JP2008005435A - 変調信号解析装置および通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変調方式を精度よく判別することができる変調信号解析装置を得ること。
【解決手段】本発明にかかる変調信号解析装置は、受信信号の変調方式が未知の場合に変調方式を判定する装置であって、たとえば、想定される変調方式毎に変調信号の特性に基づいて生成された基準ベクトルを個別に記憶するための基準ベクトルテーブル6aと、受信信号から変調信号の特性を表す複数の特徴量を個別に抽出する各特徴量抽出部(3−1,3−2,3−3)と、前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルを算出する特徴空間マッピング処理部4aと、前記特徴量ベクトルと前記変調方式毎に生成された基準ベクトルとの間の距離をそれぞれ算出する距離算出部5aと、距離が最短となる基準ベクトルに対応する変調方式を前記受信信号の変調方式と判定する判定部7aと、を備えることとした。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかる変調信号解析装置は、受信信号の変調方式が未知の場合に変調方式を判定する装置であって、たとえば、想定される変調方式毎に変調信号の特性に基づいて生成された基準ベクトルを個別に記憶するための基準ベクトルテーブル6aと、受信信号から変調信号の特性を表す複数の特徴量を個別に抽出する各特徴量抽出部(3−1,3−2,3−3)と、前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルを算出する特徴空間マッピング処理部4aと、前記特徴量ベクトルと前記変調方式毎に生成された基準ベクトルとの間の距離をそれぞれ算出する距離算出部5aと、距離が最短となる基準ベクトルに対応する変調方式を前記受信信号の変調方式と判定する判定部7aと、を備えることとした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、受信した信号の変調方式が未知の場合に当該変調方式を推定する変調信号解析装置に関するものであり、特に、受信信号から抽出した特徴量を用いて変調方式を推定する変調信号解析装置および通信装置に関するものである。
従来、変調された信号を受信する際には、予め変調方式がわかった上で復調するのが一般的である。一方、ディジタル変調方式は多様化しており、受信する信号の変調方式が即座にわからない場合が想定される。このような場合には、受信側で変調方式を推定できると効率的に復調が行える。
たとえば、変調信号の変調方式を推定する受信装置として、下記特許文献1に記載の技術が開示されている。以下、特許文献1に記載の従来技術について説明する。
下記特許文献1に記載の受信装置では、未知の変調信号として、ASK(振幅変調),PSK(位相変調),FSK(周波数変調)により変調された信号がさらにFM変調されている多重変調も考慮した信号を推定対象としている。
この受信装置は、多重変調された受信信号をFM検波するFM検波部と、FM検波された信号を逓倍する逓倍部と、FM検波あるいは逓倍された受信信号に対して高速フーリエ変換を実施する高速フーリエ変換部と、変調信号を判定する判定部から成り立っている。
受信装置では、まず、FM検波部において多重変調かどうかを判別する。たとえば、多重変調であると判別された場合には、当該変調信号に対してFM検波を行い単一変調信号とした後に、変調方式の推定処理を行う。また、多重変調でないと判別された場合には、そのまま変調方式の推定処理を行う。推定処理には、変調信号に対して高速フーリエ変換を実施したスペクトラムと、当該変調信号を4逓倍部で4逓倍処理した後に高速フーリエ変換を実施したスペクトラムと、当該変調信号を2逓倍部で2逓倍処理した後に高速フーリエ変換を実施したスペクトラムと、の3種類のスペクトラムを用いる。
そして、受信装置では、上記3種類のスペクトラムについて、特徴量(線スペクトルの存在の有無等)を抽出し、予め変調方式ごとに定義をしておいた特徴量の基準と比較することにより、変調方式を判定する。
また、下記特許文献1では、上記推定方法以外に、変調信号の振幅の分散値を求め、その大きさにより、ASKとPSKとFSKを判別する方法も示されている。
