以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、便宜上、図1において矢印で示した向きを基準として、各図において矢印で示すように前後、左右および上下の向きを設定する。
図1ないし図5を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るコネクタ1の構成について説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1を上方から示す斜視図であり、図2は、下方から示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1を示す断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1を分解した状態を上方から示す斜視図であり、図5は、下方から示す斜視図である。
図1ないし図5に示すように、コネクタ1は、コネクタ1の主要な外観を成すハウジング2と、ハウジング2の内部下側に収容される2つの第1接続端子3と、各第1接続端子3の上側に設けられ、ハウジング2の内部を上下方向に2分割する隔壁部材4と、隔壁部材4の上側に収容される2つの第2接続端子5と、各第2接続端子5の上側において、隔壁部材4に対し略平行となるようにハウジング2の上部に設けられるカバー6と、を備えている。なお、図4および図5では、第1接続端子3および第2接続端子5は、それぞれ1つのみ図示している。
ハウジング2は、合成樹脂等の絶縁材料から成り、後方および上方を開放して外観略箱状に形成される本体部10と、本体部10の前端部から下方に突出するように形成される突設部11と、を有している。本体部10と突設部11とは一体に形成されて、ハウジング2を構成している。
本体部10は、後部側に設けられる拡幅部12と、拡幅部12より左右方向に小さくなるように左右一対の段差部14を介して拡幅部12の前端から前方に延出される狭幅部13と、を有し、拡幅部12および狭幅部13の下部には、前後方向に亘って左右一対の収容凹部15が形成されている。
拡幅部12は、拡幅ベース部16と、拡幅ベース部16の左右端部から立設される左右一対の拡幅壁部17と、を有している。同様に、狭幅部13は、狭幅ベース部18と、狭幅ベース部18の左右端部から立設される左右一対の狭幅壁部19と、を有している。各拡幅壁部17と各狭幅壁部19とは段差部14により連設されている。
狭幅ベース部18は、拡幅ベース部16に対し僅かな段差を有し上方に位置している。各狭幅壁部19の外側面において上下方向中央より下部から狭幅ベース部18の下面に亘って帯状の凸部18aが形成されており、狭幅ベース部18の下面側の凸部18aには、リブ部18bが下方に突設されている。
各拡幅壁部17の外側面において、下部、前後方向略中央には、後側係止部20が突設されており、後部、上下方向略中央より上側には、略正方形状の矩形開口21が形成されている。
図4に良く示されているように、左側の拡幅壁部17の内側には、左側の収容凹部15の後方左側面を構成する内側立設部22が形成されている。同様に、右側の拡幅壁部17の内側面には、右側の収容凹部15の後方右側面を構成する内側立設部22が形成されている。各内側立設部22は、拡幅ベース部16の上面から矩形開口21の下端部までの間において前後方向に亘って各拡幅壁部17と一体に形成されている。また、各内側立設部22は、各狭幅壁部19の内側面の後方向への延長線よりも外側(拡幅壁部17側)に位置するように形成されている。なお、右側の収容凹部15の前方右側面および左側の収容凹部15の前方左側面は、左右一対の狭幅壁部19の内側面によって構成されている。
また、左側の内側立設部22の前端部分には、段差を有して前端立設部22aが右方向に突出して形成されている。さらに、左右一対の内側立設部22の前後方向略中央部分には、内側立設部22を前後に分断するように上下方向に亘って内側係止凹部23が形成されている。左側の内側立設部22の内側係止凹部23は、拡幅壁部17(外側)に向かってスリット状に切り込まれるようにして形成されている。図4からは明らかでないが、右側の内側立設部22の内側係止凹部23は、左側の内側立設部22の内側係止凹部23よりも、前方に向かって幅広に形成されている。つまり、左右一対の内側係止凹部23は、前後方向に相互にずれた異なる位置に形成されている。
また、各拡幅壁部17の内側面において、矩形開口21の上端部より上側には、内側係止部24が突設されており、各拡幅壁部17の内側面の前側には、内側立設部22の上端面から拡幅壁部17の上端近傍まで延出するガイド凸部25が突設されている。
拡幅ベース部16および狭幅ベース部18の左右方向中央には、前後方向に亘って中央立設部26が形成されている。中央立設部26は、右側の収容凹部15の左側面および左側の収容凹部15の右側面を構成し、上記した各内側立設部22と同一の高さとなるように立設されている。なお、拡幅ベース部16および狭幅ベース部18の内面(上面)は、各収容凹部15の下面を構成している。
中央立設部26は、拡幅部12側の後側中央立設部26aと、後側中央立設部26aより左右方向の幅が広くなるように段差を介して形成される狭幅部13側の前側中央立設部26bと、から構成されている。詳細には、後側中央立設部26aと前側中央立設部26bとの間の段差は、右側面において拡幅部12と狭幅部13との境界に1つの右側段差部26cが形成され、左側面において拡幅部12と狭幅部13との境界よりやや後方およびやや前方に第1左側段差部26dおよび第2左側段差部26eが形成されている。なお、第2左側段差部26eの形成位置は、上記した前端立設部22aの段差の形成位置に前後方向で一致している。また、前側中央立設部26bの前端部上面には、前後方向に長い板状の内部突起27が突設されている(正確には、狭幅部13と突設部11との間に突設されている。)。
後側中央立設部26aの前後方向略中央には、後側中央立設部26aを前後方向に分断するように中央係止凹部28が形成されている。中央係止凹部28の後端面は、右側が前方に延出してクランク状に形成されている。中央係止凹部28の左側後端面28aの形成位置は、上記した左側の内側立設部22に形成された内側係止凹部23の後端面の形成位置に前後方向で一致している。一方、中央係止凹部28の右側後端面28bは、上記した右側の内側立設部22に形成された内側係止凹部23の後端面の形成位置に前後方向で一致している。
