JP5747708B2 - 装飾被膜 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂基材表面上であって、レーダ装置経路内に形成される装飾被膜に関するものである。
通信機器やレーダなどの電波を送受信するアンテナは、その機能が優先されることから、アンテナ本体やその周囲の構造が意匠面で制約を受けることは少なく、たとえば、車両用のラジオなどのアンテナにはその形状をむき出しにしたロッドアンテナが使用されている。ところで、アンテナの取り付け位置によっては、アンテナを視認できない状態としたい場合もあり、たとえば、車両前方の障害物との距離や、前方車両との車間距離を測定するレーダなどにおいては、その性能を発揮するために車両前部の中心位置に設けるのが好ましい。このような場合には、たとえば車両のフロントグリル近傍にアンテナを取り付けることとなるが、意匠面からアンテナはなるべく外部から視認不可とするのが望ましい。
ところで、オートクルーズシステムは、車両前方に搭載されているセンサによって前方車両と自車との車間距離や相対速度を測定し、この情報に基づいてスロットルやブレーキを制御し、自車を加減速しながら車間距離をコントロールする技術であり、近年の渋滞緩和や事故減少を目指す高度道路交通システム(ITS)の技術の一つとして注目を集めている。そして、このオートクルーズシステムに使用されるセンサとしては一般に、ミリ波レーダなどの電波送受信装置が使用されている。
車両ボディの前方に装備されるレーダ装置は一般にフロントグリルの背後に配置されることとなるが、このフロントグリルの表面には、車両製造会社のエンブレムや該車両に特有な装飾品が装着されるのが一般的である。レーダ装置から照射されるミリ波はフロントグリルやエンブレムを介して前方に放射され、前方車両や前方障害物などの対象物で反射され、この反射波がフロントグリル等を介してレーダ装置に戻るようになっている。したがって、フロントグリルやエンブレムなどのレーダ装置のビーム経路に配置される箇所には、電波透過損失が少なく、しかも所望の美観を付与できる材料や塗料が用いられることが望ましい。
以上の理由から、電波送受信装置が配置される箇所に対応するフロントグリル箇所には電波が透過可能な窓部を設けることが一般的であり、この窓部を通して電波の出入りを可能としているが、その一方で、窓部が設けられることでフロントグリルの外観が連続性を失うこととなってしまい、この窓部から車両の内側の電波送受信装置やエンジンルームなどが視認可能となって車両の外観が損なわれる危険性が高くなってしまう。そのため、従来は、たとえば特許文献1に開示されるような電波透過カバー(装飾被膜)をフロントグリルの窓部に挿入して、窓部とフロントグリル本体に一体感を持たせることがおこなわれている。
これを図4,5を参照して説明する。図4で示すように、車両ボディAの前方に装備されるレーダ装置DはフロントグリルFの背後に配置され、レーダ装置Dから照射されるミリ波は、図5で示すようにフロントグリルFとその表面のエンブレムEを介して前方に放射され(ミリ波L1)、前方車両や前方障害物などの対象物で反射され、この反射波(ミリ波L2)がエンブレムEおよびフロントグリルFを介してレーダ装置Dに戻るようになっている。
ここで、エンブレムEは、図6a、図6bで示すような装飾被膜M,M’から構成されている。図6aで示す装飾被膜Mは、たとえば銀ナノ粒子Pが有機物層Yの内部に分散して形成されたものである。一方、図6bで示す装飾被膜M’は、特許文献1に開示される形態を模擬したものであり、フロントグリルFの表面にたとえば銀ナノ粒子P’を不連続に蒸着し、この上に有機物層Yが被覆された構成となっている。このように、金属ナノ粒子の分散形態は異なるものの、いずれの形態もミリ波が透過できるように金属ナノ粒子が不連続に分散したものとなっている。
ところで、これらの装飾被膜は、キセノン促進耐候光試験のような耐候性試験によってその性能評価がおこなわれるのが一般的である。本発明者等によれば、この耐候性試験の際に熱や光で金属ナノ粒子が励起され、イオン化して層内を移動すること(膜の状態が変化する)によって金属色調が変化し易い(もしくは色目が変化し易い)という課題の発生が特定されている。
