JP5897167B1 - Psf1遺伝子発現抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】PSF1遺伝子の発現抑制活性を通じた、より効果的ながんの治療手段を提供すること。【解決手段】下記(A)〜(F)の条件でのHPLC分析において、保持時間11.1分にピークを有する成分(I)、及び/又は、保持時間14.6分にピークを有する成分(II)を含有し、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物:(A)HPLCカラム:オクタデシル化シリカゲル担体(粒子径3μm)を充填した内径4.6mm、長さ150mmのカラム(B)HPLCカラムオーブン温度:40℃(C)流速:0.8ml/分(D)検出:190〜400nm(E)移動相:(a)メタノール及び(b)10mMギ酸アンモニウム水溶液(F)グラジエント条件:85%の(a)と15%の(b)との混合溶媒を5分間保持し、その後15分かけて混合溶媒中の(a)の濃度を85%から100%に直線的に上昇させ、その後(a)の濃度を100%に維持。【選択図】なし

Description

本発明は、抗がん剤、より詳細には、がん幹細胞の増殖抑制に効果的な抗癌剤及びその利用等に関する。
従来、がん組織は、性質が一様ながん細胞集団によって構成されると考えられていた。しかし、近年、がん細胞の中には、他のがん細胞と比較して、高い浸潤能、転移能、及び放射線療法や化学療法に対する抵抗性を示す細胞が存在することが判明してきた。このような特徴を有するがん細胞は、胚性幹細胞のような未分化細胞と同様の遺伝子を発現し、遺伝子発現が異なる分化したがん細胞を産生することから、がん幹細胞と呼ばれるようになってきた(非特許文献1及び2)。
がん幹細胞と他のがん細胞との大きな違いは、がん幹細胞は一つの細胞でもがん組織を形成することができるのに対して、がん細胞はがん組織を構築できないことである。よって、多くのがん細胞が治療によって死滅したとしても、がん幹細胞が残存すれば、再発の原因となる。また、がんの薬剤耐性に関して、継続的な治療の過程で、がん細胞は薬剤抵抗性を獲得すると考えられてきた。確かに、治療薬に対する反応として、そのような細胞が出現してくることも考えられる。しかし、近年、がんの原発巣において、予め治療抵抗性を有する細胞が存在することが明らかになり、これががん幹細胞であることが判明してきた(非特許文献3)。
以上のような知見の下、がん幹細胞を効果的に制御するがんの治療法の開発が期待されている。がん幹細胞は、「様々な細胞内生存シグナルを活発にしていること」、「未分化性を維持する機構を有すること」、及び「自己複製能を有すること」という特徴を有する。特に、後者の二つは幹細胞性と呼ばれる。そこで、がん幹細胞を治療可能ながん細胞に分化誘導し、従来の抗がん剤でがん細胞を殺傷する方法や、がん幹細胞の自己複製を抑制して、がんの成長を抑制する方法等が検討されている。
現在開発中のがん幹細胞をターゲットとした治療薬として、例えば、cMyc経路、Stat3経路、βカテニン経路など様々な細胞内シグナルを抑制する、いわゆるマルチキナーゼ阻害剤がある。また、がん幹細胞の未分化性にnotch受容体の活性化が関与しているという知見から、notch受容体活性を抑制して、がん幹細胞をがん細胞に分化させる方法も提案されている(特許文献1)。更に、近年、Sonic hedgehog (shh) が胎児期の器官形成の際に、細胞増殖、分化、生存に関わる細胞シグナル伝達物質であり、様々ながん細胞(例えば、慢性白血病、肺がん、乳がん、膵がん、肝がんモデル、髄様がん)におけるがん幹細胞の維持に寄与していることが示唆され、Shhを阻害する化合物を用いた前立腺がんに対する治療有効性が提案されている(非特許文献4)。しかし、これらの手法によるがん幹細胞への作用は未だ確認されていない。
がん幹細胞に特有な細胞生存に関わる細胞内シグナルは、今のところ見つかっていない。即ち、がん幹細胞で利用されている細胞生存シグナルは、がん幹細胞以外の正常細胞においても幹細胞の細胞生存に重要な分子である。よって、このような生存シグナルを遮断すれば、正常組織の幹細胞も死滅させることが考えられる。幹細胞の未分化性を維持する分子機序についても、がん幹細胞に特異的なものは見つかっていない。よって、がん幹細胞の未分化性維持分子の阻害は、正常組織の幹細胞の分化をも誘導してしまうため、正常の幹細胞の枯渇につながることが懸念される。
ところで、PSF1(partner of sld five 1)は、未分化幹細胞の急速な自己複製に機能していることが報告されており(非特許文献5及び6)、がん組織においてもその発現が報告されている(非特許文献7〜9)。近年、PSF1遺伝子をクローニングし、そのプロモーターの下流にEGFP蛍光蛋白をコードする遺伝子を機能的に連結させた肺癌細胞株(Lewis Lung Carcinoma; LLC)及び大腸がん細胞株(colon26)が作製された(非特許文献10)。そして、これらの細胞を用いた試験により、(1)PSF1の転写活性の高い高陽性細胞は、マウスに再移植すると、少数細胞でも造腫瘍能を有し、マトリックス成分を溶解して浸潤する能力が高く、強い転移活性を有すること、(2)マウス腫瘍組織のPSF1陽性がん幹細胞と、ヒト腫瘍組織のPSF1陽性がん細胞の局在が、腫瘍内血管の近傍に位置するという共通性があること、(3)ヒト細胞におけるPSF1遺伝子をRNAi法によってノックダウンすると、細胞周期が停止又は遅延すること、及び(4)PSF1転写活性が高い高陽性細胞は、低陽性細胞と比べ、胚性幹細胞に特有な遺伝子の発現が高いことが確認されている(非特許文献11)。更に、マウスへの抗がん剤の投与試験によって、PSF1高発現細胞が抗がん剤抵抗性を増強してくることが報告されている(非特許文献11)。
特表2012-501626 特開2011−195530 特開2011−195531 特開2011−195533 特開2011−195534