上記から明らかなように、左右一対の収容凹部15は、拡幅ベース部16と、狭幅ベース部18と、左右一対の内側立設部22と、左右一対の狭幅壁部19と、中央立設部26とにより囲まれ、後方および上方を開放した空間として形成されている。
図3に良く示されているように、各収容凹部15の下面は、拡幅ベース部16の後端から上記した第1左側段差部26dおよび前端立設部22aの段差の形成位置までの間に形成される後側下面部15aと、後側下面部15aより僅かに上方に位置し、狭幅ベース部18の前端近傍まで延出して形成される中間下面部15bと、中間下面部15bより僅かに上方に位置し、狭幅ベース部18の前端まで延出して形成される前側下面部15cと、により構成されている。また、上記したように、各内側立設部22は狭幅壁部19の内側面位置より外側に位置し、後側中央立設部26aは左右方向の幅が狭くなっている。これにより、各収容凹部15は、後側が上下左右に広く(大径に)形成され、前方に向かうに従って、上下左右に狭く(小径に)なるように形成されている。
次に、突設部11は、狭幅部13の前方に設けられ、狭幅部13の下面から下方に突出して形成される突設本体部30と、突設本体部30の前方に形成される電源線収容部31と、電源線収容部31の前方に設けられるロックアーム32と、を有している。
突設本体部30は、下端に配設される突設ベース部33と、突設ベース部33の左右端部から立設される左右一対の突設側壁部34と、各突設側壁部34の前端部を連結するように突設ベース部33の前端部から立設される突設前壁部35と、各突設側壁部34の後端部を連結するように突設ベース部33の後端部から狭幅部13の下面までに形成される突設後壁部36と、を有している。これにより、突設本体部30は、上方を開放し、上部後方を狭幅部13の前部に連設される箱状に形成されている。
突設ベース部33には、円形の端子開口部37が前後左右に2つずつ並んで形成されている。つまり、4つの端子開口部37が格子状に形成されている。なお、前側で左右に並設された一対の端子開口部37の間には、前後方向に細長いスリット33aが形成されている。
各突設側壁部34の外側面は、狭幅部13の各狭幅壁部19の外側面と同一平面を形成しており、各突設側壁部34および突設前壁部35の上端面は、各狭幅壁部19の上端面と同一平面を形成している。また、各突設側壁部34の前後方向略中央には、外側嵌合溝34aが凹設されている。左右一対の外側嵌合溝34aは、突設側壁部34の下端から上下方向中央よりやや上側までの間に形成されている。同様に、突設後壁部36、狭幅ベース部18および前側中央立設部26bの左右方向略中央には、後側嵌合溝36aが凹設されている。後側嵌合溝36aは、突設側壁部34の下端から上下方向略中央よりやや上側までの間に形成されている。すなわち、左右一対の外側嵌合溝34aは、前後に並設された一対の端子開口部37の間に形成され、後側嵌合溝36aは、後側で左右に並設された一対の端子開口部37の間に形成されている。
突設前壁部35の前面において、上部、各突設側壁部34の近傍には、左右一対の前側係止部35aが突設されている。
突設本体部30の内部には、上記した端子開口部37に対応する位置に円柱状の収容孔部38が上下方向に形成されている。図3に良く示されているように、この収容孔部38は、後側の左右一対の端子開口部37と上記した左右一対の収容凹部15の先端部とを連通させる左右一対の第1収容孔部38aと、前後隔壁部39aを挟んで各第1収容孔部38aの前方に設けられる左右一対の第2収容孔部38bと、から構成されている。
左右一対の第1収容孔部38aの間には、上記した前側中央立設部26bが延設されており、その前方には段差を有して上方に延出し、左右一対の第2収容孔部38bの間に設けられる左右隔壁部39b(図4参照)が形成されている。なお、左右隔壁部39bの上端面には、前端電源線溝部39cが形成されている。
各第1収容孔部38aおよび各第2収容孔部38bは、各端子開口部37よりも僅かに大径に形成されている。また、各収容孔部38a,38bの下部には、突設側壁部34に貫通する前後方向に細長い長方形状の収納開口38cが形成されている。また、各第2収容孔部38bは、各第1収容孔部38aよりも上下方向に長く形成されている。すなわち、端子開口部37は、前方に配設されたものほど、上下方向に長く延出するように形成されている。
電源線収容部31は、矩形筒状に形成されており、その下面を突設ベース部33の下面と同一平面とし、突設前壁部35の上端面より上方に延出させている。電源線収容部31の下面には、電源線開口31aが形成され、電源線収容部31の内部には、電源線開口31aと左右隔壁部39bの前端電源線溝部39cの前端部とを連通させる電源線収納孔部31bが上下方向に形成されている。
電源線収容部31の左外側面には左方向に突出する第1誤挿入防止凸部31cが形成されている。また、電源線収容部31の右面と突設前壁部35の前面とには、第2誤挿入防止凸部31dが形成されている。各誤挿入防止凸部31c,31dは、その下面を電源線収容部31の下面と同一平面とし、前側係止部35aよりもやや下方位置まで延設されている。
ロックアーム32は、電源線収容部31の前面下端から前方に突出する延出部40と、延出部40の前端から上方に延出するアーム部41と、を有している。
延出部40は、その下面を電源線収容部31の下面と同一平面となるように形成されている。アーム部41は、電源線収容部31の前面と略平行となるように延出部40の前端部から上記した突設前壁部35の各前側係止部35aと略同一高さまで延設され、これより上部には、前方に向かって僅かに屈曲し、左右方向に広がってT字状に形成された操作部41aが設けられている。これにより、アーム部41と電源線収容部31との間には隙間Sが形成され、アーム部41は延出部40との接続部分を支点として後方に撓曲可能となっている。また、アーム部41の前面で操作部41aのやや下方には、左右方向に長い直方体状のロック係合部41bが突設されている。
次に、図3ないし図7を参照して、第1接続端子3および第2接続端子5について説明する。図6は、本発明の実施形態に係るコネクタ1に収容される第2接続端子5を同軸ケーブル7にかしめる前の状態を示す斜視図であり、図7は、かしめた状態を示す斜視図である。なお、図6および図7は、第2接続端子5を示す図であるが、第1接続端子3と同様の構成を多く有していることから、第1接続端子3についても図6および図7を参照して説明する。第1接続端子3および第2接続端子5の同様の構成については同一の符号を付している。
