JPH112894A - 平版印刷版材料 - Google Patents

平版印刷版材料

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JPH112894A
JPH112894A JP9156835A JP15683597A JPH112894A JP H112894 A JPH112894 A JP H112894A JP 9156835 A JP9156835 A JP 9156835A JP 15683597 A JP15683597 A JP 15683597A JP H112894 A JPH112894 A JP H112894A
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JP
Japan
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compound
acid
group
printing plate
alkali
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JP9156835A
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English (en)
Inventor
Shinji Kudo
伸司 工藤
Katsura Hirai
桂 平井
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光手段として紫外線を用いることなく、そ
の代替として安価でコンパクトな半導体レーザーのよう
な赤外線による露光でも十分な感度を有し、かつ現像ラ
チチュードに優れたネガ型或いはポジ型に対応した平版
印刷版材料の提供。 【解決手段】 活性光線の照射により酸を発生し得る化
合物、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合
物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及びア
ルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官能基
を有する化合物を支持体上に有することを特徴とする平
版印刷版材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性光により可溶
化する、いわゆるポジ型の感光性、又は活性光により不
溶化する、いわゆるネガ型の感光性を有する印刷版用組
成物に関し、更に詳しくは、半導体レーザー等による赤
外線による露光で画像形成が可能な、平版印刷版材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、活性光により可溶化する、ポ
ジ型の感光層を有する感光性平版印刷版用の組成物、又
活性光により不溶化する、ネガ型の感光層を有する感光
性平版印刷版用の組成物が知られている。
【0003】活性光の照射によって可溶化するポジ型の
組成物を使用した感光材料としては、酸発生剤と酸分解
性化合物とを含有する感光層を有する画像形成材料が知
られている。例えば、米国特許3,779,779号に
は、オルトカルボン酸又はカルボン酸アミドアセタール
基を有する化合物を含有する感光性組成物が、特開昭5
3−133429号には、主鎖にアセタールを有する化
合物を含有する感光性組成物が、又特開昭60−375
49号には、シリルエーテル基を有する化合物を含有す
る組成物が開示されている。これらはいずれも紫外線に
感度を有し、紫外線による露光によってアルカリ可溶化
して非画像部を形成し、又未露光部は画像部を形成する
というものである。
【0004】又、ネガ型としては、例えば特公昭52−
7364号及び同52−3216号に活性光の照射によ
り該照射部分が光重合或いは光架橋を起こして画像部を
形成する感光材料が開示され、露光手段はポジ型同様紫
外線による露光である。更に、米国特許5,340,6
99号には、酸発生剤、酸架橋剤(レゾール樹脂)、バ
インダ(ノボラック樹脂)、赤外線吸収剤を含有する感
光材料を赤外露光して、露光部をアルカリ不溶化する技
術が開示されている。
【0005】一方、近年、作業効率向上が要求されてい
る。製版業界でもその流れを受け従来の人手と時間のか
かる編集作業をコンピューターでソフト的に簡易に行う
べく、安価でコンパクトな赤外半導体レーザーによりデ
ジタル記録可能な版即ちCTP(コンピューター・トゥ
ー・プレート)が脚光を浴びている。ただし、CTPに
おいても編集作業自体は大幅に効率化につながるものの
露光時間に関しては十分には短くなく、そのために感度
の向上が望まれている。感度向上の施策として、酸発生
剤及び赤外線吸収剤などの開始剤系の添加量増量が容易
に考えられるが、実際には酸発生剤増量は保存性の低下
をもたらす傾向が強く、又酸発生剤や赤外線吸収剤の増
量は溶解抑制効果が高まるためと推測される感度低下や
現像性即ち現像ラチチュードの低下を引き起こしてい
た。
【0006】これとは別に印刷版として現像ラチチュー
ドの広いことが使い勝手の良さとして要求されるが、こ
の点においても更なる改良が求められていた。現像ラチ
チュード向上の施策として、ポジ型では溶解抑制剤、又
ネガ型では架橋剤の反応効率向上や反応前後のアルカリ
溶解度差を広げるよう分子設計を行い改良することが提
案されているが、これは容易ではなく、更なる研究が望
まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、半導体レーザー
の露光でも十分な感度を有し、かつ現像ラチチュードに
優れたネガ型或いはポジ型に対応可能な平版印刷版材料
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0009】(1) 活性光線の照射により酸を発生し
得る化合物、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有す
る化合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤
及びアルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する
官能基を有する化合物を支持体上に有することを特徴と
する平版印刷版材料。
【0010】(2) 酸で分解し得る結合を少なくとも
1つ有する化合物、400nm以上の波長に吸収を有す
る吸収剤及び、以下の活性光線の照射により酸を発生し
得る化合物から選ばれる少なくとも1種を支持体上に有
することを特徴とする平版印刷版材料。
【0011】活性光線の照射により酸を発生し得る化合
物が、 1.アルカリ可溶性部位を有する 2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である 3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物であ
る。
【0012】好ましい態様として、上記アルカリ可溶性
部位を有する活性光線の照射により酸を発生し得る化合
物が、以下の乃至から選ばれる組み合わせよりなる
エステルであること、 水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸 フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキ
ルスルホン酸 水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホ
ン酸。
【0013】上記酸で分解し得る結合を少なくとも1つ
有する化合物が、下記一般式(1)で表されることが挙
げられる。
【0014】
【化3】
【0015】式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独
立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基を表し、R1〜R4の何れか2つが結合して環を形成
しても良く、又エーテル結合を有していても良く、又R
1〜R4は互いに同一でも異なっていても良い。更に各々
置換基が導入されていても良い。
【0016】又、上記酸で分解し得る結合を少なくとも
1つ有する化合物が、下記一般式(2)で表されること
を特徴とすることも挙げられる。
【0017】
【化4】
【0018】式中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原
子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表
し、R5、R6が結合して環を形成しても良く、又エーテ
ル結合を有していても良く、又R5、R6は互いに同一で
も異なっていても良い。更に各々置換基が導入されてい
ても良い。n及びn′は1〜6の整数を表し、mは1〜
80の整数を表す。
【0019】(3) 活性光線の照射により酸を発生し
得る化合物、酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る
化合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及
びアルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官
能基を有する化合物を支持体上に有することを特徴とす
る平版印刷版材料。
【0020】(4) 酸の存在下でアルカリに対し不溶
化し得る化合物、400nm以上の波長に吸収を有する
吸収剤及び、以下の活性光線の照射により酸を発生し得
る化合物から選ばれる少なくとも1種を支持体上に有す
ることを特徴とする平版印刷版材料。
【0021】活性光線の照射により酸を発生し得る化合
物が、 1.アルカリ可溶性部位を有する 2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である 3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物であ
る。
【0022】好ましい態様として、上記アルカリ可溶性
部位を有する活性光線の照射により酸を発生し得る化合
物が、以下の乃至から選ばれる組み合わせよりなる
エステルであること、 水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸 フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキ
