JP3796967B2 - 画像形成材料及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷用原版やフォトレジストとして使用できる画像形成材料及び画像形成方法に関するものであり、特にコンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザを操作することにより直接製版できる、いわゆるCTP用の平版印刷版として使用可能な画像形成材料及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータのデジタルデータから直接製版するシステムとしては、1)電子写真法によるもの、2)可視光レーザを用い露光する光重合系によるもの、3)銀塩を感光性樹脂上に積層したもの、4)銀塩拡散転写法によるもの等が提案されている。
【0003】
しかしながら、1)の電子写真法を用いるものは、帯電、露光、現像等画像形成のプロセスが煩雑であり、装置が複雑で大がかりなものになる。又、2)の光重合系によるものでは、青色や緑色の光に対して高感度な版材を使用するため、明室での取扱いが難しくなる。3)、4)の方法では銀塩を使用するため現像等の処理が煩雑になる、処理廃液中に銀が含まれる等の欠点がある。
【0004】
一方、近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に波長700nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、これらの赤外レーザを搭載したプレートセッターが多数提案されつつあり、赤外線レーザで記録可能な材料が望まれている。
【0005】
この様な赤外線レーザにて記録可能な画像記録材料として、米国特許第5,340,699号に記載されているネガ型記録材料があるが、露光後現像前に後加熱処理が必要であり、製版時間が長くなる欠点がある。一方、特開平9−171254号、WO97/39894に提案されるポジ型記録材料がある。しかしながら、いずれの従来技術とも感度が充分でなく、露光に要する時間が長くなってしまう。又蛍光灯などの室内光に対してセーフライト性能が十分でないので、長時間曝写すると、前記ネガ型記録材料の技術では現像時に地汚れが発生したり印刷時に汚れが発生するという問題もある。逆に前記ポジ型記録材料の技術では現像処理により画像部が膜減りを起こしたり、耐刷力が低下するなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能で、露光後の後加熱が実質的に不要かつ感度、セーフライト性能が改善された画像形成材料を提供することにある。又本発明の他の目的は、印刷時の耐刷性が良好かつ汚れの発生することのない画像形成材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成された。
【0008】
1.支持体上に、下記に示す化合物(TAG−1〜TAG−15)から選ばれる熱により酸を発生し得る化合物、酸により分解し得る結合部を有する化合物を含有する画像形成層を設けたことを特徴とする画像形成材料。
【0009】
2.支持体上に、下記に示す化合物(TAG−1〜TAG−15)から選ばれる熱により酸を発生し得る化合物、酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物を含有する画像形成層を設けたことを特徴とする画像形成材料。
【0010】
3.1又は2記載の画像形成材料に、像様に加熱又は700nm以上の波長を有する光を照射した後、現像処理を行うことを特徴とする画像形成方法。
【0011】
好ましい態様として、
前記画像形成層に光熱変換材料を含有すること、前記画像形成層に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物を含有すること、前記画像形成材料に、像様に加熱又は700nm以上の波長を有する光を照射した後、前記熱により酸を発生し得る化合物の分解温度以下で後加熱処理を行うこと、が挙げられる。
【0012】
以下、本発明について詳しく述べる。
【0013】
〔1〕画像形成材料
本発明の画像形成材料は、支持体上に熱により酸を発生し得る化合物(以下、熱酸発生剤という)、酸により分解し得る結合部を有する化合物(以下、酸分解性化合物という)又は酸の存在下でアルカリに対して不溶化し得る化合物(以下、酸不溶化剤という)を含有する画像形成層を設けたことを特徴とする
(熱酸発生剤)
本発明で用いる熱酸発生剤としては、次に示すTAG−1〜TAG−15から選ばれる化合物である。
【0014】
本発明の画像形成材料の好ましい態様としては、酸分解性化合物又は酸不溶化剤と共に下記に示す熱酸発生剤を画像形成層に含むものである。
【0015】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
画像形成層に含有される熱酸発生剤の添加量としては、0.1重量%乃至20重量%が好ましく、更に1重量%乃至10重量%が好ましい。
【0019】
(酸分解性化合物)
酸分解性化合物としては、特開昭48−89003号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号に記載されているC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号に記載されているSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号に記載されているその他の酸分解化合物を挙げることができ、更に特開昭62−222246号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−280841号に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号に記載されているオルトケイ酸エステル、特開昭63−10153号に記載されているアセタール及びケタール、特開昭62−244038号に記載されているC−S結合を有する化合物、同63−231442号の−O−C(=O)−結合を有する化合物などを用いることができる。これらのうち、アセタール類及びシリルエーテル類が好ましい。
【0020】
本発明に用いる酸分解性化合物としては、酸の作用で分解した後、エチレングリコール成分又はプロピレングリコール成分を含むジオール化合物を生成する化合物が好ましい。このようなジオール化合物の例としては、
一般式−(CH2−CH2−O)n−又は−(CH2−CH2(CH3)−O)m−で示される成分を含むものが好ましい。ここでn又はmは1〜5の範囲が好ましい。又−(CH2−CH2−O)n−(CH2−CH2(CH3)−O)m−で示される共重合成分を含むものも好ましい。これらジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ−エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体が挙げられる。
【0021】
感度及び現像安定性からエチレングリコール及びジエチレングリコールが特に好ましい。更に、これらジオール成分を含むアセタール類又はシリルエーテル類が特に好ましく、特に一般式(1)で示される重縮合化合物が挙げられる。
【0022】
【化4】
【0023】
ここで、nは1以上の整数、mは0を含む整数を示す。Xは炭素原子又はケイ素原子を示し、R24はエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、エチレングリコール成分又はプロピレングリコール成分を含むジオール化合物に対応する。R22、R25は水素原子、アルキル基又はアリール基を、R23、R26はアルキル基、アリール基を示し、R22とR23又はR25とR26はそれぞれ結合して置換又は無置換の環を形成してもよい。R27はアルキレン基を示す。R21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキレンオキシ基、ハロゲン原子を、R28は水素原子又は−XR22R23R21又は−XR25R26R21を示す。
【0024】
アセタール類はアルデヒド、ケトン類のジメチルアセタール又はジエチルアセタールと、前記のジオール化合物との縮合により合成するのが収率の点で好ましい。このようなアルデヒド類としては、アセトアルデヒド、クロラル、エトキシアセトアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、2−フェニル及び3−フェニルアルデヒド、イソブトキシビバリンアルデヒド、ベンジルオキシビバリンアルデヒド、3−エトキシプロパナール、3−シアノ−プロパナール、n−ブタナール、イソブタナール、3−クロル−ブタナール、3−メトキシ−ブタナール、2,2−ジメチル−4−シアノ−ブタナール、2−及び3−エチルブタナール、n−ペンタナール、2−及び3−メチル−ペンタナール、2−ブロム−3−メチル−ペンタナール、n−ヘキサナール、シクロペンタンカルバアルデヒド、n−ヘプタナール、シクロヘキサンカルバルデヒド、1,2,3,6−テトラヒドロ−ベンズアルデヒド、3−エチルペンタナール、3−及び4−メチル−ヘキサナール、n−オクタナール、2−及び4−エチル−ヘキサナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、4−メチルヘプタナール、3−エチル−n−ヘプタナール、デカナール、ドデカナール、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−,3−及び4−ブロモベンズアルデヒド、2,4−及び3,4−クロル−ベンズアルデヒド、4−メトキシ−ベンズアルデヒド、2,3−及び2,4−ジメトキシ−ベンズアルデヒド、2−,3−及び4−フルオロ−ベンズアルデヒド、2,3−及び4−メチルベンズアルデヒド、4−イソプロピル−ベンズアルデヒド、3−及び4−テトラフルオロエトキシ−ベンズアルデヒド、1−及び2−ナフトアルデヒド、フルフラール、チオフェン−2−アルデヒド、テレフタルアルデヒド、ピペロナール、2−ピリジンカルバルデヒド、p−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒド、5−メチル−フルアルデヒド、バニリン等が挙げられる。
