JP5746443B2 - 管の内層構造及びそれに使用する連結部材 - Google Patents
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Description
このうち、特許文献1に記載のものは、組み立てることにより管状、角形又は馬蹄形の筒状体を構成する、内周面を構成する内面板と、該内面板の周縁に立設された外周板とをプラスチックによって一体に形成した流路施設修復用ブロック体を用いて施工されるものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路内に、当該既設管路内面に略沿った中空骨組み状補強材が配置され、その補強材の内側に、既設管路の筒長方向並びに周方向にそれぞれ複数の内面部材が連続的に取り付けられて筒状に組み立てられているとともに、既設管路の筒長方向に隣接している内面部材同士は、互いの端面が当接した状態で、双方の内面部材に跨って配置された内面材連接材により相互に連結されてなり、内面部材と既設管路内面との間に硬化性充填材が充填されてなるものである。
そして、内面材を含む、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、作業完了後においても長期に亘って耐久性のある管の内層構造を提供することができる。
この管の内層構造は、既設管1の内周面に沿って、既設管1の管軸方向に間隔をあけて設置した固定部材2と、この固定部材2に配設した、内面材4が嵌着される第1の嵌着部31及び固定部材2に設置するための第2の嵌着部32を備えた帯状の連結部材3と、この連結部材3の第1の嵌着部31に嵌着して、既設管1の管軸方向に隣接する固定部材2に架設した帯状の内面材4とからなり、連結部材3を分割して構成して、各々の連結部材3に備えるようにした第2の嵌着部32を介して固定部材2に配設するようにしている。
これにより、設置が容易で、作業性がよく、また、鉄筋や形鋼は、汎用材料のため、材料費が低廉である。
この場合、帯状の連結部材3の長手方向、第1の嵌着部31の嵌着方向及び第2の嵌着部32の嵌着方向が、それぞれ直交する方向になるように構成することが好ましい。
これにより、第1の嵌着部31の嵌着方向及び第2の嵌着部32の嵌着方向を、直交する方向になるように構成することによって、第1の嵌着部31及び第2の嵌着部32のそれぞれの嵌着状態を安定して維持することができることに加え、複数の連結部材3の連結状態を安定して維持することができる。
第1の嵌着部31と、第2の嵌着部32とは、必ずしも対応して備える必要はないが、帯状の連結部材3の長手方向の長さ等に応じて、連結部材3の両端部付近とそれ以外の場所に、合計3個以上、7個以下(例えば、30cm幅当たり)の個数を備えることが好ましい。
両端部付近のみ(2個)の場合は、連結部材3に中央部付近で、連結部材3と固定部材2や内面材4との隙間が大きくなるので好ましくない。ここで、中間部に備えた第2の嵌着部32は、固定部材2が固定部材2の周りに回転することを防止する機能を果たしている。
一方、8個以上あると連結部材3と固定部材2や内面材4との隙間は小さくなるが、施工性が劣り、材料も多く必要になるので好ましくない。
また、連結部材3に複数個の第1の嵌着部31及び第2の嵌着部32を備える場合には、第1の嵌着部31及び第2の嵌着部32を帯状の連結部材3の長手方向における同じ位置に設けるようにすることが好ましい。
これにより、内面材4を嵌着させる際に第1の嵌着部31にかかる力が、第2の嵌着部32を介して固定部材2によって支持されるため、当該力によって連結部材3が撓むことがなく、内面材4を連結部材3の第1の嵌着部31に確実に嵌着させることができる。
連結部材3は、公知の任意の方法で製造することができる。合成樹脂が熱可塑性樹脂ならば、例えば、射出成形により製造することができ、金属ならば、例えば、溶接や鋳造により製造することができる。
なお、係止爪31a及び係止爪41aの長さ(高さ方向の寸法)は適宜決めることができるが、既設管1の径に対して補修後の管の径が小さくなりすぎて流下能力が低下しないように長さが短いほうが好ましい。
また、両端部の第1の嵌着部31は、係止爪31aを形成せずに、隣接する内面材4の端縁同士を抜け止め状に嵌着する内面材連接材5を介して連結するようにしている。
このため、連結部材3と内面材4の既設管1の周方向の両端部の位置を一致させるようにしている。
これにより、内面材4の位置決めが容易になり、施工性が向上する。
