JP6393133B2 - レーザー光を用いた接合方法及び剥離方法 - Google Patents

レーザー光を用いた接合方法及び剥離方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばスマートフォン、タブレット等を構成するパネルを筐体に接合するためのレーザー光を用いた接合方法及びレーザー光を用いてパネルを筐体から剥離する剥離方法に関するものである。
例えば、スマートフォン、タブレット等は、画像等を表示する部分となるパネルを筐体に接合して構成されている。近年では、外形をできるだけ小さくしながら画像等の表示領域を拡大するために、表示画面周囲の枠幅を狭くする狭額縁化が進められており、パネルと筐体との接合面積は減少する一方である。また、そのように接合面積が減少するなか、パネルと筐体との間の防水性を備えることも要求されており、パネルと筐体との間に介在する接合部材に求められる要求は厳しくなっている。
従来より、パネルを筐体に接合する接合部材として、独立気泡の架橋ポリエチレン製テープ基材の両面にアクリル系の粘着剤を塗布した両面粘着テープが使用されてきた。このような構成の両面粘着テープは、柔らかくて、接着面の形状に追従し易いという利点がある反面、次のように問題があった。
つまり、パネルと筐体との接着力が十分に得られない場合があること、狭額縁化に対応するように細くカットした場合に気泡の存在によって防水性を確保できない場合があること、パネルと筐体とを接着した後にリワークのために剥離しようとした際にテープ基材が凝集破壊を起こし易く、リワークできないことがある。
また、パネルと筐体とを接合する技術として特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1では、パネルと筐体とを接合する接合部材の基材をPET(ポリエチレンテレフタレート)のように気泡のない基材とすることで、狭額縁化に対応するように細くカットしても防水性を確保できるようにしている。また、特許文献1の接合部材は熱可塑性の粘着層を有しており、パネルまたは筐体に形成された意匠層にレーザー光を照射することにより、粘着層を溶融または軟化させて濡れ性を向上させて十分な接着力を維持できるようにしている。
また、リワークを可能にする技術としては特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2では、パネルと筐体の間に挟んだ接合部材を接合用レーザー光を用いて加熱することによってパネルと筐体を接合した後、分離用レーザー光を照射して接合部材を加熱し、パネルと筐体との接合部材による接合強度を低下させ、パネルを筐体から分離させるようにしている。これにより、リワークが可能になる。
特開2011−156858号公報 特開2012−61502号公報
しかしながら、上記特許文献のものにおいても以下のような問題点が残っていた。
パネルまたは筐体に形成された意匠層が黒い場合には、低出力のレーザー光により効率的に接合または剥離が可能であるが、意匠層が例えば白い場合や金属の蒸着膜で形成されている場合には、レーザー光の殆どを意匠層が反射してしまい、黒い意匠層の場合に比べてレーザー光の出力を数十倍に高めないと粘着層を十分に溶融または軟化させることができない。
また、パネルに形成された意匠層が黒い場合であっても、レーザー光を照射するとパネルと粘着層との界面が最も高温になるので、条件によっては粘着層が熱分解によって発泡してしまい、防水性を確保できなくなることがある。従って、レーザー光の照射条件範囲が狭い。
また、リワークする場合も、意匠層の色や材質等によってレーザー光の照射条件は全て異なり、毎回、レーザー光の照射条件を細かく設定する必要がある。
また、パネルがガラス製の場合には、パネルに飛散防止フィルムが貼り付けられており、この飛散防止フィルムに印刷が施してあることがある。この場合、レーザー光を照射すると印刷部分によってレーザー光が先に吸収または反射されてしまい、意匠層をレーザー光で直接加熱することができず、上記特許文献の方法を使用することができない。
また、防水性を確実なものとするため、粘着層と筐体とを予め貼り合わせた段階で、パネルと一体にする前に、レーザー光を粘着層に照射して筐体と粘着層とを接着させる場合がある。特に液晶表示装置を備えている機種では、バックライトからの光漏れを防止するために粘着層を黒色等の遮光性の高いものにすることがあるが、粘着層が黒色の場合は、照射したレーザー光が粘着層表面に吸収されて、粘着層の表層部分のみが熱によって破損し、筐体と粘着層との接着力を確保できない場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、意匠層の色や材質に関係なく、レーザー光の照射条件を殆ど変更しなくてもレーザー光による接合や剥離を可能にし、さらに、レーザー光出力の使用可能な範囲を広くし、しかも、飛散防止フィルム等が貼り付けられていてもレーザー光の使用を可能にすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
少なくとも一方に意匠層が形成されたパネル及び筐体をレーザー光を用いて接合する接合方法において、
上記パネルと上記筐体との間に接合部材を配置し、
次いで、上記パネルの表面にレーザー光吸収部材を配置し、
その後、上記レーザー光吸収部材にレーザー光を照射して上記レーザー光吸収部材を加熱し、上記レーザー光吸収部材の熱を、上記パネルを介して上記接合部材に伝達させて上記接合部材を加熱し、上記パネルと上記筐体とを接合することを特徴とする。
