JP5266842B2 - ポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような高分子材料は分子量が大きく且つ分子量分布が広いため、微細加工における加工寸法及び加工精度には限界がある。
すなわち、以下の本発明の特徴により、上記問題点を解決する。
(A)下記化学式(2)で表される化合物及び下記化学式(7)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つである、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜4000のポリフェノール化合物、
(B)前記フェノール性水酸基と反応し酸の作用により分解可能な架橋結合を形成し得る反応性官能基を1分子中に2個以上有する、下記化学式(1)で表される化合物、及び、
(C)波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤、
を含有し、前記ポリフェノール化合物(A)の含有量が、ポジ型レジスト組成物の固形分全量に対して、50〜99.5質量%であることを特徴とする。
また、本発明に係るポジ型レジスト組成物において、前記ポリフェノール化合物(A)の含有量が、ポジ型レジスト組成物の固形分全量に対して、50〜99.5質量%であることが好ましい。
化学式(2)中、
R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR1が結合して環を形成してもよい。複数のR2が結合して環を形成してもよい。複数のR3が結合して環を形成してもよい。複数のR4が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR1、R2、R3及びR4は互いに同じであっても異なっていても良い。
R5及びR6は、各々独立に、水素原子又は有機基を表し、複数あるR5及びR6は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR5及びR6のうち少なくとも2つは水素原子である。
Wは単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基及びこれらの任意の組み合わせからなる基を表す。
x1は正の整数を表す。
yは0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、yは0でありかつx1は2である。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
m1、m3、及びm4は各々独立して正の整数を表す。
m2及びm5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、m1+m2+z=5、m3+v=3、m4+m5=5、m2+m5≧2を満たす。
化学式(3)〜(5)中、
R1、R2、R5、R6、x1、z、m1及びm2は、化学式(2)におけるそれらと同義である。
R7は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR7が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR7は互いに同じであっても異なっていても良い。
uは正の整数を表す。ただしu+x1=3である。
rは正の整数を表す。
W0はアリーレン基を表す。
W1は単結合、アルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。
Tは下記化学式(6)で表される構造を有する基を表す。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び下記化学式(8)に示す基からなる群より選ばれる基である。
R10は、各々独立に、水素原子又は有機基である。複数あるR10のうち少なくとも2つは水素原子である。
R11は、水素原子、若しくはハロゲン原子又は水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、シアノ基、アミノ基、及びニトロ基からなる群より選ばれる基である。
m6は0〜2の整数である。
m7は0〜2の整数である。
x2は3〜12の整数を表す。また、化学式(7)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じであっても異なっていても良い。
(i)(A)フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜4000のポリフェノール化合物、
(B)前記フェノール性水酸基と反応し酸の作用により分解可能な架橋結合を形成し得る反応性官能基を1分子中に2個以上有する、上記化学式(1)で表される化合物、及び、
(C)波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤、
を含有する、ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、EUV、又はX線で露光し、加熱、現像する工程、
を含むことを特徴とする。
また、パターン強度向上の理由である架橋結合が形成される際に、ポリフェノール化合物のフェノール性水酸基が保護されるため、あらかじめフェノール性水酸基を保護する必要がなく、レジスト組成物の調製が簡便となる。
本発明に係るポジ型レジスト組成物は、
(A)フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜4000のポリフェノール化合物、
(B)前記フェノール性水酸基と反応し酸の作用により分解可能な架橋結合を形成し得る反応性官能基を1分子中に2個以上有する、下記化学式(1)で表される化合物、及び、
(C)波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤、を含有することを特徴とする。
本発明において用いられるポリフェノール化合物(A)は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、分子量が300〜4000の化合物である。
