JP2008283665A - 輪郭振動子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低損失で、構造的強度の高い輪郭振動子を提供する。
【解決手段】輪郭振動子10は、共振周波数と振動モードとを共通とする少なくとも振動基板20と振動基板40の互いに対向する主面を接合してなる輪郭振動子であって、振動基板20の表主面に設けられる励振電極30と、振動基板40の裏主面に設けられる励振電極60と、振動基板20と振動基板40との境界面に設けられる共通の中間励振電極50と、を有し、励振電極30及び励振電極60を同電位、中間励振電極50を逆電位とする励振信号を印加する。振動基板20がカット角YXltφ/θのとき、振動基板40のカット角をYXltφ/θ±90°またはYXltφ±180°/θとする。このようにして、振動基板単体の厚さを薄くして電界効率を高め、積層接合することで構造的強度を高める。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の振動基板を積層接合してなる輪郭振動子に関する。
携帯機器、情報通信機器、計測機器等の電子機器用の圧電振動子として、ATカット水晶振動子等の厚み滑り振動子や、DTカット水晶振動子(輪郭滑り水晶振動子)、ラーメモード水晶振動子及び擬似ラーメモード水晶振動子等の輪郭振動子が挙げられる。
非特許文献1と非特許文献2では、四角形状の水晶基板の両面に励振電極を形成したラーメモード水晶振動子が報告されており、水晶基板の対向する2辺の間において、一方の2辺間とそれに直交する他方の2辺間とが交互に伸縮するラーメモード振動が励起されることが示されている。
特許文献1には、IRE(Institute of Radio Engineersの略で、現在のIEEE)標準のYXltφ/θで表されるカット角表記において、θを40°〜50°とし、φを−40°〜−60°(即ち、φを120°〜140°)またはφを40°〜60°とした水晶基板を用いたラーメモード水晶振動子が開示されている。
特許文献3には、θが40°〜50°のGTカット水晶振動子が開示されている。
特許文献2と非特許文献3では、θ=45°のGTカット水晶振動子の辺比を1とすることでラーメモード水晶振動子となることが開示されている。
また、特許文献4には輪郭滑り水晶振動子が開示されている。
特開2005−26843号公報 特開2001−313537号公報 特開昭52−149084号公報 特公平8−31758号公報 第24回EMシンポジウム、11頁〜16頁、「エッチング法によって形成されたラーメモード水晶振動子」、川島宏文、松山勝 第35回EMシンポジウム、31頁〜34頁、「小型ラーメモード水晶振動子の開発」、水本勝也、秋野真志、西塚剛史、芦沢英紀、丸茂正秀、雨宮正人 P.C.Y.Lee,et al.「Extensional Vibrations of Rectangular Crystal Plates」,Proc.35th Ann.Freq.Control Symposium(1981)
このような輪郭振動子では、単層水晶基板の表裏両面に励振電極を形成していた。ここで、表裏の励振電極間距離を小さくすることで(つまり水晶基板を薄くすることで)、電界効率を高めることができ、低損失な輪郭振動子を実現することができる。しかしながら、水晶基板を薄くしていくと、支持構造を含め構造上の強度が不足し、実使用に耐えないという課題がある。
本発明の目的は、電界効率が高く、構造的強度が高い輪郭振動子を提供することである。
[適用例1]少なくとも第1振動基板と第2振動基板を備え、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが互いに対向する主面を接合してなる輪郭振動子であって、前記第1振動基板の表主面に設けられる第1励振電極と、前記第2振動基板の裏主面に設けられる第2励振電極と、前記第1振動基板と前記第2振動基板の境界面に設けられる共通の中間励振電極と、を有し、前記第1励振電極及び前記第2励振電極を電気的に接続して第1端子とし、前記中間励振電極を第2端子とし、前記第1端子と前記第2端子との間に印加した励振信号に応じて前記第1振動基板と前記第2振動基板が輪郭振動することを特徴とする輪郭振動子。
好ましくは、前記第1振動基板と前記第2振動基板とで、共振周波数、振動モード及び振動変位方向を同じにする。
仮に、本発明の輪郭振動子を第1、第2振動基板の積層構造とすれば、第1振動基板にとって第1励振電極は上電極であり、中間励振電極が下電極に相当する。一方、第2振動基板にとって中間励振電極が上電極、第2励振電極が下電極に相当する。
従って、第1振動基板及び第2振動基板は、それぞれ単体では励振電極間距離を小さくしても(即ち、それぞれの振動基板を薄くしても)、お互いに積層構造にすることで単体に対して2倍の構造厚みを有することになる。よって、励振電極間距離の縮小により振動基板に印加する電界を高くすることができ(即ち、電界効率を高めることができ)、境界面を接合することで実使用上において十分な構造的強度を有する輪郭振動子を実現できる。
なお、第1振動基板と第2振動基板とで共振周波数、振動モード及び振動変位方向を同じにすれば、第1振動基板と第2振動基板とで互いに振動を阻害することがなく、共振抵抗の増大を抑圧することができる。
[適用例2]適用例1に記載の輪郭振動子において、前記第1振動基板または前記第2振動基板の少なくとも一つの振動基板の単体の共振周波数Fbと、前記第1励振電極、前記第2励振電極または前記中間励振電極の少なくとも一つの励振電極の単体の共振周波数Feとが、0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feの関係を満たすことを特徴とする輪郭振動子。
好ましくは、Fe=Fbである。
このような輪郭振動子によれば、励振電極の振動によって振動基板の振動が阻害されることを抑圧でき、良好な輪郭振動を維持することができる。また、励振電極の膜厚ばらつきに起因する輪郭振動子の周波数ばらつきを低減することもできる。
共振周波数Fbと共振周波数Feの関係はFb=Feとなる場合が最も望ましいが、共振周波数Fbと共振周波数Feの差が±0.5%以内であれば上記効果を奏する。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の輪郭振動子において、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに同じ若しくは180°異なっている、ラーメモード振動子または擬似ラーメモード振動子であることを特徴とする輪郭振動子。
