JP5744227B2 - 交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

この発明は、回転二軸上の電圧指令に基づいて交流回転機を制御する交流回転機の制御装置、及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関するものである。
直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器を用いて交流回転機に交流電圧を印加する場合、電力変換器が交流回転機に印加できる電圧振幅の上限は、直流電圧の振幅によって定まる。
電力変換器が交流回転機に印加する電圧を回転二軸上の電圧指令に基づいて制御する場合、交流回転機の回転速度が高くなるに連れ、交流回転機の誘起電圧が大きくなるので、回転二軸上の電圧指令も大きくする必要があるが、直流電圧の振幅によって定まる電圧振幅の上限に達した場合、交流回転機に印加する電圧振幅はそれ以上大きくすることはできない。その一方で、交流回転機に印加する電圧位相は任意に与える余地がある。
例えば特許文献1に記載される従来の交流回転機の制御装置では、電力変換装置の3相出力電流のうち少なくとも2相の電流を検出し、その検出電流を回転座標系上の直交する2軸成分に座標変換し、それぞれの電流指令値との偏差を増幅して得られる電圧指令値を、再び座標変換して3相の電圧指令値を演算し、その電圧指令値に前記電力変換装置の出力電圧が追従するように制御される電力変換装置において、d軸成分の偏差増幅信号の絶対値が第1の制限値以下となるように制限する第1の制限回路と、第1の制限回路の出力信号であるd軸成分電圧指令値Vd *と第2の制限値Vmとからq軸電圧制限値Vqmを、
Vqm=(Vm 2-Vd *2)1/2 なる関係で演算する制御値演算回路と、q軸成分の偏差信号の絶対値が制御値演算回路で演算された制限値Vqm以下に制限する第2の制限値回路とを有し、前記第2の制限値回路の出力信号をq軸成分電圧指令Vq *とするように構成している。
このように構成することで、交流回転機の回転速度が高くなり、電力変換器が出力する電圧振幅が第2の制限値Vmに達した場合、交流回転機に印加する電圧振幅を第2の制限値Vmに保つとともに交流回転機に印加する電圧位相をd軸に対してtan-1(Vqm/Vd *)だけ変化させて制御する。
また、例えば特許文献2に記載される従来の交流回転機の制御装置では、d軸およびq軸の電流指令値と、d軸およびq軸の電流検出値と、周波数演算値と、モータ定数の設定値とに従い、永久磁石モータを駆動する電力変換器の出力電圧指令値を制御し、電力変換器の出力電圧値が制限された場合は、q軸の電流指令値とq軸の電流検出値との偏差により、制御の基準軸とモータの磁束軸との偏差である位相誤差の指令値を作成するようにして制御している。
このように構成することで、交流回転機の回転速度が高くなり、電力変換器が出力する電圧振幅が上限値に到達した場合、q軸の電流指令値とq軸の電流検出値との偏差が大きくなり、この偏差に基づいて制御の基準軸とモータの磁束軸との偏差である位相誤差の指令を与えることによって交流回転機に印加する電圧位相を変化させて制御する。
特開平2−111281号公報 特開2007−252052号公報
特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置では、d軸成分電圧指令値Vd *と第2の制限値Vmとからq軸電圧制限値 VqmをVqm=(Vm 2-Vd *2)1/2 なる関係で演算するようにしていたので、Vd *がVmに近づくと電圧位相が急変してしまい、前記d軸成分の偏差増幅信号が振動的となり、その結果d軸電流がハンチングしてしまう問題があった。
また、特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置では、d軸成分電圧指令値Vd *を第1の制限値以下となるように第1の制限回路で制限し、q軸電圧制限値Vqmはd軸成分電圧指令値Vd *に基づいた平方根演算で与えるようにするが、平方根内の値が負値にならないように第1の制限回路でd軸成分電圧指令値Vd *を制限する。その結果、q軸電圧制限値Vqmの演算が取り得る範囲は、零から第2の制限値Vmの範囲となり、q軸電圧制限値Vqmを負の値にすることはできず、操作できる電圧位相がd軸に対して0〜180度の範囲に限られてしまう問題があった。
また、特許文献2に記載の従来の交流回転機の制御装置では、電力変換器の出力電圧値が制限された場合は、q軸の電流指令値とq軸の電流検出値との偏差により、制御の基準軸とモータの磁束軸との偏差である位相誤差の指令値を作成するようにしているので、Vd *がVmに近づくと電圧位相が急変してしまったり、操作できる電圧位相がd軸に対して0〜180度の範囲に限られてしまう問題は解消できるものの、電力変換器の出力電圧値が制限された場合と制限されない場合で制御の切替を行うため、不連続動作が発生し、切替に起因するトルク脈動が発生するといった問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、不連続動作が伴うような制御切替を行うことなく、電圧飽和中の電圧位相を所望の位相に制御できる交流回転機の制御装置を得ることを目的としている。
