JP5742310B2 - 方式判定装置および方式判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変調方式を判定する方式判定装置および方式判定方法に関する。
たとえば無線通信において、変調方式が未知の通信波を受信し、受信した通信波の変調方式を判定する技術が知られている。たとえば、位相変調(PSK:Phase Shift Keying)された通信波の変調方式を判定する技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。この技術においては、通信波のキャリア周波数とほぼ同じ周波数の局部信号を用いた直交検波により得たベースバンド信号からシンボル点を検出し、シンボル点間の位相差の度数分布に基づいて通信波の変調方式を判定する。
特開2008−54186号公報
しかしながら、上述した従来技術では、判定対象の通信波のキャリア周波数が不明であると変調方式を判定することができないという問題がある。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、キャリア周波数が不明でも変調方式を判定することができる方式判定装置および方式判定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる複数の周期でサンプリングし、サンプリングしたサンプリングデータ間の位相差を検出し、所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を、前記複数の周期それぞれについて算出し、算出した前記複数の周期それぞれについての分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、判定結果を出力する方式判定装置および方式判定方法が提案される。
本発明の別の側面によれば、受信した通信波を複数の周期でサンプリングした複数のサンプリングデータ列を取得し、サンプリングした連続するサンプリングデータ間の位相差を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出し、所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出し、前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、判定結果を出力する方式判定装置および方式判定方法が提案される。
本発明の一側面によれば、キャリア周波数が不明でも変調方式を判定することができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。 図2は、任意の周期によるサンプリングの一例を示すグラフである。 図3は、位相の変化をIQ直交座標平面により示す図である。 図4は、複数の周期によるサンプリングの一例を示す図である。 図5−1は、変調方式がBPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。 図5−2は、変調方式がQPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。 図5−3は、変調方式がπ/4シフトQPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。 図5−4は、変調方式が8PSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。 図6−1は、変調方式がBPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。 図6−2は、変調方式がQPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。 図6−3は、変調方式がπ/4シフトQPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。 図6−4は、変調方式が8PSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。 図7は、実施の形態にかかる方式判定装置の構成例を示す図である。 図8は、変調方式判定部による判定処理の一例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる方式判定装置および方式判定方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(通信システムの構成例)
図1は、実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる通信システム100は、無線通信機101と、方式判定装置110と、を含む。無線通信機101は、位相変調した通信波102を無線により送信する。通信波102は、方式判定装置110を宛先とする通信波でもよいし、方式判定装置110とは異なる通信装置を宛先とする通信波でもよい。方式判定装置110は、無線通信機101によって送信された通信波102の変調方式を判定する。
