JP5756010B2 - 遮音パネル - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている遮音パネルは、縦框材及び横框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に設けられた面材とを備え、前記両面材のうち少なくとも一方の面材に、前記枠体と前記面材とで囲まれる中空部に連通する孔が少なくとも1つ以上設けられていることを特徴としている。
特許文献2に記載されている遮音パネルは、縦框材及び横框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に設けられた面材とを備え、前記枠体と前記面材とで囲まれる中空部に斜め芯材が前記縦框材及び横框材に対して傾斜しかつ前記面材に当接して設けられていることを特徴としている。
また、前記特許文献2に記載の遮音パネルでは、枠体と面材とで囲まれる中空部に斜め芯材を設けるが、この斜め芯材は中空部ごとに斜めに配置するため、斜め芯材の配置に手間がかかる。
前記枠体2内に当該枠体2の厚さより薄い板状の振動部材10が設けられ、
前記振動部材10は、少なくとも一方の前記面材3の裏面に、前記振動部材10を振動可能とするバネ層11を介して取り付けられており、
前記面材3と前記振動部材10は合板からなり、前記振動部材10の厚さは、前記面材3の約2倍程度の厚さとなっていることを特徴とする。
また、音源から出る音波は、空気中を進み遮音パネルの面材3へと伝達され、振動波となり、この振動波によって面材3が振動する。面材3の振動に伴ってバネ層11が振動するとともに振動部材10が振動する。そうすると、面材3と振動部材10のそれぞれの振動の一部が干渉し合って打ち消しあい、これによって遮音パネル全体として振動が抑制されるので、質量付加による遮音効果以上に発生する音を抑えることがきる。
また、振動部材10が面材3より厚いので、音源によって面材3に発生している振動をさらに効果的に抑制でき、発生する音をさらに効果的に抑えることができる。
前記振動部材10の周囲には平面視において隙間Sが設けられていることを特徴とする。
前記バネ層11はゴム層11で形成されていることを特徴とする。
前記枠体2内に中桟材2c,2dを設けることによって複数の中空部5が設けられており、
前記複数の中空部5のうちの少なくとも一つの中空部5に前記振動部材10および前記バネ層11が設けられていることを特徴とする。
前記中桟材2c,2dのうち、縦方向に長尺な中桟材2cは、枠体2の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置され、その上下端部がそれぞれ前記枠体2に固定されており、
横方向に長尺な中桟材2dは、枠体2の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置されるとともに、枠体2と前記縦方向の中桟材2cとの間に配置され、両端部がそれぞれ枠体2と前記縦方向の中桟材2cに固定されていることを特徴とする。
また、音源から出る音波によって生じる面材と振動部材のそれぞれの振動の一部が干渉し合って打ち消しあい、これによって遮音パネル全体として振動が抑制されるので、発生する音を抑えることがきる。
図1は本発明に係る遮音パネルを構成する木質パネル1の斜視図である。この木質パネル1は例えば壁パネルとして使用されるものであり、矩形枠状の枠体2と、この枠体2の表裏両面にそれぞれ取り付けられた合板からなる面材3,3とから構成されている。
前記枠体2は、縦框材2aと横框材2bとを矩形枠状に組み立ててなる矩形枠の内部に中桟材2c,2dを縦横に組み付けることで構成されている。
縦方向に長尺な中桟材2cは、枠体2の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置され、その上下端部がそれぞれ前記横框材2bに固定されている。横方向に長尺な中桟材2dは、枠体2の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置されるとともに、縦框材2aと中桟材2cとの間に配置され、両端部がそれぞれ縦框材2aと中桟材2cに固定されている。これによって、枠体2内には矩形状の複数(6個)の中空部5が設けられている。
また、木質パネル1(枠体2)の内部の前記中空部5には、それぞれ断熱材および吸音材として機能するグラスウール7が設けられている。グラスウール7は、平面視における形状が前記中空部5と等しくなっているが、グラスウール7の厚さは中空部5の深さより薄くなっており、他方の面材3側に寄せられている。したがって、一方の面材3とグラスウール7との間の隙間は、他方の面材3とグラスウール7との間の隙間より広くなっている。
このような振動部材10は、一方の前記面材3の裏面に設けられて、振動部材10を振動可能とするバネ層11を介して前記一方の面材3に取り付けられている。バネ層11は、具体的にはゴム層11であり、このゴム層11はブチルゴムによって形成されている。