【0025】
又ケトン類としてはフェニルアセトン、1,3−ジフェニルアセトン、2,2−ジフェニルアセトン、クロル−及びブロモ−アセトン、ベンジルアセトン、メチルエチルケトン、ベンジル−プロピルケトン、エチルベンジルケトン、ベンジルメチルケトン、イソブチルケトン、5−メチル−ヘキサン−2−オン、2−メチル−ペンタン−2−オン、2−メチル−ペンタン−3−オン、ヘキサン−2−オン、ペンタン−3−オン、2−メチル−ブタン−3−オン、2,2−ジメチル−ブタン−3−オン、5−メチル−ヘプタン−3−オン、オクタン−2−オン、オクタン−3−オン、オクタン−3−オン、ノナン−2−オン、ノナン−3−オン、ノナン−5−オン、ヘプタン−2−オン、ヘプタン−3−オン、ヘプタン−4−オン、ウンデカン−2−オン、ウンデカン−4−オン、ウンデカン−5−オン、ウンデカン−6−オン、ドデカン−2−オン、ドデカン−3−オン、トリデカン−2−オン、トリデカン−3−オン、トリデカン−7−オン、ジノニルケトン、ジオクチルケトン、2−メチル−オクタン−3−オン、シクロプロピルメチルケトン、デカン−2−オン、デカン−3−オン、デカン−4−オン、メチル−α−ナフチル−ケトン、ジデシルケトン、ジヘプチルケトン、ジヘキシルケトン、アセトフェノン、4−メトキシ−アセトフェノン、4−クロル−アセトフェノン、2,4−ジメチル−アセトフェノン、2−,3−及び4−フルオロアセトフェノン、2−,3−及び4−メチルアセトフェノン、2−,3−及び4−メトキシアセトフェノン、プロピオフェノン、4−メトキシ−プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジメトキシベンゾフェノン、3,4−ジメトキシベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、シクロヘキサノン、2−フェニル−シクロヘキサノン、2−,3−及び4−メチル−シクロヘキサノン、4−t−ブチル−シクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2−クロルシクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、2−シクロヘキセン−1オン、シクロヘキシルプロパノン、フラバノン、シクロヘキサン−1,4−ジオン、シクロヘキサン−1,3−ジオントロポン、イソホロン等が挙げられる。
【0026】
特に好ましいのは25℃における水への溶解性が1以上100g/リットル以下であるアルデヒド又はケトン成分である。1g/リットル未満では連続処理でスラッジが発生しやすく、又100g/リットルより大きいと形成された画像の解像力が低下する傾向がある。具体例としては、ベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2−ピリジンカルバルデヒド、ピペロナール、フタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、5−メチル−2−フタルアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、バニリン、シクロヘキサノン、シクロヘキセン−1オン、イソブチルアルデヒド、ペンタナール等が挙げられる。これらの中で連続処理に際し、シクロヘキサノンが最も安定であり好ましい。
【0027】
シリルエーテル類はシリル化合物と前記のジオール化合物との縮合により合成される。本発明におては、シリルエーテル類は、酸の作用で分解して生成するシリル化合物の25℃における水への溶解性が1以上100g/リットル以下であるものが好ましい。
【0028】
シリル化合物の具体例としてはジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルベンジルジクロロシラン等が挙げられる。
【0029】
上記アセタール類、シリルエーテル類とも前記のジオール化合物以外に他のアルコール成分を共縮合させてもよい。このアルコール成分の具体例としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどの置換又は無置換のモノアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルなどのグリコールエーテル系アルコール類、置換又は無置換のポリエチレングリコールアルキルエーテル類やポリエチレングリコールフェニルエーテル類が挙げられる。又、2価アルコールとして、例えば、ペンタン−1,5−ジオール、n−ヘキサン−1,6−ジオール、2−エチルヘキサン−1,6−ジオール、2,3−ジメチル−ヘキサン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ノナン−1,7−ジオール、ノナン−1,9−ジオール、3,6−ジメチル−ノナン−1,9−ジオール、デカン−1,10−ジオール、ドデカン−1,12−ジオール、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−エチル−1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−メチル−シクロヘキサン−1,4−ジエタノール、2−メチル−シクロヘキサン−1,4−ジプロパノール、チオ−ジプロピレングリコール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、ジブチレン−グリコール、4,8−ビス−(ヒドロキシメチル)−トリシクロデカン、2−ブテン−1,4−ジオール、p−キシリレングリコール、2,5−ジメチル−ヘキサン−3−イン−2,5−ジオール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−スルファイド、2,2,4,4,−テトラメチルシクロブタン−1,3−ジオール等が挙げられる。この態様の場合、エチレングリコール成分又はプロピレングリコール成分を含むジオール化合物と他のアルコール成分とのモル比は70/30〜100/0が好ましく、85/15〜100/0がより好ましい。
【0030】
酸分解性化合物の好ましい分子量範囲は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算により測定された重量平均分子量Mwが500〜10000、好ましくは1000〜3000である。
【0031】
酸分解性化合物としては特開昭62−222246号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−280841号に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号に記載されているオルトケイ酸エステル、特開昭62−244038号に記載されているC−S結合を有する化合物、同63−231442号の−O−C(=O)−結合を有する化合物などを併せて用いることができる。
【0032】
本発明に用いられる酸分解性化合物の合成例を下記に示す。
【0033】
(酸分解性化合物A−1の合成)
1,1−ジメトキシシクロヘキサン1.0モル、ジエチレングリコール1.0モル及びp−トルエンスルホン酸水和物0.003モル、トルエン500mlを撹拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、反応生成物を水で充分に洗浄し、1%のNaOH水溶液、1NのNaOH水溶液で順次洗浄した。更に食塩水で洗浄し無水炭酸カリウムで脱水した後、減圧下濃縮した。真空下で80℃に加熱しながら10時間乾燥させワックス状の化合物を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約1200であった。
【0034】
(酸不溶化剤)
酸不溶化剤としては、酸の存在下で不溶化しアルカリに対する溶解性を低減させ得る化合物が挙げられる。アルカリに対する溶解性を低減させ得る程度としては、アルカリ可溶性樹脂と架橋するなど、最終的に不溶化することによって該樹脂が全くのアルカリ不溶性を示す物性に変化すればよく、具体的には、露光により前記酸不溶化剤の作用で本来アルカリ可溶性であったものが現像剤として用いるアルカリ溶液に対して不溶性を示し、印刷版上に残存している状態を表す。上記酸不溶化剤としては、メチロール基又はメチロール基の誘導体、メラミン樹脂、フラン樹脂、イソシアネート、ブロックド−イソシアネート(保護基を有すイソシアネート)などが挙げられるが、メチロール基又はアセチル化メチロール基を有している化合物又はレゾール樹脂が好ましい。
【0035】
酸不溶化剤は、更にシラノール化合物、カルボン酸又はその誘導体を含む化合物、ヒドロキシ基含有化合物、カチオン重合性の二重結合を有する化合物、芳香族基を有する2級又は3級アルコール、メチロール基、アルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を有する芳香族を分子中に有するアルカリ可溶性ポリマー、アミノプラスト及び後述する一般式(p)で表される化合物、脂環式アルコール及び/又は複素環式アルコールを挙げることができる。以下、順に説明する。
【0036】
シラノール化合物としては、シリコン原子1個当たり、シリコン原子に結合したヒドロキシル基を平均して1個以上有するものである。ここに平均とは、例えば化合物中にヒドロキシル基が結合していないシリコン原子が1個あっても、ヒドロキシル基が2個結合しているシリコン原子が1個あれば同様な効果が得られることである。このようなシラノール化合物として、例えば、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール、シス−(1,3,5,7−テトラヒドロキシ)−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン等を用いることができる。これらシラノール化合物の量は、5〜70重量%の範囲であることが好ましい。
【0037】
