JP2005284322A - 樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
IR露光系でも版材の保存安定性の向上、経時保存でのブロッキング防止の達成、露光後の経時保存での小点再現性低下を抑制可能なポジ型或いはネガ型の平版印刷版を提供することである。又、前記平版印刷版の作製方法を提供することである。
【解決手段】
支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物、赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有する感光層を設けてなることを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、活性光により可溶化する、いわゆるポジ型の感光性、又は活性光により不溶化する、いわゆるネガ型の感光性を有する平版印刷版材料に関し、更に詳しくは、半導体レーザー等の赤外線による露光で画像形成が可能な平版印刷版材料に関する。又、前記平版印刷版材料の作製方法に関する。
従来より、活性光により可溶化する、ポジ型の感光層を有する感光性平版印刷版用の組成物が、又活性光により不溶化する、ネガ型の感光層を有する感光性平版印刷版用の組成物が知られている。
活性光の照射によって可溶化するポジ型の組成物を使用した感光材料としては、酸発生剤と酸分解性化合物とを含有する感光層を有する画像形成材料が知られている。例えば、米国特許3,779,779号には、オルトカルボン酸又はカルボン酸アミドアセタール基を有する化合物を含有する感光性組成物が、特開昭53−133429号には、主鎖にアセタールを有する化合物を含有する感光性組成物が、又特開昭60−37549号には、シリルエーテル基を有する化合物を含有する組成物が開示されている。これらはいずれも紫外線に感度を有し、紫外線による露光によってアルカリ可溶化して非画像部を形成し、又未露光部は画像部を形成するというものである。
又、ネガ型としては、例えば特公昭52−7364号及び同52−3216号に活性光の照射により該照射部分が光重合或いは光架橋を起こして画像部を形成する感光材料が開示され、露光手段はポジ型同様紫外線による露光である。更に、米国特許5,340,699号には、酸発生剤、酸架橋剤(レゾール樹脂)、バインダ(ノボラック樹脂)、赤外線吸収剤を含有する感光材料を赤外露光して、露光部をアルカリ不溶化する技術が開示されている。
一方、近年、作業効率向上が要求されている。製版業界でもその流れを受け従来の人手と時間のかかる編集作業をコンピューターでソフト的に簡易に行うべく、安価でコンパクトな赤外半導体レーザーによりデジタル記録可能な製版方法即ちCTP(コンピューター・トゥー・プレート)が脚光を浴びている。
CTP対応にするために、露光光源を従来の平版印刷版用の紫外線(UV)を使う明室プリンターから、赤外線(IR)を使うレーザーダイオード(LD)露光機に換えることでデジタル記録可能となり得る。但しUV露光系に比べIR露光系特有の問題点として、赤外吸収剤を感光層に含有することに起因すると推測される保存性の悪さが挙げられ、このことは製品化された場合顧客の要求に反すもので改善が望まれている。
これとは別に、印刷版として露光後の経時における小点再現性が変動しないこと、又は変動の小さいことが使い勝手の良さとして要求されるが、この点においても上記のような化学増幅型のCTP対応では微量に発生した酸で小点が原理的に経時変動しやすいこと、及びブロッキングに伴う小点再現性の劣化などの問題点を抱えており更なる改良が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的はIR露光系でも版材の保存安定性の向上、経時保存でのブロッキング防止の達成、露光後の経時保存での小点再現性低下を抑制可能なポジ型或いはネガ型の平版印刷版を提供することである。又、前記平版印刷版の作製方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
(1)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物、赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有する感光層を設けてなることを特徴とする平版印刷版材料。
(2)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層を設け、該感光層表面にマット剤を有することを特徴とする平版印刷版材料。
(3)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層塗布液をマット剤とともに支持体上に塗布することを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
(4)支持体上に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層塗布液を設けた後、以下の何れかの処理を行うことを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
a)感光層表面にマット剤をパウダリングする
b)感光層表面にマット剤分散液を塗布、乾燥して該感光層表面に融着する
c)感光層表面にマット剤分散液又はマット剤溶液を吹き付け、乾燥して該感光層表面に融着する。
(5) a)の感光層表面にマット剤をパウダリングした後、加熱処理を行うことにより該感光層表面に融着せしめることを特徴とする上記(4)記載の平版印刷版材料の作製方法。
(6)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有する感光層を設けてなることを特徴とする平版印刷版材料。
(7)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を有する感光層を設け、該感光層表面にマット剤を有することを特徴とする平版印刷版材料。
(8)活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を含有する感光層塗布液をマット剤とともに支持体上に塗布することを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
(9)支持体上に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を含有する感光層塗布液を設けた後、以下の何れかの処理を行うことを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
a)感光層表面にマット剤をパウダリングする
b)感光層表面にマット剤分散液を塗布、乾燥して該感光層表面に融着する
c)感光層表面にマット剤分散液又はマット剤溶液を吹き付け、乾燥して該感光層表面に融着する。
(10)a)の感光層表面にマット剤をパウダリングした後、加熱処理を行うことにより該感光層表面に融着せしめることを特徴とする上記(9)記載の平版印刷版材料の作製方法。
好ましい態様として、前記酸により分解し得る結合部を有する化合物が下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有すること、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物がメチロール基を有すること、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物がメラミン系化合物及びレゾール樹脂の少なくとも一方であること、前記赤外吸収剤がシアニン色素であること、前記感光層表面のpHが4.0以上8.0以下であること、前記感光層を形成する感光層塗布液のpHが3.5以上8.0以下であること、前記感光層が700以上2000nm以下の波長に感応することが挙げられる。
即ち本発明者らは、赤外線による露光で画像形成が可能な系において、版材の保存安定性の向上、露光後における経時保存時での小点再現性の変動の防止、経時保存時でのブロッキングの防止を達成するべく鋭意検討した結果、感光層に塩基性化合物を含有せしめること、又は感光層に該感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有せしめること、又は感光層表面にマット剤を存在せしめることで上記目的を達成し得ることを見出し、本発明に至ったものであり、赤外線による系での露光で上記の課題を解消し得る性能を有するというものである。
本発明は塩基性化合物を感光層に適用することにより、赤外半導体レーザーの露光でも十分な感度及び生保存性を有し、かつ小点再現性低下の抑制のみならず露光後の経時保存での小点再現性低下の抑制にも優れたポジ型或いはネガ型の平版印刷版材料が得られるという顕著に優れた効果を奏する。
他方、感光層に該感光層の乾燥膜厚より粒径が大きいマット剤を添加するか、又は感光層表面にマット剤を存在させることにより十分な感度を有し、かつ小点再現性低下の抑制及び対ブロッキングに優れたポジ型或いはネガ型の平版印刷版材料が得られるという顕著に優れた効果を奏する。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明は平版印刷版材料、及びその作製方法をその要旨とするものであり、以下順に説明する。
〔1〕平版印刷版材料
本発明の平版印刷版材料はその形態により塩基性化合物含有タイプ又はマット剤含有タイプに大別でき、双方ともポジ型及びネガ型を有している。
〈1〉塩基性化合物含有タイプ
本タイプの平版印刷版材料は、支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物又は酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物、赤外吸収剤及び塩基性化合物を含有する感光層を設けてなるものである。
本発明において塩基性化合物は、プロトンを補足可能なものであり、具体的には無機又は有機のアンモニウム塩類、有機アミン類、アミド類、尿素やチオ尿素及びその誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類、シッフ塩基、弱酸とナトリウム又はカリウムとの塩、特開平8−123030号記載の塩基性窒素含有樹脂、特開平9−54437号記載の有機塩基性化合物、特開平8−211598号記載のチオスルホネート化合物、特開平7−219217号記載の加熱中性化塩基性化合物(スルホニルヒドラジド化合物等)が挙げられる。尚、加熱中性化塩基性化合物を使用する場合は露光後現像処理する前に加熱することで感度が大幅に向上する。以下に具体例を挙げる。
アミン化合物としては酢酸アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアニリン、トリフェニルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−クロルアニリン、m−クロルアニリン、p−クロルアニリン、o−ブロムアニリン、m−ブロムアニリン、p−ブロムアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、p−アミノ安息香酸、スルファニル酸、スルファニルアミド、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−イミダゾール、2−ウンデシル−イミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジトリルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N′−ジベンジルピペラジン、4,4′−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸、2−アミノ−ベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノ−ベンゾトアゾール、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素等が挙げられる。