第1接続端子3は、同軸ケーブル7の先端側に設けられ前方に延出する接続部42と、接続部42の先端で接続部42に対して屈曲する端子部43と、によりL字型に一体形成される同軸端子である。第1接続端子3に接続される同軸ケーブル7は、絶縁体50を介して中心導体51の周囲に設けられた外部導体52を外部被覆53で被覆して構成されている。
接続部42は、金属等の導電材料からなり、後端部に設けられる被覆圧着バレル部44と、被覆圧着バレル部44の前端側に設けられる外部導体圧着バレル部45と、外部導体圧着バレル部45の前端側に設けられる絶縁体囲繞部46と、被覆圧着バレル部44の後端に設けられる左右一対の係止凸部47と、を有している。なお、被覆圧着バレル部44および絶縁体囲繞部46の上面は、略同一平面を成すように形成されている。
被覆圧着バレル部44、外部導体圧着バレル部45および絶縁体囲繞部46は、それぞれ、かしめる前の状態において、左右一対の被覆圧着片44a、左右一対の導体圧着片45aおよび左右一対の囲繞片46aを上方に延出させて後面視でU字状に形成されている(図6参照)。被覆圧着バレル部44の各被覆圧着片44aおよび絶縁体囲繞部46の各囲繞片46aは、側面視で上下方向に細長い長方形状に形成されている。外部導体圧着バレル部45の左側の導体圧着片45aは、先端(下端)が凸状(三角形状)に形成されており、右側の導体圧着片45aは、先端(下端)が凹状(V字状)に形成されている(図6および図7に示す第2接続端子5の各導体圧着片45aとは左右逆になっている。)。なお、図示は省略するが、外部導体圧着バレル部45の内面には、溝が格子状に形成されている。
各係止凸部47は、被覆圧着バレル部44の各被覆圧着片44aの上下方向中央からやや上側で、各被覆圧着片44aの後端から後方に突出した片を左右方向外側に折り曲げることにより形成されている。
端子部43は、円筒状の導電材料からなる端子外部導体54と、端子外部導体54の内部に設けられる端子絶縁体55と、導電材料からなり端子絶縁体55の内部に設けられる端子内部導体56と、を有している。
端子外部導体54の下部、左右両周面には、左右一対の台形状の嵌合片部54aが形成されている。各嵌合片部54aは、その下端が自由端となるように端子外部導体54を切り込むことで形成されている。
端子絶縁体55は、円筒状に形成される絶縁本体部55aと、絶縁本体部55aの後端部から絶縁体囲繞部46側にL字型に屈曲し、矩形筒状に形成される絶縁突部55bと、を有している。すなわち、絶縁突部55bは、端子部43と外部導体圧着バレル部45との間に形成されている。
端子内部導体56は、絶縁本体部55aの内部に保持される円筒状の内部導体本体部56aと、内部導体本体部56aの後端部から絶縁体囲繞部46側にL字型に屈曲し筒状に形成される内部導体圧着バレル部56bと、を有している。
内部導体本体部56aの先端部(下端部)には、前後一対の端子片部56cが二股に分離して形成されている(図3参照)。各端子片部56cの先端部(下端部)は外側に屈曲して形成されている。内部導体圧着バレル部56bは、かしめる前の状態において、圧着片(図示せず)を右方に延出させて後面視でU字状に形成されている。
次に、第1接続端子3を同軸ケーブル7に接続する手順について説明する。なお、図示は省略するが、同軸ケーブル7に取り付ける前の第1接続端子3および第2接続端子5は、接続部42と端子部43とがL字型に屈曲しておらず、直線状に形成されている。
まず、作業者は、各同軸ケーブル7に末端処理を施す。すなわち、第1接続端子3の接続部42に対応するように同軸ケーブル7の外部導体52を露出させると共に、所定長さの中心導体51を露出させる。
作業者は、露出させた中心導体51に対し、端子内部導体56の内部導体圧着バレル部56bをかしめることにより、中心導体51に端子内部導体56を固定する。この端子内部導体56を、端子部43の端子絶縁体55(絶縁本体部55a)内に挿入した後、接続部42に対し端子部43をL字型になるように折り曲げる。すると、絶縁突部55bが絶縁体囲繞部46内に臨み、露出させた外部導体52が外部導体圧着バレル部45内に臨み、外部被覆53に覆われた同軸ケーブル7が被覆圧着バレル部44内に臨むこととなる。(図6参照)
そして、作業者は、同軸ケーブル7の外部被覆53に対し、被覆圧着バレル部44をかしめる。これにより、各被覆圧着片44aは、外部被覆53に僅かに食い込むようにして圧着される。また、作業者が同軸ケーブル7の外部導体52に対し、外部導体圧着バレル部45をかしめることにより、各導体圧着片45aが外部導体52を僅かに押し潰すようにして圧着される。この状態で、接続部42の太さ(直径)は、被覆圧着バレル部44より外部導体圧着バレル部45の方が細く(小径)形成されている(図7参照)。さらに、作業者は、絶縁突部55bを包むように絶縁体囲繞部46の各囲繞片46aを折り曲げる。つまり、絶縁突部55bを各囲繞片46aにより圧着する必要は無い。以上により、同軸ケーブル7付き第1接続端子3が構成される。
続いて、図3ないし図7を参照して、第2接続端子5について説明する。なお、第2接続端子5の説明において、第1接続端子3と同様の構成についての説明は省略する。
第2接続端子5は、第1接続端子3と同様に、接続部42と端子部43とによりL字型に一体形成される同軸端子である。第2接続端子5の接続部42は、第1接続端子3の構成に加えて、被覆圧着バレル部44と外部導体圧着バレル部45との間に設けられる中間バレル部48を有している。
第2接続端子5の端子部43の上下方向の長さ(高さ)は、第1接続端子3の端子部43の高さよりも長く形成されている。なお、被覆圧着バレル部44、絶縁体囲繞部46および中間バレル部48の上面は、略同一平面を成すように形成されている。
中間バレル部48は、かしめる(折り曲げる)前の状態において、左右一対の被着片48aを上方に延出させて後面視でU字状に形成されている(図6参照)。中間バレル部48は、外部導体圧着バレル部45より前後方向に長く形成されている。このため、第2接続端子5の接続部42は、第1接続端子3の接続部42よりも前後方向に長く形成されており、被覆圧着バレル部44と外部導体圧着バレル部45とは引き離された状態で構成されている。
