以下、本発明のラベル作成装置1の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下、図1の右斜め下側、左斜め上側、左側、右側、上側、及び下側を、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、及び下側という。
図1を参照し、ラベル作成装置1の外観について説明する。ラベル作成装置1は、本体部2を備えている。本体部2の形状は、前後方向を長手方向とする略直方体である。本体部2の前壁10に、排出口11、電源ボタン14、及びカッター駆動ボタン16が設けられている。本体部2の上側に、開閉蓋3、及び開閉ボタン4が設けられている。
排出口11は、本体部2内で作成されたラベルを外部に排出するための開口部である。開口部の形状は、上下方向を長手方向とする長方形である。排出口11の内壁31に、複数の凹んだ溝32が設けられている。排出口11の詳細は後述する。ラベルは、幅方向を上下方向とする向きで排出口11から排出される。前壁10のうち排出口11に対して右側に隣接する部分に、電源ボタン14が設けられている。電源ボタン14は、ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行うための押ボタンである。電源ボタン14の下方に、カッター駆動ボタン16が設けられている。カッター駆動ボタン16は、本体部2内に配設された切断機構15(図5参照、詳細後述)を使用者の手動操作で駆動するためボタンである。カッター駆動ボタン16が押下されることで、印字済テープ109(図5参照、詳細後述)を切断することができる。なおラベル作成装置1は、印字済テープ109を自動的に切断する自動切断機能を備えている。このためユーザは、通常の動作時においては、カッター駆動ボタン16を押下して印字済テープ109を切断する必要はない。
開閉蓋3は、本体部2の後端で揺動可能に軸支されている。開閉蓋3は、バネ等の付勢部材によって常時開放方向に付勢されている。開閉蓋3の右側に、開閉ボタン4が設けられている。開閉ボタン4が押下されることによって、開閉蓋3は付勢部材の作用によって開放される。開閉蓋3を開放させることによって、カートリッジ7(図5参照、詳細後述)を本体部2内に装着することが可能な状態となる。
図2及び3を参照し、排出口11について詳細に説明する。排出口11は、本体部2の内側から外側に向けて搬送されるラベルが通過する搬送経路37(図3参照)のうち最も外側の部分に位置する。排出口11は、内壁31が四方を覆うことによって形成されている。内壁31は、左内壁311、右内壁312、下内壁313、及び上内壁314を備えている。左内壁311、右内壁312、下内壁313、及び上内壁314は、其々、左側、右側、下側、及び上側の内壁31である。内壁31は、開口部の寸法が本体部2の内側から外側に向けて徐々に大きくなるように設けられている。
図3に示すように、第一ローラ51及び第二ローラ52が本体部2内に設けられている。第一ローラ51及び第二ローラ52は、上下方向を回転軸として回転可能である。第一ローラ51及び第二ローラ52は、本体部2内において作成されたラベルを間に挟持し、第一ローラ51が回転駆動することによって、ラベルを排出口11から外部に排出する。ラベル作成装置1を上側から見た状態で、第二ローラ52の回転軸34の位置は、第一ローラ51の回転軸33よりも前側に位置している。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52によって排出されるラベルは、水平、且つ左斜め前方(矢印53)に向けて排出される。以下、ラベルが排出される方向である矢印53を、排出方向53ともいう。第一ローラ51及び第二ローラ52の詳細は後述する。
左内壁311、右内壁312、及び下内壁313の面は、排出方向53に対して傾斜している。具体的には次のとおりである。左内壁311の面上を本体部2の内側から外側に向かう方向(矢印54)は、排出方向53よりもさらに左側を向いている。一方、右内壁312の面上を本体部2の内側から外側に向かう方向(矢印56)は、排出方向53とは異なり、右斜め前方を向いている。下内壁313の面上を本体部2の内側から外側に向かう方向(図示せず)は、水平方向に対してやや下方を向いている。これによって、第一ローラ51及び第二ローラ52によって排出されるラベルは、左内壁311、右内壁312、及び下内壁313において引っ掛ることなくスムーズに外部に排出される。