Ben-Porath I et al., Nat. Genet. 2008; 40: 499-507 Somervaille TC et al., Cell Stem Cell 2009; 4: 129-40 Visvader JE, Lindeman GJ, Nat Rev Cancer 2008; 8: 755-68 Nanta R et al., Oncogenesis 2, e42,2013 Ueno M et al., Mol Cell Biol 2005; 25: 10528-32 Ueno M et al., Blood 2009; 113: 555-62 Obama Kら, Oncol Rep 2005; 14: 701-6 Hayashi R et al, Genomics Proteomics Bioinformatics 2006; 4: 156-64; Ryu B et al., PLoS One 2007; 2: e594 Nagahama Y et al., Cancer Res 70, 1215-1224, 2010 Matsui T et al., Am J Pathol 182; 1790-1799, 2013
上記に加え、PSF1陽性細胞の遺伝子発現パターンは、がん幹細胞マーカーといわれているCD44強陽性細胞の遺伝子発現パターンと一致することを本発明者等は確認した。以上から、PSF1遺伝子の発現を抑制することにより、がん細胞の腫瘍形成能、浸潤能、及び転移能といった能力を抑え、がんを効果的に治療することが可能であることが分かる。これは、PSF1遺伝子は、がん細胞の中でもがん幹細胞において高い発現が見られることから、PSF1遺伝子を標的とすることにより、がん細胞の根源であるがん幹細胞の活動を封じ込めることができるためである。ところが、PSF1遺伝子の発現抑制を通じた抗癌剤は未だ報告されていない。そこで、本発明は、PSF1遺伝子の発現抑制活性を通じた、より効果的ながんの治療手段を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、PSF1遺伝子の発現抑制活性を有する物質の探索を行ったところ、タネツケバナの抽出物及びその各種分画物にその活性があること、並びに、タネツケバナの抽出物及びその各種分画物は、PSF1遺伝子発現細胞の細胞死を即時に誘導することなくPSF1遺伝子の発現を抑制することを見出した。このような知見に基づき、本発明者等は更なる試験を重ね、タネツケバナの抽出物及びその各種分画物ががん幹細胞を含むがん細胞の細胞分裂周期を停止又は遅延させ、休眠させることにより、その腫瘍増殖を抑制することを確認した。
一方、タネツケバナの抽出物は、特許文献2〜5に開示されている。例えば、特許文献2及び3には、タネツケバナの抽出物にタンパク質糖化抑制作用があり、それに基づくしわ改善作用又はくすみ改善作用が期待されることが記載されている。特許文献4には、タネツケバナ由来抽出物に線維芽細胞増殖促進作用があり、それに基づく抗老化作用又はしわ改善作用が期待されることが記載されている。特許文献5には、タネツケバナ由来抽出物にヒアルロン酸産生促進作用があり、それに基づく抗老化作用又はしわ改善作用が期待されることが記載されている。
本発明者らは、上述するタネツケバナ抽出物の各種分画物には、特許文献2〜5に記載されるようなタンパク質糖化抑制作用、線維芽細胞増殖促進作用、及びヒアルロン酸産生促進作用は存在しないことを確認した。即ち、特許文献2〜5に記載される各種作用は、タネツケバナ抽出物の各種分画物には存在しない成分に起因することを確認した。
以上のような知見に基づき、更なる検討と改良を重ね、下記に代表される発明が提供される。
項1.
下記(A)〜(F)の条件でのHPLC分析において、保持時間11.1分にピークを有する成分(I)、及び/又は、保持時間14.6分にピークを有する成分(II)を含有し、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物:
(A)HPLCカラム:オクタデシル化シリカゲル担体(粒子径3μm)を充填した内径4.6mm、長さ150mmのカラム
(B)HPLCカラムオーブン温度:40℃
(C)流速:0.8ml/分
(D)検出:190〜400nm
(E)移動相:(a)メタノール及び(b)10mMギ酸アンモニウム水溶液
(F)グラジエント条件:85%の(a)と15%の(b)との混合溶媒を5分間保持し、その後15分かけて混合溶媒中の(a)の濃度を85%から100%に直線的に上昇させ、その後(a)の濃度を100%に維持。
項2.
PSF1遺伝子発現抑制剤である、項1に記載の組成物。
項3.
がんの予防又は治療剤である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
がんが、脳腫瘍、乳がん、呼吸器がん、消化器がん、泌尿器系腫瘍、女性性器腫瘍、及び血液腫瘍から成る群より選択される1種以上である、項3に記載の組成物。
項5.
タンパク質糖化抑制活性、線維芽細胞増殖促進活性、及びヒアルロン酸産生促進活性を有さない、項1〜4のいずれかに記載の組成物。
項6.
前記成分(I)及び(II)がタネツケバナに由来する、項1〜5のいずれかに記載の組成物。
項7.
タネツケバナを含水低級アルコールで抽出し、得られた抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーに供して得られる画分である、項1〜6のいずれかに記載の組成物。
項8.
前記逆相ゲルカラムクロマトグラフィーの移動相として低級アルコール又はアセトニトリルを使用する、項7に記載の組成物。
項9.
下記(1)〜(3)を含む方法によって得られる、項1〜6のいずれかに記載の組成物:
(1)タネツケバナを低級アルコールで抽出し、抽出液を回収すること、
(2)(1)で得られた抽出液をヘキサンとの液々分配に供し、下層を回収すること、
(3)(2)で得られた下層をクロロホルムとの液々分配に供し、クロロホルム画分を回収すること。
項10.
前記方法が、更に下記(4)を含む、項9に記載の組成物:
(4)(3)で得られたクロロホルム画分を、移動相として低極性溶媒及び低級アルコールの混合液を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供すること。
項11.
項1〜10のいずれかに記載の組成物が濃縮された食品。
項12.