ルスルホン酸 水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホ
ン酸。
【0023】上記酸の存在下でアルカリに対し不溶化し
得る化合物が、メチロール基を有する化合物及びレゾー
ル樹脂から選ばれることが挙げられる。
【0024】上記(1)乃至(4)における共通の好ま
しい態様として、以下のものが挙げられる。
【0025】上記400nm以上の波長に吸収を有する
吸収剤が、700nm以上に吸収を有する赤外線吸収剤
であること、上記アルカリとの求核置換反応により撥水
性を消失する官能基を有する化合物が、ハロゲン化アセ
チル基又はハロゲン化メチル基を含有する芳香族化合物
であること。
【0026】以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】本発明の平版印刷版材料は、ポジ型或いは
ネガ型に対応可能であり順に説明する。
【0028】(ポジ型)ポジ型の平版印刷版材料として
は、請求項1の、活性光線の照射により酸を発生し得る
化合物、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化
合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及び
アルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官能
基を有する化合物を支持体上に有するもの、又請求項2
の、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合
物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及び、
以下の活性光線の照射により酸を発生し得る化合物から
選ばれる少なくとも1種を支持体上に有するものが挙げ
られる。
【0029】前記活性光線の照射により酸を発生し得る
化合物が、1.アルカリ可溶性部位を有する、2.ブロ
モメチルアリールケトン誘導体である、3.トリクロロ
アセチルアミノ基含有芳香族化合物である。
【0030】(ネガ型)ネガ型の平版印刷版材料として
は、請求項6の、活性光線の照射により酸を発生し得る
化合物、酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合
物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及びア
ルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官能基
を有する化合物を支持体上に有するもの、又請求項7
の、酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合物、
400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及び、以下
の活性光線の照射により酸を発生し得る化合物から選ば
れる少なくとも1種を支持体上に有するものが挙げられ
る。
【0031】前記活性光線の照射により酸を発生し得る
化合物が、1.アルカリ可溶性部位を有する、2.ブロ
モメチルアリールケトン誘導体である、3.トリクロロ
アセチルアミノ基含有芳香族化合物である。
【0032】以下、活性光線の照射により酸を発生し得
る化合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収
剤、アルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する
官能基を有する化合物、酸で分解し得る結合を少なくと
も1つ有する化合物、酸の存在下でアルカリに対し不溶
化し得る化合物の順に説明する。
【0033】本発明に用いられる「活性光線の照射によ
り酸を発生し得る化合物(以下、酸発生剤という)」と
しては、各種の公知化合物及び混合物が挙げられる。例
えばジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及び
ヨードニウムのそれぞれBF4 -,PF6 -,SbF6 -,S
iF6 2-,ClO4 -などの塩、有機ハロゲン化合物、オ
ルトキノンジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属
及び有機ハロゲン化合物も活性光線の照射の際に酸を形
成又は分離する活性光線感光性成分であり、本発明にお
ける酸発生剤として使用することができる。原理的には
遊離基形成性の光開始剤として知られるすべての有機ハ
ロゲン化合物は、ハロゲン化水素酸を形成する化合物
で、本発明の酸発生剤として使用することができる。
【0034】前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物
の例はUSP3,515,552号、同3,536,4
89号、同3,779,778号及び西ドイツ国特許公
開公報第2,243,621号に記載されているものが
挙げられ、又例えば西ドイツ国特許公開公報第2,61
0,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合
物も使用することができる。又更に特開昭54−747
28号、同55−24113号、同55−77742
号、同60−3626号、同60−138539号に記
載の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系
化合物など具体的には、2−トリクロロメチル−5−
〔β(2−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキ
サジアゾールを使用することができる。
【0035】酸発生剤の具体例としては、特開昭56−
17345号に記載のものを挙げることができる。又、
特開昭50−36209号に記載されているo−ナフト
キノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドを用いるこ
とができる。
【0036】本発明において、請求項2及び7に使用さ
れる酸発生剤は、以下の1乃至3の何れか1つに該当す
ることが必須である。尚、請求項1及び6についての酸
発生剤にも適用可能である。
【0037】1.アルカリ可溶性部位を有する、2.ブ
ロモメチルアリールケトン誘導体である、3.トリクロ
ロアセチルアミノ基含有芳香族化合物である。
【0038】1乃至3を順を追って説明する。
【0039】アルカリ可溶性部位を有するものとして
は、以下の乃至から選ばれる組み合わせよりなるエ
ステル、例えば水酸基を2個以上有する化合物とアル
キルスルホン酸、フェノール性水酸基を2個以上有す
る化合物とアルキルスルホン酸、水酸基を2個以上有
するアントラセン誘導体とスルホン酸を挙げることがで
きる。
【0040】水酸基を2個以上有する化合物とアルキ
ルスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤としては、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ン、1,2,4−ブタントリオールなどのアルコール性
水酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられ
る。このアルキルスルホン酸のアルキル基はCn2n+1
であり、n=1〜4の範囲にあるものが効果的である。
アルキル基中の水素の一部又は全部をフッ素或いは塩素
等の電気陰性度の大きなハロゲンで置換したものも有効
である。酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステル
はアルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の
全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良
い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解
性を制御することができる。
【0041】フェノール性水酸基を2個以上有する化
合物とアルキルスルホン酸とのエステルからなる酸発生
剤としては、例えばカテコール、レゾルシン、ハイドロ
キノン、ピロガロール、オキシハイドロキノン、フロロ
グルシン、トリヒドロベンゾフェノン、テトラヒドロベ
ンゾフェノン、没食子酸エステルなどのフェノール性水
酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられる。
アルキルスルホン酸のアルキル基は上記と同様であ
る。酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステルはア
ルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全て
をエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。
そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を
制御することができる。
【0042】水酸基を2個以上有するアントラセン誘
導体とスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤として
は、例えばジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシ
アントラセン、テトラヒドロキシアントラセンの水酸基
とスルホン酸とのエステルが挙げられる。スルホン酸と
しては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸が挙げられ
る。アルキルスルホン酸のアルキルは上記と同様であ
る。酸発生剤に用いるスルホン酸エステルは水酸基を2
個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要
はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、
アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができ
る。
【0043】ブロモメチルアリールケトン誘導体として
は、ブロモメチルアリールケトン或いはジブロモメチル
アリールケトンが好ましい。例えば、2−ブロモアセチ
ルナフタレン、2−ブロモアセチル−6,7−ジメトキ