この発明に係る交流回転機の制御装置は、回転二軸上の第1軸を交流回転機の回転子磁束と同位相方向とし、前記回転二軸上の第2軸を前記回転二軸上の第1軸と直交する方向とした、前記回転二軸上の第1軸上の電圧指令及び第2軸上の電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、前記電圧指令演算手段が出力する前記回転二軸上の電圧指令に基づいて交流回転機に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記電圧指令演算手段は、前記第2軸上の電圧指令の制限値を前記第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたものである。
この発明の交流回転機の制御装置によれば、第2軸上の電圧指令の制限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたので、電圧印加手段が電圧飽和した場合、電圧印加手段が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができる。
その結果、第1軸上に対する電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも電圧位相の急変を抑え、安定に制御することが可能となる。
上述した、またその他の、この発明の目的、特徴、効果は、以下の実施の形態における詳細な説明および図面の記載からより明らかとなるであろう。
本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。 本発明の実施の形態1における第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットした図である。 本発明の実施の形態1における第1軸を基準にした「第1軸上の電圧指令」と「制限後の第2軸上の電圧指令」の電圧位相をプロットした図である。 本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置の電圧指令演算手段の内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態2における第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットした図である。 本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3における上下限値演算器が出力する上限値と下限値について記した表である。 本発明の実施の形態3において、回転速度が正の場合の、第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットした図である。 本発明の実施の形態3において、回転速度が零の場合の、第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットした図である。 本発明の実施の形態3において、回転速度が負の場合の、第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットした図である。 本発明の実施の形態3における上下限値演算器が出力する上限値と下限値について記した表である。 本発明の実施の形態4における電動パワーステアリングの制御装置の全体構成を示す図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。図1において、回転二軸上の電圧指令を演算する電圧指令演算手段1は第1軸上の電流指令と第2軸上の電流指令、及び第1軸上の検出電流と第2軸上の検出電流に基づいて、第1軸上の電圧指令及び第2軸上の電圧指令を出力する。この第1軸と第2軸は、それぞれ、交流回転機の回転に同期して回転する回転二軸の各軸である。
電圧印加手段2は、前記第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令と交流回転機3の回転位置基づいて、交流回転機3に三相電圧を印加するとともに、交流回転機3の三相電流を座標変換して第1軸上の検出電流及び第2軸上の検出電流として出力する。回転位置検出器4は交流回転機3の回転位置を検出し、前記電圧印加手段2に出力する。
電圧指令演算手段1の内部構成について説明する。減算器5は第1軸上の電流指令から第1軸上の検出電流を減算し、第1軸上の電流偏差を出力する。同様に減算器6は第2軸上の電流指令から第2軸上の検出電流を減算し、第2軸上の電流偏差を出力する。
偏差増幅器7は前記第1軸上の電流偏差を増幅し、第1軸上の電圧指令として出力する。該電流偏差の増幅は比例演算、比例積分演算の何れでも構わない。同様に偏差増幅器8は前記第2軸上の電流偏差を増幅し、第2軸上の電圧指令として出力する。該電流偏差の増幅は比例演算、比例積分演算の何れでも構わない。
乗算器9は、第1軸上の電圧指令の二乗演算を行い、その値を比例演算器10に出力する。比例演算器10は第1軸上の電圧指令の二乗演算値をK1倍して、前記第1軸上の電圧指令の二乗に比例する値を出力する。ここで、K1は任意の正数である。
定数設定器11は予め設定した任意の正数C1を出力する。減算器12は定数設定器11から得たC1から比例演算器10が出力する第1軸上の電圧指令の二乗に比例する値を減算し、出力する。減算器12が出力する値をL1と定義すると、L1は(1)式となる。
L1=C1−K1×(第1軸上の電圧指令の二乗) ・・・ (1)
