JP5740980B2 - セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)用偏光板保護フィルムなどに用いられる透明保護フィルムには、セルロースエステルフィルムなどが使用されている。
透明保護フィルムとしてセルロースエステルフィルムを用いた場合、偏光膜(通常はポリビニルアルコールフィルム)との親和性が悪いため、鹸化処理することにより、偏光膜と透明支持体との親和性の問題を解決し、接着性を確保している。ところで、鹸化処理後はフィルム中の水分を取り除くために乾燥工程が必要である。生産ラインの短縮化はコスト面や各種トラブルによる収率悪化を防ぐ上で必然的に求められているが、しかしながらラインスピードの高速化のニーズもある中で、上記乾燥ラインの短縮化は簡単にはし難い状況である。
一方、セルロースエステルフィルムには滑り性(耐ブロッキング性)の改善や耐傷性の改善のために、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載されている様に種々の粒子等を含有させたり、塗布したりすることが知られている。
しかしながらこのような従来技術では、フィルム中に粒子を含有させると、実際には微粒子の凝集物等により、フィルム表面に不均一で突出した凸部を生じ易く鹸化処理後の効果的な乾燥を阻害するという新たな課題が見出された。
特開平1−299847号公報 特開平7−11055号公報 特開2006−22306号公報
本発明の目的は、鹸化処理後の乾燥性を大幅に改善し生産ラインの短縮化ができ、なおかつ滑り性(耐ブロッキング性)が良好なセルロースエステルフィルムを提供することにあり、該セルロースエステルフィルムの製造方法、該セルロースエステルフィルムを用いた偏光板、液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.セルロースエステルの延伸処理工程と、該延伸処理工程で延伸されたセルロースエステルフィルムにカレンダー処理を施すカレンダー処理工程を有するセルロースエステルフィルムの製造方法であって、
予め平均一次粒子径が1〜20nmの粒子を含有させたセルロースエステルを前記延伸処理工程で延伸した後に、前記カレンダー処理工程において25kg/cm以上、1000kg/cm以下の線圧でカレンダー処理することにより、
該セルロースエステルフィルム表面の算術平均粗さRaが0.5nm以上、2.0nm以下であり、かつ該Raの10倍以上の山頂高さをもつ該セルロースエステルフィルム表面凸部の個数が、該セルロースエステルフィルム0.01mm当たり10個以下であるように制御することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
.前記カレンダー処理が、フィルムのガラス転移温度:Tg(℃)に対しTg−20(℃)〜Tg+20(℃)の範囲で行われることを特徴とする前記1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
.前記カレンダー処理を行うときのフィルムの残留溶媒が0.1質量%以上、20質量%以下であることを特徴とする前記1又は2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
.セルロースエステルフィルムが、アシル基の総置換度が2.0以上、3.0以下のセルロースエステルを含有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
.前記1〜のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法で製造されたセルロースエステルフィルムを偏光膜の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
.前記に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、鹸化処理後の乾燥性を大幅に改善し生産ラインの短縮化ができ、なおかつ滑り性(耐ブロッキング性)が良好なセルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムの製造方法を提供することができる。更に該セルロースエステルフィルムを用いた偏光板、液晶表示装置を提供することができる。
突出した凸部を有するフィルムと突出した凸部を有さないフィルムの斜視図である。 本発明に係るカレンダー処理を行う工程の模式図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は上記課題に対し鋭意検討の結果、セルロースエステルフィルム中に粒子を含有し、フィルム表面の算術平均粗さRa2.0nm以下であり、かつ該Raの10倍以上の山頂高さをもつ凸部の個数が、該フィルム0.01mm当たり10個以下である表面形状の場合に、鹸化処理後の乾燥性が非常に良好であり、かつ滑り性(耐ブロッキング性)が良好なセルロースエステルフィルムを得ることができるということを見出したものである。
更に該セルロースエステルフィルムの表面形状は、前記3に示した特殊な製造方法によって効果的、効率的に形成できることもわかった。これにより、該セルロースエステルフィルムを用いた生産性、平面性の高い偏光板、視認性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
本発明の特徴であるフィルムの表面形状は、比較的小粒径の粒子を使用することで緻密な表面凹凸を形成し、かつレターデーション値が処理前後で変化しないようにフィルム製造工程でカレンダー処理を行うことによって、突出した凸部を効果的に消滅し形成されたものである。
レターデーション値の変動が上述の範囲を満たさないカレンダー処理では、内部でマクロなフィルム変形が起こっており、緻密な表面凹凸もつぶれてしまうため所望の表面形状を作るのは困難である。
セルロースエステルフィルムのカレンダー処理については、特開平6−222213号公報、特開2003−25414号公報、特開2007−38646号公報等に開示されているが、いずれもニップロールに周速差をつけることでフィルムの厚み方向の光軸を傾斜させる技術であり、本発明とは発明の主旨、目的が大きく異なるものである。
