本発明のACE阻害剤又は高血圧予防若しくは治療剤は、ユリ目ユリ科(Liliaceae)ウバユリ属(Cardiocrinum)植物、ウバユリ属植物の抽出物又は精製物を有効成分とする。
本発明において、ACE阻害剤とは、レニン−アンジオテンシン系において、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを生成する変換酵素に作用する阻害剤をいう。アンジオテンシンIIは強力な血管収縮作用を有しており、高血圧症、心不全、心筋梗塞、心血管疾患、左室不全、心房細動、頻脈、腎不全、糖尿病、脳血管障害、嚥下障害等、様々な疾患との関与が報告されている。したがって、ACE阻害剤は、臨床において、高血圧症の他、心不全、心筋梗塞、左室肥大、心房細動、腎障害、糖尿病性腎症、脳血管障害、肺炎、誤嚥性肺炎等の治療に適用されている。
本発明において、ウバユリ属植物とは、ユリ目ユリ科(Liliaceae)のウバユリ属(Cardiocrinum)に分類される多年性植物を指す。ウバユリ属植物は、アジアを中心に分布しており、日本の他、ヒマラヤ山脈から中国などにかけて自生している。ウバユリ属植物の種類としては、ウバユリ{Cardiocrinum cordatum}、オオウバユリ{Cardiocrinum cordatum var. glehnii.、ヒマラヤウバユリ{Cardiocrinum giganteum}、または中国名で▲蕎▼麦叶大百合{Cardiocrinum cathayanum}などが知られている。日本では、ウバユリ又はその亜種であるオオウバユリが自生しており、ウバユリは高知県などの四国や、九州の山地に多く、オオウバユリは、中部地方、東北地方又は北海道に多く分布している。
ウバユリ属植物の茎は、50〜100cmに達し、日本においては、7月〜8月にかけて茎頂にラッパ状の緑色〜白色の花を3個前後つける。葉は、茎の基部につき、茎の基部とひげ根の間には鱗茎を有する。
ウバユリ属植物の若葉や鱗茎は、山菜として古来から安全に食用されているものである。
本発明において、ウバユリ属植物の抽出物を用いる場合は、その抽出方法が特に制限されるものではない。前記抽出物は、ウバユリ属植物の全草又は一部、特に葉部、茎部、鱗茎部、根部、種子、花部を別々に1種類ずつ又はそれらの2以上の組合せの乾燥物、あるいはその乾燥物を破砕又は粉砕した粉末から、溶媒により抽出される。ウバユリ属植物は、自生しているものから容易に入手可能であり、市販品を用いることもできる。
ウバユリ属植物の全草又は一部を乾燥させる場合は、限定はされないが、天日干し、風乾又は乾燥機を使用して行うことができる。天日干しを行う場合は、乾燥にかかる時間は天候等により左右されるが、例えば6時間以上、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上とすることができる。乾燥機を使用する場合は、一般的に100℃以下、好ましくは40℃以下の乾燥条件下で、例えば、回転乾燥機、熱風乾燥機、伝熱乾燥機、真空乾燥機、真空凍結乾燥機、冷風乾燥機、振動乾燥機、ろ過乾燥機、真空撹拌乾燥機等を用いることが可能である。
ウバユリ属植物の抽出物をACE阻害剤又は高血圧予防若しくは治療剤として用いる場合は、ウバユリ属植物の抽出物をそのまま用いてもよく、適宜に希釈又は濃縮して用いてもよい。ウバユリ属植物の抽出物を得る場合には、新鮮な植物体を用いることが可能であり、冷蔵、凍結、又は乾燥保存されたウバユリ属植物を用いることや、ウバユリ属植物の抽出物の濃縮物を水等の適宜な溶媒に溶解又は希釈して用いることもできる。ウバユリ属植物の抽出物の濃縮物は、限定はされないが、液状、ペースト状、泥状のものを用いることができる。
ウバユリ属植物の抽出に用いる溶媒としては、水、有機溶媒又は含水有機溶媒が挙げられる。適宜の抽出溶媒を用いることにより、ウバユリ属植物の水抽出物、有機溶媒抽出物又は含水有機溶媒抽出物を得ることができる。これらの抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール、又はこれらの混合物が挙げられ、水、メタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン又はこれらの混合物が好ましく、より高いACE阻害活性を得ることの観点、及び、より高い血圧降下作用を得ることができるとの観点から、水、エタノール又は含水エタノールがさらに好ましい。含水エタノールを用いる場合のエタノール濃度は、限定はされないが、より高い抽出効率を得ることの観点から、例えば、99%〜40%、好ましくは90%〜50%、より好ましくは80%〜60%の濃度で用いることができる。