カルボン酸又はカルボン酸誘導体を含む化合物としてはケイ皮酸、安息香酸、トリル酢酸、トルイル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジ−t−ブチル等の芳香族エステル、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水安息香酸等の酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等の共重合体が挙げられる。
【0038】
ヒドロキシル基を有する化合物としては、グリセリン等の多価アルコール、ポリp−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン・スチレン共重合体、ノボラック樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
【0039】
カルボン酸又はその誘導体を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物は併用が好ましく、その組成比は当量比で1:30〜30〜1の範囲であることが好ましい。ヒドロキシル基を有する化合物及びカルボン酸又はその誘導体を有する化合物の一方が高分子化合物である場合がある。ヒドロキシル基を有する化合物が高分子化合物であるとき、この高分子化合物100に対しカルボン酸又はその誘導体を重量比で1〜50の範囲の量を用いることが好ましい。又カルボン酸又はその誘導体を有する化合物が高分子化合物であるとき、この高分子化合物100に対しヒドロキシル基を有する化合物を重量比で1〜20の範囲の量を用いることが好ましい。
【0040】
塗膜形成性の点から、カルボン酸又はその誘導体を有する化合物及びヒドロキシル基を有する化合物の少なくともどちらかが高分子化合物であることが好ましい。しかし、両者が低分子であっても、高分子化合物を混合する等の方法で塗膜形成を可能とすればよい。該高分子化合物としては、アルカリ可溶性ポリマーが好ましいものとして挙げられる。
【0041】
ヒドロキシル基を有する化合物とカルボン酸又はカルボン酸誘導体の両方を同時に有する高分子化合物を用いることができる。この高分子化合物としてはヒドロキシル基を有するp−ヒドロキシスチレンとカルボン酸又はカルボン酸誘導体であるメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、無水マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸等のモノマーの共重合体を用いることができる。
【0042】
これらの高分子化合物の重量平均分子量は、1000から50000の範囲内であることが望ましい。分子量が1000未満では十分な耐熱性や塗布特性が得られない。又分子量が50000を越えるとアルカリ水溶液への溶解性が十分でなく、膨潤によるパターンの変形が認められるので高解像性が得られない。
【0043】
カルボン酸又はその誘導体を有する化合物、及びヒドロキシル基を有する化合物の量は、5〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0044】
カチオン重合性の二重結合を有する化合物としてはp−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、ジフェニルエチレン、インデノン、アセナフテン、2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、2,3−ベンゾフラン、インドール、5−メトキシインドール、5−メトキシ−2−メチルインドール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾールで表される群から選ばれた少なくとも一種類の化合物を挙げることができる。カチオン性二重結合を有する化合物の量は5〜50重量%の範囲が好ましい。
【0045】
芳香族基を有する2級又は3級アルコールとしては、例えばビフェニル誘導体、ナフタレン誘導体及びトリフェニル誘導体が挙げられ、具体的には、下記一般式(a)〜(d)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化5】
【0047】
一般式(a)〜(d)において、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、Yは、−SO2−、−CH2−、−S−、−C(CH3)2−を表し、nは1又は2を表す。
【0048】
具体的化合物としては、例えば、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,2′,4′−テトラ(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,5,3′,5′−テトラ(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルホン、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルホン、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルメタン、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルメタン、4,4′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルフィド、3,3′−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)プロパンなどがある。ナフタレン誘導体は1,5−ビス(1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン、2,6−ビス(α−ヒドロキシプロピル)ナフタレンなどがある。トリフェニル誘導体はトリス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)メタン、トリス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタンなどがある。
【0049】
芳香族基を有する2級又は3級アルコールとして、更に下記一般式(e)〜(g)で表される化合物を挙げることもできる。
【0050】
【化6】
【0051】
一般式(e)において、R1及びR2は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子又はメトキシ基を表し、R3は水素原子、フェニル基又はシクロプロピル基を表す。一般式(f)において、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子又はフェニル基を表す。一般式(g)において、Aは炭素数4以下のアルキル基又はメチロール基を表す。芳香環に直接結合した炭素にヒドロキシル基を有する2級又は3級アルコールには、フェニルメタノール誘導体、芳香環を有する脂環式アルコール等がある。
【0052】
このフェニルメタノール誘導体としては、例えばジフェニルメタノール、4,4′−ジフルオロジフェニルメタノール、4,4′−ジクロロ−ジフェニルメタノール、4,4′−ジメチル−ジフェニルメタノール、4,4′−ジメトキシジフェニルメタノール、トリフェニルメタノール、α−(4−ピリジル)−ベンズヒドロール、ベンジルフェニルメタノール、1,1−ジフェニルエタノール、シクロプロピルジフェニルメタノール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニル−2−プロパノール、2−フェニル−2−ブタノール、1−フェニル−1−ブタノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−フェニル−1−プロパノール、1,2−ジフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコール、2,3−ジフェニル−2,3−ブタンジオール、α−ナフトールベンゼイン、α,α′−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ジヒドロキシ−m−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0053】
又、芳香環を有する脂環式アルコールとしては、1−インダノール、2−ブロモインダノール、クロマノール、9−フルオレノール、9−ヒドロキシ−3−フルオレン、9−ヒドロキシキサンテン、1−アセナフテノール、9−ヒドロキシ−3−ニトロフルオレン、チオクロマン−4−オール、9−フェニルキサンテン−9−オール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベレノール、ジベンゾスベロール等が挙げられる。
【0054】
更に、上記の他に、2級又は3級アルコールとして1−(9−アンスリル)エタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノール、1−ナフチルエタノール等が挙げられる。
【0055】
メチロール基、アルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を有する芳香環を分子中に有するアルカリ可溶性ポリマーとしては、下記一般式(h)で表される化合物の芳香環上の水素原子を1又は2除いた基を分子中に有するポリマーが挙げられる。
【0056】
【化7】
【0057】
一般式(h)において、Xはメチロール基、炭素数1〜5のアルコキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。Yはアルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。
【0058】
アルカリ可溶性ポリマーとしては、下記一般式(i)又は(j)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましい。
【0059】
【化8】
【0060】
一般式(i)及び(j)において、R1はアルキル基、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Lは単結合、−O−、−O−CO−、−CONR3−、−CONR3CO−、−CONR3SO2−、−NR3−、−NR3CO−、−NR3SO2−、−SO2−、−SO2NR3−又は−SO2NR3CO−(R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基又は芳香環基を表す)を表す。X及びYは一般式(h)のX及びYと同義である。