このような輪郭振動子によれば、第1振動基板と第2振動基板とで輪郭振動モードと振動変位方向を同じにすることができ、さらに輪郭振動モードをラーメモードとすることができる。従って、電界効率が高く、低損失で、構造的強度の高いラーメモード振動子または擬似ラーメモード振動子を実現できる。
ラーメモード振動子においては、振動基板の4角と中央部が輪郭振動の節(輪郭振動の変位がほとんど生じない個所)となる。よって、振動基板の支持個所を、輪郭振動の節に設けることが可能となり、支持による輪郭振動の阻害を著しく低減することができる。
なお、振動基板の4角が完全な節になっていない状態であっても、振動基板の対向する2辺の間において、一方の2辺間とそれに直交する他方の2辺間とが交互に伸縮する振動モード(以下、擬似ラーメモードと呼ぶ)であれば、振動基板の4角周辺に輪郭振動変位の比較的小さい個所が存在するので、支持による輪郭振動の阻害を低減することができる。
[適用例4]適用例3に記載の輪郭振動子において、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが四角形の水晶基板からなり、前記第1振動基板と前記第2振動基板のうちの一方の水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表され、他方の水晶基板のカット角がYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°で表されることを特徴とする輪郭振動子。
[適用例5]適用例4に記載の輪郭振動子において、40°≦θ≦50°、−50°≦θ≦−40°、130°≦θ≦140°または−140°≦θ≦−130°を満たすことを特徴とする輪郭振動子。
このような輪郭振動子によれば、振動基板の材料として、安定な圧電単結晶である水晶を用いているので、温度特性が良好な経時変化の小さいラーメモード水晶振動子または擬似ラーメモード水晶振動子を実現することができる。
[適用例6]適用例1ないし5のいずれか一項に記載の輪郭振動子において、前記第1励振電極が、平面方向にn分割され(nは2以上の整数)、前記中間励振電極及び前記第2励振電極とが、前記第1励振電極に対向してn分割され、平面方向にn分割された隣り合う励振電極の一方が前記第1端子に接続され、他方が前記第2端子に接続されているラーメモード振動子であることを特徴とする輪郭振動子。
このようにすれば、第1励振電極と第1振動基板と中間励振電極と第2振動基板と第2励振電極を1対とする輪郭振動子がn対形成されることになり、その対数により高次の振動モードを有する輪郭振動子を実現できる。
[適用例7]適用例1または適用例2に記載の輪郭振動子において、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに90°異なっている輪郭滑り振動子であることを特徴とする輪郭振動子。
このような輪郭振動子によれば、輪郭滑り振動を第1振動基板と第2振動基板とで共通の振動モードとした場合においても、振動変位方向を同じにすることができる。よって、電界効率が高く、第1振動基板と第2振動基板とで互いに振動を阻害することのない、低損失な輪郭滑り振動子を実現することができる。
[適用例8]適用例7に記載の輪郭振動子において、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが四角形の水晶基板からなり、前記第1振動基板と前記第2振動基板のうちの一方の水晶基板のカット角がIRE標準のYXlφで表され、他方の水晶基板のカット角がYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ+90°、YXltφ+180°/θ−90°、YXltφ−180°/θ+90°またはYXltφ−180°/θ−90°で表されることを特徴とする輪郭振動子。
[適用例9]適用例8に記載の輪郭振動子において、−5°≦θ≦5°、85°≦θ≦95°、175°≦θ≦185°または−95≦θ≦−85°を満たすことを特徴とする輪郭振動子。
このような輪郭振動子によれば、振動基板の材料として、安定な圧電単結晶である水晶を用いているので、温度特性が良好な経時変化の小さい輪郭滑り水晶振動子を実現することができる。
[適用例10]適用例1ないし適用例9のいずれか一項に記載の輪郭振動子において、前記第1励振電極、前記第2励振電極または中間励振電極の電極材料が、Al、Au、Ag、Cuのいずれか一つを主成分とした電極材料からなることを特徴とする輪郭振動子。
電極材料として低抵抗の金属であるAl,Ag,Cu,Auまたはこれらのいずれか一つを主成分とした合金を用いることで、励振電極膜のシート抵抗を小さくすることができ、低損失の輪郭振動子を実現できる。
以下の説明においては、結晶異方性を有する結晶体から振動基板を切り出す際のカット角φと面内回転角θを、IRE標準のYXltφ/θまたはYXlφで表している。まず、このIRE標準のYXltφ/θとYXlφについて説明する。
図1は、IRE標準のYXltφ/θで表されるカット角と面内回転角を説明するための図である。図1において、水晶、LiTaO3、LiNbO3、Li247またはLa3Ga5SiO14などの圧電単結晶若しくはシリコン単結晶などの、結晶異方性を有する結晶体の結晶軸を、X軸、Y軸、Z軸で表す。結晶体が水晶である場合、電気軸がX軸、機械軸がY軸、光学軸がZ軸となる。YXltφ/θの「Y」の文字は、回転前の振動基板1の厚み方向をY軸に取ることを意味しており、YXltφ/θの「X」の文字は、回転前の振動基板1の長さ方向(振動基板の平面形状が長方形の場合は長辺に沿う方向)をX軸に取ることを意味している。YXltφ/θの「l」は第1の回転軸が振動基板1の長さ方向であることを意味しており、YXltφ/θの「φ」は第1の回転軸に対する振動基板1の回転角度を表している。YXltφ/θの「t」は第2の回転軸が第1の回転後の振動基板1の厚み方向であることを意味しており、YXltφ/θの「θ」は第2の回転軸に対する振動基板1の回転角度を表している。
まず、X軸を回転軸として角度φだけ回転し、回転後の結晶体の座標系を、X、y’、z’とする(図示は省略)。この座標系において、さらにy’軸を回転軸として角度θだけ回転し、回転後の結晶体の座標系を、x’、y’、z”で表す。
第2の回転を行わず第1の回転のみを行う場合、上述の説明に従えば、θ=0°としてYXltφ/0°と表記することになるが、これをYXlφと表記しても良い。
