JP5943301B2 - ネガ型レジスト組成物、並びに、当該レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われており、現在用いられているKrFエキシマレーザー光に加え、ArF、F2、EUV、X線、電子線やその他の荷電粒子線等を露光光として用いたリソグラフィーが提案されている。
これらに対するレジスト材料としては、感度の向上を目的として、酸の触媒反応を利用した化学増幅型感光性組成物が用いられている。ネガ型の化学増幅型感光性組成物は、通常、レジスト基質となるアルカリ可溶性樹脂に、光の照射によって酸を発生する酸発生剤成分と架橋剤、塩基性化合物等を含有している。かかる感光性組成物は、露光により酸発生剤成分から発生した酸の作用により樹脂と架橋剤との間で架橋が生じ、アルカリ可溶性からアルカリ不溶性に変化する。また、架橋反応の際に生じる酸が触媒的に反応を繰り返すことで、より少ない照射量でのパターン露光が可能となる。一方で、化学増幅型の感光性組成物においては、感度と解像力、LERは相反関係にあり、これらを如何に両立し得るかが課題である。
特許文献1には、アルカリ現像性と架橋性を有するポリマーを含むネガ型レジスト組成物が開示されている。しかしながら、アルカリ現像性と架橋性を有するポリマーを用いる場合、現像時に膨潤が生じ易く、膨潤によるパターン倒れやパターンのうねりにより、低LERの微細パターンは形成できなかった。
また、特許文献2には、アルカリ可溶性ポリマーに、光照射により酸を発生するオニウム塩化合物又は中性化合物と、酸により励起されてレジスト膜のアルカリ溶解性を低下させる反応をし得るアルコール構造を有する化合物とを組み合わせたネガ型レジスト組成物が開示されている。
しかしながら、このようにレジスト基質としてアルカリ可溶性ポリマーを用いると、レジスト基質の分子量が大きく且つ分子量分布が広いため、解像力やLERの低減には限界がある。
例えば、低分子材料を用いた上記特許文献5のレジスト組成物では、高感度且つ高解像力で、低LERのパターンを得ることができるものの、感度マージンが小さいという課題があった。
(i)本発明に係るネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、加熱、現像する工程、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高感度且つ高解像力で、低LERのパターンを、向上した感度マージンを有した状態で形成することができる。
I.ネガ型レジスト組成物
本発明のネガ型レジスト組成物は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量400〜2500のフェノール性化合物(A)、沸点が150℃以上の、3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)、及び酸発生剤(C)を含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70重量%以上であることを特徴とする。
本発明のネガ型レジスト組成物は、このように化学増幅型のレジスト組成物であるため、高感度を達成できる。また、比較的低分子のレジスト基質をレジスト組成物の固形分含有量が高い状態で用いるため、解像力も高くなる。
それに対して、上記特定のフェノール性化合物(A)と上記特定の3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)と酸発生剤(C)とを組み合わせた組成物は、上記特定の3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)の作用により、低い照射量の領域で、架橋率が向上したり、アルカリ溶解性が低減しやすくなり像形成能が向上して、感度マージンが向上すると推定される。このような感度マージンが向上する効果は、従来の低分子ポリフェノール化合物と架橋剤と酸発生剤を含む組成物に、上記特定の3級アルコール性水酸基を有する化合物を添加しても見られなかった(後述する比較例4)。
感度マージンが大きいレジスト組成物は、照射量が数%程度などずれても線幅が大きく変わらないため、プロセス管理上使用し易いレジスト組成物となる。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する、分子量400〜2500の化合物である。当該フェノール性化合物(A)の分子量を上記範囲内とすることにより、高解像で低LERが図れる。
なお、本発明において、「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン等の芳香環に直接結合された水酸基を意味する。
濃度2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃)に対する現像速度が0.5nm/sec以上であるものを選択して用いることが好ましく、更に1.0nm/sec以上であるものを選択して用いることが好ましい。当該アルカリ可溶性樹脂のアルカリ現像速度を上記範囲内とすることにより、パターン形状の向上及び高感度化が図れる。
本発明において用いられるフェノール性化合物(A)の分子量としては、中でも、500〜2500であることが好ましく、更に600〜2000であることが、成膜性および解像性の点から好ましい。
R2は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基であり、複数あるR2のうち、1分子中少なくとも2個は水素原子である。R3は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれる基である。
n1は1〜3の整数、n2は0〜2の整数を表す。但し、n1+n2≦4となる組み合わせをn1及びn2の数値範囲から選択するものとする。x1は3〜12の整数を表す。
但し、R1及び/又はR3において、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する。
また、化学式(1)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じでも異なっていてもよい。]
R6、R7、R8及びR9は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基、或いは、これらの組み合わせからなる基を表す。複数のR6が結合して環を形成してもよい。複数のR7が結合して環を形成してもよい。複数のR8が結合して環を形成してもよい。複数のR9が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR6、R7、R8及びR9は互いに同じであっても異なっていても良い。
