JP6428389B2 - 感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]酸発生体及び[C]溶媒を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい第2重合体(以下、「[D]重合体」ともいう。)、[E]酸拡散制御体及び[F]偏在化促進剤を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物は、構造単位(I)を有する[A]重合体を含有することで、LWR性能、エッチング耐性、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度及びレジスト膜収縮抑制性(以下、これらをまとめて「LWR性能等」ともいう。)を向上させることができる。
構造単位(I)は、下記式(1)で表される構造単位である。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
−O−、−SO−、−SO2−、−SO2O−等のヘテロ原子のみからなる基;
−CO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−OCOO−、−OCOS−、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−SCSS−等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等のシクロアルケン構造等が挙げられる。
構造単位(II)は、下記式(2)で表される構造単位であり、カルボキシ基の水素原子を置換する酸解離性基を含む。[A]重合体が構造単位(II)を有すると、露光部の現像液に対する溶解性がより向上する。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基等の単環のアリール基;
ナフチル基、アントリル基等の多環のアリール基などが挙げられる。
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の単環のアラルキル基;
ナフチルメチル基、アントリルメチル等の多環のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等の単環のシクロアルカン構造;
デカヒドロナフタレン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の多環のシクロアルカン構造などが挙げられる。
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを有する構造単位である。[A]重合体が構造単位(III)を有すると、レジスト膜と基板との密着性等、レジスト基本特性がより向上する。また、レジスト膜の現像液への溶解性がより向上する。なお、構造単位(III)は、構造単位(I)の酸解離性基及び構造単位(II)の酸解離性基を含まない。
構造単位(IV)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である(ただし、構造単位(I)〜(III)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(IV)をさらに有することで、現像液に対する溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。また、得られるレジストパターンの基板への密着性を向上させることができる。さらに、KrF露光、極端紫外線(EUV)露光又は電子線露光の場合、当該感放射線性樹脂組成物の感度を高めることができる。
構造単位(V)は、アルコール性水酸基を有する構造単位である(ただし、構造単位(I)〜(IV)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(V)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(V)以外にもその他の構造単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;
(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−n−プロピル等の不飽和カルボン酸のカルボキシアルキルエステル類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド等の不飽和アミド化合物;
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド化合物;
N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等の含窒素ビニル化合物などの単量体に由来する構造単位(VI)が挙げられる。
[A]重合体は、例えばラジカル開始剤を使用して所定の各構造単位に対応する単量体を適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
[B]酸発生体は、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体等が有する酸解離性基を解離させる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ということがある。)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
2価の連結基として、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、イミノ基、アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アリーレン基、アラルキレン基等が挙げられる。
3価の連結基として、アルカントリイル基、シクロアルカントリイル基、アレーントリイル基等が挙げられる。
4価の連結基として、アルカンテトライル基、シクロアルカンテトライル基、アレーンテトライル基等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物に含まれる[C]溶媒としては、少なくとも上記の[A]重合体、[B]酸発生体、及び必要に応じて加えられる任意成分を溶解又は分散できれば特に限定されず、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールジアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率(質量%)が大きい[D]重合体を含有していてもよい。当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有すると、レジスト膜を形成した際に、膜中の[D]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があるため、液浸露光時における[B]酸発生剤、後述する[E]酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[D]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなるため、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[E]酸拡散制御体を含有していてもよい。[E]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御することによって、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、当該感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上するため、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができる。これにより、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。当該感放射線性樹脂組成物における[E]酸拡散制御体の含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[E]酸拡散制御剤」ということがある。)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、[F]偏在化促進剤を含有していてもよい。[F]偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有する場合等に、[D]重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有するものである。