JP7076458B2 - パターン形成方法、レジスト組成物、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
エキシマレーザー、電子線、又は極紫外光等でレジスト膜を露光して、露光部においてレジスト膜中の光酸発生剤を分解して酸を生成させる。更に、その発生酸を反応触媒として利用し、露光部におけるレジスト膜の可溶性を変化させ、その後、現像液により露光部又は未露光部を除去して画像形成する方法がある。
このような、レジスト膜を厚膜化する場合においては、三次元的な微細加工を実現するために、矩形性に優れたパターンを得られることが求められている。
また、本発明は上記パターン形成方法に用いられるレジスト組成物、及び電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成できることを見出した。
〔2〕 上記レジスト膜が、更に架橋剤を含む、〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕 上記架橋剤が、メトキシメチル基を有する化合物である、〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕 上記メトキシメチル基を有する化合物が、6個以上のメトキシメチル基を有する、〔3〕に記載のパターン形成方法。
〔5〕 上記メトキシメチル基を有する化合物が、フェノール性水酸基を有する、〔3〕又は〔4〕に記載のパターン形成方法。
〔6〕 上記ノボラック樹脂が、酸解離性基を有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕 上記レジスト膜の膜厚が15μm以上である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕 上記レジスト膜が、上記ノボラック樹脂及び上記光酸発生剤を含むレジスト組成物を用いて形成され、
上記レジスト組成物の固形分含有量が、40質量%以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕 上記現像液が、沸点130℃以下のエステル系溶剤を含む、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕 上記現像液が、酢酸ブチルを含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕 上記現像液の温度が30~60℃である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔12〕 上記現像液を、通算にて30秒以上、上記レジスト膜上に供給する、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔13〕 ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含む、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物。
〔14〕 〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
また、本発明によれば、上記パターン形成方法に用いられるレジスト組成物、及び電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における「i線」とは波長365nmの光を意味する。
本明細書において、「沸点」とは、1気圧における沸点を意図する。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー社製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
このようなパターン形成方法で本発明の課題が解決できるメカニズムは必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、ノボラック樹脂を用いることでパターンの耐熱性が向上できていると推測している。そのため、架橋が完了しきっていない段階で現像後の加熱処理を行った場合における、パターン形状の劣化を回避できると考えている。また、有機溶剤を含む現像液で現像を行うことも解像性の劣化を抑制していると考えている。
まず、本発明のパターン形成方法で用いられるレジスト膜について詳述する。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、ノボラック樹脂を含む。また、ノボラック樹脂の含有量は、レジスト膜の全固形分に対して50質量%以上である。
以下、ノボラック樹脂について説明する。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、フェノール類としては、パターンの矩形性がより優れる点から、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、又は2-tert-ブチル-5-メチルフェノールが好ましく、m-クレゾール又はp-クレゾールがより好ましい。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、工業的に入手しやすいことから、ホルムアルデヒドが好ましい。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
触媒の使用量は、アルデヒド類1モルに対して、0.01~1モルが好ましい。
なお、本明細書において、このように酸解離性基を導入されたノボラック樹脂の誘導体も、ノボラック樹脂に含まれる。
なお、上記に例示した酸解離性基における「-」は結合手を表す。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
R36~R39、R01、及びR02のシクロアルキル基は、単環でも、多環でもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3~12のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1個の炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36~R39、R01、及びR02のアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
R36~R39、R01、及びR02のアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等が挙げられる。
R36~R39、R01、及びR02のアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等が挙げられる。
