JP5750273B2 - ボールペン - Google Patents

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Description

本発明はボールペン用インキ組成物に関し、さらに詳しくは、書き味が良好なボールペン用インキ組成物に関するものである。
従来より、ボールペンは他の種類の筆記具と異なり、先端にステンレス鋼などからなる金属チップと、該金属チップのボール受け座に抱持される超鋼などの金属からなる転写ボールからなるボールペンチップをインキ収容筒に装着した構成を有するが、筆記時にボールの回転によって、ボール受け座に摩耗が発生し、筆跡に線飛び、カスレなどが生じたり、書き味が悪くなるという問題があった。
こうした問題を解決するため、ボールペンチップのボールとボール受け座との潤滑性向上を目的とした様々な研究が行われており、各種提案がなされている。その一例としては、インキ成分に界面活性剤を用い、潤滑性を改善しようと試みたものがある。このような界面活性剤を用いた油性ボールペン用インキ組成物としては、シリコーン樹脂、親油性スメクタイト、フッ素系界面活性剤を用いた特許文献1や特許文献2、アルキルβ−D−グルコシドを用いた特許文献3、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマーを用いた特許文献4等がある。
また、直接、書き味の向上やボール受け座の摩耗抑制を解決するものではないが、特定粒径の微粒子シリカなどを含有する油性ボールペン用インキが特許文献5などに開示されている。
さらに特許文献6には、球状シリカパウダーを含有してなる油性ボールペン用インキが開示されているが、シリコン表面処理のシリカパウダーを用いることが主眼の発明であり、粒子径やインキ粘度の開示はあるものの本発明のような特定の低粘度領域において有効な作用効果をもたらすものではなく、本願発明のような微細な球状微粒子と他の要件との組合せによる書き味の向上を解決するものではなかった。
上記特許文献1〜4に記載のインキ組成物の場合、ある程度書き味性能を向上しつつ、ボール受け座の摩耗を抑制することはできるが、本願発明の課題解決水準に対し十分に満足できるものではなく、筆跡に線飛び、かすれ等が発生してしまう問題を抱えていた。
また、特許文献5〜7などのように、他の用途としてボールペン用インキに単に微粒子シリカを配合すると、動摩擦係数が大きくなり書き味が悪くなってしまうほか、規定外の低粘度領域では微粒子シリカを配合すると明らかに書き味や摩耗抑制に逆効果になってしまう問題があった。
特開平6−248217号公報「ボールペン用インキ組成物」 特開平9−151354号公報「油性ボールペン用インキ組成物」 特開平5−331403号公報「油性ボールペンインキ」 特開2000−104003号公報「ボールペン用水性インキ」 特開平10−204368号公報「ボールペン用油性インキ」 特開平11−286642号公報「油性ボールペン用インキ組成物」 特表2007−518838号公報「細字ボールペン用水性インク組成物及び細字ボールペン」
本発明は、特定の粘度範囲において、書き味が良好で、かつ、ボール受け座の摩耗を抑制することが可能なボールペンを得ることなどを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。
本発明は、上記課題を解決するために、特定インキ粘度のボールペン用インキ組成物において、インキ中に下記範囲の粒子径を有する球状微粒子を特定量含有させたことを特徴とし本発明のボールペン用インキ組成物とそれを詰めたボールペンを完成した。
すなわち、本発明は、
「1.少なくとも着色剤と溶剤と粘度調整剤を含む、剪断速度3.84sec−1(at20℃)におけるインキ粘度が50〜5000mPa・sのボールペン用インキ組成物において、インキ中に平均粒子径5〜100nmの球状シリカ微粒子をインキ全量に対して7.5〜15.0質量%含有させたことを特徴とするボールペン用インキ組成物、をボールとボール受け座の隙間が0.01〜1μmのボールペンチップを接続したインキ収容管に詰めた、筆記角度70°、筆記荷重1.96N、筆記速度4m/minにて50m筆記した後、荷重センサー上で筆記角度70°、筆記荷重2.16N、筆記速度4m/minにて直線筆記したときの動摩擦係数が0.093〜0.129である、ボールペン。
2.前記球状シリカ微粒子が略真球状であることを特徴とする、第1項に記載のボールペン。
3.前記溶剤が油性有機溶剤であることを特徴とする、第1項または第2項に記載のボールペン。」に関する。