【0061】
上記一般式(i)又は(j)で表される繰り返し単位は、ビニルベンジルアルコール、α−メチルビニルベンジルアルコール、ビニルベンジルアセテート、α−メチルビニルベンジルアセテート、p−メトキシスチレン、4−メチロールフェニルメタクリルアミド等のモノマーと共重合させるのが好ましい。
【0062】
アミノプラストとしては、下記一般式(k)で表される化合物が好ましい。
【0063】
【化9】
【0064】
一般式(k)において、Zは−NRR′又はフェニル基を表す。R、R′、R10〜R13は各々水素原子、−CH2OH、−CH2ORa又は−CO−ORaを表す。Raはアルキル基を表す。
【0065】
一般式(k)で表されるメラミン又はベンゾグアナミンは市販品として簡単に入手でき、又それらのメチロール体はメラミン又はベンゾグアナミンとホルマリンとの縮合によって得られる。又、エーテル類はメチロール体を公知の方法により各種アルコールで変性することにより得られる。一般式(k)のRaで示されるアルキル基としては、直鎖又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0066】
一般式(k)で表される化合物の具体例としては下記等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
【化10】
【0068】
【化11】
【0069】
アミノプラストとして、下記一般式(l)で表される化合物、下記一般式(m)で表されるような結合を介して複数のトリアジン核が結合したメラミン樹脂、及び下記一般式(n)又は(o)で表される化合物も使用することができる。
【0070】
【化12】
【0071】
一般式(l)〜(o)において、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0072】
一般式(p)で表される化合物は以下のものである。
【0073】
【化13】
【0074】
式中、Rは水素原子、炭素数3以下のアルキル基、アリール基又はトリル基を表し、R1、R2、R3及びR4は各々、水素原子、炭素数3以下のアルキル基又は炭素数3以下のアルコキシ基を表す。
【0075】
一般式(p)で表される化合物として、o−アセチル安息香酸、o−アルデヒド安息香酸、o−ベンゾイル安息香酸、o−トルオイル安息香酸、o−アセトキシ安息香酸を用いることが望ましい。又、画像形成層中の一般式(p)で表される化合物の含有量は5〜50重量%の範囲が適当であり、好ましくは10〜30重量%である。
【0076】
脂環式アルコールとしては、例えば、2−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール、2−エチル−2−アダマンタノール、2−プロピル−2−アダマンタノール、2−ブチル−2−アダマンタノール、exo−ノルボルネオール、endo−ノルボルネオール、ボルネオール、DL−イソボルネオール、テルピネン−4−オール、S−シス−ベルベノール、イソピノカンフェノール、ピナンジオール等が挙げられる。
【0077】
複素環式アルコールとしては、例えば1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、5−メチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、5,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、DL−exo−ヒドロキシトロピノン、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン、3−キヌシリジノール、4−クロマノール、チオクロマン−4−オール、DL−マバロン酸ラクトン等が挙げられる。複素環式アルコールは、複素環にO又はSを含むものが好ましい。
【0078】
上記アルコールには、脂環式アルコール、複素環式アルコールの他に、更に2級又は3級アルコールを加えて用いてもよい。脂環式又は複素環式アルコールの含有量は5〜50重量%が適当であり、好ましくは10〜30重量%である。
【0079】
(光熱変換剤)
光熱変換剤としては700以上1200nm以下の波長に感応するものが用いられ、例えば波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することが好ましい。特に好ましい赤外吸収色素は700以上1200nm以下に最大吸収を有し、ピークでのモル吸光係数εが105以上の色素である。
【0080】
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。上記赤外吸収色素としては、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。
【0081】
本発明において、赤外吸収色素として、下記一般式(2)又は(3)で表されるシアニン系のものが特に好ましい。
【0082】
【化14】
【0083】
式中、Z1及びZ2は各々硫黄原子、セレン原子又は酸素原子を表し、X1及びX2は各々置換基を有していてもよいベンゾ縮合環又はナフト縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R3及びR4は各々置換基を表し、R3及びR4のどちらか一方はアニオン性解離性基を有する。R5、R6、R7及びR8は各々炭素原子数1〜3のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。Lは炭素原子数5〜13の共役結合の連鎖を表す。
【0084】
一般式(2)又は(3)で表されるシアニン系色素は、カチオンを形成し、対アニオンを有するものを包含する。この場合、対アニオンとしては、Cl-、Br-、ClO4 -、BF4 -、t−ブチルトリフェニルホウ素等のアルキルホウ素等が挙げられる。
【0085】
一般式(2)又は(3)において、Lで表される共役結合の連鎖の炭素原子数nは、画像露光の光源として赤外線を放射するレーザーが使用される場合、該レーザーの発信波長に合わせて有効な値を選択することが好ましい。例えば、発信波長1060nmのYAGレーザーを使用する場合は、nは9〜13が好ましい。又、この共役結合部分は任意の置換基を有することができ、又共役結合部分は複数の置換基により環を形成させてもよい。又、X1で表される環及びX2で表される環には任意の置換基を有することができる。該置換基としてハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、−SO3M及び−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子)から選ばれる基が好ましい。R3及びR4は各々任意の置換基であるが、好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基若しくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基;−((CH2)n−O−)k−(CH2)mOR(n及びmは各々1〜3の整数、kは0又は1、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。);R3及びR4の一方が−R−SO3Mで他方が−R−SO3 -(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す);又はR3及びR4の一方が−R−COOMで他方が−R−COO-(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す。)である。R3及びR4は、感度及び現像性の点から、R3及びR4の一方が上記−R−SO3 -又は−R−COO-、他方が上記−R−SO3M又は−R−COOMであることが好ましい。
【0086】
赤外吸収色素は、画像露光の光源として半導体レーザーを使用する場合は750〜900nm、YAGレーザーを使用する場合は900〜1200nmにおいて吸収ピークを示し、ε>1×105のモル吸光係数を有するものが好ましい。
【0087】
又両系統に属する色素をそれぞれ1種以上併用してもよい。
【0088】
本発明に好ましく用いられる赤外吸収色素の代表的具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
【化15】
【0090】
【化16】
【0091】
【化17】
【0092】
【化18】
【0093】
【化19】
【0094】
【化20】
【0095】
【化21】
【0096】
【化22】
【0097】
【化23】
【0098】
【化24】
【0099】
【化25】
【0100】
【化26】
【0101】
【化27】
【0102】
【化28】
【0103】
【化29】
【0104】
これらの色素は公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
【0105】
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−20、三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)、大日本インキ化学:Fastogen blue8120、みどり化学:MIR−101,1011,1021等。その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フイルム等の各社からも市販されている。
【0106】
赤外吸収色素の添加量は0.5〜10重量%の範囲が好ましい。該添加量が10重量%を越えると非画像部(露光部)の現像性が低下し、0.5重量%未満では感度が低下することがある。
【0107】
