JP5765735B2 - 冷菓製造装置の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷菓製造装置の運転方法に関するものであって、特に、冷菓原料のロス量を低減することができるようにした冷菓製造装置の運転方法に関するものである。
従来、冷菓製造装置として、図4に示すように、一端側に冷菓原料を供給する原料供給ポンプP1と、原料供給ポンプP1が接続される供給口21が形成され、他端側に冷菓を排出する冷菓排出口22を形成したシリンダと、冷菓排出口22に接続される冷菓排出ポンプP2と、シリンダ2の外表面2Aを冷却する冷却手段3と、シリンダ2内で回転駆動機構40によって回転駆動することにより、シリンダ2の内表面2Bに氷着する冷菓原料を掻き取りながら攪拌する攪拌手段4とから構成される冷菓製造装置80が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
この冷菓製造装置80のシリンダ2には、運転開始の際に、通常、冷菓原料のみを充填し、原料供給後に原料供給ポンプP1を停止して、攪拌手段4を作動させながら冷却手段3によって冷菓原料を冷却する原料冷却運転を行い、所定時間又は攪拌手段4の回転力が所定の数値になったときにシリンダ2の冷菓排出口22から冷菓排出ポンプP2を介して冷菓を排出し、次工程に送る冷菓製造運転を開始するようにしている。
しかし、製造する冷菓がアイスクリームである場合のように、製造する冷菓に空気を混在させた食感が望まれる場合には、原料冷却運転から冷菓製造運転に切り替えたときに、原料供給ポンプP1の作動による冷菓原料の供給とともに、空気供給手段5を作動させてシリンダ2内に空気を供給し、所望の食感となるようにしている。
そのため、冷菓製造運転の開始時に排出される空気が混在されていない状態の冷菓は製品として使用することができず、原料冷却運転の開始から冷菓製造運転までの間に冷やした冷菓材料は廃棄されることとなる。
係る問題点に対処するため、原料冷却運転の際に、原料供給ポンプP1によるシリンダ2への冷菓原料の供給とともに、冷菓原料に混在させる空気を空気供給手段5によって供給し、シリンダ2に供給する冷菓原料に所定量の空気を混在させ、製品として求められるオーバーラン(ここで、オーバーランとは、冷菓原料の重量をA(g)、該冷菓原料と同容量の冷菓の重量をB(g)としたとき、(A−B)÷B×100(%)で表される値をいう。以下、同じ。)となるようにして、原料冷却運転を行うようにした冷菓製造装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−169096号公報 特開平7−107917号公報
ところで、上記従来の冷菓製造装置80では、原料供給ポンプP1を停止して原料を冷却する初期の原料冷却運転から、原料を供給しながら冷菓を排出する冷菓製造運転に切り替える際には、そのタイミングを攪拌手段4の回転駆動機構40の回転力や原料冷却運転の運転時間によって経験的に切り替えているが、通常、製品となる冷菓温度の目標値に対して、目標の冷菓温度に対してよれより高い温度で運転を切り替えて、冷菓の温度を目標値に向かって収束させるようにしているため、排出される冷菓の温度が一定となるまでに長時間を要し、また、通常、初期の原料冷却運転からの切り替えで原料供給ポンプP1と冷菓排出ポンプP2を同時に駆動するため、切り替えて間もない状態では、シリンダ2内と比べて温度が高くなっている冷菓排出口22及び冷菓排出ポンプP2を冷菓が通過することで、その間に冷菓の温度が上昇することとなる。
このため、排出され始めた冷菓が安定して製品として使用できる品質となるために時間を要し、冷菓原料のロス量を十分に低減することができないという問題があった。
また、シリンダ2の内圧は、空気供給手段5から供給される空気の圧力が一定であるため、内圧が低い場合には空気の供給量が多くなり、逆に内圧が高くなると少なくなり、シリンダ2の内圧が安定しない場合には、製品に混在させる空気量の目安であるオーバーランが不安定となる。
