以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に示すラベル生成システムLSにおいて、本実施形態のラベル作成装置1(切断物作成装置に相当)は、この例では、有線あるいは無線による通信回線NWを介して、端末118a及び汎用コンピュータ118bに接続されている。なお、端末118a及び汎用コンピュータ118bを総称して以下適宜、単に「PC118」と称する。ラベル作成装置1は、この例では、上記PC118からの操作に基づき所望の印字ラベルLを作成するものである。
図2に示すように、ラベル作成装置1は、装置外郭を構成する装置本体2(筐体に相当)と、この装置本体2の上面に開閉可能に設けられた開閉蓋3とを有している。
装置本体2は、手前側(図2中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された印字ラベルL(印刷切断物、切断物に相当)を外部に排出するラベル排出口11を備えた前壁10と、この前壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された前蓋12とを備えている。
前蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで前蓋12が前方に開放されるようになっている。また、前壁10の一端部には、ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源ボタン14が設けられている。この電源ボタン14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動するためのカッター駆動ボタン16が設けられ、このボタン16が押されることで印字済みラベル用テープ109(詳細は後述)をカットして印字ラベルLを装置本体から切り離すようになっている。
開閉蓋3は、装置本体2の図2中右奥側の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン4が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の作用により開放される。なお、開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓5が設けられている。
<内部ユニット>
次に、ラベル作成装置1の内部の内部ユニット20の構造を説明する。内部ユニット20は、図3に示すように、概略的には、カートリッジ7を収納するカートリッジホルダ6と、印字手段としての印字ヘッド23(印刷手段に相当)を備えた印字機構21と、切断手段としての切断機構15と、ハーフカッタ34を備えたハーフカットユニット35と、生成された印字ラベルLをラベル排出口11(図2参照)より排出するラベル排出機構22とを備えている。
<カートリッジホルダ及び印字機構>
カートリッジホルダ6は、ラベル排出口11(図2参照)から排出される印字済みラベル用テープ109の幅方向の向きが、垂直方向となるようにカートリッジ7を収納する。
次に、カートリッジ7の詳細構造を説明する。図4及び前述の図3に示されるように、カートリッジ7は、筐体7Aと、この筐体7A内に配置され帯状(長尺状)の基材テープ101が巻回された第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である帯状(長尺状)の透明なカバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、カートリッジ7のテープ排出部30の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ27と、ガイドローラ112とを有する。
テープ送りローラ27は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済みラベル用テープ109としつつ、矢印Aで示す方向にテープ送りを行う(=圧着ローラとしても機能する)。なお、上記印字済みラベル用テープ109と上記カバーフィルムとが、各請求項記載の長尺状の記録媒体に相当している。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図4中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図4中右側)よりその反対側(図4中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101bの表側(図4中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図4中左側)には、上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。
剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した印字ラベルLが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着可能となっている。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド23に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27は、それぞれカートリッジ7外に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ119(後述の図7参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介しリボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108に伝達されることによって、連動して回転駆動される。なお、このテープ送りローラ駆動軸108が、搬送手段として機能する。
一方、多数の発熱素子を備えた上記印字ヘッド23が、カートリッジホルダ6に立設されたヘッド取付部24に取り付けられて、テープ送りローラ27よりカバーフィルム103の搬送方向上流側に配置されている。
また、カートリッジホルダ6のうちカートリッジ7の前方(図3中、下側)には、ローラホルダ25が支持軸29により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置(図3参照)とリリース位置とに切換可能とされている。このローラホルダ25には、プラテンローラ26及び圧着ローラ28が回転可能に配設されており、ローラホルダ25が上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ26及び圧着ローラ28が上記印字ヘッド23及び上記テープ送りローラ27に対し圧接される。
上記構成において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、テープ送りローラ27へと供給される。一方、前述したように第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103の裏面に対し、インクリボン105が上記印字ヘッド23に押圧されて当接させられる。カートリッジ7が上記カートリッジホルダ6に装着されロールホルダ25が上記リリース位置から上記印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ27と圧着ローラ28との間に狭持される。そして、搬送用モータ119の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27が図4中の矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記圧着ローラ28及びプラテンローラ26はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、圧着ローラ28、及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ27へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、印刷駆動回路120(後述の図7参照)により印字ヘッド23の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に、ラベル印字R(後述の図8参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及び圧着ローラ28により接着されて一体化されて印字済みラベル用テープ109として形成され、テープ排出部30よりカートリッジ7外へと搬出される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
なお、カートリッジ7の上記筐体7Aの上面には、例えば、カートリッジ7内に内蔵されている上記基材テープ101のテープ幅、テープの色等を表示するテープ特定表示部8(図3参照)が設けられている。
