JP6826942B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関し、例えば、半導体又はIC(Integrated Circuit)等の電子デバイス製造工程、サーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、更にその他のフォトファブリケーション工程などに使用することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。
従来、IC等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、種々のレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われており、解像性をはじめとする各種性能の向上を目的として、レジスト組成物に用いる樹脂についての研究が盛んに行われている。
例えば、特許文献1〜3には、アクリル酸誘導体等のα位に特定の置換基を有するモノマーを重合して得られる樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。特許文献4には、特定の縮合環ラクトン構造を有する樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。特許文献5には、スルホニル基を含む特定の基を有する樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。特許文献6には、アセタール構造を有する特定の樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。特許文献7には、炭素−炭素二重結合を有する特定の樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。
特開2016−57415号公報 特開2016−99482号公報 特開2016−161790号公報 特開2016−167050号公報 特開2016−71207号公報 特開2016−90868号公報 特開2016−166958号公報
しかしながら、近年、露光ラチチュード(EL)性能、エッチング耐性等の性能について更なる向上が求められている。更に、ホールパターンの微細化のニーズが急激に高まっており、これを受けて、レジスト膜に、特に微細の孔径(例えば短径70nm以下)を有する楕円パターンを形成する場合において、局所的なパターン寸法の均一性(Local CDU)(以下、「CDU」とも呼ぶ。)の更なる良化が求められているが、上記特許文献1〜7に記載のレジスト組成物は、これらの性能の要求水準を十分に満たすものではない。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、EL性能、エッチング後のパターンの形状に優れ、かつ、楕円パターンの形成におけるCDUに優れたパターンの形成に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a−1)と、
下記一般式(7)で表される繰り返し単位(a−2)と、
を有する樹脂(A)、及び、
活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)
を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

一般式(1)中、R 11 及びR 12 は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
13 は、1価のカルボニル炭化水素基を表し、
14 は、水素原子又は1価の有機基を表し、
11 は、−O−を表し、X 12 は、−O−又は−NR 101 −を表し、R 101 は、水素原子、1価の炭化水素基、又は、1価のフッ素化炭化水素基を表し、
11 は、フェニレン基、ナフチレン基、又は−CO−を表す。
13 とR 14 は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101 とR 13 は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101 とR 14 は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。

一般式(7)中、R 71 及びR 72 は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
73 は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
74 は、1価の炭化水素基を表し、
75 は、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
76 、R 77 及びR 78 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
n71は、0を表す。
76 、R 77 及びR 78 は、これらのうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成してもよい。
ただし、R 75 が1価の鎖状炭化水素基である場合、R 76 、R 77 及びR 78 のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する。
[2]
上記一般式(7)中のR 75 が1価の脂環式炭化水素基である、[1]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[3]
上記樹脂(A)がさらに、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、酸の作用により分解し極性が増大する基を含む繰り返し単位(a−4)を有する、[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[4]
上記樹脂(A)がさらに、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む繰り返し単位(a−3)を有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される感活性光線性又は感放射線性膜。
[6]
(i)[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、
を有するパターン形成方法。
[7]
上記現像液が有機溶剤を含有する、[6]に記載のパターン形成方法。
[8]
[7]に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明は上記[1]〜[8]に関するものであるが、本明細書には参考のためその他の事項についても記載した。
<1>
下記一般式(1)で表される繰り返し単位、下記一般式(2)で表される繰り返し単位、下記一般式(3)で表される繰り返し単位、下記一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位、下記一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位、及び下記一般式(5)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位(a−1)と、
下記一般式(6)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(7)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位(a−2)と、
を有する樹脂(A)、及び、
活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)
を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
13は、1価の有機基を表し、
14は、水素原子又は1価の有機基を表し、
11及びX12は、それぞれ独立して、−O−又は−NR101−を表し、R101は、水素原子、1価の炭化水素基、又は、1価のフッ素化炭化水素基を表し、
11は、フェニレン基、ナフチレン基、又は−CO−を表す。
13とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101とR13は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
一般式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
23は、水素原子又は1価の有機基を表し、
21は、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される1価の基を表し、
21は、1〜5の整数を表す。
一般式(2−a)及び(2−b)中、R24及びR25は、それぞれ独立して、−CN、−NO、1価のフッ素化炭化水素基、極性基で置換されている1価の炭化水素基、又は−Y21−Z21で表される1価の基を表し、Y21は、−CO−、−COO−、−SO−、又は−SOO−を表し、Z21は、1価の有機基を表し、
26は、水素原子、フッ素原子、−NO、又は1価の有機基を表し、
*は、上記一般式(2)で表される繰り返し単位のX21以外の部分に結合する結合手を表す。
21が複数存在する場合、複数のY21は同一でも異なっていてもよく、Z21が複数存在する場合、複数のZ21は同一でも異なっていてもよい。
一般式(2−a)中、R24、R25及びR26のうちの2以上は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
一般式(2−b)中、R24及びR25は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
33は、水素原子又は1価の有機基を表し、
31は、2価の炭化水素基を表し、
31は、下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される2価の基を表し、
31は、1価の有機基又はヒドロキシ基を表す。
一般式(3−a)及び(3−b)中、*及び**は、一方が上記一般式(3)で表される繰り返し単位中のE31に結合する結合手を表し、他方が上記一般式(3)で表される繰り返し単位中のX31に結合する結合手を表す。
一般式(4a)中、R4a1及びR4a2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
4a3は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。R4a3は他の環員の炭素原子に結合して架橋結合を形成してもよい。
4a4は、2価の炭化水素基を表し、
4a1は、ヘテロ原子を有する2価の連結基を表し、
n4aは、0〜13の整数を表し、
p4a及びq4aは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
*は、上記一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位における上記一般式(4a)で表される基以外の部分に結合する結合手を示す。
4a1及びR4a2は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
n4aが2以上の場合、複数のR4a3は同一でも異なっていてもよく、複数のR4a3のうちの2つが互いに結合し、架橋結合を形成していてもよい。
一般式(4b)中、R4b3は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。R4b3は他の環員の炭素原子に結合して架橋結合を形成してもよい。
4b4は、単結合又は2価の炭化水素基を表し、
4b1は、単結合又はヘテロ原子を有する2価の連結基を表し、
41、E42及びE43は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、
n4bは、0〜13の整数を表し、
p4b及びq4bは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
*は、上記一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位における上記一般式(4b)で表される基以外の部分に結合する結合手を示す。
n4bが2以上の場合、複数のR4b3は同一でも異なっていてもよく、複数のR4b3のうちの2つが互いに結合し、架橋結合を形成していてもよい。
一般式(5)中、R51は、水素原子又はメチル基を表し、
51は、ヘテロ原子を含む基で置換された脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表す。
一般式(6)中、R61及びR62は、それぞれ独立してアルキル基を表し、
63は、水素原子、−O−、−CO−、又は−COO−を含んでもよい1価の炭化水素基を表し、
は、単結合又は2価の有機基を表し、
64は、単結合又は−COO−を表し、
65は、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表し、
は、単結合又は2価の有機基を表し、
66は、水素原子又はメチル基を表す。
61及びR62は互いに結合し、環構造を形成してもよい。
63及びRは互いに結合し、環構造を形成してもよい。
65及びRは互いに結合し、環構造を形成してもよい。
但し、R63及びRが互いに結合し、上記環構造を表す場合、Rは単結合ではない。
一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
73は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
74は、1価の炭化水素基を表し、
75は、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
76、R77及びR78は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
n71は、0又は1を表す。
76、R77及びR78は、これらのうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成してもよい。
ただし、R75が1価の鎖状炭化水素基である場合、R76、R77及びR78のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する。
<2>
上記繰り返し単位(a−2)が、上記一般式(7)で表される繰り返し単位である、<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<3>
上記一般式(7)中のR75が1価の脂環式炭化水素基である、<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<4>
上記繰り返し単位(a−1)が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位、上記一般式(2)で表される繰り返し単位、及び上記一般式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<5>
上記繰り返し単位(a−1)が上記一般式(2)で表される繰り返し単位である、<4>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<6>
上記一般式(2)中のX21が上記一般式(2−a)で表される1価の基である、<5>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<7>
上記一般式(2)で表される繰り返し単位が下記一般式(2A)で表される繰り返し単位である、<6>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(2A)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
23は、水素原子又は1価の有機基を表し、
21、A22、及びA23は、それぞれ独立して、1価の有機基を表す。
21、A22、及びA23のうちの2つが互いに結合し、環構造を形成してもよい。
<8>
上記一般式(2A)中のR23が、1価の飽和炭化水素基である、<7>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<9>
上記樹脂(A)がさらに、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、酸の作用により分解し極性が増大する基を含む繰り返し単位(a−4)を有する、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<10>
上記樹脂(A)がさらに、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む繰り返し単位(a−3)を有する、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<11>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される感活性光線性又は感放射線性膜。
<12>
(i)<1>〜<10>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、
を有するパターン形成方法。
<13>
上記現像液が有機溶剤を含有する、<12>に記載のパターン形成方法。
<14>
<13>に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、EL性能、エッチング後のパターンの形状に優れ、かつ楕円パターンの形成におけるCDUに優れたパターンの形成に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することができる。
実施例のパターン形成方法を説明するための模式図である。 実施例のパターン形成方法を説明するための模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV: Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルの少なくとも1種を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー(株)製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー(株)製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
〔感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物〕
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について説明する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、下記樹脂(A)及び活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)(「光酸発生剤(B)」とも呼ぶ。)を含有する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、レジスト組成物であることが好ましく、ポジ型のレジスト組成物であっても、ネガ型のレジスト組成物であってもよい。また、アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶剤現像用のレジスト組成物であってもよい。
本発明のレジスト組成物は、典型的には、化学増幅型のレジスト組成物である。
以下、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)に含まれる成分について詳述する。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(2)で表される繰り返し単位、一般式(3)で表される繰り返し単位、一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位、一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位、及び一般式(5)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位(a−1)と、一般式(6)で表される繰り返し単位、及び一般式(7)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位(a−2)とを有する。
