従来提案されている器具類は、上記したように、この最も頻繁に行われる「洗濯ばさみによって物干し棒に固定された洗濯物や洗濯物を掛けたハンガーを干すこと」を想定したものではない。例えば、特許文献2に記載されているハンガー固定具は、筒状形状はしているが、後述する本願発明品の重要な特徴である偏りのない自由回転はし難い構造となっている。つまり、その内周側が山形部分と円弧部分が連接した形状となっており、山形部分を「上部」と記載していることから、あくまでもハンガー固定具として山形部を上部として用いることを前提とした構造となっている。
また、特許文献3のハンガー掛けの内周側も、物干し竿と摩擦接触して筒状器具の回転や横滑りを防止するための突起部が設けられた使用態様で用いる構造となっている。
一方、特許文献4のハンガー掛け用物干しロープに用いられている中空管の一実施例や特許文献5のチェーンやロープに貫通させて用いられるパイプ自体には、中に通すロープ等との間にパイプ等の自由回転を阻害する構造は認められない。しかしながら、そもそもロープや接触摩擦が多いと考えられるチェーンが中に通されたパイプは、ロープ等が撓む等することにより自由回転し難いと考えられ、実施例もハンガー掛けとしての用途が示されているに過ぎない。
特許文献6は、旗竿の発明であり、その構成も異なる上に、洗濯物や洗濯物を掛けたハンガーを洗濯ばさみで固定して干した場合の各種不具合を解消し、物干し機能を向上させることができることに関し、なんらの記載も示唆もなされていない。
すなわち、通常行われている物干し作業である、洗濯物や洗濯物を掛けたハンガーを、物干し竿等の物干し棒に洗濯ばさみで固定して干した場合に、その物干し機能を向上させるための提案は未だなされていない。本発明における「物干し機能」とは、洗濯ばさみで固定した洗濯物が、風によって物干し棒に絡みつかず、めくれ上がって引っ掛かっても解け易い機能、及び洗濯ばさみが外れることを防ぐ機能をいう。
すなわち、洗濯物や洗濯物を掛けたハンガーを、物干し棒に掛け洗濯ばさみで固定して干した際に、風に煽られて翻った洗濯物が、物干し竿に絡みつき引っ掛かることを防止する物干し棒用の器具を提供することにある。また、洗濯物が物干し竿に絡みついた状態で干し続ければ、洗濯物がしわになり、乾燥効率や殺菌効果(天日干し効果)も低下し、その様な状態になる度に直していてはかなりの手間を要するが、そのような問題点を解決する物干し棒用の器具の提供器具を提供することにある。
また、物干し作業自体は通常行われる作業と変わりない作業であるにも係わらず、上記有用な効果を奏することを可能とする、従来ない物干し棒用器具を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する器具を物干し棒に外嵌して用いることによって、上記した物干し機能が向上することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、物干し棒に外嵌して物干し機能を向上させるための筒状器具であって、該物干し棒を軸として全周偏りなく自由回転可能な構造を有するものであり、該筒状器具の内壁面の物干し棒と接する部分の断面形状が、凹凸部を有していてもよい正円又は正多角形であり、かつ、該筒状器具の外壁面の断面形状の周囲の連続した3分の2以上が、正円若しくは多角形又はその一部であり、かつ、該筒状器具の外壁面の該「周囲の連続した3分の2以上」の部分の母線が、該筒状器具の回転軸と平行であり、かつ、該筒状器具の両端開口部が、該筒状器具の回転軸に対して垂直となっていることを特徴とする筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、筒状器具の外壁面の断面形状における上記「正円若しくは多角形」が、内壁面の断面形状を構成する上記正円又は正多角形と中心を共通にする同心円又は同心多角形である上記の筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、筒状器具の外壁面の断面形状の全周が、正円又は多角形である上記の筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、上記物干し機能が、洗濯物又は洗濯物を掛けたハンガーを筒状器具に掛けて洗濯ばさみで固定した際に発揮される機能である上記の筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、筒状器具の内壁面が、カビが発生し難いように構成・処理されたものである上記の筒状器具を提供するものである。