しかしながら、上記特許文献1に示された従来の受信装置については、以下の問題があった。たとえば、上記特許文献1においては、フーリエ変換後のスペクトラムあるいは振幅の分散を用いて変調方式を推定しているが、これらは変調方式の特性を直接的に表現する指標ではない。このため、変調方式の基準値の定義と算出方法が明確でない。また、位相と振幅を組み合わせた変調方式等、複雑な変調方式の場合には、変調方式の判別が困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、変調方式推定の基準となる特徴を簡潔に定義することができ、かつ、変調方式を精度よく判別することができる変調信号解析装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる変調信号解析装置は、送信側において変調された受信信号(変調信号)の変調方式が未知の場合に、当該変調信号を解析して変調方式を判定する変調信号解析装置であって、たとえば、想定される変調方式毎に、変調信号の特性を表す特徴量に基づいて生成された基準ベクトルを、個別に記憶するための基準ベクトル記憶手段と、前記受信信号から、変調信号の特性を表す複数の特徴量を個別に抽出する特徴量抽出手段と、前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルを算出する特徴空間マッピング手段と、前記特徴量ベクトルと前記変調方式毎に生成された基準ベクトルとの間の距離をそれぞれ算出する距離算出手段と、算出された距離が最短となる基準ベクトルに対応する変調方式を前記受信信号の変調方式と判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、変調方式を推定するための基準を簡潔に定義することができるとともに、未知の変調信号を検波・復調することなく変調方式を精度よく判別することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる変調信号解析装置および当該変調信号解析装置を具備する通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる変調信号解析装置および通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の変調信号解析装置は、信号抽出部1,フィルタ処理部2,振幅特徴量抽出部3−1,位相差分特徴量抽出部3−2,位相2階差分特徴量抽出部3−3,特徴空間マッピング処理部4a,距離算出部5a,基準ベクトルテーブル部6a,判定部7aで構成されている。
図1は、本発明にかかる変調信号解析装置および通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の変調信号解析装置は、信号抽出部1,フィルタ処理部2,振幅特徴量抽出部3−1,位相差分特徴量抽出部3−2,位相2階差分特徴量抽出部3−3,特徴空間マッピング処理部4a,距離算出部5a,基準ベクトルテーブル部6a,判定部7aで構成されている。
まず、本実施の形態における特徴量抽出部の原理について、図および式を用いて説明する。
一般に変調は、位相,周波数,振幅およびそれらの組み合わせを変化させることにより行われる。位相で変調されるものには、たとえばPSK系の位相変調方式があり、周波数で変調されるものにはFSK系の周波数変調方式があり、振幅で変調されるものにはASK系の変調方式がある。これらの変調信号f(t)は、下記式(1)で表すことができる。
なお、tは時刻、Tsは変調信号f(t)をサンプリングする際のサンプリング時間間隔、fcはキャリア周波数を表し、また、kは、サンプリング開始点を0とし、時刻tにおけるサンプリング点の番号を表す整数である。また、A(t),φ(t)は、それぞれ振幅,位相を表す。また、振幅変調の場合は振幅A(t)を、位相変調,周波数変調の場合は位相φ(t)を、時間的に変化させることで変調を行う。また、位相変調と周波数変調は、両方とも位相φ(t)を変化させるが、位相変調の場合は、位相φ(t)を変調ベースバンド信号に比例して変化させるのに対して、周波数変調の場合は、ベースバンド信号の積分値に比例して位相φ(t)を変化させる。このため、変調信号をベースバンド信号の帯域の2倍以上の周波数でサンプリングすると、位相変調された信号の位相は急激に変化する傾向がみられ、周波数変調された信号の位相は緩やかに変動する傾向がみられる。また、振幅変調された信号は、振幅に変動の傾向が表れる。