下限値制限器13は、減算器12の出力L1が所定値L1min以上の場合はL1を出力し、所定値未満の場合は所定値L1minを出力することで、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力する。定数設定器14は予め設定した任意の正数L2の符号を反転させた値−L2を出力する。なお、−L2の値は、前記L1の下限値L1minよりも小さい値に設定する。換言すると、下限値制限器13は−L2以上の任意の値でL1を制限するが、該任意の値L1minは正値、零、−L2以上の負値のいずれでも良い。
本実施の形態1における下限値制限器13は、L1minを負値とし、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力する。
制限器15は第2軸上の電圧指令が、上限値と下限値の範囲内となるように制限するものであり、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が下限値制限器13から得たL1よりも大きい場合はL1を出力し、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が定数設定器14から得た−L2よりも小さい場合は−L2を出力し、それ以外の場合は偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令を出力する。
このように電圧指令演算手段1は、偏差増幅器7の出力を第1軸上の電圧指令、制限器15の出力を第2軸上の電圧指令として、電圧印加手段2へ出力する。
このような構成によって、電圧指令演算手段1は、回転二軸上の第1軸上の電圧指令及び第2軸上の電圧指令を演算するとともに、第2軸上の電圧指令の制限値を、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしている。
次に、電圧印加手段2の内部構成について説明する。座標変換器16は回転位置検出器4から得た回転位置に基づいて、電圧指令演算手段1から得た第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令を座標変換し、三相交流電圧指令であるU相電圧指令、V相電圧指令、W相電圧指令として出力するとともに、三相交流検出電流であるU相検出電流、V相検出電流、W相検出電流を座標変換し、第1軸上の検出電流及び第2軸上の検出電流として出力する。直流電源18から得た直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器17は、前記U相電圧指令、V相電圧指令、W相電圧指令に基づいたU相電圧、V相電圧、W相電圧を交流回転機3に印加する。電流検出器19は交流回転機3のU相電流を検出してU相検出電流として座標変換器16に出力する。同様に電流検出器20は交流回転機3のV相電流を検出してV相検出電流として座標変換器16に出力し、電流検出器21は交流回転機3のW相電流を検出してW相検出電流として座標変換器16に出力する。
このような構成によって、電圧印加手段2は、電圧指令演算手段1が出力する回転二軸上の電圧指令に基づいて交流回転機3に電圧を印加するようにしている。
図2は本発明の実施の形態1における第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットしたものである。
図2において、実線は電圧指令演算手段1が出力する第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットしたものである。また、破線で記載している円は電力変換器17が交流回転機3に印加できる電圧の範囲を示している。電力変換器17は交流回転機3に任意の位相で電圧を印加することができるが、その振幅の最大値は直流電源18から得た直流電圧の大きさに依存した有限の値である。図2の目盛は、電力変換器17が交流回転機3に印加する電圧振幅の最大値を100%としている。また、第2軸上の電圧指令の上限値L1の値は、(1)式のC1を「電力変換器17が出力できる電圧振幅の最大値」、即ち100%の振幅で与え、K1を0.5で与えた場合を扱っている。
図2において、第1軸の電圧指令が−100%の場合は、第2軸上の電圧指令の制限値は、上限値L1は+50%であるとともに、下限値−L2は−100%であるので、第2軸上の電圧指令は−100%〜+50%の範囲の値を取り得る。
また、第1軸の電圧指令が+150%の場合は、第2軸上の電圧指令の制限値は、上限値L1は−12.5%であるとともに、下限値−L2は−100%であるので、第2軸上の電圧指令は−100%〜−12.5%の範囲の値を取り得る。
例えば、第1軸上の電圧指令を−50%、第2軸上の電圧指令を+50%で与えた場合、前記破線で記載している円の内部の□印であり、第1軸上の電圧指令及び、第2軸上の電圧指令ともに、所望の値と一致した電圧を交流回転機3に印加することができる。
また、例えば、第1軸上の電圧指令を−100%、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令を+100%で与えた場合、第2軸上の電圧指令は制限器15によって第2軸上の電圧指令は+50%に制限される。この場合、第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令のベクトル和の振幅は100%を超え、前記破線で記載している円の外部(○印)となる。第1軸上の電圧指令及び、第2軸上の電圧指令のベクトル和が破線で記載している円の外部に存在する場合、電力変換器17が交流回転機3に印加する電圧は○印と同じ位相で且つ振幅は100%となり、破線で記載している円上の●印の電圧が電力変換器17によって出力されることになる。
