JP5751278B2 - 圧電バルク波共振子 - Google Patents
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Description
本発明は、厚みすべりモードを利用した圧電バルク波共振子に関し、より詳細には、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いた圧電バルク波共振子に関する。
従来、ストリップ状の圧電体におけるバルク波の厚みすべりモードを用いた圧電共振子が種々提案されている。例えば下記の特許文献１には、ＬｉＮｂＯ３単結晶を用いた厚みすべり振動子が開示されている。
また、下記の特許文献２には、１６５°±５°回転Ｙ板から切り出されたＬｉＮｂＯ３単結晶を用いた厚みすべり共振子が開示されている。なお、上記１６５°±５°回転Ｙ板は、オイラー角で表示すると（０°，７５°±５°，９０°）となる。
特許文献１や特許文献２に記載のように、従来、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いた厚みすべり共振子が種々提案されている。しかしながら、従来のこの種の共振子では、共振周波数と反共振周波数と間の周波数差、すなわち帯域幅がさほど広くなかった。そのため、広帯域のフィルタを作製することが困難であった。
本発明の目的は、厚みすべりモードを利用しており、帯域幅を広げ得る圧電バルク波共振子を提供することにある。
本発明に係る圧電バルク波共振子は、厚みすべりモードを利用している。本発明の圧電バルク波共振子は、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板と、第１及び第２の励振電極とを備える。
ＬｉＮｂＯ３単結晶基板は、第１の主面と、第１の主面と対向している第２の主面とを有する。第１の励振電極は第１の主面に部分的に形成されている。第２の励振電極は、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を介して第１の励振電極と対向するように前記第２の主面に形成されている。
本発明に係る圧電バルク波共振子では、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角が、（７８°〜１０６°，７８°〜１０４°，１８°〜５３°）の範囲にある。
より好ましくは、オイラー角は、（７９°〜１０３°，８０°〜１０２°，２２°〜５０°）の範囲にある。
好ましくは、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板の平面形状は長方形である。
本発明に係る圧電バルク波共振子では、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角が上記特定の範囲内とされているため、帯域幅を１８％以上の広帯域の共振子を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図１（ａ）及び（ｂ）は、本発明の一実施形態に係る圧電バルク波共振子の斜視図及び側面図である。
圧電バルク波共振子１は、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２を有する。ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２は、長さ方向を有するストリップ状の形状を有する。すなわち、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２の平面形状は、長方形である。ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２は、長さ方向に延びる第１の主面２ａと、第１の主面２ａと対向している第２の主面２ｂとを有する。
第１の主面２ａ上に、第１の励振電極３が形成されている。第２の主面２ｂ上に第２の励振電極４が形成されている。第１の励振電極３と第２の励振電極４は、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２を介して重なり合っている。第１の励振電極３と第２の励振電極４とが重なり合っている部分が厚みすべりモードを利用した振動部を構成している。
第１及び第２の励振電極３，４は、Ａｌ、Ｃｕ、Ａｇ、Ｐｔ、Ａｕなどの適宜の金属もしくは合金からなる。またこれらの積層電極であってもよい。
圧電バルク波共振子１は、第１及び第２の励振電極３，４間に交番電界を印加することにより振動し、バルク波が励振される。そして、本実施形態では、厚みすべりモードのバルク波の共振特性が利用される。
本願発明者らは、帯域幅の拡大について鋭意検討した結果、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いて、そのオイラー角を特定の範囲とすれば、帯域幅を拡大し得ることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本願発明は、本願発明者らの上記知見に基づきなされたものである。