本発明では顔料を含有することにより平版印刷版として用いた際の耐刷性を顕著に改善し得る。顔料としては、公知の有機及び無機の顔料が挙げられるが、これらは朝倉書店の「色材工学ハンドブック」や誠文堂新光社の「顔料便覧」に記載の顔料が特に制限なく使用できる。又、現像後の可視画性を得るには該顔料が有色であることが好ましく、高濃度が得られることが更に好ましい。その点では、該顔料がフタロシアニン又はカーボンブラックから選ばれるのが耐刷性の向上のみならず、現像後の可視画性を得るのに好適である。
【0108】
(色素)
ここでいう色素は露光による可視画像(露光可視画像)と現像後の可視画像を得ることを目的として使用される。
【0109】
該色素としては、フリーラジカル又は酸と反応して色調が変化するものが好ましく使用できる。「色調が変化する」とは、無色から有色の色調への変化、有色から無色或いは異なる有色の色調への変化の何れをも包含する。好ましい色素は酸と塩を形成して色調を変化するものである。例えば、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学社製)、オイルブルー#603(オリエント化学工業社製)、パテントピュアブルー(住友三国化学社製)、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルバイオレット、メチルグリーン、エリスロシンB、ペイシックフクシン、マラカイトグリーン、オイルレッド、m−クレゾールパープル、ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等に代表されるトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系又はアントラキノン系の色素が有色から無色或いは異なる有色の色調へ変化する変色剤の例として挙げられる。
【0110】
一方、無色から有色に変化する変色剤としては、ロイコ色素及び例えば、トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、o−クロロアニリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,p′,p″−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチルイミン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″−トリアミノトリフェニルメタンに代表される第1級又は第2級アリールアミン系色素が挙げられる。上記の変色剤の感応層組成物中に占める割合は、0.01以上10重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.02以上5重量%以下である。これらの化合物は、単独或いは2種以上混合して使用できる。尚、特に好ましい色素はビクトリアピュアブルーBOH、オイルブルー#603である。
【0111】
(光酸発生剤)
光酸発生剤としては、各種の公知化合物及び混合物が挙げられる。例えばジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及びヨードニウムのBF4 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -などの塩、特開平4−42158号に記載のアルキルオニウム塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属/有機ハロゲン化合物も熱又は活性光線の照射の際に酸を形成又は分離する画像形成層成分であり、本発明における酸発生剤として使用することができる。原理的には遊離基形成性の光開始剤として知られるすべての有機ハロゲン化合物はハロゲン化水素酸を形成する化合物であり、本発明における酸発生剤として使用することができる。
【0112】
前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物の例としては米国特許第3,515,552号、同第3,536,489号及び同第3,779,778号及び西ドイツ国特許公開公報第2,243,621号に記載されているものが挙げられ、又例えば西ドイツ国特許公開公報第2,610,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合物も使用することができる。又、特開昭50−36209号に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド、特開平7−134410号の酸発生剤、具体的には紫外線で酸多量体を生成するもので例えばオキシスルホニル基、オキシカルボニル基を2個有する化合物が挙げられ、又特開平4−19666号の酸発生剤、具体的にはテトラキス−1,2,4,5−(ポリハロメチル)ベンゼン、トリス(ポリハロメチル)ベンゼン等のハロゲン化アリール、又特開平6−342209号のシリルエーテル含有高分子スルホニウム塩、ハロゲン化アルキルが、特開平9−96900号及び特開平6−67433号のオキシムスルホネート化合物、特開平4−338757号のハロゲン化スルホラン誘導体、特開平6−236024号、特開平6−214391号、特開平6−214392号、特開平7−244378号に記載のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル類、ジアゾ化合物又はジアゾ樹脂を用いることができる。
【0113】
本発明に用いられる酸発生剤としては400nm以上の吸収がないものが好ましい。
【0114】
本発明においては、有機ハロゲン化合物が赤外線露光による画像形成での感度、保存性等の面から酸発生剤として好ましい。該有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類及びハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類が好ましく、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類が特に好ましい。ハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類の具体例としては、特開昭54−74728号、特開昭55−24113号、特開昭55−77742号、特開昭60−3626号及び特開昭60−138539号に記載の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物及び特開平4−46344号に記載のオキサジアゾール系化合物が挙げられる。2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系酸発生剤の好ましい化合物例を下記に挙げる。
【0115】
【化30】
【0116】
上記ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0117】
【化31】
【0118】
式中、Rはアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいフェニルビニレン基又はアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)若しくはその置換体を表し、X3はハロゲン原子を表す。一般式(4)で表されるs−トリアジン系酸発生剤の化合物例を次に示す。
【0119】
【化32】
【0120】
【化33】
【0121】
【化34】
【0122】
【化35】
【0123】
s−トリアジン系酸発生剤は特開平4−44737号、特開平9−90633号、及び特開平4−226454号に具体的に記載されているものも使用できる。
【0124】
本発明において、酸発生剤は、以下の1乃至3の何れか1つに該当することが好ましい。
【0125】
1.アルカリ可溶性部位を有する、2.ブロモメチルアリールケトン誘導体である、3.トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物である。
【0126】
アルカリ可溶性部位を有するものとしては、例えば以下1)乃至3)から選ばれる組み合わせよりなるエステル即ち、1)水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸、2)フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸、3)水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホン酸を挙げることができる。
【0127】
1)水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオールなどのアルコール性水酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられる。このアルキルスルホン酸のアルキル基はCnH2n+1であり、n=1〜4の範囲にあるものが効果的である。アルキル基中の水素の一部又は全部をフッ素或いは塩素等の電気陰性度の大きなハロゲンで置換したものも有効である。酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステルはアルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
【0128】
2)フェノール性水酸基を2個以上有する化合物とアルキルスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤としては、例えばカテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、オキシハイドロキノン、フロログルシン、トリヒドロベンゾフェノン、テトラヒドロベンゾフェノン、没食子酸エステルなどのフェノール性水酸基とアルキルスルホン酸とのエステルが挙げられる。アルキルスルホン酸のアルキル基は上記1)と同様である。酸発生剤に用いるアルキルスルホン酸エステルはアルコール性水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
【0129】
