JP2023091967A - 印刷装置、印刷方法及び印刷制御プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷開始時の温度管理を効率良く行って印刷品質を高めることが可能な印刷装置を提供する。【解決手段】サーマルヘッド(12)と、サーマルヘッドとの間に挟んだ被印刷媒体(31)を回転により搬送するプラテンローラ(13)と、サーマルヘッドとプラテンローラが被印刷媒体を挟む圧力を変更させる圧力変更手段(48)と、圧力変更手段により第1の圧力にさせると共にサーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、プラテンローラの回転により被印刷媒体の印刷開始位置をサーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、印刷準備動作後に、接触圧制御手段により第1の圧力よりも高い第2の圧力にさせると共にサーマルヘッドに第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段(40)と、を有する印刷装置(10)。【選択図】図6

Description

本発明は、印刷装置、印刷方法及び印刷制御プログラムに関する。
サーマルヘッドからインクリボンや感熱用の発色剤に対して熱を加えて被印刷媒体への印刷を行う印刷装置では、印刷時に適切な温度が加えられることが必要である。例えば、サーマルヘッドの発熱素子が十分に温まっていない場合には、インクリボンのインクの溶融不足や感熱用の発色剤の顕色不足が生じて、印刷がかすれたり印刷濃度が低すぎたりする現象が生じるおそれがある。特に、サーマルヘッドの周辺温度が低い環境下での、印刷開始時における加温不足が問題になりやすい。逆に、サーマルヘッドの発熱素子の温度が高すぎる場合には、インクの過剰溶融や発色剤の過剰顕色が生じて、印刷内容の潰れなどが生じるおそれがある。
印刷開始時の加温不足を防いで印刷品質を高めるための発明が、特許文献1で提案されている。特許文献1の印刷装置では、被印字テープのうち先端領域と印字領域との境界部に対し、印字ヘッドを予熱するための予熱用印字部を形成するように、印字ヘッドを制御している。印字領域に達する直前で予熱用印字部の通過期間を利用して印字ヘッドを温めておくことで、印字領域の最初からかすれのない良好な印字を行うものとしている。
特開2015-168069号公報
特許文献1の発明では、被印字テープの予熱用印字部を通過させるための通過期間を要するため、被印字テープの頭出しが完了した状態から印刷開始までの時間が長くなり、印刷の生産性に影響するという問題がある。また、被印字テープにおいて印字領域とは別に、予熱のみに用いる予熱用印字部を必要とするので、印刷に利用されない無駄なテープ長が生じてしまい、テープの利用効率が悪くなるという問題がある。
そこで本発明は、印刷開始時の温度管理を効率良く行って印刷品質を高めることが可能な印刷装置、印刷方法及び印刷制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様の印刷装置は、加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を挟んで回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを、第1の圧力で前記被印刷媒体を挟む第1状態と、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む第2状態とに変更させる圧力変更手段と、前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1状態にさせると共に前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第2状態にさせると共に前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、を有する。
本発明の別の態様の印刷装置は、加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を保持して回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラを印刷時の進行方向とは反対方向に回転させることにより、前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記サーマルヘッドに第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、を有する。
本発明の一態様の印刷方法は、サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる第1のステップと、前記第1のステップ後に、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる第2のステップと、を有する。
本発明の一態様の印刷制御プログラムは、サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備制御と、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる印刷実行制御と、をプロセッサに行わせる。
以上の各態様の印刷装置、印刷方法及び印刷制御プログラムによれば、印刷開始時の温度管理を効率良く行って印刷品質を高めることができる。
印刷装置の内部構造を示す図である。 印刷装置においてプラテンローラがサーマルヘッドから離間した状態の図である。 プラテンローラとサーマルヘッドによる軽圧付与状態を示す図である。 プラテンローラとサーマルヘッドによる標準圧付与状態を示す図である。 印刷装置のハードウェア構造を示すブロック図である。 印刷装置における印刷の工程を示す図である。 印刷装置における印刷の工程を示す図である。 サーマルヘッドの予熱範囲の例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、印刷装置10の内部構造を示している。印刷装置10は、帯状の被印刷媒体であるテープ31に印刷を行ってラベルを作成するラベルプリンタである。
テープ31はテープカートリッジ30に収容されている。印刷装置10の筐体内のカートリッジ装着部11にテープカートリッジ30を装着し、テープカートリッジ30から引き出されたテープ31に対して印刷を行う。印刷装置10での印刷は、サーマルヘッド12を用いた熱転写式で行われる。
具体的には、印刷に際して、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31とインクリボン32を重ねて挟む。インクリボン32は、テープ31と共にテープカートリッジ30に収容されている。図4に拡大して示すように、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間において、インクリボン32がサーマルヘッド12側に位置し、テープ31がプラテンローラ13側に位置する。インクリボン32は基材32aとインク層32bが積層した構成であり、基材32aがサーマルヘッド12の発熱素子12aに接し、インク層32bがテープ31に接している。サーマルヘッド12の発熱素子12aを加熱すると、基材32aを通してインク層32bに伝熱され、インク層32bのインクが溶融してテープ31に付着する。また、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31とインクリボン32を挟んだ状態でプラテンローラ13を回転させると、プラテンローラ13との間に働く摩擦力によって、テープ31とインクリボン32が長手方向に搬送される。
図8に示すように、サーマルヘッド12の発熱部は、テープ31及びインクリボン32の幅方向へ複数の発熱素子12aを並べたライン状である。テープ31及びインクリボン32の幅方向は、プラテンローラ13の回転によって搬送されるテープ31及びインクリボン32の進行方向に対して垂直な方向である。サーマルヘッド12上の複数の発熱素子12aを選択的に加熱して1ライン分の印刷を行ったら、プラテンローラ13を回転駆動してテープ31とインクリボン32を重ねて搬送し、次の1ライン分の印刷を行う。このようにして、1ライン毎の印刷及び搬送を順次行って、印刷データに含まれる全内容を印刷する。
印刷装置10において、印刷時の(1ライン毎の印刷を行う際の)進行方向にテープ31及びインクリボン32を搬送する動作を順送とし、印刷時の進行方向とは反対方向にテープ31及びインクリボン32を搬送する動作を逆送とする。換言すれば、搬送方向の下流側への移動が順送であり、搬送方向の上流側への移動が逆送である。サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間ではテープ31とインクリボン32が重なって進行するので、当該箇所ではテープ31とインクリボン32は互いに同じ方向に順送及び逆送される。図1から図4、図6から図8では、図の左手側から右手側へのテープ31及びインクリボン32の移動が順送であり、図の右手側から左手側へのテープ31及びインクリボン32の移動が逆送である。