そのため、初期の原料冷却運転から、原料を供給しながら冷菓を排出する冷菓製造運転に切り替えたとき、冷菓排出ポンプP2の排出量を調節しながらシリンダ2内を所定の内圧として、それを保持した運転となるまでに時間を要し、その間に排出される冷菓は廃棄することとなるため、冷菓原料のロス量が増えるという問題があった。
本発明は、上記従来の冷菓製造装置が有する問題点に鑑み、排出される冷菓を所望の温度になるように安定させるまでの時間を短縮し、冷菓原料のロス量を低減することができる冷菓製造装置の運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の冷菓製造装置の運転方法は、冷菓原料を供給する原料供給ポンプと、前記冷菓原料に混在させる空気を供給する空気供給手段と、一端側に前記原料供給ポンプ及び空気供給手段が接続される供給口を形成し、他端側に冷菓を排出する冷菓排出口を形成したシリンダと、前記冷菓排出口に接続される冷菓排出ポンプと、前記シリンダの外表面を冷却する冷却手段と、前記シリンダ内で回転駆動機構によって回転駆動することにより、シリンダの内表面に氷着する冷菓原料を掻き取りながら攪拌する攪拌手段とを備えてなる冷菓製造装置の運転方法において、前記冷菓製造装置が、さらに、回転駆動機構の駆動負荷値を検出する負荷検出手段としての回転駆動機構の駆動電流値を検出する電流検出手段と、前記シリンダの内圧を検出する圧力検出手段と、前記原料供給ポンプ、空気供給手段、冷菓排出ポンプ、冷却手段及び回転駆動機構の作動を制御する制御手段とを備え、該制御手段によって、前記シリンダ内に冷菓原料及び空気を供給し、原料供給ポンプ、空気供給手段及び冷菓排出ポンプを停止した状態で、冷却手段及び回転駆動機構を作動させる原料冷却運転、その後、停止していた原料供給ポンプ及び空気供給手段を作動させて冷菓原料及び空気の供給を開始する冷菓製造初期運転、その後、停止していた冷菓排出ポンプを作動させて冷菓の排出を開始して冷菓製造通常運転に順に切り替えるように制御するとともに、前記原料冷却運転から冷菓製造初期運転への切り替えを、前記電流検出手段によって検出した駆動電流値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値よりも高い、制御手段に予め設定した所定の駆動電流値に達したときに行うようにすることにより、冷菓原料の温度を冷菓製造通常運転時の目標温度よりも低い温度になるようにし、前記冷菓製造初期運転から冷菓製造通常運転への切り替えを、前記圧力検出手段によって検出された内圧の値が、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値よりも低い、制御手段に予め設定した所定の内圧の値に達したときに行うようにしたことを特徴とする。
この場合において、前記制御手段に予め設定した所定の駆動電流値を、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値の105%〜140%とすることができる。
また、前記制御手段に予め設定する所定の内圧の値を、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値の60%〜90%とすることができる。
本発明の冷菓製造装置の運転方法によれば、原料冷却運転、冷菓製造初期運転、冷菓製造通常運転に順に切り替えるように制御するとともに、原料冷却運転から冷菓製造初期運転への切り替えを、負荷検出手段によって検出した駆動負荷値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動負荷値よりも高い、制御手段に予め設定した所定の駆動負荷値に達したときに行うようにすることにより、冷菓原料の温度を冷菓製造通常運転時の目標温度よりも低い温度になるようにすることによって、冷菓排出口から冷菓排出ポンプを介して排出される冷菓の排出経路の温度を、冷菓製造初期運転時の温度の低い冷菓によって低下させることができ、冷菓製造通常運転時に排出される冷菓を所望の温度になるように安定させるまでの時間を短縮し、冷菓原料のロス量を低減することができる。