本発明においては、樹脂(A)が剛直性を有する繰り返し単位(a−1)と、極性基が酸の作用により容易に分解し脱離する基(高反応性保護基)で保護された構造を有する繰り返し単位(a−2)とを含むことにより、光酸発生剤から生じる酸の拡散長を適度に制御することが可能となるため、EL性能に優れるものと考えられる。また、EL性能が良化することにより、楕円パターンの形成において局所的なパターン寸法の均一性(CDU)にも優れるものと推察される。また、CDUに優れることで、エッチング後のパターンの形状にも優れると推察される。
[繰り返し単位(a−1)]
樹脂(A)は、前述のとおり、繰り返し単位(a−1)を有する。
繰り返し単位(a−1)は剛直性を有する繰り返し単位である。
<一般式(1)で表される繰り返し単位>
一般式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
13は、1価の有機基を表し、
14は、水素原子又は1価の有機基を表し、
11及びX12は、それぞれ独立して、−O−又は−NR101−を表し、R101は、水素原子、1価の炭化水素基、又は、1価のフッ素化炭化水素基を表し、
11は、フェニレン基、ナフチレン基、又は−CO−を表す。
13とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101とR13は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
101とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
上記R11及びR12で表されるアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられる。
上記R11及びR12としては、一般式(1)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
上記R13及びR14で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。ここで「ヘテロ原子」とは、炭素原子及び水素原子以外の原子をいう。ヘテロ原子としては特に限定されないが、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが好ましく挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば、−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR102−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R102は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−COO−が好ましい。
上記1価のヘテロ原子含有基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基(−SH)等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子が好ましい。
上記R13とR14とが互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらの基の間に存在する原子鎖と共に形成する環員数5〜20の環構造であることが好ましく、例えば、ジオキサシクロヘキサン構造、ジオキサシクロヘプタン構造等のジオキサシクロアルカン構造、ジオキサシクロヘキセン構造、ジオキサシクロヘプテン構造等のジオキサシクロアルケン構造、ジオキサベンゾシクロヘキサン構造、ジオキサベンゾシクロヘプタン構造等のジオキサベンゾシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記R13としては、炭化水素基、フッ素化炭化水素基及び下記一般式(r−1)〜(r−3)で表される基が好ましい。
上記一般式(r−1)中、Rは、1価の有機基である。上記1価の有機基としては、飽和鎖状炭化水素基又は飽和脂環式炭化水素基が好ましい。また、Rは、R−Rで表される基であることが好ましい。Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基又は炭素数1〜20の2価のフッ素化炭化水素基である。Rは、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、オキシ炭化水素基、ラクトン環基、カーボネート環基、スルトン環基、オキサシクロアルキル基、オキサシクロアルケニル基、−COOR又は−O−CR−ORである。R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
上記一般式(r−2)中、RC1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。RC2及びRC3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに結合し、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
上記一般式(r−3)中、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
13としては、これらの中で、炭化水素基、フッ素化炭化水素基、上記一般式(r−1)で表される基が好ましく、上記一般式(r−1)で表される基がより好ましく、上記一般式(r−1)で表され、かつRが水素原子である基、すなわちカルボニル炭化水素基、又はカルボニルフッ素化炭化水素基がさらに好ましい。
上記炭化水素基としては、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が好ましく、メチル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
上記フッ素化炭化水素基としては、フッ素化鎖状炭化水素基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記カルボニル炭化水素基及びフッ素化カルボニル炭化水素基としては、上記一般式(r−1)におけるRがアルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、フッ素化アルカンジイル基が好ましく、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、シクロヘキサンジイル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記R14は、1価の酸分解性基における脱離基(保護基)であっても、1価の非酸分解性基であってもよい。酸分解性基とは、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(酸の作用により分解し、極性が増大する基)である。
上記R14の1価の酸分解性基としては、例えば後述する繰り返し単位(a−4)が有する酸分解性基と同じもの、アセタール構造を含む基等が挙げられる。
上記R14の1価の非酸分解性基としては、例えばラクトン環基、カーボネート環基、スルトン環基、ヒドロキシ炭化水素基、フッ素化炭化水素基、ヒドロキシ置換フッ素化炭化水素基、カルボニルオキシ炭化水素基置換炭化水素基等が挙げられる。
上記フェニレン基及びナフチレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
上記X11及びX12の−NR101−におけるR101で表される1価の炭化水素基としては、炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましい。炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記R101で表される1価のフッ素化炭化水素基としては、炭素数1〜10の1価のフッ素化炭化水素基が好ましい。炭素数1〜10の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば
フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロエテニル基、フルオロエチニル基等の炭素数1〜10の1価のフッ素化鎖状炭化水素基;
フルオロシクロプロピル基、フルオロシクロブチル基、ジフルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基、ジフルオロノルボルニル基、ジフルオロシクロペンテニル基、フルオロシクロヘキセニル基等の炭素数3〜10の1価のフッ素化脂環式炭化水素基;
フルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、フルオロトリル基、フルオロナフチル基、ジフルオロベンジル基等の炭素数6〜10の1価のフッ素化芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記R101としては、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はi−プロピル基がさらに好ましい。
上記R101とR13と又はR101とR14とは、互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらが結合する窒素原子と共に形成する環員数3〜20の環構造であることが好ましく、例えば、アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、アザシクロヘプタン構造等のアザシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記X11としては、一般式(1)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性がより高くなる観点から、−O−が好ましい。
上記X12としては、一般式(1)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性がより高くなる観点から、−O−が好ましい。
上記Z11としては、−CO−及びフェニレン基が好ましく、−CO−がより好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(1−1)〜(1−40)のいずれかで表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式(1−1)〜(1−40)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。
これらの中でも、上記一般式(1−1)〜(1−32)のいずれかで表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−57415号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
<一般式(2)で表される繰り返し単位>
一般式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
23は、水素原子又は1価の有機基を表し、
21は、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される1価の基を表し、
21は、1〜5の整数を表す。
一般式(2−a)及び(2−b)中、R24及びR25は、それぞれ独立して、−CN、−NO、1価のフッ素化炭化水素基、極性基で置換されている1価の炭化水素基、又は−Y21−Z21で表される1価の基を表し、Y21は、−CO−、−COO−、−SO−、又は−SOO−を表し、Z21は、1価の有機基を表し、
26は、水素原子、フッ素原子、−NO、又は1価の有機基を表し、
*は、上記一般式(2)で表される繰り返し単位のX21以外の部分に結合する結合手を表す。
21が複数存在する場合、複数のY21は同一でも異なっていてもよく、Z21が複数存在する場合、複数のZ21は同一でも異なっていてもよい。
一般式(2−a)中、R24、R25及びR26のうちの2以上は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
一般式(2−b)中、R24及びR25は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
上記R21及びR22としては、一般式(a−2)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から水素原子が好ましい。
上記R23で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば−CO−、−CS−、−O−、−S−、−NR201−、−COO−、−SO−、−SOO−、又はこれらを組み合わせた基等が挙げられる。R201は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記置換基としては、例えば
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、イソシアネート基、スルホ基等の極性基などが挙げられる。
上記置換基は、カチオン基とアニオンとの組み合わせ、又はアニオン基とカチオンとの組み合わせにより形成されるイオン性基であってもよい。上記カチオン基としては、例えば−(NR 、−(SR 、−(IR等が挙げられる。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。上記アニオンとしては、例えばF、Cl、Br、I、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸二水素イオン、四フッ化ホウ酸イオン、脂肪族スルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、六フッ化リン酸イオン、六塩化アンチモン酸イオン等が挙げられる。上記アニオン基としては、例えば−SO 、−COO等が挙げられる。上記カチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウムカチオンなどが挙げられる。
23は、炭素数1〜30の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。すなわち、炭素数1〜30の1価の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の飽和脂環式炭化水素基であることが好ましい。
上記R23は、酸分解性基における脱離基でもよく、非酸分解性基でもよい。また、上記R23は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
上記R23としては、非酸分解性基が好ましく、置換又は非置換の炭化水素基がより好ましく、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又はフッ素原子で置換された炭化水素基、及び非置換の炭化水素基がさらに好ましく、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されたアルキル基、及び非置換のアルキル基が特に好ましい。
上記R23の炭素数の下限としては、1が好ましく、2がより好ましい。上記R23の炭素数の上限としては、20が好ましく、10がより好ましく、5がさらに好ましく、3が特に好ましい。
上記一般式(2−a)又は(2−b)中のR24及びR25で表される1価のフッ素化炭化水素基としては、炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基が好ましい。炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基等の有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基などが挙げられる。
上記R24及びR25の極性基で置換されている1価の炭化水素基としては、極性基で置換されている炭素数1〜30の1価の炭化水素基が好ましい。極性基で置換されている炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば上記1価の炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部が極性基で置換された基などが挙げられる。
上記極性基としては、例えばカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、イソシアネート基、スルホ基等が挙げられる。なお、フッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子は極性基には含まれない。
上記Z21で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば上記R23で表される1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
上記R24及びR25としては、−Y21−Z21で表される1価の基が好ましい。上記Y21としては、−CO−が好ましい。上記Z21としては、置換又は非置換の炭化水素基が好ましく、フッ素化炭化水素基又は非置換の炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基又はアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロメチル基又はメチル基が特に好ましい。
上記R26で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば上記R23で表される1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
上記R26としては、水素原子又は炭化水素基が好ましく、水素原子、芳香族炭化水素基又は鎖状炭化水素基がより好ましく、水素原子、アリール基又はアルキル基がさらに好ましく、水素原子、フェニル基、メチル基又はエチル基が特に好ましく、水素原子がさらに特に好ましい。
上記R26で表される有機基の炭素数の上限としては、20が好ましく、10がより好ましく、6がさらに好ましく、3が特に好ましい。
上記一般式(2−a)において、上記R24、R25及びR26のうちの2以上は互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の環構造が好ましく、例えば脂環構造、脂肪族複素環構造、芳香環構造、芳香族複素環構造等が挙げられる。
上記脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記脂肪族複素環構造としては、例えば
アザシクロペンタン構造、アザシクロへキサン構造等のアザシクロアルカン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等のオキサシクロアルカン構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロへキサン構造等のチアシクロアルカン構造;
オキサゾリジン、1,4,2−ジオキサゾリジン、チアゾリジン等が挙げられる。
上記芳香環構造としては、例えばベンゼン環構造、ナフタレン環構造、アントラセン構造、フェナントレン構造等が挙げられる。
上記芳香族複素環構造としては、例えばフラン構造、ピリジン構造、キノリン構造、ピロール構造、インドール構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、オキサゾール構造、イソチアゾール構造等が挙げられる。
上記一般式(2−b)において、上記R24及びR25は互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の環構造が好ましく、例えば脂肪族複素環構造、芳香族複素環構造等が挙げられる。上記脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造としては、例えば一般式(2−a)において例示した脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造と同様の構造等が挙げられる。
