JP2022142290A - 非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、並びに、当該レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及びモールド - Google Patents

非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、並びに、当該レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及びモールド Download PDF

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Abstract

【課題】高感度、高解像力の非化学増幅型レジストを提供する。【解決手段】フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有する分子量400~2500のフェノール性化合物(A)と、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中1個以上有する分子量400以上3000以下の含窒素塩基性化合物(B)とを含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70質量%以上であり、酸発生剤を実質的に含有しない、非化学増幅型である、ネガ型レジスト組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、微細加工に有用な非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、並びに、当該レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及びモールドに関する。
近年、半導体素子や表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでおり、高解像力が求められている。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われており、現在用いられているKrFエキシマレーザー光に加え、ArF、F、EUV、X線、電子線やその他の荷電粒子線等を露光光として用いたリソグラフィーが提案されている。
特に電子線およびEUV露光によるパターン形成は、次世代もしくは次々世代リソグラフィー技術として位置づけられており、半導体集積回路のゲート層作成用やガラス基板上に形成されるマスクパターン加工用として高感度、及び高解像の要求を満たすネガ型レジストの開発が望まれている。また、インプリントリソグラフィーの原版となるインプリントモールドの製造にも高解像力を持つレジストの開発が望まれている。
これらに対するレジスト材料としては、感度の向上を目的として、酸の触媒反応を利用した化学増幅型感光性組成物が用いられている。ネガ型の化学増幅型感光性組成物は、通常、レジスト基質となるアルカリ可溶性樹脂に、光の照射によって酸を発生する酸発生剤と架橋剤、塩基性化合物等を含有している。かかる感光性組成物は、露光により酸発生剤から発生した酸の作用により樹脂と架橋剤との間で架橋が生じ、アルカリ可溶性からアルカリ不溶性に変化する。また、架橋反応の際に生じる酸が触媒的に反応を繰り返すことで、より少ない露光量でのパターン露光が可能となる。
従来、半導体のリソグラフィーには、レジスト基質となるアルカリ可溶性樹脂として、質量平均分子量が約5000以上の高分子を用いたレジスト材料が使用されてきた。
しかしながら、このような高分子材料は分子量が大きく且つ分子量分布が広いため、解像力の低減には限界がある。
そこで、レジスト基質となるアルカリ可溶性樹脂として、低分子材料の開発が行われてきている。このような低分子材料をレジスト基質としたネガ型レジストの例としては、カリックスレゾルシンアレンおよびその誘導体を用いたレジスト(特許文献1)が挙げられる。
また、本出願人は、真空中の露光後線幅安定性が高く、高解像力で 、低ラインエッジラフネスのパターンを得ることができる化学増幅型、もしくは非化学増幅型ネガ型レジスト組成物として、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する分子量400~2500のフェノール性化合物(A)を含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70質量%以上である、ネガ型レジスト組成物を開示している(特許文献2)。
しかしながら、特許文献2において、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、固形分として前記フェノール性化合物(A)のみを用いている。特許文献2において記載されている塩基性化合物は、化学増幅型ネガ型レジスト組成物において、酸発生剤から発生した酸の拡散を抑制するためのクエンチャーとして記載されているに過ぎない。非化学増幅型ネガ型レジスト組成物において、酸発生剤を用いずに、フェノール性化合物(A)に塩基性化合物を組み合わせることは一切記載されていない。
また、本出願人は、特許文献3に、化学増幅レジスト特有の高感度を維持しつつ解像力に優れるレジスト組成物の提供を目的として、フェノール性化合物(A)と、酸発生剤(B)と、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はオキシ基(-O-)を1分子中に1個以上有する分子量400以上3000以下の含窒素塩基性化合物(B)とを含有する、レジスト組成物を開示している。
しかしながら、特許文献3において記載されている塩基性化合物も、化学増幅型ネガ型レジスト組成物において、酸発生剤から発生した酸の拡散を抑制するためのクエンチャーとして記載されているに過ぎない。
特開平10-239843号公報 特許第5083478号公報 特許第5742413号公報
従来の化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、酸発生剤により高感度化されているものの、例えば階調露光には適しておらず、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物が求められている。
従来の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、未だ感度が不十分であり、高感度で解像力に優れたパターンを形成可能な、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物が求められている。
上記実情に鑑み、本開示の目的は、電子線、イオンビーム、又はEUVの照射によるパターン形成において、アルカリ現像が可能で、高感度で解像力に優れたパターンを形成可能な、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、及び当該ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及びモールドを提供することである。
本開示の1実施形態は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有する分子量400~2500のフェノール性化合物(A)と、
芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中1個以上有する分子量400以上3000以下の含窒素塩基性化合物(B)とを含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70質量%以上であり、酸発生剤を実質的に含有しない、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を提供する。
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物においては、前記含窒素塩基性化合物(B)が、下記式(I)で表される化合物であることが、高感度で解像力に優れたパターンを形成可能な点から好ましい。
Figure 2022142290000001
(式(I)中、Rは、直接結合又はオキシ基(-O-)を有してもよいアルキレン基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、オキシ基(-O-)を有してもよい1価の有機基であり、Arは、芳香環を有する1価の有機基である。但し、1分子中に、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1個以上有する。)
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物においては、前記含窒素塩基性化合物(B)が、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を有しないものであってよい。
本開示の他の実施形態は、前記本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、現像する工程、を含むレジストパターンの製造方法を提供する。
また、本開示の他の実施形態は、凹凸パターンを有するモールドであって、少なくとも凸部が、前記本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の硬化物を含有する、モールドを提供する。
本開示によれば、電子線、イオンビーム、又はEUVの照射によるパターン形成において、アルカリ現像が可能で、高感度で解像力に優れたパターンを形成可能な、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、及び当該ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法及びモールドを提供することができる。