この発明によれば、パネルを接合する際に、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱し、その熱を、パネルを介して接合部材に伝達するようにしているので、意匠層のレーザー光反射率やレーザー光吸収率に関係なく、接合部材を確実に加熱することが可能になる。
第2の発明は、第1の発明において、
上記レーザー光吸収部材は、レーザー光吸収層を有し、
平面視において、上記レーザー光吸収層の形状は、上記意匠層の形状と同一形状であることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光を用いて接合したい部分にのみ熱を効果的に伝達させてそれ以外の部分が不要に加熱されるのを抑制することが可能になる。
の発明は、第1の発明において、
上記レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率は80%以上であることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光吸収部材に照射されたレーザー光が効率よく熱に変換されるので、接合作業時のレーザー光を有効に使用することが可能になる。
の発明は、第1の発明において、
上記レーザー光吸収部材が有するレーザー光吸収成分は、カーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有していることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光吸収成分の耐熱性及び耐候性が高くなるので、レーザー光吸収部材を繰り返し使用することが可能になる。
の発明は、
少なくとも一方に意匠層が形成されたパネル及び筐体を備える接合品の上記パネルを上記筐体から剥離する剥離方法において、
上記パネルの表面にレーザー光吸収部材を配置し、
その後、上記レーザー光吸収部材にレーザー光を照射して上記レーザー光吸収部材を加熱し、上記レーザー光吸収部材の熱を、上記パネルを介して、上記パネルと上記筐体との間に配置されている接合部材に伝達して上記接合部材を加熱し、上記パネルを上記筐体から剥離することを特徴とする。
この発明によれば、パネルを剥離する際に、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱し、その熱を、パネルを介して接合部材に伝達するようにしているので、意匠層のレーザー光反射率やレーザー光吸収率に関係なく、接合部材を確実に加熱することが可能になる。
の発明は、第の発明において、
上記レーザー光吸収部材は、レーザー光吸収層を有し、
平面視において、上記レーザー光吸収層の形状は、上記意匠層の形状と同一形状であることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光を用いて剥離したい部分にのみ熱を効果的に伝達させてそれ以外の部分が不要に加熱されるのを抑制することが可能になる。
の発明は、第の発明において、
上記レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率は80%以上であることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光吸収部材に照射されたレーザー光が効率よく熱に変換されるので、剥離作業時のレーザー光を有効に使用することが可能になる。
の発明は、第の発明において、
上記レーザー光吸収部材が有するレーザー光吸収成分は、カーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有している
ことを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光吸収成分の耐熱性及び耐候性が高くなるので、レーザー光吸収部材を繰り返し使用することが可能になる。
第1の発明によれば、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱し、その熱を、パネルを介して接合部材に伝達して接合部材を加熱することができる。これにより、意匠層が白色でも蒸着膜であっても殆ど変わらないレーザー照射条件でパネルと筐体とを接合することができる。
また、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱するようにしているので、意匠層がレーザー光によって直接加熱されない。したがって、意匠層と接合部材との界面が過熱されることはなく、使用可能なレーザー光の照射条件を広くすることができる。
また、印刷部分を有する飛散防止フィルムがパネルに貼り付けてある場合、印刷部分にレーザー光が直接照射されないので、レーザー光が印刷部分で吸収または反射されることは殆どなく、レーザー光吸収部材の熱を利用してパネルと筐体とを確実に接合することができる。
第2の発明によれば、レーザー光吸収層の形状を意匠層の形状と同一形状にしたので、意匠層以外の発熱が少なくなる。これにより、例えばITO(イリジウムチタンオキサイド)層、いわゆる透明導電膜や、額縁部に隣接する電子回路の加熱が抑制され、これらの熱による破損を防止しながら、パネルと筐体とを確実に接合できる。
の発明によれば、レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率を80%以上にしたので、エネルギー効率の高い接合作業を行うことができる。
の発明によれば、レーザー光吸収成分の耐熱性及び耐候性が高くなるので、レーザー光吸収部材を繰り返し使用することができる。これにより、接合作業時に廃棄される部材の量を少なくすることができる。