シナフタレン、2−ブロモアセチルナフタレン、2−ジ
ブロモアセチル−6,7−ジメトキシナフタレン、1−
ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ブロモアセチルナフタレ
ン、1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ジブロモアセチ
ルナフタレン、2−ヒドロキシ−1−ブロモアセチルナ
フタレン、1,4−ビス(ブロモアセチル)ベンゼン、
4,4’−ビス(ブロモアセチル)ビフェニル、1,
3,5−トリス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,3,
5−トリス(ジブロモアセチル)ベンゼン等が挙げら
れ、これらを単独で或いは2種以上組み合わせて用いる
ことができる。
【0044】又トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族
化合物としては、以下の構造を有するものが更に好まし
い。
【0045】
【化5】
【0046】式中、R1〜R5は水素、炭素数4以下のア
ルキル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子、フェニルア
ミノ基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基、ア
セチル基、トリクロロアセチルアミノ基を表し、R1
5は同じであっても、異なっていても良い。具体的に
は、例えば4−フェノキシトリクロロアセトアニリド、
4−メトキシトリクロロアセトアニリド、2,3−ジメ
トキシトリクロロアセトアニリド、4−メトキシ−2−
クロロトリクロロアセトアニリド、3−アセチルトリク
ロロアセトアニリド、4−フェニルトリクロロアセトア
ニリド、2,3,4−トリフルオロトリクロロアセトア
ニリド、2,4,5−トリメチルトリクロロアセトアニ
リド、2,4,6−トリブロモトリクロロアセトアニリ
ド、2,4,6−トリメチルトリクロロアセトアニリ
ド、2,4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,
4,−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、2,5−
ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,5−ジメトキ
シトリクロロアセトアニリド、2,6−ジメチルトリク
ロロアセトアニリド、2−エチルトリクロロアセトアニ
リド、2−フルオロトリクロロアセトアニリド、2−メ
チルトリクロロアセトアニリド、2−メチル−6−エチ
ルトリクロロアセトアニリド、2−フェノキシアセトア
ニリド、2−プロピルトリクロロアセトアニリド、3,
4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメ
トキシトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメチルト
リクロロアセトアニリド、4−ブチルアセトアニリド、
4−エチルアセトアニリド、4−フルオロアセトアニリ
ド、4−ヨードアセトアニリド、4−プロピルアセトア
ニリド、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアセトア
ニリド、4−プロポキシアセトアニリド、4−アセチル
アセトアニリド等を挙げることができ、特にこれらは熱
安定性が高く、しかも酸不溶化剤のアルカリ水溶液に対
する溶解性を阻害しないことから、好適な酸発生剤とな
りうる。
【0047】酸発生剤の添加量は、その化学的性質或い
は物性によって広範囲に変えることができるが、印刷版
用組成物の塗布固形分の全重量に対して約0.1〜20
重量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10重
量%の範囲である。
【0048】本発明の平版印刷版材料には、「400n
m以上の波長に吸収を有する吸収剤」が含有される。該
吸収剤としては、可視部吸収剤或いは赤外線吸収剤等が
挙げられる。
【0049】可視部吸収剤としては、例えば、クロロフ
ィル、クエン酸第2鉄アンモニウム、(チオ)ピリリウ
ム塩、キノリン、スチリルキノリン、(チオ)キサンテ
ン系色素、リボフラビンテトラブチレート、(ケト)ク
マリン系色素、メロシアニン系色素、ローダニン誘導体
ポリマー、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンゾ
ポルフィリン、スピロピラン、シアニン系色素、(シア
ニン、ローダミン、メチレンブルー系色素)のアルキル
ホウ素塩、鉄アレーン錯体、フッ素置換チタノセン、ア
リーリリデンアリールケトン、チオール化合物、トリス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、チオピ
リリウム塩、メチレンブルー、
【0050】
【化6】
【0051】等が挙げられる。
【0052】又、赤外線吸収剤としては、波長700n
m以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、
磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外吸
収色素は700〜850nmに吸収ピークを有し、ピー
クでのモル吸光係数εが105以上の赤外吸収色素であ
る。
【0053】上記赤外吸収色素としては、シアニン系色
素、スクワリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレ
ニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニ
ン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チ
オピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アン
トラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分
子間CT色素等が挙げられる。
【0054】又、赤外吸収色素として、特開昭63−1
39191号、同64−33547号、特開平1−16
0683号、同1−280750号、同1−29334
2号、同2−2074号、同3−26593号、同3−
30991号、同3−34891号、同3−36093
号、同3−36094号、同3−36095号、同3−
42281号、同3−103476号等に記載の化合物
も挙げられる。
【0055】本発明に好ましく用いられる赤外吸収色素
の代表的具体例を以下に挙げるがこれらに限定されな
い。
【0056】
【化7】
【0057】
【化8】
【0058】
【化9】
【0059】
【化10】
【0060】
【化11】
【0061】
【化12】
【0062】
【化13】
【0063】
【化14】
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】これらの色素は勿論、公知の方法によって
合成することができるが、下記のような市販品を用いる
こともできる。
【0070】日本化薬:IR750(アントラキノン
系);IR002,IR003(アルミニウム系);I
R820(ポリメチン系);IRG022,IRG03
3(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−
9,CY−10,CY−17 三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニ
ン系);KIR101,SIR114(アントラキノン
系);PA1001,PA1005,PA1006,S
IR128(金属錯体系) 大日本インキ化学:Fastogen blue812
0 みどり化学:MIR−101,1011,1021 その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フイルム等
の各社からも市販されている。これらの色素は吸収波長
の異なる2種以上の色素を併用し、複数の光源、例えば
830nmの半導体レーザーと1063nmのYAGレ
ーザーに対応することを可能とする。
【0071】本発明の平版印刷版材料は、顔料を有する
ことにより、平版印刷版として用いた際の耐刷性を顕著
に改善し得る。顔料としては、公知の有機及び無機の顔
料が挙げられるが、これらは朝倉書店の「色材工学ハン
ドブック」や誠文堂新光社の「顔料便覧」に記載の顔料
が特に制限なく使用できる。又、現像後の可視画性を得
るには該顔料が有色であることが好ましく、高濃度が得
られることが更に好ましい。その点では、該顔料がフタ
ロシアニン又はカーボンブラックから選ばれるのが耐刷
性の向上のみならず、現像後の可視画性を得るのに好適
である。
【0072】本発明における「アルカリとの求核置換反
応により撥水性を消失する官能基を有する化合物(以
下、アルカリ親水化剤)」としては、ハロゲン化メチル
基又はハロゲン化アセチル基を分子内に2個以上有する
芳香族化合物が挙げられ、ハロゲン化メチル基又はハロ
ゲン化アセチル基のハロゲンは、アルカリとの求核置換
反応により親水性の水酸基に置換される。このため、こ
れら官能基を有する芳香族化合物はアルカリと反応し撥
水性を消失する。
【0073】(ハロゲン化アセチル基含有芳香族化合
物)本発明において、アルカリ親水化剤はハロゲン化ア
セチル基を分子内に2個以上有する芳香族化合物が好ま
しく、以下の一般式(3)乃至(5)で表される化合物
が挙げられる。
【0074】
【化20】
【0075】式中、nは0から2の整数、mは2から4
の整数、kは3以下の整数、pは3以下の整数であり、
k+pは2から6の整数である。Xは塩素又は臭素原
子、Rは水素、炭素数2以下のアルキル基又はアルコキ
シ基、塩素原子、臭素原子のいずれかであり、分子内で
同じであっても異なっても良い。一般式(3)で表され
る化合物の中でも、1,2−ビス(ブロモアセチル)ベ
ンゼン、1,3−ビス(ブロモアセチル)ベンゼン、
1,4−ビス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,2,3
−トリス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,2,4−ト
リス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,3,5−トリス
(ブロモアセチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラ
キス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,2,4,5−テ
トラキス(ジブロモアセチル)ベンゼンは、高解像度化
に特に有効である。
【0076】(ハロゲン化メチル基含有芳香族化合物)
本発明において、アルカリ親水化剤はハロゲン化メチル
基を分子内に2個以上有する芳香族化合物が好ましく、
以下の一般式(6)乃至(8)で表される化合物が挙げ
られる。
【0077】
【化21】
【0078】式中、n,m,k,p,k+p,X,Rは
一般式(3)乃至(5)で表される化合物と同様であ
る。一般式(6)で表される化合物の中でも、1,2−
ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモ
メチル)ベンゼン、1,4−ビス(ブロモメチル)ベン
ゼン、1,2,3−トリス(ブロモメチル)ベンゼン、
1,2,4−トリス(ブロモメチル)ベンゼン、1,
3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン、1,2,
4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン、1,
2,4,5−テトラキス(ジブロモメチル)ベンゼン
は、高解像度化に特に有効である。
【0079】上記化合物の臭素原子の代替として塩素原
子が結合した芳香族化合物を用いても良い。これら芳香
族化合物は、単独で用いても撥水性化合物として機能す
るが、2種以上を混合して用いても良い。上記芳香族化
合物の中でも、分子内に3個のハロゲン化アセチル基又
はハロゲン化メチル基を有する芳香族化合物は、アルカ
リとの反応により撥水性から親水性に顕著に変わるの
で、極めて有効である。芳香族化合物の他に、ハロゲン
化スルホニル基、ハロゲン化メチルスルホン基、ハロゲ
ン化メチルスルホン酸基、ハロゲン化メチルスルホキシ
ド基、ハロゲン化メチルスルホン基を有する化合物を用
いても良い。
【0080】又、ハロゲン化アセチル基を有する有機化
合物は、水素引き抜き源があると、放射線照射によりハ
ロゲン酸を生じるので、浸透性を変化させる反応にハロ
ゲン酸を必要とする場合には有利である。又分子内に複
数個のハロゲン化アセチル基を有する芳香族化合物は、
紫外線照射又は加熱によりフェノール樹脂と架橋すると
いう性質を有しているので、版に耐熱性を要求する場合
には画像形成後に紫外線照射又は加熱処理を行えば良
い。
【0081】本発明において「酸で分解し得る結合を少
なくとも1つ有する化合物(以下、酸分解化合物)」と
しては、具体的には、特開昭48−89003号、同5
1−120714号、同53−133429号、同55
−12995号、同55−126236号、同56−1
7345号に記載されているC−O−C結合を有する化
合物、特開昭60−37549号、同60−12144
6号に記載されているSi−O−C結合を有する化合
物、特開昭60−3625号、同60−10247号に
記載されているその他の酸分解化合物を挙げることがで
き、更に特開昭62−222246号に記載されている
Si−N結合を有する化合物、特開昭62−25174
3号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−28
0841号に記載されているオルトチタン酸エステル、
特開昭62−280842号に記載されているオルトケ
イ酸エステル、特開昭63−10153号に記載されて
いるアセタール及びケタール、特開昭62−24403
8号に記載されているC−S結合を有する化合物などを
用いることができる。
【0082】上記のうち、C−O−C結合を有する化合
物、Si−O−C結合を有する化合物、オルト炭酸エス
テル、アセタール類及びシリルエーテル類が好ましい。
それらの中でも、特開昭53−133429号に記載さ
れた主鎖中に繰り返しアセタール部分を有し、現像液中
でのその溶解度が酸の作用によって上昇する有機重合化
合物、及び特開昭63−10153号に記載の化合物が
特に好ましい。
【0083】本発明における酸分解化合物の特に好まし
い具体的例としては上記一般式(1)で表される化合物
を挙げることができる。
【0084】一般式(1)において、R1、R2で表され
るアルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基
が挙げられ、アリール基としては置換又は無置換のフェ
ニル基が挙げられる。R1、R2が結合して環を形成して
シクロアルキル基となる場合、シクロアルキル基として
は、4〜8員のシクロアルキル環が挙げられ、シクロヘ
キシル基が好ましい。R3、R4で表されるアルキル基と
しては、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、ア
リール基としては置換又は無置換のフェニル基が挙げら
れる。これらは、エーテル結合を有することが好まし
く、特にエチレンオキシ基が好ましい。尚、R1〜R
4は、互いに同一でも異なっていても良い。更に各々置
換基又は置換原子が導入されていても良く、該置換基と
しては酸性基、塩基性基が、又置換原子としてはハロゲ
ン原子が挙げられる。
【0085】酸性基としては、例えば、ヒドロキシル基
を有するもの(フェノール、クレゾール、キシレノール
等)又はカルボキシル基を有するもの(安息香酸、メチ
ル安息香酸、ブチル安息香酸、サリチル酸、没食子酸
等)が挙げられるが、これに限定されない。又、塩基性
基としては、例えば、アミノ基を有するもの(アミン、
アニリン等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】一般式(1)で表される具体的化合物とし
ては、下記酸分解化合物Aが挙げられる。
【0087】
【化22】
【0088】又、酸分解化合物の別の好ましい化合物と
して上記一般式(2)で表される繰り返し構造単位を有
する化合物が挙げられる。式中、R5、R6は、水素原
子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す
が、上記一般式(1)のR1、R2と同義の基を表す。
又、nは1〜6の整数を表し、好ましくは1〜3であ
り、又mは1〜30の整数を表すが、好ましくは10〜
20である。上記一般式(1)で表される具体的化合物
としては、下記酸分解化合物Bが挙げられる。
【0089】
【化23】
【0090】上記酸分解化合物A及びBの合成方法を下
記に示す。
【0091】(酸分解化合物Aの合成)シクロヘキサノ
ン0.5モル、フェニルセロソルブ1.0モル及びp−
トルエンスルホン酸80mgを撹拌しながら100℃で
1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上
げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成
するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒ
ドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを
加えて撹拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更
に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、水結析に
より白色固体の酸分解化合物Aを得た。
【0092】(酸分解化合物Bの合成)シクロヘキサノ
ン1.0モル、エチレングリコール1.0モル及びp−
トルエンスルホン酸80mgを撹拌しながら100℃で
1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上
げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成
するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒ
ドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを
加えて撹拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更
に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油
状の酸分解化合物Bを得た。
【0093】本発明のネガ型として用いられる「酸の存
在下でアルカリに対し不溶化し得る化合物」ついて述べ
る。酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合物
(以下、酸不溶化剤)としては、酸の存在下で不溶化し
アルカリに対する溶解性を低減させ得る化合物が挙げら
れる。アルカリに対する溶解性を低減させ得る程度とし
ては、アルカリ可溶性樹脂と架橋するなど、最終的に不
溶化することによって該樹脂が全くのアルカリ不溶性を
示す物性に変化すればよく、具体的には、露光により前
記酸不溶化剤の作用で本来アルカリ可溶性であったもの
が現像剤として用いるアルカリ溶液に対して不溶性を示
し、印刷版上に残存している状態を表す。該酸不溶化剤
としては、メチロール基又はメチロール基の誘導体、メ
ラミン樹脂、フラン樹脂、イソシアネート、ブロックド
−イソシアネート(保護基を有すイソシアネート)など
が挙げられるが、メチロール基又はアセチル化メチロー
ル基を有している化合物又はレゾール樹脂が好ましい。
【0094】酸不溶化剤は、更にシラノール化合物、カ
ルボン酸又はその誘導体を含む化合物、ヒドロキシ基含
有化合物、カチオン重合性の二重結合を有する化合物、
芳香族基を有する2級又は3級アルコール、メチロール
基、アルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を有す
る芳香族を分子中に有するアルカリ可溶性ポリマー、ア
ミノプラスト及び以下に挙げる一般式(p)で表される
化合物、脂環式アルコール及び/又は複素環式アルコー
ルを挙げることができる。
【0095】以下、順に説明する。
【0096】シラノール化合物としては、シリコン原子
1個当たり、シリコン原子に結合したヒドロキシル基を
平均して1個以上有するものである。ここに平均とは、
例えば化合物中にヒドロキシル基が結合していないシリ
コン原子が1個あっても、ヒドロキシル基が2個結合し