上記n21としては、樹脂(A)の主鎖の剛直性をより適度に高める観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位は、一般式(2)中のX21が一般式(2−a)で表される1価の基であることが好ましく、下記一般式(2A)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
一般式(2A)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
23は、水素原子又は1価の有機基を表し、
21、A22、及びA23は、それぞれ独立して、1価の有機基を表す。
21、A22、及びA23のうちの2つが互いに結合し、環構造を形成してもよい。
一般式(2A)中、R21、R22、及びR23は、一般式(2)中のR21、R22、及びR23と同義である。
一般式(2A)中、A21及びA22で表される1価の有機基としては、上記Z21で表される1価の有機基と同義である。
一般式(2A)中、A23で表される1価の有機基としては、一般式(2)中のR26で表される1価の有機基と同義である。
21、A22、及びA23のうちの2つが互いに結合し、形成しうる環構造としては、上記一般式(2−a)中のR24、R25及びR26のうちの2以上が互いに結合して形成しうる環構造と同様の構造等が挙げられる。上記環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数5〜6の環構造が好ましい。
一般式(2)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式(2−1)〜(2−21)のいずれかで表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式(2−1)〜(2−21)中、R21〜R23は、上記一般式(2)中のR21〜R23と同義である。
一般式(2)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−99482号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
<一般式(3)で表される繰り返し単位>
一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
33は、水素原子又は1価の有機基を表し、
31は、2価の炭化水素基を表し、
31は、下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される2価の基を表し、
31は、1価の有機基又はヒドロキシ基を表す。
一般式(3−a)及び(3−b)中、*及び**は、一方が一般式(3)で表される繰り返し単位中のE31に結合する結合手を表し、他方が一般式(3)で表される繰り返し単位中のX31に結合する結合手を表す。
*は、一般式(3)で表される繰り返し単位中のE31に結合する結合手を表し、**は、一般式(3)で表される繰り返し単位中のX31に結合する結合手を表すことが好ましい。
上記R31及びR32としては、一般式(3)で表される繰り返し単位の共重合性の観点から水素原子が好ましい。
上記E31で表される2価の炭化水素基は、鎖状炭化水素基でも環状炭化水素基でもよく、置換又は非置換の炭素数1〜5の2価の炭化水素基であることが好ましい。置換又は非置換の炭素数1〜5の2価の炭化水素基における炭化水素基としては、鎖状炭化水素基が好ましく、直鎖状炭化水素基がより好ましく、アルカンジイル基がさらに好ましい。また、上記E31で表される炭化水素基の炭素数としては、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
上記E31で表される炭化水素基の置換基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等のアルカンジイル基などの炭化水素基;
カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、イソシアネート基、スルホ基等の極性基などが挙げられる。
後述の(3−13)で表される繰り返し単位は、上記E31で表される炭化水素基として、2つのメチル基で置換されているメタンジイル基を有する。また、後述の(3−14)で表される繰り返し単位は、上記E31で表される炭化水素基として、プロパンジイル基で置換されているプロパンジイル基を有する。
上記E31で表される炭化水素基の置換基としては、アルキル基又はアルカンジイル基が好ましい。
上記E31としては、樹脂(A)の主鎖の剛直性をより適度に高める観点から、置換又は非置換のメタンジイル基が好ましく、非置換のメタンジイル基、すなわちメチレン基がより好ましい。
上記L31としては、上記一般式(3−a)で表される2価の基であることが好ましい。
上記X31で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基、ヘテロ原子含有基、置換基としては、上記一般式(2)中のR23で表される各基が挙げられる。
上記X31は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
上記X31で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基が好ましい。上記炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がさらに好ましい。樹脂(A)は、上記X31が炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基であることで、極性がより適度に調整される。
上記炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;
エテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基等のアルキニルオキシ基等の1価のオキシ鎖状炭化水素基、
シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の単環のシクロアルキルオキシ基;
シクロプロペニルオキシ基、シクロブテニルオキシ基、シクロペンテニルオキシ基等の単環のシクロアルケニルオキシ基;
ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロドデシルオキシ基等の多環のシクロアルキルオキシ基;
ノルボルネニルオキシ基、トリシクロデセニルオキシ基、テトラシクロドデセニルオキシ基等の多環のシクロアルケニルオキシ基等の1価のオキシ脂環式炭化水素基等、
フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基等のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基が有する炭化水素基は、酸分解性基における脱離基でもよく、非酸分解性基でもよいが、酸分解性基における脱離基が好ましい。
さらに、上記X31で表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む基も好ましい。樹脂(A)は、上記X31がラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む基であることで、極性がより適度に調整され、より適度に高い剛直性を有することができる。
さらに、上記X31で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の炭化水素基も好ましい。上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基及び炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基が好ましい。樹脂(A)は、上記X31が炭素数1〜20の1価の炭化水素基であることで、極性がより適度に調整される。
上記R33で表される1価の有機基としては炭素数1〜30の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば上記X31で表される1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
上記R33は、酸分解性基における脱離基でもよく、非酸分解性基でもよい。また、上記R33は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
33は、炭素数1〜30の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。
一般式(3)で表される繰り返し単位としては、例えば下記(3−1)〜(3−32)のいずれかで表される繰り返し単位等が挙げられる。
一般式(3)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−161790号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
<一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位>
一般式(4a)中、R4a1及びR4a2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
4a3は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。R4a3は他の環員の炭素原子に結合して架橋結合を形成してもよい。
4a4は、2価の炭化水素基を表し、
4a1は、ヘテロ原子を有する2価の連結基を表し、
n4aは、0〜13の整数を表し、
p4a及びq4aは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
*は、上記一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位における上記一般式(4a)で表される基以外の部分に結合する結合手を示す。
4a1及びR4a2は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
n4aが2以上の場合、複数のR4a3は同一でも異なっていてもよく、複数のR4a3のうちの2つが互いに結合し、架橋結合を形成していてもよい。
一般式(4b)中、R4b3は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。R4b3は他の環員の炭素原子に結合して架橋結合を形成してもよい。
4b4は、単結合又は2価の炭化水素基を表し、
4b1は、単結合又はヘテロ原子を有する2価の連結基を表し、
41、E42及びE43は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、
n4bは、0〜13の整数を表し、
p4b及びq4bは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
*は、上記一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位における上記一般式(4b)で表される基以外の部分に結合する結合手を示す。
n4bが2以上の場合、複数のR4b3は同一でも異なっていてもよく、複数のR4b3のうちの2つが互いに結合し、架橋結合を形成していてもよい。
一般式(4a)のR4a1及びR4a2で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR401−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R401は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−が好ましい。
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基(−SH)等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子が好ましい。
4a1及びR4a2としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基又はトリフルオロメチル基がより好ましい。
4a1及びR4a2は互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の環構造が好ましく、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
インデン構造等の単環のアレーン構造;
フルオレン構造等の多環のアレーン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等の単環のオキサシクロアルカン構造;
オキサノルボルナン構造、オキサアダマンタン構造等の多環のオキサシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記環構造としては、単環のシクロアルカン構造、多環のシクロアルカン構造又は単環のオキサシクロアルカン構造が好ましく、シクロヘキサン構造、アダマンタン構造又はオキサシクロペンタン構造がより好ましい。
一般式(4b)の−E41−C(=E43)−E42−で表される基としては、例えば−OCOO−、−OCOS−、−SCOS−、−OCSO−、−OCOS−、−SCSS−等が挙げられる。これらの中で、−OCOO−又は−OCSO−が好ましい。
4a3及びR4b3で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えばR4a1及びR4a2の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
4a3及びR4b3としては、アルキル基及びヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基及びヒドロキシ基がより好ましい。
4a3又はR4b3が他の環員の炭素原子に結合して形成する架橋結合としては、−CH−、−CH−CH−、−C(CH−、又は−O−が好ましく、−CH−、−C(CH−、又は−O−がより好ましい。
複数のR4a3又はR4b3のうちの2つが互いに結合し、形成する架橋結合としては、−CH−CH−、又は−C(CH−が好ましく、−CH−CH−がより好ましい。
4a及びn4bとしては、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。n4a又はn4bが1又は2の場合、1つのR4a3若しくは1つのR4b3が他の環員の炭素原子に結合して、又は2つのR4a3若しくは2つのR4b3は互いに結合し、架橋結合を形成していることが好ましい。
一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位は、n4a又はn4bが1又は2であり、1つのR4a3若しくは1つのR4b3が他の環員の炭素原子に結合して、又は2つのR4a3若しくは2つのR4b3が互いに結合し、架橋結合を形成していることが特に好ましい。
4a4及びR4b4で表される2価の炭化水素基としては炭素数1〜20の2価の炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基等のアルキンジイル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;
シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基等の単環のシクロアルケンジイル基;
ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基;
ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の多環のシクロアルケンジイル基などが挙げられる。
炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば
ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、キシレンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基等のアレーンジイル基;
ベンゼンジイルメタンジイル基、ベンゼンジイルエタンジイル基、ナフタレンジイルメタンジイル基、アントラセンジイルメタンジイル基等のアレーンジイルアルカンジイル基などが挙げられる。
4a4としては、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基又はシクロアルカンジイル基がより好ましく、アルカンジイル基又は単環のシクロアルカンジイル基がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基又は炭素数3〜8の単環のシクロアルカンジイル基が特に好ましく、メタンジイル基、エタンジイル基又はシクロヘキサンジイル基がさらに特に好ましく、メタンジイル基、1,1−エタンジイル基、1,2−エタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基、1,2−シクロヘキサンジイル基又は1,3−シクロヘキサンジイル基が最も好ましい。
4b4としては、単結合、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が好ましく、単結合、アルカンジイル基又はシクロアルカンジイル基がより好ましく、単結合、アルカンジイル基又は単環のシクロアルカンジイル基がさらに好ましく、単結合、炭素数1〜4のアルカンジイル基又は炭素数3〜8の単環のシクロアルカンジイル基が特に好ましく、単結合、メタンジイル基、エタンジイル基又はシクロヘキサンジイル基がさらに特に好ましく、単結合、メタンジイル基、1,1−エタンジイル基、1,2−エタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基、1,2−シクロヘキサンジイル基又は1,3−シクロヘキサンジイル基が最も好ましい。
4a1及びL4b1で表されるヘテロ原子を有する2価の連結基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
4a1及びL4b1で表されるヘテロ原子を有する2価の連結基としては、例えば−O−、−S−、−NR402−、−CO−、−CS−、これらの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R402は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
4a1としては、−O−、−COO−又は−COCOO−が好ましい。
4b1としては、単結合、−O−、−COO−又は−COCOO−が好ましく、単結合、−O−又は−COO−がより好ましく、単結合がさらに好ましい。
4a及びp4bとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。q4a及びq4bとしては、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位は、一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(4a)又は(4b)で表される基としては、例えば下記式(a1)〜(a33)のいずれかで表される基等が挙げられる。
上記式(a1)〜(a33)中、*は、一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位における一般式(4a)又は(4b)で表される基以外の部分に結合する部位を示す。
これらの中でも、式(a1)〜(a15)、(a21)、(a22)、(a25)、(a26)、(a29)、(a30)又は(a33)で表される基が好ましい。