シッフ塩基の具体的化合物は、以下の一般式(3)
Figure 2005284322
(但し、R1、R2は炭化水素基(例えばメチル基、イソプロピル基、オクチル基、ヘプタデシル基等のアルキル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基など)、R3は水素原子または炭化水素基(R1、R2で挙げたのと同様の基)を表す。)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有する化合物を挙げることができる。
上記構造を有する化合物は、アルデヒド又はケトンとアミンの縮合により合成することができる。
具体的には、多価のアミン類と1価のアルデヒド類又は1価のケトン類、1価のアミン類と多価のアルデヒド類又は多価のケトン類との縮合反応及び、2価のアミン類と2価のアルデヒド類又は2価のケトン類との縮重合反応等により合成することができる。
1価のアミン類の例としては、メチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ナノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、1−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、1−メチルブチルアミン、オクタデシルアミン、イソプロピルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−アミルアミン、イソアミルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、tert−オクチルアミン、1,2−ジメチルブチルアミン、4−メチルペンチルアミン、1,2,2−トリメチルプロピルアミン、1,3−ジメチルペンチルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキサンメチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、m−エチルアニリン、p−エチルアニリン、p−ブチルアニリン等が挙げられる。2価のアミン類の例としては、メチンジアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ヘキサンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、4,4′−メチレンビスシクロヘキサンアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビスメチルアミン、ベンジジン、4−アミノフェニルエーテル、o−トリジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、o−フェニレンジアミン、4−メトキシ−o−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン等が挙げられる。又、1価のアルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサナル、2−エチルヘキサナル、2,3−ジメチルバレルアルデヒド、オクチルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、シクロオクタンカルボキシアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、o−アニスアルデヒド、m−アニスアルデヒド、p−アニスアルデヒド、o−エトキシベンズアルデヒド、p−エトキシベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルカルボキシアルデヒド、2−ナフトアルデヒド等が挙げられ、2価のアルデヒド類の例としては、o−フタリックジカルボキシアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルジカルボキシアルデヒド等が挙げられる。更に、1価のケトン類の例としては、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、3−メチルヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、3−メチルヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、フェニルアセトン、ベンジルアセトン、1−フェニル−2−ブタノン、1,1−ジフェニルアセトン、1,3−ジフェニルアセトン、2−フェニルシクロヘキサノン、2−イレデン、β−テトラロン、プロピオフェノン、o−メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられ、2価のケトン類の例としては、2,4−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2,7−オクタンジオン、2,3−ブタジオン、2−メチル−1,3−シクロペンタジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサジオン、1,3−シクロペンタンジオン、3−アセチル−2−ヘプタノン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−へプタジオン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジベンゾイルブタン、p−ジアセチルベンゼン、m−ジアセチルベンゼン、ベンジル、4,4′ジメトキシベンジル、2−フェニル−1,3−インダンジオン、1,3−インダンジオン、o−ジベンゾイルベンゼン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
以下にシッフ塩基の具体例を挙げる。
Figure 2005284322
塩基性化合物はプロトンを補足可能なものであれば上記に示した化合物以外に特に制限なく使用できる。
これらの塩基性化合物は単独又は2種以上組み合わせて用いても良い。使用量は感光層中に0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。0.001重量%以下では保存安定性向上、露光後の経時小点再現性低下抑制の効果がなく、又10重量%以上では感度低下が著しい。
尚、本タイプの平版印刷版の感光層には、以下に詳述するマット剤を添加することも可能であり、その形態も感光層に含有せしめるか、又は感光層表面に固着せしめるという2つが挙げられる。
〈2〉マット剤含有タイプ
本タイプの平版印刷版材料は、a)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物又は酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物、赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有するもの、或いはb)支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層を設け、該感光層表面にマット剤を有する、具体的には層表面に固着されてなるものである。
マット剤(微粉末又は微粒子)の好ましい具体例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリエスチレン及びポリスチレン誘導体並びにこれらの重合体を形成する単量体を用いた共重合体、ポリビニルメチルエーテル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、二酸化ケイ素、珪藻土、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ガラス、アルミナ、デキストリン、澱粉、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、多糖脂肪酸エステル、合成高分子等を挙げることができる。これらマット剤は現像液に可溶であることが好ましく、現像液により適宜選択するのが望ましい。例えば、現像液として強アルカリ性水溶液を使用する場合は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリスチレン誘導体、及びフェノール樹脂等が好ましく適用される。他の現像液として、アルコール類、グリコール類、ケトン類等の有機溶媒を用いた場合には、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリスチレン、アクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、スチレンを単量体の1つとする共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が好ましく適用される。
感光層表面に固着される融成物を形成するための融解性高分子からなるマット剤を、感光層表面にパウダリング(振りかける、或いは分散、散布)し、加熱処理することにより該マット剤が融解現象を起こし、温度の降下に伴い固形化し球状帽子型の融成物を形成する。
これらマット剤として好ましいものは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリスチレン及びポリスチレン誘導体並びにこれらの重合体の単量体を用いた共重合体、ポリビニルメチルエーテル、エポキシ樹脂、可融性フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらは感光層組成物の現象液に応じて適宜選択することが望ましく、例えば現象液に強アルカリ性水溶液を使用する場合、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアルキルエステル、ポリスチレン誘導体、及び可融性フェノール樹脂等が好ましく適用される。又アルコール類、グリコール類、ケトン類等有機溶媒を用いた場合は、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリスチレン、エポキシ樹脂、可融性フェノール樹脂及びアクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル、スチレンを少なくとも単量体の1つとする共重合体等が好ましく適用される。
上記マット剤の形状は、球形、不定形、その他の特定形状でもよく、又マット剤は、マット剤同士の凝集防止を目的として表面を改質しても差し支えない。マット剤の平均粒径は、感光層内に設ける場合0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。この際、感光層の乾燥膜厚よりも大きい粒径を有するマット剤が存在することが必須である。一方、感光層表面に存在せしめる場合には、0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