具体的には、方式判定装置110は、受信部111と、サンプリング部112と、検出部113と、算出部114と、取得部115と、判定部116と、出力部117と、を備えている。受信部111は、無線により送信された通信波102を受信する。たとえば、受信部111は、任意の周波数の局部信号を用いて通信波102の直交検波を行う。局部信号の周波数は、通信波102のキャリア周波数と異なっていてもよい。受信部111は、受信した通信波102をサンプリング部112へ出力する。
サンプリング部112は、受信部111から出力される信号を任意の周期によりサンプリング(標本化)する。したがって、サンプリング部112のサンプリングの周期は、受信部111から出力される通信波102のシンボル周期と異なっていてもよい。シンボル周期はシンボルが変化する周期である。サンプリング部112は、サンプリングにより得られたサンプリングデータを検出部113へ出力する。
検出部113は、サンプリング部112から出力される連続するサンプリングデータ間の位相差を検出する。たとえば、検出部113は、サンプリング部112からサンプリングデータが出力されるごとに、サンプリング部112から前回出力されたサンプリングデータとの間の位相差を検出する。検出部113は、検出した位相差を算出部114へ通知する。
算出部114は、検出部113から通知された位相差の分布状態を示す分布情報を算出する。分布情報は、たとえば、所定期間内に通知(検出)された異なる位相差の数を示す情報である。または、分布情報は、所定期間内に位相差が通知(検出)された回数を位相差ごとに示す度数分布などであってもよい。算出部114は、算出した分布情報を判定部116へ出力する。
取得部115は、算出部114によって算出される分布情報と、受信部111によって受信される通信波102の変調方式と、を対応付ける対応情報を取得する。たとえば、対応情報は方式判定装置110のメモリに記憶されており、取得部115は方式判定装置110のメモリに記憶された対応情報を取得する。また、取得部115は、外部の装置から対応情報を取得してもよい。対応情報は、たとえば、分布情報と変調方式とを対応付けるテーブルである。または、対応情報は、入力された分布情報に対応する変調方式を出力するように組まれたプログラムなどであってもよい。取得部115は、取得した対応情報を判定部116へ出力する。
判定部116は、算出部114から出力された分布情報に基づいて、受信部111によって受信された通信波102の変調方式を判定する。通信波102の変調方式が何らかの位相変調方式である場合は、分布情報は、通信波102の位相変調方式の種類によって異なる情報となる。したがって、判定部116は、分布情報に基づいて通信波102の変調方式の種類を判定することができる。
具体的には、判定部116は、算出部114から出力された分布情報と、取得部115から出力された対応情報と、に基づいて変調方式を判定する。判定部116は、変調方式の判定結果を出力部117へ通知する。出力部117は、判定部116から判定結果を示す情報を出力する。これにより、通信波102のキャリア周波数やシンボル周期が不明であっても通信波102の変調方式を判定することができる。
また、サンプリング部112は、互いに異なる複数の周期で通信波102をサンプリングした複数のサンプリングデータ列を出力してもよい。複数の周期は、それぞれ任意の周期でよく、通信波102のシンボル周期と異なっていてもよい。
検出部113は、サンプリング部112から出力された複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて、連続するサンプリングデータ間の位相差を検出する。検出部113は、複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出した位相差を算出部114へ通知する。算出部114は、検出部113から複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて出力された位相差の分布状態を示す分布情報を、複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出する。算出部114は、複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出した分布情報を判定部116へ出力する。
判定部116は、算出部114から出力された複数の分布情報に基づいて通信波102の変調方式を判定する。複数の分布情報は、それぞれ異なるサンプリング周期に基づく分布情報である。このため、複数の分布情報の少なくともいずれかが通信波102の変調方式によって異なる情報となる確率は、単独の分布情報が通信波102の変調方式によって異なる情報となる確率より高くなる。このため、複数の分布情報を用いることで、通信波102の変調方式をより精度よく判定することができる。
たとえば、判定部116は、複数の分布情報のうちの対応情報に基づいて変調方式を判定可能な分布情報を判定し、判定した分布情報および対応情報に基づいて変調方式を判定する。または、対応情報は、複数の分布情報の組み合わせと変調方式とを対応付けていてもよい。この場合は、判定部116は、複数の分布情報の組み合わせと対応情報に基づいて変調方式を判定する。
(任意の周期によるサンプリングの一例)