一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位としては、例えば下記一般式(4−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(4−2)で表される繰り返し単位、又は下記一般式(4−3)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式(4−1)〜(4−3)中、Z41は、上記一般式(4a)又は(4b)で表される基である。
上記一般式(4−1)中、R41は、水素原子、フッ素原子、又はメチル基である。
上記一般式(4−2)中、R42は、水素原子又はメチル基である。R43は、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。R44は、1価の有機基である。a4は、0〜4の整数である。a4が2以上の場合、複数のR44は同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(4−3)中、R45は、水素原子又はメチル基である。R46、R47及びR48は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基若しくは1価の有機基である。1又は複数のR46及びR47並びにR48のうちの2つ以上は互いに結合し、環構造を形成していてもよい。b4は、1〜4の整数である。b4が2以上の場合、複数のR46は同一でも異なっていてもよく、複数のR47は同一でも異なっていてもよい。R49は、単結合又は2価の有機基である。R48とR49とは、互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
41がメチル基を表す場合、メチル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。メチル基が置換基を有する場合にはトリフルオロメチル基であることが好ましい。
41としては、一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
42としては、一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
45としては、一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から、メチル基が好ましい。
43としては、単結合、−COO−及び−CONH−が好ましく、単結合がより好ましい。
44で表される1価の有機基としては、炭素数1〜10の1価の有機基が好ましく、例えばR4a1及びR4a2の有機基として例示した基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。これらの中で、鎖状炭化水素基又はオキシ鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基又はアルコキシ基がより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基がさらに好ましい。
a4としては0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
46、R47及びR48が1価の有機基を表す場合、炭素数1〜20の1価の有機基であることが好ましい。
46、R47及びR48としては、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜10の鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子、フッ素原子又はアルキル基がより好ましく、水素原子、フッ素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
b4としては1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
1又は複数のR46及びR47並びにR48のうちの2つ以上が互いに結合し、環構造を形成してもよく、環構造としては、環員数3〜20の環構造が好ましく、例えばシクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の脂環構造;オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造、アザシクロペンタン構造、チアシクロペンタン構造等の脂肪族複素環構造などが挙げられる。R48とR49とが互いに結合し、環構造を形成する場合の環構造としても同様の基等が挙げられる。
49が2価の有機基を表す場合、炭素数1〜20の2価の有機基であることが好ましく、例えばR4a1及びR4a2として例示した1価の有機基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
49としては、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基が好ましく、単結合又は炭素数1〜10のアルカンジイル基がより好ましく、単結合、メタンジイル基又はエタンジイル基がさらに好ましく、単結合が特に好ましい。
一般式(4a)又は(4b)で表される基を含む繰り返し単位としては、一般式(4−1)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位、又は一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位は例えば特開2016−167050号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
<一般式(5)で表される繰り返し単位>
一般式(5)中、R51は、水素原子又はメチル基を表し、
51は、ヘテロ原子を含む基で置換された脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表す。
上記L51における脂環式炭化水素基としては、環員数3〜20の脂環式炭化水素基が好ましい。環員数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記L51における脂肪族複素環基としては、環員数3〜20脂肪族複素環基が好ましい。環員数3〜20脂肪族複素環基としては、例えばオキサシクロヘキシル基、チアシクロヘキシル基、アザシクロヘキシル基等が挙げられる。
51としては、脂環式炭化水素基が好ましく、単環のシクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がさらに好ましい。
上記ヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子等が挙げられる。これらのうち、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はこれらの組み合わせが好ましく、酸素元素がより好ましい。
上記ヘテロ原子を含む基としては、ヒドロキシ基、ケト基(=O)、−COOR52、シアノ基、アミノ基、スルファニル基(−SH)等が挙げられる。R52は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。
これらのうち、上記ヘテロ原子を含む基としては、ヒドロキシ基、ケト基(=O)、−COOR52が好ましく、−COOR52がより好ましい。
上記R52で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及び上記2価のヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記2価のヘテロ原子含有基が有するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。これらの中で、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−CS−、−NR501−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。R501は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
52の1価の有機基としては、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する基、OHを有する脂環式炭化水素基が好ましく、ラクトン構造を有する基であることがより好ましい。
52としては、水素原子も好ましい。
一般式(5)で表される繰り返し単位は、下記一般式(5a)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(5a)中、R51は、水素原子又はメチル基を表し、
51は、アルキレン基を表し、
51は、ラクトン構造を含む1価の有機基を表す。
上記A51におけるアルキル基は、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。上記アルキレン基中の各炭素は、−CO−又は−O−に置き換わってもよい。
51は、−COO−であることが好ましい。
上記B51におけるラクトン構造を含む1価の有機基は、上記R52で表される炭素数1〜20の1価の有機基の中で、ラクトン構造を含む基が挙げられる。
一般式(5)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式(5−1)〜(5−9)のいずれかで表される繰り返し単位が好ましい。
上記一般式(5−1)〜(5−9)中、R51は、上記一般式(5)と同義である。
一般式(5)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−71297号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(2)で表される繰り返し単位、一般式(3)で表される繰り返し単位、一般式(4a)で表される基を含む繰り返し単位、一般式(4b)で表される基を含む繰り返し単位、及び一般式(5)で表される繰り返し単位は、剛直性を有する構造単位であり、繰り返し単位として各繰り返し単位のみを有するホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は350℃以上であることが好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。
(Tg測定法)
Tgは重量平均分子量10000のホモポリマーを用いてSTA7200(日立ハイテクサイエンス社製)により測定する。
繰り返し単位(a−1)は、一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(2)で表される繰り返し単位、及び一般式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位であることが好ましく、一般式(2)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−1)の種類は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−1)の含有量(繰り返し単位(a−1)が2種以上の場合は、その総量)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜20モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、膜の剛直性および溶解性が最適範囲となる。
[繰り返し単位(a−2)]
樹脂(A)は、下記一般式(6)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(7)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位(a−2)を有する。
繰り返し単位(a−2)は、極性基が、酸の作用により容易に分解し脱離する基(高反応性保護基)で保護された構造を有する構造単位である。
すなわち、繰り返し単位(a−2)は酸分解性基を有しており、酸分解性基は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(酸の作用により分解し、極性が増大する基)である。
樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂であり、酸の作用により極性が変化する樹脂であり、酸の作用により、有機系現像液に対する溶解度が減少し、また、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂である。
以下、各一般式で表される繰り返し単位につき、説明する。
<一般式(6)で表される繰り返し単位>
一般式(6)で表される繰り返し単位は極性基であるアルコール性水酸基の水素原子を置換する基(脱離基)を含む酸分解性基である。
一般式(6)中、R61及びR62は、それぞれ独立してアルキル基を表し、
63は、水素原子、−O−、−CO−、又は−COO−を含んでもよい1価の炭化水素基を表し、
は、単結合又は2価の有機基を表し、
64は、単結合又は−COO−を表し、
65は、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表し、
は、単結合又は2価の有機基を表し、
66は、水素原子又はメチル基を表す。
61及びR62は互いに結合し、環構造を形成してもよい。
63及びRは互いに結合し、環構造を形成してもよい。
65及びRは互いに結合し、環構造を形成してもよい。
但し、R63及びRが互いに結合し、上記環構造を表す場合、Rは単結合ではない。
上記R61及びR62で表されるアルキル基としては炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。これらの中でメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R61及びR62が共にメチル基であることがさらに好ましい。
また、R61及びR62は互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、R61及びR62が結合する酸素原子及びこれらの酸素原子が結合する炭素原子と共に構成される環員数5〜20の環構造が好ましく、環構造の環員数としては、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6がさらに好ましい。
上記R61、R62、R61及びR62が結合する酸素原子並びにこれらの酸素原子が結合する炭素原子が形成する環構造は置換基を有してもよい。また、上記環構造の炭素数としては、3以上10以下が好ましく、3以上8以下がより好ましい。
上記R61、R62は、メチル基、エチル基、又は互いに結合し、R61及びR62が結合する酸素原子及びこれらの酸素原子が結合する炭素原子と共に構成される環員数5又は6の環構造であることが好ましい。
上記R63で表される1価の炭化水素基は、炭素数1〜30の1価の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
63は、−O−を含む1価の炭化水素基であってもよい。−O−を含む1価の炭化水素基としては、上記炭化水素基の炭素−炭素間に酸素原子を含む基であってもよい。−O−を含む1価の炭化水素基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシシクロヘキシル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、フェノキシメチル基、フェノキシシクロヘキシル基、フェノキシフェニル基等が挙げられる。
63は、−CO−を含む1価の炭化水素基であってもよい。−CO−を含む1価の炭化水素基としては、上記炭化水素基の炭素−炭素間に−CO−を含む基であってもよい。−CO−を含む1価の炭化水素基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、メチルカルボニルメチル基、シクロヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニルメチル基、フェニルカルボニルエチル基等が挙げられる。
63は、−COO−を含む1価の炭化水素基であってもよい。−COO−を含む1価の炭化水素基としては、上記炭化水素基の炭素−炭素間に−COO−を含む基であってもよい。−COO−を含む1価の炭化水素基としては、例えば、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシメチルカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシメチルカルボニルメチル基、フェノキシカルボニル基、フェノキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
63としては、水素原子、鎖状炭化水素基、鎖状炭化水素基の炭素−炭素間に酸素原子を含む基(a’)、上記鎖状炭化水素基及び基(a’)の同一炭素原子に結合する2個の水素原子を酸素原子で置換した基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
64としては、−COO−が好ましい。
上記Rで表される2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば2価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。なお、上記Rで表される炭素数1〜20の2価の有機基は、異なる2つの炭素原子のそれぞれに結合手を有するものに限定されず、1つの炭素原子が2つの結合手を有するものも含まれる。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば2価の鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基等のアルキンジイル基などが挙げられる。
上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;
シクロプロペンジイル基、シクロブテンジイル基等の単環のシクロアルケンジイル基;
ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基;
ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の多環のシクロアルケンジイル基などが挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、キシレンジイル基、ナフタレンジイル基等のアレーンジイル基;
ベンゼンジイルメタンジイル基、ナフタレンジイルシクロヘキサンジイル基等のアレーンジイル(シクロ)アルカンジイル基などが挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基とは、構造中に2価以上のヘテロ原子を有する基をいう。上記ヘテロ原子含有基はヘテロ原子を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。
上記ヘテロ原子含有基が有する2価以上のへテロ原子としては、2価以上の原子価を有するヘテロ原子であれば特に限定されず、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば、
−SO−、−SO−、−SOO−、−SO−等のヘテロ原子のみからなる基;
−CO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−OCOO−、−OCOS−、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−SCSS−等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
上記置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。また、上記Rが2価の脂環式炭化水素基の場合は鎖状炭化水素基を置換基として有してもよく、上記Rが2価の芳香族炭化水素基の場合は鎖状炭化水素基や脂環式炭化水素基を置換基として有してもよい。
としては、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、炭素−炭素間に酸素原子及び/又はカルボニル基を含む鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が好ましく、炭素−炭素間に酸素原子又はカルボニル基を含む鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基がより好ましい。