の発明によれば、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱し、その熱を、パネルを介して接合部材に伝達して接合部材を加熱することができる。これにより、意匠層が白色でも蒸着膜であっても殆ど変わらないレーザー照射条件でパネルを筐体から剥離することができる。
また、パネルの表面に配置したレーザー光吸収部材をレーザー光で加熱するようにしているので、意匠層がレーザー光によって直接加熱されない。したがって、意匠層と接合部材との界面が過熱されることはなく、使用可能なレーザー光の照射条件を広くすることができる。
また、印刷部分を有する飛散防止フィルムがパネルに貼り付けてある場合、印刷部分にレーザー光が直接照射されないので、レーザー光が印刷部分で吸収または反射されることは殆どなく、レーザー光吸収部材の熱を利用してパネルを筐体から確実に剥離することができる。
の発明によれば、レーザー光吸収層の形状を意匠層の形状と同一形状にしたので、意匠層以外の発熱が少なくなる。これにより、電子部品の熱による破損を防止しながら、パネルを筐体から剥離することができる。
の発明によれば、レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率を80%以上にしたので、エネルギー効率の高い剥離作業を行うことができる。
の発明によれば、レーザー光吸収部材を繰り返し使用することができるので、剥離作業時に廃棄される部材の量を少なくすることができる。
実施形態に係る接合方法を説明する断面図である。 接合用レーザー光を照射する場合を示す断面図である。 セパレータ付きの接合部材を筐体に接合する場合を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザー光を用いた接合方法を説明する断面図である。本接合方法が適用される適用対象物としては、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯型音楽プレーヤ、デジタルカメラ等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、各種表示画面を有する電子機器等を製造する場合に適用することができる。
この実施形態では本発明をスマートフォン1の製造に適用した場合について説明する。スマートフォン(接合品)1は、パネル2と筐体3を備えている。パネル2は、例えば透明な化学強化ガラス、いわゆるゴリラガラスや透明樹脂製の板材等からなるものであり、照射されたレーザー光の殆どを透過させる性質を持っている。このパネル2には、例えば操作者が指先で触れたことを検出するタッチセンサや液晶表示装置、有機EL表示装置等が積層状態で設けられている。
また、このスマートフォン1は、外形をできるだけ小さくしながら画像等の表示領域を拡大するために、表示画面周囲の枠幅を狭くした狭額縁タイプである。パネル2の外周部分が額縁となり、この額縁部分には意匠層2aが形成されている。意匠層2aはパネル2の全周に亘って連続しており、例えば、塗料塗膜、印刷層、金属蒸着膜等によって形成できる。意匠層2aの幅は、例えば1.0mm以下や、0.7mm以下に設定することができる。意匠層2aの色は、レーザー光を吸収する色であってもよいし、レーザー光を反射する色であってもよい。
筐体3は、例えば樹脂材や金属材等で構成することができるものであり、レーザー光を透過させないようになっている。筐体3の凹部3aには図示しないが電子機器や充電池等が収容されるようになっている。また、筐体3の周壁部は環状に延びている。周壁部の上面は略平坦な接着面3bであり、この接着面3bにパネル2の裏面の周縁部が接合部材4を介して全周に亘って接合されるようになっている。周壁部における外周寄りの部位には、周方向に連続する突出板部3cが設けられている。この突出板部3cの内方にパネル2が配置される。
接合部材4は、いわゆる粘着テープであり、一般の発泡架橋ポリエチレンを基材にしたアクリル粘着テープの使用も可能であるが、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを主成分とした接合部材4の方が、防水性の確保、筐体3の接着面への追従性、耐衝撃性、リワーク性の点から好ましい。すなわち、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを主成分とすることで接合部材4がソリッドになるので、発泡架橋ポリエチレンのような気泡が存在せず、スマートフォン1の外部からの水の浸入を効果的に防止できる。また、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを主成分とすることで接合部材4の柔軟性を高めることができ、筐体3の接着面3bに接着した際に接着面3bの形状に沿うように容易に変形して隙間を無くすことができる。また、例えばスマートフォン1を落下させたときのように衝撃が作用した場合に、パネル2と筐体3との間で接合部材4が衝撃吸収材として機能し、これにより、パネル2の剥離や破損が抑制される。さらに、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを主成分にすると、リワーク時に筐体3やパネル2に残った接合部材4を剥がす際に、途中でちぎれにくくなり、容易に剥がすことができる。