第2接続端子5の外部導体圧着バレル部45の左側の導体圧着片45aは、先端(下端)が凹状(V字状)に形成されており、右側の導体圧着片45aは、先端(下端)が凸状(三角形状)に形成されている。また、中間バレル部48の左側の被着片48aは、先端(下端)が凸状(三角形状)に形成されており、右側の被着片48aは、先端(下端)が凹状(V字状)に形成されている。つまり、外部導体圧着バレル部45と中間バレル部48とを構成している凹状の片45a,48aと凸状の片45a,48aとが互い違いに形成されている。なお、図示は省略するが、外部導体圧着バレル部45および中間バレル部48の内面には、溝が格子状に形成されている。
次に、第2接続端子5を同軸ケーブル7に接続する手順について説明する。まず、第1接続端子3の場合と同様に、作業者は、第2接続端子5の接続部42に対応するように同軸ケーブル7の外部導体52を露出させると共に、所定長さの中心導体51を露出させる。なお、第2接続端子5の接続部42は、中間バレル部48を設けたことにより、被覆圧着バレル部44と外部導体圧着バレル部45とは引き離されているため、第1接続端子3の場合よりも、前後方向に長く外部導体52を露出させることとなる。
作業者は、第1接続端子3の場合と同様に、露出させた中心導体51に端子内部導体56を固定し、絶縁本体部55a内に挿入した後、接続部42に対し端子部43をL字型になるように折り曲げる。すると、絶縁突部55bが絶縁体囲繞部46内に臨み、露出させた外部導体52が外部導体圧着バレル部45および中間バレル部48内に臨み、外部被覆53に覆われた同軸ケーブル7が被覆圧着バレル部44内に臨むこととなる(図6参照)。
そして、第1接続端子3の場合と同様に、作業者は、同軸ケーブル7の外部被覆53に対し被覆圧着バレル部44を、また、外部導体52に対し外部導体圧着バレル部45をかしめて固定する。また、作業者は、絶縁突部55bに対し絶縁体囲繞部46(各囲繞片46a)を折り曲げて固定する。さらに、作業者は、同軸ケーブル7の外部導体52に対し、中間バレル部48を覆設する。すなわち、各被着片48aは、絶縁体50および中心導体51を過度に押し潰すことなく(変形させず)、外部導体52の周面に添うように折り曲げられる。つまり、各被着片48aを折り曲げられた状態の中間バレル部48の内径は、外部導体52の外径と略同一に形成されている。また、この状態で、接続部42の太さ(直径)は、被覆圧着バレル部44、中間バレル部48、外部導体圧着バレル部45の順に細く(小径)形成されている(図7参照)。以上により、同軸ケーブル7付き第2接続端子5が構成される。
次に、再び図3ないし図5を参照して、隔壁部材4について説明する。隔壁部材4は、合成樹脂等の絶縁材料から成り、平面視で前後方向に細長い略長方形のプレート部60と、プレート部60の後部左右両端部から上方に立設する左右一対の隔壁側立設部61と、プレート部60の左右方向中央部において前後方向に亘って上方に立設する隔壁側中央立設部62と、を有し、プレート部60、各隔壁側立設部61および隔壁側中央立設部62とにより、前後方向に亘って左右一対の隔壁側収容凹部63が形成されている。
プレート部60の下面には、前方左右両端において下方に突出する略円柱状の左右一対の内部下側支持部64と、各内部下側支持部64に連なり後方に延出する左右一対の下側前方凸条部65と、各下側前方凸条部65に連なる左右一対の下側凸部66と、が形成されている。
各内部下側支持部64は、プレート部60の前端から僅かに前側に突出すると共に、プレート部60の左右方向端部から僅かに外側に突出するように形成されている。また、各内部下側支持部64の下面には、矩形状の切込溝64aが前方から円の中心近くまで凹設されている。各下側凸部66は、各内部下側支持部64よりも突出量が小さく、下面視で前後方向に細長い長方形状を成し、前後方向略中央より前側に形成されている。また、各下側前方凸条部65は、下側凸部66よりも左右幅および突出量が小さく、下面視で前後方向に細長い長方形状を成し、各内部下側支持部64と各下側凸部66との間に形成されている。なお、右側の下側凸部66には、その後端に連なりプレート部60の後端近傍まで延出し、下側凸部66より突出量の小さい下側後方凸条部67が形成されている。
また、プレート部60の下面には、左右一対の内部下側支持部64の間に、前後方向に長い矩形状の内部下側凹部68が凹設されている。内部下側凹部68は、各内部下側支持部64の中心から後方に延出して形成されている。
各隔壁側立設部61の外側面の後部には、上方から切り込まれるように外側係止凹部70が形成されており、前部には、下方から切り込まれるようにガイド溝71が形成されている。また、各外側係止凹部70の下方では各隔壁側立設部61の下端部が面取りされることで、傾斜部61aが形成されている。
各隔壁側立設部61の内側面には、前後方向中央より前側において、上下方向に亘って隔壁側係止凹部72が形成されている。各隔壁側係止凹部72は、上記した右側の内側立設部22の内側係止凹部23と略同一の前後幅となるように形成されている。
隔壁側中央立設部62は、各隔壁側立設部61側の隔壁側後方中央立設部62aと、隔壁側後方中央立設部62aより前側で左右方向の幅が広くなるように段差を介して形成される隔壁側前方中央立設部62bと、から構成されている。また、隔壁側後方中央立設部62aには、各隔壁側係止凹部72と前後方向の長さおよび形成位置が一致する隔壁側中央係止凹部73が形成されている。なお、隔壁側後方中央立設部62aおよび隔壁側前方中央立設部62bの上端面には、前後方向に亘って後側電源線溝部62cが形成されている。
各隔壁側収容凹部63の上面前方には、隔壁側前方中央立設部62bと前後方向の長さが略同一に形成された上側凸条部74が突設されている。上記したように、各上側凸条部74が設けられていると共に、隔壁側後方中央立設部62aは左右方向の幅が狭くなっているため、各隔壁側収容凹部63は、後側が上下左右に広く(大径に)形成され、前方に向かうに従って、上下左右に狭く(小径に)なるように形成されている。