すなわち、本発明の筒状器具は、物干し棒に装着したまま用いることが通常の使用態様であるが、長期間装着したまま用いる場合に問題となる可能性のある、筒状器具の内壁面のカビの発生が抑制されるように構成された及び/又は処理された筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、上記カビを発生し難いような構成・処理が、筒状器具を紫外線透過率の高い材質で形成することによって、紫外線の効果により、カビの発生が抑制され、また、筒状器具の内壁面に抗菌処理を施すことで、カビの発生を抑制している筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、1本の筒状器具の長さが1cm〜50cmである上記の筒状器具を提供するものである。この長さは、洗濯ばさみによる洗濯物等の固定に必要な幅から設定されたものである。実際に用いられる長さは洗濯物の大きさや種類等により適宜選択される長さでもあるため、数種類の長さの筒状器具を複数本組み合わせる態様も含むものである。
また、本発明は、筒状器具の外壁面に、洗濯物又は洗濯物を掛けたハンガーの横滑りを防止する処理がなされている及び/又は横滑りを防止する構造を有する上記の筒状器具を提供するものである。具体的には、ゴム等の滑り止め効果を有する素材を外壁面の一部又は全部にコーティング処理したり、ローレット加工を施したり、滑り止めの突起を設けたりした筒状器具や、外壁面に溝構造を有する筒状器具、あるいはその複数を有する筒状器具を提供するものである。
また、本発明は、筒状器具の物干し棒に沿った水平移動を抑制する留め具と共に用いられるものである上記の筒状器具を提供するものである。本発明の筒状器具は、1本又は必要に応じて任意の本数を物干し棒に装着して用いることができるが、その際に筒状器具が水平移動しないように、1本の筒状器具の両端又は複数の筒状器具を並べたときのその両末端や、片側に物干し棒付属の凸部がある場合は他の一端等に、留め具を設置して筒状器具の水平移動を抑制する形状になっていることが好ましい。
本発明によれば、前記問題点を解消し、上記課題を解決し、物干し棒を軸として全周偏りなく自由回転可能に設計された筒状構造を有しているので、特に、物干し作業で通常行われる、洗濯物を物干し棒に掛け洗濯ばさみで固定した際にその効果が発揮される。従来であれば、強風に煽られた洗濯物が物干し棒に幾重にも絡み付いてしまうような場合でも、本発明の筒状器具は、洗濯物や洗濯ばさみと共に回転するので、風で吹き上げられ物干し棒上方へ翻った洗濯物は、重ならずに反対側に落ちて、1回転し元の状態に戻る。更に、風を受けてもそれを繰り返し、絡みつくことはない。また、煽られた洗濯物が物干し棒に引っ掛かった場合にも、筒状器具や洗濯ばさみが揺れ動くので、洗濯物が振り解かれる。
従って、洗濯物は重ならず、常に垂下した状態を保つので、乾燥効率が向上し、しわや型崩れを起こすこともない。そして、洗濯ばさみに負荷がかからないので、洗濯ばさみが外れ難い。
一旦絡みついた洗濯物は、特にまだ濡れている場合等、その絡みつきを解くことは極めて大変であるが、本発明の筒状器具を用いれば、いちいち洗濯物を直す手間が省ける。また、乾燥機ではなく物干し棒を用いて屋外に物を干す人は、日光の紫外線による殺菌効果に期待しているわけであるから、絡みつきを防止して日光を洗濯物全体に照射させることには顕著な効果がある。上記機能が向上することで、洗濯物の乾燥効率や殺菌効率(天日干し効率)が向上し、また洗濯物がしわになり難い等の多くの効果を奏することが可能となる。
本発明の筒状器具は、物干し棒を軸として全周偏りなく自由回転可能に設計された筒状構造を有し、洗濯物を掛けたハンガーを洗濯ばさみで本発明品に固定した場合も、乾燥機能の向上等の、上記洗濯物と同様の効果が認められる。以上の結果として、洗濯物の乾燥時間を短縮することができ、乾燥後の洗濯物の状態も、しわのないきれいな状態となる等の効果を本発明は有している。
更に、筒状器具自体又は筒状器具の内壁面を、カビが発生し難いように構成・処理すれば、恒常的に物干し棒に装着したままの状態でも、器具内壁面のカビの発生が抑制されているので、清潔さを保ち易いという効果を有している。
また、長さを自由に設計できるので、特に限定はないが、例えば、1本の筒状器具の長さを1cm〜50cmの範囲にすれば、本発明の筒状器具の特長である自由回転がし易く、洗濯物も洗濯ばさみで固定し易い。本発明は、使用態様に応じて種々の長さの筒状器具を、また何本でも複数選択できるという効果を有している。更に、洗濯ばさみが傾くことで起きる洗濯物の捩れを修正し、しわや伸びを防ぎ、洗濯ばさみの痕もつき難くする効果を奏する。
また、両端開口部を回転軸に対して垂直にすることで、複数本で使用した際に、筒状器具が別々に回転しても隣接する開口部間が常に平行になり、回転を相互に阻害することなく、自由回転がよりし易くなる効果も有している。
