JP5743185B2 - アルカリ蓄電池用正極活物質およびアルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
しかし、γ型オキシ水酸化ニッケルはその層間にアルカリ金属イオンや水分子が取り込まれた結晶構造を有し、β型オキシ水酸化ニッケルよりも高体積であるため、充電時にγ型オキシ水酸化ニッケルが生成すると正極の膨張現象が起こり、セパレータ中に保持されているアルカリ電解液を吸収して電池の内部抵抗を増大させ、もって電池のサイクル寿命が短くなるという問題が発生する。
導電補助層に二酸化セリウム相を含むことにより、過放電等の状況においてもオキシ水酸化コバルトの還元を抑制することができる。また、活物質がリチウムを含み、かつ導電補助層が二酸化セリウム相を含むことにより、電池の放電容量を増大させることができる。
また、好ましくは、前記芯層および前記導電補助層がリチウムを含むことを特徴とする。
また、好ましくは、前記活物質に含まれるリチウムの量は、元素としての換算量で0.03質量%以上、0.36質量%以下であることを特徴とする。
二酸化セリウム相の存在割合をこの範囲とすることによって、オキシ水酸化コバルトの耐還元性を向上させつつ、導電補助層の導電性を実用的な値とすることができる。
これによって、導電補助層におけるオキシ水酸化コバルトの耐還元性を向上させつつ、導電補助層の導電性を実用的な値とすることができる。
これらの工程を経ることによって、活物質内部に確実にリチウムを侵入させることができる。
あるいは、水酸化ニッケルを含む芯層と、前記芯層の表面を被覆する導電補助層とを有し、前記導電補助層は菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相とホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質と、水酸化リチウムを含む電解液とを備え、前記オキシ水酸化コバルト相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、前記オキシ水酸化コバルト相の3al,3a2サイトに前記コバルト原子及び前記セリウム原子が配置され、前記二酸化セリウム相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、前記二酸化セリウム相の4aサイトにコバルト原子及びセリウム原子が配置されていることを特徴とする。
また、好ましくは、電解液が0.25モル/リットル以上、1モル/リットル以下の水酸化リチウムを含むことを特徴とする。
これにより、従来よりも、放電容量が大きく、かつ過放電時の性能劣化が小さいアルカリ蓄電池を実現することができる。
水酸化ニッケルは、アルカリ蓄電池の充放電に伴って酸化・還元される活物質である。芯層は、水酸化ニッケルの改質のために、他の成分を含んでいてもよい。例えば、電極の膨潤を防ぐためにZnを含んでいてもよい。また、高温時の充電効率の改善のために、Coを含んでいると好ましい。ZnとCoを足した濃度が高すぎると活物質の充填量が相対的に少なくなり容量が低下するので、7質量%以下とすることが好ましい。なお、この濃度は活物質粒子全体の質量に対するZnまたはCo元素の質量で表している。
芯層を形成する水酸化ニッケルの結晶の安定性を高めるには、Liは水酸化ニッケルの結晶内に固溶していることが好ましい。しかし、水酸化ニッケルに含まれるリチウムの量が多すぎると、ペーストにした際にpHが高くなりすぎる、Liの潮解性によって活物質粒子が凝集して極板製造が困難になるという問題がある。
活物質に含まれるLiの量は、芯層および導電補助層を合わせた活物質粒子全体に対するLi単体としての換算量で、0.03質量%以上、0.36質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上、0.15質量%以下であることがさらに好ましい。リチウムの量をこの範囲とすることによって、本発明の効果を発揮しながら、上記Liに起因する問題点を抑えることができる。
また、コバルトの化合物としてオキシ水酸化コバルトを使用しているので、電池を使用する状態に至っても、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相が製造当初のままにミクロに混在した状態を維持することができる。すなわち、コバルトの化合物として水酸化コバルト等を使用した場合には、水酸化コバルト等が電解液に溶解し、初回充電時に酸化されてオキシ水酸化コバルトとして再析出する過程を経るので、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相の分離が進むのに対して、オキシ水酸化コバルトの場合は電池を使用する状態で溶解・再析出の過程を経ないからである。