接合部材4の成分となるゴムとしては、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム等の合成ゴムが挙げられる。また、接合部材4の成分となる熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、アクリル系、ポリエステル系、オレフィン系、ウレタン系、ナイロン系等を挙げることができる。これら成分を任意に組み合わせて使用することもできる。
接合部材4に粘着性を付与する目的で、例えばタッキファイア、いわゆる粘着付与剤を接合部材4の成分の1つとして添加することができる。また、接合部材4に耐熱性や耐候性を付与する目的で、例えば劣化防止剤を接合部材4の成分の1つとして添加することができる。また、液晶表示装置のバックライトの光がパネル2と筐体3との接合部位から漏れるのを抑制する目的で、例えばカーボンブラックや二酸化チタン、有機顔料等の着色剤等を接合部材4の成分の1つとして添加することができる。
接合部材4は基材を有する構成であってもよいし、基材の無い構成であってもよい。基材を有する場合には、基材は、気泡が無く、ハーフカット(セパレータを残したカット)し易いPET(ポリエチレンテレフタレート)やOPP(延伸ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)等からなるフィルムやシート等が好ましい。これらは形状保持性があるので、取り扱いが容易になる。また、接合部材4は基材の両面に粘着層を設けた構成であってもよい。この場合、粘着層の厚みは、筐体3の接着面3bへの追従性や、耐衝撃性を確保する観点から、100μm以上が好ましい。また、粘着層の性質としては、JISのダンベル状3号形試験片で厚みが100μmのときの引っ張り強度が5MPa以上で、伸びが800%以上であることが好ましい。引っ張り強度及び伸びがこれら値未満であると、リワーク時に筐体3やパネル2に残った接合部材4を筐体3やパネル2から剥がす際に、接合部材4が途中でちぎれやすくなるので好ましくない。
本実施形態では、パネル2と筐体3とを接合する際に、レーザー光吸収部材10を使用する。レーザー光吸収部材10は、詳細は後述するが、パネル2の表面に配置されて接合用のレーザー光や剥離用のレーザー光が照射されることで発熱し、その熱を接合部材4に伝達することで、パネル2と筐体3との接合や、筐体3からパネル2を剥離することができるようになる。
レーザー光吸収部材10は、例えば透明なガラスやアクリル等で構成された板材に、レーザー光吸収層11を形成してなるものである。レーザー光吸収部材10を構成する板材は、レーザー光を殆ど吸収せず、かつ、反射しない材料であることが好ましい。
レーザー光吸収層11を上記板材に形成する方法としては、例えばバインダーに分散させた着色剤を上記板材の裏面にコーティングしたり、印刷する方法がある。着色剤は、レーザー光吸収成分であり、例えばカーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有している。カーボンブラックとしては、例えば一般のカーボンブラックやランプブラック、ボーンブラック、グラファイト等を使用することができる。金属酸化物としては、例えば、黒色酸化鉄、四酸化三鉄、銅クロム複合酸化鉄、クロム酸化合物、亜鉛酸化物、二酸化マンガン、チタンブラック等を使用することができる。また、ペリレン系化合物としては、例えばベンズイミダゾペリレン等を使用することができる。上述した成分を複数組み合わせて使用することも可能である。尚、レーザー光吸収層11の色は、レーザー光を十分に吸収することができる色であればよく、黒色に限られるものではない。
また、レーザー光吸収層11の成分として、上記以外にも、着色剤の分散性を向上させるための分散剤、コーティング面や印刷面の平滑性を確保するためのレベリング剤、ガラスとの密着性を向上させるためのシランカップリング剤、さらに耐熱性、耐候性を低下させない程度の染料を加えてもよい。
また、バインダーとなる樹脂は、例えば、硬化することにより耐熱性が高まる熱硬化樹脂、UV(紫外線)硬化樹脂等が好ましい。
バインダーに分散させた着色剤をコーティングする場合には、ダイコート、フローコート、コンマコート等を使用することができる。また、バインダーに分散させた着色剤を印刷する場合には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等を使用することができる。印刷方法は、十分な塗膜厚を確保できるスクリーン印刷が好ましいが、これらに限られるものではない。
塗膜厚、即ちレーザー光吸収層11の厚みを十分に確保することで、スマートフォン1の額縁となる部分に隣接する電子素子の隠蔽性を高めことができるとともに、レーザー光吸収層11によるレーザー光の吸収率を向上させることができる。また、後述するパネル2の表面や飛散防止フィルムとの密着性を向上させて熱伝導を均一にするために、印刷面は平滑であることが好ましい。
さらに、レーザー光の照射時においてスマートフォン1の額縁となる部分に隣接する電子素子の熱による破損を回避するために、平面視で、レーザー光吸収層11の形状を意匠層2aの形状と同一形状にするのが好ましい。
レーザー光吸収層11のレーザー光吸収率は波長が940nmで80%以上が好ましく、さらに好ましく95%以上である。レーザー光吸収率を80%以上確保することで照射されたレーザー光をレーザー光吸収層11で効果的に熱に変換することができる。
また、レーザー光吸収層11に隣接して例えば金属層や金属酸化層を設けてもよい。これら金属層や金属酸化層は蓄熱層となるので、変換された熱を蓄熱層に蓄熱して効率的に、長時間にわたり接合部材4を加熱することができ、確実な接合と剥離を実現することができる。この場合、十分に蓄熱できるように蓄熱層は厚みが2μm以上あることが好ましい。
