JP5743465B2 - レーザー光を用いた部材の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、予め接合されている第1部材及び第2部材をレーザー光を用いて分離させる分離方法に関するものである。
従来から、例えば家電製品や住宅設備機器等の製造現場において、2つの部材を接合する方法として、レーザー光の照射による接合方法が広く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1〜3に開示されている接合方法では、レーザー光を透過する第1部材と第2部材との間に、レーザー光の照射に先立ってレーザー接合用中間部材を介在させる。その後、第1部材側からレーザー光を照射することによってレーザー接合用中間部材を加熱して溶融又は軟化させ、この中間部材によって第1部材及び第2部材を接合するようにしている。
特許文献1のレーザー接合用中間部材は、エラストマーからなるものである。このレーザー接合用中間部材を用いることで、接合界面に生じる応力を低減させることができる点で有効である。
特許文献2のレーザー接合用中間部材は、多層シートからなるものである。このレーザー接合用中間部材を用いることで、種々の材料を簡便に接合できる点で有効である。
特許文献3のレーザー接合用中間部材は、粘着性を有している。このレーザー接合用中間部材を用いることで、接合前における第1及び第2部材の仮固定が可能になるとともに、接合強度を高くすることができる点で有効である。
特開2008−7584号公報 特開2009−173023号公報 国際公開第2008/044349号パンフレット
ところで、近年、各種製品を廃棄する際には、環境保全のため部材を分別回収してリサイクルすることが推進されている。分別する際には、ネジ止め等がされていればネジを緩めることで分別が容易に行えるが、上記のようにレーザー光を用いて接合されている場合には分別が困難であり、資源の有効活用が行えないことがある。
また、レーザー光を用いて接合する際に、例えば第1部材と第2部材との位置合わせに失敗して接合してしまった場合や、接合不良が発生する場合がある。これらの場合には、第1部材と第2部材とを分離するのが困難なので廃棄処分するしかないが、できれば再利用したい。特に、高価な部材の接合に失敗した場合には再利用の要求が強い。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、予め接合してある部材の分別回収をレーザー光を用いて容易に行えるようして資源の有効活用を図り、また、レーザー光を用いた接合に失敗した場合に部材を再利用可能にして廃棄率を低減し、もって、環境保全を推進することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、第1部材と第2部材との接合強度の低下を招くように分離用レーザー光を照射するようにした。
第1の発明は、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質からなるホットメルト材で構成されたレーザー接合用中間部材を第1部材及び第2部材の間に挟んだ状態で接合用レーザー光を用いて上記レーザー接合用中間部材を加熱することによって上記第1部材及び第2部材が接合されてなる接合品に、分離用レーザー光を照射して上記レーザー接合用中間部材を溶融前の状態まで加熱して軟化させ、上記第1部材と第2部材との上記レーザー接合用中間部材による接合強度を低下させ、その後、上記第1部材及び第2部材の一方を他方から分離することを特徴とするものである。
この構成によれば、第1部材及び第2部材を廃棄するにあたって分別する場合には、分離用レーザー光によってレーザー接合用中間部材を加熱して接合強度を低下させる。これにより、小さな力で第1部材と第2部材とを分離することが可能になる。
また、第1部材と第2部材との位置合わせに失敗して接合してしまった場合や、第1部材と第2部材との接合不良が発生している場合には、同様に分離用レーザー光によってレーザー接合用中間部材を加熱して接合強度を低下させることにより、小さな力で第1部材と第2部材とを分離することが可能になる。これにより、第1部材及び第2部材の再利用が可能になる。