NaOH水溶液をpHを9、温度を45℃で一定に制御し、激しく撹拌しながら、その中に上記CoCe水溶液を滴下して、コバルトとセリウムを含む水酸化物を析出させた。滴下浴となるNaOH水溶液のpH調整は、18質量%のNaOH水溶液を適宜加えることによって行った。析出物をろ過によって回収、水洗、乾燥して、コバルトとセリウムを含む水酸化物の粒子を得た。
コバルトとセリウムを含む水酸化物粒子50gに対して、48質量%のNaOH水溶液40gを添加して、120℃で1時間、大気中で加熱し、次いでこれをろ過、水洗、乾燥して、目的のコバルトセリウム化合物粒子が得られた。
試料であるコバルトセリウム化合物を発泡ニッケルに充填した作用極101と、参照極(Hg/HgO)102と、通常のニッケル水素電池の負極と同様の水素吸蔵合金極である対極103とを電解液(6.8モル/リットルのKOH水溶液)中に配置し、制御装置104によって参照極102を基準に作用極101の電位を設定した状態で、流れる電流を測定する。作用極101の電位はコバルトセリウム化合物が還元反応を起こしやすい−1V(対極103とほぼ同電位)に設定しておくことで、流れた電流は還元反応によって発生していることになり、その還元反応により流れる電流の積算値を求めることにより還元反応の起こりやすさを定量的に評価することができる。
オキシ水酸化コバルト相は、図9に結晶構造モデルを示すように、菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有しており、少なくともコバルト原子、酸素原子および水素原子を構成元素として含んでいる。そして、本発明のコバルトセリウム化合物においては、オキシ水酸化コバルト相はセリウム原子を含むことができる。これらの原子は、図9で示す所定のサイトに配置されている。具体的には、3al,3a2サイトにCoまたはCe、3a3,9bサイトに酸素原子(水分子、水酸イオンを構成する酸素原子を含む)が配置されている。このようにセリウムが含まれる場合には3al,3a2サイトに配置される。なお、3a4サイトには、原子が配置されていなくても良いが、同図のようにNaを配置することが好ましい。3a4サイトへのNaの配置は、コバルトとセリウムとを含む水酸化物を加熱処理する際に水酸化ナトリウムを共存させることによっておこなうことができる。このようにNaを含むことで、製造工程における酸化処理において、酸化を容易に進行させることができる。
表中「セリウムの含有割合」とは、コバルトセリウム化合物の製造過程におけるコバルトイオンとセリウムイオンを含む水溶液中の、CoイオンとCeイオンとの合計に対するCeイオンの含有割合を原子%で表したものである。比抵抗値とは、上記の粉体抵抗測定により得た値である。還元電流量とは、上記の方法によって測定したもので、1時間の積算電流量である。結晶相の含有割合とは、リートベルト解析によって求めた値で、コバルトセリウム化合物中のオキシ水酸化コバルト相、二酸化セリウム相および四酸化三コバルト相の含有割合を質量%で表したものである。また、二酸化セリウム相の存在割合とは、コバルトセリウム化合物中における、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相との合計に対する二酸化セリウム相の存在割合を、各相の含有割合から算出したものである。
図4のデータから、セリウムの含有割合が1原子%であっても、還元電流量が急激に小さくなっている。すなわち、セリウムの含有割合が1原子%以上であると、急激に還元反応が起こりにくくなっていることを示している。還元電流量は、セリウムの含有割合が10原子%以上になるとさらに小さくなり、30原子%以上ではさらに小さく、データのある70原子%に至るまで低い値を維持している。
図5のデータから、比抵抗値は、セリウムの含有割合が1〜40原子%のときは、セリウムを全く添加していない状態とほとんど変わらない低い値を維持している。セリウムイオンの含有割合が50原子%以上になると比抵抗値が上昇するが、実用的には十分に小さい値である。