カレンダー処理によって本発明の範囲の表面形状にすることにより、鹸化後の乾燥性が飛躍的に改善される。そのメカニズムの解明は完全ではないが、突出した凸部が少ない表面は、緻密な凹凸面の割合が大きくなり空気に触れる表面積が大きくなり乾燥効率が増加することや、突出した凸部があると該凸部を中心に表面張力によって水分が留まりやすく水切れが悪くなることなども一つの原因ではないかと推察している。
更に本発明の特徴である表面形状を有するセルロースエステルフィルムは、フィルムの滑り性(耐ブロッキング性)も良好であり巻き故障などの品質故障が少ないことが分かった。
以下、本発明を詳細に説明する。
<表面形状>
上記表面粗さは、光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製NT3300を用いて測定することが出来る。
WYKO社製NT3300を用いた場合、例えば対物レンズ50倍、イメージズーム1.0倍で120μm×90μmの領域の表面を測定することによって求めることができる。
算術平均粗さRaは表面粗さの平均であり、表面の突起の大きさのバラツキには何ら影響されないパラメータである。なお、本明細書において、算術平均粗さRaとは、JIS B 0601:2001において定義される粗さパラメータである。
本発明のセルロースエステルフィルムは、フィルム表面の算術平均粗さRaが0.5〜2.0nm以下であり、該Raの10倍以上の山頂高さをもつ凸部の個数が、該フィルム0.01mm当たり10個以下であることを特徴とする。
算術平均粗さRaが2nmを超える場合は、フィルム表面が粗さを持ちすぎ所望とする効果が得られない。また、ヘイズが悪化しフィルムの透明性が損なわれる。算術平均粗さRaが0.5nm以下のフィルムは実質的に作成困難である。
一方、凸部の山頂高さは、Raを測定したWYKO社製NT3300等の表面の解析で調べることができる。Raの10倍以上の山頂高さを持つ凸部の個数は、JIS B 0601:2001において定義される平均線からの高さが、Raの10倍以上であるものをカウントする。Raの10倍以上の山頂高さは、10μm以上40μm以下であることが好ましい。
以下、本発明にかかるRaの10倍以上の山頂高さをもつ凸部の個数が、フィルム0.01mm当たり10個以下である表面形状を満たす場合とそうでない場合の一例を図1に示す。
図1aは、突出したRaの10倍以上の山頂高さを有する凸部がフィルム0.01mm当たり10個以上あるフィルムであり、図1bは10個以下であるフィルムの斜視図である。
<カレンダー処理>
カレンダー処理に用いるニップロールについては、例えば特開平7−151915号公報に開示されているようなニップロールを使用することが好ましい。
セルロースエステルフィルムの片面に駆動ローラ(第1ロール)を接触させ、当該セルロースエステルフィルムの反対面に追随回転ローラ(第2ロール)を接触させて、当該セルロースエステルフィルムを搬送することで、当該セルロースエステルフィルムの表面形状を所望の形状にする。ここでは駆動ローラ、追随回転ローラとしたが、両者が駆動ローラで所望の速度で回転するローラであることが好ましい。
本発明の実施態様としては、セルロースエステルフィルムが、前記駆動ローラと追随回転ローラの2種のローラの接触部分との間でスリップしない様にする態様であることが好ましい。このため、当該駆動ローラと追随回転ローラが、セルロースエステルフィルムを挟むニップローラ対を構成する態様であることが好ましい。これにより、当該セルロースエステルフィルムが、駆動ローラと追随回転ローラの外周面上で、スリップすることが抑えられるため、フィルム表面に擦り傷がつかない。また、当該駆動ローラと追随ローラからフィルムに伝達される応力が安定しており、フィルム内の歪み変形が小さい。
本発明においては、前記駆動ローラまたは追随回転ローラが、複数設けられており、フィルム搬送経路の複数個所で前記接触を行う態様であることも好ましい。
従って、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法の実施に用いられる製造装置としては、基本的には、セルロースエステルフィルムの片面に接触する駆動ローラと当該セルロースエステルフィルムの反対面に接触する追随回転ローラとを備え、これら2種のローラが当該樹脂フィルムを搬送する手段となりかつ当該セルロースエステルフィルムの表面形状を制御するセルロースエステルフィルムの製造装置であることが好ましい。
以下、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法の好ましい態様例の技術的特徴について、図2を参照して、更に詳しく説明する。
図2は、本発明に係るカレンダー処理を行う工程の模式図である。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
〈ローラ構成材料〉
本発明に係るローラを構成する材料としては、通常知られている各種材料が使用出来る。具体的には、ステンレス、クロムメッキ、チタンなど金属ローラ(変形しない)、各種ゴム(ゴム硬度により、弾性変形量を調整出来る)、フッ素樹脂(撥水性、撥油性などによりローラへのフィルム材の付着を防止出来る)など各種が使用出来る。
〈ローラ表面〉
ローラ表面の表面状態は、鏡面状態(表面粗さが非常に小さい0.01〜2.0nm)、表面粗さ2〜30nm程度有する、或いは表面粗さ30nm以上有するなど各種の表面状態を有するローラを用いることができるが、本発明では鏡面状態のローラを使用することが好ましい。
〈線圧〉
本発明の表面形状を作るためにフィルムに加える力は、25kg/cm以上、1000kg/cm以下の線圧で行われることが好ましく、さらには50kg/cm以上、300kg/cm以下の線圧で行われることが好ましい。
〈加熱〉
また、カレンダー処理して高い山頂を有する凸部を無くすためには、フィルムをやわらかい状態にすることが好ましく、高温で処理することが好ましい。逆に温度が高すぎると大きな塑性変形が起こってしまい、フィルム変形やレターデーション変化が起こり好ましくない。本発明の表面形状を作るためにはカレンダー処理をフィルムのガラス転移温度付近で行うことが好ましく、フィルムのガラス転移温度:Tg(℃)に対しTg−20(℃)〜Tg+20(℃)の範囲でカレンダー処理が行われることが好ましい。
