JP2008283665A - 輪郭振動子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】輪郭振動子10は、共振周波数と振動モードとを共通とする少なくとも振動基板20と振動基板40の互いに対向する主面を接合してなる輪郭振動子であって、振動基板20の表主面に設けられる励振電極30と、振動基板40の裏主面に設けられる励振電極60と、振動基板20と振動基板40との境界面に設けられる共通の中間励振電極50と、を有し、励振電極30及び励振電極60を同電位、中間励振電極50を逆電位とする励振信号を印加する。振動基板20がカット角YXltφ/θのとき、振動基板40のカット角をYXltφ/θ±90°またはYXltφ±180°/θとする。このようにして、振動基板単体の厚さを薄くして電界効率を高め、積層接合することで構造的強度を高める。
【選択図】図2
Description
特許文献2と非特許文献3では、θ=45°のGTカット水晶振動子の辺比を1とすることでラーメモード水晶振動子となることが開示されている。
また、特許文献4には輪郭滑り水晶振動子が開示されている。
好ましくは、前記第1振動基板と前記第2振動基板とで、共振周波数、振動モード及び振動変位方向を同じにする。
従って、第1振動基板及び第2振動基板は、それぞれ単体では励振電極間距離を小さくしても(即ち、それぞれの振動基板を薄くしても)、お互いに積層構造にすることで単体に対して2倍の構造厚みを有することになる。よって、励振電極間距離の縮小により振動基板に印加する電界を高くすることができ(即ち、電界効率を高めることができ)、境界面を接合することで実使用上において十分な構造的強度を有する輪郭振動子を実現できる。
なお、第1振動基板と第2振動基板とで共振周波数、振動モード及び振動変位方向を同じにすれば、第1振動基板と第2振動基板とで互いに振動を阻害することがなく、共振抵抗の増大を抑圧することができる。
好ましくは、Fe=Fbである。
共振周波数Fbと共振周波数Feの関係はFb=Feとなる場合が最も望ましいが、共振周波数Fbと共振周波数Feの差が±0.5%以内であれば上記効果を奏する。
ラーメモード振動子においては、振動基板の4角と中央部が輪郭振動の節(輪郭振動の変位がほとんど生じない個所)となる。よって、振動基板の支持個所を、輪郭振動の節に設けることが可能となり、支持による輪郭振動の阻害を著しく低減することができる。
なお、振動基板の4角が完全な節になっていない状態であっても、振動基板の対向する2辺の間において、一方の2辺間とそれに直交する他方の2辺間とが交互に伸縮する振動モード(以下、擬似ラーメモードと呼ぶ)であれば、振動基板の4角周辺に輪郭振動変位の比較的小さい個所が存在するので、支持による輪郭振動の阻害を低減することができる。
図1は、IRE標準のYXltφ/θで表されるカット角と面内回転角を説明するための図である。図1において、水晶、LiTaO3、LiNbO3、Li2B4O7またはLa3Ga5SiO14などの圧電単結晶若しくはシリコン単結晶などの、結晶異方性を有する結晶体の結晶軸を、X軸、Y軸、Z軸で表す。結晶体が水晶である場合、電気軸がX軸、機械軸がY軸、光学軸がZ軸となる。YXltφ/θの「Y」の文字は、回転前の振動基板1の厚み方向をY軸に取ることを意味しており、YXltφ/θの「X」の文字は、回転前の振動基板1の長さ方向(振動基板の平面形状が長方形の場合は長辺に沿う方向)をX軸に取ることを意味している。YXltφ/θの「l」は第1の回転軸が振動基板1の長さ方向であることを意味しており、YXltφ/θの「φ」は第1の回転軸に対する振動基板1の回転角度を表している。YXltφ/θの「t」は第2の回転軸が第1の回転後の振動基板1の厚み方向であることを意味しており、YXltφ/θの「θ」は第2の回転軸に対する振動基板1の回転角度を表している。
まず、X軸を回転軸として角度φだけ回転し、回転後の結晶体の座標系を、X、y’、z’とする(図示は省略)。この座標系において、さらにy’軸を回転軸として角度θだけ回転し、回転後の結晶体の座標系を、x’、y’、z”で表す。
第2の回転を行わず第1の回転のみを行う場合、上述の説明に従えば、θ=0°としてYXltφ/0°と表記することになるが、これをYXlφと表記しても良い。
なおφの回転方向は、X軸を第1の回転軸とする場合、+Z軸から−Y軸へ回転する方向をプラスの回転方向とする。θの回転方向は、y’軸を第2の回転軸とする場合、+z’軸から+X軸へ回転する方向をプラスの回転方向とする。
図2〜図8は実施形態1及びその変形例に係る輪郭振動子の構成及び作用を示し、図9、図10は実施形態2、図11、図12は実施形態3に係る輪郭振動子の構成及び作用を示している。
なお、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺が実際のものとは異なる模式図である。
(実施形態1)
そして、振動基板20の表主面には第1励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極30と表す)30、振動基板40の裏主面には第2励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極60と表す)60、振動基板20と振動基板40との境界面には共通の中間励振電極50と、が設けられている。
振動基板の材料を固定にする場合、輪郭振動子の共振周波数は主に振動基板の外形寸法に依存するので(詳細は後述する)、厚み滑り振動子のように、共振周波数によって振動基板の厚みが拘束されない。輪郭振動子においては、振動基板を薄くすることで、振動基板を輪郭振動させるための電界効率が高くなるが、振動基板を薄くすれば振動基板が破損しやすくなる。図2のような構成にすれば、振動基板を薄くすることで励振電極間を狭めても、振動基板20と振動基板40の積層構造体としての厚みは厚くなるので、特に振動部21,41の破損が生じ難くなる。
振動基板20,40は、好ましくは共振周波数、振動モード及び振動変位方向をお互いに同じとし、互いの輪郭振動を阻害しないようにする。これにより共振抵抗の増大を抑圧できる。