ゴム層11は振動部材10の半分以下の厚さを有しており、平面視における形状は中空部5より若干小さく、かつ振動部材10と等しくなっている。
このようなゴム層11は、一方の面材3に接着され、また、このゴム層11の表面全体に振動部材10が接着されている。この状態において、振動部材10とグラスウールとの間には所定の隙間が設けられている。また、振動部材10の周囲、つまり、図3に示すように、振動部材10と、枠体2(框材2a,2b)および中桟材2c,2dとの間には平面視において隙間Sが設けられている。
次に、枠体2のそれぞれの中空部5内において、一方の面材3に、ゴム層11を接着し、このゴム層11に振動部材10を接着する。
その後、中空部5にグラスウール7を充填したうえで、枠体2の他方の面に、他方の面材3を貼り付け、最後に両面材3,3の表面にそれぞれ2枚の石膏ボード6,6を貼り付ける。これによって、遮音パネルが完成する。
なお、石膏ボード6は、前記製造ラインにおいて、面材3,3に貼り付けてもよいし、現場で木質パネル1を建て込んだ後、面材3,3に貼り付けてもよい。
本発明に係る、ゴム層11および振動部材10を備えた(裏打ちのある)遮音パネルと、ゴム層11および振動部材10を有しない(裏打ちのない)が、その他の構成は前記遮音パネルと等しい木質パネルとに対して、音響透過損失の測定を行った。
なお、ある試料に入射する音のエネルギーと、試料を通過して透過してくる音のエネルギーとの比(透過/入射)が、「透過率」であり、この逆数の対数をとったものが、「(音響)透過損失」である。したがって、(音響)透過損失が大きいほど、遮音性能が良いということになる。
図4は、本発明に係る遮音パネルが比較のための木質パネルよりどの程度音響透過損失が大ききかを所定の中心周波数ごとに示したものである。
図4に示すように、各中心周波数において、本発明に係る遮音パネルが前記木質パネルより音響透過損失(音響透過損失改善量)が大きい、つまり、遮音性能がよいことが確認できた。
また、振動部材10の周囲に平面視において隙間Sが設けられているので、振動部材10は平面視において、左右前後方向に振動可能となる。したがって、面材3と振動部材10のそれぞれの振動の一部が干渉し合って打ち消し合い易くなり、よって、遮音パネル全体として振動をより効果的に抑制でき、発生する音をより効果的に抑えることができる。
さらに、バネ層11はゴム層11で形成されているので、音源によって面材に発生している振動の一部がゴム層によって吸収(吸音)されるので、発生する音をさらに効果的に抑えることができる。
加えて、複数の中空部5にそれぞれ振動部材10とバネ層11が設けられているので、音源によって面材3に伝わる振動に対して、振動部材10がバネ層11を介して振動し易くなるので、音源によって面材3に発生している振動をさらに効果的に抑制でき、発生する音をさらに効果的に抑えることができる。
また、本実施の形態では、枠体2内を中桟材2c,2dによって仕切ることによって形成された複数の中空部5にそれぞれ振動部材10とゴム層11を配置したが、振動部材10とゴム層11は、所望の中空部5に配置すればよく、要は少なくとも一つの中空部5に配置すればよい。
2 枠体
2a 縦框材
3b 横框材
2c,2d 中桟材
3 面材
5 中空部
10 振動部材
11 バネ層(ゴム層)
Claims (5)
- 矩形枠状の枠体と、この枠体の両面に取り付けられた面材とを備え、
前記枠体内に当該枠体の厚さより薄い板状の振動部材が設けられ、
前記振動部材は、少なくとも一方の前記面材の裏面に、前記振動部材を振動可能とするバネ層を介して取り付けられており、
前記面材と前記振動部材は合板からなり、前記振動部材の厚さは、前記面材の約2倍程度の厚さとなっていることを特徴とする遮音パネル。 - 請求項1に記載の遮音パネルにおいて、
前記振動部材の周囲には平面視において隙間が設けられていることを特徴とする遮音パネル。 - 請求項1または2に記載の遮音パネルにおいて、
前記バネ層はゴム層で形成されていることを特徴とする遮音パネル。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の遮音パネルにおいて、
前記枠体内に中桟材を設けることによって複数の中空部が設けられており、
前記複数の中空部のうちの少なくとも一つの中空部に前記振動部材および前記バネ層が設けられていることを特徴とする遮音パネル。 - 請求項4に記載の遮音パネルにおいて、
前記中桟材のうち、縦方向に長尺な中桟材は、枠体の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置され、その上下端部がそれぞれ前記枠体に固定されており、
横方向に長尺な中桟材は、枠体の厚さ方向に所定の隙間をもって2本配置されるとともに、枠体と前記縦方向の中桟材との間に配置され、両端部がそれぞれ枠体と前記縦方向の中桟材に固定されていることを特徴とする遮音パネル。
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