図6のデータでも、図4のデータと対応して、二酸化セリウム相の存在によって、還元電流量が急激に小さくなっていることが分かる。すなわち、二酸化セリウム相の存在によって、還元反応が起こりにくくなっていることが分かる。二酸化セリウム相の存在割合が6.5質量%であっても還元電流量が急激に小さくなっている。還元電流量は、二酸化セリウム相の存在割合が13.4質量%以上になるとさらに小さくなり、40.0質量%以上ではさらに小さく、データのある88.2質量%に至るまで低い値を維持している。
図7のデータでも図5のデータと対応して、比抵抗値は、セリウムの含有割合が40原子%に対応する二酸化セリウムの存在割合が48.6質量%以下のときは、セリウムを全く添加していない状態とほとんど変わらない低い値を維持している。セリウムイオンの含有割合が50原子%に対応する二酸化セリウムの存在割合が88.2質量%では比抵抗値が上昇しているが、実用的には十分に小さい値である。
表5に示すように、アルミニウムについては添加元素の含有割合を3段階に変化させており、他の元素については30原子%で代表させておおよその特性を把握した。
コバルトセリウム化合物とコバルトアルミニウム化合物とを比較すると、還元電流量に関しては、コバルトセリウム化合物よりもかなり高い値であるものの、アルミニウムの増加に対して一応の減少傾向を示している。従って、アルミニウムの含有割合を更に大きくすると還元電流量を更に小さくできることが期待される。
コバルトセリウム化合物をこのような種々の元素を添加したコバルト化合物と比較すると、還元電流量及び比抵抗値の双方で極めて良好な値を示している点でコバルトセリウム化合物は特異な存在であると言える。
そして、コバルトセリウム化合物においては、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相とが主体として存在していることが好ましく、具体的には、これら二つの相の合計が50質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは94質量%以上、98質量%以上であることが好ましい。
図3に示すように、水酸化ニッケル粒子の作製、その表面へのコバルトとセリウムを含む水酸化物層の析出、コバルトとセリウムを含む水酸化物被覆層の酸化処理、リチウム含浸処理を行うことによって、本実施形態に係る水酸化ニッケル粒子を含む芯層の表面がオキシ水酸化コバルトおよび二酸化セリウムを含む導電補助層で被覆され、リチウムを含む活物質粒子を作製する。
Ni水溶液を滴下する方法の具体的な例としては、硫酸ニッケルが溶解した水溶液を、激しく撹拌しながら、pHを12、温度を45℃で一定に制御した1モル/リットルの濃度の硫酸アンモニウム水溶液中に滴下することによって、水酸化ニッケルの粒子を析出させることができる。pHの調整は、例えば18質量%のNaOH水溶液を適宜添加することによって行うことができる。
Ni水溶液にアルカリ水溶液を添加する方法の具体的な例としては、Ni水溶液に、硫酸アンモニウムとNaOH水溶液を添加してアンミン錯体を生成させ、反応系を激しく撹拌しながら、さらにNaOH水溶液を滴下し、反応浴の温度を45±2℃、pHを12±0.2に制御することによって、水酸化ニッケルの粒子を析出させることができる。
コバルトセリウム化合物は、前述のX線回折による構造解析の結果から、空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相と、ホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを主体として、若干量の四酸化三コバルト結晶相を含むことがあるものと考えられる。また、NaOH水溶液と共存させて酸化処理を行うと、オキシ水酸化コバルト相にはNa原子が侵入しているものと考えられる。
使用する水酸化ナトリウムの量は,Na/(Co+Ce+Ni)がモル比で0.5以上となるように混合することが好ましい。
加熱温度は、60℃以上で水酸化ナトリウム水溶液の沸点以下、好ましくは100℃以上で水酸化ナトリウム水溶液の沸点以下とすることができる。
Li含浸処理の条件は、LiOH濃度、処理温度、処理時間等を適宜調整することができる。後述の実施例では、0.5〜1モル/リットルのLiOH水溶液を50℃に保持し、2時間撹拌した。量産工程では、液のpHや粘度等も考慮して、0.3〜0.4モル/リットル、50〜80℃で処理するのが好ましいと思われる。
次に、本発明のアルカリ蓄電池の実施形態として、巻回電極を有するニッケル水素電池の作製方法を示す。