マット剤を形成する方法として、該マット剤を感光層に含有せしめる場合には、該マット剤を感光層塗布液に添加し、超音波分散でマット剤を分散した直後に、得られた感光層塗布液を支持体に塗設する。他方、感光層の表面にマット剤を存在せしめる場合には、感光層表面のマット剤付き量を0.005〜3g/m2とするのが好ましく、0.05〜1g/m2とするのがより好ましい。
感光層の表面にマット剤を存在せしめる具体的な方法としては、例えばマット剤をパウダリングする、マット剤の分散液を感光層に直接塗布し、乾燥時に表面に融着させる、マット剤の分散液又は溶液をスプレーし(吹き付ける)、乾燥時に表面に融着させる方法等を挙げることができる。
パウダリングする方法、即ち感光層表面にマット剤を振りかけるには、マット剤を粉体塗布法、流動浸漬法、静電粉体吹き付け法、静電流動浸漬法等の方法により、予め支持体上に形成しておいた感光層上に均一に分散或いは散布するのがよい。そしてパウダリングの後、適宜加熱処理(融着処理)を行うことにより感光層表面にマット剤を融着させることができる。融着処理は、熱風又は赤外線ヒーター等の熱源を用いて50〜130℃に加温された炉内に入れるか、加熱ロールを介してマット剤を融解させる。このとき一部のマット剤同士が一体化することもあり、得られる融成物は感光層上に球状帽子型となって固着分散し、本発明のブロッキング防止という効果を有効に奏することができる。マット剤同士の接触は融成物の表面及び内部に固着せしめられるが、印刷版には何ら影響を及ぼすことはない。
マット剤の分散液を感光層に直接塗布し、乾燥時に表面に融着させる場合には、感光層を溶解しない有機溶媒又は水、複数種からなる混合溶剤にマット剤を添加し、超音波分散で該マット剤を分散した直後に感光層上にマット剤分散液を塗設し乾燥することにより達成される。
マット剤の分散液をスプレーし、乾燥時に表面に融着させる場合には、マット剤の超音波分散液を感光層表面にスプレーし、乾燥して表面に融着させることにより達成される。分散液の分散溶媒としては防爆や環境適性、作業適性等の点で水が好ましく、又マット剤分散液のマット剤の含有率は10〜30重量%が望ましい。スプレーの方法としては、エアースプレー法、エアーレススプレー、静電エアースプレー、静電霧化静電塗布法等の公知の方法が採用可能である。
尚、本タイプの平版印刷版の感光層には、上述した塩基性化合物を添加することも可能であり、それにより得られる効果も上述したものである。
次に、感光層を形成する構成成分について述べる。
(活性光線の照射により酸を発生し得る化合物)活性光線の照射により酸を発生し得る化合物(以下、光酸発生剤)としては、各種の公知化合物及び混合物が挙げられる。例えばジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及びヨードニウムのBF4-、PF6-、SbF6-、SiF62-、ClO4-などの塩、特開平4−42158号に記載のアルキルオニウム塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属/有機ハロゲン化合物も活性光線の照射の際に酸を形成又は分離する活性光線感光性成分であり、本発明における光酸発生剤として使用することができる。原理的には遊離基形成性の光開始剤として知られるすべての有機ハロゲン化合物はハロゲン化水素酸を形成する化合物であり、本発明における光酸発生剤として使用することができる。
前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物の例としては米国特許第3,515,552号、同第3,536,489号及び同第3,779,778号及び西ドイツ国特許公開公報第2,243,621号に記載されているものが挙げられ、又例えば西ドイツ国特許公開公報第2,610,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合物も使用することができる。又、特開昭50−36209号に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド、特開平7−134410号の酸発生剤、具体的には紫外線で酸多量体を生成するもので例えばオキシスルホニル基、オキシカルボニル基を2個有する化合物が挙げられ、又特開平4−19666号の酸発生剤、具体的にはテトラキス−1,2,4,5−(ポリハロメチル)ベンゼン、トリス(ポリハロメチル)ベンゼン等のハロゲン化アリール、又特開平6−342209号のシリルエーテル含有高分子スルホニウム塩、ハロゲン化アルキルが、特開平9−96900号及び特開平6−67433号のオキシムスルホネート化合物、特開平4−338757号のハロゲン化スルホラン誘導体、特開平6−236024号、特開平6−214391号、特開平6−214392号、特開平7−244378号に記載のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル類、ジアゾ化合物又はジアゾ樹脂を用いることができる。
本発明において、有機ハロゲン化合物が赤外線露光による画像形成での感度、及び画像形成材料として用いた際の保存性等の面から光酸発生剤が好ましい。該有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類及びハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類が好ましく、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類が特に好ましい。ハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類の具体例としては、特開昭54−74728号、特開昭55−24113号、特開昭55−77742号、特開昭60−3626号及び特開昭60−138539号に記載の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物及び特開平4−46344号に記載のオキサジアゾール系化合物が挙げられる。2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系光酸発生剤の好ましい化合物例を下記に挙げる。
Figure 2005284322
上記ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005284322
一般式(4)において、Rはアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいフェニルビニレン基又はアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)若しくはその置換体を表し、X3はハロゲン原子を表す。一般式(4)で表されるs−トリアジン系光酸発生剤の化合物例を次に示す。
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
s−トリアジン系光酸発生剤は又特開平4−44737号、特開平9−90633号、及び特開平4−226454号に具体的に記載されているものも使用できる。
本発明において、光酸発生剤は、以下の1乃至3の何れか1つに該当することが好ましい。
1.アルカリ可溶性部位を有する、2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である、3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物である。
アルカリ可溶性部位を有するものとしては、例えば以下の乃至から選ばれる組み合わせよりなるエステル、水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸、水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホン酸を挙げることができる。
水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオールなどのアルコール性水酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられる。このアルキルスルホン酸のアルキル基はCnH2n+1であり、n=1〜4の範囲にあるものが効果的である。アルキル基中の水素の一部又は全部をフッ素或いは塩素等の電気陰性度の大きなハロゲンで置換したものも有効である。光酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステルはアルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸とのエステルからなる光酸発生剤としては、例えばカテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、オキシハイドロキノン、フロログルシン、トリヒドロベンゾフェノン、テトラヒドロベンゾフェノン、没食子酸エステルなどのフェノール性水酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられる。アルキルスルホン酸のアルキル基は上記と同様である。光酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステルはアルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホン酸とのエステルからなる光酸発生剤としては、例えばジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセンの水酸基とスルホン酸とのエステルが挙げられる。スルホン酸としては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸が挙げられる。アルキルスルホン酸のアルキルは上記と同様である。光酸発生剤に用いるスルホン酸エステルは水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
ブロモメチルアリールケトン誘導体としては、ブロモメチルアリールケトン或いはジブロモメチルアリールケトンが好ましい。例えば、2−ブロモアセチルナフタレン、2−ブロモアセチル−6,7−ジメトキシナフタレン、2−ブロモアセチルナフタレン、2−ジブロモアセチル−6,7−ジメトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ブロモアセチルナフタレン、1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ジブロモアセチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1−ブロモアセチルナフタレン、1,4−ビス(ブロモアセチル)ベンゼン、4,4′−ビス(ブロモアセチル)ビフェニル、1,3,5−トリス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(ジブロモアセチル)ベンゼン等が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
又トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物としては、以下の構造を有するものが更に好ましい。