抽出に用いるウバユリ属植物の部位は、限定はされないが、例えば、葉部、茎部、鱗茎部、根部、種子、花部等が挙げられ、より高いACE阻害活性を得ることができるとの観点、より高い血圧降下作用を得ることができるとの観点、及び多くの原料が得られることの観点から葉部、茎部又はこれらの組合せが好ましい。
抽出方法は特に限定はされないが、例えば、ウバユリ属植物の全草または一部を裁断し、ミキサー等の公知の方法により破砕し、抽出溶媒を加えて撹拌し、室温ないし加熱を一定の抽出時間で処置後、抽出上清からウバユリ属植物のエキスを分離抽出する方法が挙げられる。
破砕条件としては、限定はされないが、ウバユリ属植物の全草または一部の裁断物が1kg〜10kg等の大スケールである場合は、大型バーチカルカッターミキサー等を用いることができ、数10g〜数100gの小スケールの場合は、家庭用ミキサー等を用いることができる。例えば、大スケールでの破砕条件を適用する場合は、原料の硬さ、含水率等によって適宜変更されるが、例えば、破砕時間は数十秒〜数分間、ミキサーの回転数は10〜3000rpmで行うことが可能である。
また、抽出条件は通常の条件を適用することができ、限定はされないが、ウバユリ属植物の乾燥物を、例えば3〜100℃で溶媒に浸漬、加熱還流又はマイクロウェーブ加熱をする方法を採用することができる。抽出時間は、適切な抽出量が得られる限り限定はされないが、例えば、5分以上14日以内、好ましくは10分以上7日以内、より好ましくは15分以上5日以内とすることができる。前記抽出は通常常圧下で行われるが、加圧下で行うことも可能である。
抽出溶媒を加える前に、ウバユリ属植物に、酸、アルカリ、または酵素を加えることで、抽出効率を高めることも可能である。
抽出溶媒を加えて撹拌する操作は、当業者に公知の方法を用いることができるが、例えば、ウバユリ属植物の裁断物又は粉砕物と抽出溶媒とを含む抽出用容器を回転させる方法、前記抽出用容器を磁気式又は機械式の撹拌装置に設置して混合する方法、前記抽出用容器を振とうさせる方法等が挙げられる。
撹拌操作は、超音波処理により振動を起こし、抽出効率を高めることも可能である。超音波処理を行う場合は、限定はされないが、例えばウバユリ属植物の全草または一部の裁断物が1kg〜10kg等の大スケールである場合は、市販の超音波発生器にウバユリ属植物の裁断物又は粉砕物と抽出溶媒とを含む抽出用容器を設置し、26kHz超音波で60分間処理することにより、超音波処理物を得ることができ、数10g〜数100gの小スケールの場合は、40kHzの超音波で60分間処理することにより、超音波処理物を得ることができる。超音波処理の温度条件は、適切な抽出量が得られる限り限定はされないが、2℃〜100℃、好ましくは10℃〜70℃とすることができる。大スケール用の超音波発生器としては、例えば神明台工業(株)製UT−12を使用することができ、小スケール用の超音波発生器としては、例えばAS ONE(株)製US−3Rを使用することができる。
抽出効率を高めるためには、同種又は複数種の抽出溶媒を用いた多段階抽出を行うことも可能である。多段階抽出を行う場合は、第1段階の抽出において得られた残渣に、さらに同種又は複数種の抽出溶媒を加え、室温ないし加熱を行った後、抽出上清からウバユリ属植物のエキスを分離抽出することができる。
マイクロウェーブ加熱は、本発明の有効成分の活性が失われない範囲で、マイクロウェーブ照射装置の出力、マイクロウェーブの波長、照射時間等の条件を適宜設定することが可能である。例えば、ウバユリ属植物の乾燥物100gに対して、2450MHz、500Wのマイクロウェーブを当てる場合は、10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分で処理するすることが可能である。
抽出上清からウバユリ属植物のエキスを分離抽出する段階においては、公知の方法を採用することができ、例えば、ろ過、遠心分離、吸引、圧搾等を行うことが可能である。
ろ過により分離抽出する場合は、限定はされないが、例えば、膜ろ過を行うことができる。膜ろ過を行う場合は、例えば、温度条件を2℃〜70℃、好ましくは10℃〜40℃とすることができ、膜孔径を0.1μm〜10μm、好ましくは0.1μm〜5μmとすることが可能である。