内壁31に設けられた溝32について説明する。溝32は、内壁31に直接設けられた凹部である。図2に示すように、溝32は、左内壁311、右内壁312、及び下内壁313に沿って、開口部を周回するように設けられている。上内壁314に溝32は設けられていない。溝32は、内壁31のうち本体部2の内側から外側に向けて順に、溝321、322、及び323の順で合計3つ設けられている。溝32は、左内壁311及び右内壁312を上下方向に延びており、下内壁313を左右方向に延びている。ここで排出方向53(図3参照)は水平であるため、排出方向53と、左内壁311、右内壁312に設けられた溝32の延びる方向とは直交する関係にある。
図4を参照し、本体部2内に装着されるカートリッジ7について説明する。カートリッジ7は、筐体7Aを備えている。筐体7A内に、第1ロール102、第2ロール104、リボン供給側ロール111、リボン巻取りローラ106、及びテープ送りローラ27が内装されている。
第1ロール102は、リール部材102Aの周りに基材テープ101を巻回している。基材テープ101は多層構造を有している。基材テープ101は、リール部材102Aに巻回された状態で、芯側の面(図4の右側)から反対側(図4の左側)に向けて、粘着層101A、ベースフィルム101B、粘着層101C、及び剥離紙101Dが順に積層されている。粘着層101A、101Cは、粘着剤からなる層である。ベースフィルム101Bは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる色付きのフィルムである。剥離紙101Dは、作成されたラベルが使用される際に剥がされる。剥離紙101Dが剥がされることによって粘着層101Cが露になるので、ラベルの貼り付けが可能になる。第2ロール104は、リール部材104Aの周りにカバーフィルム103を巻回している。リボン供給側ロール111は、インクリボン105を巻回している。リボン巻き取りローラ106は、使用済みのインクリボン105を巻き取る。
ラベルが作成される工程について説明する。基材テープ101は、第1ロール102からテープ送りローラ27に向けて繰り出される。カバーフィルム103は、第2ロール104から、内部ユニット20(図5参照)に設けられた印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間に向けて繰り出される。同様に、インクリボン105は、リボン供給側ロール111から、印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間に向けて繰り出される。カバーフィルム103及びインクリボン105は、印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間を通過する。通過の過程で、インクリボン105がカバーフィルム103に押し付けられる。印字ヘッド23に設けられた複数の発熱素子が発熱することによって、カバーフィルム103に印字が行われる。印字されたカバーフィルム103は、テープ送りローラ27に向けて搬送される。使用済みのインクリボン105は、リボン巻き取りローラ106によって巻き取られる。
基材テープ101、及び、印字が行われたカバーフィルム103は、テープ送りローラ27、及び、内部ユニット20(図5参照)に設けられた圧着ローラ28によって押圧され、接着される。基材テープ101のうち粘着層101A側の面と、カバーフィルム103のうち印字が行われた面とが接した状態になる。以下、接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103を、印字済テープ109ともいう。
図5から図7を参照し、本体部2内に設けられた内部ユニット20について説明する。内部ユニット20は、カートリッジホルダ6、印字機構21、切断機構15、及び排出機構22を備えている。以下、其々の構成の詳細について説明する。図5の左側、右側、上側、及び下側が、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、及び右側に対応する。また図6の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側、上側、及び下側が、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、及び下側に対応する。