ているシリコン原子が1個あれば同様な効果が得られる
ことである。このようなシラノール化合物として、例え
ば、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノー
ル、シス−(1,3,5,7−テトラヒドロキシ)−
1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサ
ン等を用いることができる。
【0097】シラノール化合物の量は、5〜70重量%
の範囲であることが好ましい。
【0098】カルボン酸又はカルボン酸誘導体を含む化
合物としてはケイ皮酸、安息香酸、トリル酢酸、トルイ
ル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸、イソフタル
酸ジメチル、イソフタル酸ジ−t−ブチル等の芳香族エ
ステル、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水安息香酸
等の酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ス
チレン−メタクリル酸共重合体等の共重合体が挙げられ
る。
【0099】ヒドロキシル基を有する化合物としては、
グリセリン等の多価アルコール、ポリp−ヒドロキシス
チレン、p−ヒドロキシスチレン・スチレン共重合体、
ノボラック樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
【0100】カルボン酸又はその誘導体を有する化合物
とヒドロキシル基を有する化合物は併用が好ましく、そ
の組成比は当量比で1:30〜30〜1の範囲であるこ
とが好ましい。ヒドロキシル基を有する化合物及びカル
ボン酸又はその誘導体を有する化合物の一方が高分子化
合物である場合がある。ヒドロキシル基を有する化合物
が高分子化合物であるとき、この高分子化合物100に
対しカルボン酸又はその誘導体を重量比で1〜50の範
囲の量を用いることが好ましい。またカルボン酸又はそ
の誘導体を有する化合物が高分子化合物であるとき、こ
の高分子化合物100に対しヒドロキシル基を有する化
合物を重量比で1〜20の範囲の量を用いることが好ま
しい。
【0101】塗膜形成性の点から、カルボン酸又はその
誘導体を有する化合物及びヒドロキシル基を有する化合
物の少なくともどちらかが高分子化合物であることが好
ましい。しかし、両者が低分子であっても、高分子化合
物を混合する等の方法で、塗膜形成を可能とすればよ
い。該高分子化合物としては、アルカリ可溶性ポリマー
が好ましいものとして挙げられる。
【0102】ヒドロキシル基を有する化合物とカルボン
酸又はカルボン酸誘導体の両方を同時に有する高分子化
合物を用いることができる。この高分子化合物としては
ヒドロキシル基を有するp−ヒドロキシスチレンとカル
ボン酸又はカルボン酸誘導体であるメタクリル酸メチル
等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル等のアク
リル酸エステル、無水マレイン酸、メタクリル酸、アク
リル酸等のモノマーの共重合体を用いることができる。
【0103】これらの高分子化合物の重量平均分子量
は、1000から50000の範囲内であることが望ま
しい。分子量が1000未満であると十分な耐熱性や塗
布特性が得られない。また分子量が50000を越える
とアルカリ水溶液への溶解性が十分でなく、膨潤による
パターンの変形が認められるので高解像性が得られな
い。
【0104】カルボン酸又はその誘導体を有する化合
物、及びヒドロキシル基を有する化合物の量は、5〜5
0重量%の範囲であることが好ましい。
【0105】カチオン重合性の二重結合を有する化合物
としてはp−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプ
ロペニルベンゼン、ジフェニルエチレン、インデノン、
アセナフテン、2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナ
ジエン、2,3−ベンゾフラン、インドール、5−メト
キシインドール、5−メトキシ−2−メチルインドー
ル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾ
ールで表される群から選ばれた少なくとも一種類の化合
物を挙げることができる。カチオン性二重結合を有する
化合物の量は、5〜50重量%の範囲であることが好ま
しい。
【0106】芳香族基を有する2級又は3級アルコール
としては、例えばビフェニル誘導体、ナフタレン誘導体
及びトリフェニル誘導体が挙げられ、具体的には、下記
一般式(a)〜(d)で表される化合物が挙げられる。
【0107】
【化24】
【0108】一般式(a)〜(d)において、R1及び
2は、同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、
メチル基又はエチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン
原子、メチル基又はメトキシ基を表し、Yは、−SO2
−、−CH2−、−S−、−C(CH32−を表し、n
は1又は2を表す。
【0109】具体的化合物としては、例えば、4,4′
−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、
3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェ
ニル、2,4,2′,4′−テトラ(α−ヒドロキシイ
ソプロピル)ビフェニル、3,5,3′,5′−テトラ
(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、4,4′
−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスル
ホン、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)
ビフェニルスルホン、4,4′−ビス(α−ヒドロキシ
イソプロピル)ビフェニルメタン、3,3′−ビス(α
−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルメタン、4,
4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル
スルフィド、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロ
ピル)ビフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−α−
ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロ
パンなどがある。ナフタレン誘導体は1,5−ビス(1
−ヒドロキシプロピル)ナフタレン、2,6−ビス(α
−ヒドロキシプロピル)ナフタレンなどがある。トリフ
ェニル誘導体はトリス(4−α−ヒドロキシイソプロピ
ルフェニル)メタン、トリス(3−α−ヒドロキシイソ
プロピルフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−
α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタン、1,
1,1−トリス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェ
ニル)エタンなどがある。
【0110】芳香族基を有する2級又は3級アルコール
として、更に下記一般式(e)〜(g)で表される化合
物を挙げることもできる。
【0111】
【化25】
【0112】一般式(e)において、R1及びR2は同一
でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子
又はメトキシ基を表し、R3は水素原子、フェニル基又
はシクロプロピル基を表す。
【0113】一般式(f)において、R4及びR5は同一
でも異なっていてもよく、各々水素原子又はフェニル基
を表す。
【0114】一般式(g)において、Aは炭素数4以下
のアルキル基又はメチロール基を表す。
【0115】芳香環に直接結合した炭素にヒドロキシル
基を有する2級又は3級アルコールには、フェニルメタ
ノール誘導体、芳香環を有する脂環式アルコール等があ
る。
【0116】このフェニルメタノール誘導体としては、
例えばジフェニルメタノール、4,4′−ジフルオロジ
フェニルメタノール、4,4′−ジクロロ−ジフェニル
メタノール、4,4′−ジメチル−ジフェニルメタノー
ル、4,4′−ジメトキシジフェニルメタノール、トリ
フェニルメタノール、α−(4−ピリジル)−ベンズヒ
ドロール、ベンジルフェニルメタノール、1,1−ジフ
ェニルエタノール、シクロプロピルジフェニルメタノー
ル、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニル−2
−プロパノール、2−フェニル−2−ブタノール、1−
フェニル−1−ブタノール、2−フェニル−3−ブチン
−2−オール、1−フェニル−1−プロパノール、1,
2−ジフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエ
チレングリコール、2,3−ジフェニル−2,3−ブタ
ンジオール、α−ナフトールベンゼイン、α,α′−ジ
ヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−
ジヒドロキシ−m−ジイソプロピルベンゼン等が挙げら
れる。
【0117】また、芳香環を有する脂環式アルコールと
しては、1−インダノール、2−ブロモインダノール、
クロマノール、9−フルオレノール、9−ヒドロキシ−
3−フルオレン、9−ヒドロキシキサンテン、1−アセ
ナフテノール、9−ヒドロキシ−3−ニトロフルオレ
ン、チオクロマン−4−オール、9−フェニルキサンテ
ン−9−オール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,
4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベレノール、
ジベンゾスベロール等が挙げられる。
【0118】さらに、上記の他に、2級又は3級アルコ
ールとして1−(9−アンスリル)エタノール、2,
2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノ
ール、1−ナフチルエタノール等が挙げられる。
【0119】メチロール基、アルコキシメチル基又はア
セトキシメチル基を有する芳香環を分子中に有するアル
カリ可溶性ポリマーとしては、下記一般式(h)で表さ
れる化合物の芳香環上の水素原子を1又は2除いた基を
分子中に有するポリマーが挙げられる。
【0120】
【化26】
【0121】一般式(h)において、Xはメチロール
基、炭素数1〜5のアルコキシメチル基又はアセトキシ
メチル基を表す。Yはアルキル基、ヒドロキシル基、ハ
ロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。
【0122】アルカリ可溶性ポリマーとしては、下記一
般式(i)又は(j)で表される繰り返し単位を有する
高分子化合物が好ましい。
【0123】
【化27】
【0124】一般式(i)及び(j)において、R1
アルキル基、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表
し、Lは単結合、−O−、−O−CO−、−CONR3
−、−CONR3CO−、−CONR3SO2−、−NR3
−、−NR3CO−、−NR3SO2−、−SO2−、−S
2NR3−又は−SO2NR3CO−(R3は水素原子、
アルキル基、アラルキル基又は芳香環基を表す)を表
す。X及びYは一般式(h)のX及びYと同義である。
【0125】上記一般式(i)又は(j)で表される繰
り返し単位は、ビニルベンジルアルコール、α−メチル
ビニルベンジルアルコール、ビニルベンジルアセテー
ト、α−メチルビニルベンジルアセテート、p−メトキ
シスチレン、4−メチロールフェニルメタクリルアミド
等のモノマーと共重合させるのが好ましい。
【0126】アミノプラストとしては、下記一般式
(k)で表される化合物が好ましい。
【0127】
【化28】
【0128】一般式(k)において、Zは−NRR′又
はフェニル基を表す。R、R′、R10〜R13は各々水素
原子、−CH2OH、−CH2ORa又は−CO−ORa
表す。Raはアルキル基を表す。
【0129】一般式(k)で表されるメラミン又はベン
ゾグアナミンは市販品として簡単に入手でき、またそれ
らのメチロール体はメラミン又はベンソグアナミンとホ
ルマリンとの縮合によって得られる。また、エーテル類
はメチロール体を公知の方法により各種アルコールで変
性することにより得られる。一般式(k)のRaで示さ
れるアルキル基としては、直鎖又は分岐していてもよい
炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0130】一般式(k)で表される化合物の具体例と
しては下記等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0131】
【化29】
【0132】
【化30】
【0133】アミノプラストとして、下記一般式(l)
で表される化合物、下記一般式(m)で表されるような
結合を介して複数のトリアジン核が結合したメラミン樹
脂、及び下記一般式(n)又は(o)で表される化合物
も使用することができる。
【0134】
【化31】
【0135】一般式(l)〜(o)において、Rは水素
原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0136】一般式(p)で表される化合物は以下のも
のである。
【0137】
【化32】
【0138】式中、Rは水素原子、炭素数3以下のアル
キル基、アリール基又はトリル基を表し、R1、R2、R
3及びR4は各々、水素原子、炭素数3以下のアルキル基
又は炭素数3以下のアルコキシ基を表す。
【0139】一般式(p)で表される化合物として、o
−アセチル安息香酸、o−アルデヒド安息香酸、o−ベ
ンゾイル安息香酸、o−トルオイル安息香酸、o−アセ
トキシ安息香酸を用いることが望ましい。
【0140】感光層中の一般式(p)で表される化合物
の含有量は5〜50重量%の範囲が適当であり、好まし
くは10〜30重量%である。
【0141】脂環式アルコールとしては、例えば、2−
アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノー
ル、2−エチル−2−アダマンタノール、2−プロピル
−2−アダマンタノール、2−ブチル−2−アダマンタ
ノール、exo−ノルボルネオール、endo−ノルボ
ルネオール、ボルネオール、DL−イソボルネオール、
テルピネン−4−オール、S−シス−ベルベノール、イ
ソピノカンフェノール、ピナンジオール等が挙げられ
る。
【0142】複素環式アルコールとしては、例えば1,
4−ジオキサン−2,3−ジオール、5−メチル−1,
4−ジオキサン−2,3−ジオール、5,6−ジメチル
−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、DL−ex
o−ヒドロキシトロピノン、4−ヒドロキシ−4−フェ
ニルピペリジン、3−キヌシリジノール、4−クロマノ
ール、チオクロマン−4−オール、DL−マバロン酸ラ
クトン等が挙げられる。複素環式アルコールは、複素環
にO又はSを含むものが好ましい。
【0143】上記アルコールとして、脂環式アルコー
ル、複素環式アルコールの他に、さらに2級又は3級ア
ルコールを加えて用いてもよい。
【0144】脂環式又は複素環式アルコールの含有量は
5〜50重量%が適当であり、好ましくは10〜30重
量%である。
【0145】本発明の平版印刷版材料には、アルカリ可
溶性樹脂が含有されることが好ましい。該アルカリ可溶
性樹脂としては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシス
チレン単位を有する重合体、下記一般式(9)で表され
る構造単位を有する重合体、その他公知のアクリル樹脂
等を挙げることができる。
【0146】該ノボラック樹脂としては、例えばフェノ
ール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアル
デヒド樹脂、特開昭55−57841号に記載されてい
るようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共
重縮合体樹脂、特開昭55−127553号に記載され
ているような、p−置換フェノールとフェノールもしく
は、クレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂
等が挙げられる。
【0147】該ヒドロキシスチレン単位を有する重合体
としては、例えば特公昭52−41050号に記載され
ているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共
重合体などを挙げることができる。
【0148】一般式(9)で表される構造単位を有する
重合体とは、該構造単位のみの繰り返し構造を有する単
独重合体、或いは該構造単位と他のビニル系単量体の不
飽和二重結合を開裂せしめた構造で示される構造単位1
種以上とを組み合わせた共重合体である。
【0149】
【化33】
【0150】一般式(9)において、R1及びR2はそれ
ぞれ、水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基又
はカルボン酸基を表し、好ましくは水素原子である。R
3は水素原子、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子又
はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、好ましく
は水素原子又はメチル基である。R4は水素原子、メチ
ル基やエチル基等のアルキル基、フェニル基又はナフチ
ル基を表す。Yは置換基を有するものを含むフェニレン
基又はナフチレン基を表し、該置換基としてはメチル基
やエチル基等のアルキル基、塩素原子や臭素原子等のハ
ロゲン原子、カルボン酸基、メトキシ基やエトキシ基等
のアルコキシ基、水酸基、スルホン酸基、シアノ基、ニ
トロ基、アシル基等が挙げられるが、好ましくは置換基
を有しないか、或いはメチル基で置換されているもので
ある。Xは窒素原子と芳香族炭素原子とを連結する2価
の有機基で、lは0〜5の整数を表し、好ましくはlが
0である。
【0151】又、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン
単位を有する重合体、及び一般式(9)で表される構造
単位を有する重合体は併用することもできる。
【0152】更に、本発明の平版印刷版材料には、該組
成物の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加する
ことができる。前記親油性の樹脂としては、例えば、特
開昭50−125806号に記載されているような、炭
素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類と
アルデヒドの縮合物、例えばt−ブチルフェノールホル
ムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
【0153】本発明の平版印刷版材料は、前記各成分を
溶解する下記の溶媒に溶解させて、これらを適当な支持
体の表面に塗布、乾燥させることにより感光層を設けて
画像形成材料とすることができる。
【0154】上記溶媒としては、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテ
ート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテー
ト、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
オキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエ
チレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶
媒は、単独で或いは2種以上混合して使用することがで
きる。
【0155】本発明の平版印刷版材料を支持体の表面に
塗布する方法としては、従来公知の方法、例えば、回転
塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ
塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が
可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感