PSF1遺伝子発現抑制させるための項1〜10のいずれかに記載の組成物の使用(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
本発明により、PSF1遺伝子の発現を抑制し、がんを効果的に治療することが可能となる。これは、PSF1遺伝子活性を抑制することにより、通常のがん細胞だけでなく、がん幹細胞の増殖を有意に抑制し(又はこれらの細胞を休眠させ)、がんの腫瘍形成能だけでなく、浸潤能及び転移能をも効果的に抑制することができる為である。従って、本発明により、がんの悪性化又は重篤化を予防することができる。また、PSF1遺伝子の発現抑制(特に、中程度の発現抑制)は、細胞増殖を起こさない又は細胞増殖速度が緩やかな正常な細胞には顕著な影響を示さない。それは、がん細胞は細胞の休眠化が誘導されても、細胞周期のチェックポイントが破綻しているために、分裂を休止せず、細胞分裂の為に必要な分子が準備されていなくても分裂を継続しようとするために、次の分裂で分裂死が誘導されるが、正常細胞の場合、休眠化が誘導されても、細胞分裂に十分な分子が準備できてから分裂するために分裂死は誘導されないためである。したがって、本発明は、より安全な、患者にとって負担の少ないがんの治療手段となる。
タネツケバナ抽出物を液々分画して得られたクロロホルム分画物のHPLCクロマトグラフである。縦軸は検出波長(280nm)での吸光度を示し、横軸は保持時間(分)を示す。ここにおいて、特徴的な2つのピーク(I)(保持時間11.223分)と(II)(保持時間14.722分)の存在が示されている。 タネツケバナ抽出物を液々分画して得られたクロロホルム分画物を順相中圧分取カラムクロマトに付し、得られたタネツケバナの順相分画物(1)のHPLCクロマトグラフである。縦軸は検出波長(280nm)での吸光度を示し、横軸は保持時間(分)を示す。ここにおいて、特徴的な2つのピーク(I)(保持時間11.072分)と(II)(保持時間14.658分)の存在が示されている。 タネツケバナ抽出物を逆相中圧分取カラムクロマトに付し、得られたタネツケバナの逆相分画物(2)のHPLCクロマトグラフである。縦軸は検出波長(280nm)での吸光度を示し、横軸は保持時間(分)を示す。ここにおいて、特徴的な2つのピーク(I)(保持時間10.948分)と(II)(保持時間14.546分)の存在が示されている。 各種抽出物(A)およびタネツケバナ抽出物の分画物(B)をLLC細胞に添加して16時間培養した後の、細胞の形態を示す顕微鏡写真である。Aの1はネガティブコントロール(DMSO)、Aの2はタネツケバナ抽出物、Aの3はポジティブコントロール(Rhus taitensis抽出物を添加した場合)である。Bの1はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、Bの2は順相分画物(1)、Bの3は逆相分画物(2)である。 PSF1プロモーター制御下にEGFP蛍光蛋白を発現するLLC細胞に各種抽出物(A)及びタネツケバナ抽出物の分画物(B)を添加し、EGFPの発現強度及びPI染色強度をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。Aの1はネガティブコントロール(DMSO)、Aの2はタネツケバナ抽出物、Aの3はポジティブコントロール(Rhus taitensis抽出物を添加した場合)である。Bの1はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、Bの2は順相分画物(1)、Bの3は逆相分画物(2)である。 タネツケバナ抽出物及びタネツケバナ抽出物を種々の方法によって分画した分画物をLLC細胞に添加し、細胞内のPSF1 mRNAの発現量をリアルタイムPCRで解析した結果を示す。DMSO添加に比べ、タネツケバナ抽出物及びタネツケバナ抽出物の分画物を添加した細胞ではPSF1遺伝子の発現が減弱している。横軸の1はネガティブコントロール(DMSOの添加)、2はタネツケバナ抽出物、3はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、4は順相分画物(1)、5は逆相分画物(2)を添加した場合である。縦軸は、コントロールを基準としたPSF1 RNAの相対発現量を示す。 タネツケバナ抽出物及びタネツケバナ抽出物を種々の方法によって分画した分画物を種々のヒトがん細胞[glioma (U87MG), breast cancer (MCF7), lung cancer (EBC1), gastric cancer (HGC-27), colon cancer (HT29), prostate cancer (PC3), cervical cancer (HELA), leukemia (MEG01)[()内は細胞株名を示す]]に添加し、細胞内のPSF1 mRNAの発現量をリアルタイムPCRで解析した結果を示す。横軸の1はネガティブコントロール(DMSOの添加)、2はタネツケバナ抽出物、3はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、4は順相分画物(1)、5は逆相分画物(2)を添加した場合である。縦軸は、コントロールを基準としたPSF1 RNAの相対発現量を示す。 マウス肺がん細胞株(KLN205細胞株)を用いたがん発生モデルにおいて、マウスにタネツケバナ抽出物を投与した際に、肺に形成される腫瘍塊の数を計算した結果を示す。縦軸は、肺当たりに形成された腫瘍塊の数を示す。横軸の1はネガティブコントロール(DMSOの投与)であり、2はタネツケバナ抽出物を投与した場合を示す。 タネツケバナ抽出物の分画物が、タンパク質糖化に及ぼす影響を、CML [カルボキシメチルリジン(carboxymethyllysine)]の発現量により測定した結果を示す。CMLとは、終末糖化産物であるadvanced glycosylation end product (AGEs)のひとつであり、糖化のマーカーである。分画物を添加していないネガティブコントロールを100とした。横軸に関し、1はネガティブコントロール(DMSOの添加)、2はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、3は順相分画物(1)、4は逆相分画物(2)を添加した場合である。縦軸は、コントロールを基準としたAGEsの相対産生量を示す。いずれの分画物においても、糖化を促進する効果が観察された。 タネツケバナ抽出物の分画物が、線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を、観察した際の結果を示す。分画物を添加していないネガティブコントロールでの線維芽細胞の増殖レベルを100とした。横軸に関し、1はネガティブコントロール(DMSOの添加)、2はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、3は順相分画物(1)、4は逆相分画物(2)を添加した場合である。縦軸は、コントロールを基準とした線維芽細胞の相対増殖量を示す。いずれの分画物においても、細胞増殖を抑制することが観察された。 タネツケバナ抽出物の分画物が、線維芽細胞からのヒアルロン酸産生に及ぼす影響を測定した際の結果を示す。分画物を添加していないネガティブコントロールでのヒアルロン酸産生レベルを100とした。横軸に関し、1はネガティブコントロール(DMSOの添加)、2はタネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、3は順相分画物(1)、4は逆相分画物(2)を添加した場合である。縦軸は、コントロールを基準としたヒアルロン酸の相対産生量を示す。いずれの分画物においても、ヒアルロン酸産生の促進が認められないか、又は抑制的に作用することが観察された。
