JP2007028967A - 冷菓製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】撹拌ユニットを回転させて冷却シリンダ内のミックスを空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置において、撹拌ユニットの撹拌回転数Rが、ミックスの凝固点付近で増加し、かつ、冷菓の空気抱き込み完了点で減少するように変速制御される。
【選択図】図1
Description
なお、できあがった冷菓は、冷却シリンダ内において、適温(ソフトクリームの場合は−6℃程度)に維持して適度な撹拌を行いながら保管される。(たとえば、特許文献1参照)
1)できあがった冷菓を冷却シリンダ内で撹拌しながら長時間保管すると、適度に混合された空気が抜けて冷菓独特の食感を低下させるので、商品価値に問題が生じてくる。
2)売れ残った冷却シリンダ内の冷菓は、所定温度まで加熱殺菌して液体原料の状態に戻され、翌日まで保管することになる。従って、牛乳をベースとする液体原料自体の品質低下が懸念される。
3)加熱殺菌した液体原料を冷却シリンダ内に保管するので、保管時の品質低下等を抑制するためには食品添加物が必要となる。
ところで、良好な食感の冷菓を製造するためには適切なオーバーラン(冷菓中の空気容積比率)を確保する必要があり、従って、上述した冷菓の短時間製造を行うためには撹拌機の回転数を高く設定することが望ましい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷菓を短時間製造する装置において、適切なオーバーランを確保してへたりのない良好な食感の冷菓を製造できる冷菓製造装置を提供することにある。
本発明に係る冷菓製造装置は、撹拌手段を回転させて容器内の液体原料を空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置において、前記撹拌手段の撹拌回転数が、前記液体原料の凝固点付近で増加し、かつ、前記冷菓の空気抱き込み完了点で減少するように変速制御されることを特徴とするものである。
また、上記の冷菓製造装置においては、前記変速制御が前記冷菓の温度検出値に基づいてなされることが好ましい。この場合、凝固点、空気抱き込み完了点及び冷菓完成時に対応する冷菓温度について、液体原料や製造する冷菓の種類により異なる所定の温度設定値を実験等により予め定めておき、冷菓製造時に温度検出値が低下する過程において設定値を検出した時点で撹拌手段の回転数を変速制御すればよい。
また、撹拌機を高速回転で運転する時間が短縮されると、摺動部品の部品交換回数が低減されるので、メンテナンスを容易にし、かつ、ランニングコストも低減されるという効果が得られる。
<第1の実施形態>
図2の概略構成図において、冷菓製造装置10は、容器内のミックス(液体原料)を撹拌しながら冷却してソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造する装置である。この冷菓製造装置10は、ミックスを空気とともに収容する円筒状の容器である冷却シリンダ11と、冷却シリンダ11内のミックスを所望の温度に冷却して固化させるヒートポンプ式の冷却装置(冷却手段)30と、冷却シリンダ11内のミックス及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化されるミックスの固形分とミックス及び空気とを混合して練り上げる撹拌ユニット(撹拌・混合手段)40と、冷却シリンダ11の内周面に沿って軸方向へ移動することでシリンダ11内に練り上げられた(できあがった)冷菓を押し出して取り出すピストン装置(冷菓取出手段)60と、冷菓取出用のプランジャ装置80とを具備して構成される。
なお、図示の冷菓製造装置10は、各種の設定及び運転制御を行うため、後述する制御部20を適所に備えている。
冷却シリンダ11の外周面には、冷却シリンダ11内のミックスを所望の温度に冷却して固化させるため、冷却装置30の構成要素となる銅チューブ31aが冷却能力を増すため密に巻き付けられている。この銅チューブ31a内は、冷菓製造時に液冷媒が流れるので、この液冷媒が気化熱を奪うことにより冷却シリンダ11内のミックスを冷却することができる。