化学式(2)中、
R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR1が結合して環を形成してもよい。複数のR2が結合して環を形成してもよい。複数のR3が結合して環を形成してもよい。複数のR4が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR1、R2、R3及びR4は互いに同じであっても異なっていても良い。
R5及びR6は、各々独立に、水素原子又は有機基を表し、複数あるR5及びR6は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR5及びR6のうち少なくとも2つは水素原子である。
Wは単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基及びこれらの任意の組み合わせからなる基を表す。
x1は正の整数を表す。
yは0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、yは0でありかつx1は2である。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
m1、m3、及びm4は各々独立して正の整数を表す。
m2及びm5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、m1+m2+z=5、m3+v=3、m4+m5=5、m2+m5≧2を満たす。
R1、R2、R3及びR4におけるシクロアルキル基としては、単環、多環どちらでもよい。例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
R5及びR6における有機基は酸分解性又は非酸分解性の基を表す。酸分解性基を含有する場合は、1分子中に0〜20個含有することが好ましい。より好ましくは0〜15個、さらに好ましくは0〜10個である。
Wにおけるシクロアルキレン基は、単環、多環どちらでもよく、環を形成するアルキレン基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、さらに置換基を有していてよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
Wにおける環状のアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
化学式(2)で表される化合物はさらに下記化学式(3)〜(5)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
R1、R2、R5、R6、x1、z、m1及びm2は、化学式(2)におけるそれらと同義である。
R7は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR7が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR7は互いに同じであっても異なっていても良い。
uは正の整数を表す。ただしu+x1=3である。
rは正の整数を表す。
W0はアリーレン基を表す。
W1は単結合、アルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。
Tは下記化学式(6)で表される構造を有する基を表す。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び下記化学式(8)に示す基からなる群より選ばれる基である。
R10は、各々独立に、水素原子又は有機基を表し、複数あるR10のうち少なくとも2つは水素原子である。
R11は、水素原子、若しくはハロゲン原子又は水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、シアノ基、アミノ基、及びニトロ基からなる群より選ばれる基である。
m6は0〜2の整数である。
m7は0〜2の整数である。
x2は3〜12の整数を表す。また、化学式(7)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じであっても異なっていても良い。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
前記アルカリ可溶性基としては、水酸基、スルホ基、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基(−C(CF3)2OH)が挙げられる。好ましくは、カルボキシル基、ヘキサフルオロイソプロパノール基であり、さらに好ましくは、カルボキシル基である。
酸分解性基は、本発明に係るポリフェノール化合物(A)を合成する際にはフェノール性水酸基の保護基として働き、また、合成されたポリフェノール化合物(A)をレジスト組成物に用いる際には、アルカリ現像液に対する溶解性を抑制する働きをする。この酸分解基は、F2エキシマレーザー、EUV(Extreme Ultra Violet)、EB(Electron Beam)、X線等を使用した露光により、後述の酸発生剤(C)から発生した酸によって脱離する。
ここで、Gは、それぞれ独立に、Ra、又はRbである。
ここで、Raは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。Ra同士は互いに結合して環を形成しても良い。
Rbは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。
−〔C(Rc)2〕e−CO−OC(Ra)3
ここで、Rcは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表す。また、eは1〜4の整数である。
前記ポリフェノール化合物(A)が前記化学式(2)で表される化合物である場合は、分子量は、好ましくは300〜2500である。
また、前記ポリフェノール化合物(A)が前記化学式(7)で表される化合物である場合は、分子量は、好ましくは400〜3000、さらに好ましくは、500〜2000である。
本発明の化合物(B)は下記化学式(1)で表され、反応性官能基を2個以上有する。