図1は、実施例1~3と比較例1の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の、露光量と現像後レジスト膜厚の感度曲線を示す。 図2は、実施例1の走査型電子顕微鏡写真及び比較例1の走査型電子顕微鏡写真を示す。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示において「活性エネルギー線」とは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、及びF2エキシマレーザー等の遠紫外線、電子線、イオンビーム、EUV、X線等を意味する。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び非置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。アルキレン基の2価の結合は、異なる炭素原子からの場合(例えば、-CHCH-)の他、同一の炭素原子からの2価の結合も含む(例えば、-CH-)。また、アルキル基、シクロアルキル基は、飽和炭化水素の他、二重結合、三重結合等を有する不飽和炭化水素を含む。シクロアルキル基は、単環式の他、2環性、3環性等の多環性炭化水素も含む。
本開示において、「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン等の芳香環に直接結合された水酸基を意味し、「フェノキシ基」とは、ベンゼン等の芳香環に直接結合されたオキシ基(-O-)を意味する。
本開示において、「X及び/又はY」という句は、「(X)、(Y)、又は、(X及びY)」を意味する。
また、本開示において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
以下、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物、レジストパターンの製造方法、及びモールドについて順に詳細に説明する。
I.非化学増幅型ネガ型レジスト組成物
本開示の1実施形態の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有する分子量400~2500のフェノール性化合物(A)と、
芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中1個以上有する分子量400以上3000以下の含窒素塩基性化合物(B)とを含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70質量%以上であり、酸発生剤を実質的に含有しない、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物である。
本開示の1実施形態の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、前記特定のフェノール性化合物(A)と、前記特定の含窒素塩基性化合物(B)とを含有することにより、電子線、イオンビーム、又はEUVの照射によるパターン形成において、アルカリ現像が可能で、高感度で解像力に優れたパターンを形成できる。前記特定のフェノール性化合物(A)と、前記特定の含窒素塩基性化合物(B)とを組み合わせて用いることにより、上記のような効果を発揮する作用としては未解明ではあるが、以下のように推定される。
前記特定のフェノール性化合物(A)は、レジスト基質となる比較的低分子の特定のフェノール性化合物に、架橋性基として、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基が導入されている。すなわち、前記特定のフェノール性化合物(A)は、架橋剤としても機能するレジスト基質である。
前記特定のフェノール性化合物(A)は水酸基に対する架橋性基の割合が高く、レジスト組成物中の前記フェノール性化合物(A)の全固形分中含有量が高い。そのため、本開示の非化学増幅型レジスト組成物は、活性エネルギー線を照射することにより、酸を介することなく前記特定のフェノール性化合物(A)の架橋性基による架橋反応が進行する。架橋性基として導入されているヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基は化学的安定性に優れているが、そこに前記特定の含窒素塩基性化合物(B)が入ることで、反応性が向上し、より低い活性エネルギーでも架橋反応が進行し得るようになり、感度が向上すると推定される。
上記ネガ型レジスト組成物は、フェノール性水酸基を有するのでアルカリ可溶性であるが、レジストパターン形成時に電子線等の露光(光の照射)により、上記フェノール化合物(A)同士で、フェノール性水酸基のオルト位に存在するヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基の存在により架橋結合が形成され、アルカリ不溶性となる。そのため、レジストパターン形成において、当該ネガ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ不溶性となる一方、未露光部はアルカリ可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりネガ型のレジストパターンを形成することができる。
また、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、比較的低分子の前記特定のフェノール性化合物(A)をレジスト組成物の固形分含有量が高い状態で用い、前記特定の含窒素塩基性化合物(B)が前記特定のフェノール性化合物(A)と相溶性が高い構造を有するので、塗膜中のレジスト組成物の均一性が良好になり、更に、像形成時に酸の拡散を利用しないので、解像力に優れると推定される。
以下、このような本開示のネガ型レジスト組成物の各構成について順に詳細に説明する。
<フェノール性化合物(A)>
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有する、分子量400~2500の化合物である。当該フェノール性化合物(A)の分子量を上記範囲内とすることにより、優れた解像度が得られる。
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有すればよく、1分子中のフェノール性水酸基の数は特に限定されない。本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、下記を基準としたアルカリ可溶性を有するように、適宜選択されることが好ましい。
フェノール性化合物(A)は、濃度25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃)に対する現像速度が0.5nm/sec以上であるものを選択して用いることが好ましく、更に1.0nm/sec以上であるものを選択して用いることが好ましい。当該アルカリ可溶性樹脂のアルカリ現像速度を上記範囲内とすることにより、パターン形状の向上が図れる。
例えば、濃度25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃)に対する現像速度は、例えば、上記フェノール性化合物(A)を単独で用いて、例えば5質量%の溶液とし、シリコンウエハ上に乾燥後の膜厚が300nmとなるように塗膜を形成後、濃度25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃)に浸漬し、塗膜が完全に溶解するまでの時間を測定し、算出することができる。
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有すれば良い。フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基は、フェノール性化合物の架橋性基として機能する。本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を、1分子中に3個以上有することが、更に1分子中に4個以上有することが、架橋性を高くする点から好ましい。
アルコキシメチル基としては、アルコキシ基の炭素数が1~6であるものが好ましく、具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n-ブトキシメチル基、sec-ブトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、各種ペンチルオキシメチル基等が挙げられる。アルコキシメチル基としては、中でも、メトキシメチル基、エトキシメチル基が、感度が良好になる点から好ましい。
架橋性基としては、中でも、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、及びエトキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基であることが、反応性が高く、感度が良好になる点から好ましい。
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、分子量が400~2500である化合物を選択して用いる。分子量が下限値未満だと、レジスト膜を形成する能力やパターンを形成する能力が劣ってしまう恐れがある。一方、分子量が上限値を超えると、レジスト組成物に用いられる溶剤によって膨潤しやすくなり、パターン倒れが起こりやすく、また、パターンの形状が悪くなる恐れがある。ここでの分子量は、その分子を構成する原子の原子量の和をいう。また、分子量分布を有するオリゴマーである場合には、GPC(ポリスチレン換算)を用いた質量平均分子量で表される。
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)の分子量としては、中でも、500~2500であることが好ましく、更に600~2000であることが、成膜性および解像性の点から好ましい。