また、外壁面に横滑りを防止する処理や構造を有するようにでき、そのような筒状器具は、物干し棒掛け具、引っ掛け部等から外に突き出た箇所に、物干し棒の下方で洗濯物を重ねて留めた場合でも、抜け落ち難くし、洗濯物が片寄ることが少なくなり、横滑り防止機構がない場合に比して、しわになり難い効果、早く乾く効果等を有している。また溝を横滑り防止構造として設けた場合は、特にハンガーを溝に掛けた場合にハンガーの横滑りを防ぐ効果を有している。
筒状器具の物干し棒に沿った水平移動を抑制する留め具(以下、単に「留め具」と略記する)と共に用いれば、筒状器具が物干し棒から抜け落ちないという効果の他に、物干し棒の全長中の任意の部分に本発明品を適用することが可能となる。また、筒状器具の水平移動を抑制することは、筒状器具に固定された洗濯物相互の絡みつきを抑制するという効果も有している。
以下、本発明の実施形態について、具体的に図に基づいて説明する。
図1は、物干し棒2に外嵌された、本発明の筒状器具1の一形態を示す斜視図である。物干し棒2に、その外壁面13の断面形状が正円である筒状器具1aが外嵌され、2個の留め具3で水平移動を抑制された状態で固定されている。筒状器具1aの内壁面12の断面形状は正円であり、物干し棒2を軸として全周偏りなく自由回転が可能な構造を有している。ここで、本発明における「物干し棒」とは、物を干すための自由には曲がらない棒をいう。また、「断面形状」とは、筒状器具1をその回転軸に対して垂直に切った時の断面の形状をいい、以下同様である。
図4(A)に、図1のA−A矢視横断面図を示す。筒状器具1aの外壁面13の断面形状は特に限定はないが、図1では正円であり、内壁面12の断面形状を構成する正円と中心を共通にする同心円となっている。すなわち、筒状器具1aの内壁面12と外壁面13との距離(筒状器具1aの厚さ)は、全周にわたって実質的に同一である。こうすることによって、筒状器具1aが物干し棒2を軸として、より全周偏りなく自由回転がよりスムースにできる構造となっている。
なお、図1では、説明のために一番左の筒状器具1aと留め具3との間に隙間があるが、この隙間は特に限定はないが小さい方が好ましい。
図2も、物干し棒2に外嵌された本発明の筒状器具1aの実施形態を示す斜視図であり、物干し棒2に筒状器具1aが外嵌されている。
図3は、物干し棒2に外嵌された、本発明の筒状器具1の一形態を示す斜視図である。物干し棒2に、その外壁面13の断面形状が同心多角形である筒状器具1bが外嵌され、2個の留め具3で水平移動を抑制された状態で固定されている。図4(B)に、図3のB−B矢視横断面図を示す。筒状器具1bの内壁面12の断面形状は正円であり、物干し棒2を軸として全周偏りなく自由回転可能な構造を有している。
ここで、外壁面13の断面形状が「同心多角形」であるとは、「内壁面12の断面形状を構成する正円又は多角形」と中心を共通にする多角形であることをいう。本発明における「多角形の中心」とは、その「多角形の重心」をいう。多角形は、特に限定はないが、回転対称性のある規則的な多角形であることが、本発明の筒状器具1bには好ましい。
本発明の筒状器具の内壁面12の断面形状は、上記したように正円が好ましいが、多角形であってもよい。かかる多角形は特に限定はないが、五角形以上が好ましく、十角形以上がより好ましく、二十角形以上が特に好ましい。かかる多角形は、正多角形であることが、物干し棒の外壁面15との接点の数を増やしたり、スムースな回転を実現したりするために必須である。本発明の筒状器具の内壁面12の断面形状と外壁面13の断面形状とが何れも多角形である場合には、特に限定はないが互いに相似形であることが好ましく、何れも相似の正多角形であることが特に好ましい。
また、内壁面12を周回する凹凸部を複数本設け、物干し棒2との接触面積を狭めて摩擦を減らし、より回転し易くすることも好ましい。また、該「周回する凹凸部」を有して排水穴がない場合には、凹部に雨水が溜まり、流れ落ち難いこともあるが、凹凸部を螺旋状に設けることで、凹部が閉鎖せずに開口部まで繋がり、回転により雨水が流れ落ちるので、滑らかな回転と排水効果も得られる。なお、このような構造では、内壁面12の断面形状には凹凸が生じる。また、凹部の断面形状については、物干し棒2と接触せず、回転に影響を与えないので特に限定はない。
上記した様に内壁面12の断面形状を全面で均一にする必要は必ずしもなく、物干し棒2と接する部分を上記の形状にすれば筒状器具1のスムースな回転は得られる。また、内壁面12の物干し棒2と接する部分の断面形状の中心を一直線上に統一し、内径も同一にすることが、外壁面13の母線を回転軸と常に平行に保ちながら、筒状器具1をスムースに回転させるためには好ましい。
筒状器具の内壁面12と外壁面13の組み合わせとしては種々あるが、特に以下の4種が好ましい。