遠心分離により分離抽出する場合は、公知の機器を用いることができ、遠心分離器としては、例えば、分離板型、円筒型、デカンター型等を挙げることができる。遠心分離を行う場合は、例えば、温度条件を2℃〜70℃、好ましくは10℃〜40℃とすることができ、回転数を1000rpm〜10000rpm、好ましくは1500rpm〜8000rpm、さらに好ましくは2000rpm〜6000rpmとすることができ、遠心時間を10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜15分とすることができる。
圧搾による分離抽出は、圧搾機を用いることも可能であり、圧搾機としては公知の機器を用いることができ、例えば、空気圧式圧搾機、スクリュー式圧搾機等を挙げることができる。
ウバユリ属植物の抽出物は、希釈や濃縮の前後等に、さらに精製処理に付することより、精製物とすることができる。精製処理には、上記の溶媒による抽出以外に、当業者に公知な方法であるクロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法等を単独で、または組み合わせて用いることができる。
クロマトグラフ法を用いる場合であっては、例えば、順相若しくは逆相の担体又はイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー又は遠心液体クロマトグラフィー等のいずれか、又はそれらを組み合わせて用いる方法が挙げられる。クロマトグラフ法を用いる場合の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種のクロマトグラフ法にに対応して適宜選択することができる。
ウバユリ属植物の裁断物又は粉砕物と抽出溶媒とを混合する比率としては、より高い抽出効率を得ることの観点から、水抽出物を得る場合は、例えば、水1Lに対して、ウバユリ属植物乾燥体の裁断物又は粉砕物を5g〜300g、好ましくは10g〜200g、より好ましくは20g〜100gとすることができる。また、含水有機溶媒抽出物を得る場合は例えば、溶媒1Lに対して、ウバユリ属植物の裁断物又は粉砕物を10g〜1kg、好ましくは20g〜500g、より好ましくは30g〜200gとすることができる。
本発明において、ウバユリ属植物、ウバユリ属植物抽出物の含有量は、より高いACE阻害活性を得る観点、安定性、着色及びにおいの観点から、組成物の総量を基準として、固形分換算で0.000001〜100重量%、好ましくは0.00001〜90重量%、さらに好ましくは0.0001〜80重量%とすることができる。
本発明において、ウバユリ属植物、ウバユリ属植物の精製物の含有量は、より高いACE阻害活性を得る観点、安定性、着色及びにおいの観点から、組成物の総量を基準として、固形分換算で0.000000001〜1重量%、好ましくは0.00000001〜0.9重量%、さらに好ましくは0.0000001〜0.8重量%とすることができる。
本発明者らは、ウバユリ属植物、ウバユリ属植物の抽出物又は精製物が、優れたACE阻害活性を有することを新たに見出した。ウバユリ属植物は、天然に由来するものであり、古来より食用されていることから、安全で有効な高血圧抑制剤等の高血圧症治療薬、心不全、心筋梗塞、心房細動、頻脈若しくは左室肥大等に対する心疾患治療薬、腎不全等に対する腎疾患治療薬、糖尿病治療薬、脳血管障害治療薬等のACE阻害剤が現在用いられている臨床分野、ACEとの関連が報告されている疾患の臨床分野の医薬組成物に好適である。医薬組成物は、医薬品、医薬部外品などの形態で提供され得る。
ウバユリ属植物の抽出物又は精製物は、医薬組成物とする場合は、適宜の形態に製剤化し、任意の投与形態で投与することができる。投与形態としては、限定はされないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、注射などが挙げられる。
投与形態として、経口投与する場合は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、散剤、フィルム状、ドロップ状、ゼリー状、半固体のプリン状等の剤型に公知の方法で製剤化することが可能である。フィルム状、ドロップ状、ゼリー状、半固体のプリン状の剤型等により、経口投与する場合は、水無しにより摂取することが可能である。または、ウバユリ属植物の抽出物又は精製物の乾燥粉末を生薬又は漢方薬製剤として経口投与することも可能である。
非経口投与する場合は、例えば、静脈内注射、筋肉注射剤、経皮吸収剤、吸入薬、坐剤、点眼剤、点鼻剤等の剤型に公知の方法で製剤化することが可能である。