カートリッジホルダ6及び印字機構21について説明する。カートリッジホルダ6は、排出口11(図1参照)から排出される印字済テープ109の幅方向の向きが、ラベル作成装置1の上下方向となる向きで、カートリッジ7を収納する。印字機構21は、印字ヘッド23、ヘッド取付部24、ローラホルダ25、プラテンローラ26、及び圧着ローラ28を備えている。印字ヘッド23は、多数の発熱素子を備えている。印字ヘッド23は、カートリッジホルダ6から立設するヘッド取付部24に取り付けられている。ヘッド取付部24は、カートリッジ7に設けられたテープ送りローラ27(図4参照)よりも後側に配置されている。ローラホルダ25は、カートリッジホルダ6に装着されたカートリッジ7の右側に設けられている。ローラホルダ25は、支持軸29により揺動可能に軸支されている。ローラホルダ25は、前側部分がカートリッジ7に近接する印字位置と、前側部分がカートリッジ7から離間するリリース位置とに移動可能である。ローラホルダ25には、プラテンローラ26及び圧着ローラ28が回転可能に設けられている。ローラホルダ25が印字位置に移動することによって、プラテンローラ26はカバーフィルム103を印字ヘッド23との間に挟持し、圧着ローラ28は基材テープ101及びカバーフィルム103をテープ送りローラ27に押し付ける。
切断機構15について説明する。切断機構15は、印字済テープ109を切断することによってラベルを作成する。図5に示すように、切断機構15は、カートリッジホルダ6の前側に設けられている。切断機構15は、固定刃40(図7参照)、可動刃41(図7参照)、ギヤ42(図6参照)、及び駆動モータ43(図6参照)を備えている。
固定刃40は板状部材である。図5に示すように、固定刃40は、カートリッジホルダ6の側板44に固定孔を通してネジ等により固定されている。図7に示すように、固定刃40は、刃部12及び柄部13を備えている。柄部13は、ラベル作成装置1の左側から右方に延びている。刃部12は、柄部13の右端から上方に延びている。
可動刃41の形状は略V字状である。可動刃41は、刃部45、柄部46、及び屈曲部47を備えている。刃部45及び柄部46は、其々、屈曲部47から異なる方向に延びる板状部材である。屈曲部47には軸孔48が設けられている。可動刃41は、軸孔48に挿通する回転軸(図示せず)を軸とし、屈曲部47を支点として揺動できるように、側板44(図5参照)に支持されている。刃部45は、屈曲部47から上方に延びている。刃部45は、固定刃40の刃部12との間に印字済テープ109を挟み、印字済テープ109を切断する。柄部46は、屈曲部47から下方に延びている。柄部46の下端には、柄部46の延びる方向に沿って長孔49が設けられている。
柄部46の前側(図7の奥行き側)に、ギヤ42が設けられている。ギヤ42の形状は略円筒形である(図6参照)。図6に示すように、ギヤ42は、ギアボックス43Aの右端に、前後方向を軸方向として回転可能に軸支されている。ギアボックス43Aの左端に、駆動モータ43が設けられている。駆動モータ43の回転に伴い、ギヤ42は回転する。図7に示すように、ギヤ42の後側(図7の手前側)の面のうち、略円筒形の中心軸以外の部分から、ボス50が後方に突出している。ボス50は、可動刃41の柄部46に設けられた長孔49に挿通している。
駆動モータ43の回転に伴いギヤ42が回転した場合、可動刃41は、屈曲部47を支点として揺動する。これによって、固定刃40の刃部12と可動刃41の刃部45とは、近接した状態と離隔した状態とに切り替えられる。具体的には以下のとおりである。まず、ボス50がギヤ42の回転軸に対して左側に位置する場合、可動刃41の刃部45は固定刃40から離れている。駆動モータ43が駆動し、ギヤ42が矢印70方向に回転する。ボス50は、ギヤ42の円周に沿って右側に移動する。可動刃41は揺動し、刃部45は矢印73の方向に移動する。これによって、刃部45は刃部12に近接する。
刃部12、45が近接した場合、ラベル作成装置1の後方(図7の手前側)から前方(図7の奥行き側)に向けて搬送される印字済テープ109は、刃部12、45によって挟まれる。これによって、印字済テープ109は切断される。