加熱は、電熱ヒータ、遠赤外線ヒータ、熱媒体による加熱など一般に知られる各種の加熱手段が利用出来、フィルムの直接加熱(接触と非接触)、駆動ローラ及び追随回転ローラを加熱することができる。また、図2で示すような予熱ローラを設置して徐々にフィルムの温度を上げることも好ましい態様である。
さらに、同様な理由から、カレンダー処理時のフィルム残留溶媒は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
前記3の発明にあるように、本発明に係るセルロースエステルフィルムのカレンダー処理後の面内方向のレターデーション値(Re′)と厚さ方向のレターデーション値(Rt′)がカレンダー処理前の面内方向のレターデーション値(Re)と厚さ方向のレターデーション値(Rt)に対し、以下の式を満たすように処理を行うことが好ましい。レターデーションの変動をこの範囲に制御するには、上述の製造条件を適宜組み合わせることで達成できる。
|Re′|<|Re|±5(nm)、
|Rt′|<|Rt|±5(nm)
尚、レターデーション値は、下記式(i)、(ii)で求められる。
(i):Re(またはRe′)=(nx−ny)×d
(ii):Rt(またはRt′)=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直行する方向の屈折率ny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
尚、レターデーション値(Ro)、(Rt)は自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めることができる。
〈カレンダー処理する位置〉
上記カレンダー処理は延伸処理後に行うことが重要である。上記で述べた高い凸部は、延伸時に多く発生することが本発明者の検討より分かった。延伸前にカレンダー処理を行うと、その後の延伸処理で高い凸部が発生してしまい、本発明の表面形状を作るのは困難である。
本発明のセルロースエステルフィルムは、長尺のフィルムとして取り扱うことが好ましく、ロール状に巻き取られた形態のセルロースエステルフィルムを繰り出して、本発明の製造方法を適用した後に再び巻き取る形態や、長尺フィルムの生産の乾燥途中や乾燥後の巻き取り前の段階で、本発明の製造方法を適用することが好ましい。一方カットシートフィルムに対して本発明の製造方法を適用することも可能であるが、長尺フィルムを連続処理する方法の方が生産効率が高く好ましい。
<セルロースエステルフィルム>
〈セルロースエステル〉
セルロースエステル(以下、セルロースエステル樹脂という場合もある)は、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同08−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることができる。
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。平均酢化度が小さいと寸法変化が大きく、また偏光板の偏光度が低下する。平均酢化度が大きいと溶剤に対する溶解度が低下し生産性が下がる。
本発明で好ましいセルロースエステルは、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0であることが好ましい。また、アセチル基置換度(ac)が0.1〜1.9であって、アセチル基以外の部分が、3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されており、その置換度(r)が1.1〜2.9であるセルロースエステルであることが好ましい。特にアセチル基以外の部分が、プロピオニル基又はブチリル基であることが好ましく、プロピオニル基であることがより好ましい。
これらは公知の方法で合成することができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で60000〜300000のものが好ましく、70000〜200000のものが更に好ましく、100000〜200000のものが特に好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルは重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が4.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
(粒子)
本発明は、フィルム表面の算術平均粗さRaを制御する為に、セルロースエステルフィルム中に粒子を含有する。該粒子は、無機粒子或いは有機粒子等、特に限定されるものではないが、平均一次粒子径が1nm〜20nmの無機粒子を用いることが好ましい。粒子は含有させることによりブロッキング性を付与する役割がもちろんあるが、本発明では粒子を含有することによって高い凸部を抑える狙いもある。
上記平均一次粒子径は、500個の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、または動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここでいう平均一次粒子径は、個数平均粒子径をさす。尚、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
好ましい無機粒子としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等が挙げられる。これらの無機粒子は、種類、平均粒子径が異なる2種以上を併用してもよく、粒子の表面を有機物により表面処理したものも好ましく用いられる。
特に好ましい無機粒子は、これらの中でも二酸化珪素である。平均一次粒子径が1nm〜20nmの二酸化珪素の具体例としては、アエロジルR812、200、300(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いるとヘイズを調整するのが容易であり好ましい。