図2は、任意の周期によるサンプリングの一例を示すグラフである。図3は、位相の変化をIQ直交座標平面により示す図である。図2の横軸は時刻を示している。通信波102は、受信部111によって受信された位相変調方式の通信波である。位相変化点211は、通信波102の位相の変化点(シンボル変化点)である。図2に示す例では、位相変化点211において通信波102の位相がπだけ変化している。このように、位相変調方式の通信波102においてはシンボル周期ごとにキャリア(搬送波)の位相が変化する。
図2の横軸上の上向き矢印(…,tn,tn+1,tn+2,tn+3,tn+4,…)は、サンプリング部112によるサンプリングのタイミングを示している。tn,tn+1,tn+2,tn+3,tn+4における通信波102の位相の変化は、図3に示すIQ直交座標平面300のようになる。
図2および図3に示す例では、サンプリング部112は、通信波102のシンボル周期よりも短い周期でサンプリングを行っている。位相差221〜224は、それぞれtn+1,tn+2,tn+3,tn+4において検出部113によって検出される位相差を示している。たとえば、tn〜tn+1の区間と、tn+1〜tn+2の区間と、tn+3〜tn+4の区間と、においては通信波102の位相が変化していない。このため、位相差221,222,224は一定の位相差(φとする)となる。
一方、tn+2〜tn+3の区間においては通信波102の位相がπだけ変化しているため、位相差223はφ+πとなる。算出部114は、位相差221〜224を取得し、取得した各位相差の分布状態を示す分布情報を算出する。
(複数の周期によるサンプリングの一例)
図4は、複数の周期によるサンプリングの一例を示す図である。図4において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。シンボル周期Tは、通信波102のシンボル周期を示している。ステージ1〜4は、複数の周期による通信波102のサンプリングを示している。各ステージにおける上向きの矢印は、各ステージにおけるサンプリングのタイミングを示している。各ステージにおける丸印は、各ステージにおけるサンプリングのタイミングのうちの、位相差の検出結果が前回のサンプリングから変化するタイミングを示している。
ステージ1は、通信波102のシンボル周期Tより短い周期Tsによる通信波102のサンプリングを示している。ステージ2は、周期Tsの2倍の周期2Tsによる通信波102のサンプリングを示している。ステージ3は、周期2Tsの2倍の周期4Tsによる通信波102のサンプリングを示している。ステージ4は、周期4Tsの2倍の周期8Tsによる通信波102のサンプリングを示している。
図4に示す例では、ステージ1,2の周期Ts,2Tsは通信波102のシンボル周期Tより短くなっている。ステージ3,4の周期4Ts,8Tsは、通信波102のシンボル周期Tより長くなっている。図4に示すように、各ステージにおいて位相差の検出結果が前回のサンプリングから変化するタイミングは、各ステージにおけるサンプリングのタイミングのうちの、通信波102の位相変化点211の直後のタイミングとなる。なお、ここでは4つの周期(ステージ)によるサンプリングについて説明したが、サンプリングを行う周期の数(ステージの数)は1つ以上であればよい。
(各変調方式における理想のシンボル点)
図5−1は、変調方式がBPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。通信波102がBPSKにより変調されており、通信波102からベースバンド信号が正確に検波できたと仮定する。この場合は、通信波102の位相は、図5−1のIQ直交座標平面510のシンボル点511,512に示すように0およびπの2通りの値をとる。
図5−2は、変調方式がQPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。通信波102がQPSKにより変調されており、通信波102からベースバンド信号が正確に検波できたと仮定する。この場合は、通信波102の位相は、図5−2のIQ直交座標平面520のシンボル点521〜524に示すように0、π/2、π、3π/2(−π/2π)の4通りの値をとる。
図5−3は、変調方式がπ/4シフトQPSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。通信波102がπ/4シフトQPSKにより変調されており、通信波102からベースバンド信号が正確に検波できたと仮定する。この場合は、通信波102の位相は、図5−3のIQ直交座標平面530のシンボル点531〜535に示すように0、π/4、3π/4、5π/4(−3π/4)、7π/4(−π/4)の5通りの値をとる。
図5−4は、変調方式が8PSKである場合の理想のシンボル点を示す参考図である。通信波102が8PSKにより変調されており、通信波102からベースバンド信号が正確に検波できたと仮定する。この場合は、通信波102の位相は、図5−4のIQ直交座標平面540のシンボル点541〜548に示すように、0、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2、7π/4の8通りの値をとる。
(各変調方式における位相差の分布)