圧電バルク波共振子１では、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板２のオイラー角（φ，θ，ψ）が（７８°〜１０６°，７８°〜１０４°，１８°〜５３°）の範囲にある。そのため、本実施形態の圧電バルク波共振子１では、帯域幅を１８％以上と広げることが可能とされている。より好ましくは、上記オイラー角は、（７９°〜１０３°，８０°〜１０２°，２２°〜５０°）の範囲であり、この場合には、帯域幅をより一層広げ得る。
図２は、オイラー角（９０°，９０°，０°）の圧電バルク波共振子１の共振特性を示す。ここで、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板の寸法は１０ｍｍ×２ｍｍ×厚み１ｍｍとした。また、第１及び第２の励振電極３，４はＡｌにより形成した。また、第１及び第２の励振電極３，４の対向面積は２×１ｍｍ２（１ｍｍが上下電極が対向している長さ）とし、厚みは０．０１ｍｍとした。
図３〜図９は、ＬｉＮｂＯ３単結晶基板におけるオイラー角（９０°，９０°，ψ）のψを、それぞれ、１０°、２０°、３０°、３５°、４０°、５０°及び６０°としたことを除いては、図２に示した共振特性を示す圧電バルク波共振子と同様にして構成された圧電バルク波共振子の共振特性をそれぞれ示す。
図２〜図９に示した各圧電バルク波共振子におけるＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角と、図２〜図９の共振特性における帯域幅の関係を下記の表１に示す。
表１から明らかなように、オイラー角のψが２０°以上、５０°以下であるＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いた圧電バルク波共振子では、帯域幅を１８％以上と高め得ることがわかる。特に、ψが３０°〜４０°の範囲であれば、帯域幅を２１．４％以上とさらに高め得ることがわかる。
図１０〜図１３は、オイラー角（６０°，９０°，０°）、（６０°，９０°，１０°）、（６０°，９０°，５０°）及び（６０°，９０°，６０°）である各ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いたことを除いては、上記と同様に構成された圧電バルク波共振子の共振特性を示す図である。
図１０〜図１３に示した共振特性が得られている圧電バルク波共振子におけるオイラー角と帯域幅を下記の表２にまとめて示す。
表２から明らかなように、オイラー角（６０°，９０°，ψ）の圧電バルク波共振子を用いた場合には、帯域幅は１５．５％以下と低かった。
そこで、上記のように、オイラー角（９０°，９０°，ψ）におけるψを種々変化させ、上記圧電バルク波共振子のψと帯域幅との関係を求めた。結果を図１４に示す。さらに、オイラー角（９０°，θ，４０°）のＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用い、θを種々変化させた場合の帯域幅の変化についても求めた。結果を図１５に示す。
また、オイラー角（φ，９０°，４０°）のＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用い、φを変化させた場合の帯域幅の変化を図１６に示す。
図１４〜図１６から明らかなように、オイラー角（７８°〜１０６°，７８°〜１０４°，１８°〜５３°）とすれば、帯域幅を１８％以上とし得ることがわかる。すなわち、本発明に従って、広帯域の圧電バルク波共振子１を得ることができる。より好ましくは、（７９°〜１０３°，８０°〜１０２°，２２°〜５０°）のＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いれば、帯域幅を１９％以上とさらに広げ得ることがわかる。
本発明の圧電バルク波共振子は、上記のように、特定のオイラー角範囲のＬｉＮｂＯ３単結晶基板を用いた厚みすべりモード共振子である。従って、上記ＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角以外の構成については特に限定されるものではない。上記のように、圧電バルク波共振子１では、帯域幅すなわち共振周波数と反共振周波数との間の周波数差を広げ得る。従って、このような圧電バルク波共振子１を複数用いることにより広帯域の帯域フィルタを容易に形成することができる。
１…圧電バルク波共振子
２…ＬｉＮｂＯ３単結晶基板
２ａ，２ｂ…第１，第２の主面
３，４…第１，第２の励振電極
２…ＬｉＮｂＯ３単結晶基板
２ａ，２ｂ…第１，第２の主面
３，４…第１，第２の励振電極
Claims (3)
- 第１の主面と、該第１の主面と対向している第２の主面とを有するＬｉＮｂＯ３単結晶基板と、
前記ＬｉＮｂＯ３単結晶基板の前記第１の主面の一部に設けられた第１の励振電極と、
前記第１の励振電極と前記ＬｉＮｂＯ３単結晶基板を介して対向するように第２の主面に設けられた第２の励振電極とを備え、厚みすべりモードを利用しており、
ＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角が、（７８°〜１０６°，７８°〜１０４°，１８°〜５３°）の範囲にある、圧電バルク波共振子。 - 前記ＬｉＮｂＯ３単結晶基板のオイラー角が（７９°〜１０３°，８０°〜１０２°，２２°〜５０°）の範囲にある、請求項１に記載の圧電バルク波共振子。
- 前記ＬｉＮｂＯ３単結晶基板の平面形状が長方形である、請求項１または２に記載の圧電バルク波共振子。
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