当該感放射線性樹脂組成物に[F]偏在化促進剤を含有させることで、[D]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、LWR性能を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を効果的に抑制できる。[F]偏在化促進剤としては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分として、脂環式骨格化合物、界面活性剤、増感剤等のその他の成分を含有していてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、上記脂環式骨格化合物を含んでいると、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善することができる。脂環式骨格化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、上記界面活性剤を含んでいると、塗布性、ストリエーション、現像性等をさらに改善することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加させる作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒及び任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。混合する際の組成物中の固形分([C]溶媒以外の成分)の濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。また、上記濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。また、当該感放射線性樹脂組成物は、その使用に際して、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって調製される。
当該レジストパターン形成方法は、感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう。)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)、及び現像液で上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう。)を備えるレジストパターン形成方法であって、上記感放射線性樹脂組成物として、当該感放射線性樹脂組成物を用いる。
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、レジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウエハ等の従来公知のものなどが挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介する等して、露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(波長13.5nm、EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
本工程では、現像液を用い、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンが形成される。上記現像液としては、例えばアルカリ現像液、有機溶媒を含有する現像液等が挙げられる。
GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
[合成例1](化合物(M−1)の合成)
300mLの丸底フラスコにビニルマグネシウムブロミドの1.0Mテトラヒドロフラン溶液を96mL加え、水浴中で撹拌を開始した。そこへ、下記式の(m−1)で表わされる1−アセチルアダマンタン8.56g(48.0mmol)をテトラヒドロフラン30mLに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した後、50℃で5時間撹拌した。室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止させ酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで下記式の(m−2)で表わされるアルコール体8.81g(収率89%)を得た。次いで、300mLの丸底フラスコにアルコール体(m−2)8.81g(42.7mmol)、トリエチルアミン6.31g(62.4mmol)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)1.62g(14.4mmol)、アセトニトリル50mLを加え水浴中で撹拌を開始した。そこへ、塩化メタクリロイル6.52g(62.4mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、50℃で24時間撹拌した。酢酸エチルを加えた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄し、飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより下記式の(M−1)で表わされる化合物8.37g(収率71%)を得た。
前駆体を適宜選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、下記式(M−2)〜(M−15)で表される化合物を合成した。
上記化合物(M−1)〜(M−15)とは別に、各実施例及び比較例における各重合体を合成するために下記の単量体を準備した。
化合物(M−1)11.05g(50モル%)及び化合物(M’−1)8.95g(50モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.66g(全単量体に対して5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(16.9g、収率85%)。重合体(A−1)のMwは7,400であり、Mw/Mnは1.54であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)及び化合物(M’−1)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ50.1モル%及び49.9モル%であった。
下記表1及び表2に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、合成例16と同様に操作して、重合体(A−2)〜(A−24)及び(CA−1)〜(CA−4)を合成した。表1及び表2中の「−」は、該当する単量体を用いなかったことを示す。
化合物(M’−3)46.99g(60モル%)、化合物(M−1)53.01g(40モル%)、開始剤としてAIBN3.97g(全単量体に対して5モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン1、14gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−25)を得た(67.8g、収率77%)。重合体(A−25)のMwは7,500であり、Mw/Mnは1.89であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン単位及び化合物(M−1)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ60.2モル%及び39.8モル%であった。
化合物(M’−14)79.9g(70モル%)及び化合物(M’−15)20.91g(30モル%)を、100gの2−ブタノンに溶解し、開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート4.77gを溶解させて単量体溶液を調製した。次いで100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。反応溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンで上記重合溶液を均一に希釈し、600gのメタノールを投入して混合した。次いで30gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。次いで、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、固形分である重合体(D−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(D−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M’−14)及び化合物(M’−15)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。