また、粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.65である。尚、粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定できる。
上記無機粒子の含有量は、セルロースエステルフィルムの主成分である樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜1質量部が好ましく、本発明の効果を得る上でより好ましくは0.05質量部〜0.30質量部である。
前記粒子は、セルロースエステルフィルムを作製する組成物(ドープ)の調製時に樹脂や他の添加剤と共に有機溶媒中に含有させて分散させてもよく、また、単独で該有機溶媒中に分散させてもよい。粒子の分散方法としては、前もって有機溶媒に浸してから高剪断力を有する分散機(高圧分散装置)で細分散させておくのが好ましい。
また、ドープ調製の場合は、多量の有機溶媒に粒子を分散しておき、樹脂溶液と合流させ、インラインミキサーで混合してドープにすることも好ましい。この場合、粒子分散液に他の添加剤である紫外線吸収剤を加え紫外線吸収剤液としてもよい。
更に本発明では、樹脂と粒子を加熱溶融、混練して加熱溶融物(ペレット)を調製し、ついで該加熱溶融物を有機溶媒中に溶解して樹脂溶液とし、該樹脂溶液を用いて溶液流延法によりフィルム状に製膜することが、均一な粒子分布をもつセルロースエステルフィルムを得る上で最も好ましい方法である。
ペレット化は公知の方法で行うことができ、例えば、粒子と共に乾燥樹脂や可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出しし、水冷または空冷し、カッティングしてペレット化することができる。
粒子、乾燥樹脂、可塑剤、その他添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。粒子や酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
(アクリル樹脂)
また、セルロースエステルフィルムは、含有する微粒子の分散性を極めて高く保つために、重量平均分子量(Mw)80000以上のアクリル樹脂を含有することが好ましい。
アクリル樹脂としては、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、或いは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂は、粒子の分散性以外にも、フィルムとしての機械的強度、フィルムを生産する際の流動性の点から重量平均分子量(Mw)が80000〜1000000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)は上記の高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。
アクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、或いは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。更に、生成共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。この分子量とすることで、耐熱性と脆性の両立を図ることができる。アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルム(以下、セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムとも言う)は、張力軟化点が105〜145℃で、かつ延性破壊が起こらないフィルムが好ましい。延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じるものであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。張力軟化点温度の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
また、セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムの厚みは、20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。厚みの上限は特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度である。なお、フィルムの厚みは用途により適宜選定することができる。
アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂からなるフィルムは、加工性及び耐熱性の両立の点から、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を95:5〜30:70の質量比で含有することが好ましく、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量は、セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムの55〜100質量%であり、好ましくは60〜99質量%である。
セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、その他のアクリル樹脂を含有して構成されていても良い。
セルロースエステルフィルムやセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、溶液流延法で製造されたものでも、溶融流延法で製造されたものでもよいが、少なくともテンター等を用いて幅手方向に延伸されたものが好ましく、特に溶液流延工程で剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向に1.01〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向及び長手方向に、各々1.01〜1.5倍に延伸されることが望ましい。このときの延伸倍率としては特に好ましくは、1.03〜1.45倍である。