また、本実施の形態1では、第2軸上の電圧指令の制限値L1として、正の値だけでなく、負の値を許容するようにしている。第1軸上の電圧指令を−173%、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令を+100%で与えた場合、第2軸上の電圧指令は制限器15によって第2軸上の電圧指令は−50%に制限される。この場合、第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令のベクトル和の振幅は100%を超え、前記破線で記載している円の外部(△印)となる。
第1軸上の電圧指令及び、第2軸上の電圧指令のベクトル和が破線で記載している円の外部に存在するので、電力変換器17が交流回転機3に印加する電圧は、△印と同じ位相で且つ振幅は100%となり、破線で記載している円上の▲印の電圧が電力変換器17によって出力されることになる。この▲印を見て判るように、第2軸上の電圧指令の制限値L1が負になる領域では、電力変換器17が交流回転機3に印加する電圧の位相は第1軸に対して180度よりも大きくなる。
このように、本実施の形態1における電圧指令演算手段1は、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する第2軸上の電圧指令の制限値L1として、正及び負の値を許容するようにしているので、制限器15にて制限される前の第2軸上の電圧指令が正の値であっても、図2の場合であれば、第1軸上の電圧指令の振幅が141%よりも大きい場合は、制限器15にて制限された後の第2軸上の電圧指令は負の値になるようにできるので、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができる効果を得る。
図3は、「第1軸上の電圧指令」と「制限前の第2軸上の電圧指令」のベクトル和が100%を超えている場合、即ち、電力変換器17が電圧飽和して、電圧振幅が100%となり電圧位相だけが変化する場合において、第1軸を基準にした「第1軸上の電圧指令」と「制限後の第2軸上の電圧指令」の電圧位相をプロットしたものである。
図において、「第1軸上の電圧指令」の符号は負、「制限前の第2軸上の電圧指令」の符号は正とした。また、(a),(b),(c)は次の条件についてプロットしたものである。
(a):第2軸上の電圧指令の上限を100%に制限した場合
(b):第2軸上の電圧指令の上限を特許文献1に倣い次式で制限した場合
「第2軸上の電圧指令の上限」=
(「電圧振幅の最大値の二乗」−「第1軸上の電圧指令の二乗」)1/2 ・・・(2)
(c):第2軸上の電圧指令の上限を本発明の制限器15によって制限した場合
図3を見て判るように第1軸上の電圧指令がおよそ−50〜0%の範囲の場合は、(a)、(b)、(c)のいずれについても大きな差異はない。一方、−150〜−50%の範囲では(a)、(b)、(c)で差異が発生する。
(a)は、第2軸上の電圧指令の上限を100%に制限したものである。第1軸上の電圧指令がおよそ−150〜−50%の範囲では、第1軸上の電圧指令に対する電圧位相の変化が小さくなり、第1軸上の電圧指令が変化しても、電圧位相は殆ど変化しなくなる。ここでは、電力変換器17の電圧飽和により電圧振幅は100%一定であるので、電圧位相も変化しなくなると電流制御の応答性が著しく低下することになる。また、第1軸上の電圧指令の振幅を図示する範囲外まで大きくしたとしても、出力できる電圧位相は180度未満となる。従って、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができない。
(b)は特許文献1に倣ったものである。第1軸上の電圧指令がおよそ−100〜−50%の範囲では、第1軸上の電圧指令に対する電圧位相の変化が大きくなり、特に第1軸上の電圧指令が−100〜−90%近傍であるときは第1軸上の電圧指令が僅かに変化しただけで、電圧位相が急変する。換言すると第1軸に対する電圧位相を150〜180度に制御しようとしたとき、第1軸上の電圧指令が僅かな振動をしただけで電圧位相が変化するので、電圧位相に振動やハンチングが現れやすい。
また、(2)式の演算は平方根を利用しているので「第1軸上の電圧指令の二乗」が「電圧振幅の最大値の二乗」よりも大きくなると演算不能となるので、第1軸上の電圧指令の大きさは100%以下でなければならず、その結果、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができない。
(c)は本実施の形態1に記載の制限器15によって第2軸上の電圧指令の上限を制限したものである。ここでは、(1)式のC1を「電力変換器17が出力できる電圧振幅の最大値」、即ち100%の振幅で与え、K1を0.5で与えている。
第1軸上の電圧指令が−150〜−50%の範囲でも、第1軸上の電圧指令が−50〜0%の範囲の場合と、第1軸上の電圧指令に対する電圧位相の変化は殆ど変化しない。
このように、本実施の形態1に記載の制限器15によって、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態では、第1軸上の電圧指令の振幅の変化に応じて直線的に電圧位相を変化させることが可能である。