次に、図1ないし図5を参照して、カバー6について説明する。カバー6は、合成樹脂等の絶縁材料から成り、後部側に設けられる拡幅覆設部75と、拡幅覆設部75より左右方向に小さくなるように左右一対のカバー段差部77を介して拡幅覆設部75の前端から前方に延出される狭幅覆設部76と、を有し、拡幅覆設部75および狭幅覆設部76には前後方向に亘って上方に突出するカバー凸条部79が形成されている。拡幅覆設部75、狭幅覆設部76およびカバー凸条部79は、一体に形成されて、カバー6を構成している。また、拡幅覆設部75、狭幅覆設部76およびカバー凸条部79は、略同一の厚さで形成されている。このため、下側から見ると、カバー凸条部79は、凹設された溝となっている。
拡幅覆設部75は、カバー凸条部79を挟んで配設される左右一対の拡幅プレート部80と、各拡幅プレート部80の左右外端部から下方に延出する左右一対の拡幅垂設壁部81と、各拡幅垂設壁部81の後端部から内側に向けて延出する左右一対の後端突出部82と、を有している。
各拡幅プレート部80の下面後部には、下面視で前後方向に細長い長方形状の下側後端凸部83が下方に向かって突設されている。各下側後端凸部83は、その内側の端面をカバー凸条部79(の溝)に沿わせて各拡幅プレート部80の後端面から前方に向かって延設されている。また、各下側後端凸部83の下面は、上方に向かって湾曲形状を成している。
各拡幅垂設壁部81は、拡幅プレート部80の左右外端から、やや内側に入った位置から下方に延出している。各拡幅垂設壁部81の前後方向略中央には、上下方向に細長い後側長方形開口84が形成されている。各後側長方形開口84は、拡幅垂設壁部81の上端から下端近傍までの間に形成されており、各拡幅プレート部80には、各後側長方形開口84の上端と連通するように矩形スリット84aが貫通形成されている。
狭幅覆設部76は、カバー凸条部79を挟んで配設される左右一対の狭幅プレート部85と、各狭幅プレート部85の左右外端部から下方に延出する左右一対の狭幅垂設壁部86と、各狭幅垂設壁部86の前端部から内側に向けて延出する左右一対の前端突出部87と、を有している。
各狭幅プレート部85の上下面は、各拡幅プレート部80と同一平面を成すように形成されている。各狭幅プレート部85の下面には、前端部において下方に突出する略円柱状の外部下側支持部88と、外部下側支持部88に連なり後方に延出する下側中間凸部89と、下側中間凸部89に連なり、狭幅プレート部85の後端まで延出する下側後方凸部90と、が形成されている。
各外部下側支持部88は、上記した各内部下側支持部64と同様の構成であり、その下面には、矩形状の切込溝88aが前方から円の中心近くまで凹設されている。各下側後方凸部90は、下面視で前後方向に細長い長方形状を成し、各外部下側支持部88と略同一の突出量で形成されている。各下側中間凸部89は、各外部下側支持部88よりも左右幅および突出量が小さく、下面視で前後方向に細長い長方形状を成し、各外部下側支持部88と各下側後方凸部90との間に形成されている。
各狭幅垂設壁部86は、各拡幅垂設壁部81の半分程度の高さ(上下方向の長さ)に形成されている。各カバー段差部77は、各狭幅垂設壁部86と同一の高さとなるように形成されており、各狭幅垂設壁部86と各拡幅垂設壁部81とはカバー段差部77により連設されている。
各前端突出部87の左右方向略中央には、上下方向に細長い前側長方形開口91が形成されている。各前側長方形開口91は、前端突出部87の上端から下端近傍までの間に形成されており、各拡幅プレート部80の前端には、各前側長方形開口91の上端と連通するように切欠き(図示せず)が形成されている。
カバー凸条部79は、全体として後面視で倒立U字型に形成されており、拡幅覆設部75の後端から狭幅覆設部76の前端近傍までに延設される凸条本体部92と、凸条本体部92の先端から前方に突出して設けられる凸条先端部93と、を有している。
狭幅覆設部76の前後方向略中央位置には、凸条本体部92の上面から上方に僅かに突出する矩形突出部92aが一体形成されている。矩形突出部92aは、凸条本体部92と左右幅が同一で、平面視で前後方向に細長い長方形状に形成されている。凸条先端部93は、凸条本体部92よりも左右幅が大きく、矩形突出部92aの上面と同一高さとなるように形成されている。凸条先端部93は、平面視で略正方形状で、前後方向の長さの略半分を前方に突出している。
次に、図3ないし図7を参照して、上記した構成を備えた本実施形態に係るコネクタ1の組立手順について説明する。ここでは、左側の収容凹部15および第1収容孔部38aに第1接続端子3を収納する場合について説明する。
まず、作業者は、ハウジング2の収容凹部15および第1収容孔部38aに対し、上方から第1接続端子3を臨ませ、第1接続端子3の端子部43を第1収容孔部38aに挿入し、第1接続端子3の接続部42を収容凹部15に挿入する。上記したように収容凹部15は、同軸ケーブル7に接続された第1接続端子3の径に対応して、後側から前方に向かうに従って小径になるように形成されているため、第1接続端子3(同軸ケーブル7)は、収容凹部15との間に余分な隙間が生じることなく嵌合する。すなわち、収容凹部15の後側下面部15aには同軸ケーブル7および被覆圧着バレル部44が載置され、中間下面部15bには外部導体圧着バレル部45が載置され、前側下面部15cには絶縁体囲繞部46が載置される。
また、第1収容孔部38aは、その内周面と、第1接続端子3の端子部43の外周面とが摺接して挿入することができる程度の公差をもって形成されている。したがって、第1接続端子3の端子部43は、非係止状態で第1収容孔部38aに収容され、同軸ケーブル7の軸方向(第1収容孔部38aの径方向)に位置決めされることとなる。
ここで、左側の内側係止凹部23は、係止凸部47が挿入可能なスリット状に形成されている。作業者は、第1接続端子3の左右一対の係止凸部47が、左側の内側立設部22の内側係止凹部23と、後側中央立設部26aの中央係止凹部28(左側後端面28a)とに係止されるように、第1接続端子3を挿入する。これにより、同軸ケーブル7が後方に引っ張られたとしても、左右一対の係止凸部47が、左側の内側係止凹部23の後面と、中央係止凹部28の左側後端面28aとに当接することで、後方への移動が規制される。