R36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)であるのが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
アセタール基は、通常、*-O-CH(Rxa)-O-Rxbで表される。
ここで、Rxa及びRxbは、それぞれ独立して炭素数1~18の1価の飽和炭化水素基を表し、*はフェノール基のベンゼン環への結合位置を表す。
炭素数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基が挙げられる。
炭素数3~12のシクロアルキル基としては、単環及び多環のいずれでもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、及びノルボルニル基等が挙げられる。
中でも、アセタール基は、Rxaがtert-ブチル基であって、Rxbがシクロへキシル基であるのが好ましい。
保護率が5モル%(より好ましくは10モル%、更に好ましくは20モル%)以上であれば、未露光部においてレジスト膜の有機溶剤に対する溶解性がより優れる。
保護率80モル%(より好ましくは60モル%)以下であれば、後述する架橋剤を使用した場合において、架橋剤による架橋反応がより十分に進行する。
この範囲内であれば、このノボラック樹脂を用いたレジスト組成物でのパターン形成後の解像性、残膜率、及び耐熱性がより良好となる。酸解離性基の導入割合は、例えば、TG-DTA(熱重量示差熱分析)装置を使用し、得られた結果から、酸の作用により開裂し得る基に対応する重量減少より計算できる。TG-DTA測定は、昇温速度10℃/分で行うのが好ましい。
中でも、レジスト膜のノボラック樹脂の含有量は、レジスト膜の全固形分に対して、50~80質量%が好ましく、55~75質量%がより好ましく、60~70質量%が更に好ましい。
なお、本明細書において、レジスト膜の全固形分とは、レジスト膜が含み得る溶剤を除く、レジスト膜中の他の全成分を意図する。
ノボラック樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、更にi線露光によって酸を発生する光酸発生剤(以下、単に「光酸発生剤」ともいう)を含む。
なお、光酸発生剤の分解率は以下の方法で求められる。
まず、測定対象となる光酸発生剤と、マトリックスである上記一般式(N)で表されるノボラック樹脂(m-クレゾール/p-クレゾール=50/50、重量平均分子量:3000)とを、1/99の比率(光酸発生剤/マトリックス(質量比))で含むレジスト膜を、膜厚30μmでシリコンウエハ(厚さ:725μm)上に成膜する。上記シリコンウエハを、100℃で120秒間加熱し、その後、i線で1000mJ/cm2露光し、130℃で60秒間加熱する。その後、上記シリコンウエハを、メタノール/THF(テトラヒドロフラン)=50/50溶液(質量比)に超音波を当てながら10分浸漬させる。抽出物を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて分析し、得られる結果を以下の式に当てはめて、光酸発生剤の分解率を求められる。
分解率(%)=発生酸量(mol)/(発生酸量(mol)+光酸発生剤量(mol))×100
光酸発生剤のi線に対するモル吸光係数が、100L/(mol・cm)以上であれば、光酸発生剤がi線に対して良好な光官能性を示し、10000L/(mol・cm)以下であれば、厚膜のレジスト膜であっても深部における酸発生量を確保できる。
なお、光酸発生剤のモル吸光係数は、公知の方法で測定できる。具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry-5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定するのが好ましい。
中でも、光酸発生剤は、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。
トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアリールヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩、及びジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落<0083>~<0084>、及び<0086>~<0088>に記載の化合物が例示できる。
トリアリールスルホニウム塩としては、中でも、下記一般式(S)で表されるトリアリールスルホニウム塩が好ましい。
m2は、0~4の整数を表す。中でも、m2は、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0~1が更に好ましく、0が特に好ましい。
X-は,一価の多原子アニオンであるということ以外には制限がないが、例えば、PYa -、(Rf)bPF6-b -、R5 cGaY4-c -、R6SO3 -、(R6SO2)3C-、及び(R6SO2)2N-で表されるアニオンが挙げられる。
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1~8のアルキル基)を表す。
光酸発生剤としてはオキシムスルホネート化合物も好ましい。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート基を有する化合物としては、下記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート基を有する化合物が好ましい。
R21のアリール基としては、炭素数6~11のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、低級アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されてもよい。
Xのハロゲン原子は、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
m4は、0又は1が好ましい。中でも、上記一般式(B2)中、m4が1であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R42が炭素数1~10の直鎖状アルキル基、7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニルメチル基、又はp-トルイル基である化合物が好ましい。
X1としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
n4としては、0~2が好ましく、0~1がより好ましい。