上記活物質粒子にカルボキシルメチルセルロース(CMC)水溶液等を添加してペースト状とする。このペーストを多孔質のニッケル基材(ニッケル発泡基材)などの電子伝導性のある基材に充填して、その後乾燥処理し、所定の厚みにプレスしてアルカリ蓄電池用正極とする。
鉄にニッケルメッキを施したパンチング鋼板からなる負極基板に水素吸蔵合金粉末を主成分とするペーストを塗布し、乾燥した後に所定の厚みにプレスして負極を作製する。この負極とポリプロピレンの不織布製セパレータと上述の正極とを積層し、その積層体をロール状に捲回する。これに正極集電板及び負極集電板を取り付けた後、有底筒状の缶体に挿入し、電解液を注液する。この後、周囲にリング状のガスケットが取り付けられると共にキャップ状の端子等を備えた円板状の蓋体を、正極集電板と電気的に接触する状態で取り付け、前記缶体の開放端をかしめることで固定する。
電解液がLiOHを含む場合には、正極活物質粒子がLi含浸処理をされておらずLiを含まない場合でも、Liを含む電解液中で充放電を行う過程でLiが活物質中に取り込まれるため、放電容量向上の効果が得られる。このときの活物質のリチウム含有量は0.05〜0.1質量%程度である。
Li含浸処理を行ってLiを含む正極活物質を用いて、かつ電解液にもLiOHを含むことがさらに好ましい。
硫酸ニッケルと硫酸亜鉛と硫酸コバルトが溶解した水溶液を、激しく撹拌しながらpHを12、温度を45℃で一定に制御した1モル/リットルの硫酸アンモニウム水溶液中に滴下することによって、平均粒径が10μm、水酸化ニッケルを主成分とする球状高密度粒子(以下単に水酸化ニッケル粒子ともいう)を得た。これを分離、洗浄、乾燥した。得られた粒子に含まれるNi,Zn,Coの割合は、元素の質量比で、Ni:Zn:Co=91:7:2であった。なお、硫酸アンモニウム水溶液のpH調整は18質量%NaOH水溶液を用いて行った。
Liの濃度は、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光光度法)によって分析した。最終的な活物質粒子のLi含有量は、Li含浸処理時のLiOH濃度および水洗条件を変更することによって制御することができる。本実施例では、0.03〜0.36質量%の範囲であった。
上記実施例との比較のために、以下の活物質およびそれを用いた開放形セルを作製した。
Ceを含まない活物質粒子(比較例2〜9)は、硫酸コバルトと硝酸セリウムを溶解した水溶液の代わりに硫酸コバルトのみを溶解した水溶液を用いた以外は、上記実施例1〜8と同じ方法により作製した。
Liを含まない活物質粒子(比較例1)は、LiOH水溶液中に分散・撹拌するLi処理を行わない以外は、上記実施例1〜8と同じ方法により作製した。
CeおよびLiを含まない活物質粒子(比較例2)は、硫酸コバルトと硝酸セリウムを溶解した水溶液の代わりに硫酸コバルトのみを溶解した水溶液を用い、LiOH水溶液中に分散・撹拌するLi処理工程を行わない以外は、上記実施例1〜8と同じ方法により作製した。
これらの比較のための活物質粒子を用いて、上記実施例1〜8と同じ方法により開放形セルを作製した。
上記の実施例試料及び比較例試料について、20℃の温度環境下、充電電流0.1ItAで15時間充電し、1時間休止した後、放電電流0.2ItAで終止電圧を0.0V(vs.Hg/HgO)として放電を繰り返すことで活物質のグラムあたりの放電容量を得た。
表1および図1に放電容量の測定結果を示す。表1の導電補助層の欄に「Co,Ce」とあるのは導電補助層が二酸化セリウム相を含むこと、「Co」とあるのは導電補助層が二酸化セリウム相を含まないことを表している。
Liを含まない試料の比較では、導電補助層が二酸化セリウム相を含まない比較例2よりも二酸化セリウム相を含む比較例1の方が放電容量が大きい。これは、二酸化セリウム相の存在によって、導電補助層が比抵抗が小さくなり活物質利用率が向上したものと考えられる。
活物質粒子中のLi含有率が大きくなるにしたがって放電容量は大きくなっている。導電補助層が二酸化セリウム相を含む比較例1および実施例1〜7では、導電補助層が二酸化セリウム相を含まない比較例2〜9と比べてもLi含有の効果が大きく、放電容量は顕著に増加している。Li含有率が0.03質量%ですでに顕著な効果があり、実験を行った0.36質量%まで、Li含有量が大きくなるほど放電容量は大きくなっている。