投与形態の一態様として、ウバユリ属植物の抽出物又は精製物の安定性及び生体利用性を高め、あるいは患者の服薬コンプライアンスを向上するため、又はこれらを組み合わせた目的のために、公知の薬物送達システムを利用して、吸収部位まで本発明のACE阻害剤又は高血圧予防又は治療剤を送達することが可能である。
薬物送達システムとしては、限定されないが、例えばセルロース、デキストラン、澱粉、ポリビニルアルコール、アセチル化若しくはメタクリル化されたポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそのブロック共重合体、ポリエチレングリコール等のポリマーを利用する方法、アルブミン等の輸送タンパク質を利用する方法、その他ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、複合エマルジョン、デンドリマー等を利用する方法が挙げられる。これらの薬物送達システムは、吸収部位等の目的の部位へウバユリ属植物の抽出物又は精製物を運搬する目的だけでなく、適時にウバユリ属植物の抽出物又は精製物を放出する放出制御の目的にも用いられ得る。
本発明のACE阻害剤又は高血圧予防若しくは治療剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、固形の製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を、液状の製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等を適宜配合することが可能である。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、結合セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤や、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
本発明のACE阻害剤又は高血圧予防若しくは治療剤を経口により投与する場合の有効投与量は、限定はされないが、粗抽出物換算で、ヒト及び動物であれば、一般に1日あたり0.00001〜5000mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜200mg/kg体重であり、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重である。投与回数は、通常は1日1〜4回程度であるが、投与経路によって、適宜調整することができる。粗抽出物は、ウバユリ属植物を溶媒で抽出した後、溶媒を留去した固形物である。
本発明のACE阻害剤又は高血圧予防又は治療剤は、本発明の効果を損なわない範囲で医薬品、医薬部外品等に添加して用いられ得る公知の基剤又は担体と共に混合して組成物とすることができる。基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
基剤又は担体としては、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジンのようなシリコーン油;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットのようなエステル類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコールなどの多価アルコール;水などの水系基剤などが挙げられる。
その他に、本発明のACE阻害剤又は高血圧予防又は治療剤には、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、増粘剤、抗酸化剤、酸化防止剤、保存剤、キレート剤、pH調整剤、安定化剤、分散剤、香料、着色剤、色素、水等の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤;ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ココイルグルタミン酸塩、ヤシ油メチルアラニン塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩のようなアニオン性界面活性剤、ラウリルジアミノエチルグリシン塩、ヤシ油脂肪酸ベタイン塩などの両性界面活性剤などが挙げられる。
油分としては、天然動植物油脂類、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、動植物や合成の精油などが挙げられる。