第2の発明は、第1の発明において、第1部材がレーザー光透過性を有しており、分離用レーザー光を上記第1部材側からレーザー接合用中間部材に照射することを特徴とするものである。
この構成によれば、分離用レーザー光が第1部材を透過し、レーザー接合用中間部材に達する。これにより、レーザー接合用中間部材が分離用レーザー光により直接的に加熱されることになる。
第3の発明は、第1の発明において、第1部材がレーザー光非透過性を有しており、分離用レーザー光を上記第1部材側から照射することによって該第1部材を発熱させ、該第1部材の熱によってレーザー接合用中間部材を加熱することを特徴とするものである。
この構成によれば、第1部材がレーザー光非透過性を有している場合であっても、分離用レーザー光によりレーザー接合用中間部材を間接的に加熱することが可能になる。
第1の発明によれば、分離用レーザー光の照射によりレーザー接合用中間部材を加熱して第1部材と第2部材との接合強度を低下させるようにしたので、分別回収を容易に行って資源の有効活用を図ることができるとともに、レーザー接合に失敗した場合に部材を再利用でき廃棄率を低減できる。これにより、環境保全を推進できる。
第2の発明によれば、レーザー光透過性を有する第1部材側から分離用レーザー光を照射するようにしたので、レーザー接合用中間部材を効率良く確実に加熱できる。これにより、少ないエネルギで部材を分離させることができる。
第3の発明によれば、レーザー接合用中間部材を間接的に加熱することができるので、第1部材がレーザー光非透過性を有している場合であっても部材を分離させることができる。
第1部材と第2部材とを接合した接合品の斜視図である。 第2部材にレーザー接合用中間部材を置いた状態を示す斜視図である。 分離用レーザー光を照射する場合を示す接合品の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、第1部材1と第2部材2とがレーザー接合用中間部材3により接合されてなる接合品Aである。
第1部材1は、レーザー光を通すレーザー光透過性を有する樹脂材料で構成された板材である。レーザー光透過性とは、レーザー光を殆ど反射も吸収もせずに透過させるか、レーザー光を一部透過及び/又は反射しても溶融することなく、残りのレーザー光を透過させることのできる性質をいい、レーザー光の全てを透過させるものも含む。第1部材1を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリブデン、塩化ビニル、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等が挙げられる。
第2部材2は、レーザー光を透過する、またはレーザー光を通さないレーザー光非透過性を有する材料で構成された板材である。レーザー光非透過性とは、レーザー光を吸収するレーザー光吸収性のことであり、レーザー光を一部透過及び/又は反射しても残りを吸収する性質をいい、レーザー光の全てを吸収するものも含む。第2部材2を構成する材料としては、例えば、金属や金属酸化物、着色樹脂材料等が挙げられ、金属では例えばステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム等がある。
レーザー接合用中間部材3(図2にも示す)は、レーザー光で加熱された際に軟化または溶融するホットメルト材で構成されており、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質(エラストマー)及びそのアロイであり、熱可塑性を有するものである。レーザー接合用中間部材3を構成する材料としては、例えば、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系のエラストマー等やそのアロイが好ましい。特に、スチレン系のエラストマーとしては、スチレン・ブタジエン、スチレン・イソプレン、スチレン・エチレンブチレン等のジブロックやトリブロックを挙げることができる。