上記の構成とすることで、書き味が良好で、かつ、ボール受け座の摩耗を抑制することが可能なボールペン用インキ組成物を得ることができ、該インキを詰めたボールペンとした際に特に優れた効果を奏するものである。
ボールペンチップの一例を示す縦断面図 書き始め(加工直後)におけるボールとボール受け座の隙間の状態を示す要部拡大縦断面図 馴染み摩耗後(筆記後)におけるボールとボール受け座の隙間の状態を示す要部拡大縦断面図 筆記距離と動摩擦係数との関係を表したグラフ(実施例2と比較例2) 筆記距離と動摩擦係数との関係を表したグラフ(実施例13と比較例6)
本発明のボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と溶剤と粘度調整剤からなる、剪断速度3.84sec−1(at20℃)におけるインキ粘度が50〜5000mPa・sのボールペン用インキ組成物において、インキ中に平均粒子径5〜100nmの球状微粒子をインキ全量に対して0.1〜15.0質量%含有させたことを特徴とする。
ボールペン用インキ組成物は、水性ボールペン用インキ、剪断減粘性を付与した水性又は油性のボールペン用インキ、油性ボールペン用インキなどに大別できるが、剪断減粘性を付与した水性又は油性のボールペン用インキ、油性ボールペン用インキは、近年、筆感向上等を目的として粘度を低くすることが望まれているため、ボールの回転とボール受け座との関係において、ボールと当接面が直接、接触する境界潤滑の傾向が強くなり、ボールとボール受け座間にボールペン用インキが入り込む流体潤滑やそれらが複合的に生ずる混合潤滑等が生じにくくなり摩耗し易くなっているという問題がある。本発明においては、インキが流体として潤滑性能を向上させるという観点から、インキの成分やインキ自体の物性などによる作用により、ボールペンチップの構造を変化させ、インキとチップ構造の相乗作用により良好な潤滑作用を得ることを目的とするものである。
当該課題は、剪断速度3.84sec−1(at20℃)におけるインキ粘度が50〜5000mPa・sの低粘度領域において見られ、50〜3500mPa・s、50〜950mPa・s、50〜600mPa・s、と段階的に顕著に見られるようになる傾向がある。粘度が低くなっていくに従って摩耗性が進む傾向があり、1000mPa・sを切る領域では特に重要である。50mPa・s未満の粘度領域では本願構成によっても課題解決の効果が見られないため、本願発明は50mPa・s以上の粘度領域において有効である。
本発明のボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と溶剤と粘度調整剤および特定の球状微粒子から構成される。
上記球状微粒子は特に潤滑性や書き味などに大きく影響し、本発明において重要な要素である。上述のようにボールペンは筆記先端にステンレス鋼などからなる金属チップと、該金属チップのボール受け座に抱持される超鋼などの金属からなる転写ボールからなるボールペンチップをインキ収容筒に装着した構成を有するが、チップはボールを抱持するための金属加工を要することからボールより柔らかい物質が用いられる。ボールペンはボールの回転によりインキが供給されるが、ボールが回転するとそれにつられてボールペン用インキがインキ流通孔からボールと当接面との狭い隙間へと引きずり込まれ、ボールと当接面間にボールペン用インキの層を形成し、そのインキが紙などの被筆記面に転写され筆記できる。そのため、ボールがチップの当接面に完全に一致して、前記した隙間が得らなかった場合には、ボールとボール受け座間にインキが供給されず、筆記できないということになる。すなわち、インキはボールとチップの間を通り、最終的にボール表面から紙面などに転写され筆記されるが、筆記時のボールの回転は非常に高速で、しばしばそのボールの回転によるボール受け座の摩耗が問題となり、特に上記低粘度領域のインキの場合、筆跡に線飛び、カスレなどが生じたり、書き味が悪くなるという問題を発生させていた。
一般的に微粒子状物質はチップの摩耗を促進させ、潤滑性などには良好に作用しないと言われている。
一方、加工直後のボールペンチップはボールとの馴染みが悪く、いわゆる「あたり」があるため、ガリガリ感が生ずることがあり、動摩擦係数も高く安定しないものである。そこで本発明においては、一定条件の球状微粒子を選択適用することで、上記低粘度領域のインキを採用しつつも製作直後のガリガリ感や書き味不良をなくしつつ、安定化後のなめらかさ、潤滑性、動摩擦係数の低減を安定的に狙うことができるようにしたものである。