なおφの回転方向は、X軸を第1の回転軸とする場合、+Z軸から−Y軸へ回転する方向をプラスの回転方向とする。θの回転方向は、y’軸を第2の回転軸とする場合、+z’軸から+X軸へ回転する方向をプラスの回転方向とする。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2〜図8は実施形態1及びその変形例に係る輪郭振動子の構成及び作用を示し、図9、図10は実施形態2、図11、図12は実施形態3に係る輪郭振動子の構成及び作用を示している。
なお、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺が実際のものとは異なる模式図である。
(実施形態1)
図2は、本発明の実施形態1に係る輪郭振動子の概略構造を示す斜視図である。図2において、輪郭振動子10は、第1振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板20と表す)20と第2振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板40と表す)40の互いに対向する主面を接合してなる積層型の輪郭振動子である。
そして、振動基板20の表主面には第1励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極30と表す)30、振動基板40の裏主面には第2励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極60と表す)60、振動基板20と振動基板40との境界面には共通の中間励振電極50と、が設けられている。
振動基板の材料を固定にする場合、輪郭振動子の共振周波数は主に振動基板の外形寸法に依存するので(詳細は後述する)、厚み滑り振動子のように、共振周波数によって振動基板の厚みが拘束されない。輪郭振動子においては、振動基板を薄くすることで、振動基板を輪郭振動させるための電界効率が高くなるが、振動基板を薄くすれば振動基板が破損しやすくなる。図2のような構成にすれば、振動基板を薄くすることで励振電極間を狭めても、振動基板20と振動基板40の積層構造体としての厚みは厚くなるので、特に振動部21,41の破損が生じ難くなる。
振動基板20,40は、好ましくは共振周波数、振動モード及び振動変位方向をお互いに同じとし、互いの輪郭振動を阻害しないようにする。これにより共振抵抗の増大を抑圧できる。
振動基板20は、IRE標準のYXltφ/θで表される水晶基板であり、振動基板40はYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°で表される水晶基板である。
図3は、振動基板20及び振動基板40とを分解して外形形状と電極構成を示した平面図であり、(a)は振動基板20の上面図、(b)は振動基板40の上面図、(c)は振動基板40の下面図である。図2、図3を参照して輪郭振動子10の構成について説明する。
図3(a)に示すように、振動基板20は、振動部21と、振動部21の隅部から延在される支持腕部22と、支持腕部22の先端部に設けられる支持部23とから構成されている。振動部21の表主面には励振電極30が設けられ、接続電極31を介して支持部23の表面に設けられる接続電極32に接続されている。
ここで、振動部21及び励振電極30はそれぞれ正方形をしており、振動部21の1辺の長さをLb、励振電極30の1辺の長さをLeで表す。
図3(b)に示すように、振動基板40は、振動部41と、振動部41の対角となる隅部から両側に延在される支持腕部42,44と、支持腕部42の先端部に設けられる支持部43と、支持腕部44の先端部に設けられる支持部45とから構成されている。
振動部41の表主面(振動部21との境界面に相当)には、中間励振電極50が設けられ、支持腕部42表面の接続電極53を介して支持部43表面の接続電極54まで接続されている。一方、支持腕部44側においては、接続電極51を介して支持部45の表面の接続電極52まで接続されている。接続電極51,52は、中間励振電極50とは電気的に分離されて形成され、振動基板20と振動基板40とを積層して接合する際、互いの密接性を高めるために設けられる。
振動基板40において、振動部41及び中間励振電極50は、振動基板20と同じ寸法の正方形をしており、振動部41の1辺の長さをLb、中間励振電極50の1辺の長さをLeで表すことができる。
また、図3(c)に示すように、振動基板40の裏主面には励振電極60が設けられ、支持腕部44表面の接続電極61を介して支持部45表面の接続電極62まで接続されている。一方、支持部43側には接続電極63が設けられている。
なお、励振電極60の1辺の長さもLeで表すことができる。
なお、励振電極30、中間励振電極50、励振電極60それぞれの電極材料は、Al、Au、Ag、Cuを主成分とした電極材料から選択される。
図3で示された振動基板20,40を積層接合した状態が、図2に示す輪郭振動子10である。ここで、振動基板20の表主面側に設けられた接続電極32は、側面電極33を介して振動基板40の裏主面に設けられている接続電極62に接続され、第1端子を構成する。従って、励振電極30と励振電極60は同電位の電極となる。
また、振動基板40(具体的には、支持部43)の上面に設けられる接続電極54は、側面電極64を介して裏主面側の接続電極63に接続され、第2端子を構成する(図2、参照)。従って、中間励振電極50は、励振電極30及び励振電極60とは異なる電位の電極となる。
第1端子と第2端子との間に励振信号を印加すれば、それに応じて振動基板20,40が輪郭振動を行う。
このように構成される輪郭振動子10は、励振電極30が振動部21に対して上電極、中間励振電極50が下電極となる輪郭振動子と、中間励振電極50が振動部41に対して上電極、励振電極60が下電極となる輪郭振動子と、の積層体である。
そして、図3(c)に示す振動基板40の裏主面側に設けられた接続電極62,63は、図示しないパッケージの基台へ接続固定するために設けられ、発振回路からの励振信号が、接続電極62,63を介して励振電極30と励振電極60、中間励振電極50に入力される。
続いて、本実施形態の輪郭振動子10の振動姿態について図面を参照して説明する。
図4は、振動基板20の振動部21を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。振動基板20は、水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表される四角形の平板であり、励振電極30(上電極に相当する)に+電位、中間励振電極50(下電極に相当する)に−電位を印加した時には、(b)にて2点差線Rで示すようなラーメモード振動を呈する。このときの、振動基板40のカット角と振動モードについて図5、図6を参照して説明する。