本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上、更に90℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が60℃以上であると、塗膜を形成する際に、脱濡れ現象(dewetting)が起こり難くなり、均一な膜が得られやすくなる。なお、脱濡れ現象とは、塗り広げた塗膜がプリベーク時に溶解して、はじきが生じ、均一に膜が形成されない現象をいう。
通常、レジスト組成物用の溶剤としては、低沸点の溶剤を用いるとレジスト膜が急激に乾燥して均一な膜が得られないことから、スピンコート法などで塗布する際に均一なレジスト膜を得るために、沸点が90~180℃の溶剤が使用される。スピンコート法で形成されたレジスト膜は多くの残留溶媒を含んでいるため、この溶剤を除き安定なレジスト膜を形成するため、レジスト基板をホットプレートで90℃以上の温度で加熱する(プリベーク)。ところが、ガラス転移温度が60℃未満のフェノール性化合物を用いると、プリベーク工程においてレジスト膜の脱濡れ現象が起こり、均一な膜が得られなくなる恐れがある。
それに対し、ガラス転移温度が60℃以上のフェノール性化合物を用いる場合には、高温でのプリベークが可能となり、均一な膜が得られるほか、環境耐性(ポストコーティングディレイ:PCD)に優れたレジスト膜が得られる。更に、電子線によるパターン形成時に生じるパターンの粗密依存を抑制することができる。また、レジストパターン形成後のドライエッチング工程において、エッチング耐性(エッチング中の高温によるパターンの溶融を防止可能)に優れたパターンが得られる。
なお、ここでのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定したものである。
また、本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、沸点が80~180℃の有機溶剤に対して、23℃で5質量%以上の溶解性を有していることが好ましい。このような場合には、スピンコート時に急激なレジスト膜の乾燥を防ぐことが可能となり、均一なレジスト膜が得られるというメリットがある。沸点が80~180℃の有機溶剤の代表例としては、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2-ヘプタノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1-エトキシ-2-プロパノール等が挙げられる。
中でも、本開示において用いられるフェノール性化合物(A)は、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であり、且つ、沸点が80~180℃の有機溶剤に対して、23℃で5質量%以上の溶解性を有していることが好ましい。
上記フェノール性化合物(A)としては、特に限定されず、適宜選択して用いることができる。例えば、下記化学式(1)及び化学式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022142290000002
[化学式(1)中、Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び下記化学式(2)に示す基からなる群より選ばれる基であり、Rに含まれるアリール基は、水酸基及びヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を含んでいても良い。
Figure 2022142290000003
(化学式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、Qは、アリール基又はシクロアルキル基であり、mは1又は2を表す。)
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基であり、複数あるRのうち、1分子中少なくとも2個は水素原子である。Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれる基である。
n1は1~3の整数、n2は0~2の整数を表す。但し、n1+n2≦4となる組み合わせをn1及びn2の数値範囲から選択するものとする。x1は3~12の整数を表す。
但し、R及び/又はRにおいて、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する。
また、化学式(1)に含まれる同一符号で表される基は、互いに同じでも異なっていてもよい。]
Figure 2022142290000004
(化学式(3)中、
、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基、或いは、これらの組み合わせからなる基を表す。複数のRが結合して環を形成してもよい。複数のRが結合して環を形成してもよい。複数のRが結合して環を形成してもよい。複数のRが結合して環を形成してもよい。また、複数あるR、R、R及びRは互いに同じであっても異なっていても良い。
10及びR11は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、複数あるR10及びR11は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR10及びR11のうち少なくとも2つは水素原子である。更に、R、R、及び/又はRにおいて、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有する。
Wは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、又は、ヘテロ原子を含んでいてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基、或いは、これらの任意の組み合わせからなる基を表す。複数あるWは互いに同じであっても異なっていても良い。
x2は正の整数を表す。
y1は0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、y1は0である。
y2は0以上の整数を表し、y3は正の整数を表す。
zは0以上の整数を表す。
vは0以上の整数を表す。
k1及びk4は正の整数を表す。
k2、k3、及びk5は各々独立して0以上の整数を表す。但し、k1+k2+z=5、k3+v=3、k4+k5=5、k2+k5≧2を満たす。)
上記化学式(1)で表される化合物において、Rのアルキル基としては、特に制限はないが、炭素数1~18のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖でも、分岐状でも良い。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、t-ペンチル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。また、二重結合、三重結合等の不飽和結合を有していても良い。
アルキル基が有する置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基等が挙げられる。
のシクロアルキル基としては、特に制限はなく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、二重結合、三重結合等の不飽和結合を有していてもよく、単環性、多環性のどちらでもよい。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
シクロアルキル基が有する置換基としては、特に制限はないが、例えば、炭素数1~5のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基等が挙げられる。
炭素数1~5のアルキル基としては、直鎖又は分岐状のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、t-ペンチル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、特に制限はないが、炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、特に制限はないが、炭素数1~8のアルコキシアルキル基が好ましく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲノアルキル基としては、特に制限はないが、炭素数1~8のハロゲノアルキル基が好ましく、例えば、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1-クロロエチル基、1-ブロモエチル基、1-フルオロエチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,1,2,2-テトラクロロエチル基等が挙げられる。
のアリール基としては、特に制限はないが、好ましくは炭素数6~14、更に好ましくは炭素数6~10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
また、アリール基が有する置換基としては、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基、シクロアルキル基、炭素数1~5のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基等が挙げられる。
アリール基が有する置換基としてのシクロアルキル基は、上記のシクロアルキル基と同様のものが挙げられる。また、当該シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i-プロピル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、特に制限はないが、炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリール基が有する置換基としての炭素数1~5のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、及びアルコキシメチル基は、上記で示したとおりである。