本発明においては、平均粒子径が5〜100nmの球状微粒子(以下、ナノ粒子と呼ぶことがある)を用いる。本発明のナノ粒子は微小な粒子であり、球状の粒子であるので、その作用効果を発揮できる。本発明においては、特定の低いインキ粘度の条件下であって、粒子が特定の条件を満たす場合にのみ本発明の作用効果があり、その条件を外れるものは逆の作用を示し、ボールペンの性能低下を招き寿命を短くしてしまうなどの悪さを生ずることに注意すべきである。本発明でいう平均粒子径はメジアン径であり、遠心沈降式やレーザー回折式、BET法等によって求めるこができる。
ここで、ボールとボール受け座との隙間(図2、3にS1〜S3として図示)は、一般的に0.001〜10μm程度であるが、本発明においては、0.01〜1μmが好ましい。書き始めにおいて、ボールとボール受け座との隙間はS1やS2に示したように一定ではなく、広いところと狭いところがある。隙間が狭いところ(S2)は「あたり」があり、筆記抵抗が高く、ガリガリ感を生ずる原因となりやすいが、その狭いところをインキが通るときにナノ粒子が研磨剤として作用し、ボール受け座を削り隙間を広げるように作用する。加工直後から筆記距離20〜50m程度で、急激にそのエッジを削っていき、図3におけるS3に示したようにボールとボール受け座の隙間を一定にする(以下、馴染み摩耗と呼ぶことがある)ように作用するので、ボールとチップの馴染みが良くなる結果、全体として摩擦抵抗が低下し、なめらかさが増し、ガリガリ感が低減され、とても良い効果を発揮する(図4、図5参照)。この馴染み摩耗は、チップ先端部2aの内壁とボールとの「あたり」においても同様に作用する。
一方、隙間の広いところはインキによる流体潤滑が活発に行われ、インキ中のナノ粒子が十分に余裕を持って通過するので、研磨作用はほとんど生じない。すなわち、ボールとボール受け座の隙間が一定になると、隙間に対し十分に小さな粒子となるので、インキ中に分散された状態で抵抗なく通っていくことから、研磨作用が抑制される。
また、チップとボールのクリアランス(一般的にボールが縦方向に動く移動可能量)は小さい方がボールの遊びが少ないので、本発明の馴染み効果が大きくより効果的である。
ここで、本発明の微粒子は球状の微粒子であるが、略真球状の球状微粒子であるとボールとボール受け座の間をインキが通過する際に列をなすように隙間に並びベアリング効果を生ずることになるので、ボールとチップが馴染んだ後、すなわちボールとボール受け座の隙間が一定になった後は、急激に動摩擦係数を低減させ、かつ安定的な潤滑性を示すようになる。さらに、ボールとボール受け座の隙間が一定の等間隔に近くなると接触面積が増大することなどでボール受け座が摩耗しやすくなることがあり、通常のインキを使用した場合耐摩耗性が悪化することがあるが、その隙間に本発明の微粒子が介在することにより、ボールとボール受け座が直接的に接触するのを防ぐことができるため良好な耐摩耗性を示すようになる。つまり、本発明の微粒子は、当初、研磨剤としてボールとボール受け座の隙間を一定にし動摩擦係数を低下させる効果を有するほか、ボールとボール受け座の隙間を一定にした後は研磨剤とは全く逆の効果を有するベアリング剤(潤滑効果)として作用し、動摩擦係数を低下させるとともに耐摩耗性を向上させるという驚くべき効果を有するものなのである。この効果は、特にその粒子径の粒度分布が狭く一定に揃っているときに効果が大きくなる。また、その粒子の形状が真球状に近いときに効果が大きくなる。
この馴染み摩耗の様子は、走査型電子顕微鏡等によるボール受け座の観察において確認できるほか、図4および図5に示した筆記距離と動摩擦係数のグラフなどによって理解することができる。
また、ボールの回転による、インキ流通孔からのボールペン用インキの供給と潤滑の状態は前述の通りであり、ボールが回転するとそれにつられてボールペン用インキがボールと当接面との狭い隙間へと引きずり込まれるが、筆記時には、供給されるインキと、紙面に転写できなかったインキが、ボール抱持室から当接面に戻されるものもある。そのため本発明の潤滑効果は戻りインキにおいても生じ、相乗的に筆感及び耐磨耗性を向上させることができる。
本発明において、前記球状微粒子のインキ組成物中への配合量はインキ全量に対して7.5〜15.0質量%がよく、7.5〜10.0質量%がより好ましい。下限を下回るとその効果が十分に発揮されない傾向となり、上限を上回ると摩耗が進みすぎる傾向が強くなるので、微粒子の材質や粒径、その他の条件設計がシビアになることがある。
本発明のインキ組成物に用いるその他の材料としては、球状微粒子の作用に悪影響を与えない限り特に制限なく用いることができる。
本発明に用いる着色剤については、染料、顔料が使用可能あるが、染料については、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、食用色素、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等が採用可能である。