光性平版印刷版についていえば固形分として0.5〜
5.0g/m2が好ましい。
【0156】本発明に用いられる支持体としては、アル
ミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜
鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸
着された金属板、紙、プラスチックフィルム及びガラス
板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張
られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙
げられる。このうち好ましいのはアルミニウム板であ
る。本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体
として、砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて
封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム板
を用いることが好ましい。これらの処理には公知の方法
を適用することができる。
【0157】砂目立て処理の方法としては、例えば機械
的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨
法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げ
られる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方
法を単独或いは組合わせて用いることができる。
【0158】電解によりエッチングするには、リン酸、
硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独乃至2種以上混合
した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応
じてアルカリ或いは酸の水溶液によってデスマット処理
を行い中和して水洗する。
【0159】陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、ク
ロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種
以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解
して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50m
g/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/
dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2
ある。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム板をリン
酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロ
ム(IV):20gを1リットルの水に溶解して作製)に
浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被膜溶解前後の重量変
化測定から求められる。
【0160】封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケ
イ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例と
して挙げられる。この他にアルミニウム板支持体に対し
て、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属
塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0161】本発明の平版印刷版材料は、波長700n
m以上の光源を用い画像露光を行うことが好ましい。光
源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、Y
AGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力
は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以
上である。
【0162】本発明の平版印刷版材料の現像に用いられ
る現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。
水系アルカリ現像液は例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ
酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリ
ウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶
液が挙げられる。前記アルカリ金属塩の濃度は0.05
〜20重量%の範囲で用いるのが好適であり、より好ま
しくは0.1〜10重量%である。
【0163】現像液には、必要に応じアニオン性界面活
性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加え
ることができる。該有機溶剤としては、プロピレングリ
コール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベ
ンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用で
ある。
【0164】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、「部」
は「重量部」を示す。
【0165】(支持体の作製)厚さ0.24mmのアル
ミニウム板(材質1050、調質H16)を5%苛性ソ
ーダ水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、
0.5モル1リットルの塩酸水溶液中で温度;25℃、
電流密度;60A/dm2、処理時間;30秒の条件で
電解エッチング処理を行った。次いで、5%苛性ソーダ
水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した
後、20%硫酸溶液中で温度;20℃、電流密度;3A
/dm2、処理時間;1分間の条件で陽極酸化処理を行
った。更に30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行
い、平版印刷版用支持体のアルミニウム板を作製した。
【0166】実施例1 (請求項1及び6型)前記支持体上に下記組成の印刷版
用組成物からなる感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/
2になるように塗布し95℃で90秒間乾燥してポジ
型の平版印刷版1を得た。又ネガ型も同様にして平版印
刷版7を得た。
【0167】 (感光層塗布液の組成 ポジ型) バインダーA 60部 酸分解化合物A 20部 酸発生剤A(TAZ−110)(みどり化学社製) 3部 赤外線吸収剤 例示化合物IR48 1部 アルカリ親水化剤 ブロモアセチルベンゼン 5部 プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部 又、感光層塗布液を表1の如く変更し、平版印刷版2〜
6を得た。
【0168】 (感光層塗布液の組成 ネガ型) バインダーA 60部 酸不溶化剤A 40部 酸発生剤A(TAZ−110)(みどり化学社製) 3部 赤外線吸収剤 例示化合物IR48 1部 アルカリ親水化剤 ブロモアセチルベンゼン 5部 プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部 又、感光層塗布液を表1の如く変更し、平版印刷版8〜
12を得た。又比較例として平版印刷版13及び14を
作製した。
【0169】実施例2 (請求項2及び7型)前記支持体上に下記組成の印刷版
用組成物からなる感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/
2になるように塗布し95℃で90秒間乾燥してポジ
型の平版印刷版15を得た。又ネガ型も同様にして平版
印刷版20を得た。
【0170】 (感光層塗布液の組成 ポジ型) バインダーA 60部 酸分解化合物A 20部 酸発生剤C 3部 赤外線吸収剤 例示化合物IR48 1部 プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部 又、感光層塗布液を表2の如く変更し、平版印刷版16
〜19を得た。
【0171】 (感光層塗布液の組成 ネガ型) バインダーA 60部 酸不溶化剤A 40部 酸発生剤C 3部 赤外線吸収剤 例示化合物IR48 2部 プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部 又、感光層塗布液を表2の如く変更し、平版印刷版21
〜24を得た。又比較例として平版印刷版25及び26
を作製した。尚、用いた化合物を以下に記載する。
【0172】バインダーA:フェノールとm−,p−混
合クレゾールとをホルムアルデヒドを用いて共重合させ
たノボラック樹脂(Mn=3700、フェノール:m−
クレゾール:p−クレゾールのモル比がそれぞれ5:5
7:38) 酸発生剤B:TFE−トリアジン(三和ケミカル社製) 酸発生剤C:1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ブロモ
アセチルナフタレン 酸発生剤D:4−メトキシトリクロロトリクロロアセト
アニリド (アルカリ可溶性部位を有す酸発生剤) .水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン
酸とのエステル 酸発生剤E:2,4−ビス(メタンスルホニルオキシ)
ブタノール .フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアル
キルスルホン酸とのエステル 酸発生剤F:エタンスルホン酸エステル(合成例を以下
に示す。) 2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン2.3gを
ジオキサンに溶解し、エタンスルホニルクロライド2.