この場合、連結部材3と内面材4の既設管1の周方向の両端部の位置を一致させるために、連結部材3と内面材4の既設管1の周方向の長さ及び幅を同じにするほか、連結部材3の長さが内面材4の幅の整数倍であり連結部材3の適切な位置に内面材4の両端縁を嵌着する部位を設けるようにしたり、内面材4の幅が連結部材3の長さの整数倍となるようにすることもできる。
また、連結部材3と内面材4との隙間は、1〜10mmが好ましい。
1mm未満の場合には、連結部材3及び内面材4の寸法誤差により、連結部材3の第1の嵌着部31と内面材4の被嵌着部の位置のずれを吸収し難くなるため好ましくない。一方、10mmを超えると、既設管1の径に対して補修後の管の径が小さくなりすぎ、流下能力が低下するので好ましくない。
U字状の溝で構成した第2の嵌着部32は、図2(b)に示すように、並設された2本の固定部材2に嵌入する長さを備えるようにする。
これにより、第2の嵌着部32を、接続部分において2本が並設される固定部材2を抱持するようにして、固定部材2に安定して嵌着させることができる。
また、スタビライザ34を設けることにより、固定部材2に設置した第2の嵌着部32が、固定部材2の周りに回転することを防止することができる。
そして、第2の嵌着部32のうち、例えば、両端部の第2の嵌着部32は、必要に応じて、その内面に嵌入された固定部材2が抜け止め状に保持されるようにするための突起32bを形成するようにしている。
また、第2の嵌着部32は、既設管1の中心軸に向かう方向の寸法が、固定部材2の寸法(径)よりも、1〜15mm大きいことが好ましい。
これにより、連結部材3や内面材4を既設管1の周方向に並べた際に、連結部材3や内面材4の寸法誤差等による隙間が生じないように調整することができる。
なお、本実施例において、固定部材2に設置するための第2の嵌着部32は、横方向(既設管1の管軸方向)に開口32aを備えたものとしたが、開口の方向を放射方向(既設管1の内周面方向)としたり、開口を有しない孔形状(当該孔に固定部材2を挿通するようにする。)に形成することもできる。
また、本実施例において、固定部材2に設置するための第2の嵌着部32は、横方向(既設管1の管軸方向)の同じ方向に開口32aを備えたものとしたが、第2の嵌着部32の開口32aの方向を、基準点を挟んで180°異なる方向を向くようにすることもできる。
ここで、基準点は、帯状の連結部材3の長手方向の中間位置近傍に設定することが好ましい。
これにより、基準点を回転中心として連結部材3を回転させることによって、第2の嵌着部32を固定部材2に順次簡易に嵌着させることができる。
これにより、内面材4を作業性よく、かつ、周方向に凹凸を生じないように精度高く配設することができる。具体的には、内面材4により連結部材3の第1の嵌着部31が見え難い状態においても、内面材4を連結部材3上を連結部材3の長さ方向に移動させることで、内面材4の係止爪41aに対応する連結部材3の第1の嵌着部31の位置を特定することができる。
また、第1の嵌着部31を設ける間隔が異なるように、例えば、本実施例に示すように、両端部の第1の嵌着部31と、この第1の嵌着部31と隣り合う第1の嵌着部31との間隔L1と、両端部以外の隣り合う第1の嵌着部31同士の間隔L2とが、異なるように設定することが好ましい。
これにより、内面材4の係止爪41aを位置が対応しない連結部材3の第1の嵌着部31に嵌着した場合、内面材4の他の係止爪41aと連結部材3の第1の嵌着部31とに位置ずれが生じて嵌着できなくなるため、内面材4の誤装着を未然に防止することができ、内面材4の係止爪41aに対応する連結部材3の第1の嵌着部31の位置を正確に特定することができる。
なお、連結部材3は、第2の嵌着部32を介して、既設管1の管軸方向にも位置調整可能である。
これにより、連結部材3を固定部材2に沿って自由度を持って配設することができる。
60mm未満では短がすぎて全周に亘って施工するには本数が多くなりすぎ、施工性が劣る。一方、2400mmを超えると、固定部材2に嵌入し難くなり施工性に劣る。
連結部材3の端部同士の接続は、開口32aの背面側に設けたスタビライザ34に形成したスリット状の溝34aに、図4(c)又は(d)に示すような接続片35を取り付けることにより行うほか、ボルト・ナット等により固定して接続することもできる。
これにより、接続片35を介して接続された連結部材3の一体性を向上することができる。