また、原料冷却運転から、冷菓排出ポンプを停止した冷菓製造初期運転を経てから冷菓製造通常運転に切り替えるようにすることにより、冷菓製造初期運転のときに、シリンダの内圧を容易に所望の内圧まで上昇させることができ、冷菓製造通常運転の際にシリンダの内圧を短時間で安定させることができる。
特に、回転駆動機構の駆動負荷値を検出する負荷検出手段を、回転駆動機構の駆動電流値を検出する電流検出手段とし、原料冷却運転から冷菓製造初期運転への切り替えを、電流検出手段によって検出した駆動電流値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値よりも高い、制御手段に予め設定した所定の駆動電流値に達したときに行うようにすることにより、回転駆動機構の駆動負荷値を簡易に検出するができる。
また、シリンダの内圧を検出する圧力検出手段を備え、冷菓製造初期運転から冷菓製造通常運転への切り替えを、圧力検出手段によって検出された内圧の値が、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値よりも低い、制御手段に予め設定した所定の内圧の値に達したときに行うようにすることにより、シリンダ内を冷菓製造通常運転の際の目標の内圧より低い値から目標値に向かって制御する、つまり、内圧を目標の内圧に制御する方法として、目標値に対して目標値よりも低い値から目標値に向かって収束させるように制御することで、短い時間でシリンダ内の内圧を安定させ、オーバーランも安定させることができ、冷菓原料のロス量を低減することができる。
そして、制御手段に予め設定した所定の駆動電流値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値の105%〜140%とすることにより、目標の冷菓温度に対して、低すぎる温度とならず、また、冷菓製造通常運転が開始されたときに、シリンダ内と比べて温度の高い冷菓排出口及び冷菓排出ポンプを通過することとなる冷菓の温度が目標の冷菓温度を大きく上回ることを有効に防止することができる。
また、制御手段に予め設定する所定の内圧の値を、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値の60%〜90%とすることにより、目標の内圧に対して、低すぎる内圧で冷菓製造通常運転に切り替えることがないから、短時間で目標の内圧に収束し、安定した冷菓製造通常運転を行うことができる。
本発明を適用する冷菓製造装置の一実施例を示す一部切り欠き断面の正面図である。 シリンダを冷却する冷媒の蒸発温度の違いによる、シリンダ内の冷菓温度が安定するまでの時間を示すグラフである。 同冷菓製造装置の運転手順を示すフロー図である。 従来の冷菓製造装置を示す一部切り欠き断面の正面図である。
以下、本発明の冷菓製造装置の運転方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、本発明を適用する冷菓製造装置の一実施例を示す。
この冷菓製造装置1は、冷菓原料を供給する原料供給ポンプP1と、冷菓原料に混在させる空気を供給する空気供給手段5と、一端側に原料供給ポンプP1及び空気供給手段5が接続される供給口21を形成し、他端側に冷菓を排出する冷菓排出口22を形成したシリンダ2と、冷菓排出口22に接続される冷菓排出ポンプP2と、シリンダ2の外表面2Aを冷却する冷却手段3と、シリンダ2内で回転駆動機構40によって回転駆動することにより、シリンダ2の内表面2Bに氷着する冷菓原料を掻き取りながら攪拌する攪拌手段4とを備え、回転駆動機構40の駆動電流値を検出する電流検出手段6と、原料供給ポンプP1、空気供給手段5、冷菓排出ポンプP2、冷却手段3及び回転駆動機構4の作動を制御する制御手段10とを備え、制御手段10によって、シリンダ2内に冷菓原料及び空気を供給し、原料供給ポンプP1、空気供給手段5及び冷菓排出ポンプP2を停止した状態で、冷却手段3及び回転駆動機構40を作動