レーザー接合用中間部材3を構成する樹脂には、レーザー光を吸収するレーザー光吸収剤が混合されている。レーザー光吸収剤としては、例えば、有機染料や有機顔料、市販のレーザー吸収材やカーボンブラック等が挙げられる。
次に、上記接合品Aの製造要領について説明する。まず、図2に示すように第2部材2における第1部材1側の面(接合面)にレーザー接合用中間部材3を置く。
その後、図1に示すように、第2部材2の接合面に第1部材1を重ねる。第1部材1と第2部材2とは、周知のクランプ用治具(図示せず)を用いて所定の力でクランプする。
しかる後、接合用レーザー光L1を照射する。接合用レーザー光L1の種類としては、例えば、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等のいずれでもよく、レーザー光L1の種類は限定されない。レーザー光L1の種類は、第1部材1及び第2部材2の材料や、厚さ、第1部材1のレーザー光透過度合い等に応じて適宜選択できる。また、レーザー光L1は、1つの波長からなるものであってもよいし、2つ以上の波長を有するものであってもよい。
接合用レーザー光L1は、レーザー光接合用中間部材3に沿うように照射する。この接合用レーザー光L1の出力や走査速度は、レーザー光接合用中間部材3が軟化または溶融する程度で、かつ、第1部材1の変質が起こらない程度であればよく、任意に設定できる。
接合用レーザー光L1の照射後、第1部材1及び第2部材2を冷却することで、接合品Aが得られる。
次に、本発明にかかるレーザー光を用いた部材の分離方法について説明する。この分離方法の使用場面としては、例えば、接合品Aを廃棄する際に第1部材1と第2部材2とを分別回収する場合、第1部材1と第2部材2との位置合わせを失敗して接合してしまい第1部材1や第2部材2を再利用したい場合、第1部材1と第2部材2との接合不良が発生して接合しなおす場合等である。
まず、図3に示すように、接合品Aに分離用レーザー光L2を照射する。分離用レーザー光L2は、接合品Aの第1部材1側から照射し、その照射部分は、接合用レーザー光L1と同じ部分である。分離用レーザー光L2の出力を接合用レーザー光L1の出力よりも小さくするか、走査速度を速くするのが好ましい。すなわち、分離用レーザー光L2により分離させるときには、接合用レーザー光L1により接合するときに比べて、レーザー光の照射により接合品Aが受ける単位体積当たりのエネルギ量(エネルギ密度)が小さくなるようにする。
尚、分離用レーザー光L2により分離させるときには、接合用レーザー光L1により接合するときに比べて、エネルギ密度が大きくなるようにしてもよいし、分離用レーザー光L2により分離させるときと、接合用レーザー光L1により接合するときとでエネルギ密度を同じにしてもよい。
分離用レーザー光L2の殆どは、第1部材1を透過してレーザー接合用中間部材3に達する。レーザー接合用中間部材3は分離用レーザー光L2を吸収する。これにより、レーザー接合用中間部材3が加熱される。
レーザー接合用中間部材3が加熱されると軟化する。レーザー接合用中間部材3が軟化すると第1部材1及び第2部材2の接合強度が低下する。これにより、第1部材1を第2部材2から容易に分離させることが可能になる。
尚、分離用レーザー光L2の出力や走査速度を変更してエネルギ密度を高めると、レーザー接合用中間部材3が発泡したり、分解した状態となる。レーザー接合用中間部材3が発泡、分解した場合は接合強度は大幅に低下する。
接合品Aを廃棄する場合には、上記のようにして分離用レーザー光L2を照射した後、第1部材1を例えば図3の矢印X方向に引っ張って第2部材2から分離させることで、第1部材1と第2部材2とを容易に分別回収できる。
また、第1部材1と第2部材2との位置合わせを失敗して接合してしまった場合にも、分離用レーザー光L2を照射して第1部材1を第2部材2から分離させることで、第1部材1や第2部材2を再利用できる。また、第1部材1と第2部材2との接合不良が発生している場合にも、同様に分離用レーザー光L2を照射して第1部材1を第2部材2から分離させることで、第1部材1と第2部材2とを接合しなおすことができる。