Figure 2005284322
式中、R1〜R5は水素、炭素数4以下のアルキル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子、フェニルアミノ基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基、アセチル基、トリクロロアセチルアミノ基を表し、R1〜R5は同じであっても、異なっていても良い。具体的には、例えば4−フェノキシトリクロロアセトアニリド、4−メトキシトリクロロアセトアニリド、2,3−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、4−メトキシ−2−クロロトリクロロアセトアニリド、3−アセチルトリクロロアセトアニリド、4−フェニルトリクロロアセトアニリド、2,3,4−トリフルオロトリクロロアセトアニリド、2,4,5−トリメチルトリクロロアセトアニリド、2,4,6−トリブロモトリクロロアセトアニリド、2,4,6−トリメチルトリクロロアセトアニリド、2,4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,4,−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、2,5−ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,5−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、2,6−ジメチルトリクロロアセトアニリド、2−エチルトリクロロアセトアニリド、2−フルオロトリクロロアセトアニリド、2−メチルトリクロロアセトアニリド、2−メチル−6−エチルトリクロロアセトアニリド、2−フェノキシアセトアニリド、2−プロピルトリクロロアセトアニリド、3,4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメチルトリクロロアセトアニリド、4−ブチルアセトアニリド、4−エチルアセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、4−ヨードアセトアニリド、4−プロピルアセトアニリド、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアセトアニリド、4−プロポキシアセトアニリド、4−アセチルアセトアニリド等を挙げることができ、特にこれらは熱安定性が高く、しかも酸架橋剤のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害しないことから、好適な光酸発生剤となりうる。
本発明において光酸発生剤は1種単独でも或いは複数併用可能であり、その含有量は、その化学的性質及び感光性組成物或いはその物性によって広範囲に変えることができるが、感光性組成物の乾燥状態又は画像形成材料とした際の感光層の固形分の全重量に対して約0.1〜約20重量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。
(酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物)酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物(以下、酸分解化合物)としては、具体的には、特開昭48−89003号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号に記載されているC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号に記載されているSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号に記載されているその他の酸分解化合物を挙げることができ、更に特開昭62−222246号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−280841号に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号に記載されているオルトケイ酸エステル、特開昭63−10153号に記載されているアセタール及びケタール、特開昭62−244038号に記載されているC−S結合を有する化合物、同63−231442号の−O−C(=O)−結合を有する化合物などを用いることができる。
上記のうち、C−O−C結合を有する化合物、Si−O−C結合を有する化合物、オルト炭酸エステル、アセタール類及びシリルエーテル類が好ましい。それらの中でも、特開昭53−133429号に記載された主鎖中に繰り返しアセタール部分を有し、現像液中でのその溶解度が酸の作用によって上昇する有機重合化合物、及び特開昭63−10153号、特開平9−54437号に記載の化合物が特に好ましい。
本発明における酸分解化合物の特に好ましい具体的例としては下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005284322
式中、R1〜R4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R1〜R4の何れか2つが結合して環を形成しても良く、又エーテル結合を有していても良く、又R1〜R4は互いに同一でも異なっていても良い。更に各々置換基が導入されていても良い。
一般式(1)において、R1、R2で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基が挙げられ、アリール基としては置換又は無置換のフェニル基が挙げられる。R1、R2が結合して環を形成してシクロアルキル基となる場合、シクロアルキル基としては、4〜8員のシクロアルキル環が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。R3、R4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、アリール基としては置換又は無置換のフェニル基が挙げられる。これらは、エーテル結合を有することが好ましく、特にエチレンオキシ基が好ましい。尚、R1〜R4は、互いに同一でも異なっていても良い。更に各々置換基又は置換原子が導入されていても良く、該置換基としては酸性基、塩基性基が、又置換原子としてはハロゲン原子が挙げられる。
酸性基としては、例えば、ヒドロキシル基を有するもの(フェノール、クレゾール、キシレノール等)又はカルボキシル基を有するもの(安息香酸、メチル安息香酸、ブチル安息香酸、サリチル酸、没食子酸等)が挙げられるが、これに限定されない。又、塩基性基としては、例えば、アミノ基を有するもの(アミン、アニリン等)が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(1)で表される具体的化合物としては、下記酸分解化合物Aが挙げられる。
Figure 2005284322
又、酸分解化合物の別の好ましい化合物として上記一般式(2)で表される繰り返し構造単位を有する化合物が挙げられる。
Figure 2005284322
式中、R5、R6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表すが、上記一般式(1)のR1、R2と同義の基を表す。又、n及びn′は1〜6の整数を表すが好ましくは1〜3であり、又mは1〜80の整数を表すが好ましくは10〜20である。
上記一般式(1)で表される具体的化合物としては、下記酸分解化合物Bが挙げられる。
Figure 2005284322
上記酸分解化合物A及びBの合成方法を下記に示す。
(酸分解化合物Aの合成)シクロヘキサノン0.5モル、フェニルセロソルブ1.0モル及びp−トルエンスルホン酸80mgを攪拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて攪拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の酸分解化合物Aを得た。
(酸分解化合物Bの合成)シクロヘキサノン1.0モル、エチレングリコール1.0モル及びp−トルエンスルホン酸80mgを攪拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて攪拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の酸分解化合物Bを得た。
(酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合物)酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合物(以下、酸不溶化剤)としては、酸の存在下で不溶化しアルカリに対する溶解性を低減させ得る化合物が挙げられる。アルカリに対する溶解性を低減させ得る程度としては、アルカリ可溶性樹脂と架橋するなど、最終的に不溶化することによって該樹脂が全くのアルカリ不溶性を示す物性に変化すればよく、具体的には、露光により前記酸不溶化剤の作用で本来アルカリ可溶性であったものが現像剤として用いるアルカリ溶液に対して不溶性を示し、印刷版上に残存している状態を表す。該酸不溶化剤としては、メチロール基又はメチロール基の誘導体、メラミン樹脂、フラン樹脂、イソシアネート、ブロックド−イソシアネート(保護基を有すイソシアネート)などが挙げられるが、メチロール基又はアセチル化メチロール基を有している化合物又はレゾール樹脂が好ましい。
酸不溶化剤は、更にシラノール化合物、カルボン酸又はその誘導体を含む化合物、ヒドロキシ基含有化合物、カチオン重合性の二重結合を有する化合物、芳香族基を有する2級又は3級アルコール、メチロール基、アルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を有する芳香族を分子中に有するアルカリ可溶性ポリマー、アミノプラスト及び以下に挙げる一般式(p)で表される化合物、脂環式アルコール及び/又は複素環式アルコールを挙げることができる。以下、順に説明する。
シラノール化合物としては、シリコン原子1個当たり、シリコン原子に結合したヒドロキシル基を平均して1個以上有するものである。ここに平均とは、例えば化合物中にヒドロキシル基が結合していないシリコン原子が1個あっても、ヒドロキシル基が2個結合しているシリコン原子が1個あれば同様な効果が得られることである。このようなシラノール化合物として、例えば、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール、シス−(1,3,5,7−テトラヒドロキシ)−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン等を用いることができる。
シラノール化合物の量は、5〜70重量%の範囲であることが好ましい。
カルボン酸又はカルボン酸誘導体を含む化合物としてはケイ皮酸、安息香酸、トリル酢酸、トルイル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジ−t−ブチル等の芳香族エステル、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水安息香酸等の酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等の共重合体が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する化合物としては、グリセリン等の多価アルコール、ポリp−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン・スチレン共重合体、ノボラック樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