パネル2と筐体3とを接合部材4で接合する際、及び、筐体3に接合部材4を接合する際のいずれの場合もレーザー光吸収部材10を使用することができる。パネル2と筐体3とを接合部材4で接合する際には、レーザー光吸収部材10をパネル2の表面に配置する。また、筐体3に接合部材4を接合する際には、レーザー光吸収部材10を接合部材4に重なるように配置する。これらの場合、接合部材4に対応するようにレーザー光吸収層11を配置することで、レーザー光吸収層11の熱を効率よく接合部材4に伝達できる。
また、パネル2と筐体3とを接合部材4で接合する際、及び、筐体3に接合部材4を接合する際には、レーザー光吸収部材10をパネル2や接合部材4に押し付けた状態(クランプした状態)でレーザー光を照射する。これにより、防水性を向上させることができる。クランプ力としては、例えば0.5MPa以上が好ましく、より好ましくは1.0MPa以上である。接合部材4の温度が常温近くとなるまでクランプを継続しておくのが好ましい。
また、パネル2を筐体3から剥離するリワークの際には、レーザー光吸収部材10をパネル2の表面に接触させておくだけでよく、クランプは必要ない。
レーザー光吸収層11に照射するレーザー光は、レーザー光吸収層11が発熱してその熱によって接合部材4を軟化または溶融させることができればよく、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等を利用することができる。
また、レーザー光の波長についても、レーザー光吸収層11が発熱してその熱によって接合部材4を軟化または溶融させることができる波長範囲にあればよく、一般には、安全性が高く、取り扱いの容易な800nm〜1500nmの範囲の半導体レーザーを使用するのが好ましい。
レーザー光の焦点径は、レーザー光吸収層11の幅よりもやや広い方が好ましい。この場合、レーザー光の照度は、中心ほどエネルギー密度が高くなるガウシアタイプよりは、焦点全体が均一エネルギー密度であるトップハットタイプの方が、レーザー光吸収層11全体を均一に加熱することができるので好ましい。
また、レーザー光吸収部材10の板材においてレーザー光吸収層11以外の部分へのレーザー光の照射を避けるために、レーザー光吸収層11以外の部分に金属蒸着膜を形成してレーザー光を反射させたり、反射板を付けるのが好ましい。これにより、スマートフォン1の電子部品の破損を防止できる。
次に、レーザー光を用いた接合方法について説明する。図1に示すように、筐体3の接着面3bに接合部材4を貼り付ける。さらに、図2に示すように、裏面に意匠層11が設けられたパネル2を、その意匠層2aが接合部材4に重なるように載置する。これにより、パネル2の意匠層2aに対応する部分と筐体3との間に接合部材4が配置されて、パネル2を表面から見たときに、意匠層2aと接合部材4とが重複する。尚、意匠層2aは、パネル2の表面に設けてもよい。
次いで、パネル2の表面にレーザー光吸収部材10を配置する。このレーザー光吸収部材10の外形状は、パネル2の外形状と一致している。そして、レーザー光吸収部材10及び筐体3を厚み方向にクランプする。これにより、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11がパネル2の表面に密着するとともに、接合部材4を筐体3の接着面3b及び意匠層2aに密着させることができる。なお、長時間の加熱を目的にレーザー光吸収層11に隣接して蓄熱層を設け、パネル2に蓄熱層を密着させることもできる。接合部材4は柔軟性を有しているので、筐体3の接着面3b及び意匠層2aの形状に追従するように変形し、隙間が無くなる。
その後、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11を狙って表側から接合用レーザー光Lを照射してレーザー光吸収部材10におけるレーザー光吸収層11を加熱する。レーザー光吸収部材10の熱を、パネル2及び意匠層2aを介して接合部材4に伝達させて接合部材4を加熱する。接合部材4は軟化または溶融し、冷却後にパネル2と筐体3とが接合された状態になる。そして、レーザー光吸収部材10を取り外すことで、スマートフォン1が得られる。取り外したレーザー光吸収部材10は再利用することができる。
この実施形態では、パネル2の表面に配置したレーザー光吸収部材10を接合用レーザー光Lで加熱し、その熱を、パネル2及び意匠層2aを介して接合部材4に伝達して接合部材4を加熱することができる。これにより、意匠層2aを直接加熱する必要がないので、意匠層2aが白色でも蒸着膜であっても殆ど変わらないレーザー照射条件でパネル2と筐体3とを接合することができる。
また、パネル2の表面に配置したレーザー光吸収部材10を接合用レーザー光Lで加熱するようにしているので、パネル2の意匠層2aがレーザー光Lによって直接加熱されず、意匠層2aと接合部材4との界面が過熱されることはなく、使用可能なレーザー光の照射条件を広くすることができる。
また、印刷部分を有する飛散防止フィルムがパネル2に貼り付けてある場合、印刷部分にレーザー光が直接照射されないので、レーザー光が印刷部分で吸収または反射されることは殆どなく、レーザー光吸収部材10の熱を利用してパネル2と筐体3とを確実に接合することができる。
また、レーザー光吸収層11の形状を意匠層2aの形状と同一形状とすることで、レーザー光を用いて接合したい部分にのみ熱を効果的に伝達させてそれ以外の部分が不要に加熱されるのを抑制することが可能になる。これにより、例えばITO(イリジウムチタンオキサイド)層、いわゆる透明導電膜や、額縁部に隣接する電子回路の加熱が抑制され、これらの熱による破損を防止しながら、パネル2と筐体3とを確実に接合できる。