天然動植物油脂類としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛脂、キリ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、豚脂、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン、卵黄油、ローズヒップ油等が挙げられる。
炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素が用いられ、例えば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、プリスタン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。
エステル油としては、合成エステル類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類が用いられ、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、ミリスチン酸イソプリピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、飽和または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12〜22の脂肪酸を用いることができ、例えば、イソステアリン酸、オキシステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩などが挙げられる。
保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
分散剤としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸架橋コポリマー、有機酸等が挙げられる。
着色剤としては、無機顔料、天然色素などが挙げられる。
本発明のACE阻害剤又は高血圧予防若しくは治療剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、例えば、血行促進成分、抗菌成分、抗炎症剤、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分などが挙げられる。
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、イクタモール、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、ガンマーオリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸およびその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、ピロクトオラミン、ミコナゾールなどが挙げられる。
抗炎症剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸及びヒドロコルチゾン等が挙げられる。
ビタミン類としては、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子などが挙げられる。
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。
アミノ酸又はその誘導体としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類、グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などが挙げられる。
本発明のACE阻害剤は、飲食料品の添加剤や配合剤に適用することが可能である。これらの飲食料品は、限定はされないが、高血圧症治療、心疾患治療、腎疾患治療、糖尿病治療、脳血管障害治療等のために用いられる飲食料品として用いることも可能であり、例えば、病院等の医療機関で患者のために提供され得る。またはこれらの飲食料品は、限定はされないが、機能性飲料又は機能性食品として提供することも可能であり、これらの機能性飲食料品は、医療機関の他、ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店等で提供され得る。
食品としては、あらゆる食品が挙げられ、例えば、穀類、いも類、魚介類、肉類、卵類、油脂類、乳類、野菜類、豆類、果実類、砂糖類、海藻類、菓子類、調味料類、調理加工食品類等が挙げられる。