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、下記(A)〜(F)の条件でのHPLC分析において、保持時間11.1分にピークを有する成分(I)、及び/又は、保持時間14.6分にピークを有する成分(II)を含有することが好ましい。
(A)HPLCカラム:オクタデシル化シリカゲル担体(粒子径3μm)を充填した内径4.6mm、長さ150mmのカラム
(B)HPLCカラムオーブン温度:40℃
(C)流速:0.8ml/分
(D)検出:190〜400nm
(E)移動相:(a)メタノールと(b)10mMギ酸アンモニウム水溶液
(F)グラジエント条件:85%の(a)と15%の(b)との混合溶媒を5分間保持し、その後15分かけて混合溶媒中の(a)の濃度を85%から100%に直線的に上昇させ、その後(a)の濃度を100%に維持
保持時間に関して「保持時間11.1分」及び「保持時間14.6分」には、前後数秒(例えば、20秒、15秒、10秒、5秒、3秒、2秒、又は1秒)の範囲が含まれる。これは、同じ条件を採用してHPLC分析を行っても、ロット間で保持時間に若干の実験誤差が生じる為である。
粒子径3μmのオクタデシル化シリカゲル担体は、商業的に入手可能であり、それらを適宜選択して使用することができるが、次の仕様を満たすことが好ましい。
(a)母体:高純度球状シリカゲル(ESシリカ)
(b)表面積:200m/g
(c)細孔径:200Å(20nm)
(d)細孔容積:1.00mL/g
(e)化学結合基:オクタデシル基
(f)エンドキャップ:あり
(g)炭素量:9%
(h)UPSコード:L1
上記仕様を満たす単体としては、例えば、後述する製造例2で使用したジーエルサイエンス株式会社製の「InertSustainSwift(登録商標) C18」を挙げることができる。「粒子径3μm」とは、平均粒子径が3μmであることを意味する。
検出波長は、190nm〜400nmの範囲から任意に選択した波長を用いることができる。例えば、検出波長は、254nm、280nm又は365nmに設定することができる。
PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物を取得するための手段、及び、原料等は特に制限されない。好適な一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、植物を原料として抽出することによって得ることができる。好ましい植物としては、タネツケバナを挙げることができる。「タネツケバナ」とは、アブラナ科タネツケバナ属の植物であり、タネツケバナ(Cardamine scutata)及びオオバタネツケバナ(Cardamine regeliana)が含まれる。
抽出に供される植物の部位は、特に限定されず、全草、地上部、葉、樹皮、茎、根、果実、種子、種皮、及び花等から適宜選択することができる。より高いPSF1遺伝子の発現阻害活性を有する抽出物を得るという観点から、タネツケバナの抽出物は、その全草の抽出物であることが好ましい。
植物の抽出物は、公知の抽出方法を任意に選択し、組み合わせて実施することにより得ることができる。例えば、植物又はその一部をそのまま又は乾燥後、粉砕又は細切し、溶媒を用いてバッチ式又は連続式で抽出することができる。
抽出溶媒は、任意の溶媒を選択して使用することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール溶媒;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムのようなメタン誘導体、1,1,1−トリクロロエタンのようなエタン誘導体、あるいはテトラクロロエチレンのようなエチレン誘導体である塩化脂肪族炭化水素溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独、混合、又は組み合わせて用いることができる。タネツケバナの抽出物を得る為の好ましい溶媒としては、上記と同様の観点から、低極性溶媒(例えば、酢酸エチル及びクロロホルム等)及びアルコール溶媒が上げられ、より好ましくはエステル溶媒、塩化脂肪族炭化水素溶媒、及び低級アルコール溶媒(例えば、含水低級アルコール溶媒)、更に好ましくは脂肪酸低級アルキルエステル溶媒、塩化脂肪族低級炭化水素溶媒、及びメタノール、エタノールである。
抽出に使用する溶媒の量は適宜選択することができ、通常、原料に対し、好ましくは1〜100倍量の抽出溶媒を使用すればよい。抽出温度も適宜、目的に応じて決定すればよいが、水抽出の場合は通常、好ましくは4〜130℃、より好ましくは25〜100℃である。溶媒中に低級アルコールが含まれる場合は4〜70℃の範囲が好適である。非アルコール系有機溶媒を用いる場合は、4℃〜還流温度で抽出を行うことが好ましい。
抽出時間は、抽出効率を考慮して設定することができる。例えば、数分〜数日、好ましくは30分〜1日の範囲となるように、原料、抽出溶媒、抽出温度を設定することができる。抽出操作は、例えば、攪拌しながら又は静置して行えばよく、必要に応じて数回繰り返してもよい。更に、必要に応じて、ろ過、遠心分離、濃縮、限外ろ過等の処理を組み合わせて、PSF1遺伝子発現阻害活性を有する抽出物を得ることができる。
上述する抽出物をそのままPSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物とすることができるが、必要に応じて、抽出物を濃縮、乾固した物を水、極性溶媒、又は非極性溶媒に再度溶解してPSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物とすることもできる。PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、生理作用を損なわない範囲で、抽出物を脱色、脱臭、脱塩、液々分配、及びカラムクロマトグラフィー(順相及び/又は逆相等のクロマトグラフィー)等による分画・精製処理を行って得られる精製物(又は分画物)として得ることが好ましい。
一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、上述する抽出物を液々分配に供して得ることが好ましい。液々分配は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、n-ブタノール、及び水等から選択される互いに混じり合わない2種類の液体溶媒を用いて、使用した溶媒により形成される上下2層の各溶媒に転溶する成分ごとに分画する方法である。これを繰り返すことにより、例えば、ヘキサン可溶画分、クロロホルム可溶画分、酢酸エチル可溶画分、n-ブタノール可溶画分、水可溶画分に分画することができる。好ましい使用溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、含水アルコール(例えば、80%メタノール、80%エタノール)、及び水である。一実施形態において、ヘキサンと水(又は含水アルコール)とを用いて液々分配に供し、下層である水層(又は含水アルコール層)を回収し、更にクロロホルムを用いた液々分配に供し、下層であるクロロホルム層を回収することが好ましい。得られたクロロホルム層は水を用いて洗浄するのが好ましい。各液々分配は、複数回繰り返すことができ、例えば、2〜5回繰り返すことができる。