排出機構22について説明する。排出機構22は、切断機構15において切断された後の印字済テープ109を、排出口11から強制的に排出するために、切断された印字済テープ109を搬送する。以下、切断された印字済テープ109を、単にラベルともいう。図5に示すように、排出機構22は、可動刃41の前側、且つ、本体部2の前壁10(図1参照)に設けられた排出口11(図1参照)の近傍に設けられる。排出機構22は、第一ローラ51、及び第二ローラ52を備えている。
図6に示すように、ギアボックス43Aの左右略中央部分から上方に向けて、ローラシャフト51Aが延びている。第一ローラ51は、ローラシャフト51Aの上端に固定されている。駆動モータ43の回転に伴い、ローラシャフト51A及び第一ローラ51は回転する。
第二ローラ52が支持部材60に設けられている。支持部材60の形状は略三角形である。第二ローラ52は、支持部材60の上端から左側に延びる延設部材55の先端に、回転可能に軸支されている。支持部材60は、左端において回転軸163によって軸支されている。支持部材60は、回転軸163を軸として揺動可能となっている。支持部材60の上端が左側に移動する方向に揺動した場合、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51に近接する。一方、支持部材60の上端が右側に移動する方向に揺動した場合、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51から離間する。支持部材60は、回転軸163に設けられたバネ部材62によって、上端が右側に移動する方向に付勢されている。このため図7では、延設部材55に設けられた第二ローラ52(図6参照)は第一ローラ51から離間している。
支持部材60の下端に、後方に向かってボス61が突出している。図7に示すように、ボス61は、可動刃41の柄部46の右端46Aに接触可能である。具体的には以下のとおりである。駆動モータ43の回転に伴いギヤ42が回転すると、可動刃41は屈曲部47を支点として揺動する。ボス50がギヤ42の回転軸に対して左側に位置する場合、柄部46はギヤ42の回転軸に対して左側に位置するので、ボス61と右端46Aとは離れている。駆動モータ43が駆動し、ギヤ42が矢印70方向に回転する。ボス50は、ギヤ42の円周に沿って右方に移動する。これに伴い、柄部46も右方向に移動し、ボス61と右端46Aとは接触する。右端46Aがボス61を右側に押し込むことで、支持部材60はバネ部材62による付勢力に反発して揺動する。これによって、第二ローラ52(図6参照)は第一ローラ51(図6参照)側に移動し、第一ローラ51に近接する。図6に示す状態から更に第一ローラ51及び第二ローラ52が近接した場合、ラベル作成装置1の後側(図6の右斜め上側)から前側(図6の左斜め下側)に向けて搬送されるラベルは、第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟まれる。駆動モータ43の回転に伴い、第一ローラ51は回転している。従って、第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟まれたラベルは、排出口11に向かって搬送される。
以上のように、ラベル作成装置1では、可動刃41の揺動による印字済テープ109の切断と、第一ローラ51及び第二ローラ52によるラベルの搬送とは、ギヤ42の回転駆動に基づいて実行されている。双方の作業は連動して実行されることになるので、印字済テープ109の切断及びラベルの搬送は、所定のタイミングで実行される。以下、図8及び9を参照し、詳細について説明する。
図8に示すように、切断機構15のうち可動刃41が固定刃40に対して右側に離間した位置にあり、且つ、排出機構22のうち第二ローラ52が第一ローラ51に対して右側に離間した位置にあるとする。以下、このような状態を待機状態という。
ラベル幅の設定及び印字データの生成が行われた後、印字指示がユーザによって実行されたとする。制御部(図示せず)は、カートリッジ7(図4参照)に設けられたテープ送りローラ27(図4参照)及びリボン巻取りローラ106(図4参照)を回転駆動させる。これによって、基材テープ101(図4参照)はテープ送りローラ27に対して繰り出される。同時に、カバーフィルム103(図4参照)は、印字ヘッド23(図4参照)及びプラテンローラ26(図4参照)の間を介してテープ送りローラ27に向けて繰り出される。なおこの段階では、カバーフィルム103に対する印字は実行されていない。