この冷却装置30は、ガス冷媒を圧縮して閉回路の冷凍サイクルに送出する電動の圧縮機32と、圧縮機32の下流で冷媒の循環方向を切り替える四方弁33と、冷媒と外気との間で熱交換を行う第1熱交換器34と、液冷媒を減圧する絞り機構35と、銅チューブ31a内を流れる冷媒と冷却シリンダ11内のミックスとの間で熱交換を行う第2熱交換器36と、これらの各機器を連結することで冷媒が循環する閉回路を形成する銅チューブ31とを具備して構成される。なお、図2において、図中の符号37はレシーバ、38は電動ファンである。
従って、図中に矢印で示す冷菓製造時の冷媒循環方向では、第1熱交換器34が凝縮器として機能し、第2熱交換器36が蒸発器として機能するが、加熱殺菌時の冷媒循環方向では、第2熱交換器36が凝縮器として機能し、第1熱交換器34が蒸発器として機能する。
混合棒42は、冷却シリンダ11の軸方向において撹拌羽根41と同様の範囲をカバーする長さを有し、内周面11aとの間に形成される距離は、上述した撹拌羽根41の微小隙間より大きな値に設定される。この混合棒42は、たとえば円形断面、三角形及び四角形等の多角形断面とした中実または中空の棒材であり、その両端部は円形支持部材49,50に固定支持されている。
また、撹拌用回転軸43及び円形支持板49,50の軸中心部には、後述するピストン装置60を配設するため、たとえば貫通孔53等が設けられている。
また、ピストン装置60のピストン本体62は、冷菓製造時に冷却シリンダ11内の冷菓製造領域を外部から遮断して閉じる入口開口部12の開閉手段としても機能する。
そして、ピストン本体62には、上述した撹拌羽根41及び混合棒42を貫通させる不図示の切欠溝及び貫通孔が円周方向へ90度ピッチで交互に設けられている。このため、撹拌羽根41及び混合棒42は、ピストン本体62のスムーズな摺動を助けるガイド部材としても機能する。なお、撹拌羽根41と切欠溝との間、及び混合棒42と貫通孔との間については、ピストン本体62が軸方向へ摺動する動作を妨げない最小隙間となるよう寸法設定され、冷菓がピストン後方へ漏出しないようにしてある。
このため、ピストン本体62及びピストン軸61は、冷却シリンダ11内で撹拌回転体44と一体に回転する。なお、治具64は、ピストン軸61の自由な回転を許容するとともに、ピストン軸61を軸方向にスライドさせることが可能な構成となっている。
出口開口部13を塞ぐケーシング81の側壁には、出口開口部13と連通する位置に冷菓取出開口83が設けられている。さらに、ケーシング81の側壁には、プランジャ本体82の製造準備位置で冷却シリンダ11内とケーシング81の外部とを連通状態にする一対の空気流通口84a,84bが穿設されている。なお、ケーシング81の外部に連通する一方の空気流通口84aには、エアフィルタ85が設けられている。
また、空気流通口84a、84bは、冷却シリンダ11の上端面近傍位置で、かつ、ケーシング81の軸線を通る直線上に配設されている。さらに、プランジャ本体82には、図3に示す冷菓製造位置のみで両端が空気流通口84a,84bと一致するようにして、空気流通用のプランジャ貫通孔86が穿設されている。
なお、上述したプランジャ本体82のスライド動作は、手動あるいはソレノイド等を用いた遠隔操作のいずれであってもよい。
ここで、撹拌用電動機46のトルク検出値に基づく撹拌回転数Rの変速制御について、図1に示した具体例に基づいて詳細に説明する。なお、図1においては、撹拌用電動機46のトルク割合P(電動機46の定格トルクを100として算出した運転時におけるトルク検出値の割合)が一点鎖線で表示され、撹拌回転数Rが実線で表示されている。
この空気抱き込み回転数R3に設定して撹拌しながらさらに冷却を続けて冷却開始から時間t2が経過し、空気抱き込み完了点(空気の抱き込みが完了したと推測されるポイント)のトルク割合P2(たとえば40%程度)を検出すると、今度は撹拌ユニット40の撹拌回転数Rを凍結防止回転数R1まで減速する。この凍結防止回転数R1は、完成前のクリーム状冷菓が凍結しない程度の低速回転数であり、この状態の冷菓には空気の抱き込みがほとんどない。
そして、凍結防止回転数R1で撹拌しながらさらに冷却を続けて冷却開始から時間t3が経過することにより、冷菓が所望の固さを有するようになるため撹拌ユニット40の撹拌用電動機46に作用する負荷を増してトルク検出値を上昇させる。こうしてトルク検出値が上昇し、冷菓完成のトルク割合P3に到達した時点で冷菓が完成したと判断する。