以上説明したように、この実施形態によれば、分離用レーザー光L2の照射によりレーザー接合用中間部材3を加熱して第1部材1と第2部材2との接合強度を低下させるようにしたので、分別回収を容易に行って資源の有効活用を図ることができるとともに、レーザー接合に失敗した場合に第1部材1及び第2部材2を再利用でき廃棄率を低減できる。これにより、環境保全を推進できる。
また、レーザー光透過性を有する第1部材1側から分離用レーザー光L2を照射するようにしたので、レーザー接合用中間部材3を効率良く確実に加熱できる。これにより、少ないエネルギで第1部材1を第2部材2から分離させることができる。
また、レーザー接合用中間部材3の状態を分離用レーザー光L2の照射によって変化させて接合強度を確実に低下させることができ、第1部材1を第2部材2から確実に分離させることができる。
また、図示しないが、第1部材1をレーザー光非透過性の部材からなるものとしてもよい。この場合、接合時には、接合用レーザー光L1が第1部材1に吸収されて第1部材1が発熱し、この第1部材1の熱がレーザー接合用中間部材3に伝わり、レーザー接合用中間部材3が加熱されて第1部材1と第2部材2とが接合される。一方、第1部材1を第2部材2から分離させる場合には、分離用レーザー光L2を接合用レーザー光L1と同様に第1部材1の接合面と反対側の面においてレーザー接合用中間部材3に対応する部分に照射する。これにより、第1部材1が発熱し、この第1部材1の熱がレーザー接合用中間部材3に伝わってレーザー接合用中間部材3が加熱され、接合強度が低下する。
従って、第1部材1がレーザー光非透過性の部材からなるものであっても、分離用レーザー光L2の照射によりレーザー接合用中間部材3の接合強度を低下させることができるので、第1部材1を第2部材2から容易に分離させることができる。
また、本発明は、家電製品や住宅設備機器以外にも、レーザー光を用いて接合された各種接合品を廃棄する場合や、各種接合品の接合を失敗した場合等に用いることができる。
また、第2部材2を第1部材1から分離させるようにしてもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
第1部材1は、レーザー光透過性を有する透明なポリプロピレン製の長方形板材(共栄産業株式会社製 PX−2)である。第1部材1の厚みは2mmであり、大きさは幅25mmで、長さ60mmである。
第2部材2は、ステンレス(SUS304)製の長方形板材である。第2板材2の厚みは1.5mmであり、大きさは幅25mmで、長さ60mmである。
レーザー接合用中間部材3は、SEBS系(スチレン・エチレンブチレン・スチレン)熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテックM1943)にカーボンブラック(レーザー吸収剤)を混合してなるテープ状のものである。レーザー接合用中間部材3の製造要領は、次のとおりである。まず、SEBS系熱可塑性エラストマーに、0.5重量%となるようにカーボンブラックを混合したものを固形分40重量%となるようにトルエンに分散溶解する。この液を離型処理されたPETフィルム上に塗布する。液が乾燥して固化した後、PETフィルムから剥がして得られたものがレーザー接合用中間部材3である。レーザー接合用中間部材3の厚みは50μmであり、幅5mmのテープ状にカットした。
分離方法の説明の前に、接合品Aを得る要領について説明する。最初に図2に示すようにレーザー接合用中間部材3を第2部材2の短辺上に沿って配置する。その後、図1に示すように、第1部材1を第2部材2の上に重ねる。そして、第1部材1と第2部材2とを周知のクランプ治具によりクランプする。このときのクランプ圧は、0.4MPaである。
次いで、接合用レーザー光L1を第1部材1側から照射する。接合用レーザー光L1は、レーザー接合用中間部材3に対応する部分に、レーザー接合用中間部材3の長手方向に沿って照射した。接合用レーザー光L1の出力は100Wとし、走査速度は600mm/minとした。接合用レーザー光L1の波長は940nmとした。