図6−1は、変調方式がBPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。図6−1に示すヒストグラム611〜614は、通信波102の変調方式がBPSKである場合のステージ1〜4における理想的な位相差ごとの検出回数を示している。通信波102の変調方式がBPSKである場合は、ステージ1〜4のそれぞれにおいて位相差φおよびφ+πの2つの位相差が検出される。
図6−2は、変調方式がQPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。図6−2に示すヒストグラム621〜624は、通信波102の変調方式がQPSKである場合のステージ1〜4における理想的な位相差ごとの検出回数を示している。通信波102の変調方式がQPSKである場合は、ステージ1〜4のそれぞれにおいて位相差φ、φ+π/2、φ+πおよびφ+3π/2の4つの位相差が検出される。
図6−3は、変調方式がπ/4シフトQPSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。図6−3に示すヒストグラム631〜634は、通信波102の変調方式がπ/4シフトQPSKである場合のステージ1〜4における理想的な位相差ごとの検出回数を示している。通信波102の変調方式がπ/4シフトQPSKである場合は、ステージ1,2においては、位相差φ、φ+π/4、φ+3π/4、φ+5π/4およびφ+7π/4の5通りの位相差が検出される。これは、π/4QPSK方式においては位相変化時に0の位相変化がなく、π/4、3π/4、5π/4および7π/4の4つのシンボルポイントいずれかに移行するためである。
ステージ3,4においては、位相差φ、φ+π/4、φ+π/2、φ+3π/4、φ+π、φ+5π/4、φ+3π/2およびφ+7π/4の8通りの位相差が検出される。これは、ステージ3,4はサンプリング周期が長いため、複数回の位相変化をまたいで位相差が検出され、その結果、たとえばπ/4が2回の合計でπ/2の位相差などが検出されるためである。
図6−4は、変調方式が8PSKである場合の理想的な位相差の分布状態を示す図である。図6−4に示すヒストグラム641〜644は、通信波102の変調方式が8PSKである場合のステージ1〜4における理想的な位相差ごとの検出回数を示している。通信波102の変調方式が8PSKである場合は、ステージ1〜4のそれぞれにおいて位相差φ、φ+π/4、φ+π/2、φ+3π/4、φ+π、φ+5π/4、φ+3π/2およびφ+7π/4の8つの位相差が検出される。
図6−1〜図6−4に示したように、通信波102の変調方式ごとに、検出部113によって検出される位相差の分布が異なる。これにより、検出部113によって検出される位相差の分布に基づいて通信波102の変調方式を判定することが可能である。なお、各変調方式において、ステージ1などのサンプリングの周期が短いステージでは、位相差φの検出回数が多くなる。これは、サンプリングの周期が通信波102のシンボル周期よりも短いためである。
(方式判定装置の構成例)
図7は、実施の形態にかかる方式判定装置の構成例を示す図である。図7に示す方式判定装置700は、図1に示した方式判定装置110の構成例である。図7に示すように、方式判定装置700は、受信アンテナ711と、局部信号発生器712と、直交検波部713と、A/D変換器714と、デジタル処理部720と、を備えている。受信アンテナ711は、空中からの通信波102を受信する。受信アンテナ711は、受信した通信波102(RF信号)を直交検波部713へ出力する。
局部信号発生器712は、互いに位相が90[°]異なる2相の局部信号(ローカル信号)を出力する。局部信号の周波数は、たとえば、通信波102のキャリアが十分に検出可能な任意の周波数とする。たとえば、通信波102のキャリアが2〜3[GHz]帯であると推定される場合は、局部信号の周波数を2[GHz]などのキャリアの推定帯域に近い周波数とする。ただし、局部信号の周波数と通信波102のキャリア周波数と一致していなくてもよい。したがって、通信波102のキャリア周波数は不明であってもよい。
直交検波部713は、受信アンテナ711から出力された通信波102を、局部信号発生器712から出力された各局部信号とミキシングすることによって直交検波する。たとえば、直交検波部713は、通信波102を分岐し、分岐した各通信波にそれぞれ90[°]異なる各局部信号をミキシングし、ミキシングした各信号を加算する。直交検波部713は、直交検波により得られた信号i,qをA/D変換器714へ出力する。
A/D変換器714は、直交検波部713から出力されたアナログの信号i,qをデジタルサンプリングによりデジタル信号に変換する。A/D変換器714は、デジタル信号に変換した各サンプリングデータをデジタル処理部720へ出力する。A/D変換器714からデジタル処理部720へ出力される各サンプリングデータをそれぞれI(t),Q(t)とする。tはサンプリング時間を示している。
A/D変換器714のサンプリングレートは、たとえば、推定される通信波102のシンボルレートよりも高速のサンプリングレートとする。たとえばシンボルレートが2[MHz]と推定される場合は、A/D変換器714のサンプリングレートを10[MHz]などの2[MHz]より高いレートとする。また、シンボルレートが不明である場合は、A/D変換器714におけるサンプリングレートをたとえば数100[MHz]などの高速なレートとしてもよい。