させる原料冷却運転D1、その後、停止していた原料供給ポンプP1及び空気供給手段5を作動させて冷菓原料及び空気の供給を開始する冷菓製造初期運転D2、その後、停止していた冷菓排出ポンプP2を作動させて冷菓の排出を開始して冷菓製造通常運転D3に順に切り替えるように制御するとともに、原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2への切り替えを、電流検出手段6によって検出した駆動電流値が、冷菓製造通常運転D3時の回転駆動機構40の目標駆動電流値TAよりも高い、制御手段に予め設定した所定の駆動電流値に達したときに行うようにすることにより、冷菓原料の温度を冷菓製造通常運転時の目標温度よりも低い温度になるようにしている。
ここで、回転駆動機構40の駆動電流値は、シリンダ2内の冷菓原料の凝固度合い(冷却度合い)によって異なり、凝固が進み、冷菓原料の温度が下がるにつれて上昇することから、同一の回転駆動機構40に対して、同一容量のシリンダ2に同一のオーバーラン(空気量)とした冷菓原料であれば、温度低下に比例して、駆動電流値は上昇する関係にある。
なお、上記のとおり、原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2への切り替えのタイミングとなるシリンダ2内の冷菓原料の凝固度合い(冷却度合い)の検知を、回転駆動機構40の駆動電流値を測定する電流検出手段6を用いて行うようにしたが、これに限定されず、他の回転駆動機構40の駆動負荷値を検出する負荷検出手段、例えば、回転駆動機構40の駆動軸41のトルクを直接測定する歪ゲージや磁歪式等の負荷検出手段を用いて行うようにすることもできる。
冷却手段3は、シリンダ2の外表面2Aを冷却することによって、シリンダ2の内表面2Bに接する冷菓用原料を冷却するもので、本実施例においては、シリンダ2の外表面2Aを覆う筒状部材30と、この筒状部材30の下部に形成した冷媒導入口31、上部に形成した冷媒排出口32とから構成するようにしている。
冷却手段3による冷却方式は、本実施例においては、直接膨張満液式を採用し、冷媒導入口31から導入される冷媒の蒸発によって直接シリンダ2の外表面2Aを冷却するようにしている。
原料冷却運転D1と原料を供給しながら冷菓を排出する冷菓製造通常運転D3との間に原料供給ポンプP1及び空気供給手段5を作動させて冷菓原料及び空気の供給を開始するものの、冷菓排出ポンプP2を作動させない冷菓製造初期運転D2を行うように制御手段10によって制御し、原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2への切り替えのタイミングを、電流検出手段6によって検出した駆動電流値が、冷菓製造通常運転D3時の回転駆動機構40の目標駆動電流値TAよりも高い(ただし、当然に回転駆動機構40の定格電流値以下)、制御手段10の記録手段11に予め設定した所定の駆動電流値に達したときに行うようにすることにより、シリンダ2内の冷菓原料の温度を冷菓製造通常運転時の目標温度よりも低い温度になるように、つまり、冷菓を所望の温度に安定させる制御方法として、目標値に対して超過した値から目標値に向かって収束させるように制御することとによって、冷菓排出口22から冷菓排出ポンプP2を介して排出される冷菓の排出経路の温度を、冷菓製造初期運転D2時の温度の低い冷菓によって低下させることができ、冷菓製造通常運転D3時に排出される冷菓を所望の温度になるように安定させるまでの時間を短縮し、冷菓原料のロス量を低減することができる。
また、原料冷却運転D1から、冷菓排出ポンプP2を停止した冷菓製造初期運転D2を経てから冷菓製造通常運転D3に切り替えるようにすることにより、冷菓製造初期運転D2のときに、シリンダ2の内圧を容易に所望の内圧まで上昇させることができ、冷菓製造通常運転D3の際にシリンダ2の内圧を短時間で安定させることができる。
