺伝子の発現に対する影響を検討した。試験例1と同様の条件で培養し、各抽出物で処理したがん細胞から、kit (Qiagen社製)を用いて、トータルRNAを得た。尚、HT29細胞については、各抽出物を最終濃度が10μg/ml となるように0.2μl添加した。次に、ExScript RT reagent Kit(タカラ社製)を用いて、回収した各全RNAからcDNAをそれぞれ合成し、得られたcDNAを用いて、PSF1の発現をリアルタイムPCR法によって解析した。比較対照として解糖系酵素であるGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)のmRNAの発現量も測定した。リアルタイムPCRは、Stratagene Mx300P (Stratagene社製)を用いて実施した。マウスPSF1をPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- CTCCCAGCGACCTCATGTAA -3´(配列番号2)
マウスGAPDHをPCRで合成するためのプライマーとして以下の配列を用いた。
5´- AACTTTGGCATTGTGGAAGG -3´(配列番号3)
5´- GGATGCAGGGATGATGTTCT -3´(配列番号4)
ヒトPSF1をPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- ACCTGTATGACCGCTTGCTTC -3´(配列番号5)
5´- TTCATCTCCTCCCAGTGAC-3´(配列番号6)
ヒトGAPDHをPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- ACCCAGAAGACTGTGGATGG -3´(配列番号7)
5´- CCCTGTTGCTGTAGCCAAAT -3´(配列番号8)
KLN205細胞(マウス扁平上皮肺癌細胞)は独立行政法人理化学研究所から入手した。この細胞を、10%FBS (Hyclon社)、Non-Essential Amino Acids (Lonza社)、ペニシリン(100units/ml ;Invitrogen社)、及びストレプトマイシン (100μg/ml; Invitrogen社)を含有するEagle MEM(日水製薬社)を用いて培養した。80%コンフレントまで培養後、Trypsin/EDTA (Invitrogen社)により回収し、PBSにて2.0x106細胞/mLに調製した。
下記の表1に示す各種の抽出溶媒10mlを用い、上記製造例1と同様の手順で、ウバユリの葉1g(乾燥重量)から抽出物を調製した。但し、「還流」の記載があるものは、還流温度で1時間還流抽出を行った。各抽出物について、試験例1及び2と同様の試験を行い、細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子発現抑制活性を有するものについて、活性ありと判断した。その結果を表1に示す。
下記表2に示す通り、ウバユリ又はオオウバユリの各部位の乾燥物1グラムに、80%エタノール10〜15mlを加え、70℃で6時間放置し、濾過後、製造例1の手順に従って、抽出物を得た。各抽出物について、試験例1及び2と同様の試験を行い、細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子発現抑制活性を有するものについて、活性ありと判断した。その結果を表2に示す。
下記の表3に示す各種の抽出溶媒10mlを用い、上記製造例1と同様の手順で、タネツケバナの葉1g(乾燥重量)から抽出物を調製した。但し、「還流」の記載があるものは、還流温度で1時間還流抽出を行った。各抽出物について、試験例1及び2と同様の試験を行い、細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子発現抑制活性を有するものについて、活性ありと判断した。その結果を表に示す。
上記製造例1と同様の方法により、80%エタノール20mlを用いて、オオバタネツケバナ(Cardamine regeliana)の全草の乾燥物2グラムから得られた濾液の一部10mlを乾固させ、抽出物267mgを得た。この抽出物を用いて、上記試験例1及び2と同様の試験を行ったところ、即時の細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子の発現抑制活性が確認された。
Claims (7)
- PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、Pandanus polycephalusの抽出物を含む、PSF1遺伝子発現抑制剤。
- がんの予防又は治療剤である、請求項1に記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
- がんが、脳腫瘍、乳がん、呼吸器がん、消化器がん、泌尿器系腫瘍、女性性器腫瘍、及び血液腫瘍から成る群より選択される1種以上である、請求項2に記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
- Pandanus polycephalusの抽出物が、アルコール抽出物である、請求項1〜3のいずれかに記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
- Pandanus polycephalusがPandanus polycephalusの葉である、請求項1〜4のいずれかに記載のPSF1遺伝子発現抑制剤。
- PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、Pandanus polycephalusの抽出物が濃縮された食品。
- PSF1遺伝子発現抑制活性を有する、Pandanus polycephalusの抽出物のPSF1遺伝子発現抑制させるための使用(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
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