デジタル処理部720は、分岐部721と、間引処理部722と、位相差検出部723と、位相差分布作成部724と、変調方式判定部725と、を備えている。デジタル処理部720は、たとえばFPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現することができる。
分岐部721は、A/D変換器714から出力されたI(t),Q(t)をn分岐(複製)する。nは上述したステージの数(たとえば4)である。分岐部721は、分岐したnステージのI(t),Q(t)を間引処理部722へ出力する。
間引処理部722は、分岐部721から出力されたnステージのI(t),Q(t)を、ステージごとに異なる周期で間引きする。たとえば、間引処理部722は、ステージ1のI(t),Q(t)を間引きせず、サンプリング時間をtのままとする。間引処理部722は、サンプリング時間がtのI(t),Q(t)を位相差検出部723へ出力する。
また、間引処理部722は、ステージ2のI(t),Q(t)を1/2に間引く。間引処理部722は、I(t),Q(t)を1/2に間引いたI(2t)およびQ(2t)を位相差検出部723へ出力する。また、間引処理部722は、ステージ3のI(t),Q(t)を1/4に間引く。間引処理部722は、I(t),Q(t)を1/4に間引いたI(4t)およびQ(4t)を位相差検出部723へ出力する。
同様に、間引処理部722は、ステージnのI(t),Q(t)を1/2n-1に間引く。間引処理部722は、I(t),Q(t)を1/2n-1に間引いたI(2n-1t)およびQ(2n-1t)を位相差検出部723へ出力する。これにより、ステージ1のサンプリング周期をTsとすると、ステージ2のサンプリング周期を2Ts、ステージ3のサンプリング周期を4Ts、ステージnのサンプリング周期を2n-1Tsとすることができる。
位相差検出部723は、間引処理部722から出力された各ステージのI(t),Q(t)について、ステージごとに、連続するサンプリングデータ間の位相差を検出する。ここで、I(t),Q(t)が示すサンプリングデータの時刻Tにおける位相θ(T)は、下記(1)式によって示すことができる。
θ(T)=tan-1[Q(T)/I(T)] …(1)
したがって、位相差検出部723は、I(t),Q(t)が示すサンプリングデータの時刻T−1と時刻Tにおける位相差Δθ(T)を、下記(2)式によって算出することができる。
Δθ(T)=θ(T)−θ(T−1)
=tan-1[Q(T)/I(T)]
−tan-1[Q(T−1)/I(T−1)] …(2)
位相差検出部723は、位相差Δθ(T)を算出することで、連続するサンプリングデータ間の位相差を検出することができる。また、位相差検出部723は、各ステージについて、サンプリングデータごとに位相差Δθ(T)を算出することで、ステージごとの位相差を連続して検出することができる。位相差検出部723は、検出したステージごとの各サンプリングデータにおける位相差を位相差分布作成部724へ出力する。
位相差分布作成部724は、位相差検出部723から出力されたステージごとの位相差の統計をとり、各位相差の検出の頻度をステージごとに算出する。検出の頻度は、たとえば検出回数である。また、検出の頻度は、検出の回数の所定数に対する比率などであってもよい。位相差分布作成部724は、ステージごとに算出した各位相差の検出の頻度を示す分布情報を変調方式判定部725へ出力する。
変調方式判定部725は、位相差分布作成部724から出力された分布情報に基づいて、受信アンテナ711によって受信された通信波の変調方式を判定する。変調方式判定部725は、判定結果を示す情報を出力する。変調方式判定部725による変調方式の例については図8において説明する。
図1に示した受信部111は、たとえば受信アンテナ711、局部信号発生器712および直交検波部713によって実現することができる。図1に示したサンプリング部112は、たとえばA/D変換器714、分岐部721および間引処理部722によって実現することができる。図1に示した検出部113は、たとえば位相差検出部723によって実現することができる。図1に示した算出部114は、たとえば位相差分布作成部724によって実現することができる。図1に示した取得部115、判定部116および出力部117は、たとえば変調方式判定部725によって実現することができる。
(変調方式判定部による判定処理の一例)
図8は、変調方式判定部による判定処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、位相差分布作成部724は、位相差検出部723によって検出された異なる位相差の数(分布本数と称する)を分布情報としてn個のステージごとに算出して変調方式判定部725へ出力する場合について説明する。変調方式判定部725は、位相差分布作成部724から出力されるステージごとの分布本数を用いて、たとえば図8に示す各ステップを実行することで通信波102の変調方式を判定する。