染料について、具体的には、油溶性染料としては、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1621、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストレッド1362、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB−B、BASE OF BASIC DYES RO6G−B、BASE OF BASIC DYES VPB−B、BASE OF BASIC DYES VB−B、BASEOF BASIC DYES MVB−3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラックGMH−スペシャル、アイゼンスピロンバイオレットC−RH、アイゼンスピロンブルーGNH、アイゼンスピロンブルー2BNH、アイゼンスピロンブルーC−RH、アイゼンスピロンレッドC−GH、アイゼンスピロンレッドC−BH、アイゼンスピロンイエローC−GNH、アイゼンスピロンイエローC−2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH−スペシヤル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.バイオレット510、S.B.N.イエロー510、S.B.N.イエロー530、S.R.C−BH(以上、保土谷化学工業(株)製)、酸性染料としては、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー7、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドグリーン3、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー239、C.I.アシッドブルー248、C.I.アシッドバイオレット15、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック2、塩基性染料としては、C.I.ベーシックオレンジ2、C.I.ベーシックオレンジ14、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックブルー9、C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.ベーシックバイオレット10、直接染料としては、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトバイオレット51、C.I.ダイレクトブラック19、食用色素としては、C.I.フードイエロー3、C.I.フードブラック2等が挙げられる。
また、顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。これらの染料および顔料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、1.0〜50.0質量%が好ましい。
本発明に用いる溶剤は、水性ボールペンに設計するか油性ボールペンに設計するかなどにより適宜選択可能であり、従来のボールペン用インキに用いられる溶剤を使用することができる。具体的には、水、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のグリコール類、ベンジルアルコール等のアルコール類などが挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。これらの溶剤の含有量は、着色剤の溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を考慮すると、インキ組成物全量に対し、5.0〜75.0質量%が好ましい。油性の有機溶剤を用いた油性ボールペン用インキの場合、油性インキ特有の流体潤滑効果と相まって、特に馴染み摩耗が制御しやすいので、より好ましい。
また、その他の添加剤が適宜使用可能である。着色剤の経時安定性や潤滑性をさらに向上させるための有機酸や界面活性剤のほか、顔料分散剤、粘度調整剤、染料安定剤、可塑剤、キレート剤等を適宜用いても良い。これらは、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