3)水酸基を2個以上有するアントラセン誘導体とスルホン酸とのエステルからなる酸発生剤としては、例えばジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセンの水酸基とスルホン酸とのエステルが挙げられる。スルホン酸としては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸が挙げられる。アルキルスルホン酸のアルキルは上記1)と同様である。酸発生剤に用いるスルホン酸エステルは水酸基を2個以上含む化合物の水酸基の全てをエステルにする必要はなく、水酸基を残しても良い。そうすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性を制御することができる。
【0130】
ブロモメチルアリールケトン誘導体としては、ブロモメチルアリールケトン或いはジブロモメチルアリールケトンが好ましい。例えば、2−ブロモアセチルナフタレン、2−ブロモアセチル−6,7−ジメトキシナフタレン、2−ブロモアセチルナフタレン、2−ジブロモアセチル−6,7−ジメトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ブロモアセチルナフタレン、1−ヒドロキシ−4−ブロモ−2−ジブロモアセチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1−ブロモアセチルナフタレン、1,4−ビス(ブロモアセチル)ベンゼン、4,4′−ビス(ブロモアセチル)ビフェニル、1,3,5−トリス(ブロモアセチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(ジブロモアセチル)ベンゼン等が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0131】
又トリクロロアセチルアミノ基含有芳香族化合物としては、以下の構造を有するものが更に好ましい。
【0132】
【化36】
【0133】
式中、R11〜R15は水素、炭素数4以下のアルキル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子、フェニルアミノ基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基、アセチル基、トリクロロアセチルアミノ基を表し、R11〜R15は同じであっても、異なっていても良い。具体的には、例えば4−フェノキシトリクロロアセトアニリド、4−メトキシトリクロロアセトアニリド、2,3−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、4−メトキシ−2−クロロトリクロロアセトアニリド、3−アセチルトリクロロアセトアニリド、4−フェニルトリクロロアセトアニリド、2,3,4−トリフルオロトリクロロアセトアニリド、2,4,5−トリメチルトリクロロアセトアニリド、2,4,6−トリブロモトリクロロアセトアニリド、2,4,6−トリメチルトリクロロアセトアニリド、2,4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,4,−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、2,5−ジクロロトリクロロアセトアニリド、2,5−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、2,6−ジメチルトリクロロアセトアニリド、2−エチルトリクロロアセトアニリド、2−フルオロトリクロロアセトアニリド、2−メチルトリクロロアセトアニリド、2−メチル−6−エチルトリクロロアセトアニリド、2−フェノキシアセトアニリド、2−プロピルトリクロロアセトアニリド、3,4−ジクロロトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメトキシトリクロロアセトアニリド、3,4−ジメチルトリクロロアセトアニリド、4−ブチルアセトアニリド、4−エチルアセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、4−ヨードアセトアニリド、4−プロピルアセトアニリド、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアセトアニリド、4−プロポキシアセトアニリド、4−アセチルアセトアニリド等を挙げることができ、特にこれらは熱安定性が高く、好適な酸発生剤となりうる。
【0134】
本発明において酸発生剤は1種単独でも或いは複数併用可能であり、その含有量はその化学的性質及び画像形成層の組成或いはその物性によって広範囲に変えることができるが、画像形成層の固形分の全重量に対して約0.1〜約20重量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。
【0135】
(バインダー)
バインダーとしては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシスチレン単位を有する重合体、アクリル酸エステルモノマー成分を含む重合体が挙げられる。
【0136】
該ノボラック樹脂としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールもしくは、クレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が挙げられる。
【0137】
該ヒドロキシスチレン単位を有する重合体としては、例えば特公昭52−41050号に記載されているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共重合体などを挙げることができる。
【0138】
アクリル酸エステルモノマー成分を含む重合体としては、置換又は無置換のアルキルアクリレート、置換又は無置換のアルキルメタクリレートのモノマー成分を含む共重合体が挙げられる。このようなモノマー成分として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリルデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げげられる。
【0139】
好ましくは下記に記載するモノマーの混合物を共重合して得られた共重合高分子重量体である。
【0140】
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えば、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0141】
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0142】
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えば、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0143】
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えば、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0144】
5)α,β−不飽和カルボン酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等。
【0145】
6)アクリルアミド若しくはメタクリルアミド類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0146】
7)フッ化アルキル基を含有するモノマー、例えば、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0147】
8)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0148】
9)ビニルエステル類、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0149】
10)スチレン類、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0150】
11)ビニルケトン類、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0151】
12)オレフィン類、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0152】
13)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0153】
14)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−シアノスチレン、m−シアノスチレン、p−シアノスチレン等。
【0154】
15)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0155】
上記共重合高分子重量体は、GPCによって、測定された重量平均分子量が1万〜20万であるものが好ましいが、重量平均分子量はこの範囲に限定されるものではない。
【0156】
本発明においては他の樹脂も併用でき、他の樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサルフォン、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。又、樹脂内に不飽和結合を有する樹脂、例えばジアリルフタレート樹脂及びその誘導体、塩素化ポリプロピレンなどは前述のエチレン性不飽和結合を有する化合物と重合させることが可能なため用途に応じて好適に用いることができる。
【0157】
画像形成層におけるこれらアルカリ可溶性樹脂の含有量は、20〜90重量%の範囲が好ましく、30〜70重量%の範囲が更に好ましい。
【0158】
ノボラック樹脂と、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体又はアクリル酸エステルモノマー成分を含む重合体を併用することが好ましく、混合比は30/70〜95/5の範囲が好ましい。
【0159】