図5は、振動基板40として、振動基板20と同じYXltφ/θの水晶基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。ここで、中間励振電極50は、振動基板20と共通電極であるため−電位、励振電極60は励振電極30と同電位であるため+電位となる。
従って、振動基板20と振動基板40とを全く同じカット角にし、逆位相の励振信号を印加する場合には、(b)に示すように、振動基板40は、振動基板20の振動モードに対して90°位相がずれた振動モードとなり、同時駆動すれば、お互いに振動を妨げることになる。
そこで、図6に示すように振動基板40を水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θ±90°にして振動モードを一致させる。
図6は、振動基板40として、YXltφ/θ+90°またはYXltφ/θ−90°の水晶基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。このようにすれば、振動基板20に対して、振動基板40に逆電位を、つまり逆位相の励振信号を印加しても(b)に示すように、振動基板20と同じ振動モードとなり、お互いの振動を妨げない。
また、YXltφ/θの振動基板20に対して、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°の振動基板40を組み合わせても良い。カット角がYXltφ+180°/θまたはYXltφ−180°/θとは、YXltφ/θに対して振動基板の結晶体を表裏を逆にする、つまり、振動モードは左右反転することになるため、図示は省略するが、振動基板20に対して逆位相の励振信号を印加しても、振動基板20と振動モードが一致する。また、φを一定とした場合、θ、θ+180°及びθ−180°は振動モードと振動変位方向が何れも同じとなる。
例えば、振動基板20がφ=−50°、θ=+45°のLQ2Tカットの場合には、振動基板40のカット角をφ=−50°、θ=−45°(YXltφ/θ−90°に相当)、あるいは、φ=130、θ=+45°(YXltφ+180°/θに相当)とすれば、振動モードが一致する。
なお、以上説明した振動基板40のカット角をYXltφ/θとし、振動基板20カット角をYXltφ/θ±90°、またはYXltφ±180°/θとしてもよい。
続いて、振動部の平面寸法と励振電極の平面寸法の関係について説明する。振動部21と励振電極30との関係を代表にあげ説明する。図3を参照する。
ラーメモード振動子の共振周波数fを求める周波数方程式は、前述した非特許文献1によって与えられる(非特許文献1、12頁、数式(9))。
Figure 2008283665
ρは振動部の質量密度、C’11、C’13は弾性定数(弾性スティフネス定数Cpqを非特許文献1(11頁、数式(2)の但し書き)に従って変形した定数)、m=n=1とする。2x0は振動部21、41の横辺の長さ、2z0は縦辺の長さであり、図3においては2x0=2z0=Lbである。なお、ρ、C’11、C’13に励振電極の材料定数を用い、2x0=2z0=Leとすれば、励振電極単体の共振周波数も同じ周波数方程式で求めることができる。さらに、数式1は、振動部や励振電極が長方形であっても(例えば、横辺の長さが縦辺の長さの整数倍であっても)成り立つことを示している。
このように、ラーメモード振動子は平面寸法によって共振周波数が決定される。そこで、振動部21単体において1辺の長さLbに対する共振周波数をFb、励振電極30単体における1辺の長さLeに対する共振周波数をFeとすれば、Fb≒FeとなるようにLb,Leを設計することにより、振動部21と励振電極30はともに、同一の周波数のラーメモードの振動姿態となる。ここでFb≒Feは、具体的には0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feである。よって、励振電極30の輪郭振動によって振動部21の輪郭振動が阻害されることなく、良好な輪郭振動を維持することができる。また、振動部21と励振電極30がともに、同一周波数のラーメモード振動を行うことにより、励振電極30の膜厚ばらつきに起因する輪郭振動子の周波数ばらつきを低減することもできる。
共振周波数Fbと共振周波数Feの関係はFb=Feとなる場合が最も望ましいが、共振周波数Fbと共振周波数Feの差が±0.5%以内であれば上記効果を奏する。
そこで、振動基板側の輪郭振動周波数定数をζb、励振電極側の輪郭振動周波数定数をζeとすれば、ζb=Fb・Lb、ζe=Fe・Leで表すことができることから、Le=(ζe/ζb)Lbとすることが望ましい。
この関係は、振動基板20に対する励振電極30及び中間励振電極50、振動基板40に対する中間励振電極50及び励振電極60との間それぞれで成立することがより好ましいが、振動基板20と振動基板40の境界面にある中間励振電極50が特に重要となる。
以上、説明した実施形態1によれば、本実施形態の輪郭振動子10は、振動基板20及び振動基板40の二層構造からなり、従来の振動基板が単体の構成に対して、振動基板20及び振動基板40それぞれの単体における励振電極間距離を小さくして電界効率を高めながら、積層構造にすることで実使用上において十分な構造的強度を有する輪郭振動子を実現できる。
また、振動基板20と振動基板40とが水晶基板からなり、振動基板20と振動基板40のうちの一方を水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表される四角形の平板とする。他方をYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°で表される四角形の平板とすれば、励振電極30と励振電極60を同電位、中間励振電極50に逆電位の励振信号を印加した場合、振動基板20と振動基板40とは振動モードと振動変位方向が一致したラーメモード振動を呈する。従って、電界効率が高く、構造的強度が高いラーメモード振動子を実現できる。
特に、40°≦θ≦50°、−50°≦θ≦−40°、130°≦θ≦140°または−140°≦θ≦−130°を満たすようにすれば、良好な振動特性を有するラーメモード振動子を実現できる。
ラーメモード振動子においては、振動基板の4角と中央部が輪郭振動の節(輪郭振動の変位がほとんど生じない個所)となる。よって、振動基板の支持個所を、輪郭振動の節に設けることが可能となり、支持による輪郭振動の阻害を著しく低減することができる。