また、本実施例においては、原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2への切り替えを行う所定の駆動電流値を、回転駆動機構40の駆動電流値が、冷菓製造通常運転D3のときの目標駆動電流値TAに対して、105%〜140%の範囲、好ましくは110%〜130%の範囲に設定して、原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2への切り替えを行うようにしている。
このように、切り替えの基準を回転駆動機構40の駆動電流値とすることは、冷菓排出ポンプP2を停止しているために、冷菓排出口22に配備されている温度計によって冷菓の温度を測定できないためであるが、実際に冷菓排出口22から排出される際に温度計で計測される実際の冷菓の温度での制御は、駆動電流値で行う場合よりも目標温度に収束するまでに時間を要するため、駆動電流値による起動切り替えで行う冷菓の温度制御では、短時間で目標温度に収束し、廃棄されて無駄となる冷菓を減らし、冷菓原料のロス量を低減することができる。
また、具体的な目標駆動電流値TAは、回転駆動機構40の容量、シリンダ2の容量、冷菓製品の所望のオーバーランの値によって異なるものの、本発明者らの実験によると、シリンダ容量2.8L、回転駆動機構40が3.7KW(200V)の電動機で、オーバーラン75%のときには、回転駆動機構40の駆動電流値が8Aのときに、冷菓温度が約−7℃となることが判明しており、製品としての冷菓の所望温度が−4〜−7℃であれば、目標駆動電流値TAは8Aとすることが好ましい。
そして、切り替えを行う際の駆動電流値は、シリンダ容量、使用する電動機の容量、冷菓製品のオーバーランの値を考慮した発明者らの実験によれば、目標駆動電流値TAの105%〜140%の範囲、好ましくは110%〜130%の範囲、設定値としてさらに好ましくは、目標駆動電流値TAが8Aの場合には、その125%である10Aとすることで、冷菓を製品の品質に早期に安定させことができ、廃棄することで無駄となる冷菓を減らし、冷菓原料のロス量を低減できることが判明した。
なお、上限値として、回転駆動機構40の定格電流値としているのは、回転駆動機構40の損傷を防止するためである。
また、この冷菓製造装置1には、シリンダ2の内圧を検出する圧力検出手段7を備え、圧力検出手段7によって検出された内圧の値が制御手段10に配備され冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値TPを記録する記録手段11の当該目標値TP以下であって、冷菓製造初期運転D2開始時の内圧を超えた範囲にあるときに、冷菓製造初期運転D2から冷菓製造通常運転D3への切り替えを行うようにしている。
上述したように、原料冷却運転D1から冷菓を排出する運転に切り替える間に、冷菓排出ポンプP2を停止した冷菓製造初期運転D2を経てから冷菓製造通常運転D3に切り替えるようにしたことで、冷菓製造初期運転D2のときに、シリンダ2の内圧が上昇するが、冷菓製造初期運転D2開始時にシリンダ2の内圧が直ちに上昇するものではなく、冷菓製造初期運転D2開始時の内圧を超えた範囲となるには一定の時間を要する。
そして、冷菓製造初期運転D2から冷菓製造通常運転D3への切り替えるタイミングを、シリンダ2の内圧の目標値TPを記録する記録手段11の当該目標値TP以下であって、冷菓製造初期運転D2開始時の内圧を超えた範囲とすることで、シリンダ2内の内圧の目標値TPより低い、つまり、内圧を目標値TPに制御する方法として、目標値に対して目標値よりも低い値から目標値に向かって収束させるように制御することで、短い時間でシリンダ2内の内圧を安定させ、オーバーランも安定させることができ、冷菓原料のロス量を低減することができる。
また、本実施例においては、制御手段10に配備され冷菓製造通常運転D3時のシリンダ2の内圧の目標値TPを記録する記録手段11の当該目標値TPに対して、圧力検出手段7によって検出された内圧の値が60%〜90%の範囲のときに、冷菓製造初期運転D2から冷菓製造通常運転D3への切り替えを行うようにしている。