図8において、stageは、ステージ1〜nを示す変数である。まず、変調方式判定部725は、最上位ステージを示すnをstageに設定する(ステップS801)。つぎに、変調方式判定部725は、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が8であるか否かを判断する(ステップS802)。
ステップS802において、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が8である場合(ステップS802:Yes)は、変調方式判定部725は、stageを1だけ減らす(ステップS803)。つぎに、変調方式判定部725は、stageが0であるか否かを判断する(ステップS804)。これにより、すべてのステージについて判断を行ったか否かを判断することができる。
ステップS804において、stageが0でない場合(ステップS804:No)は、変調方式判定部725は、ステップS802へ戻る。stageが0である場合(ステップS804:Yes)は、変調方式判定部725は、通信波102の変調方式を8PSKと判定し(ステップS805)、一連の処理を終了する。
ステップS802において、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が8でない場合(ステップS802:No)は、変調方式判定部725は、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が5であるか否かを判断する(ステップS806)。stageが示すステージにおける位相差の分布本数が5である場合(ステップS806:Yes)は、変調方式判定部725は、通信波102の変調方式をπ/4シフトQPSKと判定し(ステップS807)、一連の処理を終了する。
ステップS806において、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が5でない場合(ステップS806:No)は、変調方式判定部725は、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が4であるか否かを判断する(ステップS808)。stageが示すステージにおける位相差の分布本数が4である場合(ステップS808:Yes)は、変調方式判定部725は、通信波102の変調方式をQPSKと判定し(ステップS809)、一連の処理を終了する。
ステップS808において、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が4でない場合(ステップS808:No)は、変調方式判定部725は、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が2であるか否かを判断する(ステップS810)。stageが示すステージにおける位相差の分布本数が2である場合(ステップS810:Yes)は、変調方式判定部725は、通信波102の変調方式をBPSKと判定し(ステップS811)、一連の処理を終了する。
ステップS810において、stageが示すステージにおける位相差の分布本数が2でない場合(ステップS810:No)は、変調方式判定部725は、stageを1だけ減らす(ステップS812)。つぎに、変調方式判定部725は、stageが0であるか否かを判断する(ステップS813)。これにより、すべてのステージについて判断を行ったか否かを判断することができる。
ステップS813において、stageが0でない場合(ステップS813:No)は、変調方式判定部725は、ステップS802へ戻る。stageが0である場合(ステップS813:Yes)は、変調方式判定部725は、通信波102の変調方式を判定不能と判断し(ステップS814)、一連の処理を終了する。
たとえば、以上の各ステップを実行させるプログラムを分布情報と変調方式の対応情報として方式判定装置700のメモリに記憶しておく。そして、変調方式判定部725は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで各ステップを実行し、通信波102の変調方式を判定する。
以上の各ステップにより、変調方式判定部725は、ステージごとの分布情報(分布本数)のうちの変調方式を判定可能な分布情報を判定し、判定した分布情報および対応情報に基づいて通信波102の変調方式を判定することができる。
ここでは、通信波102の変調方式がBPSK、QPSK、π/4シフトQPSKおよび8PSKのいずれであるかを判定する例について説明したが、判定可能な位相変調方式の種類はこれに限らない。たとえば、DQPSK(Differential Quadrature PSK)などの他の位相変調方式に対応する分布情報を対応情報に追加することで、DQPSKなどの他の位相変調方式についても判定することができる。
また、ここでは、検出された異なる位相差の数(分布本数)を分布情報として用いる場合について説明したが、分布情報はこれに限らない。たとえば、検出された位相差ごとの検出頻度(たとえば図6−1〜図6−4に示す各度数分布)や、位相差ごとの分布比率などを分布情報として用いてもよい。
このように、実施の形態にかかる方式判定装置110は、受信した通信波102を任意の周期でサンプリングする。したがって、サンプリング周期は通信波102のシンボル周期と異なっていてもよい。そして、方式判定装置110は、サンプリングにより得られたサンプリングデータ間の位相差を検出し、検出された位相差の分布を用いることで、通信波102のキャリア周波数が未知であっても変調方式を判定することができる。