また、上述したように下限値制限器13は、L1minを負値とし、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力しているので、第1軸上の電圧指令の振幅が141%を超えると、図2のように制限器15の上限値も正から負に変化する。従って、第1軸上の電圧指令の振幅が141%を超えるように、第1軸上の電圧指令を−141%以下にすれば、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができる。即ち、電圧指令演算手段1は、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する第2軸上の電圧指令の制限値として、正及び負の値を許容するようにしたので、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができる効果を得る。
第1軸に対する電圧位相の制約を解けば、交流回転機3の制御できる電流範囲の制約もなくなり、より高い回転数まで安定に制御することが可能となる。
このように、特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置では、電力変換器が電圧飽和した状態で、第1軸上の電圧指令が−100〜−90%近傍であるときは、第1軸上の電圧指令が僅かに変化しただけで、電圧位相が急変し、電圧位相に振動やハンチングが現れやすい問題があった。
一方、本実施の形態1の交流回転機の制御装置によれば、第2軸上の電圧指令の制限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたので、電圧印加手段2の電力変換器17が電圧飽和した場合、電力変換器17が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができる。その結果、第1軸上に対する電圧位相が180度、即ち、電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも安定に制御することが可能となる、といった効果がある。
また、特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置では、第2軸上の電圧指令の制限値の演算に平方根を利用しているため、第1軸上の電圧指令の大きさは100%以下でなければならず、その結果、第1軸に対する電圧位相を180度よりも大きくすることができない問題があった。
一方、本実施の形態1の交流回転機の制御装置によれば、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する第2軸上の電圧指令の制限値として、正及び負の値を許容するようにしたので、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態でも、制限器15によって制限された第2軸上の電圧指令を負の値にすることが可能となり、第1軸に対する電圧位相を0〜180度の範囲を超えた広範囲に操作できる効果を得る。
また、特許文献2に記載の従来の交流回転機の制御装置では、電力変換器の出力電圧値が制限された場合と制限されない場合で制御の切替を行うため、不連続動作が発生し、切替に起因するトルク脈動が発生するといった問題があった。
一方、本実施の形態1の交流回転機の制御装置によれば、制限器15によって、第2軸上の電圧指令の上限値と下限値を操作するだけであり、特殊な制御の切替が不要である。従って、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%近傍であっても、制御切替に起因するトルク脈動が発生しないといった効果を得る。
なお、本実施の形態1では、回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とし、回転二軸上の第2軸を回転二軸上の第1軸と直交する方向となるように構成する。具体的には、座標変換器16での座標変換を公知の手法で回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向と同期して回転するようにすれば良い。回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とした場合、第1軸上の電圧指令の振幅に応じて、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令は制限器15によって制限されることになる一方、偏差増幅器7が出力する第1軸上の電圧指令は制限されないので、回転子磁束と同位相方向の電流偏差が零になるように作用する。
このように作用している場合、回転子磁束と直交方向の電流は制限器15により所望の値に制御できないことがあるものの、偏差増幅器7の出力は制限されないので、回転子磁束と同位相方向の電流は所望の値に制御することができる。従って、回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とすることで、回転子磁束を打ち消す方向に電流を所望の値に制御することが可能であり、誘起電圧を低減させることが可能となる。
これにより、交流回転機3の回転速度をより高い範囲まで動作させることができるといった効果を得る。
実施の形態2.
