JP2020173341A - パターン形成方法、イオン注入方法及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記方法において、アルカリ現像液としては、種々のものが提案されているが、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
(i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜厚が1μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程、及び
(iii)上記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程を有するパターン形成方法であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)溶剤を含有し、
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、上記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15モル%以上である、パターン形成方法。
上記工程(ii)を複数回行う、[1]記載のパターン形成方法。
[3]
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、上記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15〜60モル%である、[1]又は[2]に記載のパターン形成方法。
[4]
上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位の含有量は、上記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して25〜50モル%である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[6]
上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が酸の作用により発生する極性基を有する繰り返し単位が、(メタ)アクリル酸に対応する繰り返し単位である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[7]
上記化合物(B)が、下記一般式(ZI−3)又は一般式(ZI−4)で表される化合物である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
Mは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、環構造を有するとき、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び炭素−炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
R1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。R1cとR2cとが結合して環を形成してもよい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルケニル基を表す。Rx及びRyが結合して環を形成してもよい。また、M、R1c及びR2cから選ばれる少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、上記環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
Z−は、アニオンを表す。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
Z−は、アニオンを表す。
上記化合物(B)におけるフッ素原子の数が6以下である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[9]
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が酸拡散制御剤を含む、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[10]
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が架橋剤を含まない、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分濃度が15質量%以上である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれか1項に記載のパターン形成方法により得られたパターンをマスクとして、イオンを注入する工程を含む、イオン注入方法。
[13]
[1]〜[11]のいずれか1項に記載のパターン形成方法又は[12]に記載のイオン注入方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μl、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL−M(×4本)、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率(RI)検出器)によるポリスチレン換算値として定義される。
置換基群Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明のパターン形成方法は、
(i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜厚が1μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜(以下、単に膜とも言う)を形成(製膜)する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光(KrFエキシマレーザー)を照射する工程、及び
(iii)上記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程を有するパターン形成方法であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)溶剤を含有し、
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して15モル%以上である、パターン形成方法である。
先ず、イオンインプランテーション用途のレジストパターンにおいても、種々形状のレジストパターンを高精度に形成することが求められている。レジストパターンとして、孤立スペースパターンを形成する場合には、現像後に形成される孤立スペース部に対応するレジスト膜の領域を露光領域とするポジ型パターン形成方法と、上記孤立スペース領域には対応しないレジスト膜の領域を露光領域とするネガ型パターン形成方法とが考えらえる。ネガ型パターン形成方法においては、孤立スペース領域に対応する狭小領域を取り囲む広大領域が露光領域となるため、一般に、狭小領域が露光領域となるポジ型パターン形成方法と比較して、意図した光学像がレジスト膜上に形成されやすい。その結果、例えば特許文献1に記載の技術を使用した場合においては、アルカリ現像液を用いたポジ型パターン形成方法であっても、有機系現像液を用いたネガ型パターン形成方法であっても、パターンの断面形状は優れたものになるが、特定形状のパターンを形成する場合においては、有機系現像液を用いたネガ型パターン形成方法を用いた場合の方が、パターンの断面形状の矩形性がより高精度になる傾向となる。
本発明においては、先ず、上記工程(iii)に記載のように、KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成するため、特に孤立スペースパターンを形成する場合においても、断面形状の矩形性に優れたレジストパターンが得られるものと考えられる。
また、本発明者らが鋭意検討したところ、本発明のパターン形成方法において用いられる感活性光線性又は感放射線性組成物の構成成分としての樹脂が、芳香環基を有する繰り返し単位を有し、上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量を、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して15モル%以上とすることで、レジストパターンの断面形状における矩形性が優れることに加えて、驚くべきことに、耐イオンインプランテーション性能が非常に向上し、ひいては、基板の所望領域に精度良くイオンインプランテーションを実施し得ることを見出した。
その理由は、詳細には定かでないが、芳香環基を有する繰り返し単位における芳香環基が、イオンに対する耐性に何らかの影響を与えており、このような繰り返し単位が一定量以上で樹脂中に存在することにより、イオンインプランテーション工程において、イオンが、レジストパターンのレジスト膜部を透過するなどして意図しない領域に入り込むことが抑制されるためと推測される。
なお、特許文献1には、イオンインプラントの実施、及び、耐イオンインプランテーション性能等に関する明らかな記載はない。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、単に本発明の組成物とも言う)は、(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)溶剤を含有し、
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して15モル%以上である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、有機溶剤現像用のネガ型レジスト組成物である。また本発明に係る組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
本発明の組成物は、芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂(以下、樹脂(A)ともいう)を含有する。
樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位を有することから、樹脂(A)は、典型的には、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂であることが好ましい。
芳香族基を有する繰り返し単位を構成する芳香族基における芳香環としては、単環又は多環の芳香環であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香族ヘテロ環等を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
芳香族基は更に置換基を有していても良い。好ましい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及びニトロ基等が挙げられる。
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15モル%以上である。
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量の上限値は特に限定されないが、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、通常85モル%以下である。
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して好ましくは、15モル%〜70モル%であり、より好ましくは、15モル%〜60モル%であり、更に好ましくは、15モル%〜55モル%である。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表し、1〜2が好ましく、1がより好ましい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
Ar1としての芳香環基は、炭素数6〜14のものが好ましく、例えば、ベンゼン環、トルエン環又はナフタレン環が挙げられる。なお、これら芳香環基は、置換基を有していてもよい。
上記Yの少なくとも1つとしての酸の作用により脱離する基は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位において後述するものを好適に挙げることできる。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、環状脂肪族基、芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。環状脂肪族基及び芳香環基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
Q、M、L1の少なくとも2つが互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
L1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアラルキル基は、例えば炭素数6〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
Qとしての環状脂肪族基又は芳香環基としては、例えば、上述したL1及びL2としてのシクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。これらシクロアルキル基及びアリール基は、好ましくは、炭素数3〜15の基である。
Qとしてのヘテロ原子を含んだ環状脂肪族基又は芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール及びピロリドン等の複素環構造を有した基が挙げられる。但し、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
Q、M及びL1の少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、これらがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環構造が挙げられる。なお、この5員又は6員環構造は、酸素原子を含有している。
−(M−Q)で表される基としては、炭素数1〜20の基が好ましく、炭素数1〜10の基がより好ましく、炭素数1〜8が更に好ましい。
フェノール性水酸基とは、芳香族基の水素原子を水酸基で置換してなる基である。芳香族基を構成する芳香環は上述の通りである。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(B−1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
RB1、RB2及びRB3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。RB3はArB1と結合して環を形成していてもよく、その場合のRB3はアルキレン基を表す。
XB3は、単結合又は2価の連結基を表す。
ArB1は、(nB+1)価の芳香環基を表し、RB3と結合して環を形成する場合には(nB+2)価の芳香環基を表す。
nBは、1〜4の整数を表す。
一般式(BH−1)におけるRB1、RB2及びRB3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(BH−1)におけるRB1、RB2及びRB3で表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記RB1、RB2及びRB3におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
XB3としての−CONR64−(R64は、水素原子、アルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
XB3は、単結合、−COO−、又は−CONH−を表すことが好ましく、単結合、又は−COO−を表すことがより好ましく、単結合を表すことが更に好ましい。
ArB1は、ベンゼン環基であることが好ましい。
ArB1は、(nB+1)価の芳香環基を表す。
nBは、1〜4の整数を表す。
酸分解性基は、酸の作用により分解し脱離する基で極性基が保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)又は−CH(R36)(Ar)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
R36〜R39、R01、又はR02としてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01、R02、又はArとしてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が好ましい。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びシクロへキセニル基が挙げられる。
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
Xa1は、水素原子、又は、アルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、各々独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH2)2−基、−(CH2)3−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx1〜Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
具体例中、Rx、Xa1は、水素原子、CH3、CF3、又はCH2OHを表す。Rxa、Rxbは各々炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。pは0又は正の整数を表す。Zにより表される極性基を含む置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基を有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が特に好ましい。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
炭素数5〜20の脂環式炭化水素基における炭素数は、脂環式炭化水素環の骨格を構成する炭素数を表す。
上記脂環式炭化水素基は更に置換基を有していても良い。
R31は、水素原子又はアルキル基を表す。
R32は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
R33は、R32が結合している炭素原子とともに単環の脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
R32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基又はシクロヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であることがより好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、3〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造において、環を構成し得るヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、ヘテロ原子を有する基としては、カルボニル基等が挙げられる。ただし、ヘテロ原子を有する基は、エステル基(エステル結合)ではないことが好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、炭素原子と水素原子とのみから形成されることが好ましい。
一般式(3)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
酸の作用により極性を発生しやすいことを鑑みて、上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が酸の作用により発生する極性基を有する繰り返し単位が、(メタ)アクリル酸に対応する繰り返し単位であることが好ましい。