一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、上述する抽出物を順相クロマトグラフィーに供して得ることが好ましい。順相クロマトグラフィーでは、固定相にシリカゲルを用いることが好ましい。移動相(溶出溶媒)としては、低極性溶媒(例えば、トルエン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、等)、アセトン及び低級アルコール(例えば、メタノール等)等の有機溶媒を用いることができる。単一溶媒、又は、2〜3種の混合溶媒を適宜使用し、低極性溶媒から高極性溶媒へと使用溶媒の極性を上げることにより、シリカゲルに吸着させた物質(抽出物等)を低極性物質から順次溶出して分画することができる。移動相としては、クロロホルム−メタノール系溶媒、又は、酢酸エチル−メタノール系溶媒の使用が好ましい。順相クロマトグラフィーを用いてPSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物を得る場合、上述する液々分配によって得られた画分(例えば、クロロホルム画分)をその試料として用いることが好ましい。
一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、上述する抽出物を逆相クロマトグラフィーに供して得ることが好ましい。逆相クロマトグラフィーでは、固定相に低極性のもの(例えば、シリカゲルに炭素鎖数8のオクチル基、又は炭素鎖数18のオクタデシル基を結合させたもの。後者はODSと呼ばれる)を用いることが好ましい。移動相(溶出溶媒)としては、高極性のもの(例えば、水又は塩類含有水溶液、低級アルコール、及びアセトニトリル等の有機溶媒)を単一若しくは混合溶媒として用いることができる。例えば、移動相として、水−アルコール系を使用する場合、アルコール含量を順次上げることにより、高極性の物質から順に溶出し始め、分画物を得ることができる。移動相としては、水−メタノール系溶媒、又は、水−エタノール系溶媒の使用が好ましい。
順相クロマトグラフィーのバリエーションとして、親水性相互作用クロマトグラフィー等を用いることができる。固定相に表面を極性基(ジオール、アミド、スルホベタインなど)で修飾したシリカゲルを用い、移動相に水を含む溶媒を用いることにより、逆相クロマトグラフィーでは分離が困難な極性化合物を分離することが可能である。その他、混合物をその分子サイズにより分離する、分子ふるいクロマトグラフィーや、無機イオンや高極性分子をその電荷を利用して分離するイオン交換クロマトグラフィー等を利用してPSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物を得ることも可能である。
PSF1遺伝子発現の抑制活性は、任意の手法で測定することができるが、例えば、後述する実施例に示すように、PSF1遺伝子プロモーター制御下にEGFPを発現するように構築された株化細胞(例えば、LLC細胞)を用いて測定することができる。
一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、タンパク質糖化抑制活性、線維芽細胞増殖促進活性、及びヒアルロン酸産生促進活性から成る群から選択される少なくとも1種の活性を有さないことが好ましく、好ましくは前記の群から選択される2種以上の活性を有さず、より好ましくは前記群に属する全ての活性を有さない。タンパク質糖化抑制活性は、後述する試験例5に記載される方法で測定することができる。線維芽細胞増殖促進活性は、後述する試験例6に記載される方法で測定することができる。ヒアルロン酸産生促進活性は、後述する試験例7に記載される方法で測定することができる。
一実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、成分(I)及び成分(II)を含み、他の任意の成分を含むことができるが、実質的に成分(I)及び成分(II)のみを含むことが好ましい。他の実施形態において、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物は、成分(I)又は成分(II)を含むことが好ましい。
タネツケバナの抽出物及びその各種分画物は、PSF1遺伝子発現抑制活性を有するため、PSF1遺伝子発現抑制剤、或いは、がんの予防又は治療剤として利用することが出来る。PSF1遺伝子発現抑制剤は、タネツケバナの抽出物またはその各種分画物自体(例えば、生薬)であっても、タネツケバナの抽出物またはその各種分画物と他の成分とを組み合わせた製剤(例えば、漢方薬)であっても良い。また、PSF1遺伝子発現抑制剤は、食品の形態であってもよい。食品には、一般食品及び機能性食品(例えば、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品等)が含まれる。
PSF1遺伝子発現抑制剤をがんの予防又は治療剤として利用する場合、がんの種類は特に制限されず、任意に選択することができる。例えば、がんは、脳腫瘍(例えば、神経膠腫)、乳がん、呼吸器がん(例えば、肺がん)、消化器がん(例えば、大腸がん、胃がん)、泌尿器系腫瘍(例えば、前立腺がん)、女性性器腫瘍(例えば、子宮頸がん)、及び血液腫瘍(例えば、白血病)から成る群より選択される1種以上であり得る。一実施形態において、予防又は治療の対象として好ましいがんの種類は、肺がん、子宮頸がん、大腸がん、胃がん、及び神経膠腫である。
PSF1遺伝子発現抑制剤、或いは、がんの予防又は治療剤の形態は特に制限されず、例えば、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態とすることが出来る。使用目的に応じて、タネツケバナの抽出物またはその各種分画物は薬学的に許容可能な各種の担体と配合し、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。
薬学的に許容可能な担体は、特に制限されないが、例えば、デンプン、乳糖、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、水、エチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等を挙げることが出来る。これらの1種又は2種以上の組合せを適宜選択して使用することが出来る。
PSF1遺伝子発現抑制活性を有するタネツケバナの抽出物またはその各種分画物を医薬とする場合の配合量は、疾患の程度、患者年齢等によって相違し、実験的に定めることが好ましい。例えば、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する抽出物を有効成分とする経口製剤の場合は、大人一人(60kg体重)当たり一日量として、5mg〜30g程度であり、20mgないし10g程度とすることが好ましく、1日1回ないし数回に分けて投与することができる。また、血管内投与の場合は、0.5mg〜3g程度、又は2mg〜1g程度とすることが好ましく、この場合も1日1回ないし数回に分けて注射により、または輸液とともに投与することができる。