R10及びR11は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、複数あるR10及びR11は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR10及びR11のうち少なくとも2つは水素原子である。更に、R6、R7、及び/又はR9において、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する。
Wは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、又は、ヘテロ原子を含んでいてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基、或いは、これらの任意の組み合わせからなる基を表す。複数あるWは互いに同じであっても異なっていても良い。
x2は正の整数を表す。
y1は0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、y1は0である。
y2は0以上の整数を表し、y3は正の整数を表す。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
k1及びk4は正の整数を表す。
k2、k3、及びk5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、k1+k2+z=5、k3+v=3、k4+k5=5、k2+k5≧2を満たす。)
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
アリール基が有する置換基としてのシクロアルキル基は、上記のシクロアルキル基と同様のものが挙げられる。また、当該シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、特に制限はないが、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリール基が有する置換基としての炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、及びアルコキシメチル基は、上記で示したとおりである。
上記化学式(2)中、R4及びR5のいずれも水素原子である場合が好適に用いられる。
ル基が挙げられる。
R2のアルキル基としては、上記R1と同様のものが挙げられる。R2のアルキル基の有する置換基としては、上記R1のものと同様のものが挙げられる。
また、R2のシクロアルキル基、及びシクロアルキル基の有する置換基としては、上記R1のものと同様のものとすることができる。更に、R2のアリール基、及びアリール基が有する置換基としては、上記R1のものと同様のものとすることができる。
R3のハロゲン原子、アルキル基としては、上記R1と同様のものが挙げられる。
R3としてのアルキル基が有する置換基は、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
また、R3のアルコキシ基としては、上記R1と同様のものが挙げられる。
また、上記化学式(1)で表される化合物においては、高感度、且つ、高解像力で形状が良好なパターンを得る点から、中でも、x1が4で、n1が2であることが好ましく、更にx1が4で、n1が2の、8個のR2のうち水素原子が0〜8個のカリックスレゾルシンアレン誘導体であって、且つ、R1に、フェノール性水酸基と、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を含むアリール基を有することが好ましい。
R6、R7、R8及びR9におけるシクロアルキル基としては、単環、多環どちらでもよい。例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
R6、R7、R8及びR9におけるアリール基としては、上記R1と同様であって良い。
また、R6、R7、R8及びR9におけるヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基としては、上記と同様であって良い。
なお、上記化学式(3)で表される化合物において、R6は(x2)が2以上の整数の場合は(x2)価となる。
Wにおけるシクロアルキレン基は、単環、多環どちらでもよく、環を形成するアルキレン基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、さらに置換基を有していてよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
Wにおける環状のアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
また、下記式中、Lは、各々独立に、水素原子、又は、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基であり、1分子中少なくとも1つのLは、フェノール性水酸基のオルト位に存在するヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基である。また、分子量は、400〜2500を満たすものとする。
しかしながら、本発明に係るネガ型レジスト組成物において、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が90重量%以上であることが、低LERを向上する点から好ましい。フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が92重量%以上であることが更に好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。
フェノール性化合物(A)として、構造式が同じ化合物の純度が高いものを用いると、現像の進行が均一となるため、LERが低減されると推定される。
但し、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が90重量%未満であっても、不純物の構造がフェノール性化合物(A)に類似しており、相溶性が良好な場合には好適に用いることができる。
なお、本発明において、固形分とは、ネガ型レジスト組成物中に含まれる成分のうち有機溶剤以外のものを意味する。
本発明において用いられる、沸点が150℃以上の3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)は、少なくとも1つの3級アルコール性水酸基を有する化合物であって、沸点が150℃以上のものである。ここで「アルコール性水酸基」とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外のものであれば良い。「3級アルコール性水酸基」とは、上記アルコール性水酸基のうち、水酸基が置換している炭素原子が第3級炭素原子(他の3個の炭素原子と結合した炭素原子)である水酸基をいう。また、「沸点」とは、圧力1atmのもとでの沸点をいう。