基材テープ101及びカバーフィルム103は、テープ送りローラ27及び圧着ローラ28(図4参照)によって押圧され、接着される。接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103は、固定刃40と可動刃41との間、及び、第一ローラ51と第二ローラ52との間に設けられた搬送経路37を、ラベル作成装置1の後側(図8の上側)から前側(図8の下側)に向かって通過する。以下、切断機構15及び排出機構22に対してカートリッジ7(図5参照)が装着されている側を、搬送方向上流側という。切断機構15及び排出機構22に対して排出口11が設けられている側を、搬送方向下流側という。接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103は、搬送経路37を通り、搬送方向上流側から下流側に向けて搬送される。
ユーザによる印字指示の後、接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103が所定量搬送された場合、制御部は、印字ヘッド23の発熱を開始させる。これによって、カバーフィルム103への印字が開始される。カバーフィルム103には、印字データに基づいて印字が実行される。印字されたカバーフィルム103と基材テープ101とは、テープ送りローラ27及び圧着ローラ28によって接着され、印字済テープ109が作成される。
印字が完了した場合、制御部は、印字ヘッド23の発熱を停止させる。印字済テープ109は、印字ヘッド23による印字が終了した後も、印字済テープ109のうち印字部分が切断機構15に対して搬送方向下流側に位置する状態となるまで、継続して搬送経路37を搬送される。印字済テープ109のうち印字部分が切断機構15に対して搬送方向下流側に位置する状態となった後、制御部は、テープ送りローラ27及びリボン巻取りローラ106の回転駆動を停止する。印字済テープ109の搬送は停止され、図8に示すように印字済テープ109が搬送経路37に位置した状態になる。
なお、基材テープ101及びカバーフィルム103はカートリッジ7内で曲折され搬送されるため、印字済テープ109は、搬送方向下流側の端が左側を向くように湾曲している。また、カバーフィルム103に印字ヘッド23が接触した状態でカバーフィルム103が搬送される際に、摩擦によってカバーフィルム103に電荷が帯電する。また、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ27及び圧着ローラ28によって押圧される際に、摩擦によって基材テープ101及びカバーフィルム103に電荷が帯電する。これらの結果、印字済テープ109は電荷を帯びた状態になっている。
制御部は、駆動モータ43(図6参照)の回転を開始させる。ギヤ42(図6参照)は、駆動モータ43の回転に伴い回転し、可動刃41が左方に移動する。固定刃40及び可動刃41は重なり始める。これによって、搬送経路37にある印字済テープ109に対して幅方向に切れ目が入る。
また、第二ローラ52が第一ローラ51側に移動する。第二ローラ52は、搬送経路37に位置する印字済テープ109に接触し、印字済テープ109を第一ローラ51に向けて押す。これによって、第一ローラ51と第二ローラ52とは印字済テープ109に接触し、印字済テープ109を挟持する。第一ローラ51は、駆動モータ43(図6参照)の回転に伴い回転している。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52は、挟持した状態の印字済テープ109を、搬送方向下流側に向けて搬送しようとする。しかしながらこの時点では、固定刃40及び可動刃41が重なり合う部分の長さは僅かであるので、印字済テープ109は完全に切断されていない。印字済テープ109は、搬送方向上流側と下流側とが繋がった状態になっている。また、第二ローラ52の第一ローラ51側への移動量が小さいため、第一ローラ51と第二ローラ52とが印字済テープ109を挟持する力は小さい。このため、第一ローラ51は空回りし、印字済テープ109は搬送方向下流側に搬送されない。なお、印字済テープ109に接触した第一ローラ51が空回りすることによる摩擦によって、印字済テープ109に更に電荷が帯電する。このため印字済テープ109はさらに強い電荷を帯びる。