上記化学式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。炭素数1~3のアルキル基としては、直鎖又は分岐状のいずれでもよいが、中でもメチル基、エチル基が、エッチング耐性の点から好ましい。mが2の場合、2つのR及びRはそれぞれ、同一であっても異なっていても良い。
上記化学式(2)中、R及びRのいずれも水素原子である場合が好適に用いられる。
上記化学式(2)中のQのアリール基としては、上記アリール基と同様のものが挙げられる。Qのアリール基が有する置換基は、上記アリール基が有する置換基と同様のものが挙げられ、水酸基及びヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を含んでいても良い。また、上記化学式(2)中のQのシクロアルキル基としては、上記シクロアルキル基と同様のものが挙げられる。Qのシクロアルキル基が有する置換基は、上記シクロアルキル基が有する置換基と同様のものが挙げられる。
の1価の有機基としては、特に制限はないが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。
のアルキル基としては、上記Rと同様のものが挙げられる。Rのアルキル基の有する置換基としては、上記Rのものと同様のものが挙げられる。
また、Rのシクロアルキル基、及びシクロアルキル基の有する置換基としては、上記Rのものと同様のものとすることができる。更に、Rのアリール基、及びアリール基が有する置換基としては、上記Rのものと同様のものとすることができる。
のアルコキシメチル基は、上記で示したとおりである。
のハロゲン原子、アルキル基としては、上記Rと同様のものが挙げられる。
としてのアルキル基が有する置換基は、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
のシクロアルキル基、及びシクロアルキル基の有する置換基としては、上記Rのものと同様のものとすることができる。Rのアリール基、及びアリール基が有する置換基としては、上記Rのものと同様のものとすることができる。
また、Rのアルコキシ基としては、上記Rと同様のものが挙げられる。
のアシル基としては、特に制限はないが、炭素数1~8のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
x1は3~12の整数、好ましくは4~12の整数、より好ましくは4~8の整数である。
前記化学式(1)で表される化合物は、1分子中に、フェノール性水酸基を2つ以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1個以上有すれば、各繰り返し単位の同一符号で示される置換基はそれぞれ、同じであっても異なっていても良い。各繰り返し単位におけるOR及びRの位置が同じであっても異なっていても良い。
上記化学式(1)で表される化合物においては、高感度、且つ、高解像力で形状が良好なパターンを得る点から、中でも、x1が4で、n1が2であることが好ましく、更にx1が4で、n1が2の、8個のRのうち水素原子が4~8個のカリックスレゾルシンアレン誘導体であって、且つ、Rが水素原子であるオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に1個以上有することが好ましい。
また、上記化学式(1)で表される化合物においては、高感度、且つ、高解像力で形状が良好なパターンを得る点から、中でも、x1が4で、n1が2であることが好ましく、更にx1が4で、n1が2の、8個のRのうち水素原子が0~8個のカリックスレゾルシンアレン誘導体であって、且つ、Rに、フェノール性水酸基と、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を含むアリール基を有することが好ましい。
一方、上記化学式(3)で表される化合物において、R、R、R及びRにおけるアルキル基は、直鎖でも分岐状でもよく、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素数1~10個のものが挙げられる。
、R、R及びRにおけるシクロアルキル基としては、単環、多環どちらでもよい。例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6~30個が好ましく、特に炭素数7~25個が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
、R、R及びRにおけるアリール基としては、上記Rと同様であって良い。
また、R、R、R及びRにおけるヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基としては、上記と同様であって良い。
なお、上記化学式(3)で表される化合物において、Rは(x2)が2以上の整数の場合は(x2)価の基となる。Rは(x2)が2以上の整数の場合は、(x2)価の脂肪族炭化水素基、(x2)価の環状脂肪族炭化水素基、(x2)価の芳香族炭化水素基、或いはこれらの組み合わせからなる基であって良く、例えば、Rは(x2)が2の場合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、或いは、これらの組み合わせからなる基であってよい。
上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が有してよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基等を挙げることができる。
10及びR11における1価の有機基とは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、シアノ基等を挙げることができる。アルキル基は、炭素数1~10個のアルキル基又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アリール基は、炭素数6~14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。アラルキル基は、炭素数6~12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基に於けるアルコキシ基は、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基等を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基は、直鎖でも分岐状でもよく、炭素数1~10のものが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
Wにおけるシクロアルキレン基は、単環、多環どちらでもよく、環を形成するアルキレン基としては、例えば炭素数3~8個のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、さらに置換基を有していてよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
また、アルキレン鎖又はシクロアルキレン鎖は、アルキレン鎖中に-O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-N(R)-C(=O)-、-N(R)-C(=O)O-、-S-、-SO-、-SO-を含んでいても良い。ここでRは水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1~10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)である。
Wにおける環状のアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6~15個のものが挙げられる。
以下にフェノール性化合物(A)の具体例を示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。1分子中のフェノール性水酸基が2個以上存在し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有すれば、以下の具体例のフェノール性水酸基は、有機基で保護されているものであっても良い。
また、下記式中、Lは、各々独立に、水素原子、又は、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基であり、1分子中少なくとも2つのLは、フェノール性水酸基のオルト位に存在するヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基である。また、分子量は、400~2500を満たすものとする。
Figure 2022142290000005
Figure 2022142290000006
Figure 2022142290000007
Figure 2022142290000008
Figure 2022142290000009
本開示に用いられるフェノール性化合物(A)は、フェノール性化合物の母核化合物において、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を導入することに得ることができる。上記架橋性基として機能する置換基をフェノール性化合物の母核化合物に導入する方法としては、例えば、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物と、ホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、ゲル化などの副反応を防ぐために、反応温度を50℃以下で行うことが好ましい。また、アルコキシメチル基を有する各種ビスフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するビスフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、ゲル化などの副反応を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。