このため、接続片35には、図4(c)に示すような、スタビライザ34に形成したスリット状の溝34aに挿入される軸部35aの両端に挟持部35b及び当接部35cを設けることにより連結部材3の端部間の距離dの最大値を規制するようにしたものや、図4(d)に示すような、軸部35aの両端に挟持部35bをそれぞれ設けることにより連結部材3の端部間の距離dを一定に規制するようにしたものを用いることができる。
これにより、連結部材3及び内面材4を敷設する既設管1の曲率(直径)の違いによる連結部材3と内面材4との寸法のずれを、スペーサ機能を備えた接続片35によって吸収することができ、内面材4を連結部材3の第1の嵌着部31に確実に嵌着させることができ、内面材4を取り付ける際の作業効率を向上することができる。
ここで、接続片35によって吸収するようにする連結部材3と内面材4との寸法のずれ、すなわち、連結部材3の端部間の距離dは、既設管1の曲率(直径)により異なり、直径1000mmの既設管1で、10mm程度、直径2000mmの既設管1で、5mm程度に設定するようにする。
なお、接続片35は、連結部材3と別部材で構成するようにしたが、連結部材3の一方側に一体に形成するようにすることもできる。
そして、内面材4及び内面材連接材5の材質は、特に限定されるものではなく、合成樹脂や表面処理した金属から構成することができるが、重量や製造のし易さ等から合成樹脂を好適に用いることができる。特に下水管を補修する際には、耐薬品性、耐摩耗性及び耐アルカリ性を有する合成樹脂を用いるようにする。そのような合成樹脂としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。なお、下水管以外の補修においても、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等の合成樹脂製のものを好適に用いることができる。
内面材4及び内面材連接材5は、公知の任意の方法で製造することができる。合成樹脂が熱可塑性樹脂の場合やアルミニウムの場合で、かつ、長尺のものを得るには、例えば、押出成形により製造することができる。
60mm未満では幅が狭すぎて全周に亘って施工するには本数が多くなりすぎ、施工性が劣る。一方、600mmを超えると、人孔から搬入するのが難しい場合があり、かつ、幅が広すぎて狭い管内での施工性に劣る。
内面材4や内面材連接材5が補修に必要な長さよりも短い場合は、内面材4や内面材連接材5を溶着、接着、溶接等により長手方向に接合することにより、接合部で漏水のない構造にすることが好ましい。
内面材4や内面材連接材5の接合方法は、材質に合わせて公知の方法が適用できる。例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂からなる場合は溶着により、ポリ塩化ビニルからなる場合は接着により、金属からなる場合は溶接により接合することができる。
これにより、第1のはね40aが接続用空間40の止水性を向上するとともに、接続用空間40のあそびを吸収し、さらに、内面材4の接続状態が解除される方向の力に対して抵抗となって内面材4の内面材連接材5による接続状態を安定させることができる。
ここで、内面材4の内面材連接材5による接続は、本実施例においては、図2(a)及び(c)に示すように、内面材4の端部に係止爪40bを形成し、隣接する内面材4の係止爪40b同士を内面材連接材5に形成した係止爪5bにより抱持するようにして行うようにしている。
また、内面材連接材5の内天部には、止水材7を配設し、係止爪40bの先端を当接することにより、内面材連接材5による止水を確実に行うことができるようにしている。
また、内面材連接材5の両側部には、内面材4の表面に達する第2のはね5aを延設することにより、第2のはねによって接続用空間40を閉鎖し、止水性を一層向上することができるようにしている。
また、内面材連接材5の第2のはね5aの下面から係止爪5bの両外側下端にかけて柔軟性を有する止水材8を配設することにより、第2のはね5aと内面材4の間及び係止爪5bと第1のはね40aの間の止水を確実に行うことができるようにするとともに、内面材4の内面材連接材5による接続状態の安定性を高めることができるようにしている。
なお、図3に示すように、第1のはね40aや止水材8は、省略することもできる。
この場合も、既設管1の周方向の端部に形成される凹状の接続用空間40を閉鎖するように延びる第1のはね40aを内面材4の基部側から延設するようにすることができる。
これにより、第1のはね40aが接続用空間40の止水性を向上するとともに、接続用空間40のあそびを吸収し、さらに、内面材4の接続状態が解除される方向の力に対して抵抗となって内面材4同士の接続状態を安定させることができる。