本実施の形態では、上記変調方式による傾向の差を利用して振幅値および位相の変化に関する時間相関値を算出し、その相関値を変調信号解析のための特徴量として用いることによって、受信した信号の変調方式を推定する。
具体的には、特徴量の一例として、振幅の時間相関値,位相差分の時間相関値,位相2階差分の時間相関値の3つを用いる。位相差分の時間相関値だけでなく、位相2階差分の時間相関値も特徴量として抽出する理由は、位相2階差分は周波数偏差が残留していた場合にも影響をうけにくく、変調方式の推定精度を上げることができるためである。また、評価のパラメータを増やすことにより、判定時に雑音等の影響をうけにくくなるという効果もある。なお、上記に限らず、位相差分の時間相関値,位相2階差分の時間相関値のいずれか一方のみを抽出することとしてもよい。
つづいて、変調方式の違いによる特徴量の差を具体的な例をあげて説明する。図2は、FSKの振幅値の時間相関の例を示し、図3は、FSKの位相差分および位相2階差分の時間相関値の例を示し、図4は、PSKの振幅値の時間相関の例を示し、図5は、PSKの位相差分および位相2階差分の時間相関値の例を示す。これらの図では、横軸は時間を表すサンプリング点数を表し、縦軸は時間相関値を示す。横軸が、128となる点が、時間差が0となる点、すなわち、自分自身との相関を表す点であり、時間相関値は1となる。
図2と図4、図3と図5を比較すると、変調方式により振幅値の時間相関値および位相差分の時間相関値の時間変化に異なる特徴がみられることがわかる。たとえば、図2と図4を比較すると、FSKの場合は、振幅は一定となるため、時間相関値は常に1となる。一方、PSKの場合は、一般に、使用する帯域を制限するためにロールオフフィルタ等を用いているため、変調ベースバンド信号の振幅は完全に定数とならずに変化する。また、図3と図5の位相差分の時間相関値を比較すると、FSKの場合は、時間に対してゆるやかに変化するのに対し、PSKの場合は急激に変化している。また、位相2階差分の時間相関値を比較すると、PSKの場合は、FSKよりも中心の尖り方が鋭くなっている。
つづいて、本実施の形態の具体的な動作について説明する。なお、ここでは、未知の変調信号のベースバンド信号の帯域を既知とする。
まず、信号抽出部1は、未知の変調信号を受信し、受信した変調信号をベースバンド信号の帯域に変換する。さらに、信号抽出部1は、前記変換した信号を、ベースバンド信号の帯域の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングして、データを蓄積し保存する。サンプリング長(サンプリングする時間)は、基準ベクトルとして用意されているデータの長さの2倍以上とする。
次に、フィルタ処理部2は、ベースバンド信号の帯域外の信号を除去するために、上記処理で保存しておいたデータをフィルタリングし、データ列f(k0)を生成する。そして、このデータ列f(k0)を、変調信号に関する特徴抽出を行う振幅特徴量抽出部3−1と位相差分特徴量抽出部3−2と位相2階差分特徴量抽出部3−3の3箇所に対してそれぞれ出力する。ここで、k0はサンプリング点の番号であり、0から始まり(N0−1)までの整数(N0はサンプリングの総点数)とする。
図6は、振幅特徴量抽出部3−1の機能構成例を示す図であり、図7は、位相差分特徴量抽出部3−2の機能構成例を示す図であり、図8は、位相2階差分特徴量抽出部3−3の機能構成例を示す図である。振幅特徴量抽出部3−1は、図6に示すように、振幅算出部3−11と時間相関算出部3−12で構成される。位相差分特徴量抽出部3−2は、図7に示すとおり、位相差分算出部3−21と時間相関算出部3−22で構成される。位相2階差分特徴量抽出部3−3は、図8に示すとおり、複素乗算算出部3−31、位相差分算出部3−32、時間相関算出部3−33で構成される。
ここで、振幅特徴量抽出部3−1、位相差分特徴量抽出部3−2、位相2階差分特徴量抽出部3−3の具体的な処理について説明する。
まず、図6に示す振幅特徴量抽出部3−1の振幅算出部3−11は、フィルタ処理部2から受け取ったデータ列f(k0)を用いて、下記式(2)に従い振幅値rA(k0)を算出し、時間相関算出部3−12に出力する。A(k0)は、f(k0)の振幅を表す。
次に、振幅時間相関算出部3−12は、振幅値rA(k)を用いて、時間相関値CA(m)を下記式(3)に従い算出する。mは、0からN−1(N=N0/2)の整数である。