カルボン酸又はその誘導体を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物は併用が好ましく、その組成比は当量比で1:30〜30〜1の範囲であることが好ましい。ヒドロキシル基を有する化合物及びカルボン酸又はその誘導体を有する化合物の一方が高分子化合物である場合がある。ヒドロキシル基を有する化合物が高分子化合物であるとき、この高分子化合物100に対しカルボン酸又はその誘導体を重量比で1〜50の範囲の量を用いることが好ましい。またカルボン酸又はその誘導体を有する化合物が高分子化合物であるとき、この高分子化合物100に対しヒドロキシル基を有する化合物を重量比で1〜20の範囲の量を用いることが好ましい。
塗膜形成性の点から、カルボン酸又はその誘導体を有する化合物及びヒドロキシル基を有する化合物の少なくともどちらかが高分子化合物であることが好ましい。しかし、両者が低分子であっても、高分子化合物を混合する等の方法で、塗膜形成を可能とすればよい。該高分子化合物としては、アルカリ可溶性ポリマーが好ましいものとして挙げられる。
ヒドロキシル基を有する化合物とカルボン酸又はカルボン酸誘導体の両方を同時に有する高分子化合物を用いることができる。この高分子化合物としてはヒドロキシル基を有するp−ヒドロキシスチレンとカルボン酸又はカルボン酸誘導体であるメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、無水マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸等のモノマーの共重合体を用いることができる。
これらの高分子化合物の重量平均分子量は、1000から50000の範囲内であることが望ましい。分子量が1000未満では十分な耐熱性や塗布特性が得られない。又分子量が50000を越えるとアルカリ水溶液への溶解性が十分でなく、膨潤によるパターンの変形が認められるので高解像性が得られない。
カルボン酸又はその誘導体を有する化合物、及びヒドロキシル基を有する化合物の量は、5〜50重量%の範囲であることが好ましい。
カチオン重合性の二重結合を有する化合物としてはp−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、ジフェニルエチレン、インデノン、アセナフテン、2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、2,3−ベンゾフラン、インドール、5−メトキシインドール、5−メトキシ−2−メチルインドール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾールで表される群から選ばれた少なくとも一種類の化合物を挙げることができる。カチオン性二重結合を有する化合物の量は、5〜50重量%の範囲が好ましい。
芳香族基を有する2級又は3級アルコールとしては、例えばビフェニル誘導体、ナフタレン誘導体及びトリフェニル誘導体が挙げられ、具体的には、下記一般式(a)〜(d)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005284322
一般式(a)〜(d)において、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、Yは、−SO2−、−CH2−、−S−、−C(CH3)2−を表し、nは1又は2を表す。
具体的化合物としては、例えば、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,2′,4′−テトラ(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,5,3′,5′−テトラ(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルホン、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルホン、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルメタン、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルメタン、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルフィド、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロパンなどがある。ナフタレン誘導体は1,5−ビス(1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン、2,6−ビス(α−ヒドロキシプロピル)ナフタレンなどがある。トリフェニル誘導体はトリス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)メタン、トリス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタンなどがある。
芳香族基を有する2級又は3級アルコールとして、更に下記一般式(e)〜(g)で表される化合物を挙げることもできる。
Figure 2005284322
一般式(e)において、R1及びR2は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子又はメトキシ基を表し、R3は水素原子、フェニル基又はシクロプロピル基を表す。一般式(f)において、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子又はフェニル基を表す。一般式(g)において、Aは炭素数4以下のアルキル基又はメチロール基を表す。芳香環に直接結合した炭素にヒドロキシル基を有する2級又は3級アルコールには、フェニルメタノール誘導体、芳香環を有する脂環式アルコール等がある。
このフェニルメタノール誘導体としては、例えばジフェニルメタノール、4,4′−ジフルオロジフェニルメタノール、4,4′−ジクロロ−ジフェニルメタノール、4,4′−ジメチル−ジフェニルメタノール、4,4′−ジメトキシジフェニルメタノール、トリフェニルメタノール、α−(4−ピリジル)−ベンズヒドロール、ベンジルフェニルメタノール、1,1−ジフェニルエタノール、シクロプロピルジフェニルメタノール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニル−2−プロパノール、2−フェニル−2−ブタノール、1−フェニル−1−ブタノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−フェニル−1−プロパノール、1,2−ジフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコール、2,3−ジフェニル−2,3−ブタンジオール、α−ナフトールベンゼイン、α,α′−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ジヒドロキシ−m−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
又、芳香環を有する脂環式アルコールとしては、1−インダノール、2−ブロモインダノール、クロマノール、9−フルオレノール、9−ヒドロキシ−3−フルオレン、9−ヒドロキシキサンテン、1−アセナフテノール、9−ヒドロキシ−3−ニトロフルオレン、チオクロマン−4−オール、9−フェニルキサンテン−9−オール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベレノール、ジベンゾスベロール等が挙げられる。
更に、上記の他に、2級又は3級アルコールとして1−(9−アンスリル)エタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノール、1−ナフチルエタノール等が挙げられる。
メチロール基、アルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を有する芳香環を分子中に有するアルカリ可溶性ポリマーとしては、下記一般式(h)で表される化合物の芳香環上の水素原子を1又は2除いた基を分子中に有するポリマーが挙げられる。
Figure 2005284322
一般式(h)において、Xはメチロール基、炭素数1〜5のアルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。Yはアルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。
アルカリ可溶性ポリマーとしては、下記一般式(i)又は(j)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましい。
Figure 2005284322
一般式(i)及び(j)において、R1はアルキル基、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Lは単結合、−O−、−O−CO−、−CONR3−、−CONR3CO−、−CONR3SO2−、−NR3−、−NR3CO−、−NR3SO2−、−SO2−、−SO2NR3−又は−SO2NR3CO−(R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基又は芳香環基を表す)を表す。X及びYは一般式(h)のX及びYと同義である。
上記一般式(i)又は(j)で表される繰り返し単位は、ビニルベンジルアルコール、α−メチルビニルベンジルアルコール、ビニルベンジルアセテート、α−メチルビニルベンジルアセテート、p−メトキシスチレン、4−メチロールフェニルメタクリルアミド等のモノマーと共重合させるのが好ましい。
アミノプラストとしては、下記一般式(k)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005284322
一般式(k)において、Zは−NRR′又はフェニル基を表す。R、R′、R10〜R13は各々水素原子、−CH2OH、−CH2ORa又は−CO−ORaを表す。Raはアルキル基を表す。
一般式(k)で表されるメラミン又はベンゾグアナミンは市販品として簡単に入手でき、又それらのメチロール体はメラミン又はベンソグアナミンとホルマリンとの縮合によって得られる。又、エーテル類はメチロール体を公知の方法により各種アルコールで変性することにより得られる。一般式(k)のRaで示されるアルキル基としては、直鎖又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
一般式(k)で表される化合物の具体例としては下記等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005284322
Figure 2005284322
アミノプラストとして、下記一般式(l)で表される化合物、下記一般式(m)で表されるような結合を介して複数のトリアジン核が結合したメラミン樹脂、及び下記一般式(n)又は(o)で表される化合物も使用することができる。