図1に戻って印刷装置10の構造の説明を続ける。印刷装置10に設けたカバー(図示略)を開けることで、カートリッジ装着部11が露出する。カートリッジ装着部11内には、前述のサーマルヘッド12及びプラテンローラ13に加えて、インクリボン巻き取りシャフト14が設けられている。なお、図1に示す構成要素のうち、印刷装置10のカバーを開けた段階で露出するのは、サーマルヘッド12、プラテンローラ13、インクリボン巻き取りシャフト14などの一部のみである。その他の大部分の部品(モータやギヤ類など)は、カートリッジ装着部11の底壁などによって覆われている。
プラテンローラ13及びインクリボン巻き取りシャフト14を回転させる駆動源として搬送駆動モータ15を備える。搬送駆動モータ15の出力軸15aの回転が減速ギヤ列16を介して伝達される。減速ギヤ列16は、途中で第1ギヤ列16aと第2ギヤ列16bとに分岐する。搬送駆動モータ15の出力軸15aと、減速ギヤ列16を構成する各ギヤの軸はいずれも、図1の紙面に対して垂直に延びている。
プラテンローラ13は第1ギヤ列16aの最終ギヤ16cと一体であり、最終ギヤ16cに回転力が伝達されると、回転軸13aを中心としてプラテンローラ13が回転する。インクリボン巻き取りシャフト14は第2ギヤ列16bの最終ギヤ16dと一体であり、最終ギヤ16dに回転力が伝達されると、インクリボン巻き取りシャフト14が回転する。搬送駆動モータ15の出力軸15aの回転方向を切り替えることで、プラテンローラ13及びインクリボン巻き取りシャフト14の動作が変更される。
テープ31及びインクリボン32を順送させる際のプラテンローラ13及びインクリボン巻き取りシャフト14の回転方向を、順送方向の回転とする。テープ31及びインクリボン32を逆送させる際のプラテンローラ13及びインクリボン巻き取りシャフト14の回転方向を、逆送方向の回転とする。プラテンローラ13の順送方向の回転は、図1から図4、図6及び図7における反時計方向の回転である。インクリボン巻き取りシャフト14の順送方向の回転は、図1における時計方向の回転である。
搬送駆動モータ15の出力軸15aに関して、プラテンローラ13を順送方向に回転させる駆動の方向を正転、プラテンローラ13を逆送方向に回転させる駆動の方向を逆転とする。出力軸15aの正転は、図1における時計方向の回転である。
第2ギヤ列16bの途中には、出力軸15aの正転時の回転を最終ギヤ16dまで伝達する一方で、出力軸15aの逆転時の回転については最終ギヤ16dまで伝達しないワンウェイクラッチ(図示略)が設けられている。
出力軸15aを正転させると、プラテンローラ13とインクリボン巻き取りシャフト14の両方に回転力が伝達され、プラテンローラ13とインクリボン巻き取りシャフト14がそれぞれ順送方向の回転を行う。出力軸15aを逆転させると、プラテンローラ13が逆送方向の回転を行うが、ワンウェイクラッチの作用によって第2ギヤ列16bの最終ギヤ16dまで回転が伝達されず、インクリボン巻き取りシャフト14には駆動力が付与されない。
プラテンローラ13は、搬送駆動モータ15の駆動力による回転動作に加えて、サーマルヘッド12に対する距離及び接触圧を変化させる接離移動が可能である。プラテンローラ13に接離移動を行わせる構造について説明する。
第1ギヤ列16aの途中に太陽ギヤ16eが設けられている。図2から図4に示すように、太陽ギヤ16eの回転軸16fには揺動アーム17が支持されている。揺動アーム17は、回転軸16fの軸線に対してほぼ垂直な板状の第1壁部17aと、回転軸16fの軸線と概ね平行に延びる板状の第2壁部17bとを有している。第1壁部17aは回転軸16fの軸線方向に間隔を空けて一対が設けられ(図2から図4には、紙面手前側の一方の第1壁部17aのみが表れている)、一対の第1壁部17aを第2壁部17bによって接続したコ字型の構造になっている。
第2壁部17bの側面(第1壁部17aが突出する側とは反対側の面)には、被押圧部17cが設けられている。また、被押圧部17cの近傍には延長壁部17dが突出しており、延長壁部17dの先端に引き上げピン17eが設けられている。
揺動アーム17の第1壁部17aは、回転軸16fに対して回転可能に挿入される軸穴17fを有している。揺動アーム17は、軸穴17fに挿通した回転軸16fを中心とする揺動が可能である。また、第1壁部17aの先端寄りの位置(軸穴17fから偏心した位置)には長孔17gが形成されている。長孔17gの長手方向が概ね揺動アーム17の揺動方向に向いており、長孔17g内にプラテンローラ13の回転軸13aが挿入されている。回転軸13aは長孔17gの長手方向に移動可能である。
揺動アーム17が回転軸16fを中心として揺動すると、サーマルヘッド12に対するプラテンローラ13の位置関係が変化する。プラテンローラ13をサーマルヘッド12に接近させる方向への揺動アーム17の移動を接近移動、プラテンローラ13をサーマルヘッド12から離間させる方向への揺動アーム17の移動を離間移動とする。図1から図4における時計方向への揺動アーム17の移動が接近移動である。但し、長孔17gと回転軸13aの関係によって、揺動アーム17とプラテンローラ13の移動には所定の差動が生じる。この差動については後述する。
揺動アーム17には、第1ギヤ列16aを構成する遊星ギヤ16g(図1参照)と中継ギヤ16h(図1参照)が回転可能に支持されている。遊星ギヤ16gは太陽ギヤ16eに噛合している。揺動アーム17が揺動すると、遊星ギヤ16gは、回転軸16fを中心とする回転方向へ移動(公転)を行って、太陽ギヤ16eの周面上における噛合位置を変化させる。中継ギヤ16hは遊星ギヤ16gに噛合しており、遊星ギヤ16gの回転が中継ギヤ16hを経由して最終ギヤ16c及びプラテンローラ13に伝達される。
図2から図4、図6及び図7に示すように、プラテンローラ13は、ローラ保持部材18により保持されている。ローラ保持部材18は、揺動アーム17における一対の第1壁部17aと第2壁部17bとに囲まれる空間内に配置されている。第2壁部17bとローラ保持部材18の間にローラ付勢バネ19が設けられている。ローラ付勢バネ19は圧縮コイルバネであり、第2壁部17bとローラ保持部材18を互いに離間させる方向への付勢力を発生する。ローラ付勢バネ19の付勢力によって、揺動アーム17に対しては第2壁部17bを離間移動の方向に押し込む力が加わり、ローラ保持部材18に対しては接近移動の方向に押し込む力が加わる。
揺動アーム17の近傍に、揺動アーム17の位置を変更させるためのカム部材20が設けられている。カム部材20は、プラテンローラ13の回転軸13aに対して垂直な向きの回転軸20aを中心として回転するように支持されている。カム部材20においては、回転軸20aに沿う方向を軸方向とする。
カム部材20を回転させる駆動源として接離駆動モータ21を備える(図1参照)。接離駆動モータ21の出力軸21aの回転が減速ギヤ列22を介して伝達される。減速ギヤ列22の各ギヤの回転軸は回転軸20aと平行である。接離駆動モータ21の出力軸21aは回転軸20aに対して垂直な配置であり、出力軸21aの外面に設けたウォームギヤを介して駆動方向を変換して、減速ギヤ列22に駆動力を伝達する。減速ギヤ列22の最終ギヤ22aが、カム部材20のギヤ部20bに噛合しており、ギヤ部20bに回転力が伝達されると回転軸20aを中心としてカム部材20が回転する。接離駆動モータ21の出力軸21aの回転方向を切り替えることで、カム部材20の回転方向が切り替えられる。
カム部材20は制御カム23を有している。制御カム23は、カム部材20の周方向(回転軸20aを中心とする回転方向)に進むにつれて軸方向の突出量を変化させる端面カムである。カム部材20は、外周面から外径方向に突出する螺旋状のフランジ24を有しており、制御カム23の一部はフランジ24に形成されている。
制御カム23は、大きく分けて、離間用領域23a、軽圧付与領域23b、標準圧付与領域23cを有している。これらの各領域は軸方向で段階的に位置を異ならせており、離間用領域23aがサーマルヘッド12から最も遠く、標準圧付与領域23cがサーマルヘッド12に最も近く、軽圧付与領域23bがその中間に位置している。軽圧付与領域23bと標準圧付与領域23cはそれぞれ、回転軸20aの軸方向に対して概ね垂直な面である。離間用領域23aと軽圧付与領域23bの間に傾斜面23dが形成され、軽圧付与領域23bと標準圧付与領域23cの間に傾斜面23eが形成されている。傾斜面23dと傾斜面23eはそれぞれ、周方向に進むにつれて軸方向の位置を変化させる面であり、各領域23a、23b及び23cを滑らかに接続している。