冷却後に、接合品Aのレーザー接合用中間部材3による接合強度を測定した。測定方法は、次のとおりである。接合状態にある第2部材2を固定し、第1部材1を、図3に矢印Xで示す方向、つまり、第1部材1の剪断方向で、かつ、レーザー接合用中間部材3の幅方向に引っ張り、その引張力を測定することで接合強度を得た。この実施例1では、引張強度が1300Nであり、十分な接合強度が得られていた。
次に、接合強度が十分であることを確認した後、図3に示すように接合品Aに分離用レーザー光L2を照射した。分離用レーザー光L2は、接合用レーザー光L1と同じ部位に照射した。分離用レーザー光L2の出力は50Wとし、走査速度は600mm/minとした。分離用レーザー光L2の波長は接合用レーザー光L1と同じである。
分離用レーザー光L2を照射するとレーザー接合用中間部材3が加熱され、加熱された状態で第1部材1を指で摘んで引っ張ると第2部材2から分離した。このときの引張力は小さく、工具等を用いることなく、人間の素手の力だけで容易に分離できた。これは、レーザー接合用中間部材3が軟化していたためである。
実施例1では、分離用レーザー光L2によってレーザー接合用中間部材3を直接加熱するので、分離用レーザー光L2を有効に利用して加熱することができ、エネルギー効率が高い。
(参考例1)
参考例1の第1部材1、第2部材2及びレーザー接合用中間部材3は、実施例1のものと同じである。また、参考例1の接合品Aを得る方法は実施例1と同じである。
実施例2では、分離用レーザー光L2の出力を接合用レーザー光L1の出力と同じにし、かつ、走査速度及び波長も同じにした。
この実施例2の場合も、人間の素手の力だけで第1部材1を第2部材2から容易に分離できた。これは、レーザー接合用中間部材3が溶融していたためである。
(参考例2)
参考例2の第1部材1、第2部材2及びレーザー接合用中間部材3は、実施例1のものと同じである。また、参考例2の接合品Aを得る方法は実施例1と同じである。
参考例2では、分離用レーザー光L2の出力を接合用レーザー光L1の出力よりも高い200Wとし、走査速度及び波長は実施例1と同じにした。
この参考例2の場合も、人間の素手の力だけで第1部材1を第2部材2から容易に分離できた。分離後、レーザー接合用中間部材3を観察すると、微小な泡が見られた。これはレーザー接合用中間部材3が発泡したということであり、この発泡によりレーザー接合用中間部材3の接合強度が低下していた。
参考例2のようにレーザー接合用中間部材3を発泡するまで加熱すると、レーザー接合用中間部材3における第1部材1や第2部材2との接合面に泡が発生するので、第1部材1や第2部材2との接触面積が小さくなり、弱い力で分離することが可能になるという利点がある。
(参考例3)
参考例3の第1部材1、第2部材2及びレーザー接合用中間部材3は、実施例1のものと同じである。また、参考例3の接合品Aを得る方法は実施例1と同じである。
参考例3では、分離用レーザー光L2の出力を接合用レーザー光L1の出力よりも高い200Wとし、走査速度は300mm/minとした。分離用レーザー光L2の波長は実施例1と同じにした。
この参考例3の場合も、人間の素手の力だけで第1部材1を第2部材2から容易に分離できた。分離後、レーザー接合用中間部材3からは焦げた臭いが発生していた。また、レーザー接合用中間部材3は脆くなっており、第1部材1や第2部材2に付着したレーザー接合用中間部材3を爪で軽く擦るだけで容易に除去することができた。これはレーザー接合用中間部材3が熱で分解したためである。
参考例3のようにレーザー接合用中間部材3が分解するまで加熱すると、レーザー接合用中間部材3の炭化により接着性がなくなるので、非常に弱い力で分離することが可能になるという利点がある。
(参考例4)
参考例4では、第1部材1をステンレス製の長方形板材とし、厚み及び大きさは実施例1の第2部材2と同じにした。また、第2部材2を透明なポリプロピレン製の長方形板材とし、厚み及び大きさは実施例1の第1部材1と同じにした。レーザー接合用中間部材3は、実施例1のものと同じである。
参考例4の接合品Aを得る要領について説明すると、第1部材1、レーザー接合用中間部材3及び第2部材2を実施例1と同様に重ねた後、接合用レーザー光L1を第1部材1側から照射する。接合用レーザー光L1の出力は100Wとし、走査速度は600mm/minとした。波長は940nmである。