(1)内壁面が正円であり、外壁面も正円
(2)内壁面が正円であり、外壁面が多角形
(3)内壁面が多角形であり、外壁面が正円
(4)内壁面が多角形であり、外壁面も多角形
筒状器具1のうち、「外壁面13の断面形状が正円である筒状器具1a」と「外壁面13の断面形状が多角形である筒状器具1b」は、通常どちらか一方が好ましくは複数個用いられるが、混在して用いられても問題はない。「筒状器具1a」と「筒状器具1b」を総じて「筒状器具1」と略記することがある。
1本の筒状器具1の長さは特に限定はないが、1cm〜50cmの範囲が好ましく、2cm〜40cmの範囲がより好ましく、3cm〜30cmの範囲が特に好ましい。1本の筒状器具1の長さが短過ぎると、洗濯ばさみ4の固定具合が不安定になったり、数が多くなり装着するのに手間がかかる場合があり、一方、長過ぎると、1本の筒状器具1に複数枚の洗濯物5を掛けることになるので好ましくない場合がある。
1本の長い筒状器具1に複数枚の洗濯物5を掛けたとしても、筒状器具1の効果は得られるが、個々の洗濯物5が煽られ方の違いで反対方向に翻った場合等は、相互に自由回転を妨げ活かしきれない場合がある。だが、長さを上記の範囲にすれば、1枚の洗濯物5で1本以上の筒状器具1を専有し易くなり、洗濯物5がそれぞれ異なる方向に翻ったり、1枚だけが物干し棒2上部に引っ掛かったとしても個別に回転するので、他の洗濯物5に阻害されることなく効果を最大限に発揮することができる。
また、後述するように、1つの洗濯物5を複数の洗濯ばさみ4又は4’で留める場合、洗濯ばさみ4又は4’ごとにそれぞれ別の、筒状器具1の上から又は筒状器具1の下方で洗濯物を留めることが好ましい(図10参照)。筒状器具1ごとの別々の回転により洗濯ばさみ4又は4’が別々に動くので、片方だけが上方に残った洗濯ばさみ4’が元の位置に戻り易かったり、洗濯ばさみ4に角度の差ができ難いからであり、また、洗濯物5が、一方の洗濯ばさみ4のつまみ部に引っ掛かった場合等、それぞれ別々に傾くので、元に戻る効果も上がるからである。よってこの点からも、1本の筒状器具1の長さは上記した範囲が好ましい。
筒状器具1の両開口部は、筒状器具1が物干し棒2の定位で回転しても、両端が水平方向にぶれることなく全周で常に一定の位置になるように、回転軸に対し全方向で垂直であることが好ましい。こうすることで特に複数個の筒状器具1を隙間なく連ねて使用した場合、1本の筒状器具1だけが回転したり、隣り合う筒状器具1がそれぞれ反対方向に回転しても、接触による摩擦以外の影響を互いに及ぼすことなく、スムースな自由回転が可能になる。
筒状器具1の内径は、物干し棒2に後述するクリアランスをもって設定されていれば特に限定はなく、また物干し棒2の直径にも依存するが、20mm〜50mmが好ましく、27mm〜45mmがより好ましく、32mm〜42mmが特に好ましい。筒状器具1の厚さは特に限定はないが、1mm〜7mmが好ましく、1.5mm〜6mmがより好ましく、2mm〜5mmが特に好ましい。外壁面13の断面形状が同心多角形である筒状器具1bの場合、「筒状器具1bの厚さ」とは、最も厚い部分と最も薄い部分の平均をいう。
図4(A)は、図1及び図2のA−A断面図であり、図4(B)は、図3のB−B断面図であり、何れも内壁面12の断面形状は正円である。筒状器具の内壁面12の断面形状が正円であるのは、筒状器具1のスムースな回転を確保するためである。また、筒状器具の内壁面12の断面形状が多角形であっても、物干し棒2との間のクリアランス等を調整して、スムースな回転を確保できればよい。すなわち、本発明の筒状器具1は物干し棒2を軸として全周偏りなく自由回転可能なように設計されている。
スムースな回転のためには、形状だけでなく筒状器具1が回転する場合に、軸としての役割をしている物干し棒の外壁面15からのクリアランスが重要となる。本発明では、「外嵌」という語を用いたが、本発明の筒状器具1は、物干し棒の外壁面15に、ぴったり嵌合又は全面同時接触させて用いるとは限らず、筒状器具の内壁面12と物干し棒の外壁面15との間にクリアランスを設けた方がよい。
クリアランスは、本発明の筒状器具の内壁面12を物干し棒の外壁面15から全周にわたって等距離に置いた場合に、物干し棒の外壁面15からの距離で、0.1mm〜4mmが好ましく、0.2mm〜3mmがより好ましく、0.3mm〜2mmが特に好ましく、0.4mm〜1mmが更に好ましい。クリアランスが大き過ぎても小さ過ぎても回転がスムースでなくなり、特にクリアランスが大き過ぎる場合には、回転時に衝突音が発生し易い等の問題が起こり易くなる。しかしながら、筒状器具1と1bの発明機能として重要なことは、風を受けた洗濯物5が、軽いものでもその重さで自然に垂下する程度に筒状器具の回転性が確保されていることであるので、その機能が実質的に満たされるのであれば、クリアランスは上記範囲外となっていてもよい。