また、これらセルロースエステルフィルムの長さは100m〜5000m、幅は1.2m以上が好ましく、更に好ましくは1.4〜4mである。セルロースエステルフィルムの長さ及び幅を前記範囲とすることで、取り扱い性や生産性に優れる。
セルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
(可塑剤)
セルロースエステルフィルムやセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムには、下記のような可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる。好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、等を上げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトール、であることが好ましい。多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを上げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを上げることができる。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を上げることができる。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を上げることができる。特に安息香酸であることが好ましい。多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基はカルボン酸で全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。これらの可塑剤は単独または併用するのが好ましい。これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
(紫外線吸収剤)
セルロースエステルフィルムやセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムには紫外線吸収剤を含有させても良い。次に紫外線吸収剤について説明する。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては以下の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバ・ジャパン社製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバ・ジャパン社製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては以下の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
上記紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特願平11−295209号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を用いることができ、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤が基材フィルムの面品質を良好に維持できる点から好ましい。
また、特開平6−148430号の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039号の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
(有機溶媒)
ドープには、製膜性や生産性の点から、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、セルロースエステル、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。例えば、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。これら有機溶媒の中でも塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましく用いられる。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜40質量%、ドープ粘度は100〜500ポアズ(P)の範囲に調整されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
(溶液流延法)
溶液流延法によるフィルム製造では、樹脂、例えばセルロースエステル樹脂やアクリル樹脂、及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に本発明に係るカレンダー処理を行う工程、次いで乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。カレンダー処理は前述のように、巻き取られたフィルムを再度繰り出して行ってもよい。
上記ドープを調製する工程では、樹脂と粒子を加熱溶融、混練して加熱溶融物(ペレット)を予め調製し、該加熱溶融物を有機溶媒に溶解してドープを調製することが、特に好ましい。
ドープ中の樹脂濃度は高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、樹脂の濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが粗さRa値を低減できることから好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
剥離されたウェブは、次いで初期乾燥しながら延伸することが好ましく、延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
セルロースエステルフィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
セルロースエステルフィルムを巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。尚、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
(偏光板)
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、偏光板保護フィルムの機能を併せ持つ光学フィルムとして使用することが出来る。本発明のセルロースエステルフィルムを用いることで、鹸化処理後の乾燥性を大幅に改善し生産ラインの短縮化ができる。
偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースエステルフィルムをアルカリ鹸化処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて本発明に係るセルロースエステルフィルムを貼合する。
鹸化液の温度は、鹸化処理を均一に比較的短時間で行う為に20℃〜60℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは30℃〜50℃である。バス中で鹸化処理される時間は特に制限されるものではないが、1分〜20分の範囲であることが好ましく、より好ましくは2分〜10分の範囲である。鹸化液は撹拌されていると均一な鹸化が行え好ましい。
偏光子の反対面には、本発明のセルロースエステルフィルムを用いることもできるが、別の保護フィルムとして市販の偏光板保護フィルムを用いることができ、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC12UR、KC8UXW−H、KC8UYW−HA、KC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)等のセルロースエステルフィルムを用いることができる。
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
(液晶表示装置)
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法により製造されたフィルムを偏光板に用いることにより、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔セルロースエステルフィルムの作製:表1、2中フィルムと略す〕
〈セルロースエステルフィルム1の作製〉
(溶液流涎法)
セルロースエステルA(セルローストリアセテート:アセチル基置換度2.82、Mw=200000) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm)
0.1質量部
上記材料をディゾルバーで15分間撹拌混合した後、撹拌して完全に溶解した。そのまま脱泡のために8時間放置した。
(セルロースエステルフィルム1の製膜)
上記作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離したセルロースエステル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。その後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。
このときの残留溶剤量は7%であった。
乾燥工程の後、金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(線圧100kg/cm、温度130℃)で行った。その後1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、セルロースエステルフィルム1を得た。
表1に記載のセルロースエステルフィルム1の最終的な残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は60μm、巻長は4000mであった。
〈セルロースエステルフィルム2〜26の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、セルロースエステル樹脂を表3のA〜E、粒子を表4のA〜E、可塑剤を表5のA〜Eに記載のものに代えた以外は同様にして、表1、表2に記載のセルロースエステルフィルム2〜26を作製した。
また、表3に記載のセルロースエステル樹脂のアシル基は、acはアセチル基、prはプロピオニル基を表す。
〈セルロースエステルフィルム27、28の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、カレンダー処理を行わず製造した以外は同様にして、セルロースエステルフィルム27、28を作製した。
〈セルロースエステルフィルム29〜31の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、カレンダー処理でのフィルムに与える線圧を表2のように変えた以外は同様にして、セルロースエステルフィルム29〜31を作製した。
〈セルロースエステルフィルム32の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、カレンダー処理を延伸の前に同じ条件で行った。それ以外は同様にして、セルロースエステルフィルム32を作製した。
〈セルロースエステルフィルム33、34の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、乾燥ゾーンの温度を120℃から115℃、100℃にそれぞれ変更し、カレンダー処理時の残留溶媒を表1の通り変更させてカレンダー処理を行った。それ以外は同様にして、セルロースエステルフィルム33、34を作製した。
〈セルロースエステルフィルム35の作製〉
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、カレンダー処理の温度を150℃にしてカレンダー処理を行った。それ以外は同様にして、セルロースエステルフィルム35を作製した。
《評価方法》