更に、画像形成層には、感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。親油性の樹脂としては、例えば特開昭50−125806号に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、例えばt−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。又ニトロセルロース、メタル粉などの自己酸化性化合物、紫外線吸収剤などを添加するのも好ましい。
【0160】
本発明の画像形成材料は、前記各成分を溶解する下記の様な溶媒に溶解させて、これらを適当な支持体の表面に塗布、乾燥して画像形成層を設けて得られる。
【0161】
溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これら溶媒は、単独で或いは2種以上混合して使用することができる。
【0162】
保存安定性向上、露光後の経時小点再現性低下の抑制には塗布液のpHを調整し、3.5以上8.0以下、より好ましくは4.0以上6.5以下とする。3.5以下では上記の効果が望めず、又8.0以上では感度低下が著しい。
【0163】
このようなpH調整剤として、塩基性化合物を添加するのが好ましい。塩基性化合物は、プロトンを補足可能なものであり、具体的には無機又は有機のアンモニウム塩類、有機アミン類、アミド類、尿素やチオ尿素及びその誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類、シッフ塩基、弱酸とナトリウム又はカリウムとの塩、特開平8−123030号記載の塩基性窒素含有樹脂、特開平9−54437号記載の有機塩基性化合物、特開平8−211598号記載のチオスルホネート化合物、特開平7−219217号記載の加熱中性化塩基性化合物(スルホニルヒドラジド化合物等)が挙げられる。尚、加熱中性化塩基性化合物を使用する場合は露光後現像処理する前に加熱することで感度が大幅に向上する。
【0164】
支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属版、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属版、紙、プラスチックフィルム及びガラス版、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙げられる。このうち好ましいのはアルミニウム版である。本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体として、砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム版を用いることが好ましい。これらの処理には特開昭53−67507号、同53−77702号、同53−123204号、同54−63902号、同54−92804号、同54−133903号、同55−128494号、同56−28893号、同56−51388号、同58−42493号、同58−209597号、同58−197090号、同59−182967号、同60−190392号、同62−160291号、同61−182950号、同63−99992号、特開平1−150583号、同1−154797号、同1−176594号、同1−188699号、同1−188395号、同1−215591号、同1−242289号、同1−249494号、同1−304993号、同2−16090号、同2−81692号、同2−107490号、同2−185493号、同3−104694号、同3−177528号、同4−176690号、同5−24376号、同5−24377号、同5−139067号、同6−247070号などに示される公知の方法を適用することができる。
【0165】
砂目立て処理の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独或いは組合わせて用いることができる。
【0166】
電解によりエッチングするには、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独乃至2種以上混合した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリ或いは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0167】
陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、クロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用い、アルミニウム版を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2である。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム版をリン酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1リットルの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、版の被膜溶解前後の重量変化測定から求められる。
【0168】
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム版支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0169】
支持体の裏面には、アルミニウムの陽極酸化皮膜の溶出を抑えるために、有機金属化合物或いは無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層或いは有機高分子化合物からなる被覆層(以下、バックコート層という。)を設けることが好ましい。
【0170】
バックコート層は、現像時にアルミニウムの溶出が抑えられる量を用いればよく、0.001以上10g/m2以下の範囲の塗布量が好ましく、より好ましくは、0.01以上1g/m2以下であり、0.02以上0.1g/m2以下が最も好ましい。
【0171】
バックコート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆する方法としては種々の方法が適用できるが、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは、バックコート層塗布液を作製して塗布、乾燥する方法である。
【0172】
画像形成層を支持体の表面に塗布する方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、平版印刷版についていえば固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0173】
本発明の画像形成材料に対しては、波長400nm以上、特に700nm以上の光源を用い画像露光を行うことが好ましい。光源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力はレーザービーム1本当たり50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0174】
〔2〕画像形成方法
本発明の画像形成材料に画像形成する方法としては、画像形成層に像様に加熱又は700nm以上の波長を有する露光を行った後、露光部の画像形成層を現像液を用いて除去する。像様に露光を行う手段として上述の赤外線レーザーを用いることが好ましい。
【0175】
現像に用いられる現像液及び現像補充液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。前記アルカリ金属塩の濃度は0.05以上20重量%以下の範囲で用いるのが好適であり、より好ましくは0.1以上10重量%以下である。
【0176】
現像液及び現像補充液の珪酸塩濃度/アルカリ金属濃度(SiO2のモル濃度/アルカリ金属のモル濃度)は、0.15以上1.0以下が好ましく、又珪酸塩濃度が総重量に対して0.5以上5.0重量%以下が好ましい。特に好ましくは、現像液の珪酸塩濃度/アルカリ金属濃度が0.25以上0.75であり、珪酸塩濃度が1.0以上4.0重量%以下、現像補充液の珪酸塩濃度/アルカリ金属濃度が0.15以上0.5であり、珪酸塩濃度が1.0以上3.0重量%以下である。
【0177】
又、特開平8−305039号、特開平8−160631号に記載された非珪酸系の現像液を適用することもできる。
【0178】
現像液には、必要に応じアニオン、ノニオン、カチオン、又は両性の界面活性剤や有機溶剤を加えることができる。
【0179】
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、第2ナトリウムアルキルサルフェート等の炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル塩類、例えばアセチルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩等の様な脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩等の様なアルキルアリールスルホン酸塩類、例えばC17H33CON(CH3)CH2CH2SO3Na等の様なアルキルアミドのスルホン酸、例えばナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハクジヘキシルエステル等の二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0180】
ノニオン界面活性剤としては、特開昭59−84241号、同62−168160号及び同62−175758号に開示のもの、カチオン界面活性剤としては、特開昭62−175757号に開示のもの、両性界面活性剤としては、例えばアルキルカルボキシベタイン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルイミダゾリン型の化合物或いは、特公平1−57895号に開示されている有機ホウ素化合物等が挙げられる。界面活性剤は、使用時の現像液の総重量に対して0.1〜5重量%の範囲で含有させておくことが適当である。