図2に示すように、離間用領域23aはフランジ24の一方の側面に形成されている。フランジ24のうち離間用領域23aと反対側の側面には、引き上げ制御面24aが形成されている。
揺動アーム17は、被押圧部17cを制御カム23に対向させて配置される。ローラ付勢バネ19から揺動アーム17に作用する付勢力は、被押圧部17cを制御カム23に当接させる方向に働いている。カム部材20が回転すると、制御カム23上での被押圧部17cの接触位置が変化し、制御カム23のカム形状に従って揺動アーム17が揺動する。
図2は、制御カム23の離間用領域23aが揺動アーム17の被押圧部17cに対向する第1の回転位置にカム部材20がある状態を示している。制御カム23のうち、サーマルヘッド12からの距離が最も大きい離間用領域23aに被押圧部17cが対向しているため、揺動アーム17に対するカム部材20からの押圧が解除されている。また、カム部材20の第1の回転位置では、揺動アーム17の引き上げピン17eに対して引き上げ制御面24aが当接しており、引き上げ制御面24aから引き上げピン17eへ加わる力によって、揺動アーム17は制御カム23による押し込み方向とは反対側に引き上げられた状態にある。その結果、プラテンローラ13がサーマルヘッド12から離間した離間状態に保持される。ローラ付勢バネ19の付勢力によって、プラテンローラ13の回転軸13aが揺動アーム17の長孔17gの一端に当接しており、プラテンローラ13の位置が定まっている。
図3は、制御カム23の軽圧付与領域23bが揺動アーム17の被押圧部17cに対向する第2の回転位置にカム部材20がある状態を示している。カム部材20が第1の回転位置から第2の回転位置へ回転する途中で、揺動アーム17の引き上げピン17eからフランジ24の引き上げ制御面24aが外れて、引き上げ制御面24aが引き上げピン17eを引き上げる状態(図2)が解除される。また、第1の回転位置から第2の回転位置への回転に伴って、揺動アーム17の被押圧部17cへ当接する箇所が離間用領域23aから傾斜面23dへ変化し、制御カム23側の突出量増加に伴って被押圧部17cがサーマルヘッド12側に向けて徐々に押圧される。この押圧によって、揺動アーム17がサーマルヘッド12に向けて接近移動する。そして、カム部材20が第2の回転位置に達すると、軽圧付与領域23bが被押圧部17cに当接する。
カム部材20の第2の回転位置では、制御カム23のうち、サーマルヘッド12側への突出量が中程度である軽圧付与領域23bに被押圧部17cが当接しているため、ローラ付勢バネ19の付勢力に抗して揺動アーム17が中程度に押し込まれている。この押し込みによってプラテンローラ13がサーマルヘッド12に当接する。なお、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31とインクリボン32が通されている場合には、テープ31とインクリボン32を間に挟んだ状態でサーマルヘッド12とプラテンローラ13が接する。
より詳しくは、サーマルヘッド12へのプラテンローラ13の当接は、カム部材20が第1の回転位置から第2の回転位置に回転する途中で生じる。そのため、当該途中位置よりも第2の回転位置側にカム部材20が回転すると、押圧されてサーマルヘッド12側に接近移動する揺動アーム17と、サーマルヘッド12への接近移動が規制されているプラテンローラ13との間で差動が生じ、長孔17g内での回転軸13aの位置が変化する。これに伴い、揺動アーム17の第2壁部17bとローラ保持部材18との間の距離が小さくなり、ローラ付勢バネ19の圧縮量が増大する。カム部材20の第2の回転位置におけるローラ付勢バネ19の圧縮量は、後述する第3の回転位置に比べて小さく、プラテンローラ13をサーマルヘッド12側に押し付ける力(接触圧)が相対的に低い軽圧付与状態となる。軽圧付与状態を第1状態とし、軽圧付与状態でサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に作用する接触圧を第1の圧力とする。
図4は、制御カム23の標準圧付与領域23cが揺動アーム17の被押圧部17cに対向する第3の回転位置にカム部材20がある状態を示している。カム部材20が第2の回転位置から第3の回転位置へ回転するのに伴って、揺動アーム17の被押圧部17cへ当接する箇所が軽圧付与領域23bから傾斜面23eへ変化し、制御カム23側の突出量増加に伴って被押圧部17cがサーマルヘッド12側に向けてさらに押圧される。第2の回転位置から第3の回転位置へカム部材20が回転する間は、サーマルヘッド12に対してプラテンローラ13が既に当接している状態なので、プラテンローラ13は移動せずに揺動アーム17のみがサーマルヘッド12側に接近移動して、長孔17g内での回転軸13aの位置が変化する。そして、カム部材20が第3の回転位置に達すると、標準圧付与領域23cが被押圧部17cに当接する。
カム部材20の第3の回転位置では、制御カム23のうち、プラテンローラ13側への突出量が最大である標準圧付与領域23cに被押圧部17cが当接しているため、ローラ付勢バネ19の付勢力に抗して揺動アーム17が最大に押し込まれている。この押し込みによって、図3の軽圧付与状態に比べて、揺動アーム17の第2壁部17bとローラ保持部材18との間の距離がさらに小さくなり、ローラ付勢バネ19の圧縮量が増大する。その結果、プラテンローラ13をサーマルヘッド12側に押し付ける力(接触圧)が相対的に高い標準圧付与状態となる。標準圧付与状態を第2状態とし、標準圧付与状態でサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に作用する接触圧を第2の圧力とする。
標準圧付与状態(第2状態)と軽圧付与状態(第1状態)でサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に作用する押圧力については、印刷装置10の形式や機種によっても異なるが、一例として、軽圧付与状態での接触圧(第1の圧力)を、標準圧付与状態での接触圧(第2の圧力)の半分強程度の大きさに設定するとよい。
カム部材20が第1の回転位置(離間状態)と第2の回転位置(軽圧付与状態)の間で回転するときは、傾斜面23dが被押圧部17cに摺接するため、カム部材20と揺動アーム17の間で引っかかりなどを生じることなくスムーズに動作できる。カム部材20が第2の回転位置(軽圧付与状態)と第3の回転位置(標準圧付与状態)の間で回転するときは、傾斜面23eが被押圧部17cに摺接するため、カム部材20と揺動アーム17の間で引っかかりなどを生じることなくスムーズに動作できる。
カム部材20が第3の回転位置から第2の回転位置、第2の回転位置から第1の回転位置へと回転する場合は、以上に述べた内容と逆の動作が行われる。カム部材20の回転に伴って、制御カム23から被押圧部17cへの押圧量が徐々に少なくなり、揺動アーム17はサーマルヘッド12からの距離を大きくする離間移動を行う。揺動アーム17の離間移動に伴って、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の関係が、標準圧付与状態(図4)、軽圧付与状態(図3)、離間状態(図2)の順に変化する。
以上のように、カム部材20の回転位置を変化させることにより、揺動アーム17の揺動を介してプラテンローラ13に接離動作を行わせ、サーマルヘッド12に対するプラテンローラ13の接触及び離間の切り替えと、接触時の接触圧の変更(軽圧付与、標準圧付与)とを行わせることができる。
接触圧を変更させる構造についてまとめると、サーマルヘッド12に対する距離を変更可能な可動部材として揺動アーム17を有する。プラテンローラ13を保持する保持部材であるローラ保持部材18と、可動部材である揺動アーム17(第2壁部17b)との間に、付勢部材であるローラ付勢バネ19を設けている。カム部材20を介して行われる揺動アーム17の移動(揺動)により生じるローラ付勢バネ19の付勢力の変化によって、軽圧付与状態と標準圧付与状態が切り替えられる。
続いて、テープカートリッジ30の構造を説明する。図1に示すように、テープカートリッジ30内に円筒状のテープコア33が設けられ、印刷前のテープ31がテープコア33に対してロール状に巻かれている。テープカートリッジ30をカートリッジ装着部11に装着すると、カートリッジ装着部11内に設けた第1のコア支持突起(図示略)に対してテープコア33が回転可能に支持される。
テープカートリッジ30内にはさらに、それぞれが円筒状のインクリボン供給コア34とインクリボン巻き取りコア35が設けられている。印刷前のインクリボン32がインクリボン供給コア34にロール状に巻かれており、インクリボン供給コア34から引き出されたインクリボン32は、インクリボン巻き取りコア35に接続する。