なお、E[]は、平均を求める平均演算子であり、平均を求めるkの範囲は、k=0〜N−1である。m=N/2のときに、相関をもとめる2つの関数の時間差が0となり、時間相関値CA(m)は1となる。
また、図7に示す位相差分特徴量抽出部3−2の位相差分算出部3−21は、フィルタ処理部2から受け取ったデータ列f(k0)を用いて、下記式(4)に従い位相差分値rp1(k0)を算出し、時間相関算出部3−22に出力する。
なお、f(k0)は、フィルタ処理部2の出力である離散的にサンプリングされた受信信号を表している。また、f*(k0)はf(k0)の複素共役を、arg()は位相算出処理を、それぞれ表している。
次に、時間相関算出部3−22は、位相差分値rp1(k0)を用いて、下記式(5)に従い位相差分値の時間相関値Cp1(m)を算出する。
また、図8に示す位相2階差分特徴量抽出部3−3の複素乗算算出部3−31は、フィルタ処理部2から受け取ったデータ列f(k0)を用いて、下記式(6)に従い複素乗算を行い、得られた複素乗算結果x(k0)を位相差分算出部3−32に出力する。
次に、位相差分算出部3−32は、複素乗算結果x(k0)を用いて、下記式(7)に従い位相2階差分rp2(k0)を算出し、得られた位相2階差分rp2(k0)を時間相関算出部3−33に出力する。
さらに、時間相関算出部3−32は、位相2階差分rp2(k0)を用いて、下記式(8)に従い位相2階差分値の時間相関値Cp2(m)を算出する。
次に、振幅特徴量抽出部3−1,位相差分特徴量抽出部3−2,位相2階差分特徴量抽出部3−3でそれぞれ算出された時間相関値(CA(m)、Cp1(m)、Cp2(m))は、それぞれ特徴空間マッピング処理部4aに入力される。
特徴空間マッピング処理部4aは、入力された時間相関値から、下記式(9)に示す特徴量ベクトルr(m)を求める。特徴量ベクトルとは、振幅の時間相関値,位相差分の時間相関値,位相2階差分の時間相関値の3つの要素をもつベクトルである。
一方、基準ベクトルテーブル部6aには、想定される既知の変調方式に関する基準ベクトルが予め記憶されている。このベクトルは、特徴量ベクトルr(m)と同じく、振幅の時間相関値,位相差分の時間相関値,位相2階差分の時間相関値を要素とするものである。具体的には、まず、変調方式毎に予想される条件で変調信号のデータ列を生成し、そのデータ列を用いて、特徴量を表す上記各時間相関値を上記式(3),式(5),式(8)により算出する。そして、得られた各時間相関値をそれぞれ構成要素とする通信方式固有の基準ベクトルを生成し、基準ベクトルテーブル6aに記憶する。
本実施の形態では、変調方式の基準ベクトルテーブルとして、3つの基準となる変調方式X,Y,Zについて用意されているものとする。変調方式X,Y,Zに関する基準ベクトルrx(m),ry(m),rz(m)は、それぞれ次式(10)により表すことができる。なお、上記基準ベクトルに対応する変調方式は、単一変調のものに限るわけではなく、多重変調されている場合も想定する。その場合には、多重変調を含んだ変調方式として、基準ベクトルを作成しておけばよい。
ここで、CXA(m),CYA(m),CZA(m)は振幅に関する時間相関値であり、CXp1(m),CYp1(m),CZp1(m)は位相差分に関する時間相関値であり、CXp2(m),CYp2(m),CZp2(m)は位相2階差分に関する時間相関値である。
なお、未知の変調信号のベースバンド信号の帯域と基準ベクトルのベースバンド信号の帯域が異なっていると、または、変調信号のサンプリング間隔と基準ベクトルの計算時間間隔が異なっていると、後述の距離算出部5aの処理で不整合が生じる。このため、基準ベクトルは、ベースバンド信号の帯域とサンプリング周波数との比(FRとする)単位に複数計算して用意しておく。これにより、未知の変調信号と同じFRとなる基準ベクトルを選択して用いれば、距離算出部5aの処理における上記不整合を防ぐことができる。
つづいて、距離算出部5aの動作について説明する。距離算出部5aは、基準ベクトルテーブル部6aに記憶されている基準ベクトルのテーブルと、特徴空間マッピング処理部4aで算出された特徴量ベクトルr(m)と、を用いて以下のように距離を算出する。ここでは、受信信号の特徴量ベクトルr(m)と変調方式Xの特徴量ベクトルrx(m)との距離Rrxを次式(11)により求める。
また、受信信号の特徴量ベクトルr(m)と変調方式Yの特徴量ベクトルry(m)との距離Rryを次式(12)により求める。