R1のアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基等)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、及びヘテロ環基が挙げられる。また、これらの基はさらに、置換基によって置換されていてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子又はメチル基が好ましい。
かさ高い置換基の中でも、イソプロピル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、又はシクロヘキシル基が好ましく、tert-ブチル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
アリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましい。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、p-トルイル基(p-メチルフェニル基)が挙げられ、フェニル基又はp-トルイル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール基、インドール基、カルバゾール基、フラン基、及びチオフェン基が挙げられる。
R2で表されるアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、R1が表すアルキル基等が有し得る置換基を同様に挙げられる。
R2は、アルキル基又はアリール基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。フェニル基の置換基としてはメチル基が好ましい。
R3~R6のうち、R3とR4、R4とR5、又はR5とR6とが結合して環を形成していてもよく、環としては、脂環又は芳香環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
R3~R6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、若しくはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)であるのが好ましく、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であるのがより好ましい。
また、R3とR4、R4とR5、若しくはR5とR6が結合してベンゼン環を構成しているのも好ましい。
より具体的な、R3~R6の好ましい態様は以下の通りである。
(態様1)少なくとも1個(より好ましくは2個以上)が水素原子である。
(態様2)アルキル基、アリール基、及びハロゲン原子の数が、合計で3個以下(より好ましくは1個以下)である。
(態様3)R3とR4、R4とR5、又はR5とR6とが結合してベンゼン環を構成している。
(態様4)上記態様1と2とを満たす態様、及び/又は、上記態様1と3とを満たす態様。
光酸発生剤としてはイミドスルホネート化合物も好ましい。
イミドスルホネート化合物が有するイミドスルホネート基としては、5員環イミドスルホネート基が好ましい。また、イミドスルホネート化合物は、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
アルケニレン基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、環状が好ましい。アルケニレン基の炭素数は、2~12が好ましく、3~12がより好ましく、3~8が更に好ましい。
アリーレン基の炭素数は、6~18が好ましく、6~12がより好ましい。
イミドスルホネート化合物は、5員環イミドスルホネート基と、ノルボルネン基とを有する化合物であるのが好ましい。
その他のイミドスルホネート基を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられる。
光酸発生剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、更に架橋剤を含むのが好ましい。
架橋剤が、分子内に架橋性基を、2個以上有するのが好ましく、4個以上有するのがより好ましく、6個以上有するのが好ましい。
つまり、架橋剤が、分子内にメトキシメチル基を、2個以上有するのが好ましく、4個以上有するのがより好ましく、6個以上有するのが更に好ましい。
架橋剤が分子内に有する架橋性基(好ましくはメトキシメチル基)の数の上限は特に制限されないが、10個以下が一般的である。
このようにして合成されたフェノール誘導体のうち、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体が感度、及び保存安定性の点から好ましい。
中でも、L1~L8は、それぞれ独立に、メトキシメチル基であるのが好ましい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、更に酸拡散制御剤を含むのが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における反応を抑制するクエンチャーとして作用する。例えば、塩基性化合物(DA)、露光により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用できる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落<0627>~<0664>、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落<0095>~<0187>、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落<0403>~<0423>、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落<0259>~<0328>に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤として好適に使用できる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、ヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数2)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205、及びR206は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であるのがより好ましい。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認できる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、露光により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行える。