テープカートリッジ30をカートリッジ装着部11に装着すると、カートリッジ装着部11内に設けた第2のコア支持突起(図示略)に対してインクリボン供給コア34が回転可能に支持される。また、インクリボン巻き取りコア35の内部にインクリボン巻き取りシャフト14が挿入されて係合する。搬送駆動モータ15の駆動(出力軸15aの正転)によってインクリボン巻き取りシャフト14が回転(順送方向の回転)すると、インクリボン巻き取りシャフト14の回転力が伝達されてインクリボン巻き取りコア35が回転(順送方向の回転)する。なお、前述した通り、搬送駆動モータ15の出力軸15aを逆転させたときには、第2ギヤ列16bに設けたワンウェイクラッチの作用によって、インクリボン巻き取りシャフト14及びインクリボン巻き取りコア35に対して駆動力が伝達されない。
テープカートリッジ30は、ヘッド挿入部36を有している。ヘッド挿入部36は、テープカートリッジ30をカートリッジ装着部11に装着したときにサーマルヘッド12が挿入される凹部である。テープコア33とインクリボン供給コア34から引き出されたテープ31とインクリボン32は、互いに重なってヘッド挿入部36を通る。ヘッド挿入部36を通ったテープ31は、印刷装置10に設けた搬送経路を通って印刷装置10の外部へ排出される。ヘッド挿入部36を通ったインクリボン32はテープカートリッジ30内に戻ってインクリボン巻き取りコア35に至る。
図5は、印刷装置10のハードウェア構造を概念的に示したブロック図である。このハードウェア構造には、先に説明したサーマルヘッド12、プラテンローラ13、インクリボン巻き取りシャフト14、搬送駆動モータ15、減速ギヤ列16、揺動アーム17、ローラ保持部材18、ローラ付勢バネ19、カム部材20、接離駆動モータ21、減速ギヤ列22が含まれている。
印刷装置10はさらに、制御装置40、テープ検知センサ41、切断装置42、切断装置駆動部43、ヘッド駆動部44、温度センサ45、カムポジションセンサ46を備えている。また、搬送駆動モータ15と減速ギヤ列16は搬送駆動手段47を構成し、揺動アーム17、ローラ保持部材18、ローラ付勢バネ19、カム部材20、接離駆動モータ21及び減速ギヤ列22は圧力変更手段48を構成している。
制御装置40は、印刷装置10を包括的に制御するものであり、本発明における制御手段として機能する。制御装置40は少なくとも、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、記憶部とを含んでいる。制御装置40において、記憶部に記憶されているプログラムを読み出して、プロセッサでの演算によって実行させることで、印刷装置10における各部の動作が行われる。印刷装置10に入力された印刷データは制御装置40によって処理され、以下に説明する印刷や搬送などの動作が制御される。
印刷装置10への印刷データの入力形態は限定されない。印刷装置10が備える入力部(キーボードやタッチパネルなど)へのユーザーの操作で印刷データの入力を行ってもよいし、印刷装置10とは別の電子装置(パーソナルコンピュータやスマートフォンなど)で生成した印刷データを印刷装置10に送信してもよい。いずれのデータ入力形態においても、印刷ジョブの実行指示信号を制御装置40が受けると、制御装置40が印刷装置10の各部を制御して、印刷データに含まれる内容の印刷を行わせる。
テープ検知センサ41は、カートリッジ装着部11の内部から外部へ向かうテープ31の搬送経路上に位置しており(図6及び図7参照)、当該位置におけるテープ31の有無(通過)を検出するセンサである。テープ検知センサ41は、テープ31の搬送経路を挟んで対向する発光素子41aと受光素子41bを備え、発光素子41aから出射された光が受光素子41bで受光されるか否かを検知する。発光素子41aからの光が受光素子41bによって受光される場合には、制御装置40は、発光素子41aと受光素子41bの間にテープ31が存在していないと判定する。発光素子41aからの光が受光素子41bによって受光されない場合には、制御装置40は、発光素子41aと受光素子41bの間にテープ31が存在している(テープ検知センサ41の位置をテープ31が通過している)と判定する。そして、受光素子41bで受光が検知される状態と受光が検知されない状態との切り替わりの瞬間に、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41の位置に達したと判定される。
切断装置42は、テープ31の搬送経路上に設けられて、印刷後のテープ31を切断するものであり(図7の工程(H)参照)、テープ31の厚み方向の全体を切断するフルカッターと、テープ31の剥離紙を残して基材のみを切断するハーフカッターとを備えている。切断装置駆動部43は、切断装置42の各カッターを駆動する切断用モータを備えており、制御装置40によって制御される。
ヘッド駆動部44は、サーマルヘッド12を駆動して発熱素子12aを加温させる機能を有する。制御装置40は、入力された印刷データに基づいてヘッド駆動部44を制御し、印刷のライン毎に加温させる発熱素子12aを選択する。また、制御装置40は、ヘッド駆動部44を介してサーマルヘッド12へのエネルギー印加を制御して、発熱素子12aの発熱強度(単位時間当たりの上昇温度)を変更する。
温度センサ45は、サーマルヘッド12の周辺温度を測定する温度測定手段を構成している。周辺の温度は、サーマルヘッド12の加温時の温度上昇の速さなどに影響を及ぼすので、後述する印刷制御において、温度センサ45によって検出した温度を参照することで、制御の精度を高めることができる。
カムポジションセンサ46は、カム部材20の回転位置を検出するものである。特に、カム部材20が第1の回転位置、第2の回転位置、第3の回転位置のいずれにあるかをカムポジションセンサ46によって判別することができる。なお、独立したカムポジションセンサ46を設けずに、接離駆動モータ21の駆動パルス数のカウントによってカム部材20の回転位置を算出したりすることも可能である。
制御装置40は、搬送駆動手段47を構成する搬送駆動モータ15を駆動させて、出力軸15aを正転又は逆転させる。前述のように、出力軸15aが正転すると、プラテンローラ13とインクリボン巻き取りシャフト14がそれぞれ順送方向の回転を行う。出力軸15aが逆転すると、プラテンローラ13が逆送方向の回転を行う。
制御装置40は、圧力変更手段48を構成する接離駆動モータ21を駆動して、カム部材20の回転位置を制御する。前述のように、カム部材20の回転位置の変化によって揺動アーム17が移動して、サーマルヘッド12からプラテンローラ13が離間した離間状態(図2)、サーマルヘッド12に対してプラテンローラ13が低い接触圧(第1の圧力)で押し付けられる軽圧付与状態(図3)、サーマルヘッド12に対してプラテンローラ13が標準の接触圧(第2の圧力)で押し付けられる標準圧付与状態(図4)に変更させることができる。
続いて、図6及び図7を参照して、印刷装置10によって印刷を行う際の各工程を説明する。なお、図6及び図7では、インクリボン32の搬送手段であるインクリボン巻き取りシャフト14の図示を省略しているが、テープ31の搬送手段であるプラテンローラ13に対応した動作を行うものとする。つまり、プラテンローラ13が回転停止している状態ではインクリボン巻き取りシャフト14も回転停止しており、プラテンローラ13が回転している状態ではインクリボン巻き取りシャフト14も連動して回転する。
そして、プラテンローラ13が順送方向の回転を行うと、テープ31及びインクリボン32が図6及び図7における右手方向(搬送方向の下流側)へ進行して順送される。プラテンローラ13が逆送方向の回転を行うと、テープ31及びインクリボン32が図6及び図7における左手方向(搬送方向の上流側)へ進行して逆送される。
なお、搬送駆動モータ15の出力軸15aを逆転させたときに、インクリボン巻き取りシャフト14自体に駆動力は伝達されない。しかし、テープ31とインクリボン32がサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に挟まれている場合、プラテンローラ13の逆送方向の回転によりテープ31が逆送されると、テープ31と重なっているインクリボン32も連れられて、インクリボン巻き取りコア35側からインクリボン供給コア34側への逆送を行う。このインクリボン32の逆送時に、第2ギヤ列16b中のワンウェイクラッチの作用によってフリーになっているインクリボン巻き取りシャフト14及びインクリボン巻き取りコア35が逆送方向の回転を行う。
[印刷実行前:工程(A)]
図6の工程(A)は、印刷を実行する前の状態を示している。前回の印刷処理後に、カム部材20が第1の回転位置(図2)で停止されており、プラテンローラ13はサーマルヘッド12から離れた離間状態に保持されている。