本発明のレジスト組成物において、上記特定の3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)は、3級アルコール性水酸基の作用により、低照射量であっても、レジスト組成物の架橋率の向上や、アルカリ水溶液への溶解性の低減に寄与して、像形成能を向上し、感度マージンを向上する作用を有すると考えられる。
また、ネガ型レジスト組成物のプリベーク温度は、通常80〜150℃程度、より好ましくは90〜130℃程度だが、上記3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)の沸点が150℃以上であるため、プリベークによる化合物(B)の揮発を抑制でき、感度マージン向上の効果を安定して得ることができる。3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)の沸点は、中でも180℃以上であることが好ましい。
Rc及びRdは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、例えば、環状又は鎖状の飽和又は不飽和アルキル基、及びアリール基よりなる群から選択される1種以上が挙げられる。中でも好ましくは炭素数1〜9の環状又は鎖状の飽和又は不飽和アルキル基であり、上記と同様であってよい。環状アルキル基としては、後述の脂環式アルコールに含まれる環状アルキル基と同様であってよく、アリール基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
Xは、単結合、置換又は無置換の、炭素数1〜6の直鎖又は分鎖のアルキレン、炭素数6〜15のフェニレン、アリーレン、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−S−S−、−O−、−NH2−、及びそれらの組み合わせからなる基を表す。YはCH、N、又はC(OH)を表す。
その配合量は、前記フェノール性化合物(A)100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは2〜25重量部、よりさらに好ましくは5〜20重量部である。この範囲よりも少なくなると感度マージンの向上に寄与し難く、多くなると、解像力やLERを悪化させる恐れがある。
従って、3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、2〜25重量%であることが好ましく、更に5〜20重量%であることが好ましい。
本発明のネガ型レジスト組成物において、酸発生剤は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。本発明においては、中でも、微細加工が可能になる点から、波長248nm以下の活性エネルギー線を照射することで直接又は間接的に酸を発生する酸発生剤が好適に用いられる。
その配合量は、前記フェノール性化合物(A)100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜25重量部、よりさらに好ましくは5〜20重量部である。この範囲よりも少なくなると像形成ができず、多くなると、均一な溶液とならず、保存安定性が低下する。
従って、当該酸発生剤(C)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、2〜25重量%であることが好ましく、更に5〜20重量%であることが好ましい。
本発明のネガ型レジスト組成物は、レジスト膜中で発生した酸の拡散を制御し、未露光部での好ましくない化学反応を制御するために、更に、有機塩基性化合物を含有してもよい。更に、有機塩基性化合物を含有することにより、レジストパターン形状、保管状態での経時安定性などを向上させることができる。有機塩基性化合物としては、公知の有機塩基性化合物の中から任意のものを選択して使用することができる。
また、含窒素複素環式化合物としては、例えば、2,4,5−トリフェニルイミダゾール等のイミダゾール類;2−メチル−4−フェニルピリジン等のピリジン類;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の有機塩基性化合物としては、例えば、特開2008−145539号公報の段落0106〜段落0121に記載されている有機塩基性化合物を用いることができる。
本発明のネガ型レジスト組成物は、上記特定のフェノール性化合物(A)を用いるため、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基を有しないフェノール性化合物を含む必要がない。ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基を有しないフェノール性化合物等、本願の上記フェノール性化合物(A)に該当しないフェノール性化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で含んでも良いが、低LERの点から含まないことが好ましい。
また、本発明のネガ型レジスト組成物は、上記特定のフェノール性化合物(A)を用いるため、従来用いられていた架橋剤を別途含む必要がない。このような架橋剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいても良いが、低LERの点から含まないことが好ましい。
本発明に係るネガ型レジスト組成物は、通常、有機溶剤に上記のフェノール性化合物(A)、酸発生剤(C)、及び必要に応じてその他の添加剤を均一に混合することにより調製される。
レジスト組成分中の溶剤量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には、溶剤は、レジスト組成物の固形分濃度が好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明に係るレジストパターンの製造方法は、
(i)本発明に係るネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、加熱、現像する工程、
を含むことを特徴とする。
(i)本発明に係るネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程
本工程においては、まず、上記のネガ型レジスト組成物を基板上に塗布する。
塗布方法は、基板表面に当該ネガ型レジスト組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スプレー法、ロールコート法、スリットコート法、回転塗布等の各種方法を用いることができる。