P1〜Pkの反応性官能基、又は1つ以上の反応性官能基を有する化合物残基と前記ポリフェノール化合物(A)のフェノール性水酸基や後述するアルカリ可溶性樹脂(D)のフェノール性水酸基との間に形成された架橋結合が、後述する酸発生剤(C)から発生した酸によって分解可能であれば、P1〜Pkの反応性官能基、及び1つ以上の反応性官能基を有する化合物残基は、特に限定されない。
テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ビスフェノールF、及びビスフェノールA、の水酸基の2つ以上がビニルエーテル化された多官能ビニルエーテル化合物が挙げられる。
本発明において用いられる波長248nm以下(波長248nm又は248nmより短波長)の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、
N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有し、下記化学式(12)で表される繰り返し単位を含み、且つ任意のビニルモノマーから誘導される下記化学式(13)で表される繰り返し単位D’を含んでいてもよい、アルカリ現像液への溶解性を有する樹脂(D)(以下、アルカリ可溶性樹脂(D)ともいう)を含有していてもよい。
アクリル酸及びエステル類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アダマンチルアクリレート、ノルボルニルアクリレート等が挙げられる。
本発明において用いられる有機塩基性化合物(E)は、レジストパタ−ン形状、保管状態での経時安定性などを向上させるために、公知の有機塩基性化合物の中から任意のものを選択して使用することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
本発明に係るポジ型レジスト組成物は、通常、有機溶剤に上記の特定の構造を有するポリフェノール化合物(A)、化合物(B)、酸発生剤(C)、及び必要に応じてその他の添加剤を均一に混合することにより調製される。
レジスト組成分中の溶剤量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には、溶剤は、レジスト組成物の固形分濃度が好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明に係るパターン形成方法は、
(i)本発明に係るポジ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、EUV、又はX線で露光後、加熱、現像する工程、
を含むことを特徴とする。
(i)本発明に係るポジ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程
本工程においては、まず、上記のポジ型レジスト組成物を基板上に塗布する。
塗布方法は、基板表面に当該ポジ型レジスト組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スプレー法、ロールコート法、回転塗布等の各種方法を用いることができる。
プリベークの温度は、当該組成物の成分、使用割合、有機溶剤の種類等により適宜決めればよく、通常、50〜160℃、好ましくは60〜150℃である。また、プリベーク時間は、通常、30秒〜15分程度である。
本工程においては、まず、前記レジスト膜を、例えば、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターン形状を有するマスクを介した露光、又は当該マスクを介さない電子線の直接照射による描画等により、選択的に露光を行う。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺同浸漬法等が挙げられる。
また、ポリフェノール化合物A1、A2、A4、比較用フェノール化合物1及び2は、以下の製品を用いた。
ポリフェノール化合物A3、A5及び化合物Bは、後述する製造例に示す方法で合成した。
ポリフェノール化合物(A1):東京化成工業(株)製、α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン
ポリフェノール化合物(A2):丸善石油化学(株)製、マルカリンカーMS1、重量平均分子量2100
ポリフェノール化合物(A4):シグマ‐アルドリッチ社製、C−メチルカリックス[4]レゾルシンアレン
フェノール化合物(1):東京化成工業(株)製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
フェノール化合物(2):丸善石油化学(株)製、マルカリンカーMS2、重量平均分子量4800
ポリフェノール化合物(A3)の合成
C−メチルカリックス[4]レゾルシンアレン2.7g(5mmol、シグマ‐アルドリッチ社製)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.12g(0.1mmol)及びアセトン(20mL)からなる溶液に、6.2mL(28mmol)のビス(tert‐ブトキシカルボニル)オキシドを滴下した。反応液を60分間室温で攪拌し溶液を蒸発させた。展開溶媒としてヘキサン/酢酸エチル=1/1の混合溶媒を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製することでフェノール性水酸基がtert−ブトキシカルボニル基で置換されたポリフェノール化合物(A3)を95%の収率で得た。1H及び13C−NMRスペクトルから、全フェノール性水酸基に対する保護率は68%であった。
ポリフェノール化合物(A5)の合成
3−メトキシフェノール12.4g(0.1mol)をエタノール200mLに溶解した。これを氷浴下で冷却しながら2,4−ジメチルベンズアルデヒド13.4g(0.1mol)を加え、次いで、濃塩酸25mLをゆっくりと滴下し、75℃で12時間反応させた。反応終了後、反応溶液を蒸留水500mL中に注ぎ込み、生じた沈殿(黄色固体)をろ過した後、中性になるまで蒸留水で洗浄した。ろ別した固体をエタノールにて再結晶を行い、白色のポリフェノール化合物(A5)15.62g(16.3mmol、収率65%)を得た。尚、構造確認は、Electrospray Ionization Mass Spectrometry(ESI−MS)、1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルより行った。