回転二軸上の第1軸を交流回転機の回転子磁束と同位相方向とし、回転二軸上の第2軸を回転二軸上の第1軸と直交する方向となるように構成した場合、制限器15で制限される前の第2軸上の電圧指令の符号は、交流回転機3の回転速度の符号によって異なる。
前記実施の形態1では、下限値制限器13は、L1minを負値とし、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力していた。また、制限器15は第2軸上の電圧指令が下限値制限器13から得たL1よりも大きい場合はL1を出力し、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が定数設定器14から得た−L2よりも小さい場合は−L2を出力し、それ以外の場合は偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令を出力するようにしていた。
このような構成の場合、交流回転機3の回転速度の符号によっては、交流回転機の回転速度が高い場合であっても、第2軸上の電圧指令が第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する動作とならず、交流回転機の回転速度と出力トルクの特性が回転速度の符号によって異なってしまう。
そこで、本実施の形態2では交流回転機の回転速度と出力トルクの特性を、交流回転機の回転速度の符号に依存しないようにする電圧指令演算手段を備えたものである。
図4は本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置の電圧指令演算手段1aを示す図であり、実施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
下限値制限器13aは、減算器12の出力L1が所定値L1min以上の場合はL1を出力し、所定値未満の場合は所定値L1minを出力することで、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力する点は前記実施の形態1の下限値制限器と同じであるが、L1minを零としL1が零以上になるように制限している点が異なっている。符号反転器30は下限値制限器13aから得たL1の符号を反転して−L1を出力する。
制限器15aは第2軸上の電圧指令が、上限値と下限値の範囲内となるように制限するものであり、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が、下限値制限器13aから得たL1よりも大きい場合はL1を出力し、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が符号反転器30から得た−L1よりも小さい場合は−L1を出力し、それ以外の場合は偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令を出力する。
このように電圧指令演算手段1aは、偏差増幅器7の出力を第1軸上の電圧指令、制限器15aの出力を第2軸上の電圧指令として、電圧印加手段2へ出力する。
図5は本発明の実施の形態2における第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットしたものである。
図5において、実線は電圧指令演算手段1aが出力する第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係をプロットしたものである。また、破線で記載している円は電力変換器17が交流回転機3に印加できる電圧の範囲を示している。
図5の目盛は、図2と同様に電力変換器17が交流回転機3に印加する電圧振幅の最大値を100%としている。
前記実施の形態1では、制限前の第2軸上の電圧指令がL1より大きい場合、第2軸上の電圧指令の制限値L1は第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する構成になっていたが、制限前の第2軸上の電圧指令が−L2より小さい場合、第2軸上の電圧指令の制限値L2は固定値であったので、制限後の第2軸上の電圧指令は第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少しなかった。一方、本実施の形態2では、制限前の第2軸上の電圧指令がL1より大きい場合、第2軸上の電圧指令の制限値L1は第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するので制限後の第2軸上の電圧指令も第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する上に、制限前の第2軸上の電圧指令が−L1より小さい場合であっても、制限後の第2軸上の電圧指令の振幅は第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する。
本実施の形態2における電圧指令演算手段1aは、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する第2軸上の電圧指令の制限値L1として、正の値のみを許容する構成にしているので、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態で、第1軸に対する電圧位相を0〜180度の範囲を超えた範囲で操作することはできないが、第2軸上の電圧指令の符号に関わらず、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態では、制限後の第2軸上の電圧指令の振幅が第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにできる。その結果、電力変換器17が電圧飽和した場合、電力変換器17が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができるので、第1軸上に対する電圧位相が180度、即ち、電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも安定に制御することが可能となる、といった効果を得る。
従って、交流回転機3の回転速度の符号に関わらず、交流回転機の回転速度が高くて電力変換器17が電圧飽和する場合は、第2軸上の電圧指令の振幅は第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する動作となるので、交流回転機の回転速度と出力トルクの特性が回転速度の符号に依存しないようになる、といった効果を得る。
実施の形態3.