がフッ素原子等のハロゲン原子を有さないことが好ましい。
上記R65がメチル基を表す場合、上記メチル基は置換基を有していてもよく、上記置換基としてはハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。上記メチル基が置換基を有する場合はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
上記R65としては、一般式(6)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R66としては、一般式(6)で表される繰り返し単位を与える単量体の共重合性の観点から水素原子が好ましい。
上記Rで表される2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば上記Rにおいて例示した基と同様のものが挙げられる。Rとしては、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
また、上記R63及びRは互いに結合し、環構造を形成してもよい。上記環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数5〜20の環構造が好ましく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造がより好ましく、シクロヘキサン構造がさらに好ましい。
上記一般式(6)におけるRの有機基が、酸分解性基を含む基であることが好ましい。
一般式(6)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式(6−1)又は(6−2)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式(6−1)及び(6−2)中、R61、R62、R63、R65、R66、及びRは、上記一般式(6)中のR61、R62、R63、R65、R66、及びRと同義である。
一般式(6−1)中、R67は2価の有機基である。但し、R63及びR67が環構造を表す場合、Rは単結合ではない。
一般式(6−2)中、R68及びR69は、それぞれ独立して2価の有機基であり、これらの基が互いに結合し、環構造を形成してもよい。
上記R67としては、炭素数1〜20の2価の有機基が好ましく、鎖状炭化水素基、エステル基含有鎖状炭化水素基、エステル基含有脂環式炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rとしては、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基が好ましい。
上記R68及びR69としては、炭素数1〜20の2価の有機基が好ましく、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記R68及びR69が互いに結合して環構造を形成する場合、環員数3〜20の環構造が好ましい。
一般式(6)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式(6−1−1)〜(6−1−7)、(6−2−1)〜(6−2−3)のいずれかで表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式中、R65は、上記一般式(6−1)中のR65と同義であり、R66は、上記一般式(6−2)中のR66と同義である。
これらの中でも、一般式(6−1−2)、(6−1−4)、(6−1−7)、又は(6−2−1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
また、一般式(6)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(6−1A)又は(6−2A)で表される繰り返し単位も好ましい。
一般式(6−1A)及び(6−2A)中、R61〜R63、R65、R66、及びR68は、それぞれ上記一般式(6−1)及び(6−2)中のR61〜R63、R65、R66、及びR68と同義である。R610、R611及びR612は、それぞれ独立してR610が1価の有機基、R611が1価の有機基、R612が単結合又は2価の有機基であるか、これらの基のうち2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する。ただし、R611が炭素−炭素二重結合を有する場合、R610は水素原子であってもよい。
上記R610及びR611で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基であることが好ましく、例えば1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
上記1価の炭化水素基としては、例えば上記R63の1価の炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基及び置換基としては、例えば上記R64において例示したヘテロ原子含有基及び置換基と同様の基等が挙げられる。
上記R612で表される2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の有機基が好ましく、例えば上記R64の2価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記R610〜R612のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する場合は、環員数3〜20の脂環構造が好ましく、例えば、
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等のシクロアルカン構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の多環の脂環構造などが挙げられる。
また、上記R611としては下記式(A)で表される基が好ましい。
上記式(A)中、*は、上記R610及びR612が結合する炭素原子に結合する部位を示す。R613、R614及びR615は、水素原子又は1価の有機基である。
上記R613、R614及びR615で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましく、例えばR610及びR611の1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。R613、R614及びR615としては、これらの中で、水素原子、鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
一般式(6−1A)又は(6−2A)で表される繰り返し単位としては、例えば下記式(6−1A−1)〜(6−1A−17)並びに(6−2A−1)及び(6−2A−2)のいずれかで表される繰り返し単位等が挙げられる。
一般式(6)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−90868号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
<一般式(7)で表される繰り返し単位>
一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
73は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
74は、1価の炭化水素基を表し、
75は、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
76、R77及びR78は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
n71は、0又は1を表す。
76、R77及びR78は、これらのうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成してもよい。
ただし、R75が1価の鎖状炭化水素基である場合、R76、R77及びR78のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する。
一般式(7)で表される繰り返し単位は極性基であるカルボキシ基の水素原子を置換する基(脱離基)を含む酸分解性基である。また、一般式(7)で表される繰り返し単位は、上記R76、R77及びR78が結合する炭素―炭素二重結合を含む。これにより、露光時において、上記炭素―炭素二重結合が上記酸分解性基の分解を促進させる。
上記R71又はR72で表されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
上記R71及びR72としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記R73で表されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば上記R71及びR72で表される基として例示した炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
上記R73で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはフッ素原子が好ましい。この場合、上記R73はフッ素化アルキル基となる。フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましい。炭素数1〜5のフッ素化アルキル基としては、例えば上記R71又はR72で表される基として例示した炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
上記R73としては、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R74で表される1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記R74で表される1価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
上記R74としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基が好ましく、非置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基がより好ましい。
上記R75で表される1価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば上記R74で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基等が挙げられる。
上記R75で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば上記R74で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基等が挙げられる。
上記R75で表される1価の環状炭化水素基としては、炭素数3〜20の1価の環状炭化水素基が好ましい。炭素数3〜20の1価の環状炭化水素基としては、例えば1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記R74で表される基として例示した1価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば上記R74で表される基として例示した1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記R75で表される炭素数3〜20の1価の環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば上記R74で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基等が挙げられる。
上記R75としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、置換又は非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基が好ましく、置換又は非置換のアダマンチル基がより好ましく、置換又は非置換のアダマンタン−1−イル基がさらに好ましく、非置換のアダマンタン−1−イル基が特に好ましい。
上記R76、R77及びR78で表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
上記1価の炭化水素基としては、例えば上記R74で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基とは、構造中に2価以上のヘテロ原子を有する基をいう。上記ヘテロ原子含有基はヘテロ原子を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。
上記ヘテロ原子含有基が有する2価以上のへテロ原子としては、2価以上の原子価を有するヘテロ原子であれば特に限定されず、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば
−O−、−SO−、−SO−、−SOO−等のヘテロ原子のみからなる基;
−CO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−OCOO−、−OCOS−、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−SCSS−等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
上記これらの基の水素原子の一部又は全部を置換する置換基としては、例えば上記R74で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基等が挙げられる。
上記R76、R77及びR78のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成してもよい。上記脂環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造が好ましく、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等のシクロアルケン構造等が挙げられる。
上記R76、R77及びR78としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、水素原子及び炭素数1〜20の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子及び炭素数1〜10の1価の炭化水素基がより好ましい。
上記R76、R77及びR78のうちの2つ以上が互いに結合し、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、環員数3〜20のシクロアルケン構造が好ましい。
上記n71としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、0が好ましい。n71が0を表す場合、R74及びR75が結合している炭素原子とR78が結合している炭素原子とが直接結合(単結合)している。
上記一般式(7)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式で表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記式において、R71、R72及びR73は、それぞれ上記一般式(7)中のR71、R72及びR73と同義である。
一般式(7)で表される繰り返し単位は例えば特開2016−166958号公報などに記載の公知の方法で得ることができる。
繰り返し単位(a−2)は、一般式(7)で表される繰り返し単位であることが保存安定性の観点から好ましい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−2)の種類は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−2)の含有量(繰り返し単位(a−2)が2種以上の場合は、その総量)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5〜60モル%であることが好ましく、10〜40モル%であることがより好ましく、15〜30モル%であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、酸の拡散が適度に制御される。
[繰り返し単位(a−3)]
膜の溶解性制御の観点から、樹脂(A)は、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位(a−3)を有することが好ましい。
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は5〜7員環スルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式LC1−1〜LC1−21のいずれかで表されるラクトン構造、又は下記一般式SL1−1〜SL1−3のいずれかで表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがさらに好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としてはLC1−1、LC1−4、LC1−5、LC1−8、LC1−16、LC1−21、SL1−1である。
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、及び酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R−Z−は存在せず、単結合となる。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。Rは、複数個ある場合には各々独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zは、複数個ある場合には各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、又はエステル結合であり、より好ましくはエステル結合である。
樹脂(A)は、カーボネート構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。カーボネート構造は、環状炭酸エステル構造であることが好ましい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A−1)中、R は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
nは0以上の整数を表す。
は、置換基を表す。R は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環構造又は多環構造を形成する原子団を表す。
以下に一般式(III)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例、及び一般式(A−1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(III))におけるR及び一般式(A−1)におけるR がメチル基である場合に相当するが、R及びR は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
上記モノマーの他に、下記に示すモノマーも好適に用いられる。
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0370]〜[0414]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)に含まれるラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位の含有量(ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5〜70モル%であることが好ましく、10〜65モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