図4(A)において筒状器具1aの外壁面13の断面形状は正円であり、図4(B)において筒状器具1bの外壁面13の断面形状は正十二角形である。これらの外壁面13の断面形状は、筒状器具1aと筒状器具1b(両方を「筒状器具1」と略記する)に、洗濯ばさみ4で直接洗濯物5やハンガー9を固定するのに適した形状として設計されたものである。現在、物干し棒2に直接洗濯物5やハンガー9を固定する固定具として、挟む部分の形状が物干し棒2を挟むに適した形状をした洗濯ばさみ4が多く市販されている。従ってそれらの好適な使用のために、挟み易さと挟んだ場合の洗濯物5の固定強度を考慮して、外壁面13の断面形状は設計される。
多角形の形状は特に限定はないが、上記挟み易さと共に、筒状器具1の厚みに与える影響を考慮して、五角形〜二十角形が好ましく、六角形〜十六角形がより好ましく、八角形〜十四角形が特に好ましい。多角形は、上記したのと同様の点から、規則性のある多角形が好ましく、特に正多角形が好ましい。多角形にすると洗濯物5にその痕が残り易くなるが、正円にした場合よりも、洗濯ばさみ4の内側にある滑り止め用の凹凸に角が嵌る等、洗濯ばさみ4の形状によっては、固定度が増し洗濯ばさみ4の傾きを抑えたり、外壁が丸い物干し棒2部分との識別がし易くなり、また面単位で色を変える等、デザイン性の優れた器具となるメリットがある。外壁面13の断面形状が多角形の場合、各角を面取りして滑らかな状態の角としてもよいことは言うまでもない。また、多角形の辺は通常直線分であることが多いが、筒状器具1bでは僅かな曲線分にしても、洗濯物5に痕がつき難く、洗濯ばさみ4での適度の固定度が得られ好ましい。また、例えば筒状器具1の洗濯物5と接する上部を曲面にして他の部分は平面にする等の、線分と弧が混合した形状も上記の理由から好適である。
本発明の筒状器具1の外壁面13の断面形状は、全周又は周囲の連続した3分の2以上が、正円若しくは多角形又はその一部であることが必須である。図においては、全周が正円若しくは多角形であるが、外壁面13の断面形状の周囲の連続した3分の2以上が、正円若しくは多角形又はその一部であればよい。筒状器具1の洗濯物5と接する上部(すなわち、洗濯物5と通常接していない下部のつながった周囲3分の1以外)が、少なくとも上記したような形状になっていれば、洗濯物5と物干し棒2を共に挟み込み、下方が開いた状態で使用する洗濯ばさみ4で固定しても、洗濯ばさみ4と(洗濯物5を介在し)筒状器具1が接する範囲が上記形状となるので、本発明の効果が得られる。
また、本発明の筒状器具1の外壁面の、上記「周囲の連続した3分の2以上」の部分の母線は、該筒状器具1の回転軸と平行となっていることが必須である。それにより、「全周又は周囲の連続した3分の2以上」の部分の外径が統一され、洗濯物5に型崩れが起きない。また、洗濯ばさみ4での固定度も上がる。そして、筒状器具1の何れの箇所でも偏らずにスムースな回転が可能になる。ここで、「母線」とは、筒状器具1を柱体としたとき、底面にあたる開口部の外壁周囲と上面にあたる開口部の外壁周囲とを結んだときの最も短い直線をいう。ただし、下記にある横滑り防止のための凹凸は、上記定義からは除かれる。
筒状器具1aと筒状器具1bの材質は、洗濯ばさみ4の挟み込みに耐える強度があり、成形可能な部材であれば特に限定されないが、硬質で耐候性があり、更に軽量のものが適している。例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属類;アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル樹脂等のプラスチック類等を挙げることができる。金属類よりプラスチック類の方が、軽量であり、本発明の用途には十分な機械的強度を有しているために好ましい。その中でも、紫外線透過アクリル樹脂は、可視光線の透過率も高いので、筒状器具1の内壁の汚れの確認が容易であり、紫外線の透過率が高いので、紫外線による抗菌・抗カビ効果も期待でき、また軽量なので本発明に特に好適に用いることができる。
筒状器具1は均質に構成されていること、すなわち、厚さ部分には空孔、隙間、リブ等はなく、筒状器具1を構成する材質で均質に埋まっていることが好ましい。厚さは十分に薄いので、そこまでして軽量にする必要はなく、中まで均質でないと、強度が低下したり、製造コストが高くなったりする場合がある。
筒状器具1の内壁面12は、カビが発生し難いように構成・処理されたものであることが好ましい。ここで、カビを発生し難いような構成・処理が、筒状器具1を紫外線透過率の高い材質にすること、又は、抗菌処理をすることが、カビが発生し難い効果が著しいために特に好ましい。紫外線透過率の高い材質にすることで紫外線が透過して、抗菌・抗カビ効果を発揮する。抗菌処理をするための抗菌剤には特に限定はなく、汎用のものが使用できる。