駆動モータ43の回転に伴いギヤ42が更に回転し、可動刃41は更に左方に移動する。固定刃40及び可動刃41は、下端から上端に至るほぼすべての部分で重なり合い、印字済テープ109は、搬送方向上流側と下流側とに分断される。印字済テープ109のうち印字された部分は搬送方向下流側に切り離される。切り離された部分がラベル57(図9参照)に相当する。なおこの時点で、第一ローラ51及び第二ローラ52間にラベル57が挟持された状態となっている。また、第二ローラ52は第一ローラ51側に更に移動しており、第一ローラ51及び第二ローラ52は、強い力でラベルを挟持している。第一ローラ51は空回りすることなく、第二ローラ52との間に挟まれた状態のラベル57を搬送方向下流側に向けて搬送する。結果、図9に示すように、ラベル57は排出口11を介してラベル作成装置1の外部に排出される。
第二ローラ52の回転軸34は、第一ローラ51の回転軸33よりも前側に位置しているため、ラベル57は、左斜め前方に排出される。ラベル57は、排出口11の内壁31のうち左内壁311に沿うように排出されることになる。また、基材テープ101及びカバーフィルム103はカートリッジ7内で曲折され搬送されるため、ラベル57には、後端58すなわち搬送方向下流側の端が排出方向53に対して左側を向くように湾曲した巻きぐせが付いている。
排出口11から一旦排出されたラベル57は、摩擦によって強い電荷を帯びている。このため、一旦本体部2内から排出口11を介して外部に排出されたラベル57は、静電気の力によって引き戻され、排出口11を介して再び本体部2内に戻ろうとする。ここで、内壁31に溝32が設けられているので、排出口11を介して本体部2内に戻ろうとするラベル57の後端58は、排出口11を通過する過程で溝321、322、及び323のうちいずれかに引っ掛かる。特に、ラベル57の後端58は排出方向53に対して左側に湾曲しているので、左内壁311に設けられた溝321、322、及び323のうちいずれかにラベル57の後端58が引っ掛かりやすい。このためラベル57は、本体部2内に入り込まない。
なおラベル作成装置1では、印字済テープ109から切り取られるラベル57の長さが、内壁31のうち最も外側に設けられた溝323から固定刃40及び可動刃41までの間の長さよりも常に長くなるように、制御部は切断機構15を制御して印字済テープ109を切断し、ラベル57を作成する。従って図8に示すように、切断機構15によって印字済テープ109が切断される時点で、印字済テープ109の前端、即ち、搬送方向下流側端は、常に、内壁31のうち最も外側に設けられた溝323よりも外側に位置する。理由は以下のとおりである。
図9に示すように、切断機構15によって印字済テープ109が切断されラベル57が作成された時点で、ラベル57の前端59、即ち、搬送方向下流側の端が溝32の内側に位置する場合、ラベル57の前端59は、ラベル57の排出の過程で溝32に引っ掛かってしまう可能性がある。ラベル57の前端59が溝32に引っ掛かってしまうと、ラベル57は本体部2の外側に排出されないので、ラベル57は排出口11で詰まってしまう。これに対してラベル作成装置1では、ラベル57が作成された場合、前端59は常に溝323の外側に位置することになる。このため、ラベル57の排出時、前端59が溝32に引っかかってしまうことがない。このようにしてラベル作成装置1は、ラベル57を排出口11から確実に排出することができる。
以上説明したように、ラベル作成装置1は、一旦排出口11から排出されたラベル57が、静電気の力によって本体部2内に再び入り込むことを防止することができる。排出口11から排出されたラベル57は、静電気の力によって排出方向53と逆方向に移動し、排出口11から本体部2内に戻ろうとするが、内壁31に設けた溝32の延びる方向と排出方向53とは直交しているので、溝32はラベル57の後端58を確実に捕獲することができる。ラベル57の後端58は排出方向53に対して直交しているため、溝32に引っ掛かり易いためである。これによって、排出されたラベル57が本体部2内に戻ることによって発生するラベル詰まりを防止することができる。また、排出されたラベル57が本体部2内に戻った場合にラベル57が切断機構15によって再度切断されることを防止できる。従ってラベル作成装置1は、作成したラベル57を確実に排出口11から排出し、ユーザに提供することができる。