[繰り返し単位(a−4)]
酸の拡散制御の観点から、樹脂(A)は、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、酸の作用により分解し、極性が増大する基(酸分解性基)を含む繰り返し単位(a−4)を含むことが好ましい。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(「脱離基」又は「保護基」とも呼ぶ。)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、ならびにアルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基など)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12以上20以下の水酸基であることが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、及びスルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸の作用により脱離する基(脱離基)で置換した基である。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、及び−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、及びオクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等を挙げることができる。
36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
酸分解性基として、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、又は第3級のアルキルエステル基等が好ましく、アセタール基、又は第3級アルキルエステル基がより好ましい。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx〜Rxのいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−COO−Rt−、及び−O−Rt−等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−が好ましい。Rtは、炭素数1〜5の鎖状アルキレン基が好ましく、−CH−、−(CH−、又は−(CH−がより好ましい。Tは、単結合であることがより好ましい。
Xaは、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Xaのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xaのアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xaのアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
Rx、Rx及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基などが好ましく挙げられる。アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。Rx、Rx及びRxのアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx、Rx及びRxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、及びシクロオクタン環などの単環のシクロアルカン環、又はノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環などの多環のシクロアルキル環が好ましい。シクロペンチル環、シクロヘキシル環、又はアダマンタン環がより好ましい。Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、下記に示す構造も好ましい。
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(AI)におけるXaがメチル基である場合に相当するが、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0336]〜[0369]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
また、樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0363]〜[0364]に記載された酸の作用により分解してアルコール性水酸基を生じる基を含む繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−4)の含有量(繰り返し単位(a−4)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜70モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、上記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、極性基を有する繰り返し単位(a−5)を有してもよい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、及びフッ素化アルコール基等が挙げられる。
極性基を有する繰り返し単位(a−5)は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。また、極性基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。極性基で置換された脂環炭化水素構造における、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、又はノルボルナン基が好ましい。
以下に極性基を有する繰り返し単位(a−5)に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。
この他にも、極性基を有する繰り返し単位(a−5)の具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0415]〜[0433]に開示された繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(A)は、極性基を有する繰り返し単位(a−5)を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
極性基を有する繰り返し単位(a−5)の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、10〜25モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、更に、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)を有することができる。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)は、脂環炭化水素構造を有することが好ましい。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)としては、例えば、米国特許出願公開2016/0026083A1号明細書の段落[0236]〜[0237]に記載された繰り返し単位が挙げられる。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
この他にも、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0433]に開示された繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(A)は、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、上記の繰り返し単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、単量体に相当する繰り返し単位を挙げることができるが、これらに限定されない。
単量体としては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光の透過性の観点から樹脂(A)は実質的には芳香族基を有さないことが好ましい。より具体的には、樹脂(A)の全繰り返し単位中、芳香族基を有する繰り返し単位が全体の5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%、すなわち芳香族基を有する繰り返し単位を有さないことが更に好ましい。また、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
樹脂(A)は、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されることが好ましい。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が樹脂(A)の全繰り返し単位に対して50モル%以下であることが好ましい。
本発明の組成物が、KrF露光用、EB露光用又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)は芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。樹脂(A)がフェノール性水酸基を含む繰り返し単位を含むことがより好ましい。フェノール性水酸基を含む繰り返し単位としては、ヒドロキシスチレン繰り返し単位やヒドロキシスチレン(メタ)アクリレート繰り返し単位を挙げることができる。
本発明の組成物が、KrF露光用、EB露光用又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)は、フェノール性水酸基の水素原子が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
この場合、樹脂(A)に含まれる芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、30〜100モル%が好ましく、40〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%が更に好ましい。
本発明の組成物は、ArF露光用であることが特に好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、3,000〜15,000が更に好ましく、5,000〜15,000が特に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0であり、1.0〜2.6が好ましく、1.0〜2.0がより好ましく、1.1〜2.0が更に好ましい。
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の全固形分中の樹脂(A)の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。本発明の組成物の全固形分中の樹脂(A)の含有量の上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。
<活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)>
本発明の組成物は、活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)(「光酸発生剤(B)」とも呼ぶ。)を含有する。
光酸発生剤(B)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤(B)としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo−ニトロベンジルスルホネート化合物を挙げることができる。
光酸発生剤(B)としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]〜[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]〜[0094]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]〜[0402]に開示された公知の化合物を光酸発生剤(B)として好適に使用できる。
光酸発生剤(B)の好適な態様としては、例えば、下記一般式(ZI)、(ZII)及び(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30であり、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び−CH−CH−O−CH−CH−を挙げることができる。
-は、アニオンを表す。
一般式(ZI)におけるカチオンの好適な態様としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
なお、光酸発生剤(B)は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
まず、化合物(ZI−1)について説明する。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖アルキル基、炭素数3〜15の分岐アルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立にアルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、又はフェニルチオ基を置換基として有してもよい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含する。
201〜R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1〜30であり、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基、さらに好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基又は炭素数3〜10の分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、ならびに炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)は、下記一般式(ZI−3)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)中、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、各々独立に酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、及びペンチレン基等を挙げることができる。
5cとR6c、及びR5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等を挙げることができる。
Zcは、アニオンを表す。
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
一般式(ZI−4)中、
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合は各々独立して、水酸基などの上記基を表す。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子などのヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基は、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基等がより好ましい。
次に、一般式(ZII)、及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基又は炭素数3〜10の分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基等を挙げることができる。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI)におけるZ-、一般式(ZII)におけるZ-、一般式(ZI−3)におけるZc、及び一般式(ZI−4)におけるZ-としては、下記一般式(30)で表されるアニオンが好ましい。
一般式(30)中、
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfは、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。複数存在する場合のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
及びRとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4が好ましい。R及びRは、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例および好適な態様は一般式(30)中のXfの具体例および好適な態様と同じである。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。これらの中でも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が好ましい。
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
一般式(30)で表されるアニオンとしては、SO −CF−CH−OCO−(L)q’−W、SO −CF−CHF−CH−OCO−(L)q’−W、SO −CF−COO−(L)q’−W、SO −CF−CF−CH−CH−(L)q−W、SO −CF−CH(CF)−OCO−(L)q’−Wが好ましいものとして挙げられる。ここで、L、q及びWは、一般式(30)と同様である。q’は、0〜10の整数を表す。
一態様において、一般式(ZI)におけるZ-、一般式(ZII)におけるZ-、一般式(ZI−3)におけるZc、及び一般式(ZI−4)におけるZ-としては、下記の一般式(4−Z−1)で表されるアニオンも好ましい。
一般式(4−Z−1)中、
B1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
B3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(30)と同様である。
一般式(ZI)におけるZ-、一般式(ZII)におけるZ-、一般式(ZI−3)におけるZc、及び一般式(ZI−4)におけるZ-は、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐アルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
一般式(ZI)におけるZ-、一般式(ZII)におけるZ-、一般式(ZI−3)におけるZc、及び一般式(ZI−4)におけるZ-としては、下記の一般式(SA1)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有しても良い置換基としては、フッ素原子、水酸基などが挙げられる。
nは、0以上の整数を表す。nは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3であり、最も好ましくは3である。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基等を挙げることができる。
Bは、炭化水素基を表す。
好ましくは、Dは単結合であり、Bは脂肪族炭化水素構造である。Bは、イソプロピル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
一般式(ZI)におけるスルホニウムカチオン、及び一般式(ZII)におけるヨードニウムカチオンの好ましい例を以下に示す。