特開2000−159039号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、樹脂基材表面上であって、レーダ装置経路内に形成される装飾被膜に関し、耐候性試験を経た際の色調変化を効果的に抑制することのできる装飾被膜を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による装飾被膜は、レーダ装置経路内に位置する樹脂基材の表面に形成される装飾被膜であって、前記装飾被膜は、第1の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第1の層と、第1の層に接して第1の金属ナノ粒子よりも卑なる第2の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第2の層から形成されているものである。
本発明の装飾被膜は、その適用用途がレーダ装置経路内に位置する樹脂基材(たとえばフロントグリル)の表面であることから、外観上は金属光沢を持ちつつ、電波透過性(電気的絶縁性)を有する被膜である。この装飾被膜は、金属光沢を有することから本来的には通電被膜となり得るが、金属ナノ粒子が層内で不連続に分散され、金属ナノ粒子であることから粒子間距離が極めて短いこと、そのために粒子が緻密に集合していることから、人間の視覚には金属光沢を提供する一方で、一つ一つのナノ粒子を電波が通過する際には電波のミリ波減衰が極めて少なく、結果として、外観上は金属光沢を持ちつつも、電気的絶縁性を有する被膜となり得るものである。なお、ここで、「ミリ波」とは、電磁波の中でもその周波数帯域が30GHz〜300GHz程度の電波のことであり、たとえば、該周波数帯域の76GHz程度を特定することができる。
また、ここでいう「装飾被膜」は、既述する車両製造会社のエンブレムや該車両に特有な装飾品などを構成する構成要素であり、この装飾被膜からなる、もしくは装飾被膜を一部として含むエンブレム等が樹脂基材であるフロントグリルの表面に形成されるものである。
本発明の装飾被膜は、第1の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第1の層と、第1の層に接して第1の金属ナノ粒子よりも卑なる第2の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第2の層から形成されるものであり、相対的に卑なる第2の金属ナノ粒子が分散する第2の層が第1の層に接していることにより、第1の層で分散する第1の金属ナノ粒子のイオン化が抑制され、もって第1の層の色調変化が効果的に抑制されるものである。
ここで、「卑なる」金属とは、一般には水素よりもイオン化傾向が大きくてイオン化し易い金属のことであるが、本明細書においてはこの一般概念の他にも、第2の金属ナノ粒子が第1の金属ナノ粒子に比して相対的にイオン化傾向が大きな金属であるという概念も包含するものである。
本発明では、たとえば外観意匠面を有してその色調変化を抑制したい第1の層に対して、この第1の層内に分散する第1の金属よりも卑なる第2の金属が分散した第2の層を接触させる構成とし、第2の金属のイオン化を促進させることで第1の金属のイオン化を抑制する、いわゆる異種金属接触腐食の技術を応用したものである。
ここで、第1の金属ナノ粒子としては、金やその合金、銀やその合金などの金属ナノ粒子を挙げることができる。また、「ナノ粒子」とは、その平均粒径がナノオーダーの粒子のことであり、ナノ粒子の粒径測定方法としては、金属粒子のSEM画像やTEM画像の一定範囲内にある金属粒子を画像上で抽出し、その平均値を求めて平均粒径とする方法などを挙げることができる。
また、第1の金属ナノ粒子よりも卑なる第2の金属ナノ粒子は、適用される第1の金属ナノ粒子との関係でそれよりもイオン化傾向の大きな金属ナノ粒子が適用されるが、たとえば、アルミニウムやチタン、インジウム、マンガン、鉄、銅、すず、鉛、ビスマスなどを挙げることができる。第2の金属ナノ粒子はイオン化され易い金属であることから微粒子であるナノ粒子を形成し難いのが一般的であるが、ビスマスはナノ粒子を形成し易い金属であることから好適な金属素材である。
第1の層内における第1の金属ナノ粒子、第2の層内における第2の金属ナノ粒子の分散形態は、層を構成する有機物(バインダー樹脂)内で緻密に分散する図6aで示す形態や、図6bで示すように他方の層に対して金属ナノ粒子が不連続に蒸着して分散する分散形態を挙げることができる。