具体的なシリンダ2の目標値TPは、オーバーランを安定させるために、空気供給手段5からコンスタントに一定の空気量が供給されるように、例えば、空気供給手段5からの供給空気圧力が0.4MPaの場合には、目標値TPを0.2MPaとすることが好ましく、これに対して、切り替え時の内圧は、記録手段11の当該目標値の60%〜90%、好ましくは70%〜80%、設定値としてさらに好ましくは、内圧の目標値TPの75%である0.15MPaとするようにしている。
これによって、内圧の目標値TPに対して、低すぎる内圧で冷菓製造通常運転D3に切り替えることがないから、短時間で目標の内圧に収束し、安定した冷菓製造通常運転D3を行うことができ、廃棄することで無駄となる冷菓を減らし、冷菓原料のロス量を低減することができる。
次に、この冷菓製造装置1を用いて、冷菓を製造する運転手順を、図3に示すフロー図に基づいて説明する。
まず、原料供給ポンプP1と空気供給手段5を作動させ、シリンダ2内に製品となる冷菓所望のオーバーランとなる割合で冷菓原料及び空気を供給する。
次いで、原料冷却運転D1を開始する。
このとき、冷却手段3による冷却は、上述したとおり、シリンダ2の外表面2Aを覆う筒状部材30に冷媒を導入することでシリンダ2の外表面2Aを直移設冷却するものであるが、冷媒の蒸発温度は、バッチ冷却であるため、熱量計算によって求められた温度である必要はなく、熱量計算によって求めた温度の場合には冷菓原料の物性が安定するのに却って時間がかかることとなり、安定した冷菓の排出に時間を要することで冷菓原料のロス量が増える場合がある。これは図2のグラフに示すとおり、冷媒蒸発温度を低くした場合(グラフG1の場合)、冷菓の目標温度TTへの到達は早く、攪拌時間K1は短く済むものの、冷菓温度が目標温度TTに到達してからの温度の振れが大きく安定しないため、目標温度TTに安定(目標温度TTの前後数%の誤差範囲を含めて)するまでの時間(T3−T1)が長く、その間に排出される冷菓が製品として使用できず多量の冷菓原料のロスが発生することとなる。
一方、冷媒蒸発温度を高くした場合(グラフG2の場合)には、冷菓の目標温度TTへ到達するまでに時間がかかり、攪拌時間K2が長くなるものの、冷菓温度が目標温度TTに到達してからの温度の振れが小さく、早期に安定するため冷菓原料のロスが発生する時間(T4−T2)が短くなる。
そのため、本実施例においては、例えば、排出する冷菓の温度を−4℃〜−7℃の範囲で安定させたい場合には、冷媒の蒸発温度は、−25℃〜−35℃、好ましくは約−30℃となるように、比較的高い冷媒蒸発温度を採用するようにしている。
また、原料冷却運転D1の際には、シリンダ2に配設されているエア抜きバルブ(図示省略)は閉鎖されており(当初、シリンダ2内に冷菓原料及び空気を供給する際に開放される。)、シリンダの内圧はほぼ大気圧となっている。
そして攪拌手段4の回転駆動機構40の駆動電流値が、制御手段10の記録手段11に記憶される目標駆動電流値TAである8Aに対して、125%である10Aに到達したとき、原料供給ポンプP1及び空気供給手段5を作動させ、所望のオーバーランの値を保つようにしながら、冷菓製造初期運転D2へ切り替える。
原料冷却運転D1から冷菓製造初期運転D2へ切り替わることによって、シリンダ2の内圧が徐々に上昇する。
冷菓製造初期運転D2は、シリンダ2の内圧を冷菓製造通常運転D3時の目標値TPよりも低い値であって、冷菓製造初期運転D2の運転時の内圧(大気圧)を超えた範囲(通常、冷菓製造初期運転D2に切り替えて、直ちにシリンダ2の内圧が上昇することはない。)にあるときに冷菓排出ポンプP2を運転し、冷菓製造通常運転D3に切り替える。
具体的には、上述したとおり、目標値TPを0.2MPaとして記録手段11に記録し、これに対して、切り替え時の内圧は、記録手段11の当該目標値TPの60%〜90%、好ましくは70%〜80%、設定値としてさらに好ましくは、目標値TPの75%である0.15MPaとするようにして、冷菓製造初期運転D2から冷菓製造通常運転D3へ切り替えるようにしている。