樹脂(A)は、一態様において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。この環状炭酸エステル構造は、環を構成する原子群として−O−C(=O)−O−で表される結合を含む環を有する構造である。環を構成する原子群として−O−C(=O)−O−で表される結合を含む環は、5〜7員環であることが好ましく、5員環であることが最も好ましい。このような環は、他の環と縮合し、縮合環を形成していてもよい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造であり、5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)及び(SL1−2)のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造又はスルトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−8)であり、(LC1−4)であることがより好ましい。特定のラクトン構造又はスルトン構造を用いることでラインウィズスラフネス(LWR)、現像欠陥が良好になる。
R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
具体例中、RxはH,CH3,CH2OH,又はCF3を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Ra2は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
これらの環状炭化水素構造は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していてもよく、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
上記水素原子が置換された基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH3、CH2OH、又はCF3を表す。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、酸基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤として市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて、重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10〜150℃であり、好ましくは30〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.1〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、かつレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
本発明の組成物は、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「化合物(B)」、「光酸発生剤」ともいう)を含有する。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo−ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30であり、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び−CH2−CH2−O−CH2−CH2−が挙げられる。
Z−は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基、炭素数3〜15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R201〜R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1〜30であり、炭素数1〜20が好ましい。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基、更に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
Mで表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及びベンゾチオフェン環等が挙げられる。
なお、Mが環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素−炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
R1c及びR2cで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルケニル基としては、アリル基又はビニル基が好ましい。
上記Rx及びRyは、更に置換基(例えば、置換基群T)を有していてもよい。この態様として、例えば、Rx及びRyとして2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基などが挙げられる。
Rx及びRyで表される2−オキソアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜10)のものが挙げられ、具体的には、2−オキソプロピル基、及び2−オキソブチル基等が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜10)のものが挙げられる。また、RxとRyは、結合して環を形成してもよい。
RxとRyとが互いに連結して形成される環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
化合物(ZI−3A)は、下記一般式(ZI−3A)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
R6c及びR7cとしては、上述した一般式(ZI−3)中のR2及びR3と同義であり、その好ましい態様も同じである。
Rx及びRyとしては、上述した上述した一般式(ZI−3)中のRx及びRyと同義であり、その好ましい態様も同じである。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3〜10員環が挙げられ、4〜8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
R5cとR6c、及びR5cとRxが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zc−は、アニオンを表す。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
Z−は、アニオンを表す。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
R204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
Z−は、アニオンを表す。
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCF3であることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
R4及びR5で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4が好ましい。R4及びR5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO2−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO2−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
XB1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
XB3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜35質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が更に好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を含有する場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、1〜35質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、溶剤を含有する。
組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]〜<0455>に記載のもの、及び、酢酸イソアミル、ブタン酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ブチル等を挙げることができる。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用できる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]〜[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]〜[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]〜[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]〜[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤(D)として好適に使用できる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