また、受信信号の特徴量ベクトルr(m)と変調方式Zの特徴量ベクトルrz(m)との距離Rrzを次式(13)により求める。
そして、距離算出部5aは、上記式(11),式(12),式(13)によって求めた変調方式毎の基準ベクトルと受信信号の特徴量ベクトルとの距離Rrx,Rry,Rrzを、判定部7aに入力する。
判定部7aは、これら3つの距離の大きさを比較し、最も距離の短い変調方式を、最も可能性の高い変調方式と判定する。
図9に、変調方式の判定方法の概念を示す。実際には、特徴量は3次元であり、さらに、距離を求める際にはmについて自乗和の平方根をとるが、図9では概念を示すことを目的としているので簡易化した。ここでは、特徴空間を2次元とし、かつ、mについてはある1点についてのみを示している。本実施の形態では、たとえば、変調方式x,y,zに対する基準ベクトルがそれぞれ図9に示すように求められるとき、未知の変調信号の特徴量ベクトルとそれぞれの基準ベクトルとの距離を求め、最も距離の短い変調方式(図9の例の場合には、変調方式y)を、最も可能性の高い変調方式と推定する。
以上のように、本実施の形態における変調信号解析装置は、変調方式を表現するために適した特徴量として、たとえば、振幅,位相差分,位相2階差分の3つの時間相関値を用い、これらの特徴量と想定される変調方式毎の特徴量との比較により、変調信号の解析、すなわち、受信した信号の変調方式を判定することとした。これにより、変調方式を推定するための基準を簡潔に定義することができるとともに、未知の変調信号を検波・復調することなく変調方式を精度よく判別することができる。
また、定義されていない変調信号であっても、変調を直接的に表すパラメータを特徴量ベクトルとして用いているため、この特徴量ベクトルを用いて、振幅変調の傾向が強い信号であるか、位相変調の傾向が強い信号であるか等、変調信号の特性解析を行うことが可能である。
実施の形態2.
図10は、本発明にかかる変調信号解析装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。なお、前述した実施の形態1の図1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、距離算出部5aがないこと、および判定部7bの処理、が実施の形態1と異なっている。
図10は、本発明にかかる変調信号解析装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。なお、前述した実施の形態1の図1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、距離算出部5aがないこと、および判定部7bの処理、が実施の形態1と異なっている。
図11は、本実施の形態の変調信号解析装置の特徴量を評価軸とした特徴空間と変調方式との関係を示す図である。本実施の形態においては、図11に示す特徴量A,特徴量B,特徴量Cは、各々、振幅の時間相関値,位相差分の時間相関値,位相2階差分の時間相関値のいずれかを表している。
たとえば、既知の変調方式x,y,zは、雑音等、伝送路の状況によるばらつきを考慮すると、それぞれ図示したような領域で表すことができる。逆にいえば、これらの領域をはずれるものは、想定以上の雑音等が含まれているか、または、定義していない変調方式である可能性が高いということになる。
本実施の形態では、上記図11に示すように変調方式ごとに領域を定義しておき、その領域内であるかどうかを判定することにより、実施の形態1よりも変調方式の判定精度を向上させる。
以下、本実施の形態の判定部7bについて、実施の形態1の処理と異なる部分を説明する。
たとえば、実施の形態1では、変調方式毎に基準ベクトルを設けることとし、受信した変調信号の特徴量ベクトルと基準ベクトルとの距離を算出し、距離が最も近い変調方式を変調信号の変調方式と判定していた。
しかしながら、伝送上の無線信号の歪みや雑音等により、受信した変調信号の特徴量ベクトルが、真の変調方式ではない別の基準ベクトルに近づいてしまうケースが想定され、その場合、判定部7aで距離の最小値を求めるだけでは、正しい変調方式が推定できない場合がある。特に、基準ベクトルが隣接する場合には、判定部7aの誤判定が増加する可能性がある。