一方、前述したように、内部ユニット20には、上記切断機構15と、上記ラベル排出機構22とが備えられている。上述のように貼り合わされて生成された印字済みラベル用テープ109に対し、上記カッター駆動ボタン16(図2参照)を操作することにより切断機構15によって印字済みラベル用テープ109が切断され(あるいは適宜のタイミングで自動的に切断されるようにしてもよい)、印字ラベルLが生成される。この印字ラベルLは、その後さらにラベル排出機構22によって前壁10(図2参照)に形成された上記ラベル排出口11から排出される。
<切断機構>
次に、切断機構15について、図5、図6、及び、上記図3により説明する。なお、図5及び図6においては、図示の煩雑を避けるために、後述のハーフカットユニットを除いた状態で図示している。なお、当該図示のように、ハーフカットユニットを省略した構成としてもよい。
前述したような貼り合わせの結果、印字済みラベル用テープ109は、層方向に沿って、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び、剥離紙101dが、この順序で積層されている。切断機構15は、これらの層をすべて切断することにより、上記印字を備えた印字ラベルLを作成する。すなわち、切断機構15は、固定刃40と、この固定刃40とともにカット動作を行う可動刃41と、この可動刃41に係合されるカッターハスバギヤ(可動刃駆動ギヤ)42と、このカッターハスバギヤ42に対して、複数のギヤからなるギヤ列43A(歯車機構に相当)により作動連結され、一方向に回転する駆動モータ43(モータに相当)と、を備えている。
カッターハスバギヤ42には、突起状に形成されたボス(第1ピン)50が回転中心以外の部分に設けられており、このボス50が可動刃41の柄部46(基部)に形成された長孔(係合孔)49に挿入されて係合される(図6参照)。これらボス50及び長孔49が、上記駆動モータ43の一方向への回転を可動刃41の進退動作に変換する変換手段を構成している。これにより、駆動モータ43の回転駆動に基づく回転運動をボス50と長孔49との係合構造を利用して進退方向への運動へ変換し、可動刃41を印字済みラベル用テープ109のテープ搬送経路に対し進退動作させることができる。
固定刃40は、カートリッジホルダ6の側部において起立状に設けられる側板44(図3参照)に固定孔を通してネジ等により固定されている。
図6に示されるように、可動刃41は略V字状をなしており、切断部分に設けられた刃部45と、刃部45の反対に位置する柄部46と、屈曲部47と、から構成される。固定刃には軸孔48が設けられている。可動刃41は、軸孔48に設けられた回転軸(図示せず)を介し屈曲部47を支点として回動できるように、上記側板44に支持されている。また、可動刃41の刃部45の反対側の柄部46に上記長孔49が形成されている。刃部45は例えば2段刃により形成されており、その刃面は刃部45の厚みを徐々に薄くする第1傾斜面と第2傾斜面の傾斜角度の異なる2つの傾斜面により構成されている。
上記構成の切断機構15において、駆動モータ43によりカッターハスバギヤ42が回転した際に、可動刃41がボス50と長孔49により上記軸孔48の回転軸を支点として揺動し、印字済みラベル用テープ109の搬送経路へ向かって前進することで、印字済みラベル用テープ109がカットされる。
すなわちまず、カッターハスバギヤ42のボス50が内側(図6中、右側)に位置する場合においては可動刃41の刃部45は固定刃40から離れて位置する(初期状態)。そして、この初期状態において駆動モータ43が駆動し、カッターハスバギヤ42が図6中の時計回り(矢印70方向)に回転すると、ボス50が外側に移動するとともに、可動刃41は上記回転軸を中心に図6中の時計回り(矢印73方向)に回動し、固定刃40と協働して印字済みラベル用テープ109を切断する(詳細は後述の図10〜図14も参照)。
<ラベル排出機構>
一方、上記ラベル排出機構22は、装置本体2の前壁10(図2参照)に設けられたラベル排出口11の近傍に配設され、切断機構15において切断された後の印字済みラベル用テープ109(言い換えれば印字ラベルL、以下同様)をラベル排出口11から強制的に排出する。すなわち、ラベル排出機構22は、可動刃41よりテープ搬送経路の下流側に設けられ、印字済みラベル用テープ109に接触して排出するための駆動ローラ51と、この駆動ローラ51に対して印字済みラベル用テープ109の搬送経路を挟んで対向する押圧ローラ(従動ローラ)25と、を有する。
駆動ローラ51は、上記駆動モータ43の駆動力が上記ギヤ列43A(歯車機構)によってローラシャフト51aに伝達されることで、回転駆動される。
このとき、上記ラベル排出口11の内側には、印字済みラベル用テープ109をラベル排出口11へ案内するための第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64が設けられている(図3参照)。第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64はそれぞれ一体に形成され、上記固定刃40と可動刃41とでカットされた印字済みラベル用テープ109の排出位置において、互いに所定の間隔を隔てられるように配置されている。
なお、このとき、第1案内壁55には、突出したリブ形状のテープガイド部55A(テープガイド部材)が設けられている。このテープガイド部55Aは、テープ搬送経路に対し進退可能に設けられる押圧ローラ52(従動ローラに相当)がテープ搬送経路から離れた状態においてカートリッジ7から印字済みラベル用テープ109が排出されてきたとき、当該印字済みラベル用テープ109の先端と、(この時点ではまだ可動刃41が動いていないことから停止した状態にある)駆動ローラ51とが、接触しないようにガイドする機能を果たす。なお、テープガイド部55Aは、押圧ローラ52がテープ搬送経路の印字済みラベル用テープ109に接触している状態では、駆動ローラ51及び押圧ローラ52による印字済みラベル用テープ109の挟み込みを阻害しないよう、第1案内壁55のうち駆動ローラ51を挟む両側2カ所に分かれて設けられている。
<ハーフカットユニット>
次に、ハーフカットユニットの詳細構成について説明する。前述したように、印字済みラベル用テープ109は、層方向に沿って、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び、剥離紙101dが、この順序で積層されている。ハーフカットユニットは、これらの層のうち、剥離紙101d以外の層(カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101c)を切断する。すなわち、図3に示されるように、ハーフカットユニットは、この例では固定刃40に合わせて配置される受け台38と、この受け台38と対向し可動刃41側に配置され、上記剥離紙101d以外の層の切断を行うハーフカッタ34と、固定刃40と受け台38との間に固定刃40と合わせて配置される第1ガイド部36と、この第1ガイド部36と対向し可動刃41と合わせて配置される第2ガイド部37とを備えている。
以上の基本構成において、本実施形態では、駆動ローラ51の回転駆動と可動刃41の刃部45の進退動作とが、1つの共通の駆動モータ43からの駆動力によって行われる。すなわち、本実施形態では、駆動モータ43の一方向への回転に伴って、前述した可動刃41の刃部45のテープ搬送経路に対する進退動作と、押圧ローラ52の駆動ローラ51に対する進退動作とが、互いに連携して行われる。以下、その詳細について順を追って説明する。
上記の連携に際しては、例えば回転運動を進退(並進往復)運動へ変換するいわゆるクランク・揺動梃機構を用いている。すなわち、駆動ローラ51に圧接される押圧ローラ52を一端に回転可能に支持する略逆三角形状の支持部材60が、その端部に設けた回転軸163を介して回転(揺動)可能となるように配置されている。
支持部材60は、回転軸163に巻介されたバネ部材62によって、テープ搬送経路から後退する後方側、すなわち押圧ローラ52が駆動ローラ51から離間した状態となるように、付勢されている。また支持部材60の下端には、可動刃41側に突出して、当該可動刃41の略への字形に屈曲した柄部46の角側外縁部46Aに接触可能な、排出カムのボス(第2ピン)61が備えられている。このような構成により、駆動モータ43の上記一方向への回転による可動刃41の刃部45の進退動作に連動して、可動刃41の柄部46の上記外縁部46Aが排出カムのボス61に接触したり解離したりすることにより、支持部材60を回転軸163の回りに回転(揺動)させることができる。すなわち、支持部材60とボス61とは、各請求項記載の連動手段として機能している。