振動基板の4角が完全な節になっていない擬似ラーメモード振動子においても、振動基板の対向する2辺の間において、一方の2辺間とそれに直交する他方の2辺間とが交互に伸縮する振動モードであれば、振動基板の4角周辺に輪郭振動変位の比較的小さい個所が存在するので、支持による輪郭振動の阻害を低減することができる。
上述の実施形態1においては、振動基板を構成する結晶体として、安定な圧電単結晶である水晶を用いており、それにより温度特性が良好な経時変化の小さい輪郭振動子を実現することができるが、結晶体としてLiTaO3、LiNbO3、Li247若しくはLa3Ga5SiO14などの圧電単結晶またはシリコン単結晶などを用いた場合でも、本発明は適用可能である。その場合、振動基板20と振動基板40とが結晶異方性を有する結晶体からなり、振動基板20と振動基板40の結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、または振動基板20と振動基板40の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに同じ若しくは180°異なっている、ラーメモード振動子または擬似ラーメモード振動子であれば良い。
また、異なるカット角を有する振動基板を組み合わせて積層体とすれば、お互いの周波数温度特性を補完しあうことにより、優れた温度特性を備える輪郭振動子を提供することができるという効果もある。
また、振動基板20と振動基板40の同一輪郭振動モードにおける単体の共振周波数Fb、励振電極単体の共振周波数Feが、Fb≒Feとなるように振動基板20,40と各励振電極それぞれの1辺の寸法を設定する。このようにすることで、励振電極を付加することによる振動基板の振動阻害を排除し、良好な輪郭振動モードを維持することができる。
また、励振電極30、中間励振電極50、励振電極60の電極材料としてAg、Cu、Au、Alを主成分とする金属材料を採用している。これらはいずれも低抵抗の金属であるので、励振電極膜のシート抵抗を小さくすることができ、低損失の輪郭振動子10を実現できる。なお、各励振電極にはAlを用いることが特に好ましい。励振電極の面積を大きくした方が低損失な輪郭振動子を実現できるわけだが、励振電極の面積を極力大きくした上で、さらにFb≒Feとするためには、励振電極の質量密度と弾性定数が振動基板のそれら定数と極力近い値である必要がある。各振動基板として水晶を用い、各励振電極としてAlを用いた場合、Fb≒Feの関係を満たしつつ各励振電極の面積を大きくすることができるので、膜厚に対する周波数感度を低く維持しながら低損失な輪郭振動子を実現できる。
(第1変形例)
次に実施形態1の第1変形例について図面を参照して説明する。第1変形例は、中間励振電極の構成に特徴を有している。
図7は、第1変形例に係る部分断面図である。図7において、振動基板20の中央の振動部21の表主面には第1励振電極30が、振動基板40の中央部の振動部41の裏主面には励振電極60、振動部21と振動部41の境界面には中間励振電極50、が設けられている。ここで、図に示すように、振動部41には中間励振電極50に相当する形状の凹部41aが穿設され、この凹部41a内に中間励振電極50が形成されている。
中間励振電極50を形成した後、振動基板40と中間励振電極50とを同時に研磨する工程を設ければ、振動部41と中間励振電極50とを同一平面に仕上げ、振動基板20と振動基板40との境界面を密接させることができる。
(第2変形例)
続いて、実施形態1の第2変形例に係る輪郭振動子について図面を参照して説明する。第2変形例は、振動基板が3枚以上の多数基板構成にしていることに特徴を有する。
図8は、第2変形例に係る部分断面図である。図8において、輪郭振動子10は、図示上方から振動基板20、振動基板40、さらに振動基板25が積層され構成されている。振動基板20はカット角がYXltφ/θで表される水晶基板で、振動基板40はカット角がYXltφ±180°/θ、またはYXltφ/θ±90°で表される水晶基板、そして、最下層の振動基板25はカット角がYXltφ/θで表される水晶基板(つまり、振動基板20と同じカット角)である。
振動基板20に設けられる励振電極30に+電位、振動基板20と振動基板40の境界面の中間励振電極50に−電位、振動基板40と振動基板25の境界面に中間励振電極(励振電極60に相当)に+電位、振動基板25の裏主面に設けられる第3励振電極70に−電位を印加する。
振動基板20,25はカット角も印加される電位も一致していることから共通のラーメモード振動が励起される。振動基板40は、前述した実施形態1(図4〜図6、参照)と同様に、カット角をYXltφ±180°/θ、またはYXltφ/θ±90°にすることで振動基板20,25と一致したラーメモード振動を呈する。
このようにすれば、振動基板を2枚構成にするよりも、さらに振動基板単体の厚さを薄くして電界効率を高め、積層することにより構造的強度を実使用レベルまで高めることができる。
なお、振動基板は3枚以上の多層基板としてもよく、この際、交互にカット角がYXltφ/θと、YXltφ±180°/θまたはYXltφ/θ±90°の振動基板を積層すればよい。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る輪郭振動子について図面を参照して説明する。
図9は、実施形態2に係る輪郭振動子を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A切断面を示す断面図である。図10は振動基板単体を示す平面図であって、(a)は振動基板120の上面図、(b)は振動基板140の上面図、(c)は振動基板140の下面図である。図9、図10において、輪郭振動子100は、振動基板120と振動基板140とが積層され構成されている。
図10(a)に示すように、振動基板120は支持部123から延在された支持腕部124,125と、支持腕部124,125の2箇所によって支持されたx’方向に長い長方形の振動部121とから構成されている。振動部121の表主面には励振電極130a,130b,130cが形成されている。ここで、励振電極130a,130cは同電位(例えば+電位)、励振電極130bには異なる電位(例えば−電位)が印加される電極である。また、振動基板120は、カット角がYXltφ/θで表される水晶基板である。
励振電極130aは、一辺の端部から接続電極131を介して支持部123に設けられる接続電極132に接続されている。接続電極135は、側面電極(図示せず)を介して振動基板140の励振電極150bから延在される接続電極157(図10(b)、参照)に接続する。
また、励振電極130cも同様に、一方の接続電極134を介して接続電極132に、他方の接続電極138は、側面電極(図示せず)を介して振動基板140の励振電極150bから延在される接続電極158(図10(b)、参照)に接続する。