また、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11のレーザー光吸収率を80%以上にしたので、エネルギー効率の高い接合作業を行うことができる。
また、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収成分が、カーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有しているので、レーザー光吸収成分の耐熱性及び耐候性が高くなる。これにより、レーザー光吸収部材10を繰り返し使用することができ、接合作業時に廃棄される部材の量を少なくすることができる。
また、パネル2と筐体3とを接合する際には、上述した方法以外にも、図3に示すように接合部材4を筐体3に貼り付けてレーザー光を照射した後、パネル2を接合部材4に重ねて接合する方法も可能である。
すなわち、接合部材4は、離型剤が塗布されたセパレータ5を有しており、始めに、セパレータ5を上に向けた状態で接合部材4を筐体3の接着面3bに貼り付ける。そして、セパレータ5を有する接合部材4に重なるようにレーザー光吸収部材10を配置する。その後、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11を狙って表側から接合用レーザー光Lを照射してレーザー光吸収部材10におけるレーザー光吸収層11を加熱する。レーザー光吸収部材10の熱を、接合部材4に伝達させて接合部材4を加熱する。接合部材4は軟化または溶融し、冷却後に筐体3に接合する。
しかる後、セパレータ5を取り除き、図2に示すようにパネル2を接合部材4に重ね、パネル2にレーザー光吸収部材10を重ねる。そして、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11を狙って表側から接合用レーザー光Lを照射してパネル2を筐体3に接合する。
この方法によれば、パネル2の意匠層2aのレーザー光反射率やレーザー光吸収率に関係なく、接合部材4を確実に加熱することができるので、パネル2を筐体3に強固に接合できる。
また、レーザー光吸収部材10は、パネル2を筐体3から剥離する場合に使用することもできる。すなわち、上述のようにしてレーザー光を用いてパネル2を筐体3に接合した後、例えばパネル2と筐体3の一方に不具合が発見された場合や、接合不良が発見された場合には、パネル2を筐体3から一旦剥離する、いわゆるリワーク作業が行われる。このリワーク作業時に、パネル2の表面にレーザー光吸収部材10を配置し、その後、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収層11を狙って表側から剥離用レーザー光を照射してレーザー光吸収部材10を加熱する。レーザー光吸収部材10の熱を、パネル2及び意匠層2aを介して、パネル2の意匠層2aに対応する部分と筐体3との間に配置されている接合部材4に伝達して接合部材4を加熱する。接合部材4を軟化させることで接合部材4による接着力が低下するので、パネル2に剥離方向の力を加えてパネル2を筐体3から容易に剥離することができる。尚、レーザー光吸収部材10は繰り返し使用できる。
剥離時には、パネル2の表面に配置したレーザー光吸収部材10をレーザー光で加熱し、その熱を、パネル2及び意匠層2aを介して接合部材4に伝達して接合部材4を加熱することができるので、意匠層2aが白色でも蒸着膜であっても殆ど変わらないレーザー照射条件でパネル2を筐体3から剥離することができる。
また、パネル2の表面に配置したレーザー光吸収部材10をレーザー光で加熱するようにしているので、パネル2の意匠層2aがレーザー光によって直接加熱されず、意匠層2aと接合部材4との界面が過熱されることはなく、使用可能なレーザー光の照射条件を広くすることができる。
また、印刷部分を有する飛散防止フィルムがパネルに貼り付けてある場合、印刷部分にレーザー光が直接照射されないので、レーザー光が印刷部分で吸収または反射されることは殆どなく、レーザー光吸収部材10の熱を利用してパネル2を筐体3から確実に剥離することができる。
また、レーザー光吸収層11の形状を意匠層2aの形状と同一形状にしたので、パネル2を筐体3から剥離するときに電子部品の熱による破損を防止できる。
また、レーザー光吸収部材10のレーザー光吸収率を80%以上にしたので、エネルギー効率の高い剥離作業を行うことができる。
尚、上記実施形態では、パネル2における筐体3への接着面に意匠層2aを形成して意匠層2aに接合部材4を密着させるようにしているが、これに限らず、筐体3に意匠層を形成してもよい。意匠層は、筐体3の接着面3bに形成することができる。また、パネル2と筐体3の両方に意匠層を形成してもよい。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(接合部材の作製)
黒色の接合部材と透明の接合部材を作製した。
黒色の接合部材の作製方法の次のとおりである。ジブッロク成分78%のスチレン・ブタジェン・スチレン共重合物いわゆるSBS(Kraton製D−1118) 56重量部と、ジブッロク成分15%のスチレン・ブタジェン・スチレン共重合物 (JSR株式会社製TR2601) 44重量部と、タッキファイアとしてテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製 YSポリスターT−115) 50重量部と、オイル(株式会社クラレ製 LBR−305) 10重量部と、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製 イルガノックス1010) 1重量部と、カーボンブラック0.3重量部をトルエンに分散・溶解して固形分40重量%の粘着剤溶液を調整した。