化合物Bの合成
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0g、3.26mmol)のNMP溶液(20mL)にK2CO3(2.76g、20.0mmol)と2−クロロエチルビニルエーテル(1.25g、11.74mmol)を加え、窒素雰囲気下、75℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を蒸留水中に投入し沈殿物を得た。また、それをアセトンに溶解させ、蒸留水に再沈殿を行い白色の個体を得た。得られた個体を80℃で12時間真空乾燥することで下記化学式29に示す化合物B(1.62g、収率96%)を得た。
レジスト組成物の調整
ポリフェノール化合物A1と、その固形分量に対して、10質量%のトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(酸発生剤)と、40質量%の化合物B(架橋剤)と、1質量%のトリ−n−オクチルアミン(塩基性化合物)とをシクロペンタノン8.9gに溶解し、固形分濃度が10.6質量%の溶液を調整した。この溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾別し、実施例1のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をポリフェノール化合物(A2)とし、化合物Bの含有量を30質量%、固形分濃度を9.9質量%とした以外は実施例1と同様にして、参考例1のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をポリフェノール化合物(A3)とし、化合物Bの含有量を10質量%、固形分濃度を8.5質量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例3のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をポリフェノール化合物(A4)とし、化合物Bの含有量を30質量%、固形分濃度を9.9質量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例4のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をポリフェノール化合物(A5)とし、化合物Bの含有量を30質量%、固形分濃度を9.9質量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例5のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をフェノール化合物(1)とした以外は実施例1と同様にして、比較例1のポジ型レジスト組成物を得た。
実施例1において、ポリフェノール化合物(A1)をポリフェノール化合物(2)とし、化合物Bの含有量を30質量%、固形分濃度を9.9質量%とした以外は実施例1と同様にして、比較例2のポジ型レジスト組成物を得た。
ポリフェノール化合物(A3)と、その固形分量に対して、10質量%のトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(酸発生剤)と、1質量%のトリ−n−オクチルアミン(塩基性化合物)とをシクロペンタノン9.2gに溶解し、固形分濃度が7.8質量%の溶液を調整した。この溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾別し、比較例3のポジ型レジスト組成物を得た。
上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたレジスト組成物をそれぞれ用いて、以下に示す方法でレジストパターンを作成した。
(1)レジストの塗布
各レジスト組成物を、6インチシリコン基板上にスピンナーを用いて、均一に塗布し、120℃で120秒間プリベーク処理(PAB)を行い、膜厚300nmのレジスト膜を形成した。
(2)レジストパターンの作成
(1)で得られたレジスト膜に対し、電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画を行った。
描画終了後、100℃で60秒間ベーク処理(PEB)を施した後、2.38質量%のTMAH水溶液(23℃)で30秒間現像処理し、純水にて60秒間リンス処理を行い、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。
上記実施例1、3〜5、参考例1及び比較例1〜3のレジスト組成物を用いて得られたレジストパターンそれぞれに対し、以下の1及び2の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中、参考例1及び比較例2のフェノール化合物の分子量は重量平均分子量を表す。ポリフェノール化合物(A3)の分子量は保護率68%の平均分子量を表す。
1.感度及び解像力
感度はライン幅300nm(ライン/スペース=1:1)に形成される最少照射量を感度としてμC/cm2単位で測定した。また、その照射量における限界解像力(ライン及びスペースが分離解像)を解像力とした。解像性の確認は、測長SEM(ホロン社製)により判断した。
2.パターン強度
パターン強度は、ライン幅100nm(ライン/スペース=1:1)の部分を側長SEM(ホロン社製)にて3μm四方で観察し、その視野におけるパターンの倒壊数にて判断した。
A:パターンの倒壊が無い
B:パターンの倒壊が1〜4本
C:パターンの倒壊が5本以上
実施例1と比較例1は、ポリフェノール化合物Aの分子量の下限を検討したものである。比較例1は、レジスト膜形成時に結晶化してしまいパターンを得ることができなかった。
参考例1と比較例2は、ポリフェノール化合物Aの分子量の上限を検討したものである。
比較例2では分子量が大きすぎたため現像時に膨潤が生じ、良好なパターンが得られなかった。