ここで、上記したように、中央係止凹部28および右側の内側係止凹部23は、左側の内側係止凹部23よりも前方に幅広く形成されている。このため、中央係止凹部28および右側の内側係止凹部23には、複数の第1接続端子3の係止凸部47を挿入することができる。すなわち、左右一対の内側係止凹部23および中央係止凹部28は、前後方向にずれた異なる位置に形成された各係止凸部47を挿入可能に形成されている。これにより、例えば、左側に加えて、右側の収容凹部15および第1収容孔部38aに第1接続端子3を収納する場合であっても、左右隣り合う第1接続端子3の係止凸部47が、中央係止凹部28で干渉することを防止することができる。この場合、第1接続端子3の各係止凸部47は、右側の内側係止凹部23の後面と、中央係止凹部28の右側後端面28bとに当接することで、後方への移動が規制される。
次に、作業者は、ハウジング2の各収容凹部15および各第1収容孔部38aに対し、上方から隔壁部材4を臨ませ、隔壁部材4をハウジング2の内部に押下げる。このとき、隔壁部材4の各ガイド溝71に、拡幅部12の各ガイド凸部25を挿入して案内させつつ、隔壁部材4を押下げる。この押下げが進むと、隔壁部材4の各傾斜部61aが、拡幅部12(拡幅壁部17)の各内側係止部24に接触し、隔壁部材4の押下げの進行に従って、各拡幅壁部17を左右方向外側に押し広げる。さらに、隔壁部材4の押下げが進むと、隔壁部材4の外側係止凹部70は、拡幅部12の各内側係止部24より下方に移動し、各拡幅壁部17の復元力により拡幅部12の各内側係止部24が、隔壁部材4の各外側係止凹部70の下端面に係止される。これにより、隔壁部材4の押下げが終了し、ハウジング2の内部を上下に仕切るように固定される。この状態で、隔壁部材4の隔壁側立設部61の下面は、内側立設部22の上面に当接し、プレート部60の底面左右中央部分は、後側中央立設部26aおよび前側中央立設部26bの上面に当接している。また、この状態で、中央立設部26(前側中央立設部26b)の内部突起27は、隔壁部材4(プレート部60)の内部下側凹部68に進入し嵌合している。さらに、この状態で、隔壁部材4の内部下側支持部64は、第1接続端子3の端子部43の上端部に当接する。すなわち、第1接続端子3の端子部43は、隔壁部材4の内部下側支持部64にて上端を上方から支持されて、後述する相手側コネクタ100への嵌合時の反力に対抗可能となっている。第1接続端子3は、前側下面部15cと内部下側支持部64とにより挟持された状態で、端子部43が第1収容孔部38aに保持される。
次に、作業者は、隔壁部材4の各隔壁側収容凹部63およびハウジング2の各第2収容孔部38bに対し、上方から第2接続端子5を臨ませ、第2接続端子5の端子部43を第2収容孔部38bに挿入し、第2接続端子5の接続部42を隔壁側収容凹部63に挿入する。なお、ここでは、左側の隔壁側収容凹部63および第2収容孔部38bに第2接続端子5を収納するものとする。上記したように各隔壁側収容凹部63は、同軸ケーブル7に接続された第2接続端子5の径に対応して、後側から前方に向かうに従って小径になるように形成されているため、第2接続端子5(同軸ケーブル7)は、各隔壁側収容凹部63との間に余分な隙間が生じることなく嵌合する。すなわち、隔壁側収容凹部63の後側には同軸ケーブル7および被覆圧着バレル部44が臨み、隔壁側収容凹部63の上側凸条部74には中間バレル部48および外部導体圧着バレル部45が臨むようになっている。
また、第1接続端子3の端子部43と同様に、各第2接続端子5の端子部43は、非係止状態で第2収容孔部38bに収容され、同軸ケーブル7の軸方向(第2収容孔部38bの径方向)に位置決めされることとなる。
また、作業者は、第1接続端子3のときと同様に、第2接続端子5の左右一対の係止凸部47が、拡幅部12の領域に設けられた左側の隔壁側立設部61の隔壁側係止凹部72と、隔壁側中央立設部62の隔壁側中央係止凹部73とに係止されるように、第2接続端子5を挿入する。これにより、後方への移動が規制された状態で、第2接続端子5が隔壁部材4上に保持される。なお、上記したように、左右一対の隔壁側係止凹部72および隔壁側中央係止凹部73は、その前後幅が、各係止凸部47の前後幅(厚み)よりも大きく形成されているため、各第2接続端子5の各係止凸部47を異なる位置にずらして形成することで、複数の第2接続端子5の各係止凸部47を挿入することができる。これにより、例えば、左側に加えて、右側の隔壁側収容凹部63および第2収容孔部38bに第2接続端子5を収納する場合であっても、左右隣り合う第2接続端子5の係止凸部47が、隔壁側中央係止凹部73で干渉することを防止することができる。
また、電源線8の端末に圧着したL字型の電源端子8aを、電源線収容部31の電源線収納孔部31b内に挿入すると共に、電源線8および電源端子8aの圧着部分を、左右隔壁部39bの前端電源線溝部39cおよび隔壁側中央立設部62の後側電源線溝部62cに載置する。なお、電源線8および電源端子8aは周知のものを用いているためのその詳細な説明は省略する。
次に、作業者は、ハウジング2の上端部に対し、上方からカバー6を取り付ける。作業者は、カバー6の拡幅覆設部75を、ハウジング2の拡幅部12に合わせ、拡幅部12の各拡幅壁部17に沿って、カバー6を押下げる。この押下げが進むと、カバー6の各拡幅垂設壁部81の下端面が、拡幅部12(各拡幅壁部17)の各後側係止部20に接触し、カバー6の押下げの進行に従って、各拡幅垂設壁部81が左右方向外側に押し広げられる。また、この押下げが進むと、カバー6の各前端突出部87の下端面が、突設部11(各突設前壁部35)の各前側係止部35aに接触し、カバー6の押下げの進行に従って、各前端突出部87が前方に押し広げられる。
さらに、カバー6の押下げが進むと、カバー6の各後側長方形開口84は、拡幅部12の各後側係止部20より下方に移動し、各拡幅垂設壁部81の復元力により拡幅部12の各後側係止部20が、カバー6の各後側長方形開口84の下端面に係止される。また、同様に、カバー6の各前側長方形開口91は、突設部11の各前側係止部35aより下方に移動し、各前端突出部87の復元力により突設部11の各前側係止部35aが、カバー6の各前側長方形開口91の下端面に係止される。これにより、カバー6の押下げが終了し、カバー6は、隔壁部材4と略平行を成すようにハウジング2の上部に固定される。この状態で、カバー6の拡幅プレート部80はハウジング2の拡幅壁部17の上端面に当接し、カバー6の狭幅プレート部85はハウジング2の狭幅壁部19および突設本体部30の上端面に当接し、カバー6のカバー凸条部79の凸条先端部93はハウジング2の電源線収容部31の上端面に当接する。また、この状態で、カバー6の下側後端凸部83は、第2接続端子5が接続された同軸ケーブル7の上端部に当接する。さらに、この状態で、カバー6の外部下側支持部88は、第2接続端子5の端子部43の上端部に当接すると共に、カバー6の下側後方凸部90は、第2接続端子5の被覆圧着バレル部44および中間バレル部48の上端部に当接する。すなわち、第2接続端子5は、前後隔壁部39aの上端面と外部下側支持部88とにより挟持された状態で、端子部43が第2収容孔部38bに保持される。