前者の形態は、エタノール等を溶媒とする金属ナノ粒子の分散液を樹脂基材の表面や他方の層の表面に塗工(スプレー塗布やバーコート法塗布などとその後の乾燥)することにより、第1、第2の金属ナノ粒子が有機物からなる層内に分散された第1の層、第2の層を形成することができる。
一方、後者の形態は、金属ナノ粒子をPVD法に包含される真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングや、CVD法に包含される熱CVD、プラズマCVD、レーザCVDなどによって樹脂基材の表面や他方の層の表面に不連続に付着させ、溶剤をこの上に塗工することにより、金属ナノ粒子が樹脂基材の表面に不連続に蒸着等され、この上に有機物からなる前記層が形成された第1の層、第2の層を形成することができる。
また、第1の層と第2の層の接する構成形態としては、以下の2つの構成形態を挙げることができる。
構成形態の一つは、前記第1の層が視認される側に配されて第2の層と視認方向に積層して接している形態である。
装飾被膜がエンブレムの全構成を形成する場合においては、この装飾被膜(エンブレム)が装着されるフロントグリル側から外側(視認される意匠面側)に向かって、第2の層、第1の層、さらに第1の層を防護する透明基材がそれぞれ積層して装飾被膜が形成される。
ところで、第1の層と第2の層の界面には、双方の層(を構成する金属ナノ粒子)の電位差に起因した反応で色調が変化した変質部が形成され得る。そして、上記するように第2の層に第1の層が積層した構成形態の場合において、第1の層の厚みが薄過ぎる場合にはこの変質部が装飾被膜の外部から視認可能となってしまう。
本発明者等によれば、この変質部が装飾被膜の外部から視認不可とする第1の層の厚みとして300nmかそれ以上の厚みが特定されている。
一方、他の構成形態は、前記第1の層と第2の層が視認方向に直交する方向に積層して接しており、双方の接触界面が視認できないように該接触界面の前方に黒層が形成されている形態である。
この形態は既述する形態と第1、第2の層の積層方向が90度異なるものである。そして、この形態では、第1、第2の層の界面が装飾被膜の外周面(意匠面)から近い領域もあり、変質部を外部から視認不可とするためには第1の層の層厚を調整するのみでは不十分であることから第1の層の表面に黒層を設けておくものである。
また、前記第2の層における前記第2の金属ナノ粒子の量が3質量%以上で98質量%以下の範囲に調整されているのが好ましい。
第2の層における第2の金属ナノ粒子の濃度が3質量%を下回ると、第2の層の有する第1の金属ナノ粒子のイオン化抑制効果が期待し難くなり、第1の層における第1の金属ナノ粒子(たとえば銀ナノ粒子等)のイオン化によって色調変化が顕在化することから3質量%を下限値に規定したものである。
一方、第2の層における第2の金属ナノ粒子の濃度が98質量%を上回る(すなわち、バインダー樹脂である有機物の濃度が2質量%未満となる)と、バインダー樹脂量が少な過ぎて層を形成できないことから98質量%を上限値に規定したものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の装飾被膜によれば、レーダ装置経路内に位置する樹脂基材の表面に形成される装飾被膜に関し、異種金属接触腐食の技術を応用して視認される側にある第1の層内で分散する第1の金属ナノ粒子に比して卑なる第2の金属ナノ粒子が分散された第2の層を第1の層に接するようにして装飾被膜を形成することにより、第1の金属ナノ粒子のイオン化を抑制することができ、もって耐候性試験を経た際の装飾被膜の色調変化を効果的に抑制することができる。
本発明の装飾被膜の一実施の形態を説明した模式図である。 本発明の装飾被膜の他の実施の形態を説明した模式図である。 第1の層の層厚を規定する実験結果を示すグラフである。 車両前方のフロントグリル(樹脂基材)とその表面のエンブレム、樹脂基材後方の車両内部に配されたレーダ装置の関係を示した模式図である。 レーダ装置から照射されるミリ波が樹脂基材であるフロントグリルとエンブレムを介して前方に放射され、前方対象物で反射された反射光がエンブレムとフロントグリルを介してレーダ装置に戻っている状況を説明した模式図である。 (a)、(b)はいずれも、従来のエンブレムを構成する装飾被膜の内部構成の実施の形態を説明した模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示する装飾被膜は、第1、第2の金属ナノ粒子が有機物内に分散したもの(従来構造の図6aに対応するもの)であるが、図示例以外にも、基材や他の層に金属ナノ粒子が不連続に蒸着されたもの(従来構造の図6bに対応するもの)であってもよい。