また、励振電極130bは、接続電極136,137それぞれが図示しない側面電極を介して振動基板140の接続電極156,159に接続され、支持部143の上面の接続電極154(図10(b)、参照)に接続する。
図10(b)に示すように、振動基板140は、支持部143,145から延在される支持腕部142,144,146,147の4箇所によって隅部を支持された振動部141を有する。振動基板140は、振動部141が振動基板120の振動部121と同形状であって、カット角がYXltφ±180°/θまたはYXltφ/θ±90°の水晶基板からなる。
そして、振動部141の表面(振動部121との境界面)には、励振電極130a,130b,130cそれぞれに対向して励振電極150a,150b,150cが設けられる。振動基板120に対して励振電極130a,130b,130cは上電極、励振電極150a,150b,150cは下電極となる。また、振動基板140に対しては、励振電極150a,150b,150cは上電極となる。つまり、励振電極150a,150b,150cは、振動基板120及び振動基板140にとって中間励振電極に相当する。そして、励振電極150a,150cには励振電極130a,130cとは逆電位(例えば、−電位)、励振電極150bには励振電極130bとは逆電位(例えば+電位)が印加される。
振動基板120は、カット角がYXltφ/θで表される水晶基板であるため、前述した実施形態1に示す振動モードを示す。励振電極130a,150a及び励振電極130c,150cで挟まれた振動部は図4(b)のような、また、励振電極130b,150bで挟まれた振動部は図5(b)のような振動姿態を有して振動する。従って、隣り合う振動部それぞれが、90°位相がずれた面内振動をすることで、全体としてはバランスが取れた振動となり多次モードの振動を実現する。
なお、励振電極150aは、接続電極153を介して支持部143に設けられる接続電極154に接続され、励振電極150cは、接続電極155を介して接続電極154に接続される。なお、電極152は、振動基板120と振動基板140とを密接させるために設けられている。
また、励振電極150bは、接続電極157,158と図示しない側面電極を介して振動基板140の裏主面の接続電極165,168、支持部145の接続電極162まで接続している(図10(c)、参照)。
また、図10(c)に示すように、振動基板140の裏主面には、励振電極150a,150b,150cそれぞれに対向する励振電極160a,160b,160cが設けられている。そして、励振電極160a,160cは、励振電極150a,150cとは逆電位(例えば、+電位)の電極、励振電極160bには、励振電極150bとは逆電位(例えば、−電位)が印加される電極である。
振動基板140は、カット角がYXltφ±180°/θまたはYXltφ/θ±90°で表される水晶基板であるため、上述した振動基板120と同様な振動姿態を有してラーメモード振動する。
振動基板120,140を積層接合したところで、接続電極132は側面電極133を介して支持部145の裏主面の接続電極162に接続する(図9(b)、参照)。この際、励振電極130a,130c,150b,160a,160cは、それぞれ接続電極162に接続する。
また、接続電極154は側面電極170を介して支持部143の裏主面の接続電極163に接続する(図9(b)、参照)。この際、励振電極130b,150a,150c,160bは、それぞれ接続電極163に接続されている。
従って、振動基板140の支持部143,145の裏主面側の接続電極163,162に励振信号を入力することにより、多次の振動モードを実現できる。
なお、実施形態2では、励振電極がx’方向に3分割され励振電極を有する振動部が3対形成された例を示したが、励振電極が、平面方向にn分割され(nは2以上の整数)、且つ、平面方向及び厚さ方向に対向する励振電極が、互いに逆電位となるよう配設されているラーメモード振動子を提供することができる。
このように構成される輪郭振動子100は、実施形態1の輪郭振動子10に対して高次の振動モードを有し、その配列から1×n次モードの振動子と呼ばれる。1は、z”方向の振動モード数、n(nは整数)はx’方向の振動モード数を表している。つまり、実施形態2で説明したラーメモード振動子は、1×3次のラーメモード振動子と呼ばれる。z”方向にm分割の振動部を形成してm×n次のラーメモード振動子を提供することも可能である。
(実施形態3)
続いて、本発明の実施形態3に係る輪郭振動子について図面を参照して説明する。実施形態3の輪郭振動子は、振動モードが輪郭滑りモードである輪郭滑り振動子である。
図11は、実施形態3に係る輪郭滑り振動子の概略構造を示す斜視図である。図11において、輪郭滑り振動子200は、共通の共振周波数と振動モードとを有する第1振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板220と表す)220と第2振動基板としての振動基板(以降、単に振動基板240と表す)240の互いに対向する主面を接合してなる積層型の輪郭振動子である。
そして、振動基板220の表主面には第1励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極230と表す)230、振動基板240の裏主面には第2励振電極としての励振電極(以降、単に励振電極260と表す)260、振動基板220と振動基板240との境界面には共通の中間励振電極250と、が設けられている。
振動基板220は、水晶基板のカット角がIRE標準のYXlφで表される平板からなり、他方の振動基板240は、水晶基板のカット角がYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ+90°、YXltφ+180°/θ−90°、YXltφ−180°/θ+90°またはYXltφ−180°/θ−90°の平板からなる。θは、−5°≦θ≦5°、85°≦θ≦95°、175°≦θ≦185°または−95≦θ≦−85°を満たすのが望ましく、これにより良好な振動特性を有する輪郭滑り振動子を実現できる。なお、振動基板220と振動基板240のカット角は入れ替えても構わない。
振動基板220は、振動部221と、振動部221の1辺の中央部から延在される支持腕部222と、支持腕部222の先端部に設けられる支持部223とから構成されている。振動部221の表主面には励振電極230が設けられ、接続電極231を介して支持部223の表面に設けられる接続電極232に接続されている。