これによって、目標値TPに対して、目標値よりも低い値から目標値に向かって収束させるように制御することができ、シリンダ2内の内圧を短時間で目標値である0.2MPaに収束させ、供給する空気量を安定させるとともに、オーバーランを安定させ冷菓原料のロス量を低減する運転を行うことができる。
以上、本発明の冷菓製造装置の運転方法について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、回転駆動機構の駆動電流値を検出する電流検出手段以外の回転駆動機構の駆動負荷値を検出する負荷検出手段を用いる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の冷菓製造装置の運転方法は、排出される冷菓を所望の温度になるように安定させるまでの時間を短縮し、冷菓原料のロス量を低減することができる特性を有していることから、アイスクリーム等の各種冷菓を製造する冷菓製造装置の運転の用途に好適に用いることができる。
1 冷菓製造装置
2 シリンダ
2A シリンダの外表面
2B シリンダの内表面
21 供給口
22 冷菓排出口
3 冷却手段
4 攪拌手段
40 回転駆動機構
5 空気供給手段
6 電流検出手段
7 圧力検出手段
10 制御手段
11 記録手段
P1 原料供給ポンプ
P2 冷菓排出ポンプ
D1 原料冷却運転
D2 冷菓製造初期運転
D3 冷菓製造通常運転

Claims (3)

  1. 冷菓原料を供給する原料供給ポンプと、前記冷菓原料に混在させる空気を供給する空気供給手段と、一端側に前記原料供給ポンプ及び空気供給手段が接続される供給口を形成し、他端側に冷菓を排出する冷菓排出口を形成したシリンダと、前記冷菓排出口に接続される冷菓排出ポンプと、前記シリンダの外表面を冷却する冷却手段と、前記シリンダ内で回転駆動機構によって回転駆動することにより、シリンダの内表面に氷着する冷菓原料を掻き取りながら攪拌する攪拌手段とを備えてなる冷菓製造装置の運転方法において、前記冷菓製造装置が、さらに、回転駆動機構の駆動負荷値を検出する負荷検出手段としての回転駆動機構の駆動電流値を検出する電流検出手段と、前記シリンダの内圧を検出する圧力検出手段と、前記原料供給ポンプ、空気供給手段、冷菓排出ポンプ、冷却手段及び回転駆動機構の作動を制御する制御手段とを備え、該制御手段によって、前記シリンダ内に冷菓原料及び空気を供給し、原料供給ポンプ、空気供給手段及び冷菓排出ポンプを停止した状態で、冷却手段及び回転駆動機構を作動させる原料冷却運転、その後、停止していた原料供給ポンプ及び空気供給手段を作動させて冷菓原料及び空気の供給を開始する冷菓製造初期運転、その後、停止していた冷菓排出ポンプを作動させて冷菓の排出を開始して冷菓製造通常運転に順に切り替えるように制御するとともに、前記原料冷却運転から冷菓製造初期運転への切り替えを、前記電流検出手段によって検出した駆動電流値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値よりも高い、制御手段に予め設定した所定の駆動電流値に達したときに行うようにすることにより、冷菓原料の温度を冷菓製造通常運転時の目標温度よりも低い温度になるようにし、前記冷菓製造初期運転から冷菓製造通常運転への切り替えを、前記圧力検出手段によって検出された内圧の値が、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値よりも低い、制御手段に予め設定した所定の内圧の値に達したときに行うようにしたことを特徴とする冷菓製造装置の運転方法
  2. 前記制御手段に予め設定した所定の駆動電流値が、冷菓製造通常運転時の回転駆動機構の目標駆動電流値の105%〜140%であることを特徴とする請求項記載の冷菓製造装置の運転方法
  3. 前記制御手段に予め設定した所定の内圧の値が、冷菓製造通常運転時のシリンダの内圧の目標値の60%〜90%であることを特徴とする請求項1又は2記載の冷菓製造装置の運転方法
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