上記の構成により、可動刃41の進退動作に対して支持部材60を連動して回転軸163の回りに揺動させ、駆動ローラ51に対する押圧ローラ52の進退動作を実現している。すなわち、押圧ローラ52は、テープ搬送経路に位置する印字済みラベル用テープ109に対し駆動ローラ51と反対側から接触し当該駆動ローラ51とともに印字済みラベル用テープ109を挟み込み可能な接触位置と、テープ搬送経路に位置する印字済みラベル用テープ109から所定距離だけ離間した離間位置(最も離れた位置からわずかに離れた位置までの全域)、の間を進退可能となっている(詳細な動作態様は後述の図10〜図14参照)。
<制御系>
次に、ラベル作成装置1の制御系を図7を用いて説明する。図7において、このラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上には、制御回路110が配置されている。
制御回路110には、内部にタイマ111Aを備え各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。
CGROM114は、例えば多数のキャラクタの各々に関するドットパターンデータがコードデータに対応させて格納されている。
ROM(ドットパターンデータメモリ)115には、アルファベット文字や記号等のキャラクタを印字するための多数のキャラクタ各々に関して、印字用ドットパターンデータが、書体(ゴシック系書体、明朝体書体等)毎に分類され、各書体毎に印字文字サイズ分、コードデータに対応させて格納されている。また、階調表現を含むグラフィック画像を印字するためのグラフィックパターンデータも記憶されている。
なお、以上のCGROM114やROM115に記憶された表示用及び印字用ドットパターンデータは、上記通信回線NWを介してPC118側から読み出すことが可能であり、当該データを受信したPC118側で表示や印字を行うようにしてもよい。
ROM116には、上記PC118から入力された文字や数字等のキャラクタのコードデータに対応させて、印字バッファのデータを読み出して上記印字ヘッド23、搬送用モータ119を駆動する印字駆動制御プログラム、各印字ドットの形成エネルギ量に対応するパルス数を決定するパルス数決定プログラム、印字終了した場合に印字済みラベル用テープ109を切断位置まで搬送用モータ119を駆動して搬送し、上記駆動モータ43を駆動して印字済みラベル用テープ109を切断する切断駆動制御プログラム、切断された印字済みラベル用テープ109(=印字ラベルL)を、駆動モータ43を駆動してラベル排出口11から強制的に排出するテープ排出プログラム、その他ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117E等が設けられている。テキストメモリ117Aには、PC118から入力された文書データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンがドットパターンデータとして格納され、印字ヘッド23はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Eには、各種演算データが記憶される。
入出力インターフェース113には、PC118と、印字ヘッド23を駆動するための上記印刷駆動回路120と、搬送用モータ119を駆動するための搬送用モータ駆動回路121と、駆動モータ43を駆動するための駆動回路122(通電手段に相当)と、ハーフカッタモータ129を駆動するためのハーフカッタモータ駆動回路128と、テープカットセンサ124とカットリリース検出センサ125とが各々接続されている。なお、前述のようにハーフカッタ34が設けられない場合には、ハーフカッタモータ129及びハーフカッタモータ駆動回路128は省略される。
このような制御回路110を核とする制御系において、PC118を介して文字データ等が入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド23が駆動回路120を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ119が駆動回路121を介してテープの搬送制御を行う。
このとき、テープカットセンサ124及びカットリリース検出センサ125は、図5、図6等に示すように、カッターハスバギヤ42の円筒外壁のうち所定の周方向範囲にフランジ状に突出して設けたカッターハスバギヤ用カム42Aと、マイクロスイッチ126と、から構成されている。
具体的には、通常の待機状態(ホームポジション)では、カッターハスバギヤ用カム42Aの作用によりマイクロスイッチ126が押されてオン状態となっている(後述の図10参照)。この状態から、前述の印字済みラベル用テープ109の切断時において、駆動モータ43によりカッターハスバギヤ42が一方向(図6の矢印70の方向)に回転し、可動刃41の刃部45が前進する。その後可動刃41の刃部45の前進により印字済みラベル用テープ109の切断が完了したタイミングで、当該周方向位置においてはカッターハスバギヤ用カム42Aが存在しなくなることでマイクロスイッチ126が押されなくなりオン状態からオフ状態に復帰する(後述の図20のステップS65参照)。この結果、可動刃41による印字済みラベル用テープ109の切断が完了したことが検出される。このことにより、テープカット検出センサ124が構成される。
また、さらにカッターハスバギヤ42が一方向(図6の矢印70の方向)に回転すると、ある周方向位置において再びカッターハスバギヤ用カム42Aが出現してマイクロスイッチ126が押されてマイクロスイッチ126がオフ状態からオン状態に切り替わる(後述の図20のステップS70参照)。この結果、可動刃41が上記ホームポジションに戻ったことが検出される。このことにより、カットリリース検出センサ125が構成される。
<ラベルの構成>
上述のような構成のラベル作成装置1により印字済みラベル用テープ109の切断が完了し、形成された印字ラベルLは、図8(a)、図8(b)、図8(c)図8(d)、図9(a)、及び図9(b)に示すように、前述したように図4に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっている。すなわち、カバーフィルム103側(図9中上側)よりその反対側(図9中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層が構成されている。そして、カバーフィルム103の裏面にラベル印字R(この例では「ABCD」の文字)が印刷されている。
また、図8(a)及び図8(b)に示すように、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101cには、既に述べたように上記ハーフカッタ34によってテープ幅方向に略沿ってハーフカット線HC(この例では前ハーフカット線HC1及び後ハーフカット線HC2の2本)が形成されている。カバーフィルム103のうち、これらハーフカット線HC1,HC2の間に挟まれた領域がラベル印字Rが印刷される印字領域Sとなり、印字領域Sよりハーフカット線HC1,HC2を挟んでテープ長手方向両側がそれぞれ前余白領域S1及び後余白領域S2となっている。
なお、前述のようにしてハーフカットユニットが省略された場合には、図8(c)及び図8(d)のように、上記ハーフカット線HC1,HC2のない外観となる。
<可動刃進退と押圧ローラ進退との連携動作>
次に、前述した可動刃41の刃部45のテープ搬送経路に対する進退動作と押圧ローラ52の駆動ローラ51に対する進退動作との連携の詳細について、説明する。
以下、図10乃至図14に基づき、上記の連携態様を順を追って説明する。
まず最初に、前述したように、切断機構15の可動刃41の刃部45は、搬送経路に位置する印字済みラベル用テープ109から離間したホームポジションでの待機状態にある(図10参照)。この例では、この状態で、カッターハスバギヤ42の中心からみてボス50が水平方向の同じ高さ位置にある。なお、先に説明したように、この時点で、カットリリース検出センサ125のマイクロスイッチ126は既にON状態となっている。
その後、駆動モータ43が回転を開始する。この回転駆動力は前述したようにギヤ列43Aを介してカッターハスバギヤ42に伝達され、このカッターハスバギヤ42の回転により、可動刃41の刃部45が印字済みラベル用テープ109に向かって前進を開始する。また上記回転駆動力は、上記ギヤ列43A(歯車機構)によってローラシャフト51aに伝達され、これによって駆動ローラ51も回転開始する。但し、この時点では可動刃41の柄部46の外縁部46Aが支持部材60のボス61から離れた状態である。この結果、支持部材60がバネ部材62に付勢されることによって、押圧ローラ52は、テープ搬送経路から後方側に後退し駆動ローラ51から離間した初期状態を維持している。したがって、テープ搬送経路に位置する印字済みラベル用テープ109の一方側に位置する駆動ローラ51は印字済みラベル用テープの直近で回転しているものの、他方側に位置する押圧ローラ52が印字済みラベル用テープ109から離れているので、印字済みラベル用テープ109と駆動ローラ51との間に摩擦力がほとんど作用せず、駆動ローラ51の回転は印字済みラベル用テープ109には伝達されない(もし駆動ローラ51が接触しても滑る)。したがって、印字済みラベル用テープ109はラベル排出口11の方向へと搬送されることはない。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転し、上記ホームポジションの位置から85°回転したときに、可動刃41の刃部45が印字済みラベル用テープ109の切断を開始する(図示省略)。この状態でも可動刃41の外縁部46Aは支持部材60のボス61から離れている。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転し、可動刃41の刃部45は印字済みラベル用テープ109を幅方向(図中の上下方向)に切り進んでいく。そしてカッターハスバギヤ42が上記ホームポジションの位置から102°回転したとき、可動刃41の外縁部46Aが支持部材60のボス61に接触する(図示省略)。