PSF1遺伝子発現抑制活性を有するタネツケバナの抽出物またはその各種分画物は、それを食品に配合することにより、当該抽出物またはその各種分画物が濃縮された食品とすることが出来る。食品中に濃縮した状態で配合される当該抽出物またはその各種分画物の量は、目的に応じて適宜設定することができ、例えば、抽出物またはその各種分画物の乾燥重量換算で、大人1日の摂取量が、0.1〜30gとなるように設定することが出来る。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
製造例1:タネツケバナの抽出物の調製
タネツケバナの全草の乾燥物500gに80%エタノール5Lを加え、50℃で8時間時々振盪し、次いで室温で一晩静置した。これを濾過し、濾液を減圧濃縮し、次いで一晩凍結乾燥させて、タネツケバナの抽出物96.6gを得た。
製造例2:タネツケバナ抽出物からのクロロホルム分画物及び順相分画物(1)の調製
製造例1で得たタネツケバナ抽出物の一部(20.31g)を、メタノール1440mLに溶解(不溶物あり)させ、水360mLを追加し、撹拌し、ほぼ溶解させた。450mL, 360mL, 及び360mLのヘキサンを用い合計3回液々分配に付した。下層を、2700mL,及び 200mLのクロロホルムを用い合計2回液々分配に付した。得られたクロロホルム層を合し、水500mLを用いて洗浄、次いで減圧濃縮し、タネツケバナのクロロホルム分画物(1793mg)を得た。本クロロホルム分画物を、クロロホルムに少量のメタノールを加えた溶媒に溶解し、珪藻土約15mlを加え、濃縮乾固した。本分画物担持珪藻土を25mlの注射筒に入れ、下記カラムの手前に連結し、次の条件で中圧分取カラムクロマトに付した。カラム:Biotage ZIPTM80g Si (40-63μm) (シリカゲル80g、容積102ml)(バイオタージ・ジャパン株式会社製)、
流速:50ml/min、分画容量:25ml、検出:UV254nm
タイムモード:W 3分 クロロホルム:メタノール=100:0 (Fr.1〜6)
G 21分 クロロホルム:メタノール=100:0 → 90:10 (Fr.7〜48)
T 5分 クロロホルム:メタノール=90:10 (Fr.49〜58)
Fr.24〜29を合し、減圧濃縮し、タネツケバナの順相分画物(1)128mgを得た。
このようにして得られたタネツケバナのクロロホルム分画物及び順相分画物(1)は、HPLC分析において、各々図1及び図2のクロマトグラムを示した。いずれのクロマトグラムにおいても、特徴的な2つのピーク(I)(保持時間11.1分付近)と(II)(保持時間14.6分付近)が確認された。HPLC測定条件は以下通りである。
カラム:InertSustainSwift C18( 3μm、4.6φX150mm) (ジーエルサイエンス株式会社製)
LCシステム:Shimadzu LC-6A system(株式会社島津製作所製)
カラムオーブン温度:40℃
流量:0.8 mL/min
検出:UV280nm
移動相:メタノール(A)、10mMギ酸アンモニウム溶液(B)
グラジエントプログラム:0→5min A(85%)、B(15%)、
5→20min A(85→100%)、B(15→0%)、
20→40min A(100%)、B(0%)、
40→45min A(100→85%)、B(0→15%)
製造例3:タネツケバナ抽出物の逆相分画物(2)の調製 タネツケバナの全草の乾燥物17gに80%メタノール170mlを加え、50℃で8時間時々振盪し、次いで室温で一晩静置した。これを濾過し、得られた濾液をODSカラムを用いたフラッシュカラムクロマトに付した。カラム(YMC-DispoPack AT(ODS-25: 40g)株式会社ワイエムシィ製) を80%メタノールで予め浸潤させた後、上記濾液を全量カラムに流し入れた。次いで、移動相として90%メタノールを120ml流した後、100%メタノールで溶出を続けた。100%メタノールに切り替えた時点から各60ml づつ分画し、画分3〜5を合して濃縮乾固し、タネツケバナの逆相分画物(2)66mgを得た。
このようにして得られたタネツケバナの逆相分画物(2)は、HPLC分析の結果、図3のクロマトグラムを示した。上述のクロロホルム分画物及び順送分画物と同様に、特徴的な2つのピーク(I)(保持時間11.1分付近)と(II)(保持時間14.6分付近)が確認された。HPLC条件は上記製造例2における分析条件と同じである。
試験例1:細胞形態に基づく細胞死誘導性の検討
PSF1遺伝子プロモーター制御下にEGFPを発現する肺がん細胞株 LLC (Cancer Res 70, 1215-1224, 2010)を、大阪大学から入手した。この細胞株を10%胎仔牛由来血清(FCS)、100 units/mlのペニシリン、100 μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM中で、5% CO2、37℃の条件下で培養した。このようにして培養したLLCを10細胞ずつ6well培養皿に播種し、2mlの上記培養液中で24時間培養した。上記製造例1、2及び3で得たタネツケバナ抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)をdimethyl sulfoxide (DMSO; ナカライ テスク社製)に溶解し、最終濃度が100μg/mlとなるようにLLCを培養したウェルに添加した。なお、順相分画物(1)のみ最終濃度を30μg/mlとした。ネガティブコントロールには、DMSOのみを2μl添加した。ポジティブコントロールには、製造例1と同様の方法でRhus taitensisの葉から得た抽出物を最終濃度が100μg/mlとなるように添加した。その後、前記培養条件で16時間培養し、細胞の形態を顕微鏡で観察した。結果を図4に示す。ネガティブコントロールの細胞像と同様に、タネツケバナ抽出物を添加した細胞の形態は特に変化なく、細胞死が誘導されていないことが示された(図4Aの1、及び2)。一方、Rhus taitensisの抽出物を添加した細胞では、細胞死特有の形態の変化が見られ、細胞死の誘導が確認された(図4Aの3)。また、タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)によっても細胞死は誘導されないことが確認された (図4Bの1〜3)。
試験例2:PSF1遺伝子発現抑制作用の検討
試験例1と同じ条件で培養したLLC細胞を5%FCSを含むリン酸緩衝液(PBS)で1回洗浄した後、500μlの5%FCSを含むPBSに分散させた。そこに、propidium iodide(PI:BD Bioscience社製)を2μl加えて穏やかに混和し、室温、暗所で15分間反応させた。その後、細胞をフローサイトメーター(FACS Calibur:Becton Dickinson社製)に供し、GFP蛍光強度及びPI蛍光強度についてフローサイトメトリー法を用いて解析した(図5)。ネガティブコントロールの細胞ではほとんどがGFP陽性PI陰性である(図5Aの1)。これは、細胞が生存しており、PSF1の遺伝子が転写され続けていることを意味する。一方、ポジティブコントロールであるRhus taitensisの抽出物を添加した細胞では、PI強度が103を越えるまで上昇し、細胞死が誘導されたことが確認された(図5Aの3)。これらと比較して、タネツケバナの抽出物を添加した細胞では、PIの強度はさほど上昇せず、GFP強度は低下することが確認された(図5Aの2)。また、タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)においても、若干PI強度は高くなったが、103を越えるまでには至らず、タネツケバナ抽出物と同様の結果が得られた(図5Bの1〜3)。これらの結果から、タネツケバナ抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)によって、16時間という培養時間内では細胞死は誘導されないがPSF1遺伝子のプロモーター活性が抑制されることが判明した。