またラベル57は、排出機構22によって水平且つ左斜め前方(排出方向53)に排出されるので、左内壁311の近傍を通過し、本体部2内から外側に向けて排出されることになる。従って、ラベル57が静電気の力によって排出方向53と逆方向に移動して排出口11に戻ろうとした場合、ラベル57は左内壁311の近傍を通過することになる。この場合、ラベル57は左内壁311に接触し易くなるので、左内壁311に設けた溝32がラベル57を捕獲しやすくなる。従ってラベル作成装置1は、排出口11から本体部2内にラベル57が入り込んでしまうことを更に確実に防止することができる。
またラベル作成装置1では、排出されるラベル57に付く巻きぐせによって後端58が左側を向いている場合、排出機構22は、前方方向に対して左側に傾斜する方向に、ラベル57を排出する。このようにして、ラベル57の後端58が左内壁311に近接するようにしている。例えば、ラベル57に付く巻きぐせによって後端58が右側を向いている場合には、排出機構22は、前方方向に対して右側に傾斜する方向にラベル57を排出することによって、ラベル57の後端58が右内壁312に近接するようにする。これによって、ラベル57が静電気の力によって排出口11から本体部2内に戻ろうとした場合、内壁31に設けた溝32がラベル57の後端58を捕獲し易くなる。巻きぐせが付いたラベル57のうち外方に湾曲した側面が溝32に接触しても、ラベル57の側面が溝32の表面を滑ってしまうので、ラベル57は溝32によって捕獲され難いのに対し、ラベル57の後端58は溝部32に引っ掛かりやすいためである。従ってラベル作成装置1は、排出口11から本体部2内にラベル57が戻ってしまうことを更に確実に防止することができる。
なお、ラベル作成装置1は切断機構15を備えているので、ラベル57を所望する長さに自動的に調整することができる。ユーザは、使用態様に合った使い勝手の良いラベル57を使用することができる。ユーザは、手作業でラベル57を切断する必要がない。また、切断機構15によって印字済テープ109からラベル57が短く切り取られた場合、ラベル57は帯電しやすくなるため、静電気の力によって排出口11から本体部2内に戻りやすくなる。このような場合でも、ラベル作成装置1は、内壁31に設けた溝32がラベル57を確実に捕獲するので、ラベル57の詰まりや、ラベル57が繰り返し切断されてしまうことを防止できる。
なお、上記実施形態における印字機構21が本発明の「印刷手段」に相当する。排出機構22が本発明の「排出手段」に相当する。切断機構15が本発明の「切断手段」に相当する。
なお本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記実施形態では、ラベル作成装置1は切断機構15を備えていたが、本発明は、切断機構15を備えていなくてもよい。予め所定の長さ毎に設けられた基材テープ101及びカバーフィルム103が使用されてもよい。上記実施形態では、溝32は内壁31のうち左内壁311、右内壁312、及び下内壁313に設けられていたが、少なくとも左内壁311に設けられていればよい。ラベル57は、左内壁311を沿うように排出されるため、静電気によって排出口11を介して本体部2内に戻ろうとするラベル57は、左内壁311に設けられた溝32によって効果的に捕捉されるためである。上記実施形態では、溝32は溝321、322、及び323を備えていたが、溝32の数はこれに限定されない。上記実施形態では、排出機構22によってラベル57は左内壁311を沿うように排出されていたが、排出機構22は、ラベル作成装置1の水平方向かつ前方、即ち、排出口11の開口面に直交する方向にラベル57を排出してもよい。ラベル57には巻きぐせが付いていなくてもよい。
内壁31にシボ加工が施されていてもよい。これによって、内壁31にラベル57が接触した場合、ラベル57が内壁31に静電気の力によって吸着し難くなる。これによってラベル57は本体部2内から外側に確実に排出されるので、排出口31から本体部2内にラベルが入り込んでしまうことを更に確実に防止できる。
上述では、排出方向53と、右内壁311及び左内壁312に設けられた溝32の延びる方向である上下方向とは直交していた。本発明では、溝32の延びる方向は排出方向53と直交していなくてもよい。溝32の延びる方向が排出方向53に対して交差していれば、排出口11を介して本体部2内に戻ろうとするラベル57を効果的に補足することができる。