上記の外縁部46Aとボス61との接触により、これ以降は、可動刃41の刃部45のテープ搬送経路への前進とともに、支持部材60が回転軸163を中心に図示時計回りに回転を開始する。これによって、押圧ローラ52は、テープ搬送経路へ向かって前進を開始し、駆動ローラ51に向かって近づいていく。そして、さらに駆動モータ43の回転によりカッターハスバギヤ42が回転し、上記ホームポジションの位置から132°回転したとき、上記のように前進した押圧ローラ52は印字済みラベル用テープ109に接触する。これにより、押圧ローラ52と駆動ローラ51とで印字済みラベル用テープ109とを挟み込んで押圧した状態となり、駆動ローラ51の回転は印字済みラベル用テープ109に伝達開始される。なお、この時点で、可動刃41の刃部45は印字済みラベル用テープ109の幅方向寸法のうち例えば1/2程度の長さまで切り進んだ状態であり、残りの1/2程度はまだ未切断のまま残っている。すなわち印字済みラベル用テープ109は可動刃41の刃部45により幅方向の途中まで食い込まれた形で把持されているので、上記のように駆動ローラ51の回転が伝達されても駆動ローラ51との間で滑ることで、ラベル排出口11の方向へと搬送されることはない(図11参照)。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転して可動刃41の刃部45が切り進み、カッターハスバギヤ42が上記ホームポジションの位置から170°回転したとき、可動刃41の刃部45による印字済みラベル用テープ109の全幅方向寸法の切断(フルカット)が完了する(図示省略)。なお、実際には、印字済みラベル用テープ109の幅が比較的狭い場合には、このタイミングよりも早いタイミングで、上記全幅方向の切断が完了する場合もある(後述の図18参照)。これにより、これ以降は、駆動モータ43の駆動力による駆動ローラ51の回転の伝達によって印字済みラベル用テープ109がラベル排出口11へ向かって搬送開始される。なお、このとき、固定刃40と可動刃41の刃部45とは互いの食い込みのないオーバーラップ量0の状態である。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転し、上記ホームポジションの位置から183°回転すると、マイクロスイッチ126をこれまで押してきたカッターハスバギヤ42のカッターハスバギヤ用カム42Aが消失する(あるいは高さが低くなる。図12参照)。これにより、マイクロスイッチ126はOFF状態となって、上記制御回路が、可動刃41の固定刃40に対する相対位置が、所定のクローズ位置となった状態(以下適宜、「可動刃クローズ」という)を検知する(後述の図20のステップS65も参照)。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転し、上記ホームポジションの位置から205°回転すると、固定刃40と可動刃41の刃部45とが互いに食い込んで所定量オーバーラップした状態となる(図示省略)。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転すると、可動刃41の柄部46の長孔49の形状及び方向の作用により、ある時点以降は、上記回転軸を中心に可動刃41は刃部45がテープ搬送経路から離れる方向(図中の反時計回り)に回転し始める。これにより、刃部45が印字済みラベル用テープ109から離間し始める。また、これとともに、可動刃41の上記外縁部46Aにボス61を接触させつつ一体となって揺動していた支持部材60も上記回転軸163を中心としてそれまでと逆方向に(図中の反時計回りに)回転し始める。そして、カッターハスバギヤ42が上記ホームポジションの位置から268°回転したとき、上記支持部材60の逆方向への回転により、支持部材60に支持された押圧ローラ52が、印字済みラベル用テープ109のテープ搬送経路から後方側(図示左側)へ離れる(図13参照)。すなわち、駆動モータ43の駆動力による駆動ローラ51の回転が伝達されて印字済みラベル用テープ109が搬送開始されてから、この図13の状態となるまでの間、印字済みラベル用テープ109の切断により生成された印字ラベルLの後端が少なくとも駆動ローラ51の位置までに達するように、搬送速度や各部の形状・寸法・材質等が設定されており、これによって印字ラベルLが確実にラベル排出口11から排出されるよう図られている。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転して可動刃41の刃部45がさらに後退してテープ搬送経路から離れ、カッターハスバギヤ42が上記ホームポジションの位置から284°回転したとき、支持部材60は、前述したホームポジションに対応した初期状態に戻る。これにより、これ以降は、可動刃41の外縁部46Aと支持部材60のボス61との接触が解消し、外縁部46Aがボス61より離れる。
その後、駆動モータ43の回転によりさらにカッターハスバギヤ42が回転し、上記ホームポジションの位置から354°回転すると、カッターハスバギヤ42のカッターハスバギヤ用カム42Aが出現し(あるいは高さが図14に示すように高くなり)、マイクロスイッチ126を押してON状態とする。これにより、上記制御回路によって可動刃41が上記ホームポジションに戻ったことが検知される(後述の図20のステップS70も参照)。
<制御手順>
次に上記連携動作を実現するために、制御回路110のCPU111によって実行される制御手順を、図15を用いて説明する。
図15において、上記PC118より例えばラベル作成操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS1で、上記PC118からの操作信号を(通信回線NW及び入出力インターフェース113を介して)入力しこの操作信号に基づき、印字データの生成、前・後ハーフカット位置やフルカット位置の設定、等を行う準備処理を実行する。なお、このとき、上記印字データには、後述の印字長L1が含まれている。
ステップS5では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121に制御信号を出力し、搬送用モータ121の駆動力によってテープ送りローラ27及びリボン巻取りローラ106を回転駆動させる。これらにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されテープ送りローラ27へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。そして、これら基材テープ101とカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及びサブローラ109により接着されて一体化されて印字済みラベル用テープ109として形成され、カートリッジ7外方向からさらにラベル作成装置1外方向へと搬送される。
その後、ステップS10において、CPU111は、上記ステップS5から開始されたテープ搬送による搬送量Dが、所定のDoになったかどうか、を判定する。このDoは、前述の印字データに基づいた、上記印字領域Sの搬送方向下流側端部(先端部)が、印字ヘッド23に正対する位置まで来たかどうか(言い換えればカバーフィルム103が印字ヘッド23による印刷開始位置まで到達したかどうか)、を判定するためのものである。Doの値は、上記印字領域Sの設定とともに、上記ステップS1の準備処理において決定されている。D=Doとなってカバーフィルム103が印刷開始位置に到達するまでステップS10の判定が満たされず(S10:NO)ループ待機し、印刷開始位置となったら、ステップS10の判定が満たされて(S10:YES)、ステップS15に移る。
ステップS15では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、印字ヘッド23を通電して、カバーフィルム103のうち前述した印字領域Sに、ステップS1で生成した印字データに対応した文字、記号、バーコード等の印字長L1のラベル印字Rの印刷を開始する。