このため、たとえば、通信波102のキャリア周波数を事前に解析して変調方式を判定する場合に比べて短時間(少ない処理量)で変調方式を判定することができる。また、通信波102のキャリア周波数を事前に解析するための設備がなくてもよいため、装置を小規模にすることが可能である。
以上説明したように、方式判定装置および方式判定方法によれば、キャリア周波数が不明でも変調方式を判定することができる。ただし、方式判定装置および方式判定方法は、キャリアが既知である場合にも適用可能である。
なお、本発明にかかる方式判定装置および方式判定方法は、光通信にも適用可能である。具体的には、方式判定装置110の受信部111は、位相変調された光信号(通信波)を直交検波により受信し、受信した光信号を光電変換してサンプリング部112へ出力してもよい。これにより、光信号の変調方式を判定することができる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる周期でサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部によってサンプリングされた連続するサンプリングデータ間の位相差を検出する検出部と、
前記検出部によって所定の期間内に検出された位相差の分布状態を示す分布情報を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする方式判定装置。
(付記2)前記分布情報と変調方式とを対応付ける対応情報を取得する取得部を備え、
前記判定部は、前記算出部によって算出された分布情報と、前記取得部によって取得された対応情報と、に基づいて前記通信波の変調方式を判定することを特徴とする付記1に記載の方式判定装置。
(付記3)前記通信波のキャリア周波数と異なる周波数の局部信号によって前記通信波を直交検波する検波部を備え、
前記サンプリング部は、前記検波部の直交検波により得られた信号をサンプリングすることを特徴とする付記1または2に記載の方式判定装置。
(付記4)前記判定部は、前記通信波の位相変調方式の種類を判定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の方式判定装置。
(付記5)前記算出部は、前記検出部によって検出された互いに異なる位相差の数を示す前記分布情報を算出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の方式判定装置。
(付記6)前記算出部は、前記検出部によって検出された頻度を位相差ごとに示す前記分布情報を算出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の方式判定装置。
(付記7)受信した通信波を複数の周期でサンプリングした複数のサンプリングデータ列を取得するサンプリング部と、
前記サンプリング部によってサンプリングされた連続するサンプリングデータ間の位相差を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出する検出部と、
前記検出部によって所定の期間内に検出された位相差の分布状態を示す分布情報を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出する算出部と、
前記算出部によって前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出された分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする方式判定装置。
(付記8)前記判定部は、前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出された分布情報のうちの前記通信波の変調方式を判定可能な分布情報を判定し、判定した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定することを特徴とする付記7に記載の方式判定装置。
(付記9)受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる周期でサンプリングし、
サンプリングした連続するサンプリングデータ間の位相差を検出し、
所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を算出し、
算出した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、
判定結果を出力する、
ことを特徴とする方式判定方法。
(付記10)受信した通信波を複数の周期でサンプリングした複数のサンプリングデータ列を取得し、
サンプリングした連続するサンプリングデータ間の位相差を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出し、
所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出し、
前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、
