JP5742413B2 - レジスト組成物、レリーフパターンの製造方法、及び電子部品 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われており、現在用いられているKrFエキシマレーザー光に加え、ArF、F2、EUV、X線、電子線やその他の荷電粒子線等を露光光として用いたリソグラフィーが提案されている。
しかしながら、このような高分子材料は分子量が大きく且つ分子量分布が広いため、解像力やラインエッジラフネス(Line Edge Roughness、LER)の低減には限界がある。
しかしながら、解像性を課題としている特許文献5においても160nmのラインアンドスペースを形成しているにすぎず、特許文献1〜5及び非特許文献1、2のフォトレジストはいずれも解像力が不十分であり、さらなる微細化パターンを形成可能なレジストが求められていた。
本発明は係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係るレジスト組成物においては、前記フェノール性化合物(A)と前記架橋性化合物(D)が同一の化合物であって、当該同一の化合物が、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基を有する芳香環に、ヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量300以上3000以下のフェノール性化合物(A’)であることが、高解像力で低ラインエッジラフネスのパターンを得ることができる点から好ましい。
また、本発明に係るレジスト組成物は、フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、前記式(1)で表され、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上3000以下の有機塩基性化合物(C)とを含有し、前記フェノール性化合物(A)が、少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(Acap)である、レジスト組成物とすることができる。
本発明に係るレジスト組成物においては、前記フェノール性化合物(A)が、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜3000のフェノール性化合物であることが、解像力が向上する点から好ましい。
本発明に係るレジスト組成物においては、前記有機塩基性化合物(C)における前記オキシ基(−O−)が、芳香環に直接結合していることが、塗膜中の均一性を向上し、高感度、且つ高解像力で、低ラインエッジラフネスのパターンを得ることができる点から好ましい。
本発明に係るレジスト組成物においては、前記塩基性化合物(C)が、下記化学式(C−1)〜(C−31)及び(C−34)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
(ii)前記レジスト膜を露光し、加熱し、現像する工程、を含むレリーフパターンの製造方法を提供する。
また、本発明は、前記本発明に係るレジスト組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、電子部品をも提供する。
なお本発明において、活性エネルギー線とは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、及びF2エキシマレーザー等の遠赤外線、電子線、イオンビーム、EUV、X線等を意味する。
また、本発明における基(原子団)の表記において、置換及び非置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。アルキレン基の2価の結合は、異なる炭素原子からの場合(例えば、−CH2−CH2−)の他、同一の炭素原子からの2価の結合も含む(例えば、−CH2−)。また、アルキル基、シクロアルキル基は、飽和炭化水素の他、二重結合、三重結合等を有する不飽和炭化水素を含む。シクロアルキル基は、単環式の他、2環性、3環性等の多環性炭化水をも含む。
本発明に係るレジスト組成物は、フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上の有機塩基性化合物(C)とを含有することを特徴とする。
化学増幅型のレジスト組成物は、通常、活性エネルギー線の照射(以下、露光という場合がある)によって酸を発生する酸発生剤成分を含有している。露光により酸発生剤から酸が発生すると、当該酸が触媒として作用して、例えばネガ型レジスト組成物の場合、アルカリ可溶性樹脂と架橋性化合物との間で多くの架橋が生じ、アルカリ可溶性からアルカリ不溶性に変化する。また、ポジ型レジスト組成物の場合、アルカリ不溶性樹脂に当該酸が作用して、多くの保護基が分解することによりアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターン形成において、化学増幅型のレジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、或いは露光に加えて露光後加熱すると、露光部と未露光部の間で、アルカリ溶解性に差が生じ、アルカリ現像することにより、レジストパターンを形成することができる。
ところで、例えば、ネガ型レジスト組成物を塗膜とした場合、レジスト組成物の各成分や、前記酸発生剤より発生した酸は、PEB中加熱されることにより当該塗膜中で拡散するものと推定される。中でも、発生した酸が塗膜中で動き、未露光部に拡散した場合には、パターンが形成されてはいけない未露光部にパターンが形成されてしまい、レジストパターンの解像力を悪化させるものと推定される。従来より、有機塩基性化合物等を用いることによりこのような酸の拡散を抑えられることが知られている。しかしながら、従来の有機塩基性化合物を用いても得られるパターンの解像力は不十分であった。これは従来の有機塩基性化合物を用いた場合には、当該有機塩基性化合物も同様に塗膜中を動くことができ、当該有機塩基性化合物が露光部に拡散し、前記発生した酸との間で中和反応を起こすことにより、露光部の感度を悪化し、同時に未露光部の有機塩基性化合物の濃度が減少し、本来抑制されるべき反応が未露光部でも起こってしまう。その結果、レジストパターンの形状を悪化させるからではないかと推定される。またフェノール性化合物と相溶性が悪い塩基性化合物の場合、塗膜中のレジスト組成物の均一性が不安定となり、塩基性化合物が偏在することにより解像力が不十分となっていたのではないかと推定される。
芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上の有機塩基性化合物(C)をフェノール性化合物(A)と組み合わせて用いることにより、当該有機塩基性化合物(C)はフェノール性化合物(A)との相溶性が高いため、レジスト塗膜中の均一性が高まるとともに、当該有機塩基性化合物(C)の拡散性が低下するものと推定される。また、分子量が400以上というある程度大きな有機塩基性化合物(C)とすることによっても、更に拡散を抑えることができるため、上記のように、露光部に拡散する有機塩基性化合物の量の減少を抑制して、これによりレジスト解像力の低下が起こらないものと推定される。このように、露光部では、発生した酸が中和されずに解像力を保ち、未露光部では、発生した酸が拡散されるのを防ぐことにより、露光部では酸が高濃度で存在し、未露光部では酸が存在しない、すなわち露光部と未露光部の境界部における酸の濃度差がはっきりするため、感度、及び他の特性を維持しつつ、解像力に優れるものと推定される。
ネガ型レジスト組成物として用いる場合、本発明のレジスト組成物は、フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上の有機塩基性化合物(C)と、架橋性化合物(D)とを含有し、前記フェノール性化合物(A)と前記架橋性化合物(D)が同一の化合物であってもよいものである。
ポジ型レジスト組成物として用いる場合、本発明のレジスト組成物は、フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上の有機塩基性化合物(C)とを含有し、前記フェノール性化合物(A)が、少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(Acap)である。
以下、このような本発明のレジスト組成物の各成分について順に説明する。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基を有する化合物である。なお、本発明において、「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン環等の芳香環に直接結合された水酸基を意味する。
中でも、フェノール性水酸基を有するベンゼン環を1分子中に4個以上含むことが上記効果の点から更により好ましい。
分子量が300以上であれば、レジスト膜を形成する能力やパターンを形成する能力に優れる。また、分子量が3000以下であれば、レジスト組成物に用いられる溶剤による膨潤が生じにくくなり、パターン倒れが起こりにくく、また、パターンの形状を良好なものとすることができる。ここでの分子量は、その分子を構成する原子の原子量の和をいう。また、分子量分布を有するオリゴマーである場合には、GPC(ポリスチレン換算)を用いた重量平均分子量で表される。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A)の分子量としては、中でも、500〜2500であることが好ましく、更に600〜2000であることが、成膜性および解像性の点から好ましい。
通常、レジスト組成物用の溶剤としては、低沸点の溶剤を用いるとレジスト膜が急激に乾燥して均一な膜が得られないことから、スピンコート法などで塗布する際に均一なレジスト膜を得るために、沸点が80〜180℃の溶剤が使用される。スピンコート法で形成されたレジスト膜は多くの残留溶媒を含んでいるため、この溶剤を除き安定なレジスト膜を形成するため、レジスト基板をホットプレートを用いて90℃以上の温度で加熱する(プリベーク)。ところが、ガラス転移温度が60℃未満のフェノール性化合物を用いると、ガラス転移温度以上の温度でのプリベーク工程においてレジスト膜の脱濡れ現象が起こり、均一な膜が得られなくなる恐れがある。
それに対し、ガラス転移温度が60℃以上のフェノール性化合物を用いる場合には、高温でのプリベークが可能となり、均一な膜が得られるほか、環境耐性(ポストコーティングディレイ:PCD)に優れたレジスト膜が得られる。更に、レジストパターン形成後のドライエッチング工程において、エッチング耐性(エッチング中の高温によるパターンの溶融を防止可能)に優れたパターンが得られる。
なお、ここでのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定したものである。
R2は、各々独立に、水素原子又は有機基であり、複数あるR2のうち1分子中少なくとも2つは水素原子である。R3は、ハロゲン原子又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、及びニトロ基からなる群より選ばれる基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
n1は1〜3の整数、n2は0〜2の整数を表す。但し、n1+n2≦4となる組み合わせをn1及びn2の数値範囲から選択するものとする。x1は3〜12の整数を表す。また、化学式(2)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じでも異なっていてもよい。]