前記フェノール性化合物(A)の母核化合物は、例えば本州化学工業(株)、旭有機材工業株式会社などから市販されており、これを用いることができる。また、各種フェノール化合物と各種アルデヒド、ケトンの縮合により合成することもできる。
本開示に係るネガ型レジスト組成物において、フェノール性化合物(A)は、上述した化合物のうち、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
しかしながら、本開示に係るネガ型レジスト組成物において、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が70質量%以上であることが、良好なパターンを形成できる点から好ましい。フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
フェノール性化合物(A)として、構造式が同じ化合物の純度が高いものを用いると、現像の進行が均一になると推定される。
但し、フェノール性化合物(A)は、構造式が同じ化合物の純度が上記の値未満であっても、不純物の構造がフェノール性化合物(A)に類似しており、相溶性が良好な場合には好適に用いることができる。
本開示で用いられるフェノール性化合物としては、分子量分布を有しない方が好ましい。本開示で用いられるフェノール性化合物としては、分子量分布を有するものであっても、分子量分布が小さいものが好ましく、分子量分布(質量平均分子量<Mw>と数平均分子量<Mn>の比<Mw>/<Mn>が1.0~1.1であることが好ましい。
当該フェノール性化合物(A)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、70質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、更に90質量%以上であることが好ましい。当該フェノール性化合物(A)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、95質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよく、99質量%以上であってもよく、99.1質量%以上であってもよく、一方で、99.9質量%以下であってよく、99.1質量%以下であってよい。
なお、本開示において、固形分とは、ネガ型レジスト組成物中に含まれる成分のうち有機溶剤以外のものを意味する。
<含窒素塩基性化合物(B)>
本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)は、芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中1個以上有する分子量400以上3000以下の有機塩基性化合物である。
前記含窒素塩基性化合物(B)は、前記フェノール性化合物(A)と組み合わせて用いると、感度を向上することができる。
含窒素塩基性化合物(B)における芳香環は、特に限定されない。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素の他、ピリジン、ピロール、チオフェン等の複素芳香族環が挙げられる。中でも、前記フェノール性化合物(A)との相溶性の点から、芳香環は、芳香族炭化水素であることが好ましく、更にベンゼンであることがより好ましい。
前記芳香環は、含窒素塩基性化合物(B)1分子中に1個以上有すればよい。中でも、フェノール性化合物(A)との相溶性が向上するとともに、レジスト塗膜中での不均一な分布が抑制される点から、含窒素塩基性化合物(B)1分子中に芳香環を2個以上有することが好ましく、1分子中に芳香環を3個以上有することがより好ましい。
含窒素塩基性化合物(B)におけるフェノキシ基(Ar-O-、ここでArは芳香環を表す)は、オキシ基の酸素が芳香環に直接結合しているものであれば、エステル結合(Ar-OCO-)及びカーボネート結合(Ar-O-COO-)として含まれていてもよい。
本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)は、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中に1個以上有すればよい。すなわち、本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)は、フェノール性水酸基、フェノキシ基、又は、フェノール水酸基及びフェノキシ基を1分子中に1個以上有すればよい。中でも、前記フェノール性化合物(A)との相溶性が向上する点から、含窒素塩基性化合物(B)1分子中にフェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を2個以上有することが好ましく、1分子中にフェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を3個以上有することがより好ましい。
本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)の分子量は、400以上3000以下である。分子量が400以上3000以下であることにより、当該含窒素塩基性化合物(B)を用いたレジスト組成物は、高感度化を達成しつつ、解像力に優れたものとすることができる。含窒素塩基性化合物(B)の分子量は、中でも、解像力の点から、2000以下であることがより好ましく、更に、1000以下であることがより好ましい。
本発明において含窒素塩基性化合物(B)が下記式(I)で表される化合物であることが、感度を向上する点、及び解像力を向上する点から好ましい。
Figure 2022142290000010
(式(I)中、Rは、直接結合又はオキシ基(-O-)を有してもよいアルキレン基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、オキシ基(-O-)を有してもよい1価の有機基であり、Arは、芳香環を有する1価の有機基である。但し、1分子中に、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基(-O-)を1個以上有する。)
におけるアルキレン基としては、特に限定されず、直鎖でも分岐状でもよい。中でも、炭素数1~10のものが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。また、アルキレン基を構成する炭素鎖中又は炭素鎖の末端にオキシ基(-O-)を有していてもよい。
及びRにおける1価の有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせ(アラルキル基、アルキルアリール基等)が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にオキシ基(-O-)を含むヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
また、R及びRは、それらが結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アリール基は、炭素数6~14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基等を挙げることができる。アラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。アルキルアリール基は、炭素数7~20のアルキルアリール基が好ましく、各種アルキルフェニル基や各種アルキルナフチル基等が挙げられる。
有機基中の炭化水素基以外の結合としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(-N=C(-R)-、-C(=NR)-、ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合等が挙げられる。
有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、アルコキシ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基等が挙げられる。アリール基やアラルキル基を有する場合、更に水酸基を有していることが好ましい。
及びRにおける1価の有機基としては、R及び/又はRがアラルキル基であることが好ましいが、Rがアラルキル基であり、Rはオキシ基(-O-)を有してもよい1価の有機基であってもよい。
Arは、芳香環を有する1価の有機基とは、特に限定されず、芳香環そのものであってもよく、芳香環に更に置換基を有するものであってもよく、芳香環と飽和又は不飽和アルキル基や飽和又は不飽和シクロアルキル基との組み合わせであってもよい。芳香環に更に置換基を有するものとしては、例えば、芳香環に、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基等を官能基として有するものが挙げられ、中でも、水酸基を有するものが好ましい。芳香環と飽和又は不飽和アルキル基や飽和又は不飽和シクロアルキル基との組み合わせとしては、フェノール性化合物であることが好ましく、例えば前記フェノール性化合物(A)の例で挙げた化学式(a-1)~(a-53)のLが全て水素原子であるフェノール性化合物において1つのフェノール性水酸基から水素原子が除去された残基のような様々な炭素骨格が挙げられる。
当該芳香環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素の他、ピリジン、ピロール、チオフェン等の複素芳香族環が挙げられる。中でも、前記フェノール性化合物(A)との相溶性の点から、芳香環は、芳香族炭化水素であることが好ましく、更にベンゼンであることがより好ましい。