なお、励振電極60の1辺の長さもLeで表すことができる。
第1端子と第2端子との間に励振信号を印加すれば、それに応じて振動基板20,40が輪郭振動を行う。
図4は、振動基板20の振動部21を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。振動基板20は、水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表される四角形の平板であり、励振電極30(上電極に相当する)に+電位、中間励振電極50(下電極に相当する)に−電位を印加した時には、(b)にて2点差線Rで示すようなラーメモード振動を呈する。このときの、振動基板40のカット角と振動モードについて図5、図6を参照して説明する。
図6は、振動基板40として、YXltφ/θ+90°またはYXltφ/θ−90°の水晶基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。このようにすれば、振動基板20に対して、振動基板40に逆電位を、つまり逆位相の励振信号を印加しても(b)に示すように、振動基板20と同じ振動モードとなり、お互いの振動を妨げない。
ラーメモード振動子の共振周波数fを求める周波数方程式は、前述した非特許文献1によって与えられる(非特許文献1、12頁、数式(9))。
このように、ラーメモード振動子は平面寸法によって共振周波数が決定される。そこで、振動部21単体において1辺の長さLbに対する共振周波数をFb、励振電極30単体における1辺の長さLeに対する共振周波数をFeとすれば、Fb≒FeとなるようにLb,Leを設計することにより、振動部21と励振電極30はともに、同一の周波数のラーメモードの振動姿態となる。ここでFb≒Feは、具体的には0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feである。よって、励振電極30の輪郭振動によって振動部21の輪郭振動が阻害されることなく、良好な輪郭振動を維持することができる。また、振動部21と励振電極30がともに、同一周波数のラーメモード振動を行うことにより、励振電極30の膜厚ばらつきに起因する輪郭振動子の周波数ばらつきを低減することもできる。
共振周波数Fbと共振周波数Feの関係はFb=Feとなる場合が最も望ましいが、共振周波数Fbと共振周波数Feの差が±0.5%以内であれば上記効果を奏する。
特に、40°≦θ≦50°、−50°≦θ≦−40°、130°≦θ≦140°または−140°≦θ≦−130°を満たすようにすれば、良好な振動特性を有するラーメモード振動子を実現できる。
ラーメモード振動子においては、振動基板の4角と中央部が輪郭振動の節(輪郭振動の変位がほとんど生じない個所)となる。よって、振動基板の支持個所を、輪郭振動の節に設けることが可能となり、支持による輪郭振動の阻害を著しく低減することができる。
振動基板の4角が完全な節になっていない擬似ラーメモード振動子においても、振動基板の対向する2辺の間において、一方の2辺間とそれに直交する他方の2辺間とが交互に伸縮する振動モードであれば、振動基板の4角周辺に輪郭振動変位の比較的小さい個所が存在するので、支持による輪郭振動の阻害を低減することができる。
(第1変形例)
図7は、第1変形例に係る部分断面図である。図7において、振動基板20の中央の振動部21の表主面には第1励振電極30が、振動基板40の中央部の振動部41の裏主面には励振電極60、振動部21と振動部41の境界面には中間励振電極50、が設けられている。ここで、図に示すように、振動部41には中間励振電極50に相当する形状の凹部41aが穿設され、この凹部41a内に中間励振電極50が形成されている。
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係る部分断面図である。図8において、輪郭振動子10は、図示上方から振動基板20、振動基板40、さらに振動基板25が積層され構成されている。振動基板20はカット角がYXltφ/θで表される水晶基板で、振動基板40はカット角がYXltφ±180°/θ、またはYXltφ/θ±90°で表される水晶基板、そして、最下層の振動基板25はカット角がYXltφ/θで表される水晶基板(つまり、振動基板20と同じカット角)である。
なお、振動基板は3枚以上の多層基板としてもよく、この際、交互にカット角がYXltφ/θと、YXltφ±180°/θまたはYXltφ/θ±90°の振動基板を積層すればよい。
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る輪郭振動子を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A切断面を示す断面図である。図10は振動基板単体を示す平面図であって、(a)は振動基板120の上面図、(b)は振動基板140の上面図、(c)は振動基板140の下面図である。図9、図10において、輪郭振動子100は、振動基板120と振動基板140とが積層され構成されている。
また、励振電極150bは、接続電極157,158と図示しない側面電極を介して振動基板140の裏主面の接続電極165,168、支持部145の接続電極162まで接続している(図10(c)、参照)。
従って、振動基板140の支持部143,145の裏主面側の接続電極163,162に励振信号を入力することにより、多次の振動モードを実現できる。
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る輪郭滑り振動子の概略構造を示す斜視図である。図11において、輪郭滑り振動子200は、共通の共振周波数と振動モードとを有する第1振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板220と表す)220と第2振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板240と表す)240の互いに対向する主面を接合してなる積層型の輪郭振動子である。