(装飾被膜の実施の形態1)
図1は、本発明の装飾被膜の一実施の形態を説明した模式図である。図1で示す装飾被膜10は、フロントグリルである樹脂基材Kの表面に装着されるエンブレムを構成するものであり、樹脂基材Kの裏面にある不図示のレーダ装置から照射されるミリ波が樹脂基材Kと装飾被膜10(エンブレム)を介して前方に放射され、前方車両や前方障害物などの対象物で反射され、この反射されたミリ波が装飾被膜10と樹脂基材Kを介してレーダ装置に戻るようになっている。
図示する装飾被膜10は、第1の層1と第2の層2が視認方向(X方向)に直交する方向に積層して接しており、さらに、双方の接触界面(図中の界面領域Aに相当)が視認できないように接触界面の前方(図では第2の層2の前面)に黒層3が形成され、第1の層1のさらに外周側に透明基材4が積層されて全体が構成されている。なお、第1の層1が不図示の基材上に積層された装飾被膜であってもよく、この基材の表面(第1の層1が積層しているのと反対側の表面)に接着シール等が貼着してあり、装飾被膜を構成する当該基材の接着シールが樹脂基材Kと接着されるような形態であってもよい。
第1の層1は、バインダー樹脂からなる有機物1b内に第1の金属ナノ粒子1aが分散したものであり、第2の層2は、同様にバインダー樹脂からなる有機物2b内に第2の金属ナノ粒子2aが分散したものであるが、この第2の金属ナノ粒子2aは第1の金属ナノ粒子1aよりもイオン化され易い卑なる金属からなるものである。
第1の金属ナノ粒子1aとしては、金やその合金、銀やその合金などのうちのいずれか一種を使用できるが、中でも材料コストや良好な金属光沢等の観点から銀ナノ粒子を使用するのが好ましい。また、第2の金属ナノ粒子2aとしては、アルミニウムやチタン、インジウム、マンガン、鉄、銅、すず、鉛、ビスマスなどのうちのいずれか一種を使用できる。ここで、第2の金属ナノ粒子はイオン化され易い金属であることから、一般に微粒子であるナノ粒子を形成するのは困難であることを勘案すると、イオン化傾向の大きな金属の中でも比較的ナノ粒子を形成し易い金属であるビスマスのナノ粒子を使用するのが好ましい。
装飾被膜10の形成方法を概説すると、図示する形状の透明基材4を製作し、周辺の窪み箇所に黒層3を形成し、黒層3の表面において中央にマスキングをしながら第2の層2を形成し、中央のマスキングを取り除いてここに第1の層1を形成して装飾被膜10が製作される。ここで、黒層3の表面に第2の層2を形成したり、透明基材4の表面に第1の層1を形成する際には、エタノール等を溶媒とする第2の金属ナノ粒子2aや第1の金属ナノ粒子1aの分散液を黒層3の表面や透明基材4の表面に塗工(スプレー塗布やバーコート法塗布などとその後の乾燥)する。なお、良好な密着性の観点から、第1の層1と第2の層2双方の有機物(バインダー樹脂)は同素材のものを使用するのが好ましい。
第1の層1と第2の層2の界面領域Aには、双方の層(を構成する金属ナノ粒子1a,2a)の電位差に起因した反応によって色調が変化した変質部が形成され得るが、この変質部は黒層3によって外部から視認できないようになっている。
図示する装飾被膜10は、第1の層1を構成する有機物1b内で第1の金属ナノ粒子1aが分散していることで、粒子間距離が極めて短く、もって粒子が緻密に集合して人間の視覚には良好な金属光沢を提供することができ、さらには、一つ一つのナノ粒子を電波が通過する際には、電波のミリ波減衰が極めて少なく、良好な電波透過性を有する被膜となっている。さらに、相対的に卑なる第2の金属ナノ粒子2aが分散する第2の層2が第1の層1に接していることにより、第1の層1内で分散する第1の金属ナノ粒子1aのイオン化が抑制され、もって第1の層1の色調変化を効果的に抑制することができる。このことは特に、キセノン促進耐候光試験のように熱や光で金属ナノ粒子が励起され易い環境下に装飾被膜10がおかれる際にその効果が顕著となる。
(装飾被膜の実施の形態2)
図2は、本発明の装飾被膜の他の実施の形態を説明した模式図である。図2で示す装飾被膜10Aは、第1の層1が視認される側に配されて第2の層2と視認方向(X方向)に積層して接している形態であり、第1の層1のさらに外周側に透明基材4が積層されて全体が構成されている。