ここで、内面材4同士の接続は、内面材4の嵌合部42に係止爪42aを形成し、この係止爪42aを隣接する内面材4の嵌合部43に形成した係止爪43aにより抱持するようにして行うようにしている。
また、内面材4の嵌合部43の内天部には、止水材7を配設し、係止爪43aの先端を当接することにより、嵌合部42、43による止水を確実に行うことができるようにしている。
一方の内面材4の嵌合部43に、隣接する他方の内面材4の表面に達する第2のはね40cを内面材4の基部側から延設するようにすることにより、第2のはね40cが接続用空間40を閉鎖し、止水性を一層向上することができるようにしている。
そして、図6(e)に示すように、隣接する内面材4の端縁同士を抜け止め状に嵌着する内面材連接材5を介して連結し、内面材4及び内面材連接材5の既設管1の管軸方向の両端部の処理を行った後、図6(f)に示すように、既設管1の内周面と内面材4によって区画された環状の隙間にモルタル6を注入、硬化させて、施工を完了する。
2 固定部材
21 定着部材
3 連結部材
31 第1の嵌着部
31a 係止爪
32 第2の嵌着部
33 連結片
34 スタビライザ
35 接続片
4 内面材
40 接続用空間
40a 第1のはね
40b 係止爪
40c 第2のはね
41a 係止爪
5 内面材連接材
5a 第2のはね
6 モルタル
7 止水材
8 止水材
Claims (12)
- 管の内周面に沿って、管軸方向に間隔をあけて設置した固定部材と、該固定部材に配設した、内面材が嵌着される第1の嵌着部を備えた連結部材と、該連結部材の第1の嵌着部に嵌着して、管軸方向に隣接する固定部材に架設した帯状の内面材とからなる管の内層構造であって、前記連結部材を、前記固定部材に対して分割して配設するようにするとともに、該連結部材を固定部材に設置するための第2の嵌着部を備えたことを特徴とする管の内層構造。
- 前記第2の嵌着部によって、連結部材が固定部材に沿って位置調整可能に配設するようにしたことを特徴とする請求項1記載の管の内層構造。
- 前記連結部材の第1の嵌着部を形成した面を面一に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の管の内層構造。
- 前記連結部材の各々に複数の第2の嵌着部を備えるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の管の内層構造。
- 管の内周面に沿って設置される固定部材と内面材とを接合するために用いられる連結部材であって、全体形状が帯状をなし、内面材が嵌着される第1の嵌着部と、固定部材に設置するための第2の嵌着部とを備えてなることを特徴とする管の内層構造に使用する連結部材。
- 第1の嵌着部の嵌着方向及び第2の嵌着部の嵌着方向が、直交する方向とされてなることを特徴とする請求項5記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 第2の嵌着部が、固定部材に嵌入するためのU字状の溝からなることを特徴とする請求項5又は6記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 連結部材に複数個の第2の嵌着部を備え、それぞれの第2の嵌着部のU字状の溝の開口方向を、基準点を挟んで180°異なる方向を向くようにしてなることを特徴とする請求項7記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 第2の嵌着部のU字状の溝が、並設された2本の固定部材に嵌入する長さを備えてなることを特徴とする請求項7又は8記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 連結部材に複数個の第1の嵌着部及び第2の嵌着部を備え、該第1の嵌着部及び第2の嵌着部を帯状の連結部材の長手方向における同じ位置に設けるようにしたことを特徴とする請求項5、6、7、8又は9記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 連結部材が、接続片を介して、管の周方向に一体に接続されてなることを特徴とする請求項5、6、7、8、9又は10記載の管の内層構造に使用する連結部材。
- 接続片が、管の周方向に隣接する連結部材の端部間の距離を調整するスペーサ機能を備えてなることを特徴とする請求項11記載の管の内層構造に使用する連結部材。
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