なお、図1〜3のクロマトグラムで確認された2つのピーク(I)と(II)の化合物は、それぞれ、単独で3μg/mlの濃度で細胞障害性を与えることなく、PSF1遺伝子発現抑制作用(80〜90%抑制)を示すことが確認された。
試験例3:リアルタイムPCRを用いたPSF1発現抑制作用の検討
定量リアルタイムPCR を用いて、LLC細胞,ヒトglioma細胞 (U87MG), breast cancer細胞 (MCF7), lung cancer細胞 (EBC1), gastric cancer細胞 (HGC-27), colon cancer細胞 (HT29), prostate cancer細胞 (PC3), cervical cancer細胞 (HELA),及びleukemia細胞 (MEG01)におけるPSF1遺伝子の発現に対する抽出物及び各分画物の影響を検討した。試験例1と同様の条件で各細胞を培養し、タネツケバナ抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)で処理したがん細胞から、kit (Qiagen社製)を用いて、トータルRNAを得た。尚、LLC細胞については、クロロホルム分画物のみ最終濃度は300μg/mlとした。次に、ExScript RT reagent Kit(タカラ社製)を用いて、回収した各全RNAからcDNAをそれぞれ合成し、得られたcDNAを用いて、PSF1の発現をリアルタイムPCR法によって解析した。比較対照として解糖系酵素であるGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)のmRNAの発現量も測定した。リアルタイムPCRは、Stratagene Mx300P (Stratagene社製)を用いて実施した。マウスPSF1をPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- CCGGTTGCTTCGGATTAGAG -3´(配列番号1)
5´- CTCCCAGCGACCTCATGTAA -3´(配列番号2)
マウスGAPDHをPCRで合成するためのプライマーとして以下の配列を用いた。
5´- AACTTTGGCATTGTGGAAGG -3´(配列番号3)
5´- GGATGCAGGGATGATGTTCT -3´(配列番号4)
ヒトPSF1をPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- ACCTGTATGACCGCTTGCTTC -3´(配列番号5)
5´- TTCATCTCCTCCCAGTGAC-3´(配列番号6)
ヒトGAPDHをPCRで合成する際のプライマーとして、以下の配列を用いた。
5´- ACCCAGAAGACTGTGGATGG -3´(配列番号7)
5´- CCCTGTTGCTGTAGCCAAAT -3´(配列番号8)
測定結果を図6(マウスLLC細胞)及び図7(ヒトがん細胞)に示す。図6及び7に示される結果から、タネツケバナの抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)は、マウス及びヒトのがん細胞におけるPSF1の発現を抑制することが確認された。特に、ヒトがん細胞を用いた解析結果から、タネツケバナの抽出物及びこれらの分画物は、脳腫瘍、乳がん、呼吸器がん、消化器がん、泌尿器系腫瘍、女性性器腫瘍、そして血液腫瘍などへの効果が確認され、あらゆる種類のがん種に対してPSF1発現抑制効果を有することが判明した。この結果は、タネツケバナの抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)は、がん細胞及びがん幹細胞においてPSF1の発現を抑制し、細胞周期を停止させることでがんの休眠化を誘導することを意味する。これまでの解析によれば、PSF1の遺伝子はがんの種類に関係なく発現が亢進しているため、タネツケバナの抽出物、そのクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)はあらゆるがんの治療に有効であると考えられる。また、がんの悪性化及び重篤化の予防にも有効であることが期待される。
試験例4:マウス肺がん発生モデルを用いたin vivo活性評価の検討
KLN205細胞(マウス扁平上皮肺癌細胞)は独立行政法人理化学研究所から入手した。この細胞を、10%FBS (Hyclon社製)、Non-Essential Amino Acids (Lonza社製)、ペニシリン(100units/ml ;Invitrogen社製)、及びストレプトマイシン (100μg/ml; Invitrogen社製)を含有するEagle MEM(日水製薬社)を用いて培養した。80%コンフレントまで培養後、Trypsin/EDTA (Invitrogen社製)により回収し、PBSにて2.0x106細胞/mLに調製した。
7週齢のDBA/2雌性マウス(日本SLC社製)を清水実験材料株式会社より購入し、3日間予備飼育を行い馴化させた。マウスは、温度22±3℃、湿度55±15%、常時オールフレッシュ方式換気、照明12hr/day(午前6時より午後6時)に設定した飼育室にて、プラスチック製飼育ケージに3匹ずつ収容し飼育した。また、飼料はラボMRストック(日本農産工業)、水は水道水を自動給水装置で自由摂取させた。
ソムノペンチル(共立製薬株式会社)にて麻酔を施したマウスの尾静脈より、調製したKLN205細胞を100μL(2.0x105細胞)注射した。注射5日後からDMSOおよびPBSにて10mg/mLに調製したタネツケバナの抽出物を腹腔内へマウス1匹あたり200μL投与した。なおDMSOの終濃度は5%であった。各抽出物は1日おきに7回投与し、最終投与から2日後にソムノペンチルにて麻酔を施した後、肺を摘出しパラホルムアルデヒド(和光純薬株式会社)にて組織の固定をおこなった。肺がん発症の評価は、固定した肺を実体顕微鏡下で観察し、1肺表面に確認できる腫瘍塊を合計することで行った。
評価結果を図8に示す。図8に示される結果から明らかなように、コントロールと比べてタネツケバナの抽出物により肺に形成される腫瘍塊の数が減少することが判明した。この解析系では、一個のがん細胞が一つの腫瘍塊を形成することが予想される、がん幹細胞による腫瘍形成のモデルと考えられている(T. Kaneko et al., : KLN205 - a murine lung carcinoma cell line. In Vitro, 16 (1980), pp. 884-892)。つまり、PSF1の発現を抑制する抽出物は、がん幹細胞の旺盛な自己複製を抑制し、がんの発症を抑制することが示唆された。また、がんがすでに発症していたとしても、がん幹細胞の自己複製を抑制すればがん細胞の増殖を抑制できることから、がんの予防だけでなくがんの治療にもタネツケバナ抽出物を利用できることが示唆された。
試験例5:蛋白質の糖化抑制作用の検討