一方、CoCe化合物で被覆した活物質の放電容量は、リチウム含有量の増加にしたがって、Co化合物の場合よりも明らかに大きな増加を示し、データのある範囲では頭打ちの傾向は見られない。CoCe化合物を被覆した方が放電容量の増加が著しいのは、CoCe化合物の導電率の向上がCo化合物よりも著しいことに起因すると推定される。導電率が高くなると、ニッケルの深放電が可能となり放電容量の増加につながるからである。CoにLiが取り込まれると結晶構造が歪むことが知られているが、Coの一部がCeに置換されていることで、Li挿入による結晶構造の歪みが導電性向上に有利に働いたものと考えられる。
次に、電解液の組成を変えて開放形セルを作製して実験を行った。
実施例8は、実施例5と同じ活物質粒子(導電補助層が二酸化セリウム相を含み、Li含有率が0.194質量%である)を用い、電解液組成が7モル/リットルのKOHである以外は、前記の実施例1〜7と同じ方法により作製した。
実施例9は、電解液として6.5モル/リットルのKOH+0.5モル/リットルのLiOHを用いた以外は、実施例8と同じ方法により作製した。
比較例10および実施例10〜12は、比較例1と同じ活物質粒子(導電補助層が二酸化セリウム相を含み、Li含浸処理を施していない)を用い、電解液組成が6〜7モル/リットルのKOH+0〜1モル/リットルのLiOHである以外は、実施例1〜7と同じ方法により作製した。個々の電解液組成は表2に示した。
比較例11は、比較例6と同じ活物質粒子(導電補助層が二酸化セリウム相を含まず、Li含有率が0.163質量%である)を用いた以外は、実施例8と同じ方法により作製した。
比較例12は、電解液として6.5モル/リットルのKOH+0.5モル/リットルのLiOHを用いた以外は、比較例11と同じ方法により作製した。
比較例13〜16は、比較例2と同じ活物質粒子(導電補助層が二酸化セリウム相を含まず、Li処理を施していない)を用いた以外は、比較例10、実施例10〜12と同じ方法により作製した。個々の電解液組成は表2に示した。
表2および図2に放電容量の測定結果を示す。試験方法は表1および図1と同じである。
比較例13〜16の結果(図2において△)から、電解液がLiOHを含むことによって放電容量が大きくなっていることが分かる。これは、電解液中のLiが活物質に取り込まれたためと考えられる。
比較例10、実施例10〜12の結果(図2において◇)でも同じく、電解液がLiOHを含むことによって放電容量が大きくなっている。そして、実施例10〜12と比較例14〜16について、LiOH濃度が同じ試料で比較を行うと、導電補助層に二酸化セリウム相を含む実施例10〜12の方がLiOHによる放電容量増大効果が大きく現れている。これは、CoCe化合物がLiを含有した場合に、導電率がよく大きく向上するためと考えられる。
これは電解液中にLiがない場合には、活物質中に挿入されたLiが液中に拡散していき、活物質中のLi濃度が下がることによるとも考えられる。しかしながら図1および図2において、活物質がLi含浸処理をされた場合と、活物質が元々はLiを含まないがLiOHを含む電解液中で用いられた場合とを比較すると、後者ではLiOH濃度を上げていっても放電容量の増大効果が頭打ちとなるのに対して前者にはそのような傾向は見られない。このことから、予めLi含浸処理を行った場合と、LiOHを含む電解液中で充放電された場合では、正極活物質中に含まれるLiの形態が異なる可能性が高い。図2で実施例9が最も大きな放電容量を示したのは、Li含浸処理とLiOHの効果が合わさったためと考えられる。
還元電流に関して、すなわちオキシ水酸化コバルトの耐還元性に関しては、導電補助層が二酸化セリウム相を含むことと活物質がリチウムを含むことで、耐還元性が良くなる傾向が見られた。
102 参照極
103 対極
104 制御装置
Claims (11)
- 水酸化ニッケルを含む芯層と、前記芯層の表面を被覆する導電補助層とを有するアルカリ蓄電池用正極活物質であって、
前記導電補助層は菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相とホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを含み、
前記オキシ水酸化コバルト相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記オキシ水酸化コバルト相の3al,3a2サイトに前記コバルト原子及び前記セリウム原子が配置され、
前記二酸化セリウム相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記二酸化セリウム相の4aサイトにコバルト原子及びセリウム原子が配置され、