6gを滴下する。水酸化カリウム2.3gを水に溶解
し、反応液に滴下する。撹拌を3時間続けた後、反応液
を水に流し込む。食塩を過剰に加え塩析した後、濾過し
エチルアルコールにより再結晶させ、酸発生剤Fを得
た。
【0173】.水酸基を2個以上有するアントラセン
誘導体とスルホン酸とのエステル 酸発生剤G:メタンスルホン酸エステル(合成例を以下
に示す。) 乾燥した容器内でアントロピン0.49gとメタンスル
ホニルクロライド0.81gをジオキサンに溶解する。
ジメチルアミノピリジン0.032gを加え、トリエチ
ルアミンのジオキサン溶液を反応液に滴下する。滴下
後、撹拌を3時間続けた後、反応液を水に滴下し、固体
を析出させる。濾過水洗後、真空乾燥して酸発生剤Gを
得た。
【0174】酸不溶化剤A:(CKP−918 メチロ
ール基含有レゾール樹脂:昭和高分子社製) 酸不溶化剤B:ヘキサメトキシメチルメラミン 得られた平版印刷版材料1〜26に、以下に示す方法で
画像を形成した。
【0175】(ポジ型)半導体レーザー(波長830n
m、出力500mW)で感光層表面に画像露光を行っ
た。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で1
3μmであった。
【0176】又、解像度は走査方向、副走査方向とも2
000DPIとした。ポジ型平版印刷版用現像液SDR
−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した3
0℃の現像液に30秒間浸漬し、非画像部(露光部)を
溶出除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。
【0177】(ネガ型)ポジ型と同様の半導体レーザー
で感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピー
クにおける強度の1/e2で13μmであった。
【0178】又、解像度は走査方向、副走査方向とも2
000DPIとした。露光後、赤外線ヒーターを用い感
光層を120℃で2分間熱処理した。更に、ポジPS版
用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6
倍に希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、非画像
部(未露光部)を除去した後、水洗し平版印刷版を製造
した。
【0179】得られた平版印刷版材料1〜26を、光学
顕微鏡観察によりレーザー走査線1本で生成される画像
部ラインの平均線幅を評価した。
【0180】(感度の評価)平均線幅が13μmとなる
露光エネルギーより求め、評価は以下の基準に従った。
【0181】 ◎・・・100〜150mJ/cm2 ○・・・151〜200mJ/cm2 △・・・201〜300mJ/cm2 ×・・・301mJ/cm2以上 (現像ラチチュード) (ポジ型)半導体レーザー(波長830nm、出力50
0mW)で感光層表面にベタ画像露光を行った。レーザ
ー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであ
った。又、解像度は走査方向、副走査方向とも2000
DPIとした。ポジ型平版印刷版用現像液SDR−1
(コニカ社製)を水で容積比3,4,5,6,7,8,
9倍に各々希釈した30℃の現像液に30秒間浸漬し、
非画像部(露光部)を溶出除去した後、水洗し平版印刷
版を製造した。重量測定により各々の希釈倍率でのベタ
露光溶出部と未露光残存(画像)部の膜残存率を求め
た。
【0182】(ネガ型)ポジ型と同様の半導体レーザー
で感光層表面にベタ画像露光を行った。レーザー光径は
ピークにおける強度の1/e2で13μmであった。解
像度もポジ型と同様とした。露光後、赤外線ヒーターを
用い感光層を120℃で2分間熱処理した。ポジPS版
用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比
3,4,5,6,7,8,9倍に各々希釈した30℃の
現像液に30秒間浸漬し、非画像部(未露光部)を除去
した。重量測定により各々の希釈倍率でのベタ露光残存
(画像)部と未露光溶出部の膜残存率を求めた。
【0183】(現像ラチチュードの評価)膜残存率に関
し残存(画像)部が90%以上かつ溶出部が2.5%以
下となる現像液希釈倍率を以下の基準で評価した。尚、
通常は6倍希釈で現像を行う。
【0184】 ◎・・・3倍希釈〜9倍希釈でも通常と同様な性能を示
す ○・・・4倍希釈〜8倍希釈で通常と同様な性能を示す △・・・5倍希釈〜7倍希釈で通常と同様な性能を示す ×・・・6倍希釈のみ。
【0185】得られた結果を以下の表1及び表2に示
す。
【0186】
【表1】
【0187】
【化34】
【0188】表1から明らかなように、本発明(請求項
1及び6型)の平版印刷版材料は赤外半導体レーザーの
露光でも十分な感度を有し、かつ現像ラチチュードに優
れたネガ型或いはポジ型に対応する平版印刷版材料であ
ることがわかる。
【0189】
【表2】
【0190】表2から明らかなように、本発明(請求項
2及び7型)の平版印刷版材料は赤外半導体レーザーの
露光でも十分な感度を有し、かつ現像ラチチュードに優
れたネガ型或いはポジ型に対応する平版印刷版材料であ
ることがわかる。
【0191】
【発明の効果】本発明によれば、半導体レーザーの露光
でも十分な感度を有し、かつ現像ラチチュードに優れた
ネガ型或いはポジ型に対応する平版印刷版材料が得られ
るという顕著に優れた効果を奏する。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性光線の照射により酸を発生し得る化
    合物、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合
    物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及びア
    ルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官能基
    を有する化合物を支持体上に有することを特徴とする平
    版印刷版材料。
  2. 【請求項2】 酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有
    する化合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収
    剤及び、以下の活性光線の照射により酸を発生し得る化
    合物から選ばれる少なくとも1種を支持体上に有するこ
    とを特徴とする平版印刷版材料。活性光線の照射により
    酸を発生し得る化合物が、 1.アルカリ可溶性部位を有する 2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である 3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物であ
  3. 【請求項3】 上記アルカリ可溶性部位を有する活性光
    線の照射により酸を発生し得る化合物が、以下の乃至
    から選ばれる組み合わせよりなるエステルであること
    を特徴とする請求項2記載の平版印刷版材料。 水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸 フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキ
    ルスルホン酸 水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホ
    ン酸
  4. 【請求項4】 上記酸で分解し得る結合を少なくとも1
    つ有する化合物が、下記一般式(1)で表されることを
    特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の平版印刷
    版材料。 【化1】 〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表
    し、R1〜R4の何れか2つが結合して環を形成しても良
    く、又エーテル結合を有していても良く、又R1〜R4
    互いに同一でも異なっていても良い。更に各々置換基が
    導入されていても良い。〕
  5. 【請求項5】 上記酸で分解し得る結合を少なくとも1
    つ有する化合物が、下記一般式(2)で表されることを
    特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の平版印刷
    版材料。 【化2】 〔式中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、アルキ
    ル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R5、R6
    が結合して環を形成しても良く、又エーテル結合を有し
    ていても良く、又R5、R6は互いに同一でも異なってい
    ても良い。更に各々置換基が導入されていても良い。n
    及びn′は1〜6の整数を表し、mは1〜80の整数を
    表す。〕
  6. 【請求項6】 活性光線の照射により酸を発生し得る化
    合物、酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得る化合
    物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤及びア
    ルカリとの求核置換反応により撥水性を消失する官能基
    を有する化合物を支持体上に有することを特徴とする平
    版印刷版材料。
  7. 【請求項7】 酸の存在下でアルカリに対し不溶化し得
    る化合物、400nm以上の波長に吸収を有する吸収剤
    及び、以下の活性光線の照射により酸を発生し得る化合
    物から選ばれる少なくとも1種を支持体上に有すること
    を特徴とする平版印刷版材料。活性光線の照射により酸
    を発生し得る化合物が、 1.アルカリ可溶性部位を有する 2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である 3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物であ
  8. 【請求項8】 上記アルカリ可溶性部位を有する活性光
    線の照射により酸を発生し得る化合物が、以下の乃至
    から選ばれる組み合わせよりなるエステルであること
    を特徴とする請求項7記載の平版印刷版材料。 水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸 フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキ
    ルスルホン酸 水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホ
    ン酸
  9. 【請求項9】 上記酸の存在下でアルカリに対し不溶化
    し得る化合物が、メチロール基を有する化合物及びレゾ
    ール樹脂から選ばれることを特徴とする請求項6乃至8
    の何れか1項記載の平版印刷版材料。
  10. 【請求項10】 上記400nm以上の波長に吸収を有
    する吸収剤が、700nm以上に吸収を有する赤外線吸
    収剤であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1
    項記載の平版印刷版材料。
  11. 【請求項11】 上記アルカリとの求核置換反応により
    撥水性を消失する官能基を有する化合物が、ハロゲン化
    アセチル基又はハロゲン化メチル基を含有する芳香族化
    合物であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか
    1項記載の平版印刷版材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008077057A (ja) * 2006-08-21 2008-04-03 Jsr Corp 感光性絶縁樹脂組成物及びその硬化物並びにそれを備える電子部品

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JP2008077057A (ja) * 2006-08-21 2008-04-03 Jsr Corp 感光性絶縁樹脂組成物及びその硬化物並びにそれを備える電子部品

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