本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)は、組み合わせて用いられる前記フェノール性化合物(A)と同じ炭素骨格を有することが相溶性を向上し、解像力を向上する点から好ましい。ここで、フェノール性化合物と同じ炭素骨格とは、フェノール性化合物のうち置換基を除いた部分をいう。
また、本発明の含窒素塩基性化合物(B)としては、例えばハロゲン化アルキル基を有する3級アミンとフェノール性化合物とを反応させて得られた化合物のように、含窒素塩基性化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られた化合物であることがフェノール性化合物との相溶性の点から好ましい。
本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)は、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよいが、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を有していなくてもよい。これらの架橋性基を有していなくても、感度を向上することができるからである。
以下に、本発明において用いられる含窒素塩基性化合物(B)の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2022142290000011
Figure 2022142290000012
Figure 2022142290000013
Figure 2022142290000014
Figure 2022142290000015
これらの含窒素塩基性化合物(B)は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記含窒素塩基性化合物(B)の含有量は、感度の向上に合わせて適宜選択されればよいが、前記フェノール性化合物(A)100質量部に対し、例えば、好ましくは0.01質量部~10質量部であり、より好ましくは0.1質量部~5質量部である。0.01質量部未満ではその添加の効果が得られない恐れがあり、一方、10質量部を超えると未露光部の現像性が悪化する恐れがある。
前記含窒素塩基性化合物(B)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上であって良く、0.09質量%以上であって良く、10質量%以下であってよく、9.1質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。
<その他の成分>
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、非化学増幅型であることから、酸発生剤を実質的に含有しない。ここで、実質的に含有しないとは、化学増幅型として実質的に機能する程度に含有しないことをいう。非化学増幅型レジスト組成物の場合、光酸発生剤の含有量は、フェノール性化合物(A)100質量部に対し、1質量部未満であり、0質量部であってよく、レジスト組成物の全固形分に対して、2質量%未満であることを目安とし、0質量%であってよい。
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、上記特定のフェノール性化合物(A)を用いるため、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基を有しないフェノール性化合物を含む必要がない。ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基を有しないフェノール性化合物等、本願の上記フェノール性化合物(A)に該当しないフェノール性化合物は、本開示の効果を損なわない範囲で含んでも良いが、低ラインエッジラフネスの点から含まないことが好ましい。
また、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、上記特定のフェノール性化合物(A)を用いるため、従来用いられていた架橋剤を別途含む必要がない。しかしながら、本開示の効果が損なわれない範囲内で架橋剤を少量添加して、レジスト感度の改善を行っても良い。このような架橋剤の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、10質量%以下、より好ましくは5質量%以下を目安にすることができる。
上記特定のフェノール性化合物(A)に該当しない架橋剤としては、特に限定されず、従来の化学増幅型のネガ型レジスト組成物において使用されている公知の架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。例えば、4,4’-メチレンビス[2,6-ビス(ヒドロキシメチル)]フェノール(MBHP)、4,4’-メチレンビス[2,6-ビス(メトキシメチル)]フェノール(MBMP)、2,3-ジヒドロキシ-5-ヒドロキシメチルノルボルナン、2-ヒドロキシ-5,6-ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)-トリヒドロキシトリシクロデカン、2-メチル-2-アダマンタノール、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン等のヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤であっても良い。
また、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物には、本開示の効果が損なわれない範囲内で、レジスト膜の性能を改良するためのオリゴマー又はポリマー成分を添加しても良い。オリゴマー又はポリマー成分を添加することにより、レジスト膜中に網目構造を導入することにより、パターン強度の向上による解像性の改善、パターン形状(ラインエッジラフネス)の改善ができる場合がある。このようなオリゴマー又はポリマー成分の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であることが好ましい。
オリゴマー又はポリマー成分としては、i線、KrFやArF用のネガ型レジスト組成物に従来用いられてきたアルカリ現像可能な樹脂である、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン誘導体、アクリル酸やメタクリル酸から誘導されるアクリル系共重合体が挙げられる。これらのオリゴマー又はポリマー成分は反応性官能基を有していても良い。
オリゴマー又はポリマー成分の質量平均分子量は、2000~30000であることが好ましく、更に2000~20000であることが好ましい。ここでの質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定されたポリスチレン換算値をいう。
本開示のネガ型レジスト組成物には、本開示の効果を損なわない限り、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、前記特定のフェノール性化合物(A)と前記含窒素塩基性化合物(B)の合計含有量が、レジスト組成物の全固形分に対して、90質量%以上であって良く、95質量%以上であって良く、97質量%以上であって良く、100質量%であってもよい。
<非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の調製>
本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、通常、有機溶剤に前記特定のフェノール性化合物(A)と前記含窒素塩基性化合物(B)と、必要に応じてその他の添加剤を均一に混合することにより調製される。
有機溶剤としては、レジストの溶剤として一般に用いられているものが使用できる。例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用することができる。さらにイソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールなどのアルコールや、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒が含有されていても構わない。
本開示では、これらの有機溶剤の中でもジエチレングリコールジメチルエーテルやシクロヘキサノン、シクロペンタノン、1-エトキシ-2-プロパノール、乳酸エチルの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
レジスト組成分中の溶剤量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には、溶剤は、レジスト組成物の固形分濃度が好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは0.5~15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、水分含有量を0.5質量%以下、更に0.01~0.5質量%、より更に0.15~0.30質量%に調整することが好ましい。水分含有量は、例えば、使用される材料を適宜乾燥することや、調製雰囲気を乾燥させる(例えば、湿度50%以下)ことによって調整することができる。
また、本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、酸成分含有量を1×10-3ミリ当量/g以下、更に5×10-4ミリ当量/g以下に調整することが好ましい。酸成分含有量は、例えば、使用される材料の溶液や組成物溶液をイオン交換樹脂で処理したり、使用される材料の溶液を純水で洗浄することによって調整することができる。酸成分含有量は、非水系の電位差測定によって求めることができる。