R10及びR11は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、複数あるR10及びR11は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR10及びR11のうち少なくとも2つは水素原子である。更に、R6、R7及び/又はR9において、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよい。
Wは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基、或いは、これらの任意の組み合わせからなる基を表す。複数あるWは互いに同一であっても異なっていてもよい。
x2は正の整数を表す。
y1は0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、y1は0である。
y2は0以上の整数を表し、y3は正の整数を表す。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
k1及びk4は正の整数を表す。
k2、k3、及びk5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、k1+k2+z=5、k3+v=3、k4+k5=5、k2+k5≧2を満たす。)
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
アリール基が有する置換基としてのシクロアルキル基は、上記のシクロアルキル基と同様のものが挙げられる。また、当該シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、特に制限はないが、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリール基が有する置換基としての炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン原子、及びハロゲノアルキル基は、上記シクロアルキル基で示したとおりである。
上記化学式(3)中、R4及びR5のいずれも水素原子である場合が好適に用いられる。
R3としてのアルキル基が有する置換基は、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
また、R3のアルコキシ基としては、上記R1と同様のものが挙げられる。
R6、R7、R8及びR9におけるシクロアルキル基としては、単環、多環どちらでもよい。例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
R6、R7、R8及びR9におけるアリール基としては、上記R1と同様であって良い。
なお、上記化学式(4)で表される化合物において、R6は(X2)が2以上の整数の場合は、(X2)価の基となる。
Wにおけるシクロアルキレン基は、単環、多環どちらでもよく、環を形成するアルキレン基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、さらに置換基を有していてよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
Wにおける環状のアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
以下にフェノール性化合物(A)の母核化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の具体例のフェノール性水酸基は、1分子中のフェノール性水酸基が2個以上存在すれば、有機基で保護されているものであっても良い。
以下、このようなフェノール性化合物(A’)について詳述する。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A’)は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基を有する芳香環に、ヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量400〜3000のフェノール性化合物である。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A’)は、中でも、フェノール性水酸基を有する芳香環にヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を、1分子中に2個以上有することが好ましく、1分子中に3個以上有することがより好ましく、更に1分子中に4個以上有することが、架橋性を高くする点から、より好ましい。
フェノール性化合物(A’)の具体例としては、例えば、フェノール性化合物(A)において例示した、前記化学式(A−1)〜(A−36)等の母核化合物において、フェノール性水酸基を有する芳香環に、ヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する化合物が挙げられる。
また、下記式中、Lは、各々独立に、水素原子、又は、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基であり、1分子中少なくとも1つのLは、フェノール性水酸基のオルト位に存在するヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基である。
しかしながら、本発明に係るレジスト組成物において、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が90重量%以上であることが、低ラインエッジラフネスを向上する点から好ましい。フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が90重量%以上であることが更に好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。
フェノール性化合物(A)として、構造式が同じ化合物の純度が高いものを用いると、現像の進行が均一となるため、ラインエッジラフネスが低減されると推定される。