ここで、振動部221及び励振電極230はそれぞれ正方形をしており、振動部221の1辺の長さをLb、励振電極230の1辺の長さをLeで表す。ただし、振動部及び励振電極が長方形であっても、輪郭滑り振動を励振することが可能である。
振動基板240は、振動部241と、振動部241の対向する2辺の中央部それぞれから両側に延在される支持腕部242,244と、支持腕部242の先端部に設けられる支持部243と、支持腕部244の先端部に設けられる支持部245とから構成されている。
振動部241の上面(振動部221との境界面)には、中間励振電極250が設けられ、支持腕部242表面の接続電極253を介して支持部243表面の接続電極254まで接続されている。そして、側面電極264を介して裏面側の接続電極263に接続されている。一方、支持腕部244側においては、接続電極251と、支持部245表面の接続電極252と、が設けられている。接続電極251は、中間励振電極250とは電気的に分離されて形成され、振動基板220と振動基板240とを積層して接合する際、互いの密接性を高めるために設けられる。
振動基板240において、振動部241及び中間励振電極250は、振動基板220と同じ寸法の正方形をしており、振動部241の1辺の長さをLb、中間励振電極250の1辺の長さをLeで表すことができる。
また、振動基板240の裏主面には励振電極260が設けられ、支持腕部244裏面の接続電極261を介して支持部245裏面の接続電極262まで接続されている。そして、振動基板220の励振電極230とは、接続電極231,232と側面電極233を介して振動基板240の裏面側の接続電極262と接続されている。
なお、励振電極260の1辺の長さもLeで表すことができる。
また、励振電極230、中間励振電極250、励振電極260それぞれの電極材料は、Al、Au、Ag、Cuを主成分とした電極材料から選択される。
続いて、実施形態3に係る輪郭滑り振動子200の振動姿態について図面を参照して説明する。
図12は、振動基板220の振動部221を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。振動基板220は、水晶基板のカット角がIRE標準のYXlφで表される四角形の平板であり、励振電極230(上電極に相当する)に+電位、中間励振電極250(下電極に相当する)に−電位を印加した時には、(b)にて2点差線Rで示すような輪郭滑り振動モードを呈する。このときの、振動基板240のカット角と振動モードについて図13、図14を参照して説明する。
図13は、振動基板240が、振動基板220と同じカット角がIRE標準のYXlφで表される水晶基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。ここで、中間励振電極250は、振動基板220と共通であるため−電位、励振電極260は励振電極230と同電位であるため+電位となる。
従って、振動基板220と振動基板240とを全く同じカット角にし、逆位相の励振信号を印加する場合には、(b)に示すように、振動基板240は、振動基板220の振動モードに対して90°位相がずれた振動モードとなり、同時駆動すれば、お互いに振動を妨げることになる。
そこで、図14に示すように振動基板240を水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θ±90°にして振動モードを一致させる。
図14は、振動基板240の水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θ±90°の場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図である。このようにすれば、振動基板220に対して、振動基板240に逆電位を、つまり逆位相の励振信号を印加しても図14(b)に示すように、振動基板220と同じ振動モード(図12(b)、参照)となり、お互いの振動を妨げない。
また、カット角がYXlφで表される振動基板220に対して、カット角がYXltφ±180°/±90°で表される振動基板240の組み合わせとしてもよい。カット角がYXltφ±180°/±90°とは、YXlφに対して表裏を逆にしたことに等しい。従って、図示は省略するが、振動基板220に対して逆位相の励振信号を印加しても、振動基板220と振動モードが一致する。
例えば、振動基板220がφ=−52.5°のDTカットの場合、振動基板240のカット角をφ=−52.5°、θ=±90°(YXltφ/θ−90°に相当)、または、φ=127.5°、θ=±90°(YXltφ+180°/±90°に相当)すれば、振動モードが一致する。
なお、輪郭滑り振動子200においても、前述したラーメモード振動の輪郭振動子10と同様に、振動基板220、振動基板240の単体の共振周波数Fbと、励振電極230または励振電極260または中間励振電極250の共振周波数Feとが、Fb≒Feなるよう一辺の寸法(LbとLe)が設定されていることがより好ましい。ここでFb≒Feは、具体的には0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feである。
従って、上述した実施形態3では、振動基板220及び振動基板240の二層構造からなり、従来の振動基板が単体の構成に対して、振動基板220及び振動基板240それぞれ単体の電極間距離を小さくして電界効率を高めながらも、積層構造にすることで実使用上において十分な構造的強度を有する輪郭振動子を実現できる。
また、振動基板220と振動基板240とが、水晶基板からなり、振動基板220のカット角がIRE標準のYXlφで表される四角形の平板からなり、振動基板240がYXltφ/±90°、またはYXltφ±180°/±90°で表される。前述したような励振電極230、中間励振電極250、励振電極260の構成において、振動基板220と振動基板240とは全く同じ輪郭滑りモードの振動を呈する。従って、電界効率が高く、構造的強度が高い輪郭滑り振動子を実現できる。
上述の実施形態2と実施形態3においては、振動基板を構成する結晶体として、安定な圧電単結晶である水晶を用いており、それにより温度特性が良好な経時変化の小さい輪郭振動子を実現することができるが、結晶体としてLiTaO3、LiNbO3、Li247若しくはLa3Ga5SiO14などの圧電単結晶またはシリコン単結晶などを用いた場合でも、本発明は適用可能である。