接合用レーザー光L1により第1部材1が発熱し、第1部材1の熱がレーザー接合用中間部材3に伝わる。これにより、レーザー接合用中間部材3が加熱されるので、第1部材1と第2部材2とが接合される。第1部材1の冷却後に実施例1と同様にして接合強度を測定すると、1000Nであり、十分な接合強度が得られていた。
次に、接合強度が十分であることを確認した後、接合品Aに分離用レーザー光L2を照射した。分離用レーザー光L2は、接合用レーザー光L1と同じ部位に照射した。分離用レーザー光L2の出力は200Wとし、走査速度は600mm/minとした。分離用レーザー光L2の波長は接合用レーザー光L1と同じである。
分離用レーザー光L2により第1部材1が発熱すると、第1部材1の熱がレーザー接合用中間部材3に伝わり、レーザー接合用中間部材3が加熱される。この参考例4の場合も、人間の素手の力だけで第1部材1を第2部材2から容易に分離できた。これは、レーザー接合用中間部材3が溶融していたためである。
参考例4では、分離用レーザー光L2により第1部材1を加熱するようにしている。第1部材1が加熱されると、レーザー接合用中間部材3のうち、第1部材1側が第2部材2側に比べて優先的に加熱されて軟化、溶融する。従って、分離するときには、ステンレス側である第1部材1への樹脂残りを殆ど無くすことができる。これにより、分別廃棄時に有利になる。
参考例4では、第1部材1がレーザー光を通さないので、レーザー接合用中間部材3がレーザー光により直接加熱されることなく、第1部材1から伝達される熱により加熱される。つまり、レーザー接合用中間部材3が急激に加熱されないので、第2部材2の損傷を回避できる。
一方、第1部材1及び第2部材2を再利用する場合には、分離時に第1部材1及び第2部材2の形状や物理性能、化学性能が低下しないように、できるだけ温度を上げないように加熱してレーザー接合用中間部材3を軟化させるのが好ましい。
また、分離用レーザー光L2の照射範囲と接合用レーザー光L1の照射範囲とは同じにしてもよいし、異ならせてもよい。分離用レーザー光L2の照射範囲と接合用レーザー光L1の照射範囲とを異ならせる場合には、分離用レーザー光L2の照射範囲の方を広くするのが好ましい。その理由は、接合時にはレーザー接合用中間部材3が軟化又は溶融して第1部材1と第2部材2との間で広がっているからである。
以上説明したように、本発明にかかるレーザー光を用いた部材の分離方法は、例えば、家電製品や住宅設備機器等を廃棄する場合に用いることができる。
1 第1部材
2 第2部材
3 レーザー接合用中間部材
A 接合品
L1 接合用レーザー光
L2 分離用レーザー光

Claims (3)

  1. 常温付近でゴム弾性を示す高分子物質からなるホットメルト材で構成されたレーザー接合用中間部材を第1部材及び第2部材の間に挟んだ状態で接合用レーザー光を用いて上記レーザー接合用中間部材を加熱することによって上記第1部材及び第2部材が接合されてなる接合品に、分離用レーザー光を照射して上記レーザー接合用中間部材を溶融前の状態まで加熱して軟化させ、上記第1部材と第2部材との上記レーザー接合用中間部材による接合強度を低下させ、
    その後、上記第1部材及び第2部材の一方を他方から分離することを特徴とするレーザー光を用いた部材の分離方法。
  2. 請求項1に記載のレーザー光を用いた部材の分離方法において、
    第1部材がレーザー光透過性を有しており、
    分離用レーザー光を上記第1部材側からレーザー接合用中間部材に照射することを特徴とするレーザー光を用いた部材の分離方法。
  3. 請求項1に記載のレーザー光を用いた部材の分離方法において、
    第1部材がレーザー光非透過性を有しており、
    分離用レーザー光を上記第1部材側から照射することによって該第1部材を発熱させ、該第1部材の熱によってレーザー接合用中間部材を加熱することを特徴とするレーザー光を用いた部材の分離方法。
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