96ウエルプレートにリン酸緩衝生理食塩水(PBS;phosphate buffer saline)で調製した1/6Mグルコース6-リン酸二ナトリウム水和物、10mg/mLヒト血清アルブミンおよびDMSOで調整した試験物質[タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)] を最終濃度4mg/mlで添加し、11日間、37℃でインキュベートした。インキュベート後、ELISA法により、最終糖化産物のひとつであるCML[Ne-(carboxymethyl)lysine]産生量をCircuLexTM CML/Ne (carboxymethyl) lysine ELISA Kit (CycLex社製)で測定した。試験物質溶液を添加していない対照(コントロール)のCML [カルボキシメチルリジン(carboxymethyllysine)]を100としたときの各試料溶液のCML量を図9に示す。ここで、CMLとは、終末糖化産物であるadvanced glycosylation end product (AGEs)のひとつであり、糖化のマーカーとなるものである。
図9に示される結果から明らかなように、タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)にはCML産生を抑制する作用はなく、むしろその産生を促進することが判明した。
試験例6:線維芽細胞増殖作用の検討
ヒト0才児包皮由来真皮線維芽細胞を24ウエルプレートに6X104細胞/ウエルで播種した。0.5%牛血清を添加したDMEM培地(Sigma社製)1mlで一晩培養後、試験物質 [タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)]をDMSOに溶解した溶液を最終濃度0.003質量%となるように添加し、2日間培養後に細胞数を計測した。図10は、試験物質溶液を添加していない対照(コントロール)を100としたときの相対値を算定して示した。図10に示される結果から明らかなように、本発明のPSF1の発現を抑制する分画物である、タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)には、線維芽細胞を増殖させる効果はないことが判明した。
試験例7:ヒアルロン酸産生促進作用の検討
24ウエルプレートに、5X104細胞/ウエルの濃度でヒト真皮線維芽細胞を播種し、コンフレントになった時点で、試験物質 [タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)]をDMSOに溶解した溶液を10μg/mlの濃度で含む、DMEM(0.5%牛血清含有)培地で培養した。試験物質添加2時間後に、培養上清を回収し、ELISA法にてヒアルロン酸産生量を測定した。対照群はDMSOのみを添加した培養上清を用いた。測定にはHyaluronan assay kit (生化学バイオビジネス社製)を用いた。結果は、試験物質溶液を添加していない対照(コントロール)について測定されたヒアルロナン(ヒアルロン酸と同義)の量に対する各試験物質を添加した場合の相対値を算定して図11に示した。図11に示される結果から明らかなように、タネツケバナ抽出物のクロロホルム分画物、順相分画物(1)及び逆相分画物(2)には、ヒアルロン酸産生を促進させる効果はないか、若しくは逆に抑制的に作用することが判明した。
試験例8:タネツケバナの抽出条件の検討
下記の表1に示す各種の抽出溶媒10mlを用い、上記製造例1と同様の手順で、タネツケバナの葉1g(乾燥重量)から抽出物を調製した。但し、「還流」の記載があるものは、還流温度で1時間還流抽出を行った。各抽出物について、試験例1及び2と同様の試験を行い、細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子発現抑制活性を有するものについて、活性ありと判断した。その結果を表に示す。
試験例9:オオバタネツケバナを用いた試験
上記製造例1と同様の方法により、80%エタノール20mlを用いて、オオバタネツケバナ(Cardamine regeliana)の全草の乾燥物2グラムから得られた濾液の一部10mlを乾固させ、抽出物267mgを得た。この抽出物を用いて、上記試験例1及び2と同様の試験を行ったところ、即時の細胞死誘導活性はなく、PSF1遺伝子の発現抑制活性が確認された。

Claims (11)

  1. 下記(A)〜(F)の条件でのHPLC分析において、保持時間11.1分にピークを有する成分(I)、及び/又は、保持時間14.6分にピークを有する成分(II)を含有し、前記成分(I)及び(II)がタネツケバナに由来する、PSF1遺伝子発現抑制活性を有する組成物:
    (A)HPLCカラム:オクタデシル化シリカゲル担体(粒子径3μm)を充填した内径4.6mm、長さ150mmのカラム
    (B)HPLCカラムオーブン温度:40℃
    (C)流速:0.8ml/分
    (D)検出:190〜400nm
    (E)移動相:(a)メタノール及び(b)10mMギ酸アンモニウム水溶液
    (F)グラジエント条件:85%の(a)と15%の(b)との混合溶媒を5分間保持し、その後15分かけて混合溶媒中の(a)の濃度を85%から100%に直線的に上昇させ、その後(a)の濃度を100%に維持。
  2. PSF1遺伝子発現抑制剤である、請求項1に記載の組成物。
  3. がんの予防又は治療剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. がんが、脳腫瘍、乳がん、呼吸器がん、消化器がん、泌尿器系腫瘍、女性性器腫瘍、及び血液腫瘍から成る群より選択される1種以上である、請求項3に記載の組成物。
  5. タンパク質糖化抑制活性、線維芽細胞増殖促進活性、及びヒアルロン酸産生促進活性を有さない、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. タネツケバナを含水低級アルコールで抽出し、得られた抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーに供することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法
  7. 前記逆相ゲルカラムクロマトグラフィーの移動相として低級アルコール又はアセトニトリルを使用する、請求項6に記載の製造方法
  8. 下記(1)〜(3)を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法
    (1)タネツケバナを低級アルコールで抽出し、抽出液を回収すること、
    (2)(1)で得られた抽出液をヘキサンとの液々分配に供し、下層を回収すること、
    (3)(2)で得られた下層をクロロホルムとの液々分配に供し、クロロホルム画分を回収すること。
  9. に下記(4)を含む、請求項8に記載の製造方法
    (4)(3)で得られたクロロホルム画分を、移動相として低極性溶媒及び低級アルコールの混合液を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供すること。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の組成物が濃縮された食品。
  11. PSF1遺伝子を発現抑制させるための請求項1〜のいずれかに記載の組成物の使用(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
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