実施の形態2に記載した電圧指令演算手段1aは、第2軸上の電圧指令の符号に関わらず、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態では、制限後の第2軸上の電圧指令の振幅が第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにできるものの、第1軸に対する電圧位相を0〜180度の範囲を超えた範囲で操作することはできなかった。
そこで、本実施の形態3では交流回転機の回転速度と出力トルクの特性は交流回転機の回転速度の符号に依存しないように保ちつつ、電力変換器17が電圧飽和する場合に第1軸に対する電圧位相を0〜180度の範囲を超えた範囲で操作可能な交流回転機の制御装置について説明する。
図6は本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置の構成を示す図であり、前記実施の形態と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
回転二軸上の電圧指令を演算する電圧指令演算手段1bは、第1軸上の電流指令と第2軸上の電流指令、及び第1軸上の検出電流と第2軸上の検出電流と、回転位置検出器4から得た交流回転機3の回転位置に基づいて、第1軸上の電圧指令及び第2軸上の電圧指令を出力する。電圧指令演算手段1bの内部の定数設定器40は予め設定した任意の正数L2を出力する。
上下限値演算器41は、下限値制限器13から得たL1と定数設定器40から得たL2と回転速度演算器42から得た回転速度に基づいて、上限値及び下限値を制限器15bに出力する。回転速度演算器42は、回転位置検出器4から得た回転位置の変化率に基づいて演算した回転速度を出力する。制限器15bは第2軸上の電圧指令が、上限値と下限値の範囲内となるように制限するものであり、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が上下限値演算器41から得た上限値よりも大きい場合は上限値を出力し、偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令が上下限値演算器41から得た下限値よりも小さい場合は下限値を出力し、それ以外の場合は偏差増幅器8から得た第2軸上の電圧指令を出力する。
図7は上下限値演算器41が出力する上限値と下限値について記した表である。
図7を見て判るように、回転速度が正の場合、上下限値演算器41が出力する上限値と下限値はそれぞれL1、−L2となる。この場合、制限器15bによって動作する第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係は図8のようになる。
図8を見て判るように、回転速度が正の場合、制限器15bは実施の形態1と同様に動作する。本実施の形態3においても、前記実施の形態1と同様に回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とし、回転二軸上の第2軸を回転二軸上の第1軸と直交する方向となるように構成している。この構成では、回転速度の符号が正でかつ高回転速度の場合、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令は正方向に大きくなる。
電力変換器17が電圧飽和した場合、制限器15bは第2軸上の電圧指令が第2軸上の電圧指令の上限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたので、電力変換器17が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができる。その結果、第1軸上に対する電圧位相が180度、即ち、電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも安定に制御することが可能である。
さらに、下限値制限器13は、L1minを負値とし、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力するようにしているので、電力変換器17が電圧飽和した場合、制限器15bによって制限された第2軸上の電圧指令を負の値にすることが可能となり、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態でも、第1軸に対する電圧位相を0〜180度の範囲を超えた広範囲に操作できる。
また、図7に記載したように回転速度が零の場合、上下限値演算器41が出力する上限値と下限値はそれぞれL2、−L2となる。この場合、制限器15bによって動作する第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係は図9のようになる。
電力変換器17の電圧飽和は、交流回転機3の回転速度が大きい場合に発生し、回転速度が零の場合は電圧飽和しないので、第2軸上の電圧指令の制限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少させる必要もない。
また、図7を見て判るように回転速度が負の場合、上下限値演算器41が出力する上限値と下限値はそれぞれL2、−L1となる。この場合、制限器15bによって動作する第1軸上の電圧指令と第2軸上の電圧指令の制限値の関係は図10のようになる。
回転速度の符号が負でかつ高回転速度の場合、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令は符号が負で振幅は大きくなる。電力変換器17が電圧飽和した場合、制限器15bは第2軸上の電圧指令が第2軸上の電圧指令の下限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたので、電力変換器17が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができる。その結果、第1軸上に対する電圧位相が−180度、即ち、電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも安定に制御することが可能である。
さらに、下限値制限器13は、L1minを負値とし、L1がL1min以上になるように制限してL1を出力するようにするとともに、回転速度が負の場合、上下限値演算器41が出力する下限値は−L1であるので、電力変換器17が電圧飽和した場合、制限器15bによって制限された第2軸上の電圧指令を正の値にすることも可能であり、電力変換器17が電圧飽和により電圧振幅が100%一定である状態でも、第1軸に対する電圧位相を0〜−180度の範囲を超えた広範囲に操作できる。
以上のように、本実施の形態3の交流回転機の制御装置における電圧指令演算手段1bは、回転方向に応じて第2軸上の電圧指令の上限値、若しくは第2軸上の電圧指令の下限値のいずれかを、第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する第2軸上の電圧指令の制限値となるようにしたので、交流回転機の回転速度と出力トルクの特性は交流回転機の回転速度の符号に依存しないように保ちつつ、電力変換器17が電圧飽和する場合に第1軸に対する電圧位相を0〜180度、若しくは0〜−180度の範囲を超えた範囲でも操作可能となる。
また、本実施の形態3の交流回転機の制御装置によれば、第2軸上の電圧指令の制限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたので、電力変換器17が電圧飽和した場合、電力変換器17が出力する電圧振幅は一定で、且つ、第1軸上の電圧指令の大きさの変化に応じて第1軸上に対する電圧位相を線形的に変化させることができる。その結果、第1軸上に対する電圧位相が180度、即ち、電圧位相が第1軸上に近づくような場合でも安定に制御することが可能となる、といった効果がある。
また、回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向としたので、第1軸上の電圧指令の振幅に応じて、偏差増幅器8が出力する第2軸上の電圧指令は制限器15によって制限される一方、偏差増幅器7が出力する第1軸上の電圧指令は制限されないので、回転子磁束と同位相方向の電流偏差が零になるように作用する。回転子磁束と直交方向の電流は制限器15により所望の値に制御できないことがあるものの、偏差増幅器7の出力は制限されないので、回転子磁束と同位相方向の電流は所望の値に制御することができる。従って、回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とすることで、回転子磁束を打ち消す方向に電流を所望の値に制御することが可能であり、誘起電圧を低減させることが可能となる。これにより、交流回転機3の回転速度を符号を問わず、より高い範囲まで動作させることができるといった効果を得る。
なお、上述したように、電力変換器17の電圧飽和は、交流回転機3の回転速度が大きい場合に発生する。換言すると、回転速度が所定値A1以下の場合は電圧飽和しないので、回転速度が所定値A1以下の場合は、第2軸上の電圧指令の制限値を第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少させる必要もない。このことから、上下限値演算器41が出力する上限値と下限値は、図7に記載の表の代わりに図11に記載の表を用いても良いことは言うまでもない。
実施の形態4.