有機酸や界面活性剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリル酸、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられ、顔料分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂等を、粘度調整剤として、ケトン樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル等の樹脂や有機酸アマイド、架橋型アクリル酸重合体などの擬塑性付与剤を挙げることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、着色剤として赤色染料、有機溶剤として、ベンジルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、粘度調整剤としてケトン樹脂(ハイラック110H:日立化成工業(株)製)、球状微粒子としてオルガノシリカゾルPGM−ST(日産化学工業(株)製)に含まれるシリカを採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて球状微粒子以外の添加剤を完全溶解させ、室温冷却し油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。尚、ブルックフィールド社製粘度計DV−2+(CPE−42スピンドル)を用いて20℃の環境下で剪断速度3.84sec−1にて実施例1のインキ粘度を測定したところ、57.6mPa・sであった。次に、実施例1のインキをインキ収容筒に充填し、(株)パイロットコーポレーション製油性ボールペン用レフィルBRFV−10Fのボールペンチップに装着してボールペン用レフィルを作製した。該ボールペン用レフィルを外装に装填し、JIS S6039(ISO 12757−1)に記載の筆記試験機により、筆記角度70°、筆記荷重1.96N、筆記速度4m/minにて50m筆記した後、荷重センサー上で筆記角度70°、筆記荷重2.16N、筆記速度4m/minにて直線筆記し動摩擦係数を測定したところ、0.111であった。
参考例1
着色剤(赤色染料、バリファーストレッド1362) 10.0質量%
有機溶剤(ベンジルアルコール) 59.33質量%
有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 11.67質量%
粘度調整剤(ケトン樹脂) 14.0質量%
球状微粒子(シリカ微粒子 平均粒子径10〜15nm) 5.0質量%
参考例2〜4、実施例1〜3、参考例5〜29
表1に示すように、各成分を変更した以外は、参考例1と同様な手順で実施例1〜3、参考例2〜29の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表1に測定、評価結果を示す。
Figure 0005750273
注1:ハイラック110H(日立化成工業(株)製)
注2:エスレックBL−1(積水化学工業(株)製)
注3:オルガノシリカゾルPGM−ST(日産化学工業(株)製)に含まれるシリカ、平均粒子径:10〜15nm、形状:真球状
注4:アドマナノシリカYA010C−LDB((株)アドマテックス製)に含まれるシリカ、平均粒子径:10nm、形状:真球状
注5:アドマナノシリカ((株)アドマテックス製)に含まれるシリカ、平均粒子径:10nm、形状:真球状
注6:アドマナノシリカ((株)アドマテックス製)に含まれるシリカ、平均粒子径:50nm、形状:真球状
注7:アモルファスシリカSciqas(堺化学工業(株)製)に含まれるシリカ、平均粒子径:50nm、形状:真球状
比較例1〜11
表2に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、配合し、比較例1〜11の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表2に測定、評価結果を示す。
Figure 0005750273
注1:ハイラック110H(日立化成工業(株)製)
注8:ポリメチルシルセスキオキサンMSP−N050(日興リカ(株)製)、平均粒子径:0.5μm(500nm)、形状:真球状
本発明においてボールペンチップ1は図1に示したような構成のものを用いることができる。図1のボールペンチップは、ステンレス鋼線材からなるチップ本体2のボール抱持室3の中央にインキ流通孔7と、このインキ流通孔7から放射状に延び、チップ後部孔8に達しないインキ流通溝6を形成した底壁4に、ボール9と異なる曲率の略円弧面状の当接面5を設け、この当接面5にφ0.5mmのタングステンカーバイド製のボール9を載置し、チップ先端部2aを内側にかしめることにより、ボール9の一部がチップ先端縁より突出するように回転自在に抱持したものである。