その後、ステップS20において、CPU111は、印字済みラベル用テープ109が先のステップS1で設定した前ハーフカット位置まで搬送されたかどうか(言い換えればハーフカット機構35のハーフカッタ34がステップS1で設定した前ハーフカット線HC1に正対する位置まで印字済みラベル用テープ109が到達したかどうか)を判定する。このときの判定は、例えば、上記ステップS10のタイミング以降の、パルスモータである搬送用モータ119を駆動する搬送用モータ駆動回路121の出力するパルス数をカウントし、当該カウント数が所定の値に達したかどうか、により検出すれば足りる。前ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされず(S20:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S20:YES)、ステップS25に移る。
ステップS25では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121に制御信号を出力し、搬送用モータ119の駆動を停止して、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106の回転を停止する。これにより、カートリッジ7から繰り出された印字済みラベル用テープ109が排出方向に移動する過程で、ステップS1で設定した前ハーフカット線HC1にハーフカット機構35のハーフカッタ34が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。またこのとき、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120にも制御信号を出力し、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止(印刷中断)する。
その後、ステップS30で、CPU111は、入出力インターフェース113を介しハーフカッタモータ駆動回路128に制御信号を出力してハーフカッタモータ129を駆動し、ハーフカッタ34を回動させて、印字済みラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101cを切断して前ハーフカット線HC1を形成する前ハーフカット処理を行う。
そして、ステップS35に移り、CPU111は、上記ステップS5と同様にしてテープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106を回転駆動させて印字済みラベル用テープ109の搬送を再開するとともに、ステップS15と同様にして印字ヘッド23に通電してラベル印字Rの印刷を再開する。なお、前述のようにハーフカッタ34を設けない場合は、上記ステップS20、ステップS25、ステップS30、ステップS35は省略される。
ステップS250では、CPU111は、搬送量Dが印字長L1以上となったかどうか、すなわち上記印字領域Sの搬送方向上流側端部(後端部)が、印字ヘッド23に正対する位置まで来たかどうか(言い換えればカバーフィルム103が印字ヘッド23による印刷終了位置まで到達したどうか)、を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。D≧L1となりカバーフィルム103が印刷終了位置に到達するまで判定が満たされず(S250:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S250:YES)、ステップS260に移る。
ステップS260では、CPU111は、上記ステップS25と同様にして、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止する。これによって、カバーフィルム103の印字領域Sに対するラベル印字Rの印刷が完了する。
その後、ステップS270に移り、CPU111は、上記印字領域Sの上記後端部から所定の位置に固定的に設定される(ステップS1で設定)、後ハーフカット位置までテープ搬送を行った後にハーフカットユニット35のハーフカッタ34によって後ハーフカット線HC2の形成を行う、後ハーフカット処理を行う。
そして、ステップS45に移り、CPU111は、印字済みラベル用テープ109の切断線CL(ステップS1で設定)が切断機構15の可動刃41に正対する位置までラベル用テープ109が到達したかどうか(言い換えれば印字済みラベル用テープ109がフルカット位置まで搬送されたかどうか)を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。フルカット位置に到達するまで判定が満たされず(S45:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S45:YES)、ステップS50に移る。
ステップS50では、CPU111は、上記ステップS25と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106の回転を停止して印字済みラベル用テープ109の搬送を停止する。これにより、ステップS1で設定した切断線CLに切断機構15の可動刃41が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。
その後、ステップS55で、CPU111は、モータ駆動回路122に制御信号を出力して駆動モータ43を駆動し、切断機構15の可動刃41を回動させて、印字済みラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101dをすべて切断(分断)して切断線CLを形成するとともに切断後の印字ラベルLを排出する、カット・排出処理を行う(詳細は後述する)。このカット・排出処理では、切断機構15による分断によって印字済みラベル用テープ109から切り離されることで、所定の印字が行われた印字ラベルLが生成される。そしてこの生成された印字ラベルLは、駆動ローラ51と押圧ローラ52とによって挟み込まれ、駆動ローラ51の駆動力によって上記ラベル排出口11から装置本体2外へと排出される。その後、このフローを終了する。
以上の基本構成及び動作において、本実施形態の特徴は、上記のようにして印字ラベルLがラベル排出口11から排出されるときの、排出速度制御にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
<比較例>
まず、上記のような排出速度制御を特に行わない比較例による印字ラベルの作成工程について、図16(a)〜(h)を用いて説明する。なお、図16中において、実際は、前述のように印字ヘッド23で印字形成されたカバーフィルム103に対しテープ送りローラ27及び圧着ローラ28により上記基材テープ101が貼り合わせられ、(それよりも下流側において)印字済みラベル用テープ109となるが、これら図16(a)〜(h)では図示の煩雑を避けるために「103(109)」の符号を付して1本のテープ状に略示している。
図16(a)は、(先行して作成された印字ラベルLが切断された状態である)初期位置状態を表している。この状態から、上記搬送用モータ119の駆動力によって上記テープ送りローラ27、圧着ローラ28、プラテンローラ26が回転し、被印字テープ103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109の搬送(以下適宜、単に「テープ搬送」という)が開始される。またこれに伴い、印字ヘッド23に上記通電が行われることで、被印字テープ103の所定の印字領域Sに対し、所望の内容(この例ではアルファベット文字「ABCD」)の印字形成が開始される。
図16(b)は、上記テープ搬送及び印字形成が継続されて、上記「ABCD」の文字の印字が完了した状態を示している。この印字完了状態で印字ヘッド23への通電は終了し、テープ搬送のみが引き続き行われる(図16(c)参照)。そして、上記印字領域Sの上記後端部が上記可動刃41に対向するまでテープ搬送は継続され、印字領域Sの上記後端部が可動刃41に対向したら上記プラテンローラ26等によるテープ搬送が停止される(図16(d)参照)。なお、このタイミングまでは駆動モータ43の回転は行われず駆動ローラ51は回転しておらず停止した状態にあるが、前述したテープガイド部55Aのガイド機能により、上記のように搬送されてくる印字済みラベル用テープ109と駆動ローラ51とが接触しないように図られている。その後、このテープ搬送状態で上記のように駆動モータ43への通電が行われて上記一方向へ回転することにより可動刃41が固定刃40に向かって前進し、印字済みラベル用テープ109への切り込み(切断)が開始される。なおこのとき、前述のように駆動モータ43の駆動力は駆動ローラ51にも伝達され、駆動ローラ51が回転を開始するが、押圧ローラ52がこの時点ではテープ搬送経路から離れており(言い替えれば駆動ローラ51とともに印字済みラベル用テープ109を挟みこんだ状態とはなっておらず)、当該印字済みラベル用テープ109への搬送力の伝達は行われない。