判定結果を出力する、
ことを特徴とする方式判定方法。
100 通信システム
102 通信波
110,700 方式判定装置
111 受信部
112 サンプリング部
113 検出部
114 算出部
115 取得部
116 判定部
117 出力部
211 位相変化点
221〜224 位相差
300,510,520,530,540 IQ直交座標平面
511,512,521〜524,531〜535,541〜548 シンボル点
611〜614,621〜624,631〜634,641〜644 ヒストグラム
711 受信アンテナ
712 局部信号発生器
713 直交検波部
714 A/D変換器
720 デジタル処理部
721 分岐部
722 間引処理部
723 位相差検出部
724 位相差分布作成部
725 変調方式判定部

Claims (7)

  1. 受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる複数の周期でサンプリングするサンプリング部と、
    前記サンプリング部によってサンプリングされたサンプリングデータ間の位相差を検出する検出部と、
    前記検出部によって所定の期間内に検出された位相差の分布状態を示す分布情報を、前記複数の周期それぞれについて算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された前記複数の周期それぞれについての分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
    を備えることを特徴とする方式判定装置。
  2. 前記分布情報と変調方式とを対応付ける対応情報を取得する取得部を備え、
    前記判定部は、前記算出部によって算出された分布情報と、前記取得部によって取得された対応情報と、に基づいて前記通信波の変調方式を判定することを特徴とする請求項1に記載の方式判定装置。
  3. 前記通信波のキャリア周波数と異なる周波数の局部信号によって前記通信波を直交検波する検波部を備え、
    前記サンプリング部は、前記検波部の直交検波により得られた信号をサンプリングすることを特徴とする請求項1または2に記載の方式判定装置。
  4. 受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる複数の周期でサンプリングした複数のサンプリングデータ列を取得するサンプリング部と、
    前記サンプリング部によってサンプリングされた連続するサンプリングデータ間の位相差を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出する検出部と、
    前記検出部によって所定の期間内に検出された位相差の分布状態を示す分布情報を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出する算出部と、
    前記算出部によって前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出された分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
    を備えることを特徴とする方式判定装置。
  5. 前記判定部は、前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出された分布情報のうちの前記通信波の変調方式を判定可能な分布情報を判定し、判定した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定することを特徴とする請求項4に記載の方式判定装置。
  6. 受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる複数の周期でサンプリングし、
    サンプリングしたサンプリングデータ間の位相差を検出し、
    所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を、前記複数の周期それぞれについて算出し、
    算出した前記複数の周期それぞれについての分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、
    判定結果を出力する、
    ことを特徴とする方式判定方法。
  7. 受信した通信波を前記通信波のシンボル周期と異なる複数の周期でサンプリングした複数のサンプリングデータ列を取得し、
    サンプリングした連続するサンプリングデータ間の位相差を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて検出し、
    所定の期間内に検出した位相差の分布状態を示す分布情報を前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出し、
    前記複数のサンプリングデータ列のそれぞれについて算出した分布情報に基づいて前記通信波の変調方式を判定し、
    判定結果を出力する、
    ことを特徴とする方式判定方法。
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