但し、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が90重量%未満であっても、不純物の構造がフェノール性化合物(A)に類似しており、相溶性が良好な場合には好適に用いることができる。
また、フェノール性化合物(A’)に属する化合物である場合、その含有量はレジスト組成物の全固形分に対して、70〜98重量%であることが好ましく、80〜96重量%以上であることがより好ましい。
なお、本発明において、固形分とは、レジスト組成物中に含まれる成分のうち有機溶剤以外のものを意味する。
本発明のレジスト組成物においては、フェノール性化合物(A)として、少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール化合物(Acap)を用いることができる。少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール化合物(Acap)は、酸の作用により、酸分解性の保護基が解離して、アルカリ現像液に対する溶解度が増大するため、当該少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール化合物(Acap)を用いたレジスト組成物はポジ型レジスト組成物とすることができる。
少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール化合物(Acap)において、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の数は特に限定されない。中でも、露光部と未露光部の溶解性の差を大きくする点から、1分子中に、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基が2個以上有することが好ましく、1分子中に3個以上有することがより好ましく、1分子中に4個以上有することが更により好ましい。
ここで、複数あるRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。R同士が互いに結合して環を形成しても良い。
また、母核化合物が、前記フェノール化合物(A)の化学式(4)で表される化合物である場合は、分子量は、好ましくは300〜3000、さらに好ましくは、400〜2000である。
本発明において、酸発生剤(B)は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。中でも、波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤であることが好ましい。
本発明のレジスト組成物において、酸発生剤(B)の含有量は、前記フェノール性化合物(A)100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜25重量部、よりさらに好ましくは5〜20重量部である。この範囲よりも少なくなると像形成ができず、多くなると、均一な溶液とならず、均一な塗膜が得られない恐れがある。
従って、当該酸発生剤(B)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、2〜30重量%であることが好ましく、更に4〜20重量%であることが好ましい。
本発明において用いられる有機塩基性化合物(C)は、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上の有機塩基性化合物である。
有機塩基性化合物(C)は、前記フェノール性化合物(A)と前記架橋性化合物(D)の架橋反応を阻害することなく、露光前後に前記酸発生剤(B)から発生した酸が拡散して組成を変化させることを抑制する機能を果たす。更に本発明においては、上記特定の有機塩基性化合物(C)を用いることにより、感度やその他の特性を悪化させることなく、解像力に優れたものとすることができる。
前記芳香環は、有機塩基性化合物(C)1分子中に1個以上有すればよい。中でも、フェノール性化合物(A)との相溶性が向上するとともに、レジスト塗膜中での不均一な分布が抑制される点から、有機塩基性化合物(C)1分子中に芳香環を2個以上有することが好ましく、1分子中に芳香環を3個以上有することがより好ましい。
オキシ基は分子中のどの位置に有していてもよく、特に限定されない。中でも、オキシ基の酸素が芳香環に直接結合していることが、前記フェノール性化合物(A)との相溶性が向上する点から好ましい。
また、Rb及びRcは、それらが結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
有機基中の炭化水素基以外の結合としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合等が挙げられる。
有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、アルコキシ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基等が挙げられる。アリール基やアラルキル基を有する場合、更に水酸基を有していることが好ましい。
当該芳香環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素の他、ピリジン、ピロール、チオフェン等の複素芳香族環が挙げられる。中でも、前記フェノール性化合物(A)との相溶性の点から、芳香環は、芳香族炭化水素であることが好ましく、更にベンゼンであることがより好ましい。
また、本発明の有機塩基性化合物(C)としては、例えばハロゲン化アルキル基を有する3級アミンとフェノール性化合物とを反応させて得られた化合物のように、塩基性化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られた化合物であることがフェノール性化合物との相溶性の点から好ましい。