その後、さらに上記駆動モータ43の上記一方向へ回転が継続され、可動刃41が前進して印字済みラベル用テープ109の切り込みがある程度まで(この例では、印字済みラベル用テープ109のテープ幅の1/2程度まで)進んだとき、押圧ローラ52がテープ搬送経路の印字済みラベル用テープ109に到達する(言い替えれば駆動ローラ51とともに印字済みラベル用テープ109を挟みこんだ状態となる)。これにより、これ以降、(摩擦力を介して駆動ローラ51の回転駆動力が作用することで)駆動ローラ51から印字済みラベル用テープ109への搬送力の伝達が開始される(図16(e)及び前述の図11も参照)。
その後、さらに上記駆動モータ43の上記一方向へ回転が継続され、可動刃41がさらに前進して印字済みラベル用テープ109の切断が完了し、印字ラベルLが生成される(図16(f)及び前述の図12参照)。この結果、上記駆動ローラ51から伝達される搬送力によって、印字済みラベル用テープ109から分離した印字ラベルLの排出が開始される(=ラベル排出口11側への搬送が開始される)。この搬送は、印字ラベルLの搬送方向上流側端部(後端部)が、(押圧ローラ52と対向して印字ラベルLを挟み込んでいる)駆動ローラ51を通過するまで継続される。この結果、上記後端部が駆動ローラ51を通過する(抜ける)とき、印字ラベルLに与えられる速度(排出速度)が比較的高速となってしまう場合がある(図16(g)参照)。これは、以上の流れにおいて、上記搬送力の伝達開始以降、ローラ印字済みラベル用テープ109及び切断後の上記印字ラベルLが、排出方向への排出駆動力を連続的に駆動ローラ51から受け続けているのが一因である。このような場合、印字ラベルLが最終的にラベル排出口11から排出されるときに勢いがつきすぎて、装置本体2から不用意に遠くまで飛ばされてしまう場合がある(図16(h)参照)。
<実施形態の手法の概要>
そこで本実施形態では、上記のようにして印字済みラベル用テープ109を切断した際、一時的に駆動モータ43への通電を停止することにより、上記排出速度の抑制を図る。すなわち、印字済みラベル用テープ109が完全にカットされて分離した後に、上記駆動モータ43への通電が停止される。例えば駆動モータ43が直流モータである場合、通電が停止されても回転子の慣性等により直ちに停止はしないが、少なくとも回転速度が低減される(すなわち減速又は停止する)。その後、所定の停止期間t(後述の図17、図20等参照)が経過したら、上記通電が再開される。この通電再開時において、上記同様、回転子の慣性等により駆動モータ43は直ちに最高速度になるわけではない。したがって、上記のようにして一旦通電停止して速度低減状態とすることにより、少なくとも上記比較例のようにして駆動モータ43が減速することなく回転し続ける場合に比べれば、駆動ローラ51の通過時に印字ラベルLに与えられる速度を低減することができる。
このとき、特に、上記停止期間tを可変に制御することで、通電再開後における駆動ローラ51と押圧ローラ52による印字ラベルLの排出速度(具体的には、印字ラベルLの上記後端部が駆動ローラ51と押圧ローラ52との間を通過するときの初速度。以下適宜「ローラ通過時初速度」という)を自在に制御することができる。
<排出速度制御の具体例>
上記排出速度制御の具体例を、図17及び図18により説明する。この例では、各テープ(カバーフィルム103、基材テープ101、印字済みラベル用テープ109)のテープ幅が6[mm]である場合を例に取り、前述の可動刃クローズ状態となったとき(以下適宜、「可動刃クローズタイミング」という)に駆動モータ43への通電を停止し、上記停止期間t経過後に通電再開した場合の、上記駆動ローラ51の回転速度の変化挙動を示している。
<排出速度の段階設定>
図17に示すように、この例では、上記可変制御を行うために、上記停止時間t[sec]を、排出速度「高」設定に対応する△t1と、排出速度「中」設定に対応する△t2と、排出速度「低」設定に対応する△t3と、の3段階設けている。なお、これら3つは、△t1<△t2<△t3の関係となっており、例えば装置本体2に設けた適宜の操作部(図示せず)若しくは上記PC118の適宜の操作部を、操作者が適宜に手動操作することにより、停止時間tを△t1,△t2,△t3のいずれか1つに選択的に設定可能となっている。
<ブレーキ機構>
このとき本実施形態では、上記駆動モータ43への通電停止の際、さらに積極的にモータ回転速度(言い替えれば駆動ローラ51の回転速度)を低下させるために、上記駆動回路122に、上記駆動モータ43を制動するブレーキ機構(制動手段に相当)が設けられている。
上記ブレーキ機構を備えた駆動回路122の一例を図19に示す。図19に示すように、この駆動回路122のブレーキ機構は、直流モータである駆動モータ43とこれに給電する電源との間に、ON・OFF切替可能な4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4(但し図中では丸数字で示している。以下同様)を設けた閉回路(いわゆるブリッジ回路)によって構成されている。
すなわち、駆動回路122では、CPU111の制御に基づき上記ブリッジ回路の上記スイッチSW1〜SW4のON・OFF切替を行うことで、上記駆動モータ43の回転方向が制御される。図19に示すように、例えばスイッチSW1とスイッチSW4を「ON」にするとともに、スイッチSW2とスイッチSW3を「OFF」にすると、駆動モータ43は正回転方向に回転駆動する。逆に、スイッチSW1とスイッチSW4を「OFF」にするとともに、スイッチSW2とスイッチSW3を「ON」にすると、駆動モータ43は逆回転方向に回転駆動する。
一方、上記ブレーキ機構は、上記同様、CPU111の制御に基づき上記スイッチSW1〜SW4を切り替え、上記駆動モータ43の正極側と負極側とを短絡することで達成される。例えばスイッチSW1とスイッチSW2を「ON」にし、スイッチSW3とスイッチSW4を「OFF」にすると、駆動モータ43の「+(プラス)」端子と「−(マイナス)」端子がショートする。回転中の駆動モータ43に対してこの接続を行うことで、駆動モータ43に制動が掛かる(いわゆる短絡ブレーキ)状態となる。なお、スイッチSW3とスイッチSW4を「ON」にし、スイッチSW1とスイッチSW2を「OFF」にした場合も同様である。
なお、上記スイッチSW1〜SW4全てを「OFF」にすると、電源も駆動モータ43も、何にもつながっていない状態(オープン状態)となる。回転中の駆動モータ43に対してこの接続を行うと、駆動モータ43は、惰性で回転を続けた後、緩やかに停止する(惰性停止状態。後述の図23の変形例参照)。
<排出速度の各挙動>
図18に戻り、この図18では、上記停止時間tに関する上記3つの設定例それぞれにおける上記駆動ローラ51の回転速度Nの変化挙動を、縦軸に回転速度[rpm]、横軸に時間T[sec]を取って示している。
図18において、停止時間t=△t1とした場合は、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のタイミング(T=T1)ではN01まで低下する。このタイミングで上記のように通電再開されることで回転速度Nは再び上昇に転じるが、N1に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が駆動ローラ51と押圧ローラ52との間(以下適宜、単に「ローラ間」という)を通過して抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N1」等と称する)。この結果、この場合、上記ローラ通過時初速度は比較的速くなる。なお、この場合、後述の図21に示すテープ幅36[mm]の場合と異なりテープ幅が比較的狭いことから、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)よりも早いタイミング(T=T0′)で可動刃41による切り進みが完了して印字済みラベル用テープ109の切断が完了している。また、回転速度NがN01からN1まで再上昇するまでに要する時間及びその間の搬送距離が、再加速してから印字ラベルTの後端が上記ローラ間を抜けるまでの助走期間及び助走区間に相当している。
また、停止時間t=△t2とした場合は、上記同様、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のT=T1でN01となった後、上記△t2経過後のタイミング(T=T2)ではさらにN02まで低下する。このタイミングで上記通電再開されることで回転速度Nは上昇し、N2に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が上記ローラ間を抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N2」等と称する)結果、上記ローラ通過時初速度は(上記t=△t1の場合よりは低い)中程度となる。なお、この場合、回転速度NがN02からN2まで再上昇するまでに要する時間及びその間の搬送距離が、再加速してから印字ラベルTの後端が上記ローラ間を抜けるまでの助走期間及び助走区間に相当している。