R1、R2、及びR3は、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−X−は、−COO−、−SO3 −、−SO2 −、及び−N−−R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(−C(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)2−)、及びスルフィニル基(−S(=O)−)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、及びL1は、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C−3)において、R1〜R3のうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表される。
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に結合して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
好ましい一態様として、一般式(6)において、lが2でmが1であり、かつ2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成する。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
酸拡散制御剤の本発明の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.05〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含有していてもよい。なお、疎水性樹脂は、樹脂(A)とは異なる樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
疎水性樹脂(E)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(E)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂(E)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、酸の作用により樹脂を架橋する化合物(以下、架橋剤(G)ともいう)を含有してもよい。架橋剤(G)としては、公知の化合物を適宜に使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0147154A1号明細書の段落[0379]〜[0431]、及び、米国特許出願公開2016/0282720A1号明細書の段落[0064]〜[0141]に開示された公知の化合物を架橋剤(G)として好適に使用できる。
架橋剤(G)は、樹脂を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環、及びオキセタン環等が挙げられる。
架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、オキシラン環又はオキセタン環であることが好ましい。
架橋剤(G)は、架橋性基を2個以上有する化合物(樹脂も含む)であることが好ましい。
架橋剤(G)は、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する、フェノール誘導体、ウレア系化合物(ウレア構造を有する化合物)又はメラミン系化合物(メラミン構造を有する化合物)であることがより好ましい。
架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(G)の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
本発明の組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm(parts per million)以上とすることにより、疎水性樹脂(E)の表面偏在性が上がる。それにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性が向上する。
本発明の組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくてもよい。このようなカルボン酸オニウム塩は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書<0605>〜<0606>に記載のものを挙げることができる。
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸とを、適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
本発明の組成物には、必要に応じて更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のパターン形成方法に用いられる本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明のパターン形成方法により形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
また、感活性光線性又は感放射線性膜の膜厚は、通常、15μm以下である。
本発明の組成物の固形分濃度は、組成物の塗布性確保の観点から、通常を50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下である。
本発明の組成物の固形分濃度は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。
固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
(i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜厚が1μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜(以下、単に膜とも言う)を形成(製膜)する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程(露光工程)、及び
(iii)上記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程(現像工程)を有するパターン形成方法であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)溶剤を含有し、
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して15モル%以上である、パターン形成方法である。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
(ii)露光工程を、複数回含むものとして、多重露光が挙げられる。
多重露光とは、KrF光を用いて上記感活性光線性又は感放射線性膜の複数の焦点深度部を露光し、これら焦点深度部が、それぞれ上記感活性光線性又は感放射線性膜内の異なる領域にわたることをさす。
多重露光は、膜厚方向に複数の焦点深度部を露光することが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明において膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、シリコン、SiN、SiO2やSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて、レジスト膜と基板の間に反射防止膜を形成させてもよい。反射防止膜としては、公知の有機系、無機系の反射防止膜を適宜用いることができる。
また、膜の膜厚は、通常、15μm以下である。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜160℃で行うことが好ましく、80〜150℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜及びレジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm2)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
リンス工程で用いられる炭化水素系溶剤としては、炭素数6〜30の炭化水素化合物が好ましく、炭素数8〜30の炭化水素化合物がより好ましく、炭素数7〜30の炭化水素化合物が更に好ましく、炭素数10〜30の炭化水素化合物が特に好ましい。中でも、デカン及び/又はウンデカンを含むリンス液を用いることにより、パターン倒れが抑制される。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウエハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
本発明において、有機溶剤現像工程によって露光強度の弱い部分が除去されるが、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008−292975号公報 <0077>と同様のメカニズム)。
本発明のパターン形成方法においては、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、これらの材質とイオン交換メディアを組み合わせた複合材料であってもよい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self−Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815−4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3−270227及び特開2013−164509に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
本発明のパターン形成方法によりパターンを形成した後、該パターンをマスクとして、イオンインプランテーションを行うものである。