実施例3と比較例3は、化合物B(架橋剤)の影響を検討したものである。
比較例3では、強度が足りなくパターンの倒壊が観察されたが、実施例3では化合物Bの添加によりパターン強度が増し、改善が見られた。
その他、実施例4及び5は、化合物Bを添加しているため、優れたパターン強度が得られた。
Claims (6)
- (A)下記化学式(2)で表される化合物及び下記化学式(7)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つである、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜4000のポリフェノール化合物、
(B)前記フェノール性水酸基と反応し酸の作用により分解可能な架橋結合を形成し得る反応性官能基を1分子中に2個以上有する、下記化学式(1)で表される化合物、及び、
(C)波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤、
を含有し、前記ポリフェノール化合物(A)の含有量が、ポジ型レジスト組成物の固形分全量に対して、50〜99.5質量%であることを特徴とする、半導体素子のパターン形成用ポジ型レジスト組成物。
R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR1が結合して環を形成してもよい。複数のR2が結合して環を形成してもよい。複数のR3が結合して環を形成してもよい。複数のR4が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR1、R2、R3及びR4は互いに同じであっても異なっていても良い。
R5及びR6は、各々独立に、水素原子又は有機基を表し、複数あるR5及びR6は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR5及びR6のうち少なくとも2つは水素原子である。
Wは単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基及びこれらの任意の組み合わせからなる基を表す。
x1は正の整数を表す。
yは0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、yは0でありかつx1は2である。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
m1、m3、及びm4は各々独立して正の整数を表す。
m2及びm5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、m1+m2+z=5、m3+v=3、m4+m5=5、m2+m5≧2を満たす。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び下記化学式(8)に示す基からなる群より選ばれる基である。
R10は、各々独立に、水素原子又は有機基を表し、複数あるR10のうち少なくとも2つは水素原子である。
R11は、水素原子、若しくはハロゲン原子又は水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、シアノ基、アミノ基、及びニトロ基からなる群より選ばれる基である。
m6は0〜2の整数である。
m7は0〜2の整数である。
x2は3〜12の整数を表す。また、化学式(7)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じであっても異なっていても良い。
- 前記化学式(2)で表される化合物が下記化学式(3)〜(5)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子のパターン形成用ポジ型レジスト組成物。
R1、R2、R5、R6、x1、z、m1及びm2は、化学式(2)におけるそれらと同義である。
R7は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR7が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR7は互いに同じであっても異なっていても良い。
uは正の整数を表す。ただしu+x1=3である。
rは正の整数を表す。
W0はアリーレン基を表す。
W1は単結合、アルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。
Tは下記化学式(6)で表される構造を有する基を表す。
- 1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有し、下記化学式(12)で表される繰り返し単位を含み、且つ任意のビニルモノマーから誘導される下記化学式(13)で表される繰り返し単位D’を含んでいてもよい、アルカリ現像液への溶解性を有する樹脂(D)を更に含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体素子のパターン形成用ポジ型レジスト組成物。
- 有機塩基性化合物(E)を更に含有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体素子のパターン形成用ポジ型レジスト組成物。
- (i)(A)フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する分子量300〜4000のポリフェノール化合物、
(B)前記フェノール性水酸基と反応し酸の作用により分解可能な架橋結合を形成し得る反応性官能基を1分子中に2個以上有する、下記化学式(1)で表される化合物、及び、
(C)波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤、
を含有する、ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、EUV、又はX線で露光し、加熱、現像する工程、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
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