また、停止時間t=△t3とした場合は、上記同様、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のT=T1でN01、上記△t2経過後のT=T2でN02となった後、上記△t3経過後のタイミング(T=T3)ではさらにN03(=0。すなわち停止)まで低下している。このタイミングで上記通電再開されることで回転速度Nは上昇し、N3に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が上記ローラ間を抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N3」等と称する)結果、上記ローラ通過時初速度は最も遅くなる。なお、この場合、回転速度NがN03からN3まで再上昇するまでに要する時間及びその間の搬送距離が、再加速してから印字ラベルTの後端が上記ローラ間を抜けるまでの助走期間及び助走区間に相当している。
<カット・排出処理の詳細手順>
次に、上記排出速度制御を実現するために上記CPU111が実行する、上記図15のフローの上記ステップS55(カット・排出処理)の詳細手順を、図20のフローを用いて説明する。なお、前述したように、このフローが始まる時点において、可動刃41がホームポジションに戻っており、カットリリース検出センサ125のマイクロスイッチ126はカッターハスバギヤ用カム42Aで押され、既にオン状態となっている。
図20において、まず、ステップS60で、CPU111は、上記モータ駆動回路122に制御信号を出力し、駆動モータ43を上記一方向に駆動開始する。これにより、カッターハスバギヤ42が対応する方向に回転し、可動刃41の印字済みラベル用テープ109へ向かっての前進と、これに連携した駆動ローラ51の回転と、が開始される。なお、上記前進により可動刃41の先端が印字済みラベル用テープ109の幅方向端部に達して当接したら、それ以降は、可動刃41は固定刃40とともに当該印字済みラベル用テープ109を挟み込みつつ、印字済みラベル用テープ109を切り進みながら前進することとなる(すなわち切断開始)。またその挟み込んだ状態の印字済みラベル用テープ109に対し、駆動ローラ52により排出方向への搬送力の伝達が開始されることとなる。
その後、ステップS65に移り、CPU111は、上記カッターハスバギヤ42の回転により、前述したカッターハスバギヤ用カム42Aが存在しなくなってマイクロスイッチ126がオン状態からオフ状態に切り替わったか(言い替えれば上記可動刃クローズ状態となったか)否かを判定する。オン状態からオフ状態に切り替わらなければこの判定が満たされず(S65:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。オン状態からオフ状態に切り替わったら判定が満たされ(S65:YES)、上記可動刃クローズ状態となったとみなされて、ステップS67に移る。なお、上記ステップS60での通電開始からステップS65での判定が満たされるまでの間の、通電を実行する処理が、各請求項記載の第1処理に相当している。
ステップS67では、CPU111は、上記モータ駆動回路122に制御信号を出力し、上記ステップS60で開始された駆動モータ43への通電を停止する。これにより、駆動モータ43の回転速度が低減(すなわち減速又は停止。上記図18参照)され、上記のように駆動ローラ52と押圧ローラ51とで挟み込んだ状態の印字ラベルLへ伝達される駆動ローラ52の搬送力も減少する(又は0となる)。
その後、ステップS68に移り、CPU111は、上記ステップS67の後、上記停止時間tが経過したか否かを判定する。停止期間tが経過していなければ判定が満たされず(S68:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。停止期間tが経過していれば判定が満たされて(S68:YES)、ステップS69に移行する。なお、上記ステップS64での通電停止からステップS68での判定が満たされるまでの間、通電停止を実行する処理が、各請求項記載の第2処理に相当している。
ステップS69では、CPU111は、上記モータ駆動回路122に制御信号を出力し、駆動モータ43への通電を再開する。これにより駆動モータ43の回転が再開され、上記のように駆動ローラ52と押圧ローラ51とで挟み込んだ状態の印字ラベルLに対する駆動ローラ52による排出方向への搬送力の伝達を再開しつつ、回転速度が増大する。
その後、ステップS70に移り、CPU111は、(前述の状態よりもさらにカッターハスバギヤ42が回転することで)前述したカッターハスバギヤ用カム42Aの出現によりマイクロスイッチ126がオフ状態からオン状態に切り替わったか(言い替えれば、駆動ローラ52が印字済みラベル用テープ109及び印字ラベルLから離間して上記ホームポジションまで戻ったか)否かを判定する。オフ状態からオン状態に切り替わらなければこの判定が満たされず(S70:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。オフ状態からオン状態に切り替わったら、判定が満たされ(S75:YES)、可動刃41がホームポジションまで戻ったとみなされて、ステップS75に移る。なお、上記ステップS69での通電再開からステップS70での判定が満たされるまでの間、通電を実行する処理が、各請求項記載の第3処理に相当している。
ステップS75では、CPU111は、上記モータ駆動回路122に制御信号を出力し、駆動モータ43への通電を停止して駆動を停止させる。これにより、カッターハスバギヤ42の回転が停止し、可動刃41はホームポジションにおいて次回動作に向けての待機状態となる。なお、図20に示す各手順を実行するCPU111が、各請求項記載の制御手段として機能する。
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、印字形成後に搬送経路上を搬送された印字済みラベル用テープ109に対し可動刃41が前進して切断を行うことで、印字ラベルLが形成される。こうして作成された印字ラベルLを、進退可能に設けられた押圧ローラ52と駆動ローラ51とで挟み込み、装置本体2外への排出が行われる。
このとき、上記押圧ローラ52の進退動作と上記可動刃41の進退動作とは上記支持部材60及びボス61によって互いに連動しており、これら2つの進退動作と駆動ローラ51の回転とが、1つの共通の駆動モータ43からの駆動力によって行われる。すなわち、駆動モータ43の一方向への回転駆動により、ギヤ列43Aを介して連結された駆動ローラ51を回転させてから、押圧ローラ52を搬送経路に向かって前進させ、当該押圧ローラ52と駆動ローラ51との間に印字済みラベル用テープ109を挟み込み、この状態で可動刃41がテープ搬送経路に対し進退動作し、印字済みラベル用テープ109を切断し、印字ラベルLを生成する。この印字ラベルLには、摩擦力を介して駆動ローラ51の回転駆動力が作用して排出方向へと送られ、ラベル排出口11から装置本体2外への排出が行われる。
そして、上記のようにして駆動モータ43の回転駆動により、印字済みラベル用テープ109の切断後に印字ラベルLの排出が行われるとき、本実施形態においては、一時的に駆動モータ43への通電を停止する。これにより、少なくとも駆動モータ43の回転速度が低減される。そして、その後、所定の停止期間tの経過後に通電が再開される。このとき、通電再開時において駆動モータ43は直ちに最高速度になるわけではない。したがって、上記のようにして一旦通電停止して速度低減状態とすることにより、駆動モータ43が減速することなく回転し続ける場合に比べれば、駆動ローラ51の通過時に印字ラベルLに与えられる速度を低減することができる。この結果、印字ラベルLの排出速度の抑制が図られ、前述のように不用意に装置本体2から遠くまで飛ばされるという弊害を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)テープ幅に応じて停止期間を可変にする場合
本変形例においては、テープ(基材テープ101、カバーフィルム103、印字済みラベル用テープ109)の幅寸法に応じて、上記停止期間tが可変に制御される。
図21に、各テープ(カバーフィルム103、基材テープ101、印字済みラベル用テープ109)のテープ幅が36[mm]である場合を例に取った場合の、上記図18と同様の駆動ローラ51の回転速度の変化挙動を示す。なお、図18と同様に、排出速度「高」「中」「低」設定にそれぞれ対応する上記△t1,△t2,t3、の3段階の停止期間tが設定されている(△t1<△t2<△t3)。また、上記ブレーキ機構による制動も併せて行われている。