本発明において用いられる架橋性化合物(D)は、酸の作用により前記フェノール性化合物(A)を架橋し、アルカリ難溶性とする化合物である。このため、架橋性化合物(D)を用いたレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物として用いることができる。
なお、前記フェノール性化合物(A’)を用いる場合には、別途架橋性化合物を含む必要はない。しかしながら、この場合にも少量添加して高感度化やパターン強度の向上に伴う解像力の改善を行っても良い。
本発明に用いられる架橋性化合物(D)は、特に限定されない。従来の化学増幅型のレジスト組成物において使用されている公知の架橋性化合物の中から任意に選択して用いることができる。
例えば、4,4’−メチレンビス[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)]フェノール(MBHP)、4,4’−メチレンビス[2,6−ビス(メトキシメチル)]フェノール(MBMP)、2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒトロキシシクロヘキサン等のヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
架橋性フェノール性化合物(A’)を用いない場合、架橋性化合物(D)の配合量は、前記フェノール性化合物(A)100重量部に対し、3〜40重量部、好ましくは3〜30重量部である。架橋性化合物(D)の配合量が、3重量部未満では架橋形成が十分に進行せず、良好なレジストパターンが得られない恐れがある。また、40重量部を超えると、レジスト溶液の保存安定性が低下し、感度が経時的に劣化する恐れがある。
本発明のレジスト組成物は、更に、下記化学式(13)で表される繰り返し単位を有し、アルカリ現像液への溶解性を有する樹脂(E)(以下、アルカリ可溶性ポリマー(E)ともいう)を含有していてもよい。
Zのアルキル基及びアルキルスルホニル基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
Zのアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
Zのアシル基は、炭素数1〜8のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
Zのアシロキシ基は、炭素数2〜8のアシロキシ基が好ましく、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。Zは、更にハロゲン原子等で置換されていても良い。
アクリル酸及びエステル類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アダマンチルアクリレート、ノルボルニルアクリレート等が挙げられる。
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
本発明に係るレジスト組成物は、必要に応じて、ネガ型レジスト組成物とすることも、ポジ型レジスト組成物とすることもできる。
ネガ型レジスト組成物とする場合、通常、有機溶剤(F)に上記のフェノール性化合物(A)、酸発生剤(B)、有機塩基性化合物(C)、架橋性化合物(D)及び必要に応じてその他の添加剤を均一に混合することにより調製される。
また、ポジ型レジスト組成物とする場合、通常、有機溶剤(F)に上記の少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(Acap)、酸発生剤(B)、有機塩基性化合物(C)及び必要に応じてその他の添加材を均一に混合することにより調製される。
レジスト組成分中の溶剤量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には、溶剤は、レジスト組成物の固形分濃度が好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明は、上記本発明に係るレジスト組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、電子部品をも提供する。本発明に係る電子部品は、レジスト組成物又はその硬化物が含まれる構成のいずれかに、上記本発明に係るレジスト組成物又はその硬化物を含めば、他の構成は、従来公知と同様のものとすることができる。本発明に係る電子部品としては、例えば、MEMS(マイクロ電気機械装置)部品、マイクロ機械部品、マイクロ流体工学部品、μ−TAS(マイクロ全分析装置)部品、インクジェット・プリンター部品、マイクロ反応器部品、電気伝導性層、金属バンプ接続部、LIGA(リソグラフィー電鋳成形)部品、マイクロ射出成形及びマイクロ圧印加工のための鋳型及び押型、精密印刷用スクリーン又はステンシル、MEMS及び半導体パッケージ用部品、及び紫外線(UV)リトグラフにより処理することができるプリント配線基板等が挙げられる。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、
(i)本発明に係るレジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を露光し、加熱し、現像する工程、を含むことを特徴とする。
(i)本発明に係るレジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程
本工程においては、まず、上記のレジスト組成物を基板上に塗布する。
塗布方法は、基板表面に当該レジスト組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スプレー法、ロールコート法、スリットコート法、回転塗布等の各種方法を用いることができる。
プリベークの温度は、当該組成物の成分、使用割合、有機溶剤(F)の種類等により適宜決めればよく、通常、70〜160℃、好ましくは90〜130℃である。また、プリベーク時間は、通常、30秒〜15分程度である。