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-X-は、-COO-、-SO3 -、-SO2 -、及び-N--R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-C(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、及びスルフィニル基(-S(=O)-)のうち少なくとも1個を有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、及びL1は、互いに結合して環を形成してもよい。また、一般式(C-3)において、R1~R3のうち2個を合わせて1個の2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表される。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に結合して環を形成していてもよい。
Rbが表すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、それぞれ独立に水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが表すアルコキシアルキル基についても同様である。
2個のRbが互いに結合して形成する環としては、脂環炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落<0466>に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。lが2の場合、2個のRaは同じでも異なっていてもよく、2個のRaは互いに結合して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、それぞれ独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落<0475>に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落<0203>に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
酸拡散制御剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、レジスト膜の全固形分に対して、0.05~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、界面活性剤を含むのが好ましい界面活性剤を含む場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落<0276>に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落<0280>に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤も使用できる。
本発明の組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、レジスト膜の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト膜は、更に、ノボラック樹脂以外の樹脂、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、溶解阻止剤、又は溶解促進剤等を含んでいてもよい。
レジスト膜は、上述した成分を溶剤中に分散させて得られるレジスト組成物を用いて形成されるのが好ましい。
レジスト組成物は、少なくともノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含むのが好ましい。
以下に、レジスト組成物の調製に使用される溶剤について説明する。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト組成物においては、公知の溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落<0665>~<0670>、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落<0210>~<0235>、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落<0424>~<0426>、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落<0357>~<0366>に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。
また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキルが好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むのが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト組成物の固形分含有量は、40質量%以上が好ましく、40~60質量%がより好ましく、45~55質量%が更に好ましい。
なお、固形分含有量とは、レジスト組成物の全質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。
なお、粘度は、25℃で、E型粘度計により測定できる。
支持体は、特に限定されず、IC(Integrated Circuit)等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板も使用できる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO2、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
本発明のパターン形成方法で使用されるレジスト組成物は、i線の照射により反応して性質が変化するレジスト組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用されるレジスト組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
以下、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法で形成されるパターンは、典型的にはネガ型パターンである。
形成されるパターンの膜厚は、加工段数を増やす目的として、15μm以上が好ましく、16μm以上がより好ましく、18μm以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。