筒状器具1は、可視光線の波長領域で透明であることが、内壁面12の汚れ等が目視できるので好ましい。有色透明でも、筒状器具の内壁面12の汚れ等が目視できるので好ましいが、無色透明であることが、より筒状器具の内壁面12の汚れ等が目視できるために特に好ましい。
本発明の筒状器具1の水平移動を抑制するための留め具3は特に限定されないが、通常は長期間設置したままとなるので、物干し棒2に接する内壁側にゴム等の滑り止め部材を備え、ネジ留め、ビス止め等でしっかりと恒常的に固定できる形式の留め具3が好ましい。また、洗濯物5が留め具3に絡みつかないような形状と大きさを有する留め具3が本発明には好適である。従って、留め具3としては小型で凹凸の少ないものが好ましい。しかしながら、必要に応じて一時的に使用するのであれば、洗濯ばさみ4、ゴムバンド等を留め具3として用いることも可能である。また、念のために1本の筒状器具1を、洗濯物5を固定しないで単にスペーサーとして用いれば、留め具3への洗濯物5の絡みつきを防ぐことが可能である。
図5は本発明の原理の概念図である。筒状器具1に洗濯物5を洗濯ばさみ4で固定した状態で強い風を受けた場合(図5(b))において、筒状器具1を用いない場合(図5(a))に比べて洗濯物5が物干し棒2に絡まり難い理由を説明するために示したものである。
まず、図5(a)に示す「本発明の筒状器具を用いない場合」の物干し作業における問題点を説明する。つまり、洗濯物5を干す際に、洗濯ばさみ4や洗濯ばさみ4’は、物干し棒の上部から挟み込んだり(図5(a))、物干し棒の下方で留める(図6(a))ことが通常である。この状態で洗濯物5が風に煽られると、洗濯物5の片側片あるいは両側片が吹き上げられ、物干し棒2の上部に翻って掛ったり(例えば、図5(a’):引っ掛かり状態)、更に強風を受けた場合は物干し棒2に絡みついてしまうこと(例えば、図6(a):絡みつき状態)がよく認められる。そして、図5(a’)の引っ掛かり状態や、図6(a)の絡みつき状態が、その後に吹く風等で自然に解消されることは殆どない。
また、絡まった状態の洗濯物5の乾燥効率は非常に悪化するので、乾くまでの時間が絡まらない場合に比べて極めて遅くなってしまう。また図5(a’)のように、引っ掛かった状態や、図6(a)のように絡みついた状態では、洗濯物5がしわになり易く、セーター等の特定の形状を有する洗濯物5では型崩れを起こした状態で乾く結果となる。
一方、本発明の筒状器具1を用いた図5(b)の場合は、風を受けて洗濯物5の片側片あるいは両側片が、吹き上げられ、物干し棒2に引っ掛かったとしても、更に吹く風で、筒状器具1と洗濯ばさみ4や洗濯ばさみ4’が共に揺れ動くので、物干し棒2の上部から振り落とされ、元の垂下した状態に戻る(図5(b):元の状態)。また、洗濯物5が、洗濯ばさみ4のつまみ部に引っ掛かったとしても(図6(c))、洗濯物5の重さにより、つまみ部が倒れるので引っ掛かりが解けて元の状態に戻る。
更に風が強い場合には、筒状器具1が、強風で翻った洗濯物5や(図6(b):翻った状態)、洗濯ばさみ4又は洗濯ばさみ4’と共に回転し、加わる回転力を物干し棒や洗濯ばさみ等で受け止めず逃がす様に作用するので、洗濯物5は吹き上がったのとは反対側へ解放され、巻きつかずに1回転して元の状態に戻り、絡みつくことはない。
前記した通り、風を受けて洗濯物5が筒状器具1や洗濯ばさみ4の上に吹き上がってしまったとしても、引っ掛かった洗濯物5の重さや風の力により、筒状器具1が揺さぶられ、引っ掛かりが解けて元の状態に戻るし、突風や強風だと、上記した通り、洗濯ばさみ4で筒状器具1に留められた洗濯物5が、それら全体で1回転又は数回転し元に戻るので、何れの場合でも結局元の状態に戻ることになる。
このように、本発明の筒状器具の有する前記「物干し機能」は、洗濯物5を特に洗濯ばさみ4又は洗濯ばさみ4’で筒状器具1に固定した際に発揮されるが、同様の原理により、洗濯物5を掛けたハンガー9を、特に洗濯ばさみ4で筒状器具1に固定した際にも発揮される。
図7(a)、(b)、(c)は、筒状器具の外壁面13に、洗濯物5や「洗濯物5を掛けたハンガー9」が、筒状器具1上で横滑りするのを防ぐ機能を付加した場合の図である。図7(a)は、ゴム等の滑り止め効果の高い部材10を外壁面13にコーティングした例である。滑り止め効果の高い部材10(以下、「滑り止め部材10」と略記する)は特に限定されないが、物干し棒用という環境を考慮すると、耐候性や耐光性に優れるものが良く、例えば、シリコンゴム、EVA樹脂等の低弾性体を好適に用いることができる。滑り止め部材10は滑り止めという目的が達成されるのであれば外壁面13の全面にコーティングされていてもよいし、一部分にコーティングされていてもよい。