調味加工食品としては、限定はされないが、例えば、ちくわ、かまぼこ等の水産加工品;ハムやソーセージ等の畜産加工品;クッキー、ビスケット、スナック、チョコレート、ケーキ等の菓子;そば、うどん、生麺、中華麺、パスタ等の麺類;食パン、菓子パン等のパン;納豆、味噌等の発酵加工食品;豆腐、おから等の大豆食品;浅漬け、糠漬け等の漬け物、水産品、加工肉、野菜、果物等の缶詰;バター、マーガリン、ヨーグルト、チーズ、牛乳等の乳製品;アイスクリーム、シャーベット等の冷菓食品等が挙げられる。
飲料としては、あらゆる飲料が挙げられ、限定はされないが、例えば、果汁飲料、果汁100%飲料、低果汁飲料、果肉飲料、野菜ジュース、フレーバー入り飲料、希釈用果実飲料等の果実飲料;炭酸飲料;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、ココア飲料、紅茶、緑茶、抹茶、烏龍茶、麦茶、ほうじ茶等の嗜好飲料;食酢飲料;スポーツドリンク等の清涼飲料水;牛乳;乳飲料;乳性飲料;乳酸飲料;乳酸菌飲料;豆乳、調製豆乳等の大豆飲料;ビール、日本酒、焼酎、リキュール、ワイン等のアルコール飲料;タウリン、ローヤルゼリー、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、鉄分等を含む栄養飲料等が挙げられる。
本発明のACE阻害剤を飲食料品に適用する時期に制限はないが、例えば、飲食料品の製造工程において、加工工程、調理工程、加熱工程、保存工程等の前後において適用され得る。例えば、加工工程や調理工程においては、原料にACE阻害剤を含ませることができる。適用方法は、飲食料品の種類、原料の形態等に応じて適宜変更することができ、混入、添加、塗布、噴霧、浸漬等の様々な方法を採用し得る。
本発明のACE阻害剤を飲食料品に適用する場合は、本発明の効果を損なわない範囲で通常の食品及び飲料に使用されている助剤を適宜配合することが可能である。そのような助剤としては、例えば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、オリゴ糖、水飴、マルトース、マルチトース、キシリトール、ソルビトール、アスパルテーム、スクラロース、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dL−α−トコフェノール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸、ソルビタン脂肪酸エステル、エステルアラビアガム、カゼイン、ペクチン、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ビタミンB類、ビタミンC類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、カルシウム塩類、アミノ酸類、色素、香料、保存剤等が挙げられる。
本発明のACE阻害剤を飲食料品に含有させる場合の配合量は、限定はされないが、粗抽出物換算で、ヒト及び動物であれば、一般に1日あたり0.00001〜5000mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜200mg/kg体重であり、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重である。
次に、試験例、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)乾燥粉砕物からの含水有機溶媒による抽出方法
ウバユリの葉及び茎の乾燥粉砕物20gを、それぞれ70%エタノール水溶液300mlに分散、撹拌させ、室温にて24時間抽出した。抽出上清を濾別したのち、残渣を再び70%エタノール水溶液に分散させ、加熱還流後、抽出上清を濾別した。更に残渣を70%エタノール水溶液に分散させ、超音波処理1時間後、抽出上清を濾別し、合一した上清を順次減圧濃縮、窒素ガス雰囲気下で減圧乾燥、凍結乾燥を行い、ウバユリの葉による抽出物1(6g)及びウバユリの茎による抽出物2(6g)を得た。
(調製例2)乾燥粉砕物からの水による抽出方法
ウバユリの葉の乾燥粉砕物100gに水1.5Lを加え、ミキサーで粉砕後、撹拌及び超音波付与を行い、抽出上清を濾別及び脱水することにより、水と併せて抽出液(2L)を得た。更に、順次減圧濃縮、窒素ガス雰囲気下で減圧乾燥、凍結乾燥を行い、抽出物3(20g)を得た。
(調製例3)搾汁による抽出方法