(i)支持体上に形成されたレジスト膜を、i線を用いて露光する工程(露光工程)、及び、
(ii)上記露光されたレジスト膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程(現像工程)、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、(i)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(i)露光工程の前に、(iii)前加熱(PB:PreBake)工程を含むのが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(i)露光工程の後、かつ、(ii)現像工程の前に、(iv)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むのが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)現像工程の後に、後述のリンス工程を行うことなく(v)現像後加熱工程を実施するのも好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(i)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iii)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)現像後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
加熱時間は、(iii)前加熱工程(iv)露光後加熱工程、及び(v)現像後加熱工程のいずれにおいても、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~150秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で実施でき、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
なお、露光工程に用いられる光源はパターン形成に支障のない範囲で他の波長の光を含んでいてもよい。
また、有機系現像液は、エステル系溶剤であるのが好ましく、沸点130℃以下のエステル系溶剤であるのが好ましく、酢酸ブチルであるのが更に好ましい。
現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全質量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
中でも現像方法としては、パドル法又はスプレー法が好ましく、スプレー法がより好ましい。
ここで、ダイナミックディスペンス法におけるスキャンとは、基板の回転中心を通る線上で吐出ノズルを往復移動させることをいう。
スプレー法における噴霧とは、シャワー状に現像液を吐出することを含む。また、スプレー法において現像液を吐出する際に、基板を回転させていてもよい。
なお、「現像液がレジスト膜上に供給される」時間は、現像工程において現像液がレジスト膜上に新たに供給される時間を意図する。さらに、複数回にわたって現像液がレジスト膜上に供給される場合は、それら複数回の合計の時間を意図する。
ケトン系溶剤及びエステル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したのと同様の溶剤が挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含むリンス液も好ましい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすれば、良好な現像特性が得られる。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000~5,000rpm(revolution per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去するのが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40~160℃であり、70~95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒~3分であり、30秒~90秒が好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着材としては、例えば、特開2016-206500号公報に開示されるフィルターが挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、及び装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば特開平3-270227号公報及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に、実施例又は比較例で使用したレジスト組成物に含まれる各種成分を示す。
・ノボラック樹脂(N-1)
ノボラック樹脂EP6050G(旭有機材工業社製、m-クレゾール/p-クレゾール=40/60(質量比)、重量平均分子量:2500~4000(カタログ値))のフェノール性水酸基をアセタール化し、下記一般式(A)で表される基を結合させて、下記構造式に示されるノボラック樹脂(N-1)を得た。
*は結合位置を示す。
ノボラック樹脂(N-1)のアセタール化率(保護率)は30モル%であった。なお、アセタール化率は、下記ノボラック樹脂の構造式中のXの値に相当する。つまり、アセタール化率が30モル%であるノボラック樹脂(N-1)は、下記構造式のXが30モル%である場合に相当する。
より具体的には、ノボラック樹脂EP6050G(10.0g)をテトラヒドロフラン(THF)(60g)に溶解して得た混合溶液に、トリエチルアミン(9.00g)を加え、氷水浴中で撹拌した。この混合溶液に、下記に示すクロロエーテル化合物(12.50g)を滴下し、氷水浴中で4時間撹拌した。
ノボラック樹脂EPR5030G(旭有機材工業社製、m-クレゾール/p-クレゾール=50/50(質量比)、重量平均分子量:4000~6500(カタログ値))を、ノボラック樹脂(N-1)と同様にアセタール化し、上記一般式(A)で表される基を結合させて、ノボラック樹脂(N-2)を得た。
アセタール化率は32モル%であった。
ノボラック樹脂EP4080G(旭有機材工業社製、m-クレゾール/p-クレゾール=60/40(質量比)、重量平均分子量:4000~6000(カタログ値))を、ノボラック樹脂(N-1)と同様にアセタール化し、上記一般式(A)で表される基を結合させて、ノボラック樹脂(N-3)を得た。
アセタール化率は29モル%であった。