装飾被膜10Aにおいても、第1の層1と第2の層2Aの界面領域Aには、双方の層の電位差に起因した反応によって色調が変化した変質部が形成され得る。そして、装飾被膜10のようにこの変質部を外部から視認不可とする黒層3が存在しないことから、仮に第1の層1の層厚tが薄過ぎる場合にはこれが外部から視認可能となってしまう恐れがある。
本発明者等は、後述する実験により、装飾被膜10Aにおける第1の層1の層厚tとして300nm以上を特定しており、この条件を満たすように第1の層1を形成することにより、外部から変質部は視認困難であり、かつ、第2の層2A内で分散する第2の金属ナノ粒子2aのイオン化によって第1の層1の色調変化を効果的に抑制することができる。
[装飾被膜を構成する第2の層における第2の金属ナノ粒子の濃度を規定するキセノン試験とその結果]
本発明者等は、図1で示す実施の形態の装飾被膜(第2の層におけるビスマスの含有量が3質量%の実施例)と、第2の層が存在しない従来構造の装飾被膜(比較例)を試作し、双方にキセノン試験を実施し、実施後の色相変化の程度をLab色差に基づいて測定した。表1にキセノン試験前後のLabの値と色相変化結果を示す。
Figure 0005747708
表1より、実施例の色相変化の程度は比較例の2割程度まで低減しており、銀のイオン化が効果的に抑制され、キセノン試験による色相変化が格段に抑制できることが実証されている。
ここで、第2の層におけるビスマスの濃度が3質量%を下回ると、第2の層の有する銀のイオン化抑制効果が期待し難くなり、第1の層における銀ナノ粒子のイオン化によって色相変化が顕在化することから、ビスマスの濃度は3質量%以上であるのがよい。
一方、第2の層におけるビスマスの濃度が98質量%を上回る、すなわち、バインダー樹脂である有機物の濃度が2質量%未満となると、バインダー樹脂量が少な過ぎて層を形成できないことから、ビスマスの濃度は98質量%以下であるのがよい。したがって、ビスマスの濃度は、第2の層において3質量%以上で98質量%以下に調整されているのがよいと規定することができる。
[装飾被膜を構成する第1の層の層厚を規定するキセノン試験とその結果]
本発明者等はさらに、図2で示す実施の形態の装飾被膜において、色相変化が少なくなる第1の層の層厚を特定するべく、第1の層の層厚を種々変化させてテストピースを試作し、それぞれのテストピースにキセノン試験を実施してそれぞれの色相変化を特定した。以下、表2と図3にその結果を示す。
Figure 0005747708
図3より、第1の層の層厚が300nmのテストピースで変曲点を向かえ、それよりも第1の層の厚みが厚いテストピースでは色相変化が2以下でほとんど変化がないことが実証されており、このことから、図2で示す形態の装飾被膜においては、第1の層の層厚を300nm以上に規定することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…第1の層、1a…第1の金属ナノ粒子、1b…有機物(バインダー樹脂)、2,2A…第2の層、2a…第2の金属ナノ粒子、2b…有機物(バインダー樹脂)、3…黒層、4…透明基材、10,10A…装飾被膜、A…界面領域、F…フロントグリル(樹脂基材)、E…エンブレム、D…レーダ装置、L1…照射されたミリ波、L2…反射されたミリ波

Claims (3)

  1. レーダ装置のビーム経路内に位置する樹脂基材の表面に形成される装飾被膜であって、
    前記装飾被膜は、第1の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第1の層と、第1の層に接して第1の金属ナノ粒子よりも卑なる第2の金属ナノ粒子が有機物内に分散してなる第2の層から形成されており、
    前記第1の層と第2の層が視認方向に直交する方向に積層して接し、かつ、該第1の層は前記ビーム経路内に位置し、該第2の層は前記ビーム経路内に位置しておらず、該第1の層と第2の層の接触界面が視認できないように該接触界面の前方に黒層が形成されている装飾被膜。
  2. 前記第2の層における前記第2の金属ナノ粒子の量が3質量%以上で98質量%以下の範囲に調整されている請求項1に記載の装飾被膜。
  3. 前記第1の金属ナノ粒子が銀からなり、前記第2の金属ナノ粒子がビスマスからなる請求項1または2に記載の装飾被膜。
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