上記粘着剤溶液を離型PETフィルム(セパレータ)にアプリケーターで乾燥皮膜が100μmになるように塗布して乾燥し、厚さ100μmの接合部材を作製した。この接合部材の940nmの波長のレーザー光吸収率は98%であった。
得られた接合部材を、縦50mm、横100mmで幅0.5mmの枠状となるように、セパレータを残してハーフカットした。
透明の接合部材は、黒色の接合部材の粘着剤溶液に対してカーボンブラックを添加していないだけで、他は黒色の接合部材と同様にして作製した。
(筐体の製作)
縦120mm、横120mm、厚さ0.5mmの黒色ポリカーボネート板を筐体とした。
(パネルの製作)
黒色の意匠層のパネルと白色の意匠層のパネルとを製作した。
黒色の意匠層のパネルの製作方法の次のとおりである。
縦50mm、横100mm、厚さ0.4mmの化学強化ガラス、いわゆるゴリラガラスの外周に幅0.7mmの枠型の意匠層をスクリーン印刷によって形成した。すなわち、市販の熱硬化型スクリーンインキ2500シリーズMIG−N(十条ケミカル株式会社製)の黒を使用し、膜厚10μmになるようガラスにスクリーン印刷した後、100℃で2分間乾燥させ、再度、同条件でその印刷部の上に重ねてスクリーン印刷した。最後に150℃で60分間熱硬化させてパネルの意匠層を形成した。この黒色の意匠層の940nmの波長のレーザー光吸収率は96%であった。
白色のパネルの製作方法は黒色と同じであり、使用インキが白である点で異なるだけである。この白色の意匠層の940nmの波長のレーザー光吸収率は16%であった。
(レーザー光吸収部材の作製)
レーザー光吸収部材は、縦50mm、横100mm、厚さ0.4mmの化学強化ガラス、いわゆるゴリラガラスの外周に幅0.7mmの枠型のレーザー光吸収層をスクリーン印刷によって形成した。すなわち、市販の熱硬化型スクリーンインキ2500シリーズMIG−N(十条ケミカル株式会社製)の黒を使用し、膜厚10μmになるようガラスにスクリーン印刷した後、100℃で2分間乾燥させ、再度、同条件でその印刷部の上に重ねてスクリーン印刷した。最後に150℃で60分間熱硬化させてレーザー光吸収層を形成した。このレーザー光吸収層の940nmの波長のレーザー光吸収率は80%以上であった。
(実施例1)
実施例1では、まず、図3に示すように、セパレータが付いた透明の接合部材を筐体の接着面に貼り付ける。その後、レーザー光吸収部材をセパレータに重なるように配置し、厚み方向に0.5MPaのクランプ力でクランプする。次いで、接合用レーザー光として、波長940nm、出力3W、走査速度20mm/secの照射条件で半導体レーザーをレーザー光吸収層に照射した。レーザー光の照射後、レーザー光吸収部材を取り外し、セパレータを接合部材から剥がした。
そして、黒色の意匠層のパネルを接合部材に重なるように配置し、厚み方向に1.0MPaのクランプ力でクランプする。次いで、接合用レーザー光として、波長940nm、出力4W、走査速度15mm/secの照射条件で半導体レーザーをレーザー光吸収層に照射した。レーザー光の照射後、レーザー光吸収部材を取り外した。
上記のようにして得られた接合品を水深1mで30分間水没させた。水の中から取り出して観察したが、接合部分からの水の浸入は見られなかった。
また、透明な接合部材を黒色の接合部材に変えて上記したようにパネルと筐体とを接合した場合も同様に水の浸入は見られなかった。
(比較例1)
比較例1では、セパレータが付いた黒色の接合部材を筐体の接着面に貼り付ける。その後、透明な化学強化ガラスからなるパネルをセパレータに重なるように配置し、厚み方向に0.5MPaのクランプ力でクランプする。次いで、接合用レーザー光として、波長940nm、出力3W、走査速度20mm/secの照射条件で半導体レーザーを照射した。レーザー光は、パネルを透過して黒色の接合部材に達し、この黒色の接合部材のレーザー光吸収率が高いため、黒色の接合部材の表面は焦げて損傷し、また、筐体と黒色の接合部材との接着部分に浮きが発生しており、防水性は確保できない状況であった。
(実施例2)
実施例2では、透明の接合部材を筐体の接着面に貼り付けてセパレータを外し、この接合部材に黒色の意匠層のパネルを重なるように配置した。そして、レーザー光吸収部材を黒色の意匠層のパネルの表面に重なるように配置し、厚み方向に1.0MPaのクランプ力でクランプする。次いで、接合用レーザー光として、波長940nm、出力4W、走査速度15mm/secの照射条件で半導体レーザーをレーザー光吸収層に照射した。レーザー光の照射後、レーザー光吸収部材を取り外した。
上記のようにして得られた接合品を水深1mで30分間水没させた。水の中から取り出して観察したが、接合部分からの水の浸入は見られなかった。
また、黒色の意匠層のパネルを白色の意匠層のパネルに変えて上記したようにパネルと筐体とを接合した場合も同様に水の浸入は見られなかった。つまり、レーザー光の照射条件をシビアに設定しなくても、黒色の意匠層、白色の意匠層の両方で満足のいく防水性が得られる。
(比較例2)