ノボラック樹脂EP6050G(旭有機材工業社製、m-クレゾール/p-クレゾール=40/60(質量比)、重量平均分子量:2500~4000(カタログ値))(10.0g)をテトラヒドロフラン(THF)(60g)に溶解して混合溶液を得た。この混合溶液に、1-アダマンタンカルボニルクロリド(14.88g)及びトリエチルアミン(10.11g)を加えてから、さらに50℃で4時間撹拌した。混合溶液を室温に戻した後、酢酸エチル(100mL)と蒸留水(100mL)とを加え、混合溶液を氷水中で撹拌しながら、1NのHCl水溶液を少しずつ添加して混合溶液を中和した。混合溶液を分液ロートに移し、そこへさらに酢酸エチル(100mL)と蒸留水(100mL)とを加え、撹拌後、水相を除去した。その後、有機相を蒸留水(200mL)で5回洗浄した後、有機相を濃縮し、ヘキサン(2L)中に滴下して固体を析出させた。その後、固体をろ別し、真空乾燥することでノボラック樹脂(N-4)(9.8g)を得た。
ノボラック樹脂(N-4)の構造を以下に示す。
なお、ノボラック樹脂(N-4)のエステル化率(保護率)は28モル%であった。
m-クレゾールを、ホルムアルデヒドとサリチルアルデヒドとを併用(ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(質量比))して重合してノボラック樹脂N-5(重量平均分子量:4000)を得た。
・樹脂(R-1)
日本曹達株式会社製、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)(VP2500)(20g)をテトラヒドロフラン(THF)(120mL)に溶解して混合溶液を得た。この混合溶液に、1-アダマンタンカルボニルクロリド(4.96g)及びトリエチルアミン(3.37g)を加えてから、さらに50℃で4時間撹拌した。混合溶液を室温に戻した後、酢酸エチル(100mL)と蒸留水(100mL)とを加え、混合溶液を氷水中で撹拌しながら、1NのHCl水溶液を少しずつ添加して混合溶液を中和した。混合溶液を分液ロートに移し、そこへさらに酢酸エチル(100mL)と蒸留水(100mL)とを加え、撹拌後、水相を除去した。その後、有機相を蒸留水(200mL)で5回洗浄した後、有機相を濃縮し、ヘキサン(2L)中に滴下して固体を析出させた。その後、固体をろ別し、真空乾燥することで比較用の樹脂(R-1)(20.6g)を得た。
樹脂(R-1)の構造を以下に示す。なお、以下の構造式中、「15」及び「85」の単位は、モル%を意図する。
以下の光酸発生剤を使用した。
・CPI-210S(サンアプロ株式会社製)
以下の架橋剤を使用した。
以下の酸拡散制御剤を使用した。
・トリエタノールアミン
以下の界面活性剤を使用した。
・メガファックR-41(DIC社製)
以下の溶剤を使用した。
・PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)及びPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)の混合溶剤
(PGMEA/PGME=50/50(質量比))
(実施例1~18、及び20、比較例1~3)
得られた各レジスト組成物をそれぞれシリコンウエハ(直径:8インチ、Bare-Si)上にスピン塗布して、更に100℃のホットプレートで120秒間加熱した。
その後、レジスト膜に対して、i線ステッパー露光装置(FPA-3000i5+、Canon社製)を用いて100μmの線状パターンの露光処理(波長:365nm、露光量:1000mJ/cm2)を行い、更に130℃のホットプレートで60秒間加熱した。
上述のパターンの形成方法において、シリコンウエハを水平回転テーブルに固定するまでは同様に行い、次に、シリコンウエハを回転させずに静止させた状態で、シリコンウエハの中心の上方から、40℃の酢酸ブチル(現像液)を3秒間吐出して、シリコンウエハの上面に現像液を行き渡らせた。シリコンウエハ上で現像液が表面張力で盛り上がった状態にして、そのまま新たな現像液を供給することなく300秒間静置した(パドル法)。その後、純水をシャワー状に吐出してリンス処理を実施した。
さらに上述したのと同様にシリコンウエハへの乾燥処理と加熱とをしてパターンを得た。
得られたパターンの断面形状を、電界放出形走査電子顕微鏡S-4800(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、シリコンウエハとパターンの接触部分の角度を基準にパターンの矩形性の評価を行った。なお、角度が90度に近いほど矩形性が優れる。
結果を表1に示す。
以下の現像液を使用して現像を行った。
・酢酸ブチル
・酢酸アミル
・MEK(メチルエチルケトン)
・TMAHaq(2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)
(ただし、現像液としてTMAHaqを用いた場合(比較例1)は、上述の現像処理を行った後、乾燥処理を行う前に、純水をシャワー状に吐出してリンス処理を行った。)
表1中、「樹脂種類」の欄は、使用した樹脂の種類を示す。「NV」はノボラック樹脂を意味し、「PHS」はポリヒドロキシスチレン系樹脂を意味する。
表1中、「樹脂含有量」の欄は、レジスト膜(レジスト組成物)中の全固形分に対する、樹脂の含有量(質量%)を表す。
表1中、「m/p」の欄は、使用したノボラック樹脂における、m-クレゾール由来の繰り返し単位とp-クレゾール由来の繰り返し単位との比を表す。(m-クレゾール/p-クレゾール(質量比))
表1中、「保護種類」の欄は、樹脂が有するフェノール性水酸基に対する保護の種類を示す。「アセタール化」はフェノール性水酸基をアセタール化したことを意味し、「エステル化」はフェノール性水酸基をエステル化したことを意味する。
表1中、「MOM基数」の欄は、使用した架橋剤が有するメトキシメチル基の数を示す。
表1中、「OH基数」の欄は、使用した架橋剤が有するフェノール性水酸基の数を示す。
表1中、「膜厚」の欄は、形成したレジスト膜の膜厚を示す。
表1中、「現像液」の欄の括弧内の値は、使用した現像液の沸点を示す。
表1中、「現像液温」の欄は、現像処理において、現像液を噴出ノズルから供給した際の現像液の温度を示す。
表1中、「現像方法」の欄は、現像工程で用いた現像方法を示す。「スプレー」はスプレー法を意味し、「パドル」はパドル法を意味する。
表1中、「供給時間」の欄は、現像工程で現像液をレジスト膜上に供給した通算の時間を示す。
上記酸解離性基が、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の酸素原子と結合してアセタール基を形成している場合パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例1及び16の比較)。
レジスト膜が架橋剤を含む場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例1、4、5、6、7、及び17の比較)。