カートリッジ装着部11にテープカートリッジ30を未装着の場合には、印刷に先立ってカートリッジ装着部11にテープカートリッジ30を装着する。すると、サーマルヘッド12がヘッド挿入部36に挿入されると共に、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31及びインクリボン32が挿入される。このとき、サーマルヘッド12とプラテンローラ13が離間しているため、テープ31及びインクリボン32をスムーズに収めることができる。カートリッジ装着部11へテープカートリッジ30を装着する際には、テープ31がテープカートリッジ30から所定以上の量で引き出された状態にあり、少なくともテープ31の先端31aがテープ検知センサ41よりも先(搬送方向の下流側)に進んだ位置にあるため、テープ31の配置は図6の工程(A)に示すようになる。
また、カートリッジ装着部11にテープカートリッジ30を装着済みの場合、前回の印刷完了時点で、切断装置42によるテープ31の切断が、テープ検知センサ41よりも先(搬送方向の下流側)に進んだ位置で行われている(図7の工程(H)参照)。従って、テープ31の配置は図6の工程(A)に示すようになる。
テープ31の先端31aからサーマルヘッド12(発熱素子12a)までの搬送方向の距離をL1、テープ検知センサ41からサーマルヘッド12(発熱素子12a)までの搬送方向の距離をL2とする。新たにテープカートリッジ30を装着した場合と、前回の印刷で使用したテープカートリッジ30を使用する場合のいずれも、図6の工程(A)ではL1>L2になる。なお、新たにテープカートリッジ30を装着した場合のテープ31の引き出し量の違いによって、L1の値は変動する。
印刷装置10では、テープ検知センサ41によりテープ31の先端31aが検出される搬送方向の位置を、テープ31における頭出し完了状態として設定している。つまり、頭出し完了状態ではL1=L2である。頭出し完了状態では、テープ31の印刷開始位置(印刷領域の先頭部分)がサーマルヘッド12の発熱素子12aに対向している。印刷の準備段階として、初期状態(L1>L2)から頭出し完了状態(L1=L2)にさせるための予備搬送(テープ31の頭出し)が行われる。この予備搬送はテープ31を搬送方向の上流側に所定量(L1とL2の差分)引き戻すものであるため、テープ31を逆送させることになる。
[軽圧付与開始:工程(B)]
印刷データと共に印刷実行の信号が制御装置40に入力されると、制御装置40から圧力変更手段48の接離駆動モータ21に駆動信号が送られ、出力軸21aが所定量駆動され、カム部材20を第1の回転位置から第2の回転位置まで回転させる。すると、制御カム23の軽圧付与領域23bによって被押圧部17cが押し込まれて、揺動アーム17がサーマルヘッド12側へ接近移動し、プラテンローラ13がサーマルヘッド12に接触して軽圧付与状態になる。この状態が図6の工程(B)である。
[低エネルギー印加、軽圧での逆送:工程(C)]
圧力変更手段48を軽圧付与状態にさせたことがカムポジションセンサ46によって検出されると、制御装置40は、接離駆動モータ21を停止させて軽圧付与状態を維持させる。また、制御装置40は、ヘッド駆動部44に駆動信号を送り、サーマルヘッド12に低エネルギー(第1のエネルギー)の印加による予熱を実行させる。低エネルギーの印加とは、インクリボン32のインク層32bでのインクの溶融及びテープ31へのインクの付着を生じない程度の比較的低い温度で、発熱素子12aを加温させることである。図6の工程(C)は、サーマルヘッド12に低エネルギーを印加した予熱状態を示している。
さらに、制御装置40から搬送駆動手段47の搬送駆動モータ15に駆動信号が送られ、出力軸15aを逆転させる。すると、プラテンローラ13が逆送方向の回転を行い、サーマルヘッド12との間に軽圧で挟まれたテープ31及びインクリボン32が逆送される。逆送によって、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41に近づく。
[低エネルギー印加、軽圧での逆送:工程(D)]
テープ31がある程度逆送されると、図6の工程(D)に示すように、先端31aがテープ検知センサ41の位置を通過する。この通過によって、テープ検知センサ41の位置にテープ31が存在しなくなったことが検出される。制御装置40は、テープ検知センサ41による当該検出から所定の間、搬送駆動モータ15の逆転駆動を継続させる。これにより、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41よりも確実に搬送方向の上流側に位置するようにさせ、誤検出の可能性を排除できる。テープ検知センサ41による検出から所定量の逆転駆動を継続した後、制御装置40は搬送駆動モータ15の駆動を停止させる。
[低エネルギー印加、軽圧での順送:工程(E)]
続いて、制御装置40は搬送駆動モータ15を駆動させ、出力軸15aを正転させる。すると、プラテンローラ13が順送方向の回転を行い、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に軽圧で挟まれたテープ31及びインクリボン32が順送される。順送によって、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41に近づく。
テープ31の先端31aの到達がテープ検知センサ41に検出されると、制御装置40は搬送駆動モータ15の駆動を停止させる。この段階で、テープ31は図6の工程(E)に示す位置に達している。テープ31の当該位置は、印刷装置10における頭出し完了状態である。頭出し完了状態とは、テープ31の印刷領域(より詳しくは、印刷領域の先頭である印刷開始位置)がサーマルヘッド12まで到達しており、しかもテープ31が過剰に繰り出されていないという最適化されたテープ位置であることを意味する。
図6に示す工程(C)から(E)までは、テープ31を頭出し完了状態にさせるための予備搬送動作(テープ31の頭出し動作)を行っている。そして、予備搬送動作の際に、サーマルヘッド12に低エネルギーを印加した予熱状態にしている。この予熱は、サーマルヘッド12の発熱素子12a自体を加温すると共に、予備搬送動作によってサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間を通過するテープ31及びインクリボン32を温めるという機能を有する。
より詳しくは、予備搬送動作のうち工程(C)から工程(D)にかけて、プラテンローラ13を逆送方向に回転させて、テープ31及びインクリボン32を逆送させている。テープ31及びインクリボン32のうち、当該逆送時にサーマルヘッド12の発熱素子12aを通過して予熱された領域は、工程(E)で印刷準備が完了したときに、サーマルヘッド12とプラテンローラ13による挟持位置及びその近傍に亘って存在している。特に、工程(E)の時点で、サーマルヘッド12とプラテンローラ13による挟持位置よりも搬送方向の上流側(図6中の左手方向)に、予熱済みであるテープ31及びインクリボン32の領域が存在することになる。そのため、後述する工程(G)に進んで印刷するときに、テープ31及びインクリボン32のうち印刷領域の一部は予熱により温められた状態にある。従って、サーマルヘッド12の発熱素子12a自体の予熱に加えて、少なくともテープ31及びインクリボン32の印刷領域の最初の部分についても予熱が行われた状態になっている。
テープ31を頭出し完了状態にさせる予備搬送動作と、サーマルヘッド12を低エネルギー印加状態にして予熱させる動作とを含めて、印刷装置10における印刷準備動作(印刷方法における第1のステップ)とする。また、印刷準備動作を行わせる(第1のステップを実行させる)ための制御装置40(プロセッサ)の制御内容を印刷準備制御とする。印刷準備動作では、インクリボン32のインクを溶融させない程度の低エネルギー印加でサーマルヘッド12を加温し、さらにサーマルヘッド12とプラテンローラ13による挟み込みを通常の印刷時よりも軽圧にしているので、印刷準備動作においてインクリボン32のインクがテープ31に付着してしまうことを防止できる。
特に、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の関係を軽圧付与状態に設定したことより、標準圧の場合よりもテープ31へのインク付着が生じにくくなっている。これにより、サーマルヘッド12の予熱用の温度を高めに設定して、予熱の効果を向上させることができる。
[標準圧付与:工程(F)]
以上の印刷準備動作が完了したら、制御装置40から圧力変更手段48の接離駆動モータ21に駆動信号が送られ、出力軸21aが所定量駆動され、カム部材20を第2の回転位置から第3の回転位置まで回転させる。すると、制御カム23の標準圧付与領域23cによって被押圧部17cが押し込まれて、揺動アーム17がサーマルヘッド12側へ接近移動し、プラテンローラ13に対するローラ付勢バネ19の付勢力が上昇して標準圧付与状態になる。この状態が図7の工程(F)である。