また、溝32を次のように設けてもよい。ラベル57は排出機構22によって水平方向且つ左斜め前方(排出方向53)に排出されるものの、排出口11から排出されたラベル57に重力が加わることによって、ラベルは水平方向から下方に徐々に下降する。このため、静電気の力によってラベル57が排出口11を介して本体部2内に戻ろうとする場合、ラベル57は、排出口11の左斜め前方且つ下方から斜め上方に移動しながら排出口11に向かい、排出口11を介して本体部2内に入り込もうとする。このため、このように移動するラベル57を効果的に補足するために、溝32は、排出口11の左斜め前方且つ下方から斜め上方に移動して排出口11に向かう方向、即ち、排出方向53に対して下方に傾斜した方向に対して直交するように延びて設けられていてもよい。これによってラベル作成装置1は、ラベル57が重力の影響で排出口11から斜め下方に排出された場合であっても、静電気の力で排出口11から本体部内にラベル57が戻ってしまうことを確実に防止することができる。
上述では、内壁31に凹んだ溝32が直接設けられていたが、溝32は、内壁31に直接設けられていなくてもよい。例えば、内壁31に突起を設けてもよい。そして、突起のうち内壁31から立設する側壁と内壁31とで挟まれる部分に形成される凹部を、溝として使用してもよい。突起は、ラベル57の排出方向53に直交する方向に延びて設けられていてもよい。内壁31に突起を設けることによって形成された溝には、排出されたラベル57が静電気の力によって排出口11を介して本体部2内に戻ろうとした場合に、ラベル57が引っ掛かる。これによってラベル57を良好に補足することができるので、ラベル57が本体部2内に戻ってしまうことを防止できる。また、内壁31に溝32及び突起の両方が設けられていてもよい。
例えば突起は、図10に示すように設けられていてもよい。図10では、突起35は、内壁31に沿う周回状の位置に、所定の長さで所定間隔を空けて設けられている。具体的には、図2において溝321が設けられている位置に、溝321の代わりに突起351が設けられている。図2において溝322が設けられている位置に、溝322の代わりに突起352が設けられている。図2において溝323が設けられている位置に、溝323の代わりに突起353が設けられている。突起351、352、353は、所定の長さで所定間隔を空けて設けられている。図11に示すように、突起35は、内壁31から開口部の内側に延びる側壁であって、搬送方向上流側(図11における左側)から下流側(図11における右側)に向かって斜め方向に立設する側壁と、鉛直方向に立設する側壁とを備えている。突起35の断面形状は、略三角形である。突起351、352、及び353の側壁と内壁31とで挟まれる部分が、溝36を形成している。溝36は、突起351、352の側壁と内壁31とで挟まれる溝362、及び、突起352、353の側壁と内壁31とで挟まれる溝363のように、複数の側壁及び内壁31で挟まれることによって形成される溝だけでなく、突起351の側壁と内壁31とで挟まれる溝361、及び、突起353の側壁と内壁31とで挟まれる溝364のように、一の側壁及び内壁31で挟まれることによって形成される溝も含まれる。その結果、図10に示すように、全体として網の目状の溝36が形成されている。
溝36を設けることによって、溝32を設けた場合と同様、ラベル57が本体部2内に戻ってしまうことを防止できる。更に、所定間隔を空けて突起35を設けることによって、網の目状に溝36が形成されているので、静電気の力で排出口11にラベル57が入り込もうとする場合の方向が一様でない場合も、常にラベル57が本体部2内に戻ることを効果的に防止することができる。例えば、ラベル57が水平方向に移動することによって排出口11に入り込もうとする場合だけでなく、排出口11の下方且つ前方から斜め上方に移動しながら排出口11に向かい、排出口11に入り込もうとする場合であっても、溝36はラベル57を良好に補足することができる。溝36は網の目状に形成されているので、ラベル57を様々な角度から捕捉することができるためである。さらに、突起35の側壁のうち搬送方向上流側の側壁は、開口部の内側且つ搬送方向下流側に向けて斜め方向に延びているので、排出口11から排出されるラベル57は突起35に引っ掛かりにくい。このため、排出口11から排出されるラベル57が突起35に引っ掛かってしまって排出口11が詰まってしまうことを防止できる。