また、架橋剤がメトキシメチル基を6個以上有する場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例4及び5の比較、並びに、実施例1、6、及び7の比較)。
架橋剤がフェノール性水酸基を有する場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例5及び6の比較、並びに、実施例1と4の比較)。
レジスト組成物の固形分含有量が40質量%以上である場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例8及び20の比較)。
現像液が沸点130℃以下のエステル化合物である場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例1、9、及び10の比較)。
現像する際の現像液の温度が30~60℃である場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例11、13、及び14、並びに、実施例12及び15の比較)。
現像液をレジスト膜上に供給する供給する時間が通算30秒以上である場合、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例1、18、及び19の比較)。
ノボラック樹脂のm-クレゾール由来の繰り返し単位とp-クレゾール由来の繰り返し単位との比(m-クレゾール/p-クレゾール)が、50/50以下である場合(m-クレゾール由来の繰り返し単位が、p-クレゾール由来の繰り返し単位よりも少ない場合)、パターンの矩形性がより優れる傾向が確認された(実施例1、2、及び3の比較)。
Claims (14)
- ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含むレジスト膜であって、前記ノボラック樹脂の含有量が、前記レジスト膜の全固形分に対して50質量%以上であるレジスト膜を、i線を用いて露光する工程と、
前記レジスト膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してパターンを形成する工程と、
をこの順に有し、
前記ノボラック樹脂が、酸解離性基を有し、
前記酸解離性基は、前記ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の酸素原子と結合してアセタール基を形成しており、
前記レジスト膜が、更に架橋剤を含み、
前記架橋剤が、メトキシメチル基を有する化合物であり、
前記レジスト膜の膜厚が15μm以上である、
パターン形成方法。 - 前記メトキシメチル基を有する化合物が、6個以上のメトキシメチル基を有する、請求項1に記載のパターン形成方法。
- 前記メトキシメチル基を有する化合物が、フェノール性水酸基を有する、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
- ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含むレジスト膜であって、前記ノボラック樹脂の含有量が、前記レジスト膜の全固形分に対して50質量%以上であるレジスト膜を、i線を用いて露光する工程と、
前記レジスト膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してパターンを形成する工程と、
をこの順に有し、
前記ノボラック樹脂が、酸解離性基を有し、
前記酸解離性基は、前記ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の酸素原子と結合してアセタール基を形成しており、
前記レジスト膜の膜厚が15μm以上である、
パターン形成方法。 - 前記現像液が、沸点130℃以下のエステル系溶剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含むレジスト膜であって、前記ノボラック樹脂の含有量が、前記レジスト膜の全固形分に対して50質量%以上であるレジスト膜を、i線を用いて露光する工程と、
前記レジスト膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してパターンを形成する工程と、
をこの順に有し、
前記ノボラック樹脂が、酸解離性基を有し、
前記酸解離性基は、前記ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の酸素原子と結合してアセタール基を形成しており、
前記レジスト膜の膜厚が15μm以上であり、
前記現像液が、沸点130℃以下のエステル系溶剤を含む、
パターン形成方法。 - 前記現像液の温度が30~60℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含むレジスト膜であって、前記ノボラック樹脂の含有量が、前記レジスト膜の全固形分に対して50質量%以上であるレジスト膜を、i線を用いて露光する工程と、
前記レジスト膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してパターンを形成する工程と、
をこの順に有し、
前記ノボラック樹脂が、酸解離性基を有し、
前記酸解離性基は、前記ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の酸素原子と結合してアセタール基を形成しており、
前記レジスト膜の膜厚が15μm以上であり、
前記現像液の温度が30~60℃である、
パターン形成方法。 - 前記レジスト膜が、更に架橋剤を含む、請求項4、6及び8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記レジスト膜が、前記ノボラック樹脂及び前記光酸発生剤を含むレジスト組成物を用いて形成され、
前記レジスト組成物の固形分含有量が、40質量%以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。 - 前記現像液が、酢酸ブチルを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記パターンを形成する工程が、前記現像液を、通算にて30秒以上、前記レジスト膜上に供給する工程を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- ノボラック樹脂及びi線露光によって酸を発生する光酸発生剤を含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物。 - 請求項1~12のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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