本工程においては、まず、前記レジスト膜を、例えば、波長248nm以下の活性エネルギー線で露光する。例えば、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、前記レジスト膜を、所定のパターン形状を有するマスクを介した露光、又は当該マスクを介さない電子線の直接照射による描画等により、選択的に露光する。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(Extreme Ultraviolet:極紫外線)、電子線、X線等を用いて行うことができる。
次いで露光後に、露光後加熱(Post Exposure Bake、PEB)を行う。PEB処理の条件は、通常、70〜160℃、好ましくは90〜130℃で、0.1〜15分程度の時間である。
次に、上記でPEB処理された基板をアルカリ現像液を用いて現像処理し、ネガ型レジスト組成物においては、未露光部を、ポジ型レジスト組成物においては露光部を、除去する。
現像方法としては、スプレー法、スリット法、液盛り法、ディッピング法、揺同浸漬法等が挙げられる。
また、本発明のレジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n‐プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ‐n‐ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジメチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらのアルカリ現像液の中で、好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンの水溶液である。
なお、製造例における、構造及び物性の確認は以下の装置を用いて行った。
・MALDI−TOF MS:BRUKER社製、REFLEX II
1,8,9−トリヒドロキシアントラセンをマトリックスとして測定を行った。
・1H‐NMR:日本電子製、JEOL JNM−LA400WB
・高速液体クロマトグラフィー(HPLC):島津製作所製、LC−10ADvp
温度:40℃、流速:0.5mL/分、カラム:VP−ODS(4.7mm×150mm)、検出器SPD−M10Avp、移動相:アセトニトリル/水=8/2の測定条件で測定を行った。
<製造例1:塩基性化合物(C−1)の合成>
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、N―(2―クロロエチル)ジベンジルアミン塩酸塩0.50g(1.69mmol)、α―クミルフェノール0.36g(1.69mmol)をアセトン30mLに溶解した。ついで炭酸カリウム2.34g(16.9mmol)を追加、60℃で48時間反応させた。反応後、残留した炭酸カリウムを除去、一旦溶媒を留去して反応物を乾固させた後に水に溶解、ついで酢酸エチルを加えて水相から目的物を抽出、さらに酢酸エチルを留去した後に、高速液体クロマトグラフィーにより精製して粘ちょうな無色液体の塩基性化合物(C−1)(分子量:435.6)を得た。
構造はMALDI−TOF MS、高速液体クロマトグラフィー、及び1H‐NMRスペクトルにより確認した。
MALDI−TOF MSにて確認:[M+H]436.5
HPLC(アセトニトリル/水=8/2)保持時間:66.5分
1H‐NMR(400 MHz, DMSO−d6, TMS): 6.76〜7.38δ(ppm)(aromatic−H)、4.01〜4.03(aromatic−O−CH2−)、3.66(aromatic−CH2−N)、2.75(N−CH2−CH2−)、1.59(aromatic−C(−CH3)―aromatic)
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、N−(2−クロロエチル)ジベンジルアミン塩酸塩0.25g(1.69mmol)、(TekOC−4HBPA:本州化学工業株式会社製)0.54g(1.69mmol)をアセトン30mLに溶解。ついで炭酸カリウム1.17g(8.5mmol)を追加、60℃で48時間反応させた。反応後、残留した炭酸カリウムを除去、一旦溶媒を留去して反応物を乾固させた後に水に溶解、ついで酢酸エチルを加えて水相から目的物を抽出、さらに酢酸エチルを留去した後に高速液体クロマトグラフィーにより分取し、精製してロウ状固体の塩基性化合物(C−2)(分子量:856.2)及び(C−3)(分子量856.2)を得た。
構造はMALDI−TOF MS、高速液体クロマトグラフィー、及び1H‐NMRスペクトルにより確認した。なお、1H‐NMRスペクトル及びHPLCの保持時間が異なることから、塩基性化合物(C−2)と(C−3)は異性体の関係にあることがわかる。
MALDI−TOF MSにて確認:[M+H]856.8
HPLC(アセトニトリル/水=8/2)保持時間:73.5分
1H‐NMR(400 MHz, DMSO−d6, TMS): 9.00&8.98(d)δ(ppm)(aromatic−OH)、8.90(aromatic−OH)、6.54〜7.37(aromatic−H)、3.98(aromatic−O−CH2−)、3.65(aromatic−CH2−N)、2.75(N−CH2−CH2−)、2.63(Cyclohexane―H2)2.01〜2.05(aromatic−CH3)、1.65(Cyclohexane―H2)、1.50(Cyclohexane―H2)、1.32(Cyclohexane―H)、1.08(Cyclohexane―H2)、0.44(−C(−CH3)2―)
MALDI−TOF MSにて確認:[M+H]856.8
HPLC(アセトニトリル/水=8/2)保持時間:89.0分