そこで、本実施の形態では、変調方式の誤判定を防ぐために、判定部7bが、基準ベクトルテーブル6aの基準ベクトルを基に、変調方式毎にオーバラップしない、所定の半径を有する球状の領域を設定する。図12に、実施の形態2の判定方式の概念を示す。図11と同様に次元は簡略化している。図12に示すように、未知の変調信号の特徴量ベクトルが、設定されたいずれかの変調方式に対応する領域内にある場合には、変調方式の判定結果が正しいと判断して、この領域に対応する変調方式(この例の場合は変調方式y)を、判定部7bの判定結果として出力する。
一方、受信した変調信号の特徴量ベクトルが、設定された変調方式に対応するいずれの領域にも属さない場合には、正しく判定できない可能性が高いとして、判定部7bでは判定不能という判定結果を出力する。
以上のように、本実施の形態の変調信号解析装置は、変調方式毎に、伝送上の歪みや雑音等を考慮して特徴量に関する基準ベクトルの領域を定義し、受信した変調信号の特徴量ベクトルが前記領域内に存在する場合には、その領域に対応する変調方式を判定結果として出力し、一方で、受信した変調信号の特徴量ベクトルが変調方式を判定可能ないずれの領域にも属さない場合には、変調方式が判定不能であることを示す判定結果を出力することとした。これにより、変調方式の誤判定を防ぐことができ、変調方式の推定精度をさらに向上させることができる。
実施の形態3.
図13は、本発明にかかる変調信号解析装置の実施の形態3の機能構成例を示す図である。なお、前述した実施の形態1の図1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、特徴空間マッピング処理部4b,距離算出部5b,基準ベクトルテーブル6bの処理、が実施の形態1と異なっている。
図13は、本発明にかかる変調信号解析装置の実施の形態3の機能構成例を示す図である。なお、前述した実施の形態1の図1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、特徴空間マッピング処理部4b,距離算出部5b,基準ベクトルテーブル6bの処理、が実施の形態1と異なっている。
以下、実施の形態1と異なる部分の動作を説明する。本実施の形態で、距離計算部5bの処理削減および基準ベクトルテーブル6bのデータ量削減を図る。たとえば、図2〜図5に示したように、振幅,1階差分位相,位相2階差分の各時間相関値は変調方式毎に形状が異なるが、本実施の形態においては、これらの形状の違いを尖度および分散で表し、特徴量とすることにより、受信した信号の変調方式を判定する。
本実施の形態においては、上記式(3),式(5),式(8)で得られた各々N個の時間相関値(CA(m)、Cp1(m)、Cp2(m):m=0〜N−1)が、特徴空間マッピング処理部4bに入力される。特徴空間マッピング処理部4bでは、各時間相関値を用いて、特徴ベクトルrbを求める。特徴量ベクトルrbは、実施の形態1と異なり、下記式(14)で示すベクトルである。
FA,Fp1,Fp2は、それぞれ、振幅の時間相関値の尖度,1階差分位相の時間相関値の尖度,位相2階差分の時間相関値の尖度であり、VA,Vp1,Vp2は、それぞれ、振幅の時間相関値の分散,1階差分位相の時間相関値の分散,位相2階差分の時間相関値の分散である。VA,Vp1,Vp2はそれぞれ下記式(15)によりに求める。
なお、通常分散は、上記式(15)のCu(2/N)の部分をCuの平均値とするが、本実施の形態における分散は、時間差が0となる位置、すなわち、2/Nとなる点からの分散を求めるため、上記式(15)のようにCu(2/N)を用いている。
また、尖度FA,Fp1,Fp2についても、上記同様2/Nを中心として、下記式(16)のように求める。
なお、尖度の定義はいくつか存在するが、データの尖りの程度を表現できれば、上記式(16)でなく他の計算式を用いても良い。
つづいて、基準ベクトルテーブル部6bに記憶されている基準ベクトルについて説明する。基準ベクトルテーブル部6bには、たとえば、3つの変調方式X,Y,Zについての基準ベクトルが用意されているものとする。変調方式X,Y,Zの基準ベクトルrbx,rby,rbzは、下記式(17)で表ことができる。
基準ベクトルを構成する各要素であるFXA,FYA,FZAは振幅の時間相関値の尖度であり、FXp1,FYp1,FZp1は位相差分の尖度であり、FXp2,FYp2,FZp2は位相2階差分の尖度である。また、VXA,VYA,VZAは振幅の時間相関値の分散であり、VXp1,VYp1,VZp1は1階差分位相の時間相関値の分散であり、VXp2,VYp2,VZp2は差分2階位相の時間相関値の分散である。