図7(b)は、溝構造11を設けた場合の例である。溝は市販のハンガー9に適合した幅と深さを考慮して設ければ特に限定はないが、溝の幅は1〜15mmが好ましく、5〜10mmが特に好ましく、溝の深さは1〜8mmが好ましく、3〜6mmが特に好ましい。一本の筒状器具1に設置される溝の数は1つに限定されないが、本発明の発明機能の源である筒状器具1の自由回転を維持することを考慮すると、一本の筒状器具1に固定されるハンガー9は、1つだけが好ましい。誤使用を防ぐ意味でも、1つの筒状器具1に設ける溝構造11は1つだけとするのが好ましい。また、溝構造11の位置もハンガー9を溝に掛けた場合の重量バランスを考慮すると、筒状器具1の中央部分に設けることが好ましい。
筒状器具の外壁面13に回転軸に対して垂直方向に周回する突起等、規則的に点状や線状の僅かな凸部を設けることも、横滑りを防ぐために好ましい(図示せず)。筒状器具の外壁面13にローレット加工を施すことも好ましい。かかる「回転軸に対して垂直方向に周回する突起」の突起幅は特に限定はないが、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmが特に好ましい。また、「回転軸に対して垂直方向に周回する突起」間の間隔は特に限定はないが、0.5〜50mmが好ましく、20〜30mmが特に好ましい。
上記したような筒状器具の外壁面13の構造・物性は、洗濯物5の横滑り防止効果が得られるものであるが、横滑りを防止することによって、洗濯ばさみ4’で留めたときの筒状器具1の端からの、洗濯物5と洗濯ばさみ4’の抜け落ちが防止される。
溝構造11を設けた場合には、ハンガー9を固定する場合に、水平移動に関しては洗濯ばさみ4を併用する必要はない。ただし、絡みつき防止による乾燥効率の向上効果を考慮すると、溝にハンガー9を設置した場合でも洗濯ばさみ4で固定することが好ましい。
また、滑り止め部材10のコーティングと溝構造11等は、その何れか1つを筒状器具1に付加してもよいし、図7(c)のようにその複数を付加してもよい。
図8は、筒状器具1を物干し棒2に差込ができない場合等に用いられる、開閉可能にした筒状器具1の例を示す斜視図である。この例では、縦に2分割された状態の筒の片側の合わせ目を、接合部材16で開閉可能に接合してあり、もう片側の合わせ目には、噛み合わせ構造18が設けてある。この状態の筒状器具1を物干し棒2に被せた後に噛み合わせ構造18を接合させて筒状とすることで、差込ができない物干し棒2であっても、筒状器具1を物干し棒2に外嵌することができる。この場合、予め一端を接着してある剥離紙付き接合部材17を噛み合わせ部に用意しておき、噛み合わせ部をしっかりと接合した後に、剥離紙を剥がしたテープで補強できるようにしておいてもよい。
図8は、筒状器具1の偏りのない自由回転と、洗濯ばさみ4の挟み込みに影響しないように、突起部が露出するヒンジを使用しない態様としたものである。しかしながら、突起が出ない態様や、洗濯ばさみ4の挟み込みに影響しない程度の突起でヒンジを用いることができるのであれば、ヒンジを用いて連結する態様としてもよい。
図9(a)、(b)、(c)は、複数の筒状器具1を物干し棒2に外嵌する場合の使用方法のバリエーションを示したものである。図9(a)は、物干し棒掛け具6の引っ掛け部7を除いた全範囲に筒状器具1を隙間なく設置した例であり、図9(b)は留め具3を用いて任意の箇所で、任意の個数の筒状器具1を留め具3で隙間なく挟み込んで設置した例である。留め具3は筒状器具1の水平移動を抑制するようになっている。
留め具3は、複数の筒状器具1それぞれの自由回転を阻害しない程度に余裕をもって留め、複数の筒状器具1の方向に必要以上に強く押し付けて取り付けないようにすることが好ましい。必要以上に強く押し付けて留めると、筒状器具1同士が接する箇所に過大な摩擦が生まれ、筒状器具1が別々に動かなく(回転しなく)なってしまう場合がある。
一方、図9(c)は留め具3を用いず、筒状器具1間に広い隙間が生じる状態で、筒状器具1を複数個設置した例である。図9(c)のような設置方法は、筒状器具1が風等の影響で不規則に水平移動する結果、図9(c)のような設置方法でも、洗濯ばさみ4で洗濯物5を挟み込む際に、1本の筒状器具1を用いるか又は複数の筒状器具1を密着させるよう洗濯ばさみ4で洗濯物5を介して固定した場合に、筒状器具1を使用しない場合に比べると、はるかに物干し機能は向上するので、図9(c)の使用方法も本発明法の一態様である。
ただ、図9(a)や図9(b)の使用方法の場合は、筒状器具1が水平移動しないので、乾燥機能等の物干し機能は、図9(c)の方法より向上する。以上から、本発明の筒状器具1のより好ましい使用方法は、図9(a)のように、物干し棒2を覆うように隙間なく設置するか、図9(b)のように、留め具3を必要に応じて適切に用いて筒状器具1が水平移動しないように設置する方法である。