Figure 2005284322
一般式(l)〜(o)において、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(p)で表される化合物は以下のものである。
Figure 2005284322
式中、Rは水素原子、炭素数3以下のアルキル基、アリール基又はトリル基を表し、R1、R2、R3及びR4は各々、水素原子、炭素数3以下のアルキル基又は炭素数3以下のアルコキシ基を表す。
一般式(p)で表される化合物として、o−アセチル安息香酸、o−アルデヒド安息香酸、o−ベンゾイル安息香酸、o−トルオイル安息香酸、o−アセトキシ安息香酸を用いることが望ましい。
感光層中の一般式(p)で表される化合物の含有量は5〜50重量%の範囲が適当であり、好ましくは10〜30重量%である。
脂環式アルコールとしては、例えば、2−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール、2−エチル−2−アダマンタノール、2−プロピル−2−アダマンタノール、2−ブチル−2−アダマンタノール、exo−ノルボルネオール、endo−ノルボルネオール、ボルネオール、DL−イソボルネオール、テルピネン−4−オール、S−シス−ベルベノール、イソピノカンフェノール、ピナンジオール等が挙げられる。
複素環式アルコールとしては、例えば1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、5−メチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、5,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、DL−exo−ヒドロキシトロピノン、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン、3−キヌシリジノール、4−クロマノール、チオクロマン−4−オール、DL−マバロン酸ラクトン等が挙げられる。複素環式アルコールは、複素環にO又はSを含むものが好ましい。
上記アルコールには、脂環式アルコール、複素環式アルコールの他に、更に2級又は3級アルコールを加えて用いてもよい。脂環式又は複素環式アルコールの含有量は5〜50重量%が適当であり、好ましくは10〜30重量%である。
(赤外吸収剤)本発明に用いられる赤外吸収剤としては、感光層に700〜2000nmの吸収波長を感応せしめる機能を付与できるものが好ましく、例えば波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外吸収剤は700〜850nmに吸収ピークを有し、ピークでのモル吸光係数εが105以上の赤外吸収色素である。
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノ系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。上記赤外吸収色素としては、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。
本発明において、赤外吸収剤として、下記一般式(5)又は(6)で表されるシアニン系色素が特に好ましい。
Figure 2005284322
式中、Z1及びZ2は各々硫黄原子、セレン原子又は酸素原子を表し、X1及びX2は各々置換基を有していてもよいベンゾ縮合環又はナフト縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R3及びR4は各々置換基を表し、R3及びR4のどちらか一方はアニオン性解離性基を有する。R5、R6、R7及びR8は各々炭素原子数1〜3のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。Lは炭素原子数5〜13の共役結合の連鎖を表す。
一般式(5)又は(6)で表されるシアニン系色素は、一般式(5)又は(6)がカチオンを形成し、対アニオンを有するものを包含する。この場合、対アニオンとしては、Cl-、Br-、ClO4-、BF4-、t−ブチルトリフェニルホウ素等のアルキルホウ素等が挙げられる。
一般式(5)及び(6)において、Lで表される共役結合の連鎖の炭素原子数(n)は、画像露光の光源として赤外線を放射するレーザーが使用される場合、該レーザーの発信波長に合わせて有効な値を選択することが好ましい。例えば、発信波長1060nmのYAGレーザーを使用する場合は、nは9〜13が好ましい。又、この共役結合部分は任意の置換基を有することができ、又共役結合部分は複数の置換基により環を形成させてもよい。又、X1で表される環及びX2で表される環には任意の置換基を有することができる。該置換基としてハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、−SO3M及び−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子)から選ばれる基が好ましい。R3及びR4は各々任意の置換基であるが、好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基若しくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基;−((CH2)n−O−)k−(CH2)mOR(n及びmは各々1〜3の整数、kは0又は1、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。);R3及びR4の一方が−R−SO3Mで他方が−R−SO3-(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す);又はR3及びR4の一方が−R−COOMで他方が−R−COO-(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す。)である。R3及びR4は、感度及び現像性の点から、R3及びR4の一方が上記−R−SO3-又は−R−COO-、他方が上記−R−SO3M又は−R−COOMであることが好ましい。
一般式(5)又は(6)で表されるシアニン系色素は、画像露光の光源として半導体レーザーを使用する場合は750〜900nm、YAGレーザーを使用する場合は900〜1200nmにおいて吸収ピークを示し、ε>1×105のモル吸光係数を有するものが好ましい。
本発明に好ましく用いられる赤外吸収剤の代表的具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
Figure 2005284322
これらの色素は公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−20、三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)、大日本インキ化学:Fastogen blue8120、みどり化学:MIR−101,1011,1021等。その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フイルム等の各社からも市販されている。
本発明において、赤外吸収剤の添加量は、0.5〜10重量%の範囲が好ましい。該添加量が10重量%を越えると非画像部(露光部)の現像性が低下し、0.5重量%未満では画像部の耐現像性が低下する。
本発明の平版印刷版材料は、顔料を有することにより、平版印刷版として用いた際の耐刷性を顕著に改善し得る。顔料としては、公知の有機及び無機の顔料が挙げられるが、これらは朝倉書店の「色材工学ハンドブック」や誠文堂新光社の「顔料便覧」に記載の顔料が特に制限なく使用できる。又、現像後の可視画性を得るには該顔料が有色であることが好ましく、高濃度が得られることが更に好ましい。その点では、該顔料がフタロシアニン又はカーボンブラックから選ばれるのが耐刷性の向上のみならず、現像後の可視画性を得るのに好適である。
(バインダー)本発明の平版印刷版材料には、アルカリ可溶性樹脂が含有されることが好ましい。該アルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシスチレン単位を有する重合体、下記一般式(7)で表される構造単位を有する重合体、その他公知のアクリル樹脂等を挙げることができる。
該ノボラック樹脂としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールもしくは、クレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が挙げられる。
該ヒドロキシスチレン単位を有する重合体としては、例えば特公昭52−41050号に記載されているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共重合体などを挙げることができる。
一般式(7)で表される構造単位を有する重合体とは、該構造単位のみの繰り返し構造を有する単独重合体、或いは該構造単位と他のビニル系単量体の不飽和二重結合を開裂せしめた構造で示される構造単位1種以上とを組み合わせた共重合体である。
Figure 2005284322
一般式(7)において、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基又はカルボン酸基を表し、好ましくは水素原子である。R3は水素原子、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子又はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。R4は水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を表す。Yは置換基を有するものを含むフェニレン基又はナフチレン基を表し、該置換基としてはメチル基やエチル基等のアルキル基、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、カルボン酸基、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基、水酸基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基、アシル基等が挙げられるが、好ましくは置換基を有しないか、或いはメチル基で置換されているものである。Xは窒素原子と芳香族炭素原子とを連結する2価の有機基で、lは0〜5の整数を表し、好ましくはlが0である。
又、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体、及び一般式(7)で表される構造単位を有する重合体は併用することもできる。
更に、本発明の平版印刷版材料には、該組成物の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。前記親油性の樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、例えばt−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
〔2〕平版印刷版材料の作製方法
本発明の平版印刷版材料は、前記各成分を溶解する下記の溶媒に溶解させて、これらを適当な支持体の表面に塗布、乾燥して感光層を設けて得られる。