本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、調製されたのち、ろ過して使用されることが好ましい。
本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、電子線、イオンビーム、又はEUVの照射によるパターン形成において、アルカリ現像が可能で、高感度で解像力に優れたパターンを形成可能であることから、半導体集積回路、記録メディア、MEMS、光学デバイス、および、それらに用いられるインプリント用モールド製造等のマイクロリソグラフィプロセスに好適に使用することができる。
また、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、露光量と現像後レジスト膜厚の感度曲線(コントラストカーブ)において、レジスト膜厚の立ち上がりにおける傾きγが2.0以下を達成可能であり、且つ感度が高いことから、階調露光用ネガ型レジスト組成物に適している。
なお、傾きγは、現像後レジスト膜厚(Normalized thickness)0.0-0.5の範囲における近似直線の傾きとして算出した値であり、その際の露光量(Dose)は、mC/cmで計算している。
II.レジストパターンの製造方法
本開示の他の実施形態は、
前記本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、現像する工程、を含むレジストパターンの製造方法を提供する。
本開示に係るレジストパターンの製造方法によれば、前記本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を用いることから、アルカリ現像が可能で、高感度で、高解像力で形状が良好なパターンを形成することができる。
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
(i)本開示に係る非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程
本工程においては、まず、上記の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布する。
塗布方法は、基板表面に当該非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スプレー法、ロールコート法、スリットコート法、回転塗布等の各種方法を用いることができる。
次に、当該基板上に塗布した当該非化学増幅型ネガ型レジスト組成物にプリベーク(PAB)を行い、有機溶剤を除去して、レジスト膜を形成する。
プリベークの温度は、当該組成物の成分、使用割合、有機溶剤の種類等により適宜決めればよく、通常、80~160℃、好ましくは90~150℃である。また、プリベーク時間は、通常、30秒~15分程度である。
(ii)前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、現像する工程
本工程においては、まず、前記レジスト膜を、例えば、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターン形状を有するマスクを介した露光、又は当該マスクを介さない電子線の直接照射による描画等により、選択的に露光を行う。
露光としては、グレースケールで露光する階調露光を行ってもよい。階調露光の方法としては、公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、露光のフォーカス調整、描画露光機の階調露光機能、階調露光用マスク等を用いることにより、階調露光を行うことができる。前記レジスト膜に対して階調露光を行うことにより、高さの異なる凸部、及び/又は、傾斜面を有する凸部を備えた凹凸パターンを形成可能である。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(Extreme Ultraviolet:極紫外線)、電子線、X線、ヘリウムや水素等のイオンビーム等を用いて行うことができる。
次いで、露光後に、露光後加熱(Post Exposure Bake、PEB)を行ってもよい。非化学増幅型のレジスト組成物は、光酸発生剤を実質的に含まないので、酸を拡散するための露光後加熱を行う必要性はないが、前記本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、露光後加熱をすることにより、感度が向上するので、適宜、露光後加熱を行うことが好ましい。
PEB処理の条件は、通常、50~160℃の温度で、0.1~15分程度の時間である。
次に、上記でPEB処理された基板を、アルカリ現像液を用いて現像処理し、露光光の未照射部分を除去する。
現像方法としては、スプレー法、スリット法、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等が挙げられる。
また、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジメチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらのアルカリ現像液の中で、好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンの水溶液である。
また、アルカリ現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いる場合、当該テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の濃度は、0.1%~25%であることが好ましく、更に好ましくは0.2%~5%であり、特に好ましくは0.2%~2.38%である。2.38%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液は、一般に半導体産業において最も入手しやすい。また、当該テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の濃度が0.1%より薄い場合、空気中の二酸化炭素により現像液が中和されてしまい、感度が変動して安定的に製品を得る事が困難となる。
現像処理した後、リンス処理を行い、基板上のアルカリ現像液及び当該アルカリ現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させて、レジストパターンを得る。
III.モールド
本開示の他の実施形態は、凹凸パターンを有するモールドであって、少なくとも凸部が、前記本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の硬化物を含有する、モールドを提供する。
本開示に係るモールドは、前記本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の硬化物を含めば、他の構成は、従来公知と同様のものとすることができる。
本開示に係るモールドは、前記本開示のレジストパターンの製造方法によって、せいぞうすることができる。
本開示に係るモールドは、高さの異なる凸部、及び、傾斜面を有する凸部、の少なくとも1種を備えた凹凸パターンを有する3次元モールドであってよい。
本開示に係るモールドは、例えば、インプリント(賦型)用モールド、記録メディア用スタンパ、射出成形用金型、及びこれらを製造するためのモールド等として、好適に用いることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、本開示について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本開示を制限するものではない。
なお、製造例における、構造及び物性の確認は以下の装置を用いて行った。
MALDI-TOF MS:BRUKER 製、REFLEX II
H‐NMR:日本電子製、JEOL JNM-LA400WB
純度:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所製LC-10ADvp)を用いて、以下の条件(温度:40℃、流速:1.0mL/分、カラム:VP-ODS(4.7mm×150mm)、検出器SPD-M10Avp、移動相:アセトニトリル/水)により測定した。
ガラス転移温度(Tg):示差熱分析装置(島津製作所 製「DSC-60」)を用い、パターン形成材料約4mgを10℃/分の速度で200℃まで昇温し室温まで冷却した後、再度、10℃/分の速度で200℃まで昇温したときのDTA曲線の変曲温度部の前後の滑らかな曲線の両接線の交点をもってガラス転移温度とした。200℃までにガラス転移温度に相当するDTA曲線の変曲点が観察されない場合に、Tgは200℃以上と判断した。
<合成例1:フェノール性化合物Aの合成>
10質量%水酸化カリウム水溶液20mLとエタノール20mLからなる溶液に、下記化学式(10)で表されるフェノール性化合物(TekOC-4HBPA:本州化学工業株式会社)6.3g(10mmol)を加え、室温で攪拌、溶解した。この溶液に37%ホルマリン水溶液7.0mL(80mmoL)を室温下でゆっくりと加えた。更に、窒素雰囲気下、40℃で24時間攪拌した後、ビーカー中の水200mLに投入した。これを氷浴にて冷却しながら2.0wt%酢酸水溶液をpH5.0になるまでゆっくりと加えた。析出物をろ別し、十分に水洗浄した後、乾燥し、高速液体クロマトグラフィーにて精製をすることで、下記化学式(11)で表されるフェノール性化合物Aを4.8g得た。
得られたフェノール性化合物Aの構造確認は、H‐NMRスペクトル及びMALDI-TOF MSより行った。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定より求めた。分析結果を以下に示す。
Figure 2022142290000016
Figure 2022142290000017
(分析結果)