図10は、筒状器具1に洗濯物5やハンガー9を洗濯ばさみ4で固定した状態を示す斜視図である。1つの洗濯物5が1本又は複数本の筒状器具1を跨いで固定されていることが筒状器具1の使用方法として好ましい。1本の筒状器具1に複数の洗濯物5を洗濯ばさみ4等で固定して物干し作業を行った場合、複数の洗濯物5が風を受けた際それぞれ別々に動かないので、個々の洗濯物の重さや動きに自由回転を阻害され、洗濯物5の絡まりを取る効果が減弱する場合がある。
1つの洗濯物5を複数の洗濯ばさみ4又は4'で留める場合、洗濯ばさみごとにそれぞれ別の、筒状器具1に又は筒状器具1の下方で留めることが好ましい。1つの洗濯物5を1本の長い筒状器具1に例えば2つの洗濯ばさみで留めた場合、風によって片方の洗濯ばさみ4が傾いて2つの洗濯ばさみ4の角度がずれることや、片方の洗濯ばさみ4’が物干し棒2の直下に戻らないことがあるが、筒状器具1と洗濯物5の間で大きな摩擦を伴う修復が起きない限りその状態からは回復しない。しかしながら、1つの洗濯物5を例えば2本の短い筒状器具1にそれぞれ2つの洗濯ばさみ4で留めると、2つの洗濯ばさみ4が別々に動くので、上記した摩擦は不要で(摩擦は起こらず)、筒状器具1の別々の回転により洗濯ばさみ4の角度の差は自然になくなる。また、洗濯物5が、一方の洗濯ばさみ4のつまみ部に引っ掛かった場合等、それぞれ別々に傾くので(図6c)、元に戻る効果も上がる。その結果、洗濯物5が捩れた状態で乾燥した際に起きるしわも防止できる。
筒状器具1の長さ14の適切な値は、以上説明した、標準的な筒状器具1の使用方法から導き出すことができる。つまり、1本の筒状器具1の具備すべき長さ14は、少なくとも洗濯物5を固定する洗濯ばさみ4の幅より大きい必要があり、従って1cm以上、好ましくは2cm以上である。また、長さ14の上限は基本的には自由回転が確保できるかどうかを目安として決定すればよく、その基準であれば、例えば100cmでも問題はない可能性がある。しかしながら、1本の筒状器具1に複数の洗濯物5を固定することは、これまで述べたように自由回転が損なわれる場合があるので、従って、洗濯物5の幅を考慮すると、好ましくは50cm、より好ましくは40cmを筒状器具1の長さ14の上限とすべきである。最長40cm程度の長さであれば、供給がし易く、購入もし易いため、商品としても好適である。
図11は、筒状器具1の設置対象あるいは筒状器具1を組み込む物干し用具のバリエーションの一例を示した図である。すなわち、本発明における「物干し棒」とは、物を干すための自由には曲がらない棒であれば特に限定はなく、物干し竿、例えば図11に示すような物干しスタンドにおける物を干すための横棒部分、物干しポール等が挙げられる。物干し紐、物干し用のロープ等の柔らかく自由に曲がるものでは、筒状器具1の自由な回転が阻害される。本発明における「物干し棒」は、全く撓らないものには限定されず、自由回転が阻害されない程度に若干は撓るものでもよい。
基本的に筒状器具1は、物干し棒に相当する部分があり屋外で風や光を受けて乾燥させる物干し用具であれば、物干し用具の形状に拠らずに、その物干し用具の物干し棒部分に設置可能であり、また、筒状器具1を設置した物干し用具の物干し機能を向上させることが可能である。
筒状器具1を用いて干す対象物は特に限定されるものではない。しかしながら、本発明の発明機能から本発明の対象物として適した物干し対象物は存在する。そこで筒状器具1の発明機能である物干し機能を向上させることと、洗濯物5の種類との関係を説明する。
筒状器具1が物干し機能を向上させることの具体的な内容は、洗濯ばさみ4又は4’で固定した洗濯物5が、風によって物干し棒に巻きつかず、引っ掛かっても解け易いことである。そして、上記機能が向上することで、洗濯物5の乾燥効率や殺菌効果(天日干し効果)が向上し、更に洗濯物5がしわになり難く、型崩れし難い等の効果を奏することである。以上のことを勘案すると、洗濯物5の中でも、物干し棒に洗濯ばさみ4又は4'で固定して干した場合に風の影響で絡まり易いと考えられるものが、特に本発明の恩恵を受ける対象物である。例えば、タオル、バスタオル、シーツ、毛布、シャツ、Tシャツ、セーター、トレーナー、ズボン等は、直接的に本発明の効果を受けられるものである。
一方、靴下、手袋、下着等の小物の洗濯物5は、挟み具を介して物干し棒に固定することが通常の方法である。洗濯物5を掛けた挟み具も筒状器具1に固定した場合は、風を受けた場合に回転運動等により洗濯物5の乾燥効率が向上することから、靴下等の小物の洗濯物5も間接的に本発明の効果を受ける洗濯物5ということができる。