本発明の実施の形態の一例としては、該ボールペンチップを本発明のボールペン用インキ組成物を詰めたインキ収容管に接続し、所望によりインキ追従体や外装材などを装着して完体のボールペンを得ることができ、そのような形態で、本実施例、比較例の評価を行った。なお、インキの垂れ下がりを防止するため、ボールペンチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接又は押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖するボールペン構造としても良い。
上記のように実施例1〜32、比較例1〜11により得られた油性ボールペン用インキ組成物について下記の要領により各種評価を行った。
試験及び評価
実施例及び比較例で作製した油性ボールペン用インキ組成物を、前記同様、インキ収容筒(ポリプロピレン)に、ボール径がφ0.7mmのボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ステンレス綱線)を装着したボールペン用レフィルに充填し、筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて書き味評価及びボール受け座の耐摩耗試験を行った。
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
重く感じるもの ・・・×
非常に重く感じるもの ・・・××
実施例1〜32では、動摩擦係数が0.130未満となり、筆記時の抵抗が小さく書き味評価は良好であった。動摩擦係数が0.100未満となった実施例2、実施例5、実施例7、実施例9、実施例12〜15、実施例22、実施例26は、筆記時の抵抗が極めて小さく特に良好な書き味であった。ボール受け座の耐摩耗試験では、いずれも良好な性能が得られた。
比較例1〜8では、球状微粒子を含有していないため動摩擦係数が0.130以上となり、筆記時の抵抗が大きく書き味が重かった。中でも比較例8は、動摩擦係数が0.200以上となり、筆記時の抵抗が極めて大きく特に書き味が重かった。
比較例9〜11では、球状微粒子を用いたものの平均粒子径0.5μm(500nm)の粒子で、その径が大きすぎたため所望の潤滑剤効果が得られず、動摩擦係数が0.200以上となり、筆記時の抵抗が極めて大きく特に書き味が重かった。また、球状微粒子を含有していない比較例8との有意差がなく、球状微粒子を用いた効果が得られなかった。
なお、図4に実施例2と比較例2の対比を、図5に実施例13と比較例6の対比を、筆記距離20m、50m、100m、200m、300m、400m、500mの各点において動摩擦係数を測定しプロットしたグラフにより示したが、両実施例では筆記直後から急激な馴染み摩耗が生じ、すぐに良好な書き味が得られ、その後低い動摩擦係数を保持したまま安定するのに対し、両比較例では、動摩擦係数が徐々に下がり実施例ほど下がることがなく、両実施例と比較例とでは使い始めから使い終わりまで書き味に差があるボールペン用インキ組成物であることがわかった。
本発明は、上記構成としたことなどによって、実用性が広く、且つ、良好な筆記性能を得ることができ、書き味が良好なボールペン用インキ組成物として、また、それを詰めたボールペンとして利用可能である。
1 ボールペンチップ
2 チップ本体
2a チップ先端部
3 ボール抱持室
4 底壁
5 当接面
6 インキ流通溝
7 インキ流通孔
8 チップ後部孔
9 ボール
S1、S2、S3 隙間

Claims (3)

  1. 少なくとも着色剤と溶剤と粘度調整剤を含む、剪断速度3.84sec−1(at20℃)におけるインキ粘度が50〜5000mPa・sのボールペン用インキ組成物において、インキ中に平均粒子径5〜100nmの球状シリカ微粒子をインキ全量に対して7.5〜15.0質量%含有させたことを特徴とするボールペン用インキ組成物、をボールとボール受け座の隙間が0.01〜1μmのボールペンチップを接続したインキ収容管に詰めた、筆記角度70°、筆記荷重1.96N、筆記速度4m/minにて50m筆記した後、荷重センサー上で筆記角度70°、筆記荷重2.16N、筆記速度4m/minにて直線筆記したときの動摩擦係数が0.093〜0.129である、ボールペン。
  2. 前記球状シリカ微粒子が略真球状であることを特徴とする、請求項1に記載のボールペン。
  3. 前記溶剤が油性有機溶剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載のボールペン。
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