冷菓製造装置10には、装置全体の各種制御を行う制御部20が設けられている。この制御部20には、撹拌ユニット40の駆動トルクを検出して撹拌回転数Rを変速制御するため、冷却制御部21が設けられている。
この冷却制御部21は、冷却運転時に撹拌用電動機46の駆動トルクを検出し、冷却シリンダ11内のミックスまたは冷菓の状態を検知する機能を有している。なお、撹拌用電動機46はインバータ制御の三相交流電動機であり、インバータ制御部90を介して交流電源16と接続されている。
また、インバータ制御部90で算出されたトルク値は、撹拌ユニット40の駆動トルクとして制御部20の冷却制御部21に入力される。冷却制御部21では、入力された駆動トルクのトルク値に基づいて、上述した変速制御を実施する。
なお、撹拌ユニット40の駆動源として、インバータ制御の撹拌用電動機46を採用することにより、駆動トルクを高精度に検出することができる。
続いて、撹拌用電動機46のトルク検出により撹拌回転数Rの変速制御を行う第1の実施形態とは異なり、冷菓の温度検出に基づいて撹拌回転数Rの変速制御を行う第2の実施形態を説明する。
この実施形態の変速制御は、図5に示すように、冷却シリンダ11内の適所に設置した温度センサ(不図示)が検出する冷菓の温度検出値(以下、「冷菓温度」と呼ぶ)Tに基づいて行われる。ここで使用する温度センサは、たとえば冷菓と直接接触するプランジャ本体80のリッド等の壁面内に埋設して冷菓温度を検出する。
冷菓製造が開始されると、撹拌ユニット40の撹拌用電動機46を初期回転数R2に設定して撹拌しながら冷却シリンダ11を冷却する。この冷却により時間t1が経過し、ミックスが空気を抱き込みやすい凝固点付近まで温度低下したと判断できる冷菓温度T3(たとえば−2〜0℃程度)を検出すると、撹拌ユニット40の撹拌回転数Rを空気抱き込み回転数R3に増速する。
そして、凍結防止回転数R1で撹拌しながらさらに冷却を続け、冷却開始から時間t3が経過すると冷菓が所望の低温に冷却されて冷菓温度T1(たとえば−6℃程度)が検出される。こうして冷菓温度が低下し、冷菓完成の冷菓温度T1に到達した時点で冷菓が完成したと判断する。
図6に示す変形例では、冷菓温度を検出する温度センサ(不図示)が、ピストン本体62を軸方向へ前進または後退させるボールネジ部61a内の適所に設置されている。この場合のピストン本体62は、同一位置でピストン軸61と一体に回動するボールネジ部61aと螺合しており、冷菓取出時にボールネジ部61aの回動方向に応じて移動する。なお、撹拌回転体44とピストン本体62及びボールネジ部61aとの間は、図示しないクラッチのオン・オフにより一体化または分離される。
また、冷菓製造位置で直接冷菓と接するプランジャ82の内部に温度センサ(不図示)を設置したり、ピストン本体62を軸方向に貫通するように設けたチューブ(不図示)内に熱電対等を挿入して冷菓温度を検出してもよい。
また、撹拌ユニット40を高速回転で運転する時間が短縮されると、摺動部品の部品交換回数が低減されるので、メンテナンスを容易にし、かつ、ランニングコストを低減することもできる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
20 制御部
21 冷却制御部
11 冷却シリンダ
30 冷却装置(冷却手段)
31a 銅チューブ
32 圧縮機
33 四方弁
34 第1熱交換器
35 絞り機構
36 第2熱交換器
40 撹拌ユニット(撹拌・混合手段)
41 撹拌羽根
42 混合棒
43 撹拌用回転軸
44 撹拌回転体
60 ピストン装置(冷菓取出手段)
61 ピストン軸
61a ボールネジ部
62 ピストン本体
80 プランジャ装置
90 インバータ制御部
Claims (3)
- 撹拌手段を回転させて容器内の液体原料を空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置において、
前記撹拌手段の撹拌回転数が、前記液体原料の凝固点付近で増加し、かつ、前記冷菓の空気抱き込み完了点で減少するように変速制御されることを特徴とする冷菓製造装置。 - 前記変速制御が撹拌手段のトルク検出値に基づいてなされることを特徴とする請求項1に記載の冷菓製造装置。
- 前記変速制御が前記冷菓の温度検出値に基づいてなされることを特徴とする請求項1に記載の冷菓製造装置。
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