[標準エネルギー印加、標準圧での逆送:工程(G)]
圧力変更手段48を標準圧付与状態にさせたことがカムポジションセンサ46によって検出されると、制御装置40は、接離駆動モータ21を停止させて標準圧付与状態を維持させる。また、制御装置40は、ヘッド駆動部44に駆動信号を送り、印刷データに基づく箇所の発熱素子12aの加温をサーマルヘッド12に行わせる。このときの加温は、前述の低エネルギーよりも強度が高い標準エネルギー(第2のエネルギー)の印加によって行われ、インクリボン32のインクを溶融させる温度まで高めさせる。従って、サーマルヘッド12の発熱部のうち、加温した発熱素子12aに対応する箇所でインクリボン32のインクが溶融してテープ31に付着する。
サーマルヘッド12の1ライン分の印刷が完了したら、制御装置40から搬送駆動手段47の搬送駆動モータ15に駆動信号が送られて出力軸15aを正転させ、プラテンローラ13とインクリボン巻き取りシャフト14を順送方向に回転させる。これによりテープ31とインクリボン32が順送される。テープ31とインクリボン32が1ライン分順送されたら、制御装置40はヘッド駆動部44に駆動信号を送り、次の印刷ラインの印刷を行うようにサーマルヘッド12の加温箇所を制御する。以上のようにして1ライン分ずつの印刷をおこなっている状態が、図7の工程(G)である。
サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31及びインクリボン32を標準圧で挟んだ状態で、サーマルヘッド12に標準エネルギーを印加して印刷する動作を、印刷装置10における印刷動作(印刷方法における第2のステップ)とする。また、印刷動作を行わせる(第2のステップを実行させる)ための制御装置40(プロセッサ)の制御内容を印刷実行制御とする。前述の印刷準備動作とは異なり、印刷動作においては、サーマルヘッド12に標準エネルギーを印加すると共に、テープ31とインクリボン32を標準圧で挟むため、印刷の位置ずれなどを生じずに、インクを確実にテープ31へ転写させることができる。
そして、工程(E)までの印刷準備動作によって、サーマルヘッド12、テープ31及びインクリボン32がそれぞれ予熱された状態から印刷が開始されるので、印刷の最初からインクを良好に溶融させることができる。その結果、加温不足によるインクの溶融不良を起因とするかすれなどの無い、優れた印刷品質を実現することができる。
特に、印刷準備動作では、テープ31及びインクリボン32の逆送中の加温によって、サーマルヘッド12だけではなく、テープ31及びインクリボン32のうち印刷領域の最初の部分も予熱されているので、加温不足が最も生じやすい印刷の初期段階での印刷品質の向上に関して、相乗的な効果を得ることができる。
本実施形態の印刷装置10とは異なり、予熱を行わずに加温不足を補うべく、印刷時のサーマルヘッドへの印加エネルギーを標準よりも高めるという制御を行った場合、発熱素子の発熱温度がテープ31やインクリボン32の耐熱限界を超えてしまい、テープ31やインクリボン32の基材32aの破壊、インクの過剰転写などの弊害が発生してしまうおそれがある。これに対し、印刷の準備段階で予熱を行う本実施形態の印刷装置10では、印刷時にサーマルヘッド12の温度を過剰に高めることなく、印刷の立ち上がりから良好な印刷品質を得られるという点で優れている。
印刷装置10では、テープ31を頭出し完了状態にさせる(印刷開始位置をサーマルヘッド12に対向させるまで移動させる)ための予備搬送の時間及び動作を利用して予熱を行う。換言すれば、印刷に先立って搬送方向でのテープ31の位置を定める頭出し動作と同時に予熱を行っている。これにより、印刷開始までに予熱のための専用の時間を要さず、効率的な印刷を行うことができる。
また、印刷装置10では、テープ31を頭出し完了状態にさせる予備搬送として、テープ31を搬送方向の上流側へ逆送する動作を主として行うので、テープ31の先端31aから印刷領域までの間に予熱用の専用領域を設けずに済む。このような予熱用の専用領域は、印刷領域や搬送用の必要領域には含まれない無駄な部分になってしまうため、予熱用の専用領域を要さずに予熱を実行している印刷装置10は、テープ31の利用効率において優れている。換言すれば、印刷装置10では、予熱を行う場合と予熱を行わない場合でテープ31の使用量には変化が生じないという利点がある。
さらに、前述したように、単に予熱用の専用領域を要さないだけではなく、テープ31及びインクリボン32のうち予熱で温めた領域の一部が印刷領域(少なくとも印刷領域の最初の部分)に含まれるので、テープ31及びインクリボン32の印刷領域にも予熱の効果を及ぼすことができる。
[テープ切断:工程(H)]
印刷データに含まれる全ラインの印刷が完了したら、制御装置40は、印刷済みの領域が切断装置42を通過するまで搬送駆動モータ15を駆動させて出力軸15aを正転させ、プラテンローラ13の順送方向の回転によってテープ31を順送させる。これに伴って、インクリボン巻き取りシャフト14の順送方向の回転によって、インクリボン32がインクリボン巻き取りコア35に巻き取られる。そして、制御装置40は切断装置駆動部43を制御して、図7の工程(H)に示すように、切断装置42によってテープ31を切断させる。テープ31のうち切断された印刷後の部分は、印刷装置10の外側に排出されて完成したラベル37になる。切断装置42による切断箇所が、新たにテープ31の先端31aになる。
[テープ保持解除:工程(I)]
切断装置42によるテープ31の切断が完了したら、制御装置40から圧力変更手段48の接離駆動モータ21に駆動信号が送られ、出力軸21aが所定量駆動され、カム部材20を第3の回転位置から第1の回転位置まで回転させる。すると、制御カム23の離間用領域23aが被押圧部17cに対向し、被押圧部17cへの押し込みが解除される。また、カム部材20を第3の回転位置から第1の回転位置まで回転する途中で、フランジ24の引き上げ制御面24aが引き上げピン17eに接して、揺動アーム17をサーマルヘッド12から離間移動させる。その結果、図7の工程(I)に示すように、サーマルヘッド12からプラテンローラ13が離間し、テープ31及びインクリボン32への挟み込みが解除される。この段階で、一連の印刷工程が完了する。
サーマルヘッド12とプラテンローラ13によるテープ31及びインクリボン32の挟み込みを解除したことにより、テープカートリッジ30をカートリッジ装着部11から取り外すことができる。そして、次の印刷時にテープカートリッジ30を再び取り付ける。あるいは、テープカートリッジ30を取り外さずに、次の印刷工程を実行することもできる。いずれの場合も、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41の位置よりも引き出された状態から次の印刷工程が開始されるので、図6の工程(A)に戻って、前述した一連の動作を再び実行することができる。
印刷準備動作において、サーマルヘッド12に低エネルギーの印加を行う予熱範囲の好ましい例を図8に示した。テープ31の幅Wよりもインクリボン32の幅Wの方が僅かに大きい。サーマルヘッド12の発熱部には、予熱範囲12bと予熱外範囲12cが含まれている。予熱範囲12bは、印刷準備動作で発熱素子12aの予熱を行う領域である。予熱外範囲12cは、印刷準備動作で発熱素子12aの予熱を行わない領域である。予熱範囲12bは、テープ31及びインクリボン32の通過領域と重なる範囲に設定されている。さらにテープ31及びインクリボン32の幅方向における予熱範囲12bの幅Wは、テープ31の幅W及びインクリボン32の幅Wよりも所定量大きく設定されている。
このような条件を満たす予熱範囲12bを設定することにより、テープ31の幅W及びインクリボン32の幅Wをカバーする領域で発熱素子12aが予熱されるので、印刷開始時において加温不足である箇所を含むことなく、テープ31及びインクリボン32の幅方向の全域で良好な印刷品質を得ることができる。また、テープ31の幅W及びインクリボン32の幅Wに所定のマージンを加えた幅Wで予熱範囲12bを設定し、それ以外の部分を予熱外範囲12cにしているので、予熱に用いるエネルギーを抑えることができる。
制御装置40に入力される印刷データには、印刷の対象となるテープ31の幅W及びインクリボン32の幅Wが情報として含まれている。この幅情報に基づき、制御装置40は、サーマルヘッド12のうちどの部分を予熱範囲12bにするかを設定して、ヘッド駆動部44を制御する。従って、幅が異なる複数種のテープ31やインクリボン32を用いる場合でも、それぞれの幅に対応する最適な幅Wの予熱範囲12bを設定することができる。