上記溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独で或いは2種以上混合して使用することができる。
保存安定性向上、露光後の経時小点再現性低下の抑制には塗布液のpHが3.5以上8.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以上6.5以下である。3.5以下では上記の効果が望めず、又8.0以上では感度低下が著しい。
測定に際しては、塗布に使用する任意の有機溶剤、水又は複数の混合溶剤に固形分10重量%となるように溶解した感光層塗布液を調製し、測定装置として東亜電波工業(株)のデジタルpHメーターHM−30Sを用い、測定条件として該pHメーターを標準化した後、測定すべき塗布液に対して垂直にpHメーターの測定部を下ろし塗布液に2分浸漬した際の測定値を塗布液のpHとした。
又同様の目的で、感光層の膜面pHは4.0以上8.0以下が好ましく、より好ましくは5.0以上7.0以下である。
測定に際しては、支持体上に感光層を2g/m2塗布した印刷版を調製し、測定装置として東亜電波工業(株)のデジタルpHメーターHM−18Bを用い、測定条件として該pHメーターを標準化した後、マイクロピペットで純水10μlを測り取り、測定すべく得られた印刷版に滴下し該水滴に対し垂直にpHメーターの測定部を下ろし感光層の膜面に設置して2分後の測定値を膜面pHとした。
支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属版、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属版、紙、プラスチックフィルム及びガラス版、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙げられる。このうち好ましいのはアルミニウム版である。本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体として、砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム版を用いることが好ましい。これらの処理には公知の方法を適用することができる。
砂目立て処理の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独或いは組合わせて用いることができる。
電解によりエッチングするには、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独乃至2種以上混合した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリ或いは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、クロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用い、アルミニウム版を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2である。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム版をリン酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1リットルの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、版の被膜溶解前後の重量変化測定から求められる。
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム版支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
感光層を支持体の表面に塗布する方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感光性平版印刷版についていえば固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
本発明の平版印刷版材料は、波長700nm以上の光源を用い画像露光を行うことが好ましい。光源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。前記アルカリ金属塩の濃度は0.05〜20重量%の範囲で用いるのが好適であり、より好ましくは0.1〜10重量%である。
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。該有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、「部」は「重量部」を示す。
(支持体の作製)厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を5%苛性ソーダ水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、0.5モル1リットルの塩酸水溶液中で温度;25℃、電流密度;60A/dm2、処理時間;30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで、5%苛性ソーダ水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20%硫酸溶液中で温度;20℃、電流密度;3A/dm2、処理時間;1分間の条件で陽極酸化処理を行った。更に30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行い、平版印刷版用支持体のアルミニウム板を作製した。
実施例1
〈塩基性化合物含有タイプ〉前記支持体上に下記組成の印刷版用組成物からなる感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥して平版印刷版1を得た。
(感光層塗布液の組成 ポジ型)
バインダーA 60部
酸分解化合物A 20部
酸発生剤A(TAZ−110)(みどり化学社製) 3部
赤外吸収剤 例示化合物IR48 1部
塩基性化合物 N,N−ジメチルアニリン 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
又、感光層塗布液を表1の如く変更し、平版印刷版2〜12を得た。
ネガ型の感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥して平版印刷版13を得た。
(感光層塗布液の組成 ネガ型)
バインダーA 60部
酸架橋剤A 40部
酸発生剤C 3部
赤外吸収剤 例示化合物IR48 1部
塩基性化合物 N,N−ジメチルアニリン 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
又、感光層塗布液を表1の如く変更し、平版印刷版14〜17を得た。比較例として平版印刷版18〜23を得た。
得られた平版印刷版材料に、以下に示す方法で画像を形成した。
(ポジ型)半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。
又、解像度は走査方向、副走査方向とも2000DPIとした。ポジ型平版印刷版用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、非画像部(露光部)を溶出除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。
(ネガ型)ポジ型と同様の半導体レーザーで感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。又、解像度は走査方向、副走査方向とも2000DPIとした。露光後、赤外線ヒーターを用い感光層を120℃で60秒間熱処理した。更に、ポジPS版用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、非画像部(未露光部)を除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。
得られた平版印刷版材料(ポジ型及びネガ型)を、光学顕微鏡観察によりレーザー走査線1本で生成される画像部ラインの平均線幅を評価した。
(感度の評価)平均線幅が13μmとなる露光エネルギーより求め、評価は以下の基準に従った。
○・・・300mJ/cm2以下
△・・・301〜400mJ/cm2
×・・・401mJ/cm2以上。
(生保存性の評価)得られた平版印刷版材料(ポジ型及びネガ型)を、55℃に設定した恒温槽中に5日間静置した後、50cm×100cmサイズにして、ポジ型PS版用現像液SDR−1(コニカ社製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、浸漬前後の版感光層の画像残存率を重量測定により求めた。
画像残存率% = (現像後の重量/現像前の重量)×100
ポジ型 ネガ型
○・・・90%より多い ○・・・3%未満
△・・・60以上90%以下 △・・・3以上10%以下
×・・・60%未満 ×・・・10%より多い。
(露光後の経時小点再現性の評価)
(ポジ型)半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に175線−2%網点画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。露光直後と露光後1日経過した時点での平版印刷版を、ポジ型PS版用現像液SDR−1(コニカ社製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、経時での印刷版感光層の画像面積率を光学顕微鏡により求めた。
画像面積率% = (露光後1日経時の現像後面積/露光直後の現像後面積)×100
○・・・90%より多い
△・・・60以上90%以下
×・・・60%未満。
(ネガ型)ポジ型と同様の半導体レーザーで感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。露光後、赤外線ヒーターを用い感光層を120℃で60秒間加熱処理した。露光直後と露光後1日経過した時点での平版印刷版を、ポジ型PS版用現像液SDR−1(コニカ社製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、経時での印刷版感光層の画像面積率を光学顕微鏡により求めた。
画像面積率% = (露光後1日経時の現像後面積/露光直後の現像後面積)×100
○・・・105%未満
△・・・105以上120%以下
×・・・120より多い。
(小点再現性の評価)
(ポジ型)半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に175線−2%網点画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。露光直後、ポジ型PS版用現像液SDR−1(コニカ社製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、この印刷版感光層の画像面積率を光学顕微鏡により求めた。
画像面積率% = (2%網点画像面積/露光直後の実際の現像後の画像面積)×100
○・・・90%より多い
△・・・60以上90%以下
×・・・60%未満。