1H‐NMR(400 MHz, DMSO−d6, TMS): 8.98δ(ppm)(aromatic−OH)、8.92&8.90(d)(aromatic−OH)、6.54〜7.40(aromatic−H)、4.04(aromatic−O−CH2−)、3.68(aromatic−CH2−N)、2.79(N−CH2−CH2−)、2.65(Cyclohexane―H2)2.01〜2.10(aromatic−CH3)、1.65(Cyclohexane―H2)、1.51(Cyclohexane―H2)、1.32(Cyclohexane―H)、1.07(Cyclohexane―H2)、0.43(−C(−CH3)2―)
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−1)(分子量:353.7)は、(製品名トリオクチルアミン)を東京化成工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−2)(分子量:287,4)は、(製品名トリベンジルアミン)を東京化成工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−3)(分子量:323.4)は、(製品名トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン)を東京化成工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−4)(分子量:191.3)は、(製品名1−(3−ヒドロキシベンジル)ピペリジン)を東京化成工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−5)(分子量:191.3)は、(製品名1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン)を東京化成工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される比較塩基性化合物(RC−6)(分子量:127.2)は、(製品名3−ヒドロキシキヌクリジン)を東京化成工業株式会社から入手した。
窒素雰囲気下、300mL三口フラスコ中、3−メトキシフェノール12.4g(0.1mol)をエタノール200mLに溶解した。これを氷浴下で冷却しながら2,4−ジメチルベンズアルデヒド13.4g(0.1mol)を加え、次いで、濃塩酸25mLをゆっくりと滴下し、70℃で12時間反応させた。反応後、反応液を蒸留水500mL中に注ぎ込み、生じた沈殿(黄色固体)をろ過した後、中性になるまで蒸留水で洗浄、乾燥した。精製は、高速液体クロマトグラフィーにより行い、下記化学式で表される白色のフェノール性化合物(カリックスレゾルシンアレン誘導体;CRA−1)を得た。構造はMALDI−TOF MS、及び1H‐NMRスペクトルにより確認した。
下記化学式で表されるフェノール性化合物(A−1)は、旭有機材工業株式会社から入手した。
下記化学式で表されるフェノール性化合物(A−2)製品名TEP−BOCPは、旭有機材工業株式会社から入手した。
10重量%水酸化カリウム水溶液20mLとエタノール20mLからなる溶液に、前記化学式(A−2)で表されるフェノール性化合物5.8g(10mmol)を加え、室温で攪拌、溶解した。この溶液に37%ホルマリン水溶液14.0mL(160mmoL)を室温下でゆっくりと加えた。更に、窒素雰囲気下、40℃で24時間攪拌した後、ビーカー中の水200mLに投入した。これを氷浴にて冷却しながら2.0wt%酢酸水溶液をpH5.0になるまでゆっくりと加えた。析出物をろ別し、十分に水洗浄した後、乾燥し、ヒドロキシメチル基の数が4〜8個導入されたフェノール性化合物の混合物(A−2M)を得た。精製は、高速液体クロマトグラフィーにて行い、下記化学式で表されるフェノール性化合物(A−2S)を4.8g得た。
得られたフェノール性化合物(A−2S)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。
前記製造例5において、フェノール性化合物(A−2)を用いる代わりに、下記化学式で表されるフェノール性化合物(A−3)(TekOC−4HBPA:本州化学工業株式会社)6.3g(10mmol)を用い、37%ホルマリン水溶液の添加量を7.0mL(80mmoL)に変更した以外は、製造例5と同様にして、下記化学式で表される白色のフェノール性化合物(A−3S)を5.8g得た。
得られたフェノール性化合物(A−3S)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。
下記化学式で表される酸発生剤ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート(P−1)は、和光純薬工業株式会社から入手した。
下記化学式で表される架橋性化合物(D−1)は、(製品名TM−BIP−A)を旭有機材工業株式会社から入手した。
各成分を表1のような配合量でプロピレングリコールモノメチルエーテル(F−1)に溶解し、12時間攪拌した後、0.2μmPTFEフィルターでろ過し、実施例1〜7及び比較例1〜11のネガ型レジスト組成物を調製した。
なお、塩基性化合物の重量部が異なるのは、実施例及び比較例に用いる塩基性化合物のモル数を合わせたためである。
上記実施例1〜7、及び比較例1〜11のレジスト組成物を用いて、以下に示す方法でレジストパターンを作成し、評価を行った。なお、結果を表2に示す。
実施例及び比較例の各レジスト組成物を、6インチシリコン基板上にスピンナーを用いて、均一に塗布し、100℃で60秒間プリベーク処理(PAB)を行い、膜厚70nmのレジスト膜を形成した。
上記のレジスト塗布基板に対し、電子線描画装置(加速電圧100KV)を用いて描画を行った。描画終了後、100℃もしくは110℃で60秒間ベーク処理(PEB)を施し、2.38%のTMAH水溶液(23℃)で60秒間現像処理し、さらに純水にて60秒間リンス処理を行い、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。