これらの基準ベクトルは、実施の形態1と同様に求めた、各変調方式の模擬データの振幅,位相差分,位相2階差分のそれぞれの時間相関値(CXA(m)、CYA(m)、CZA(m)、CXp1(m)、CYp1(m)、CZp1(m)、CXp2(m)、CYp2(m)、CZp2(m))を用いて、上記式(15),式(16)によって予め計算しておく。
なお、本実施の形態では、実施の形態1のようにベースバンド信号の周波数とサンプリング周波数との比毎に基準ベクトルを用意する必要はない。分散や尖度は、データの時間間隔やデータの個数に依存しない量であるためである。したがって、変調方式毎に1種類だけ用意すれば良く、実施の形態1に比べ基準ベクトルのテーブルの容量が低減できる。
つづいて、距離算出部5bの処理について説明する。距離算出部5bは、基準ベクトルテーブル部6bに記憶されている基準ベクトルのテーブルと、特徴空間マッピング処理部4bで算出された特徴量ベクトルrbと、を用いて、以下のように距離を算出する。
たとえば、受信信号の特徴量ベクトルrbと変調方式Xの基準ベクトルrbxとの距離Rrbxは次式(18)で表すことができる。
また、受信信号の特徴量ベクトルrbと変調方式Yの基準ベクトルrbyとの距離Rrbyは次式(19)で表すことができる。
また、受信信号の特徴量ベクトルrbと変調方式Zの基準ベクトルrbzとの距離Rrbzは次式(20)で表すことができる。
そして、距離算出部5bにおいて、上記式(18),式(19),式(20)により計算された距離Rrbx,Rrby,Rrbzは、判定部7aに入力される。
判定部7aは、これら3つの距離の大きさを比較し、最も距離の短い変調方式を、最も可能性の高い変調方式と判定する。
ここで、実施の形態1の演算量と本実施の形態の演算量とを実際に比較してみる。たとえば、本実施の形態では、距離を求める際の要素の個数が6個であるのに対し、実施の形態1はN×3個であった。Nは、雑音等の影響を少なくするために、ある程度大きくするのが望ましく、一般的には100以上の数値となることが想定される。したがって、たとえばNが100の場合、本実施の形態の演算量は、実施の形態1の演算量の約1/50となる。
なお、本実施の形態においては、判定部7aを実施の形態2で説明した判定部7b置き換え、さらに、距離計算部5bを削除し、実施の形態2と同様に領域により変調方式を判定することとしてもよい。
以上のように、本実施の形態の変調信号解析装置は、未知の変調信号のサンプリング周波数に依存しない、振幅,位相差分,位相2階差分の尖度と分散を特徴量ベクトルとして用いて、受信した信号の変調方式を判定することとした。これにより、基準ベクトルのテーブルの縮小および距離算出に関する演算量の削減を実現できる。
以上のように、本発明にかかる変調信号解析装置は、受信した信号の変調方式が未知の場合において当該変調方式を推定する通信装置に有用であり、特に、受信信号から抽出した特徴量を用いて変調方式を推定する通信装置に適している。
1 信号抽出部
2 フィルタ処理部
3−1 振幅特徴量抽出部
3−11 振幅算出部
3−12 時間相関算出部
3−2 位相差分特徴量抽出部
3−21 位相差分算出部
3−22 時間相関算出部
3−3 位相2階差分特徴量抽出部
3−31 複素乗算算出部
3−32 位相差分算出部
3−33 時間相関算出部
4a,4b 特徴空間マッピング処理部
5a,5b 距離算出部
6a,6b 基準ベクトルテーブル
7a,7b 判定部
2 フィルタ処理部
3−1 振幅特徴量抽出部
3−11 振幅算出部
3−12 時間相関算出部
3−2 位相差分特徴量抽出部
3−21 位相差分算出部
3−22 時間相関算出部
3−3 位相2階差分特徴量抽出部
3−31 複素乗算算出部
3−32 位相差分算出部
3−33 時間相関算出部
4a,4b 特徴空間マッピング処理部
5a,5b 距離算出部
6a,6b 基準ベクトルテーブル
7a,7b 判定部
Claims (5)
- 送信側において変調された受信信号(変調信号)の変調方式が未知の場合に、当該変調信号を解析して変調方式を判定する変調信号解析装置であって、
想定される変調方式毎に、変調信号の特性を表す特徴量に基づいて生成された基準ベクトルを、個別に記憶するための基準ベクトル記憶手段と、
前記受信信号から、変調信号の特性を表す複数の特徴量を個別に抽出する特徴量抽出手段と、