下記実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]溶媒、[E]酸拡散制御剤及び[F]偏在化促進剤を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:ノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
各酸発生剤の構造式を以下に示す。
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
E−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
E−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
E−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
E−4:2,6−ジi−プロピルアニリン
E−5:トリn−ペンチルアミン
各酸拡散制御剤の構造式を以下に示す。
F−1:γ−ブチロラクトン
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,240質量部及び(C−2)960質量部、[D]重合体としての(D−1)3質量部、[E]酸拡散制御剤としての(E−1)2.3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより実施例1の感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記表3及び表4に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2〜28及び比較例1〜4の感放射線性樹脂組成物を調製した。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成したパターンが、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される場合の露光量を最適露光量とした。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を下記表5及び表6に示す。
上記走査型電子顕微鏡を用いてレジストパターンを上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能とした。LWR性能は、値が小さいほど良いことを示す。LWR性能は、3.5nm以下の場合は良好と、3.5nmを超える場合は不良と評価できる。
上記最適露光量において、ラインアンドスペース(1L/1S)を形成するマスクパターンのサイズを変えた場合に解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定値を解像性(nm)とした。解像性は、値が小さいほど良いことを示す。解像性は、35nm以下の場合は良好と、35nmを超える場合は不良と評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの厚さ方向の中央部での線幅Lbと、レジストパターンの頂部での線幅Laとを測定した。次いでLa/Lbを算出し、これを断面形状の矩形性の尺度とした。断面形状の矩形性は、0.9≦La/Lb≦1.1である場合は良好と、上記範囲外である場合は不良と評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定値を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、値が大きいほど良いことを示す。焦点深度は、50nm以上の場合は良好と、50nm未満の場合は不良と評価できる。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJ/cm2で全面露光を行った後に膜厚測定を実施し、平均膜厚A(nm)を求めた。続いて、90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し平均膜厚B(nm)を求めた。これらの平均膜厚A及びBの測定値から、100×(A−B)/Aを算出し、これをレジスト膜収縮抑制性(%)とした。結果を下記表5及び表6に示す。レジスト膜収縮抑制性は、値が小さいほど良いことを示す。レジスト膜収縮抑制性は、20%以下の場合は良好と、20%を超える場合は不良と評価できる。
直径8インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して実施例1〜4の各感放射線性樹脂組成物を塗布した後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて90℃で60秒間加熱し、平均膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次いで、このレジスト膜をエッチング装置(神鋼精機社の「EXAM」)によりCF4/Ar/O2でエッチング処理した。この際の条件は、CF4:40mL/min、Ar:20mL/min、O2:5mL/min、圧力:20Pa、RFパワー:200W、処理時間:15秒、及び温度:15℃とした。そして、エッチング処理後のレジスト膜の平均膜厚を測定し、エッチング処理前後の平均膜厚の差と処理時間(15秒)とからエッチングレート(nm/min)を算出した。測定値を下記表5に示す。エッチング耐性は、値が小さいほど良いことを示し、200nm/min未満の場合は良好と、200nm/minを超える場合は不良と評価できる。
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]溶媒としての(C−1)4280質量部及び(C−2)1830質量部、並びに[E]酸拡散制御剤としての(E−1)3.6質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより実施例29の感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記表7に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例29と同様に操作して、実施例30〜32及び比較例5の感放射線性樹脂組成物を調製した。
8インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表7に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記電子線露光により形成したレジストパターンについて、上記ArF露光の場合と同様に評価を実施した。評価結果を下記表8に示す。なお、電子線露光の場合、LWR性能は5.0nm以下の場合は良好と5.0nmを超える場合は不良と評価でき、解像性は33nm以下の場合は良好と33nmを超える場合は不良と評価でき、断面形状の矩形性は0.9≦La/Lb≦1.1の場合は良好とそれ以外の範囲の場合は不良と評価でき、焦点深度は50nm以上の場合は良好と50nm未満の場合は不良と評価できる。
Claims (6)
- 下記式(1)で表される第1構造単位を有する第1重合体、
感放射線性酸発生体、及び
溶媒
を含有する感放射線性樹脂組成物。
(ただし、上記第1構造単位が、下記式(X)で表される単量体から構成される構造単位である場合を除く。)
- 上記R5が置換又は非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記1価の脂環式炭化水素基がアダマンタン−1−イル基である請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第1重合体が下記式(2)で表される第2構造単位をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第1重合体が、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む第3構造単位をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- レジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を備え、
上記レジスト膜を請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。
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