図21において、このテープ幅36[mm]の場合において、停止時間t=△t1とした場合は、上記図18と同様、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のT=T1でN04まで低下する。なお、この場合、前述の図18に示すテープ幅6[mm]の場合と異なりテープ幅が比較的広いことから、この可動刃クローズタイミング(T=T0)とほぼ同じタイミングで可動刃41による切り進みが完了し印字済みラベル用テープ109の切断が完了する。このタイミングで上記通電再開されることで回転速度Nは上昇し、N4に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が上記ローラ間を抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N4」等と称する)。図示のようにN4の値は上記減速前のN0とほぼ同程度(わずかに小さい)であり、この結果、上記ローラ通過時初速度は比較的速く、通電停止を全く行わなかった場合とほぼ同程度となる。
また、停止時間t=△t2とした場合は、上記同様、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のT=T1でN04となった後、上記△t2経過後のタイミング(T=T2)ではさらにN05まで低下する。このタイミングで上記通電再開されることで回転速度Nは上昇し、N5に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が上記ローラ間を抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N5」等と称する)結果、上記ローラ通過時初速度は上記t=△t1の場合よりやや低くなる。
また、停止時間t=△t3とした場合は、上記同様、回転速度Nは、上記可動刃クローズタイミング(T=T0)におけるN0から右下がりに低下し、上記△t1経過後のT=T1でN04、上記△t2経過後のT=T2でN05となった後、上記△t3経過後のタイミング(T=T3)ではさらにN06(=0。すなわち停止)まで低下している。このタイミングで上記通電再開されることで回転速度Nは上昇し、N6に到達したところで上記印字ラベルLの後端部が上記ローラ間を抜ける(以下適宜、「排出時回転速度N6」等と称する)結果、上記ローラ通過時初速度は上記t=△t2の場合よりさらにやや低くなる。
なお、上記3つの場合において、回転速度NがN04からN4まで再上昇するまで、回転速度NがN05からN5まで再上昇するまで、回転速度NがN06からN6まで再上昇するまで、それぞれに要する時間及びその間の搬送距離が、再加速してから印字ラベルTの後端が上記ローラ間を抜けるまでの助走期間及び助走区間にそれぞれ相当している。
上記図18と上記図21とを比較して分かるように、テープ幅の値が異なると、駆動ローラ51の回転速度の変化挙動が異なる。具体的には、図18に示したテープ幅6[mm]の場合において生じる3段階の停止期間t(△t1,△t2,△t3)での回転速度N1,N2,N3相互間の差に比べ、図21に示したテープ幅36[mm]の場合において生じる3段階の停止期間t(△t1,△t2,△t3)での回転速度N4,N5,N6相互間の差のほうが小さい。これは以下のような理由である。
すなわち、印字済みラベル用テープ109のテープ幅6mmの場合とテープ幅36mmの場合とでは、搬送停止して切断を行った後、印字ラベルLの後端部が上記ローラ間(駆動ローラ51と押圧ローラ52との間)を抜けるまでに搬送され押し出される距離が異なる。すなわち、テープ幅6mmの印字済みラベル用テープ109の場合には、前述のように可動刃41が前進動作して切り進んでいくとき(テープ幅が狭いことから)比較的に早いタイミング(図18中でT=T0′となるタイミング)で切断完了しまう。したがって、その後上記通電停止によって駆動モータ43が停止するまでの間に、(駆動ローラ51の回転が続くことで)生成された印字ラベルLがやや排出方向に進み、当該排出方向寄りの位置で停止することとなる。この結果、通電が再開された後に再加速しテープ後端が上記ローラ間を抜けるまでに残された距離(前述した助走区間)が短い。すなわち、図18に示す曲線上において、時間T01に対応した回転速度N01からN1までの右上がり曲線、時間T02に対応したN02からN2までの右上がり曲線、時間T03に対応したN03からN3までの右上がり曲線、がいずれも比較的短くなり、それらの右端部である上記回転速度N1,N2,N3の値も互いに大きく異なる傾向となる。
上記に対し、テープ幅36mmの印字済みラベル用テープ109の場合には、可動刃41による切断完了タイミングが(上記テープ幅6mmの場合に比べて)遅くなる(図21中でT=T0となる上記可動刃クローズタイミング)。したがって、前述と異なり、生成された印字ラベルLは排出方向にほとんど進まず停止することとなる。この結果、通電が再開された後に残された距離(助走区間)が長くなる。すなわち、図21に示す曲線上において、時間T04に対応した回転速度N04からN4までの右上がり曲線、時間T05に対応したN05からN5までの右上がり曲線、時間T06に対応したN06からN6までの右上がり曲線、がいずれも比較的長くなる結果、それらの右端部である上記回転速度N4,N5,N6の値があまり変わらない値となる。
図22は、上記図18及び図21にそれぞれ示された挙動をまとめ、横軸に上記停止時間t、縦軸に上記排出時回転速度N[rpm]を取って表した、テープ幅別の回転速度特性を表す図である。
図22に示すように、テープ幅6[mm]の場合は、上記停止時間t=0[sec](すなわち停止せず)の場合に排出時回転速度N=270[rpm]となるのに対し、上記停止時間t=30[sec]の場合には排出時回転速度N=150[rpm]と大きく低下し、さらに上記停止時間t=50[sec]の場合には排出時回転速度N=100[rpm]まで低下している(なお、上記停止時間t=100[sec]とした場合にはほぼ同様の排出時回転速度N=100[rpm]となっている)。これにより、前述の助走区間の短さにより、停止時間tの大小によって排出時回転速度の値が比較的大きく変化することがわかる。
一方、テープ幅36[mm]の場合は、上記停止時間t=0[sec](すなわち停止せず)の場合に排出時回転速度N=320[rpm]となるのに対し、上記停止時間t=30[sec]の場合に排出時回転速度N=270[rpm]、上記停止時間t=50[sec]の場合に排出時回転速度N=250[rpm]、上記停止時間t=100[sec]の場合に排出時回転速度N=220[rpm]となっている。これにより、前述の助走区間の長さにより、停止時間tが大小変化しても排出時回転速度の値があまり変化しないことがわかる。また、排出時回転速度の値自体も、全般的にテープ幅6[mm]の場合よりも大きいことがわかる。
そこで、本変形例においては、上記の傾向に鑑み、上記テープ幅に応じて、上記停止期間tが可変に制御される。例えば図22に示す特性曲線が適宜の箇所に記憶されており、例えば、装置本体2又は上記PC118の上記操作部を介し、操作者が所望の排出時回転速度の値を手動入力すると、上記特性曲線を参照して、対応する停止時間tが可変に設定される。例えば、操作者が希望する排出時回転速度の値が240[rpm]の場合には、テープ幅が6[mm]である場合には、図22を参照して例えば停止時間t=10[sec]程度に設定され、テープ幅が36[mm]である場合には、図22を参照して例えば停止時間t=50[sec]程度に設定される。なおこのとき、テープ幅については、操作者が手動操作で入力しても良いし、別途設けたテープ幅センサやテープ種別センサ等(検出手段に相当)により公知の手法で自動検出しても良い。
本変形例によれば、テープ幅に対応して適した停止時間△tが設定されるので、最適な排出速度制御を実行することができる。
(2)ブレーキを使用しない場合
なお、以上においては、上記図19を用いて説明したように、駆動モータ43への通電を停止すると共にブレーキ機構によって上記駆動モータ43を制動したが、これに限られない。すなわち、通電停止のみで制動を行わないようにし、駆動モータ43を惰性で停止させてもよい。このときの上記駆動ローラ51の回転速度Nの変化挙動を、上記ブレーキ機構の制動時と対比させて、図23に示す。図示のように、惰性停止の場合には上記ブレーキ機構の制動を併用する場合に比べて、上記回転速度Nの低下が遅くなるが、定性的には変わらない。したがって、このように駆動モータ43を惰性で停止させる場合に上述の手法を適用してもよく、その場合も上記同様の効果を得ることができる。
(3)その他
なお、以上においては、基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープに備えられた被印字テープ層に対し印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。この場合、基材テープが上記記録媒体に相当する。
また、以上では、ラベル作成装置1を通信回線NWを介してPC118に接続するようにしたが、これに限られない。すなわち上記PC118等の機能をすべてラベル作成装置1側に備える(いわゆるスタンドアローン方式のラベル作成装置)ようにしてもよい。
また、図7に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、上記図15、図20のフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。