【0181】
有機溶媒としては、水に対する溶解度が約10重量%以下のものが適しており、好ましくは2重量%以下のものから選ばれる。例えば1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール及び3−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。本発明においては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0182】
有機溶媒の含有量は使用時の現像液の総重量に対して1〜5重量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。
【0183】
上記現像液には、更に必要に応じ、アルカリ可溶性メルカプト化合物及び/又はチオエーテル化合物、水溶性還元剤、消泡剤及び硬水軟化剤の様な添加物を含有させることもできる。
【0184】
現像処理には例えば特開平5−188601号及び特願平9−143882号に示される自動現像機を用いる方法が有効である。又現像液、消去液、後処理液には、特願平8−56894号等に記載された処理剤を使用することができる。
【0185】
露光後、現像前に熱酸発生剤の分解温度以下で画像形成材料の加熱処理を加えてもよい。この場合、80〜200℃で5〜20秒の加熱処理が好ましい。
【0186】
又、現像後の画像形成材料を150〜300℃、20〜200秒程度のバーニング処理を行うことで感応層の機械的強度を飛躍的に向上させることができ、印刷版として使う場合には耐刷性を大幅に上げることができる。
【0187】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、「部」は「重量部」を示す。
【0188】
実施例1
(感光性平版印刷版の作製)
厚さ0.24mmのJIS−1050アルミニウム板を85℃の10%の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、1分間脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂したアルミニウム板を、25℃の10%硫酸水溶液中に1分間浸漬し、デスマット処理した後、水洗した。次いでこのアルミニウム板を、1.0%の硝酸水溶液中において、温度30℃、電流密度50A/dm2で電気量400c/dm2になるように電気化学的に粗面化した。その後、50℃の10%水酸化ナトリウム水溶液中でアルミニウムの溶解量が3g/m2となるように化学的エッチングを行った。次いで、25℃の10%硝酸水溶液中に10秒間浸漬し、デスマット処理した後水洗した。次いで、35℃の20%硫酸水溶液中で、電流密度2A/dm2の条件で1分間陽極酸化処理を行った。その後、80℃の0.1%酢酸アンモニウム水溶液中に30秒間浸漬し、封孔処理を行い、80℃で5分間乾燥した。このアルミニウム板の片方の面(裏面)に、JIS3号珪酸ナトリウム水溶液(10g/リットル)をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥し、裏面に被覆層を有するアルミニウム支持体を作製した。被覆層は乾燥重量として10mg/m2となるように塗設した。
【0189】
前記支持体上に下記組成の画像形成層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し、乾燥して感光性平版印刷版1を得た。
【0190】
(画像形成層塗布液)
バインダーA 60部
バインダーB 10部
赤外吸収剤 例示化合物IR56 6部
熱酸発生剤TAG−4(A=Cl) 3部
酸分解性化合物(合成例A−1の化合物) 20部
クリスタルバイオレット 0.3部
フッ素系界面活性剤S−381(旭硝子製) 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 700部
MEK 200部
バインダーA:フェノールとm−,p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)
バインダーB:メチルメタクリレート/ヒドロキシフェニルメタクリルアミド/メタクリルアミド/メタアクリロニトリルの共重合体(共重合重量比=20/20/30/30、Mw=30000)
MEK:メチルエチルケトン
(画像形成工程)
得られた感光性平版印刷版材料に、以下に示す方法で画像を形成した。
【0191】
クレオプロダクツ社製の露光機(トレンドセッター3244;発振波長830nmの半導体レーザーを搭載、レーザー出力10W、240チャンネル機)で画像形成層表面に画像露光を行った。更にコニカ(株)製の自動現像機PSZ−910を用いて現像、水洗処理を行い、露光部の画像形成層を除去した。現像液にはコニカ(株)製のPS版用現像液SDR−1を水に容積比6倍で希釈して用いた。現像槽には現像液25リットルを投入し、現像時間は12秒、現像温度は32℃で現像処理を行った後、水洗処理を行った。
【0192】
以上の方法により製版を行い、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0193】
(評価)
1)感度
露光部の画像形成層が除去可能な露光エネルギーの量で表す。
【0194】
2)現像後の画像残存率(%)
白色蛍光灯を使用し、1000ルクス下で60分曝射した後、現像処理を行い、画像部における画像形成層の残存率(現像前後の濃度の変化率)を測定した。
【0195】
3)印刷の地汚れ
白色蛍光灯光を同様に60分曝射した後、現像処理し、印刷での非画像部の地汚れを評価した。
【0196】
○・・・全く発生しない
△・・・若干発生
×・・・汚れが目立つ。
【0197】
実施例2
熱酸発生剤としてTAG−9(A=Cl)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0198】
実施例3
熱酸発生剤としてTAG−12(A=Cl)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0199】
実施例4
熱酸発生剤としてTAG−14(A=Cl)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0200】
実施例5(比較例)
熱酸発生剤として光酸発生剤(24)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0201】
実施例6
実施例1の画像形成層塗布液に光酸発生剤(24)を0.5部添加した以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0202】
実施例7
赤外吸収色素をIR14に変更し、露光を発振波長1064nmのYAGレーザー(出力1W)を搭載した露光機を使用して行った以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0203】
実施例8
画像形成層塗布液を以下に変更した以外は実施例1と同様に画像形成材料を作製した。又、露光後、現像処理前に画像形成材料を90℃・2分で加熱処理した以外は実施例1と同様に評価した。本実施例では、未露光部の画像形成層が除去された。
【0204】
(画像形成層塗布液)
バインダーA(前出) 60部
バインダーB(前出) 10部
赤外吸収剤 例示化合物IR56 6部
熱酸発生剤TAG−4(A=Cl) 3部
レゾール樹脂 20部
クリスタルバイオレット 0.3部
フッ素系界面活性剤S−381(旭硝子製) 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 700部
MEK 200部
実施例9(比較例)
熱酸発生剤に光酸発生剤(24)を用いた以外は実施例8と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0205】
実施例10
実施例8の画像形成層塗布液に光酸発生剤(24)を0.5部添加した以外は実施例8と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0206】
実施例11
実施例8のレゾール樹脂に替えて、ヘキサメトキシメチロールメラミンを添加した以外は実施例8と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0207】
実施例12
赤外吸収色素をIR14に変更し、露光を発振波長1064nmのYAGレーザー(出力1W)を搭載した露光機を使用して行った以外は実施例8と同様にして感光性平版印刷版の作製を行い、評価した。
【0208】
実施例2乃至11の結果も同様にして表1に示す。
【0209】
【表1】
【0210】
表1から明らかなように、熱酸発生剤を含有する感光性平版印刷版は感度、画像残存率及び印刷汚れの何れもが優れた結果を示していることが分かる。
【0211】
【発明の効果】
本発明によれば、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能で、露光後の後加熱が実質的に不要な系での感度、セーフライト性能が改善されるという顕著に優れた効果を奏する。特に印刷時の耐刷性が良好かつ汚れの発生も十分に防止されるなど、従来からの課題を解決するという目的が達成された。
Claims (6)
- 前記画像形成層に光熱変換材料を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成材料。
- 前記画像形成層に活性光線の照射により酸を発生し得る化合物を含有することを特徴とする請求項1,2又は3記載の画像形成材料。
- 請求項1,2,3又は4記載の画像形成材料に、像様に加熱又は700nm以上の波長を有する光を照射した後、現像処理を行うことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1,2,3又は4記載の画像形成材料に、像様に加熱又は700nm以上の波長を有する光を照射した後、前記熱により酸を発生し得る化合物の分解温度以下で後加熱処理を行うことを特徴とする請求項5記載の画像形成方法。
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