一般式(ZI)、一般式(ZII)におけるアニオンZ-、一般式(ZI−3)におけるZc、及び一般式(ZI−4)におけるZ-の好ましい例を以下に示す。
上記のカチオン及びアニオンを任意に組みわせて光酸発生剤(B)として使用することができる。
光酸発生剤(B)は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤(B)は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤(B)が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤(B)が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤(B)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤(B)の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜35質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。
光酸発生剤(B)として、上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を含む場合、組成物中に含まれる光酸発生剤(B)の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、5〜35質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましい。
<酸拡散制御剤(D)>
本発明の組成物は、酸拡散制御剤(D)を含有することが好ましい。酸拡散制御剤(D)は、露光時に酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用することができる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]〜[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]〜[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]〜[0423]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]〜[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤(D)として好適に使用できる。
塩基性化合物(DA)としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物(DA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又はピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、及びピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<−1を満たすことが好ましく、−13<pKa<−1がより好ましく、−13<pKa<−3が更に好ましい。
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きいことを示す。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測できる。あるいは、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
本発明の組成物では、光酸発生剤(B)に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)を酸拡散制御剤として使用することができる。
光酸発生剤(B)と、光酸発生剤(B)から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤(B)から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
光酸発生剤(B)に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物であることが好ましい。
式中、R51は炭化水素基であり、Z2cは炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yはアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mは各々独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンを挙げることができる。
光酸発生剤(B)に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、上記カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(C−1)〜(C−3)中、
、R、及びRは、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−Xは、−COO、−SO 、−SO 、及び−N−Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(−C(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)、及びスルフィニル基(−S(=O)−)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及びLは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C−3)において、R〜Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
〜Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
2価の連結基としてのLは、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されない。
化合物(DD)は、下記一般式(60)で表される構造を有するものであることが好ましい。
一般式(60)において、
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(60)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体的な構造としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子など)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体的な構造としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されない。
酸拡散制御剤(D)の好ましい例を以下に示す。
本発明の組成物において、酸拡散制御剤(D)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸拡散制御剤(D)の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%、がより好ましい。
<疎水性樹脂(E)>
本発明の組成物は、疎水性樹脂(E)を含有してもよい。なお、疎水性樹脂(E)は、樹脂(A)とは異なる樹脂であることが好ましい。
本発明の組成物が、疎水性樹脂(E)を含有することにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面における静的/動的な接触角を制御することができる。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂(E)は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂(E)は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂(E)における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂(E)がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(E)は、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、及びスルホン酸エステル基(−SOO−)などが挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(−COO−)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。あるいは、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%が好ましく、3〜98モル%がより好ましく、5〜95モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1〜80モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)に含まれる全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)に含まれる全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂(E)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含有しない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(E)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂(E)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。
疎水性樹脂(E)に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3の範囲である。
疎水性樹脂(E)としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用することができる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の段落[0451]〜[0704]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0340]〜[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂(E)として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0177]〜[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位として好ましい。
疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位の好ましい例に相当するモノマーを以下に示す。
疎水性樹脂(E)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(E)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂(E)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
<溶剤(F)>
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]〜[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]〜[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]〜[0426]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]〜[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤として、構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、及び水酸基を含有しない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2−ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を含有しない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量比)は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜60/40がより好ましい。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤ででもよい。
<架橋剤(G)>
本発明の組成物は、酸の作用により樹脂を架橋する化合物(以下、架橋剤(G)ともいう)を含有してもよい。架橋剤(G)としては、公知の化合物を適宜に使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0147154A1号明細書の段落[0379]〜[0431]、米国特許出願公開2016/0282720A1号明細書の段落[0064]〜[0141]に開示された公知の化合物を架橋剤(G)として好適に使用できる。
架橋剤(G)は、樹脂を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環、及びオキセタン環などを挙げることができる。
架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、オキシラン環又はオキセタン環であることが好ましい。
架橋剤(G)は、架橋性基を2個以上有する化合物(樹脂も含む)であることが好ましい。
架橋剤(G)は、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する、フェノール誘導体、ウレア系化合物(ウレア構造を有する化合物)又はメラミン系化合物(メラミン構造を有する化合物)であることがより好ましい。
架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(G)の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
<界面活性剤(H)>
本発明の組成物は、界面活性剤を含有してもよいし、含有しなくてもよい。界面活性剤を含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを得ることができる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げることができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm以上とすることにより、疎水性樹脂の表面偏在性が上がる。それにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性が向上する。
(その他の添加剤)
本発明の組成物は、更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、又は溶解促進剤等を含有してもよい。
<調製方法>
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002−62667号明細書(特開2002−62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
本発明の組成物からなる感活性光線性膜又は感放射線性膜の膜厚は、解像力向上の観点から、90nm以下が好ましく、85nm以下がより好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性又は製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の組成物の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、2.0〜5.7質量%が好ましく、2.0〜5.3質量%がより好ましい。固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。
<用途>
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるレジストパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用することができる。
〔パターン形成方法〕
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明の感活性光線性又は感放射線性膜(典型的には、レジスト膜)についても説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)上述した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程(成膜工程)、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程(露光工程)、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、上記(i)〜(iii)の工程を含んでいれば特に限定されず、更に下記の工程を有していてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)成膜工程、(ii)露光工程、及び(iii)現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、必要に応じて、感活性光線性又は感放射線性膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
感活性光線性又は感放射線性膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用することができる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性膜の上層に保護膜を形成してもよい
支持体は、特に限定されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を用いることができる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO2、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等を挙げることができる。これらの中でも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1〜200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、又は電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましい。
(iii)現像工程においては、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含有する現像液(以下、有機系現像液ともいう)であってもよい。
本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
本発明においては、有機溶剤を含有する現像液であることが、楕円パターンの形成におけるCDU性能良化の観点から好ましい。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、及び環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