(1)感度、解像力
感度は100nmのL/Sパターンが1:1に形成される最少照射量を感度としてμC/cm2単位で測定した。また、その照射量における限界解像力(ライン及びスペースが分離解像)を解像力とした。解像性の確認は、ホロン製の測長SEMにより判断した。
また、このとき得られた100nmL/SパターンのSEM像において長手方向のエッジ0.7μmの範囲について、ライン幅を500ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出、LERとした。さらに一定量のパターン寸法変化を引き起こす露光量を露光余裕度として定義、105nmが得られる露光量から95nmが得られる露光量を引いてこれを感度で割り100をかけて計算した。LERはパターン側壁の凹凸の大きさを反映しているために数値が小さいほうが望ましく、露光余裕度は露光量が変化しても寸法が変化しにくい、すなわちある一定範囲の寸法を得ることができる露光量レンジが大きい方が好ましいのでこの数値は大きい方が望ましい。
上記表2に示す結果から、実施例1〜7では、解像力に優れており、感度を損なうことなく、所望の微細パターンを形成することができた。比較塩基性化合物としてRC−1からRC−6を用いた比較例1〜11では、解像力が劣っていた。
LER、露光余裕度については塩基性化合物を変更したことによる大きな差は認められていないが、実施例において解像力以外の諸性能を悪化させる事無く解像力が改善したことが示唆されている。
比較例1〜3では、塩基性化合物を同一のものとし、従来、解像力を向上できるとされた、その他の条件を変更した場合の比較を行った。比較例2では、比較例1よりも、PEB温度を下げ、比較例3では、比較例1よりも塩基性化合物の含有量を高めてそれぞれ測定を行った。比較例2及び3は、比較例1と比較しても解像力改善の効果がみられなかった。すなわち、従来の知見では達成不可能であったレジスト諸特性に悪影響を与えずに解像力を改善することが、本発明では、特定の構造、分子量を有する塩基性化合物を用いることによって達成できた。
比較例1〜9では塩基性化合物の分子量が400未満であるため、PEB中の塩基性化合物の拡散がより発生しやすい傾向があると推測される。この場合、ラインとラインの間、未露光部分での塩基性化合物の濃度低下が露光部の酸が多くあるエリアに移動することにより顕著に起こることになり、その結果、塩基性化合物が本来有する露光部で発生した酸が未露光部まで拡散すことを抑制するという効果が減じてしまったと考えられる。この場合、未露光部にも酸が拡散により浸入することにより像形成が起こりやすくなるため、パターンの分離が不十分となり解像力低下を引き起こしてしまう。一方、実施例で用いた化合物は分子量が大きく拡散が抑制されることにより、露光部と未露光部の境界部における酸の濃度差がはっきりと現れ未露光部の像形成が抑制されるため、高解像力が得られたものと推測される。
Claims (10)
- フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、下記式(1)で表され、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する分子量400以上3000以下の有機塩基性化合物(C)と、架橋性化合物(D)とを含有し、前記フェノール性化合物(A)と前記架橋性化合物(D)が同一の化合物であってもよい、請求項1に記載のレジスト組成物。
- 前記フェノール性化合物(A)と前記架橋性化合物(D)が同一の化合物であって、当該同一の化合物が、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基を有する芳香環に、ヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量300以上3000以下のフェノール性化合物(A’)である、請求項2に記載のレジスト組成物。
- フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、下記式(1)で表され、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(−O−)を1分子中に1個以上有する400以上3000以下の有機塩基性化合物(C)とを含有し、前記フェノール性化合物(A)が、少なくとも一部のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(Acap)である、請求項1に記載のレジスト組成物。
- 前記フェノール性化合物(A)が、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300以上3000以下のフェノール性化合物である、請求項1、2又は4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 前記有機塩基性化合物(C)における前記オキシ基(−O−)が、芳香環に直接結合している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 前記フェノール性化合物(A)又は前記フェノール性化合物(A’)のガラス転移温度(Tg)が60℃以上である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- (i)請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を露光し、加熱し、現像する工程、を含むレリーフパターンの製造方法。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレジスト組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、電子部品。
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