イオンインプランテーション方法自体は、公知であり、目的とする物質をイオン化し、静電気的に加速して固体中(基板上の薄膜)に注入するものである。このイオン注入時のイオン加速エネルギー等の条件については、公知のものをそのまま採用できる。イオン源としては、ホウ素、りん、砒素、アルゴンなどのイオンが挙げられる。基板上の薄膜としては、ケイ素、ニ酸化ケイ素、チッカ珪素、アルミニウムなどが挙げられる。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
下表1に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについてのレジスト溶液を調製し、これを1.0μmのポアサイズを有するUPE (ultra high molecular weight polyethylene)フィルターで濾過した。これにより、表1に記載の固形分濃度の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)を調製した。
G−3: メガファック−R4(フッ素素系界面活性剤, DIC(株)製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
EL:乳酸エチル
(パターン形成)
東京エレクトロン製スピンコーター「ACT−8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチのSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「Si基板」又は「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製したレジスト組成物を基板が静止した状態で滴下した。滴下した後、基板を回転し、その回転数を、3秒間500rpmで維持し、その後2秒間100rpmで維持し、更に3秒間500rpmで維持し、再び2秒間100rpmで維持した後、膜厚設定回転数(表2に記載の膜厚となるような回転数)に上げて60秒間維持した。その後、ホットプレート上で150℃で60秒間ベーク(PreBake;PB)を行い、表2に示す膜厚(μm)膜厚を有する感活性光線性又は感放射線性膜(レジスト膜)を形成した。
下表2において、nBAは、n−酢酸ブチルを表し、MAKは、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)を表す。
1インチは25.4ミリメートルである。
(孤立スペースパターンの断面形状)
縮小投影露光後のスペースパターンが400nm、ピッチが3000nmとなるような、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して露光し、形成されるスペースパターンが、パターンの高さ(表2に記載の膜厚)を100%としたときの10%位置でのスペース幅が400nmとなるような露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。スペースパターン幅の測定は走査型電子顕微鏡(SEM)(日立社製9380II)を用いた。
上記感度において形成した孤立スペースパターンを有するウエハ(Wafer)を割断し、割断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。断面の孤立スペースパターンにおける膜厚方向でのパターンの高さ(表2に記載の膜厚)を100%としたときの90%、10%位置でのスペース幅をそれぞれ、CD(Top)、CD(bottom)とし、CD(Top)とCD(bottom)との差((CD(Top))−(CD(bottom)))の絶対値をCD−Bias(nm)とした。CD−Biasの値が小さいほど、孤立スペースパターンは矩形である。また、CD−Biasの値が以下の式を満たすものは、実用上の許容範囲である。
東京エレクトロン製スピンコーター「ACT−8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチのSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製したレジスト組成物を基板が静止した状態で滴下した。滴下した後、基板を回転し、その回転数を、3秒間500rpmで維持し、その後2秒間100rpmで維持し、更に3秒間500rpmで維持し、再び2秒間100rpmで維持した後、膜厚設定回転数(表2に記載の膜厚となるような回転数)に上げて60秒間維持した。その後、ホットプレート上で150℃にて90秒間加熱乾燥を行い、表2に示す膜厚(μm)のレジスト膜を形成した。
上記手順により、基板と、基板上に形成されたレジスト膜のべた膜とを有するレジスト膜付きウェハを得た。このレジスト膜付きウェハを、露光及び現像処理をせずに、評価用ウェハとして用いた。
具体的には、イオン注入法により、リンを、ドーズ量2×1013cm−2、エネルギー80KeVの条件で注入した後、上記マスクを剥離除去した。この後、基板に対するリンの注入量をダイナミックSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析により定量化した。なお、実施例及び比較例の各値は、比較例1の値を1(基準)として規格化して示した。
この値が小さい方が、Si基板へのイオン漏れが少なく、レジストパターンをマスクとしてイオン注入した場合には、マスクの下部領域に位置する基板へのイオン漏れが抑制されて、耐イオンインプランテーション性能が優れることを意味する。
露光時に、露光におけるフォーカス位置を2か所の最適フォーカス位置に変更して、これらの最適フォーカス位置にて2回の露光を行った以外は、実施例33、34と同様にパターン形成したものを実施例35、36とした。
実施例1〜32において、上記と同様の2回露光を行ったものも同様に良好な断面形状が得られた。
Claims (13)
- (i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜厚が1μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
(ii)前記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程、及び
(iii)前記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程を有するパターン形成方法であって、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)溶剤を含有し、
前記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、前記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15モル%以上である、パターン形成方法。 - 前記工程(ii)を複数回行う、請求項1記載のパターン形成方法。
- 前記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、前記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15〜60モル%である、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
- 前記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位の含有量は、前記樹脂(A)の全繰り返し単位に対して25〜50モル%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が酸の作用により発生する極性基を有する繰り返し単位が、(メタ)アクリル酸に対応する繰り返し単位である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記化合物(B)が、下記一般式(ZI−3)又は一般式(ZI−4)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
一般式(ZI−3)中、
Mは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、環構造を有するとき、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び炭素−炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
R1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。R1cとR2cとが結合して環を形成してもよい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルケニル基を表す。Rx及びRyが結合して環を形成してもよい。また、M、R1c及びR2cから選ばれる少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、上記環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
Z−は、アニオンを表す。
一般式(ZI−4)中、
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
Z−は、アニオンを表す。 - 前記化合物(B)におけるフッ素原子の数が6以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が酸拡散制御剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が架橋剤を含まない、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分濃度が15質量%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法により得られたパターンをマスクとして、イオンを注入する工程を含む、イオン注入方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法又は請求項12に記載のイオン注入方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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