さらに、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含有してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10〜15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10〜300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整することができる。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソブチル、及びプロピオン酸ブチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0715]〜[0718]に開示された溶剤を使用できる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満であることが更に好ましく、実質的に水分を含有しないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が更に好ましく、95質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
有機系現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含有できる。
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
有機系現像液は、上述した酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、又は一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等を適用することができる。
アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)、及び有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)を組み合わせてもよい。これにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、より微細なパターンを形成することができる。
(iii)現像工程の後に、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、例えば純水を使用できる。純水は、界面活性剤を適当量含有してもよい。この場合、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を追加してもよい。更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行ってもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含有するリンス液がより好ましい。
リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、又は環状の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
リンス液は、界面活性剤を適当量含有してもよい。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等を適用することができる。中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000〜4,000rpm(rotation per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40〜160℃であり、70〜95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒〜3分であり、30秒〜90秒が好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、又はトップコート形成用組成物等)は、金属成分、異性体、及び残存モノマー等の不純物を含まないことが好ましい。上記の各種材料に含まれるこれらの不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、100ppt以下がより好ましく、10ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。フィルターとしては、日本国特許出願公開第2016−201426号明細書(特開2016−201426)に開示されるような溶出物が低減されたものが好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用することができる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016−206500号明細書(特開2016−206500)に開示されるものを挙げることができる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
上記の各種材料は、不純物の混入を防止するために、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015−123351号明細書(特開2015−123351)、日本国特許出願公開第2017−13804号明細書(特開2017−13804)等に記載された容器に保存されることが好ましい。
本発明のパターン形成方法により形成されるパターンに、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0104957号明細書に開示された、水素を含有するガスのプラズマによってレジストパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、日本国特許出願公開第2004−235468号明細書(特開2004−235468)、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N−1“EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991−270227号明細書(特開平3−270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
〔電子デバイスの製造方法〕
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されない。
(樹脂A−1の合成)
化合物(M−1−1−1)1.6g(10モル%)、化合物(M−7−1−1)4.4g(20モル%)、化合物(M’−1−1)7.2g(40モル%)及び化合物(M’−6−1)5.3g(30モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてV−601(和光純薬工業株式会社製)を0.93g(全単量体に対して5モル%)添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、さらにろ別し、50℃で12時間乾燥させて白色粉末状の樹脂A−1を合成した(12.9g、収率70%)。
樹脂A−2〜A−24についても上記と同様にして合成した。
樹脂A−1〜A−24の構造、各繰り返し単位の含有量(モル%)、重量平均分子量(Mw)、及び、分散度(Mw/Mn)を下記表1に示す。表1中、繰り返し単位(a−1)、(a−2)及び(a−3)について、複数の繰り返し単位を有するものは、「/」で区切って示しているが、各繰り返し単位の種類と含有量とは左から順に対応している。
表1における樹脂A−1〜A−24の各繰り返し単位を以下に示す。
(レジスト組成物の調製)
下記表2に示す樹脂(A)、光酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(D)及び疎水性樹脂(E)の各成分を同表に示す含有量(全固形分に対する質量%)で、全固形分濃度が4質量%になるように同表に示す溶剤(F)に溶解させ、それぞれを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)を調製した。
表2における光酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(D)、疎水性樹脂(E)、及び溶剤(F)は下記の通りである。Meはメチル基を表す。
〔光酸発生剤(B)〕
〔酸拡散制御剤(D)〕
〔疎水性樹脂(E)〕
〔溶剤(F)〕
F−1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)
F−2: シクロヘキサノン
F−3: γ−ブチロラクトン
〔実施例1〕
≪ラインアンドスペースパターンの形成≫
シリコンウエハ上に有機反射防止膜形成用組成物SOC9110D(BrewerScience社製)を塗布し205℃で60秒間加熱することで厚さ100nmの下層膜を形成した。次いでSi含有反射防止膜形成用組成物S10198A(BrewerScience社製)を塗布し205℃で60秒間加熱することで厚さ50nmの中間層(反射防止膜)を形成した。得られた反射防止膜上にレジスト組成物(resist−1)を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
上記のようにして得られたレジスト膜を形成したウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA(numerical aperture)1.20、C−Quad、アウターシグマ0.900、インナーシグマ0.812、XY偏向)を用い、線幅48nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を用いた。その後、95℃で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、有機現像液である酢酸ブチルで30秒間パドルして現像し、リンス液〔メチルイソブチルカルビノール(MIBC)〕で30秒間パドルしてリンスした。続いて、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、線幅48nmの1:1ラインアンドスペースのパターンを形成した。
≪楕円パターンの形成≫
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(Brewer社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い膜厚98nmの反射防止膜を形成し、その上に、レジスト組成物(resist−1)を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
上記のようにして得られたレジスト膜を形成したウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、Annular、アウターシグマ0.7、インナーシグマ0.4、XY偏向)を用い、非露光部(遮光部)のX軸方向のサイズが50nm、ピッチ(図1のP1)が100nm、非露光部(遮光部)のY軸方向のサイズが70nm、ピッチ(図1のP2)が140nmのパターン形成用のマスク(6%ハーフトーン)を介して露光した。上記マスクは、図1に示すように非露光部(遮光部)1がX軸方向及びY軸方向に行列状に配置されている。非露光部のX軸方向の間隔W1は50nmであり、非露光部のY軸方向の間隔W2は70nmである。液浸液としては超純水を使用した。その後90℃のPEB温度で60秒間加熱した後、有機現像液である酢酸ブチルで30秒間現像し、スピン乾燥して楕円パターン(楕円ホールパターン)を得た。
〔実施例2〜22、比較例1、2〕
レジスト組成物を表3に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして、ラインアンドスペースパターン及び楕円パターンを形成した。
〔実施例23、24〕
レジスト組成物を表3に記載のものに変更し、現像液としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)を用い、次いで純水でリンスすること以外は実施例1と同様にして、ポジ型のラインアンドスペースパターンを形成した。また、レジスト組成物を表3に記載のものに変更し、露光部2のX軸方向のサイズ(図2のW1)が50nm、ピッチ(図2のP1)が100nm、露光部2のY軸方向のサイズ(図2のW2)が70nm、ピッチ(図2のP2)が140nmのパターン形成用のマスク(6%ハーフトーン)を用い、現像液としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)を用い、次いで純水でリンスすること以外は実施例1と同様にして、ポジ型の楕円パターン(楕円ホールパターン)を形成した。上記マスクは、図2に示すように露光部2がX軸方向及びY軸方向に行列状に配置され、X軸方向には50nm間隔で、Y軸方向には70nm間隔でそれぞれ配置されている。
≪評価≫
(露光ラチチュード;EL性能)
線幅48nmの1:1ラインアンドスペース(ピッチ96nm、スペース幅48nmのラインアンドスペース)のレジストパターンを形成する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズの±10%(即ち、43.2nmから52.8nmの範囲内)を許容する露光量幅を求めた。この値を最適露光量で割って、以下のとおり、露光ラチチュード(EL)を求めた。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、ELが良好であることを示す。
EL(%)=[(スペース幅が43.2nmとなる露光量)−(スペース幅が52.8nmとなる露光量)]÷最適露光量×100
−評価指標−
A:EL=30%以上
B:EL=25%以上30%未満
C:EL=20%以上25%未満
D:EL=15%以上20%未満
E:EL=15%未満
(エッチング後のパターンの形状)
線幅48nmの1:1ラインアンドスペース(ピッチ96nm、スペース幅48nmのラインアンドスペース)を形成したシリコンウエハについて、平行平板型リアクティブイオンエッチング装置DES−245R(プラズマシステム社製)を用い、下記エッチング条件にて下層膜をエッチングした。まずエッチング条件1にて、レジスト膜をマスクに中間層S10198Aを加工し、次いで中間層をマスクにエッチング条件2にて下層膜SOC9110Dを加工した。加工後の下層膜パターンの形状を、断面SEM(日立社製S4800)によって観察した。
−エッチング条件1−
エッチングガス:CF 圧力:20mTorr 印加パワー:100mW/cm
−エッチング条件2−
エッチングガス:O 圧力:20mTorr 印加パワー:100mW/cm
1Torrは約133.322Paである。
−評価指標−
A:断面形状でのシリコンウエハと下層膜パターンのなす角度Xが87°以上94°未満
B:断面形状でのシリコンウエハと下層膜パターンのなす角度Xが94°以上101°未満
C:断面形状でのシリコンウエハと下層膜パターンのなす角度Xが101°以上
(局所的なパターン寸法の均一性;CDU)
測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)により、得られた楕円パターンにおけるホールサイズを観察し、X軸方向のホールサイズ(ホールのX軸方向のサイズのうち最大のサイズ)が50nmの楕円パターンを解像する時の最適露光量を感度(Eopt)(mJ/cm)とした。
最適露光量で露光された1ショット内において、互いの間隔が1μmの20箇所の領域において、各領域ごとに任意の25個(すなわち、計500個)のX軸方向のホールサイズを測定し、これらの標準偏差(σ)を求め、3σを算出した。値が小さいほど寸法のばらつきが小さく、良好な性能であることを示す。
−評価指標−
A:CDU=3.0nm未満
B:CDU=3.0nm以上4.0nm未満
C:CDU=4.0nm以上5.0nm未満
D:CDU=5.0nm以上6.0nm未満
E:CDU=6.0nm以上
評価結果を下記表3に示す。なお下記表に用いられた略号は以下のとおりである。
TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)
表3より、本発明における樹脂(A)を含有する組成物を用いた実施例は、樹脂(A)を含有しない組成物を用いた比較例と比較して、EL性能、エッチング後のパターン形状、及び楕円パターン形成時におけるCDUが優れたものとなった。
1 非露光部(遮光部)
2 露光部
W1 X軸方向の露光部の間隔
W2 Y軸方向の露光部の間隔
P1 X軸方向のパターンのピッチ
P2 Y軸方向のパターンのピッチ

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a−1)と、
    記一般式(7)で表される繰り返し単位(a−2)と、
    を有する樹脂(A)、及び、
    活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)
    を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

    一般式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
    13は、1価のカルボニル炭化水素基を表し、
    14は、水素原子又は1価の有機基を表し、
    11 は、−O−を表し、X 12、−O−又は−NR101−を表し、R101は、水素原子、1価の炭化水素基、又は、1価のフッ素化炭化水素基を表し、
    11は、フェニレン基、ナフチレン基、又は−CO−を表す。
    13とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
    101とR13は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
    101とR14は、互いに結合し、環構造を形成してもよい。

    一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
    73は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
    74は、1価の炭化水素基を表し、
    75は、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
    76、R77及びR78は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
    n71は、0を表す。
    76、R77及びR78は、これらのうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成してもよい。
    ただし、R75が1価の鎖状炭化水素基である場合、R76、R77及びR78のうちの2つ以上が互いに結合し、脂環構造を形成する。
  2. 前記一般式(7)中のR75が1価の脂環式炭化水素基である、請求項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(A)がさらに、前記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、酸の作用により分解し極性が増大する基を含む繰り返し単位(a−4)を有する、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  4. 前記樹脂(A)がさらに、前記繰り返し単位(a−1)及び(a−2)とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む繰り返し単位(a−3)を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される感活性光線性又は感放射線性膜。
  6. (i)請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程、
    (ii)前記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
    (iii)前記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、
    を有するパターン形成方法。
  7. 前記現像液が有機溶剤を含有する、請求項に記載のパターン形成方法。
  8. 請求項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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