ウバユリの生葉及び生茎の混合物(1kg)に水1Lを加え、ミキサーで粉砕後、撹拌及び超音波付与を行い、抽出上清を濾別、洗浄、及び脱水する事により、水と併せて抽出液(2L)を得た。更に、順次減圧濃縮、窒素ガス雰囲気下で減圧乾燥、凍結乾燥を行い、抽出物4(20g)を得た。
(調整例4)圧搾による抽出方法
ウバユリの生葉及び生茎の混合物(1kg)に水1Lを加え、ミキサーで粉砕後、撹拌及び超音波付与を行い、抽出上清を濾別及び脱水後、圧搾する事により、抽出液(1.5L)を得た。更に、順次減圧濃縮、窒素ガス雰囲気下で減圧乾燥、凍結乾燥を行い、抽出物(25g)を得た。
(調製例5)乾燥粉末の製造方法
ウバユリの生葉、生茎(1kg)を、40℃冷風乾燥機で一晩乾燥後、粉砕機で微粉砕し、ウバユリ乾燥粉末(100g)を得た。
(調製例6)オオウバユリを用いた抽出方法
オオウバユリの茎の乾燥粉砕物1gに水10mLを加え、10分間抽出を行い、その後抽出上清を濾別及び脱水することにより、抽出液を得た。残渣に、再度水10mLを加え、10分間抽出を行い、その後上清を濾別及び脱水した。先に得られた抽出液と混合し、水により20mLに定容することで抽出物5を得た(50mg当量/ml)。
(調製例7)ウバユリの鱗茎部を用いた抽出方法
ウバユリの生鱗茎1gに水10mLを加え、10分間抽出を行い、その後抽出上清を濾別及び脱水することにより、抽出液を得た。残渣に、再度水10mLを加え、10分間抽出を行い、その後上清を濾別及び脱水した。先に得られた抽出液と混合し、水により20mLに定容することで抽出物6を得た(50mg当量/ml)。
(調整例8)マイクロウェーブによる抽出方法
ウバユリの葉及び茎の乾燥粉砕物1gに水20mLを加え、ポリプロピレン製容器に密閉し、電子レンジ(2450MHz、500W)で1分加熱を行った、抽出上清を濾別及び脱水することにより、水と併せて抽出物7(20mL)を得た。同様の方法で加熱時間を5分としたものを抽出物8とした。
(試験例1)含水有機溶媒抽出方法によるACE阻害活性評価試験
植物体乾燥重1g相当量の抽出物が、1mLに溶解した濃度(1g当量/mL)となるよう、上記抽出物1又は抽出物2をジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解した。1g当量/mLの上記抽出物1又は抽出物2を、超純水を用いて5mg当量/mLになるように希釈した。さらに5%DMSO水溶液を用いて0.5mg当量/mLになるように希釈した。これら二種の濃度の溶液についてACE阻害活性評価試験を行った。
ACE阻害活性評価はUkedaらによって開発されたACE inhibition assay kit(株式会社同仁化学研究所製)を使用し、当キットに示されたプロトコルに従い測定した。試料添加時の吸光度(A sample)、コントロールとして試料の代わりに超純水を添加した際の吸光度(A control)を測定した。また、試料のブランクとして、Enzyme working solutionの代わりに超純水を添加した際の吸光度(A blank)を測定した。試料が有するACE阻害活性値は、ACE阻害率(%)として、以下の式に従って求めた。
ACE阻害率(%)={(A control-A sample)/(A control-A blank)}×100
なお、3回の繰り返し測定による平均値を用いてACE阻害率を算出した。
また、測定系に含まれているACE以外の酵素に対する影響を確認するために基質を3HB−GGGから3HB−Gに変更して同様の試験を行った。この場合3HB−GGGを基質としたときに阻害率が高く、3HB−Gを基質としたときに阻害率が低いとき、ACE阻害活性が高いといえる。
結果を表1に示す。その結果、ウバユリの葉から得た抽出物1及びウバユリの茎から得た抽出物2に非常に強いACE阻害活性が認められた。
(試験例2)水抽出方法によるACE阻害活性評価試験
植物体乾燥重1g相当量の抽出物が、1mLに溶解した濃度(1g当量/mL)となるよう、上記抽出物3をジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解した。1g当量/mLの上記抽出物3を、超純水を用いて5mg当量/mLになるように希釈した。さらに5%DMSO水溶液を用いて0.5mg当量/mLになるように希釈した。これら二種の濃度の溶液について、上記の試験例1と同様の手法により活性試験を行った。
結果を表2に示す。水により抽出した抽出物3においても、非常に強いACE阻害活性が認められた。