以上により、コネクタ1の組立が完了する。
一方、組み立てられたコネクタ1を分解する場合には、まず、カバー6の凸条先端部93を上方に持ち上げることにより、各前側係止部35aと各前側長方形開口91との係止状態を解除する。その後に、左右どちらか一方ずつ拡幅垂設壁部81を外側に押し開くことにより、後側係止部20と後側長方形開口84との係止状態を解除する。これにより、カバー6をハウジング2から取り外すことができる。また、左右どちらか一方ずつ拡幅壁部17を外側に押し開くことにより、外側係止凹部70と内側係止部24との係止状態を解除する。これにより、隔壁部材4をハウジング2の内部から取り外すことができる。
次に、図8を参照して、このコネクタ1が接続される相手側コネクタ100について説明する。図8は、本発明の実施形態に係るコネクタ1が嵌合する相手側コネクタ100を上方から示す斜視図である。
相手側コネクタ100は、相手側コネクタ100の主要な外観を成す相手側ハウジング101と、相手側ハウジング101の内部に収容される4つの相手側接続端子102および1つの相手側電源端子103と、を備えている。
相手側ハウジング101は、合成樹脂等の絶縁材料から成り、上方を開放した嵌合凹部104を有して外観略矩形箱状に形成されている。また、相手側ハウジング101の前面下部および後面下部には、図示を省略する基板に電気的に接続するための基板接続端子(図示せず)への負荷を緩和する基板端子保持部106が形成されている。また、相手側ハウジング101の前面上部には、矩形状の相手側ロック開口107が貫通形成されている。
嵌合凹部104は、上記したコネクタ1の突設部11に対応する形状に形成されている。嵌合凹部104には、コネクタ1の各接続端子3,5に対応する位置に4つの相手側接続端子102が格子状に配設されている。また、コネクタ1の電源端子8aに対応する位置に相手側電源端子103が配設されている。
また、嵌合凹部104において、左右両側前後一対の相手側接続端子102の間には、嵌合凹部104の左右両内面から内側に突出するように左右一対の内側ガイド凸部110が形成されている。同様に、嵌合凹部104の後側内面の左右方向中央には、内側に突出するように後側ガイド凸部111が形成されている。各ガイド凸部110,111は、嵌合凹部104の底面(上面)から相手側ハウジング101の上端面まで延設されている。なお、後側ガイド凸部111は、各内側ガイド凸部110よりも内側に大きく前方(左右両内面と略平行)に突出している。また、相手側ハウジング101の後端面には、上方から矩形状に切り欠かれた嵌合切欠き部114が、後側ガイド凸部111を挟んで左右一対形成されている。
嵌合凹部104において、相手側電源端子103の左側には第1誤挿入防止凹部112が形成され、相手側電源端子103の右側後方には第2誤挿入防止凹部113が形成されている。
相手側接続端子102は、導電材料から成る同軸端子であり、円筒状の相手側外部導体115と、相手側外部導体115の中心に立設される相手側中心導体116と、を有している。
次に、コネクタ1を相手側コネクタ100に接続(嵌合)する手順について説明する。なお、相手側コネクタ100の各相手側接続端子102および相手側電源端子103は、図示を省略する筐体内に設けられた基板上に電気的に接続されているものとする。また、相手側コネクタ100は、各基板端子保持部106を介して基板上に固定され、筐体に形成された開口から相手側ハウジング101の上方部分(嵌合側部分)を外部に露出しているものとする。
まず、作業者は、ハウジング2の本体部10を、相手側ハウジング101の各嵌合切欠き部114より上方に臨ませ、ハウジング2の突設部11を、相手側ハウジング101の嵌合凹部104に臨ませて、コネクタ1を押下げる。このとき、相手側ハウジング101の各内側ガイド凸部110および後側ガイド凸部111を、突設部11の各外側嵌合溝34aおよび後側嵌合溝36aに挿入して案内させつつ、コネクタ1を押下げる。また、同様に、突設部11の第1誤挿入防止凸部31cおよび第2誤挿入防止凸部31dを、相手側ハウジング101の第1誤挿入防止凹部112および第2誤挿入防止凹部113に挿入すると共に、突設部11の後側嵌合溝36aに相手側ハウジング101の後側ガイド凸部111を挿入して案内させつつ、コネクタ1を押下げる。
この押下げが進むと、突設部11のロックアーム32(アーム部41)のロック係合部41bが、相手側ハウジング101の上端面に接触し、コネクタ1の押下げの進行に従って、アーム部41は、延出部40との接続部分を支点として後方に撓曲する。さらに、コネクタ1の押下げが進むと、ロック係合部41bは、相手側ハウジング101の相手側ロック開口107の上端より下方に移動し、アーム部41は、自らの復元力により前方に移動し、ロック係合部41bが相手側ロック開口107に係止される。この状態で、内側ガイド凸部110は外側嵌合溝34aに嵌合し、後側ガイド凸部111は後側嵌合溝36aに嵌合している。また、第1誤挿入防止凸部31cは第1誤挿入防止凹部112に嵌合し、第2誤挿入防止凸部31dは第2誤挿入防止凹部113に嵌合している。なお、誤挿入防止凸部31c,31dおよび各誤挿入防止凹部112,113は、それぞれ任意の位置に形成して構わない。
また、相手側コネクタ100の各相手側接続端子102は、コネクタ1の各接続端子3,5の内部に進入し接続される。詳細には、各相手側外部導体115は、各端子部43の端子外部導体54と端子絶縁体55との間に進入し、各嵌合片部54aを左右外側に僅かに押し出す。この押し出された各嵌合片部54aの先端部は、各収容孔部38a,38bに形成された各収納開口38cに進入する。また、各相手側中心導体116は、各端子内部導体56(内部導体本体部56a)の二股に分かれた一対の端子片部56cの間に進入し挟持される。なお、コネクタ1(突設部11)の各端子開口部37は、相手側コネクタ100の相手側接続端子102が通過可能で、且つ第1接続端子3および第2接続端子5の接続部42が通過不能な大きさに形成されている。また、相手側コネクタ100の相手側電源端子103は、コネクタ1の電源端子8aの内部に進入し接続される。