プリベークの温度は、当該組成物の成分、使用割合、有機溶剤(F)の種類等により適宜決めればよく、通常、80〜150℃、好ましくは90〜130℃である。また、プリベーク時間は、通常、30秒〜15分程度である。
本工程においては、まず、前記レジスト膜を、例えば、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターン形状を有するマスクを介した露光、又は当該マスクを介さない電子線の直接照射による描画等により、選択的に露光を行う。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(Extreme Ultraviolet:極紫外線)、電子線、X線、ヘリウムや水素等のイオンビーム等を用いて行うことができる。
次いで露光後に、露光後加熱(Post Exposure Bake、PEB)を行う。PEB処理の条件は、通常、50〜160℃の温度で、0.1〜15分程度の時間である。
次に、上記でPEB処理された基板をアルカリ現像液を用いて現像処理し、露光光の未照射部分を除去する。
現像方法としては、スプレー法、スリット法、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等が挙げられる。
また、本発明のネガ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n‐プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ‐n‐ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジメチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらのアルカリ現像液の中で、好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンの水溶液である。
なお、合成例における、構造及び物性の確認は以下の装置を用いて行った。
MALDI−TOF MS(BRUKER社製REFLEX II)を用いて、以下の条件(マトリックス: 1,8,9−トリヒドロキシアントラセン)により測定を行った。
1H‐NMR:日本電子製、JEOL JNM−LA400WB
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、島津製作所製LC−10ADvpを用いて、以下の条件(温度:40℃、流速:0.5mL/分、カラム:VP−ODS(4.7mm×150mm)、検出器SPD−M10Avp、移動相:アセトニトリル/水)により測定を行った。
<合成例1>
10重量%水酸化カリウム水溶液20mLとエタノール20mLからなる溶液に、下記化学式(11)で表されるフェノール性化合物(母核化合物:Pre−1)(TekOC−4HBPA:本州化学工業株式会社)6.3g(10mmol)を加え、室温で攪拌、溶解した。この溶液に37%ホルマリン水溶液7.0mL(80mmol)を室温下でゆっくりと加えた。更に、窒素雰囲気下、40℃で24時間攪拌した後、ビーカー中の水200mLに投入した。これを氷浴にて冷却しながら2.0wt%酢酸水溶液をpH5.0になるまでゆっくりと加えた。析出物をろ別し、十分に水洗浄した後、乾燥し、ヒドロキシメチル基が導入されたフェノール性化合物の混合物を得た。精製は、高速液体クロマトグラフィーにて行い、下記化学式(12)で表されるフェノール性化合物1(A−1)を5.8g得た。
得られたフェノール性化合物1(A−1)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。分析結果を表1に示す。
前記合成例1において、フェノール性化合物(Pre−1)を用いる代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(東京化成工業株式会社製)3.5g(10mmol)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記化学式(13)で表されるフェノール性化合物2(A−2)を合成した。その結果、白色の化合物を3.9g得た。
得られたフェノール性化合物2(A−2)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。分析結果を表1に示す。
前記合成例1において、フェノール性化合物(Pre−1)を用いる代わりに、下記化学式(14)で表されるフェノール性化合物(Pre−3)(TEOC−DF:旭有機材工業株式会社)4.5g(10mmol)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記化学式(15)で表されるフェノール性化合物3(A−3)を合成した。その結果、白色の化合物を4.3g得た。
得られたフェノール性化合物3(A−3)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。分析結果を表1に示す。
上記化学式(15)で表わされるフェノール性化合物3(A−3)5.7g(1.0mmol)をメタノール250mLに加え、加熱攪拌して、溶解した。この溶液に濃硫酸0.25mLを加え、15時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム1.0gを加えた。この溶液を濃縮した後、酢酸エチルを300mL加えた。この溶液を3回水洗した後、濃縮することにより、下記化学式(16)で表されるフェノール性化合物4(A−4)の白色化合物を4.9g得た。
得られたフェノール性化合物4(A−4)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。分析結果を表1に示す。
窒素雰囲気下、300mL三口フラスコ中、レゾルシノール11.0g(0.1mol)をエタノール400mLに溶解した。これにベンズアルデヒド10.2mL(0.1mol)を加え、次いで、濃塩酸20mLをゆっくりと滴下し、75℃で12時間反応させた。反応後、反応溶液を氷浴にて冷却し、析出した結晶をろ別後、中性になるまで蒸留水で洗浄、乾燥し、淡黄色の下記化学式(17)で表されるフェノール性化合物(Pre−5)を9.2g得た。
前記合成例1において、フェノール性化合物(Pre−1)を用いる代わりに、下記化学式(17)で表されるフェノール性化合物(Pre−5)0.8g(1mmol)を用い、37%ホルマリン水溶液の添加量を0.7mL(8mmoL)、反応温度を5℃に変更した以外は、合成例1と同様にして、下記化学式(18)で表されるフェノール性化合物5(A−5)を合成した。その結果、薄黄色の化合物を0.7g得た。