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述した実施形態1〜3では、振動基板が2枚の水晶基板からなる輪郭振動子を例示して説明したが、振動基板としては、水晶基板と他の圧電基板との組み合わせでもよく、他の2枚の圧電基板との組み合わせとしてもよい。このような構成であっても、それぞれの振動モードと共振周波数を合わせること、振動基板と励振電極それぞれの単体における共振周波数を略一致させることなどにより、電界効率が高く、構造的強度が高い輪郭振動子を実現することができる。
また、積層する振動基板同士のカット角φや面内回転角θの相対的な差は、所望の差に対して±5°ずれていても本発明の効果が発揮される。
IRE標準のYXltφ/θで表されるカット角を模式的に示す説明図。 本発明の実施形態1に係る輪郭振動子の概略構造を示す斜視図。 本発明の実施形態1に係る輪郭振動子の外形形状と電極構成を示した平面図であり、(a)は振動基板20の上面図、(b)は振動基板40の上面図、(c)は振動基板40の下面図。 振動基板20の振動部を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図。 振動基板40が、振動基板20と同じカット角であるときの、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図。 振動基板40が、YXltφ/θ±90°の場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動状態を模式的に表す説明図。 本発明の実施形態1の第1変形例に係る部分断面図。 本発明の実施形態1の第2変形例に係る部分断面図。 本発明の実施形態2に係る輪郭振動子を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A切断面を示す断面図。 本発明の実施形態2に係る振動基板単体を表し、(a)は振動基板120の上面図、(b)は振動基板140の上面図、(c)は振動基板140の下面図。 本発明の実施形態3に係る輪郭滑り振動子の概略構造を示す斜視図。 本発明の実施形態3に係る振動基板220のカット角がYXlφで表される基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動状態を模式的に表す説明図。 本発明の実施形態3に係る振動基板240のカット角がYXlφで表される基板を用いた場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図。 本発明の実施形態3に係る振動基板240のカット角がIRE標準のYXltφ/θ±90°の場合を表し、(a)が側面図、(b)が振動姿態を模式的に表す説明図。
符号の説明
10…輪郭振動子、20…第1振動基板としての振動基板、30…第1励振電極としての励振電極、40…第2振動基板としての振動基板、50…中間励振電極、60…第2励振電極としての励振電極。

Claims (7)

  1. 少なくとも第1振動基板と第2振動基板を備え、前記第1振動基板と前記第2振動基板とが互いに対向する主面を接合してなる輪郭振動子であって、
    前記第1振動基板の表主面に設けられる第1励振電極と、前記第2振動基板の裏主面に設けられる第2励振電極と、前記第1振動基板と前記第2振動基板の境界面に設けられる共通の中間励振電極と、を有し、
    前記第1励振電極及び前記第2励振電極を電気的に接続して第1端子とし、前記中間励振電極を第2端子とし、前記第1端子と前記第2端子との間に印加した励振信号に応じて前記第1振動基板と前記第2振動基板が輪郭振動することを特徴とする輪郭振動子。
  2. 前記第1振動基板または前記第2振動基板の少なくとも一つの振動基板の単体の共振周波数Fbと、
    前記第1励振電極、前記第2励振電極または前記中間励振電極の少なくとも一つの励振電極の単体の共振周波数Feとが、
    0.995×Fe≦Fb≦1.005×Feの関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の輪郭振動子。
  3. 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、
    前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、
    または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに同じ若しくは180°異なっている、ラーメモード振動子または擬似ラーメモード振動子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭振動子。
  4. 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが四角形の水晶基板からなり、
    前記第1振動基板と前記第2振動基板のうちの一方の水晶基板のカット角がIRE標準のYXltφ/θで表され、
    他方の水晶基板のカット角がYXltφ/θ+90°、YXltφ/θ−90°、YXltφ+180°/θ、YXltφ+180°/θ+180°、YXltφ+180°/θ−180°、YXltφ−180°/θ、YXltφ−180°/θ+180°またはYXltφ−180°/θ−180°で表されることを特徴とする請求項3に記載の輪郭振動子。
  5. 40°≦θ≦50°、−50°≦θ≦−40°、130°≦θ≦140°または−140°≦θ≦−130°を満たすことを特徴とする請求項4に記載の輪郭振動子。
  6. 前記第1励振電極が、平面方向にn分割され(nは2以上の整数)、
    前記中間励振電極及び前記第2励振電極とが、前記第1励振電極に対向してn分割され、
    平面方向にn分割された隣り合う励振電極の一方が前記第1端子に接続され、他方が前記第2端子に接続されているラーメモード振動子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の輪郭振動子。
  7. 前記第1振動基板と前記第2振動基板とが結晶異方性を有する結晶体からなり、
    前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体のカット角が互いに同じで、且つ面内回転角が互いに90°異なっているか、
    または前記第1振動基板と前記第2振動基板の前記結晶体からのカット角が互いに180°異なっていて、且つ面内回転角が互いに90°異なっている輪郭滑り振動子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭振動子。
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