比較例2では、透明の接合部材を筐体の接着面に貼り付けてセパレータを外し、この接合部材に、白色の意匠層のパネルを重なるように配置し、厚み方向に1.0MPaのクランプ力でクランプする。次いで、接合用レーザー光として、波長940nm、出力4W、走査速度15mm/secの照射条件で半導体レーザーを意匠層に照射した。上記のようにして得られた接合品を水深1mで30分間水没させたところ、水の浸入が著しかった。これは白色の意匠層がレーザー光を反射して発熱量が不足し、接合部材が軟化していなかったためである。
尚、レーザー光の照射条件を出力28W、走査速度10mm/secにすれば水の浸入は見られなかったが、白色の意匠層がやや黄色に変色して意匠性が低下した。また、レーザー光の照射条件を出力26W、走査速度10mm/secにすれば水の浸入は見られず、意匠層の変色も見られなかった。つまり、白色の意匠層の場合は、レーザー光が反射されるので、レーザー光の照射条件を設定するのが難しく、しかも、適切な範囲が狭いことが分かる。
(実施例3)
黒色の意匠層のパネルを透明な接合部材を介して筐体に接合した接合品を用意した。この接合品におけるパネルの表面にレーザー光吸収部材を配置し、レーザー光吸収層に剥離用レーザー光を照射した。照射条件は、出力4W、走査速度50mm/secで、15回連続照射である。尚、クランプ力は作用させていない。
レーザー光の照射後、直ちにレーザー光吸収部材を取り外してパネルに吸盤を吸着させて手で剥離方向に引っ張ったところ、パネルを容易に剥離することができた。
黒色の意匠層のパネルに変えて白色の意匠層のパネルとした場合も同様に容易に剥離することができた。
(比較例3)
白色の意匠層のパネルを透明な接合部材を介して筐体に接合した接合品を用意した。この接合品におけるパネルの意匠層に剥離用レーザー光を照射した。照射条件は、出力28W、走査速度50mm/secで、15回連続照射である。尚、クランプ力は作用させていない。
レーザー光の照射後、直ちにパネルに吸盤を吸着させて手で剥離方向に引っ張ったところ、パネルを容易に剥離することができたが、白色の意匠層がやや黄色に変色して意匠性が低下したので、リワークには不向きである。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係るレーザー光を用いた接合方法及び剥離方法は、例えばスマートフォンの製造現場や解体現場で使用することができる。
1 スマートフォン(接合品)
2 パネル
2a 意匠層
3 筐体
4 接合部材
10 レーザー光吸収部材
11 レーザー光吸収層

Claims (8)

  1. レーザー光を反射する意匠層が形成されたパネルと、筐体をレーザー光を用いて接合する接合方法において、
    上記パネルと上記筐体との間に接合部材を配置し、
    次いで、上記パネルの表面にレーザー光吸収部材を配置し、
    その後、上記レーザー光吸収部材にレーザー光を照射して上記レーザー光吸収部材を加熱し、上記レーザー光吸収部材の熱を、上記パネルを介して上記接合部材に伝達させて上記接合部材を加熱し、上記パネルと上記筐体とを接合することを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
  2. 請求項1に記載のレーザー光を用いた接合方法において、
    上記レーザー光吸収部材は、レーザー光吸収層を有し、
    平面視において、上記レーザー光吸収層の形状は、上記意匠層の形状と同一形状であることを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
  3. 請求項1に記載のレーザー光を用いた接合方法において、
    上記レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率は80%以上であることを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
  4. 請求項1に記載のレーザー光を用いた接合方法において、
    上記レーザー光吸収部材が有するレーザー光吸収成分は、カーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有していることを特徴とするレーザー光を用いた接合方法。
  5. レーザー光を反射する意匠層が形成されたパネルと、筐体を備える接合品の上記パネルを上記筐体から剥離する剥離方法において、
    上記パネルの表面にレーザー光吸収部材を配置し、
    その後、上記レーザー光吸収部材にレーザー光を照射して上記レーザー光吸収部材を加熱し、上記レーザー光吸収部材の熱を、上記パネルを介して、上記パネルと上記筐体との間に配置されている接合部材に伝達して上記接合部材を加熱し、上記パネルを上記筐体から剥離することを特徴とするレーザー光を用いた剥離方法。
  6. 請求項に記載のレーザー光を用いた剥離方法において、
    上記レーザー光吸収部材は、レーザー光吸収層を有し、
    平面視において、上記レーザー光吸収層の形状は、上記意匠層の形状と同一形状であることを特徴とするレーザー光を用いた剥離方法。
  7. 請求項に記載のレーザー光を用いた剥離方法において、
    上記レーザー光吸収部材のレーザー光吸収率は80%以上であることを特徴とするレーザー光を用いた剥離方法。
  8. 請求項に記載のレーザー光を用いた剥離方法において、
    上記レーザー光吸収部材が有するレーザー光吸収成分は、カーボンブラック、ペリレン系化合物及び金属酸化物からなる群の中から選ばれた1以上を含有していることを特徴とするレーザー光を用いた剥離方法。
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