得られたフェノール性化合物5(A−5)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。分析結果を表1に示す。
下記化学式(19)で表されるフェノール性化合物(Pre−6)は、論文(J. Mater. Chem., 18, 3588 (2008))に記載の合成方法に従い合成した。その結果、白色の固体を5.4g得た。
前記合成例1において、フェノール性化合物(Pre−1)を用いる代わりに、下記化学式(19)で表されるフェノール性化合物(Pre−6)2.1g(1mmol)を用い、37%ホルマリン水溶液の添加量を2.1mL(24mmoL)、反応温度を5℃に変更した以外は、合成例1と同様にして、下記化学式(20)で表されるフェノール性化合物6(A−6)を合成した。その結果、薄黄色の化合物を2.0g得た。
得られたフェノール性化合物6(A−6)の構造確認は、1H‐NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSより行った。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定より求めた。分析結果を表1に示す。
表2に記載の配合量で各成分を添加して均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、実施例1〜16及び比較例1〜4のネガ型レジスト組成物を調製した。比較例4は従来のように、低分子のレジスト基質と架橋剤を混合した例であり、本願のフェノール性化合物(A)には該当しない低分子ポリフェノール化合物に、架橋剤として本願のフェノール性化合物(A)と、更に酸発生剤(C)を組み合わせた例である。
B−1:1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン(沸点300℃超過)
B−2:1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン(沸点300℃超過)
B−3:1−アダマンタノール(沸点300℃超過)
B−4:5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン(沸点300℃超過)
B−5:4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(沸点166℃)
PB−1:1−(4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル)エタノール(2級アルコール)
PB−2:1,4−ベンゼンジメタノール(1級アルコール)
C−1:ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート
C−2:トリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート
D−1:トリベンジルアミン
D−2:トリ−n−オクチルアミン
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
E−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−3:シクロペンタノン
現像液 : テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
上記実施例1〜16及び比較例1〜4で得られたレジスト組成物を用いて、以下に示す方法でレジストパターンを作成し、評価を行った。なお、結果を表3に示す。
各レジスト組成物を、6インチシリコン基板上にスピンナーを用いて、均一に塗布し、120℃で90秒間プリベーク処理(PAB)を行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
上記の各レジスト膜に対し、電子線描画装置(加速電圧100KV)を用いて描画を行った。描画終了後、100℃で90秒間ベーク処理(PEB)を施し、2.38%のTMAH水溶液(23℃)で60秒間現像処理し、さらに純水にて60秒間リンス処理を行い、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。比較例4のみは、2.38%のTMAH水溶液では現像速度が速くパターン形成が困難であったため、0.12%のTMAH水溶液(23℃)で60秒間現像処理した。
(3−1)感度、解像力、ラインエッジラフネス(LER)
感度及びLERは、走査型電子顕微鏡(SEM)(ホロン社製)により測定した。感度は(設計線幅100nmで描画した際に)100nmのL/Sパターンが1:1に形成される最少照射量を感度としてμC/cm2単位で測定した。また、その照射量における限界解像力(ライン及びスペースが分離解像)を解像力とした。LERは、100nmのL/Sパターンの長手方向のエッジ0.7μmの範囲について、ライン幅を500ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
最適照射量の(設計線幅100nmで描画した際に100nmのL/Sパターンが1:1に形成される照射量)の90%の照射量で形成した際、設計線幅(100nm)からの線幅減少率が5%未満の場合を○、5%以上の場合を×とした。
レジスト基質兼架橋剤のフェノール性化合物(A)を70重量%以上用い、且つ、3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)を組み合わせて用いた実施例1〜16のレジスト組成物では、感度マージンが向上することが明らかにされた。
Claims (4)
- フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量400〜2500のフェノール性化合物(A)、沸点が150℃以上の、3級アルコール性水酸基を有する化合物(B)、及び、酸発生剤(C)を含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70重量%以上である、ネガ型レジスト組成物。
- 有機塩基性化合物(D)を更に含有する、請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
- (i)請求項1又は2に記載のネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
(ii)前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、加熱、現像する工程、を含むレジストパターンの製造方法。 - 請求項1又は2に記載のネガ型レジスト組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、電子部品。
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