H‐NMR:0.44(6H,-CH3), 1.09-1.67(14H,cHex), 2.03(12H, Ph-CH3), 2.64-2.67(4H,cHex), 4.44-4.51(8H,Ph-CH2-OH), 5.19-5.25(4H,Ph-CH2-OH), 6.74-7.02(8H, Aromatic H), 8.10-8.13(4H,Ph-OH)
純度:92%
MALDI-TOF MS:752.97
ガラス転移温度(Tg):200℃以上
<合成例2:含窒素塩基性化合物(B-01)の合成>
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、N-(2-クロロエチル)ジベンジルアミン塩酸塩0.25g(1.69mmol)、(TekOC-4HBPA:本州化学工業株式会社製)0.54g(1.69mmol)をアセトン30mLに溶解。ついで炭酸カリウム1.17g(8.5mmol)を追加、60℃で48時間反応させた。反応後、残留した炭酸カリウムを除去、一旦溶媒を留去して反応物を乾固させた後に水に溶解、ついで酢酸エチルを加えて水相から目的物を抽出、さらに酢酸エチルを留去した後に高速液体クロマトグラフィーにより分取し、精製してロウ状固体の含窒素塩基性化合物(B-01’)(分子量:856.2)及び(B-01”)(分子量856.2)を得た。
構造はMALDI-TOF MS、高速液体クロマトグラフィー、及びH‐NMRスペクトルにより確認した。なお、H‐NMRスペクトル及びHPLCの保持時間が異なることから、塩基性化合物(B-01’)と(B-01”)は異性体の関係にあることがわかる。
Figure 2022142290000018
(B-01’)
MALDI-TOF MSにて確認:[M+H]856.8
HPLC(アセトニトリル/水=8/2)保持時間:73.5分
H‐NMR(400 MHz, DMSO-d6, TMS): 9.00&8.98(d)δ(ppm)(aromatic-OH)、8.90(aromatic-OH)、6.54~7.37(aromatic-H)、3.98(aromatic-O-CH2-)、3.65(aromatic-CH2-N)、2.75(N-CH2-CH2-)、2.63(Cyclohexane―H2)2.01~2.05(aromatic-CH3)、1.65(Cyclohexane―H2)、1.50(Cyclohexane―H2)、1.32(Cyclohexane―H)、1.08(Cyclohexane―H2)、0.44(-C(-CH3)2―)
(B-01”)
MALDI-TOF MSにて確認:[M+H]856.8
HPLC(アセトニトリル/水=8/2)保持時間:89.0分
H‐NMR(400 MHz, DMSO-d6, TMS): 8.98δ(ppm)(aromatic-OH)、8.92&8.90(d)(aromatic-OH)、6.54~7.40(aromatic-H)、4.04(aromatic-O-CH2-)、3.68(aromatic-CH2-N)、2.79(N-CH2-CH2-)、2.65(Cyclohexane―H2)2.01~2.10(aromatic-CH3)、1.65(Cyclohexane―H2)、1.51(Cyclohexane―H2)、1.32(Cyclohexane―H)、1.07(Cyclohexane―H2)、0.43(-C(-CH3)2―)
[実施例1~3、比較例1:非化学増幅型ネガ型レジスト組成物]
合成例1で得られたフェノール性化合物(A)、合成例2で得られた含窒素塩基性化合物(B)、及び有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を表1の配合量で均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、実施例1~3の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を調製した。
また、含窒素塩基性化合物(B)を用いず、フェノール性化合物(A)および有機溶剤を表1の配合量で均一溶液にし、0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、比較例1の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を調製した。
Figure 2022142290000019
[レジストパターンの製造]
実施例1~3および比較例1で得られた非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を用いて、以下に示す方法でレジストパターンを形成し、評価を行った。
(1)感度曲線の取得
各非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を6インチシリコン基板上にスピンナーを用いて、均一に塗布し、110℃で60秒間プリベーク処理(PAB)を行い、膜厚2μmのレジスト膜を形成した。
上記のレジスト膜に対し、電子線描画装置(加速電圧100keV)を用いて1mm角領域ごとに、50μC/cmずつ露光量を変化させて描画を行った。描画終了後2.38%TMAH水溶液(23度)で60秒間現像処理し、純水にて60秒間リンス処理を行うことで、露光量に応じたレジスト硬化パターンを得た。
[評価(感度曲線)]
感度は、露光量に対するレジスト硬化物の高さを微細形状測定機(小坂研究所製:ET4000)により測定し、図1に示す、露光量と現像後レジスト膜厚の感度曲線(コントラストカーブ)を得た。
(2)レジスト凹凸パターン形成
各非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を6インチシリコン基板上にスピンナーを用いて、均一に塗布し、110℃で60秒間プリベーク処理(PAB)を行い、感度曲線を得た時と同じ膜厚のレジスト膜を形成した。
上記のレジスト膜に対し、電子線描画装置(加速電圧100keV)を用いて描画を行った。具体的には、あらかじめ取得した感度曲線から、最終的に形成したいレジスト高さ毎に階層(レイヤー)として割り振り、その階層に適切な露光量を設定して描画を行った。描画終了後2.38%TMAH水溶液(23度)で60秒間現像処理し、純水にて60秒間リンス処理を行うことで、凹凸パターンを形成した。
[評価(凹凸パターン断面形状)]
凹凸パターン断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)(ZEISS製)により観察した。図2に、実施例1の走査型電子顕微鏡写真及び比較例1の走査型電子顕微鏡写真を示す。
[結果のまとめ]
図1の感度曲線における比較例1と実施例1~3との比較により、レジスト基質兼架橋剤として機能する前記特定のフェノール性化合物(A)に、特定の含窒素塩基性化合物(B)を組み合わせて用いた本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物では、アルカリ現像が可能で、より高感度で解像力に優れたパターンを形成可能であることが明らかにされた。また、実施例1~3の比較により、特定の含窒素塩基性化合物(B)の添加量が多いほど、感度が高くなることが示された。
図2を参照すると、本開示の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物では、感度が高いことから、比較例と比べて、凹凸パターンの高さを高くすることができることが明らかにされた。

Claims (5)

  1. フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有し、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を1分子中に2個以上有する分子量400~2500のフェノール性化合物(A)と、
    芳香環を1分子中に1個以上有し、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1分子中1個以上有する分子量400以上3000以下の含窒素塩基性化合物(B)とを含有するネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物の全固形分中における前記フェノール性化合物(A)の含有量が70質量%以上であり、酸発生剤を実質的に含有しない、非化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
  2. 前記含窒素塩基性化合物(B)が、下記式(I)で表される、請求項1に記載の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
    Figure 2022142290000020
    (式(I)中、Rは、直接結合又はオキシ基(-O-)を有してもよいアルキレン基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、オキシ基(-O-)を有してもよい1価の有機基であり、Arは、芳香環を有する1価の有機基である。但し、1分子中に、フェノール性水酸基及び/又はフェノキシ基を1個以上有する。)
  3. 前記含窒素塩基性化合物(B)が、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基よりなる群から選択される1種以上の置換基を有しない、請求項1又は2に記載の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布した後、加熱処理し、レジスト膜を形成する工程、及び
    前記レジスト膜を電子線、イオンビーム、EUV、又はX線で露光し、現像する工程、を含むレジストパターンの製造方法。
  5. 凹凸パターンを有するモールドであって、少なくとも凸部が、請求項1~3のいずれか1項に記載の非化学増幅型ネガ型レジスト組成物の硬化物を含有する、モールド。
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