図8の例とは異なり、サーマルヘッド12の発熱部全体を予熱範囲にする(予熱外範囲12cを含まないようにする)ことも可能である。この場合、図8の例に比べて予熱に用いるエネルギーは多くなるが、テープ31やインクリボン32の幅に応じた予熱範囲の設定や変更を行わないため、制御装置40における制御負担を軽減できる。
印刷装置10では、印刷準備動作における予熱を常に行うようにしてもよいし、温度センサ45により測定される温度に応じて、印刷準備動作における予熱の有無を選択してもよい。一般的に、サーマルヘッド12の加温不足による印刷品質の低下が生じやすいのは、環境温度が低い場合である。従って、制御装置40による制御内容として、温度センサ45により測定されるサーマルヘッド12の周辺温度が予め定められた値以下の場合には予熱を行わせ、サーマルヘッド12の周辺温度が予め定められた値よりも高い場合には予熱を行わないという選択を組み込むことができる。これにより、印刷開始時にサーマルヘッド12の加温不足が生じにくく高温環境下でのエネルギー消費を抑えることができる。
以上の実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
本実施形態の印刷装置10は、インクリボン32のインクを被印刷媒体であるテープ31に付着させて印刷する熱転写式である。熱転写式には印刷開始時の加温不足によるインクの溶融不良が生じやすいという課題があるため、本発明の有用性が高い。しかし、本発明の適用対象となる印刷装置はこれに限定されない。例えば、発色剤を含む被印刷媒体に対して熱を加えて顕色化させる感熱式の印刷装置においても、加温不足での印刷時における印刷不良という同様の課題が存在しており、感熱式の印刷装置に本発明を適用することも可能である。
感熱式の印刷装置の場合は、図1に示す印刷装置10の内部構造及びテープカートリッジ30から、インクリボン32の支持及び搬送に関係する構成要素を省略したものとして構成が可能である。また、サーマルヘッド12の予熱範囲の設定については、図8からインクリボン32を省略した上で、少なくともテープ31の幅Wよりも広い範囲を予熱範囲に設定することが好ましい。
本実施形態の印刷装置10は、サーマルヘッド12の位置を固定にし、プラテンローラ13や揺動アーム17を移動させることによって、離間状態(図2)、軽圧付与状態(図3)、標準圧付与状態(図4)を切り替えている。この動作は、一般的な印刷装置で行われるサーマルヘッドとプラテンローラの離間状態及び接触状態という2つの位置の切り替えとは異なり、より大きな移動量や緻密な位置調整が必要とされる。サーマルヘッド12には、配線を接続する必要性や、テープカートリッジ30のヘッド挿入部36内に収める必要性がある。このような制約が多いサーマルヘッド12ではなく、周辺構造の制約が少ないプラテンローラ13側に揺動アーム17を含む圧力変更手段48を備えることが好適である。
しかしながら、本発明は、プラテンローラの位置が固定されていてサーマルヘッド側が移動して互いに接離する構成を排除するものではない。この場合、圧力変更手段の構成として、揺動アーム17に相当する可動部材がサーマルヘッドを支持し、ローラ付勢バネ19に相当する付勢部材がサーマルヘッド(又はサーマルヘッドの保持部材)を付勢するという構成を選択できる。
本実施形態の印刷装置10は、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間にテープ31及びインクリボン32を挟む状態として、印刷に用いる標準圧付与状態(図4)とは別に、軽圧付与状態(図3)を1段階のみ設定している。これとは異なり、サーマルヘッド12に対するプラテンローラ13の接触圧がそれぞれ異なる複数段階の軽圧付与状態を設定することも可能である。つまり、第1の圧力が複数段階存在していてもよい。
例えば、厚みが異なる複数種の被印刷媒体の印刷に対応させる場合に、薄手の被印刷媒体に対しては接触圧が高めである第1の軽圧付与状態にし、厚手の被印刷媒体に対しては接触圧が低めである第2の軽圧付与状態にする。このように構成することで、複数の被印刷媒体の厚みが異なっていても、各被印刷媒体をサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間に挟んだときに実際に作用する押圧力を均質化させることができる。その結果、印刷準備動作における予熱などの効果のばらつきを生じにくくさせることができる。
具体的な構成例として、制御カム23における軽圧付与領域の段数を、1段階(実施形態では軽圧付与領域23bのみ)から多段階に増やすことで、複数段階の軽圧付与状態を設定することが可能である。
本実施形態の印刷装置10では、印刷準備動作に含まれる予備搬送動作として、プラテンローラ13を逆送方向に回転させてテープ31及びインクリボン32を逆送させて(図6の工程(C)及び(D))、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41を通過した後で、プラテンローラ13を順送方向に回転させてテープ31及びインクリボン32を順送させている(図6の工程(E))。これにより、テープ検知センサ41によるテープ31の先端31aの検出精度を高め、テープ31の印刷開始位置を精密に管理することができる。
予備搬送動作の変形例として、テープ31及びインクリボン32を逆送する際に、テープ31の先端31aがテープ検知センサ41を通過したことが検出されたことをトリガーとしてプラテンローラ13の逆送方向の回転を停止させ、当該状態をテープ31の頭出し完了状態として扱うことも可能である。つまり、プラテンローラ13の逆送方向の回転のみで予備搬送動作を行い、逆送方向の回転後の順送方向の回転(図6の工程(E)に相当)は省略される。この変形例においても、逆送する際に予熱されたテープ31及びインクリボン32の一部が印刷領域の最初の部分に含まれており、印刷開始部分での印刷品質を向上させる効果が得られる。
前述のように、印刷準備動作におけるテープ31の逆送中に予熱を行うことによって、テープ31に予熱用の専用領域が不要となり、テープ31の利用効率が向上するという効果が得られる。当該効果にフォーカスした発明として、印刷準備動作でのテープ31の逆送中の予熱を行いつつ、印刷準備動作時と印刷動作時とでテープ31に対する圧力変更を行わない(例えば、サーマルヘッド12とプラテンローラ13によりテープ31を挟む場合は常に標準圧にする)ように構成及び制御することも可能である。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を挟んで回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを、第1の圧力で前記被印刷媒体を挟む第1状態と、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む第2状態とに変更させる圧力変更手段と、
前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1状態にさせると共に前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第2状態にさせると共に前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記プラテンローラは、印刷時の進行方向に前記被印刷媒体を順送させる順送方向の回転と、印刷時の進行方向とは反対方向に前記被印刷媒体を逆送させる逆送方向の回転とに切り替え可能であり、
前記制御手段は、前記印刷準備動作で前記被印刷媒体の前記印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる際に、前記プラテンローラを前記逆送方向に回転させることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記サーマルヘッドは、前記被印刷媒体の幅方向に並ぶ複数の発熱素子を有しており、
前記制御手段は、前記幅方向で少なくとも前記被印刷媒体の幅よりも広い範囲で前記発熱素子を前記予熱状態にさせることを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記サーマルヘッドの周辺温度を測定する温度測定手段を有し、
前記制御手段は、前記温度測定手段により測定される温度が予め定められた値以下の場合に、前記サーマルヘッドを前記予熱状態にさせることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の印刷装置。
[付記5]
前記圧力変更手段は、
前記サーマルヘッドに対する距離を変更可能な可動部材と、
前記プラテンローラを保持する保持部材と前記可動部材との間に設けた付勢部材と、を有し、
前記可動部材の移動による前記付勢部材の付勢力の変化によって、前記第1状態と前記第2状態になることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の印刷装置。
[付記6]