そして、振動基板220の表主面には第1励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極230と表す)230、振動基板240の裏主面には第2励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極260と表す)260、振動基板220と振動基板240との境界面には共通の中間励振電極250と、が設けられている。
なお、励振電極260の1辺の長さもLeで表すことができる。
図12は、振動基板220の振動部221を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。振動基板220は、水晶基板のカット角がIRE標準のYXlφで表される四角形の平板であり、励振電極230(上電極に相当する)に+電位、中間励振電極250(下電極に相当する)に−電位を印加した時には、(b)にて2点差線Rで示すような輪郭滑り振動モードを呈する。このときの、振動基板240のカット角と振動モードについて図13、図14を参照して説明する。
図14は、振動基板240の水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θ±90°の場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。このようにすれば、振動基板220に対して、振動基板240に逆電位を、つまり逆位相の励振信号を印加しても図14(b)に示すように、振動基板220と同じ振動モード(図12(b)、参照)となり、お互いの振動を妨げない。
例えば、前述した実施形態1〜3では、振動基板が2枚の水晶基板からなる輪郭振動子を例示して説明したが、振動基板としては、水晶基板と他の圧電基板との組み合わせでもよく、他の2枚の圧電基板との組み合わせとしてもよい。このような構成であっても、それぞれの振動モードと共振周波数を合わせること、振動基板と励振電極それぞれの単体における共振周波数を略一致させることなどにより、電界効率が高く、構造的強度が高い輪郭振動子を実現することができる。
また、積層する振動基板同士のカット角φや面内回転角θの相対的な差は、所望の差に対して±5°ずれていても本発明の効果が発揮される。
Claims (7)
- 少なくとも第1振動基板と第2振動基板を備え、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが互いに対向する主面を接合してなる輪郭振動子であって、
前記第1振動基板の表主面に設けられる第1励振電極と、前記第2振動基板の裏主面に設けられる第2励振電極と、前記第1振動基板と前記第2振動基板の境界面に設けられる共通の中間励振電極と、を有し、
前記第1励振電極及び前記第2励振電極を電気的に接続して第1端子とし、前記中間励振電極を第2端子とし、前記第1端子と前記第2端子との間に印加した励振信号に応じて前記第1振動基板と前記第2振動基板が輪郭振動することを特徴とする輪郭振動子。 - 前記第1振動基板または前記第2振動基板の少なくとも一つの振動基板の単体の共振周波数Fbと、
前記第1励振電極、前記第2励振電極または前記中間励振電極の少なくとも一つの励振電極の単体の共振周波数Feとが、
0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feの関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の輪郭振動子。 - 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、
前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、
または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに同じ若しくは180°異なっている、ラーメモード振動子または擬似ラーメモード振動子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭振動子。 - 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが四角形の水晶基板からなり、
前記第1振動基板と前記第2振動基板のうちの一方の水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表され、
他方の水晶基板のカット角がYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°で表されることを特徴とする請求項3に記載の輪郭振動子。 - 40°≦θ≦50°、−50°≦θ≦−40°、130°≦θ≦140°または−140°≦θ≦−130°を満たすことを特徴とする請求項4に記載の輪郭振動子。
- 前記第1励振電極が、平面方向にn分割され(nは2以上の整数)、
前記中間励振電極及び前記第2励振電極とが、前記第1励振電極に対向してn分割され、
平面方向にn分割された隣り合う励振電極の一方が前記第1端子に接続され、他方が前記第2端子に接続されているラーメモード振動子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の輪郭振動子。 - 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、
前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、
または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに90°異なっている輪郭滑り振動子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭振動子。
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