前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルを算出する特徴空間マッピング手段と、
前記特徴量ベクトルと前記変調方式毎に生成された基準ベクトルとの間の距離をそれぞれ算出する距離算出手段と、
算出された距離が最短となる基準ベクトルに対応する変調方式を前記受信信号の変調方式と判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする変調信号解析装置。 - 送信側において変調された受信信号(変調信号)の変調方式が未知の場合に、当該変調信号を解析して変調方式を判定する変調信号解析装置であって、
想定される変調方式毎に、変調信号の特性を表す特徴量に基づいて生成された基準ベクトルを、個別に記憶するための基準ベクトル記憶手段と、
前記受信信号から、変調信号の特性を表す複数の特徴量を個別に抽出する特徴量抽出手段と、
前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルを算出する特徴空間マッピング手段と、
前記基準ベクトル単位に前記想定される変調方式がそれぞれ取りうる領域を規定し、前記特徴量ベクトルが当該規定された複数領域のいずれか一つの領域内に存在する場合に、当該領域に対応する変調方式を前記受信信号の変調方式と判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする変調信号解析装置。 - 前記複数の特徴量として、信号振幅の時間相関に関する情報および位相差分の時間相関に関する情報を含めることを特徴とする請求項1または2に記載の変調信号解析装置。
- 前記特徴空間マッピング手段は、前記複数の特徴量を要素とする特徴量ベクトルとして、前記各時間相関値の尖度および分散を要素とする特徴量ベクトルを算出することを特徴とする請求項3に記載の変調信号解析装置。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載の変調信号解析装置、
を備えることを特徴とする通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006175724A JP2008005435A (ja) | 2006-06-26 | 2006-06-26 | 変調信号解析装置および通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006175724A JP2008005435A (ja) | 2006-06-26 | 2006-06-26 | 変調信号解析装置および通信装置 |
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JP2008005435A true JP2008005435A (ja) | 2008-01-10 |
Family
ID=39009416
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006175724A Pending JP2008005435A (ja) | 2006-06-26 | 2006-06-26 | 変調信号解析装置および通信装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008005435A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010081251A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Toshiba Corp | 変調方式推定装置および方法 |
JP2010212884A (ja) * | 2009-03-09 | 2010-09-24 | Mitsubishi Electric Corp | 変調方式推定装置 |
JP2012191343A (ja) * | 2011-03-09 | 2012-10-04 | Fujitsu Ltd | 方式判定装置および方式判定方法 |
-
2006
- 2006-06-26 JP JP2006175724A patent/JP2008005435A/ja active Pending
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