オオウバユリの茎から得た抽出物5を用いて、水抽出方法によるACE阻害活性評価試験を行った結果を表3に示す。オオウバユリの茎から得た抽出物5においても、ACE阻害活性が認められた。
ウバユリの葉及び茎をマイクロウェーブによって加熱抽出した抽出物7及び8を用いて、ACE阻害活性評価試験を行った結果を表4に示す。マイクロウェーブによって加熱抽出した抽出物7及び8においても、ACE阻害活性が認められた。
(試験例3)自然発症高血圧ラット(SHR/Izm)における単回経口投与試験
SHR/Izm(日本エスエルシー株式会社製)の雄(各群8匹、14週齢)を用いて、単回経口投与試験を実施した。
SHR/Izmへ調製例1で作製したウバユリの葉による抽出物1を、経口により単回投与し、血圧の変化を12時間観察した。血圧測定には尾動脈圧脈拍測定装置(夏目製作所(株);KN−210)を使用して、tail−cuff法により収縮期尾動脈圧を無麻酔下で測定した。投与量は、0、5、10、12.5、25、50、100mg/kg体重で投与した。
その結果を図1に示す。図1中、血圧の変化とは、試験開始時(0時間)における血圧値との差を表す。
SHR/Izmへの抽出物1投与後、約6時間で降下率は最大に達した。この際、投与量に応じて血圧降下作用が見られた。0mg/kgでは降下が見られなかった。
また、投与後48時間までの観察期間において、全ての群のラットの異常な状態や行動は認められなかった。
(比較試験例1)市販品を用いたSHR/Izmにおける単回経口投与試験
市販品との比較のため、市販ペプチド飲料を用い、試験例3と同様にSHR/Izmの雄(各群8匹、14週齢)を用いて、単回経口投与試験を実施した。投与量は5ml/kg(総ペプチド等量として約0.085mg)、17.6ml/kg体重(総ペプチド等量として約0.30mg)である。
その結果を図2に示す。図2中、血圧差とは、試験開始時(0時間)における血圧値との差を表す。
SHR/Izmへの市販ペプチド飲料投与後、約6時間で降下率は最大に達した。5ml/kgでは効果が見られなかったが、17.6ml/kg投与で約8mmHgの血圧降下が見られた。
(試験例4)SHR/Izmにおける反復経口投与試験
SHR/Izmの雄(各群6匹、14週齢)を用いて、反復経口投与試験を実施した。
実施例1で作製したウバユリの葉による抽出物1を飼料に0.1、0.2%混餌することにより、SHR/Izmへ経口投与し、血圧の変化を対照群(抽出物無し)と比較し、21日間観察した。飼料投与量は、一日当たり各群とも約22g/匹で差は認められなかった。
その結果を図3に示す。SHR/Izmは投与後、約14日で明確な差が認められ、0.2%混餌投与したSHR/Izm群は抽出物1を投与しない対照群に比べ、血圧が約9mmHg降下、21日では約10mmHg降下し、対照群と比較し、有意水準0.01(1%)で有意であった。
また、0.1%混餌投与したSHR/Izm群でも、対照群と比較し、14日目では有意水準0.05(5%)で有意、21日目には有意水準0.01(1%)で有意であった。最終的に42日経過後は、0.2%混餌投与したSHR/Izm群は、投与しない対照群に比べ、血圧が約24mmHg降下、0.1%混餌投与したSHR/Izm群でも、血圧が約18mmHg降下し、顕著な血圧低下効果を示した。また、0.1%混餌投与と0.2%混餌投与においても、0.05(5%)で有意差が認められた。また、投与期間中、全ての群のラットの異常な状態や行動は認められなかった。
(処方例)
以下の各処方例中の数値の単位は、全体量を100とした、「重量%」で示す。
(処方例1)高血圧の予防または治療のための組成物(錠剤)
上記の調製例で得られた抽出物を用いて、常法により下記組成の高血圧予防又は治療のための錠剤を製造することができる。
(処方例2)高血圧の予防または治療のための組成物(顆粒剤)
上記の調製例で得られた抽出物を用いて、下記組成を混合及び撹拌して均一に調製し、流動層造粒装置により顆粒を得ることができる。顆粒剤は、飲料と共に服用することが可能である。
(処方例3)高血圧の予防または治療のための組成物(カプセル剤)
上記の調製例で得られた抽出物を用いて、下記組成を混合及び撹拌して均一に調製し、カプセル剤に用いるカプセル用粉末を得ることができる。
(処方例4)高血圧の予防または治療のための飲料
上記の調製例で得られた抽出物を用いて、常法により下記組成の高血圧予防又は治療のための飲料を製造することができる。
(処方例5)高血圧の予防または治療のためのチューイングガム
上記の調製例で得られた抽出物を用いて、常法により下記組成の高血圧予防又は治療のためのチューイングガムを製造することができる。