(ネガ型)ポジ型と同様の半導体レーザーで感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。露光後、赤外線ヒーターを用い感光層を120℃で60秒間加熱処理した。露光直後、ポジ型PS版用現像液SDR−1(コニカ社製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、この印刷版感光層の画像面積率を光学顕微鏡により求めた。
○・・・95以上105%未満
△・・・70以上95%未満及び105以上120%以下
×・・・70%未満及び120%よい多い。
※用いた化合物を以下に記載する。
バインダーA:フェノールとm−,p−混合クレゾールとをホルムアルデヒドを用いて共重合させたノボラック樹脂(Mn=3700、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールのモル比がそれぞれ5:57:38)
酸発生剤B:TFE−トリアジン(三和ケミカル社製)
酸発生剤C:1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ブロモアセチルナフタレン
酸発生剤D:4−メトキシトリクロロアセトアニリド
酸発生剤E:2,4−ビス(メタンスルホニルオキシ)ブタノール
酸発生剤F:エタンスルホン酸エステル(合成例を以下に示す。)
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン2.3gをジオキサンに溶解し、エタンスルホニルクロライド2.6gを滴下する。水酸化カリウム2.3gを水に溶解し、反応液に滴下する。攪拌を3時間続けた後、反応液を水に流し込む。食塩を過剰に加え塩析した後、濾過しエチルアルコールにより再結晶。
酸発生剤G:メタンスルホン酸エステル(合成例を以下に示す。)
乾燥した容器内でアントロピン0.49gとメタンスルホニルクロライド0.81gをジオキサンに溶解する。ジメチルアミノピリジン0.032gを加え、トリエチルアミンのジオキサン溶液を反応液に滴下する。滴下後、攪拌を3時間続けた後、反応液を水に滴下し、固体を析出させる。濾過水洗後、真空乾燥。
架橋剤A:(CKP−918 メチロール基含有レゾール樹脂:昭和高分子社製)
塩基性化合物:窒素含有樹脂A(合成例を以下に示す。)
4−アセトキシスチレン11.4g(0.070モル)、ジメチルアミノメチルスチレン4.8g(0.030モル)を1−メトキシ−2−プロパノール 60mlに溶解し、65℃に加熱した。重合開始剤としてV−65(和光純薬製)25mgを窒素気流及び攪拌下、添加した。更に2時間毎にV−65 25mgを計3回添加した。最後の添加後、65℃にて2時間、更に90℃にて1時間攪拌した。反応混合物をメタノール600ml中に投入し、白色樹脂14.1gを得た。この樹脂にメタノール100ml、水20ml、及び25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液25.5gを加え、5時間加熱還流させた。反応混合物をを酢酸にて中和した後、イオン交換水800mlに投入し、白色樹脂10.5gを得た。NMR測定によりこの樹脂が構造式Aで示される窒素含有樹脂Aであることが確認された。又GPC測定により、この樹脂の重量平均分子量は16,000であった。
塩基性化合物:窒素含有樹脂B(合成例を以下に示す。)
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(丸善石油製、重量平均分子量11,000)12.2g、及び4−クロロメチルピリジン3.9g(0.030モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解し、炭酸カリウム4.2g(0.030モル)を加え、120℃にて5時間攪拌した。その後、酢酸1.2gを添加し、イオン交換水1リットルに投入した。その結果、淡褐色樹脂13.5gを得た。NMR測定によりこの樹脂が構造式Bで示される窒素含有樹脂Bであることが確認された。又GPC測定により、この樹脂の重量平均分子量は12,000であった。
Figure 2005284322
得られた結果を以下の表1に示す。
Figure 2005284322
表1から明らかなように、塩基性化合物を有する本発明の平版印刷版材料は赤外半導体レーザーの露光でも十分な感度及び生保存性を有し、かつ小点再現性低下の抑制のみならず露光後の経時保存での小点再現性低下の抑制にも優れた効果を奏するネガ型或いはポジ型に対応する平版印刷版材料であることが分かる。
実施例2
〈マット剤含有タイプ〉前記支持体上に下記組成の印刷版用組成物からなる感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し100℃で2分間乾燥して平版印刷版aを得た。
(感光層塗布液の組成 ポジ型)
バインダーA 60部
酸分解化合物A 20部
酸発生剤A 3部
赤外吸収剤 例示化合物IR48 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
又、感光層塗布液を表2の如く変更し、平版印刷版b〜cを得た。
ネガ型の感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥して平版印刷版dを得た。
(感光層塗布液の組成 ネガ型)
バインダーA 50部
バインダーB 10部
酸架橋剤A 40部
酸発生剤A(TAZ−110)(みどり化学社製) 3部
赤外吸収剤 例示化合物IR48 2部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
又、感光層塗布液を表1の如く変更し、比較例として平版印刷版e〜jを作製した。尚、上記平版印刷版a〜dのマット剤付与については、以下にその方法を示す。
平版印刷版a
感光層表面にジェットミルで粉砕し分級機で分級した粒径0.5〜2μmのm−クレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂を成分とするマット剤をスプレーガンにより0.05g/m2の付き量で均一にパウダリングした。
平版印刷版b
感光層表面にジェットミルで粉砕し分級機で分級した粒径1.0〜3μmのフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂を成分とするマット剤をスプレーガンにより0.1g/m2の付き量で均一にパウダリングした。次いで、150℃に昇温した赤外線炉内に20秒間静置し、マット剤を感光層表面に融着させた。
平版印刷版c
感光層表面に、ポリビニルアルコールを固形分濃度20%の水溶液として0.05g/m2の付き量で均一にエアースプレー塗布し、恒温槽内で100℃、5秒間乾燥しこの乾燥液滴をマット剤とした。
平版印刷版d
下記組成の感光層塗布液をステンレスビーカーにとり、超音波洗浄機に10分間浸積し超音波分散させた後、前記支持体上に感光層塗布液を乾燥後の塗布量が2g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥して印刷版を得た。
(感光層塗布液の組成 ポジ型)
バインダーA 50部
バインダーB 10部
酸架橋剤A 40部
酸発生剤A 3部
赤外吸収剤 例示化合物IR48 1部
マット剤(ジェットミルで粉砕し分級機で分級した 3部
粒径1〜3μmのポリカーボネート樹脂)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
実施例1と同様にして感度及び小点再現性の評価を行った。又、ブロッキングの評価を以下の条件で評価した。
(ブロッキングの評価)平版印刷版材料(ネガ及びポジ型共通)とポジ型PS版KM−3使用の合紙(コニカ社製)を1cm2正方形に断裁し、この版材料と合紙を重ね合わせ、この上に重り10Kgを載せ10Kg/cm2の荷重をかける。この状態で55℃の恒温槽に24時間静置し、目視でブロッキングの有無を判断した。
○・・・ブロッキング無
×・・・ブロッキング有。
得られた結果を以下の表2に示す。
Figure 2005284322
表2から明らかなように、マット剤を有する本発明の平版印刷版材料は赤外半導体レーザーの露光でも十分な感度を有し、かつ小点再現性低下の抑制及び対ブロッキングに優れた効果を奏するネガ型或いはポジ型に対応する平版印刷版材料であることが分かる。

Claims (10)

  1. 支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物、赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有する感光層を設けてなることを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層を設け、該感光層表面にマット剤を有することを特徴とする平版印刷版材料。
  3. 支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層塗布液をマット剤とともに支持体上に塗布することを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
  4. 支持体上に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物及び赤外吸収剤を有する感光層塗布液を設けた後、以下の何れかの処理を行うことを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
    a)感光層表面にマット剤をパウダリングする
    b)感光層表面にマット剤分散液を塗布、乾燥して該感光層表面に融着する
    c)感光層表面にマット剤分散液又はマット剤溶液を吹き付け、乾燥して該感光層表面に融着する。
  5. a)の感光層表面にマット剤をパウダリングした後、加熱処理を行うことにより該感光層表面に融着せしめることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版材料の作製方法。
  6. 支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤及び感光層の乾燥膜厚以上の粒径を有するマット剤を含有する感光層を設けてなることを特徴とする平版印刷版材料。
  7. 支持体上に、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を有する感光層を設け、該感光層表面にマット剤を有することを特徴とする平版印刷版材料。
  8. 活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を含有する感光層塗布液をマット剤とともに支持体上に塗布することを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
  9. 支持体上に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物及び赤外吸収剤を含有する感光層塗布液を設けた後、以下の何れかの処理を行うことを特徴とする平版印刷版材料の作製方法。
    a)感光層表面にマット剤をパウダリングする
    b)感光層表面にマット剤分散液を塗布、乾燥して該感光層表面に融着する
    c)感光層表面にマット剤分散液又はマット剤溶液を吹き付け、乾燥して該感光層表面に融着する。
  10. a)の感光層表面にマット剤をパウダリングした後、加熱処理を行うことにより該感光層表面に融着せしめることを特徴とする請求項9記載の平版印刷版材料の作製方法。
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