前記実施の形態1〜3では交流回転機の制御装置について説明したが、該交流回転機の制御装置によって操舵トルクを補助するトルクを発生させるようにして電動パワーステアリングの制御装置を構成するようにしても良い。
交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置において、運転手がハンドルを回転させるときのハンドル回転速度の上限は、交流回転機の回転速度の上限に依存する。このハンドル回転速度の上限が高いほど、緊急回避操舵に優れた転追性の良い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
図12は実施の形態4における電動パワーステアリングの制御装置の構成を示す図であり、前記実施の形態と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。運転手は、ハンドル50を左右に回転させて前輪51の操舵を行う。
トルク検出手段52はステアリング系の操舵トルクを検出して検出トルクを電流指令演算手段53に出力する。電流指令演算手段53はステアリング系の操舵トルクを補助するトルクを交流回転機3が発生するように、該検出トルクと回転速度演算器42から得た回転速度に基づいて第1軸上の電流指令及び第2軸上の電流指令を演算し、出力する。
本実施の形態4においても、回転二軸上の第1軸を交流回転機3の回転子磁束と同位相方向とし、回転二軸上の第2軸を回転二軸上の第1軸と直交する方向となるように構成する。電流指令演算手段53は、回転速度演算器42から得た回転速度の大きさが大きくなると回転子磁束を打ち消す方向に第1軸上の電流指令を出力することで、交流回転機3の回転速度をより高い範囲まで動作できるようにして、緊急回避操舵に優れた転追性の良い電動パワーステアリング装置をえることができるといった効果が得られる。
この発明は、車両に搭載される、例えば電動パワーステアリング装置に用いて好適な交流回転機の制御装置である。
1 電圧指令演算手段、2 電圧印加手段、3 交流回転機、4 回転位置検出器、5 減算器、6 減算器、7 偏差増幅器、8 偏差増幅器、9 乗算器、10 比例演算器、11 定数設定器、12 減算器、13 下限値制限器、14 定数設定器、15 制限器、16 座標変換器、17 電力変換器、18 直流電源、19 電流検出器、20 電流検出器、21 電流検出器。

Claims (4)

  1. 回転二軸上の第1軸を交流回転機の回転子磁束と同位相方向とし、前記回転二軸上の第2軸を前記回転二軸上の第1軸と直交する方向とした、前記回転二軸上の第1軸上の電圧指令及び第2軸上の電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、前記電圧指令演算手段が出力する前記回転二軸上の電圧指令に基づいて交流回転機に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
    前記電圧指令演算手段は、前記第2軸上の電圧指令の制限値を前記第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少するようにしたことを特徴とする交流回転機の制御装置。
  2. 前記電圧指令演算手段は、回転方向に応じて、前記第2軸上の電圧指令の上限値、若しくは前記第2軸上の電圧指令の下限値のいずれかを、前記第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する前記第2軸上の電圧指令の制限値となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. 前記電圧指令演算手段は、前記第1軸上の電圧指令の二乗に比例して減少する前記第2軸上の電圧指令の制限値として、正及び負の値を許容するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交流回転機の制御装置。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
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