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラの間を前記被印刷媒体と重ねて搬送されるインクリボンを有し、
前記制御手段は、前記予熱状態では前記インクリボンのインクを溶融させない温度に前記サーマルヘッドを設定させ、前記印刷する状態では前記インクリボンのインクを溶融させる温度に前記サーマルヘッドを設定させることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の印刷装置。
[付記7]
加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を保持して回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、
前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラを印刷時の進行方向とは反対方向に回転させることにより、前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記サーマルヘッドに第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
[付記8]
サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる第1のステップと、
前記第1のステップ後に、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる第2のステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。
[付記9]
サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備制御と、
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる印刷実行制御と、
をプロセッサに行わせることを特徴とする印刷制御プログラム。
10 :印刷装置
11 :カートリッジ装着部
12 :サーマルヘッド
12a :発熱素子
12b :予熱範囲
12c :予熱外範囲
13 :プラテンローラ
14 :インクリボン巻き取りシャフト
15 :搬送駆動モータ
16 :減速ギヤ列
17 :揺動アーム(可動部材)
17e :引き上げピン
18 :ローラ保持部材(保持部材)
19 :ローラ付勢バネ(付勢部材)
20 :カム部材
21 :接離駆動モータ
22 :減速ギヤ列
23 :制御カム
23a :離間用領域
23b :軽圧付与領域
23c :標準圧付与領域
24 :フランジ
24a :引き上げ制御面
30 :テープカートリッジ
31 :テープ(被印刷媒体)
32 :インクリボン
33 :テープコア
34 :インクリボン供給コア
35 :インクリボン巻き取りコア
40 :制御装置(制御手段)
41 :テープ検知センサ
42 :切断装置
43 :切断装置駆動部
44 :ヘッド駆動部
45 :温度センサ(温度測定手段)
46 :カムポジションセンサ
47 :搬送駆動手段
48 :圧力変更手段

Claims (9)

  1. 加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、
    前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を挟んで回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、
    前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを、第1の圧力で前記被印刷媒体を挟む第1状態と、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む第2状態とに変更させる圧力変更手段と、
    前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1状態にさせると共に前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記圧力変更手段により前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第2状態にさせると共に前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記プラテンローラは、印刷時の進行方向に前記被印刷媒体を順送させる順送方向の回転と、印刷時の進行方向とは反対方向に前記被印刷媒体を逆送させる逆送方向の回転とに切り替え可能であり、
    前記制御手段は、前記印刷準備動作で前記被印刷媒体の前記印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる際に、前記プラテンローラを前記逆送方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記サーマルヘッドは、前記被印刷媒体の幅方向に並ぶ複数の発熱素子を有しており、
    前記制御手段は、前記幅方向で少なくとも前記被印刷媒体の幅よりも広い範囲で前記発熱素子を前記予熱状態にさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記サーマルヘッドの周辺温度を測定する温度測定手段を有し、
    前記制御手段は、前記温度測定手段により測定される温度が予め定められた値以下の場合に、前記サーマルヘッドを前記予熱状態にさせることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷装置。
  5. 前記圧力変更手段は、
    前記サーマルヘッドに対する距離を変更可能な可動部材と、
    前記プラテンローラを保持する保持部材と前記可動部材との間に設けた付勢部材と、を有し、
    前記可動部材の移動による前記付勢部材の付勢力の変化によって、前記第1状態と前記第2状態になることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
  6. 前記サーマルヘッドと前記プラテンローラの間を前記被印刷媒体と重ねて搬送されるインクリボンを有し、
    前記制御手段は、前記予熱状態では前記インクリボンのインクを溶融させない温度に前記サーマルヘッドを設定させ、前記印刷する状態では前記インクリボンのインクを溶融させる温度に前記サーマルヘッドを設定させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
  7. 加熱により被印刷媒体への印刷を行うサーマルヘッドと、
    前記サーマルヘッドとの間に前記被印刷媒体を保持して回転することにより、前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラと、
    前記サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にして、前記プラテンローラを印刷時の進行方向とは反対方向に回転させることにより、前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備動作を行わせ、前記印刷準備動作後に、前記サーマルヘッドに第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  8. サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる第1のステップと、
    前記第1のステップ後に、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる第2のステップと、
    を有することを特徴とする印刷方法。
  9. サーマルヘッドに第1のエネルギーを印加する予熱状態にさせると共に前記サーマルヘッドとプラテンローラによって被印刷媒体を第1の圧力で挟ませ、前記プラテンローラの回転により前記被印刷媒体の印刷開始位置を前記サーマルヘッドに対向する位置まで移動させる印刷準備制御と、
    前記サーマルヘッドと前記プラテンローラを前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で前記被印刷媒体を挟む状態にさせ、前記サーマルヘッドに前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを印加して前記被印刷媒体への印刷を行わせる印刷実行制御と、
    をプロセッサに行わせることを特徴とする印刷制御プログラム。
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