以上により、コネクタ1と相手側コネクタ100との接続(嵌合)が完了する。なお、この接続した状態で、後端から前方に亘って形成された後側ガイド凸部111が、突設部11(突設本体部30)の後側嵌合溝36aに嵌合し、突設後壁部36よりも後方に延びているため、相手側コネクタ100に対するコネクタ1の左右方向のこじりが防止される。
一方、コネクタ1と相手側コネクタ100との接続(嵌合)を解除する場合には、アーム部41の操作部41aを後方に押圧し、ロック係合部41bと相手側ロック開口107との係止状態を解除し、相手側コネクタ100に対し、コネクタ1を上方に引き抜く。これにより、相手側コネクタ100からコネクタ1を取り出すことができる。
以上説明したとおり、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、各接続端子3,5の端子部43は、端子部の外形から弾性を有して傾斜を有して突出し、一方向に挿入固定可能なランス部等の完全ロックの係止手段である突起物を有していないため、突設部11の各収容孔部38a,38bは、ランス部等の完全ロックの係止手段を収容し被係止のための突設部を各収容孔部38a,38bの内壁に設ける必要が無く、端子部43のみを収容可能な最小限の大きさに形成することができる。すなわち、各収容孔部38a,38bは、端子部43を非係止状態に収容することができる。これにより、例えば、ランス部を有する接続端子(端子部)を収容する場合と比して、突設部11を小型化することができる。また、各接続端子3,5は、各収容凹部15,63および各収容孔部38a,38bに対し、相手側コネクタ100への嵌合方向(下方向)に向かって配置可能であるため、ハウジング2内に各接続端子3,5を容易に収容することができる。さらに、隔壁部材4およびカバー6によりハウジング2を閉塞すると、各支持部64,88が、各端子部43の上端部に当接するため、隔壁部材4およびカバー6によりハウジング2を閉塞するだけで(端子部43の)反嵌合方向(上方向)への動きを拘束(規制)することができる。
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、各収容凹部15,63に各接続端子3,5の接続部42を収容することで、各収容凹部15,63の各係止凹部23,28,70,73に各接続部42の各係止凸部47が係止され、同軸ケーブル7の軸方向(前後方向)への移動が規制される。これにより、ケーブルが後方に引っ張られる力に対する強度(ケーブルの引張り強度)を向上させることができ、ケーブル抜けを有効に防止することができる。また、各係止凹部23,28,70,73および各係止凸部47は、各接続部42の基端側(後側)に設けられているため、ハウジング2の拡幅部12に係止することができるので突設部11の小型化が阻害されることがない。
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、接続端子3,5を左右方向に複数(本実施形態では2つ)並設することができるため、多極コネクタを構成することができる。また、隣り合う収容凹部15(63)の各係止凹部23,28(70,73)は軸方向(前後方向)にずれて形成されているため、係止凸部47同士の干渉が防止され、収容凹部15,63や係止凹部23,28,70,73等の左右方向への並設によりハウジング2の基端側(後部)が大型化することを抑制することができる。
また、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、ハウジング2の本体部10に形成された各収容凹部15に接続部42を収容した各第1接続端子3の端子部43は、最も基端側(後側)の各第1収容孔部38aに収容される。隔壁部材4に形成された各隔壁側収容凹部63に接続部42を収容した各第2接続端子5の端子部43は、各第1収容孔部38aよりも先端側(前側)の各第2収容孔部38bに収容される。これにより、ハウジング2の突設部11の大型化を抑制しつつ、接続端子3,5を反嵌合方向(上方向)に向かって複数並設した多極コネクタを構成することができる。
さらに、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、各接続端子3,5は同軸端子であるため、相手側コネクタ100の各相手側接続端子102は、各接続端子3,5の端子部43内に入り込む。このため、各収容孔部38は、各端子部43を挿入することができる程度の公差をもって形成されていればよく、各端子部43の外周と各収容孔部38の内周との間隙を最小化することができる。これにより、ハウジング2の突設部11を小型化することができる。
なお、上記した実施形態に係るコネクタ1では、(同軸ケーブル7付きの)第1接続端子3および第2接続端子5がそれぞれ2つ設けられていたが、これに限定されるものではなく、それぞれ1つ以上設けられていればよい。例えば、左右方向に2つ以上の第1接続端子3および第2接続端子5を配設するようにしてもよいし、各第2接続端子5の上側にさらに別の接続端子を配設するようにしてもよい。また、第1接続端子3または第2接続端子5が設けられた構成としてもよい。例えば、第1接続端子3のみが設けられたコネクタ1を構成する場合には、隔壁部材4を省略し、カバー6により第1接続端子3の上下方向に移動を規制するようにしてもよい。
なお、上記した実施形態に係るコネクタ1の第2接続端子5では、中間バレル部48が、外部導体圧着バレル部45とは別個独立に形成されていたが、中間バレル部48を外部導体圧着バレル部45と一体に形成してもよい。この場合でも、中間バレル部48に相当する部分は、外部導体52を変形させないように折り曲げる。また、外部導体圧着バレル部45の各導体圧着片45aおよび中間バレル部48の被着片48aの凹凸は左右が逆になっていても構わない。
なお、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係るコネクタ1における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。