前記活物質はリチウムを含む
ことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質。 - 水酸化ニッケルを含む芯層と、前記芯層の表面を被覆する導電補助層とを有するアルカリ蓄電池用正極活物質であって、
前記導電補助層は菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相とホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを含み、
前記オキシ水酸化コバルト相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記オキシ水酸化コバルト相の3al,3a2サイトに前記コバルト原子及び前記セリウム原子が配置され、
前記二酸化セリウム相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記二酸化セリウム相の4aサイトにコバルト原子及びセリウム原子が配置され、
前記活物質はリチウム含浸処理を経た
ことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質。 - 前記芯層および前記導電補助層はリチウムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
- 前記活物質に含まれるリチウムの量は、元素としての換算量で0.03質量%以上、0.36質量%以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。 - 前記導電補助層における、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相の合計に対する二酸化セリウム相の存在割合は、6.5質量%以上、88.2質量%以下である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。 - 水酸化ニッケルを含む粒子を分散した水溶液に、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルを含む芯層の表面にコバルトとセリウムを含む水酸化物の被覆層を形成する工程を有し、
前記コバルトイオンとセリウムイオンとを含む水溶液は、コバルトとセリウムの原子比(Co:Ce)が95:5から30:70の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載されたアルカリ蓄電池用正極活物質を製造する方法。 - 前記水酸化ニッケルを含む芯層の表面にコバルトとセリウムを含む水酸化物の被覆層が形成された粒子を、水酸化ナトリウムを主成分とするアルカリ水溶液と酸素との共存下で、50〜150℃で加熱することにより酸化処理する酸化工程と、
前記酸化処理された粒子を、水酸化リチウム水溶液中に保持して、リチウムを含浸させるリチウム処理工程とをさらに有する
ことを特徴とする請求項6に記載のアルカリ蓄電池正極活物質製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質を備えたアルカリ蓄電池。
- 水酸化ニッケルを含む芯層と、前記芯層の表面を被覆する導電補助層とを有し、前記導電補助層は菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相とホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質と、
水酸化リチウムを含む電解液とを備え、
前記オキシ水酸化コバルト相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記オキシ水酸化コバルト相の3al,3a2サイトに前記コバルト原子及び前記セリウム原子が配置され、
前記二酸化セリウム相は、コバルト原子及びセリウム原子を含み、
前記二酸化セリウム相の4aサイトにコバルト原子及びセリウム原子が配置されている
アルカリ蓄電池。 - 水酸化リチウムを含む電解液を備えたことを特徴とする
請求項8に記載のアルカリ蓄電池。 - 前記電解液は、0.25モル/リットル以上、1モル/リットル以下の水酸化リチウムを含む
ことを特徴とする請求項9または10に記載のアルカリ蓄電池。
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