得られたセルロースエステルフィルム1〜35について、以下の評価を実施し、結果を表6に示した。
<算術平均粗さRa、Raの10倍以上の山頂高さをもつ凸部の個数>
上記作製した各々のフィルム試料について、フィルム試料1枚を温度23℃、湿度50%±5%において、WYKO社製NT3300を用いて測定した。対物レンズ50倍、イメージズーム1.0倍で120μm×90μmの領域の表面を測定し表面粗さを求めた。
フィルム面積0.01mm当たり、Raの10倍以上の山頂高さをもつ凸部の個数(JIS B 0601:2001において定義される平均線からの高さが、Raの10倍以上であるもの)を、任意に選んだ10箇所について測定し平均した。
<レターデーション値>
セルロースエステルフィルムのカレンダー処理前の面内方向のレターデーション値(Re)、厚さ方向のレターデーション値(Rt)、カレンダー処理後の面内方向のレターデーション値(Re′)、厚さ方向のレターデーション値(Rt′)を下記方法いより測定した。
レターデーション値は、下記式(i)、(ii)で求めた。
(i):Re(またはRe′)=(nx−ny)×d
(ii):Rt(またはRt′)=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直行する方向の屈折率ny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
尚、レターデーション値(Re)、(Rt)、(Rt′)、(Re′)は自動複屈折率計を用いて測定した。KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めた。
<ヘイズ>
濁度計(NDH2000,日本電色工業(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、フィルムのヘイズ測定を行った。
<滑り性(耐ブロッキング性)>
巻き取ったフィルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、25℃、50%RHの条件下で30日間保存した。その後、ポリエチレンシートを開け、フィルムを巻きだし、ブロッキングの発生を下記基準にて目視で評価した。
○ :ブロッキングなし
△ :変形はないがサンプルに少し跡が残る
× :変形がありサンプルに凹凸が残る
<鹸化処理>
KOHの2.0規定水溶液を鹸化液として用いた。これを50℃に調温し、セルロースエステルフィルムを2分間浸漬した。この後、水洗浴を2分間通した。
次いで鹸化処理したフィルムを70℃10%(相対湿度)で15分、および85℃10%(相対湿度)で10分乾燥させた。
(含水率の測定)
得られたフィルムの切片(7mm×35mm)を、水分測定器、試料乾燥器(CA−03,VA−05、共に三菱化学(株)製)にてカールフィッシャー法にて含水量を求め、試料質量に対する水分量の比率からフィルムの含水率を算出した。
本発明のフィルムは含水率のデータから、鹸化後の乾燥性が非常に優れていることがわかる。また滑り性や透明性も同時に満たしていることがわかる。
実施例2
<偏光板および液晶表示装置の作製>
(アルカリケン化処理)
上記作製したセルロースエステルフィルム1〜35を、下記に記載するアルカリケン化処理した。
ケン化工程 2.5M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量部HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃15分乾燥した。
〈偏光子の作製と貼り合わせ〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に製膜方向に延伸して偏光子を作った。
次に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて、偏光子の透過軸とセルロースエステルフィルムの面内遅相軸が平行になるように、偏光子の両面に上記セルロースエステルフィルムを各々貼り合わせ偏光板101〜135を得た。
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板は上記乾燥時間で問題なく乾燥し、貼合できたが、比較例のセルロースエステルフィルムはまだべとつく感覚があり、更に5分間の乾燥時間を要した。
<液晶表示装置の作製>
得られた偏光板はソニー株式会社製32型液晶テレビ“BRAVIA”KDL−32J5000にあらかじめ貼合されていた視認側の偏光板を注意深く剥がし、もともと貼ってあった偏光板の透過軸にあわせ、液晶セル側に粘着剤を介して貼り付け液晶表示装置を作製した。
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板を装着した液晶表示装置は、表面の平面性に優れ長時間鑑賞していても眼が疲れにくかった。
1 繰り出しロール
2 予熱ローラ
3 駆動ローラ(第1ロール)
4 追随回転ローラ(第2ロール)
5 巻き取りロール

Claims (6)

  1. セルロースエステルの延伸処理工程と、該延伸処理工程で延伸されたセルロースエステルフィルムにカレンダー処理を施すカレンダー処理工程を有するセルロースエステルフィルムの製造方法であって、
    予め平均一次粒子径が1〜20nmの粒子を含有させたセルロースエステルを前記延伸処理工程で延伸した後に、前記カレンダー処理工程において25kg/cm以上、1000kg/cm以下の線圧でカレンダー処理することにより、
    該セルロースエステルフィルム表面の算術平均粗さRaが0.5nm以上、2.0nm以下であり、かつ該Raの10倍以上の山頂高さをもつ該セルロースエステルフィルム表面凸部の個数が、該セルロースエステルフィルム0.01mm当たり10個以下であるように制御することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記カレンダー処理が、フィルムのガラス転移温度:Tg(℃)に対しTg−20(℃)〜Tg+20(℃)の範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. 前記カレンダー処理を行うときのフィルムの残留溶媒が0.1質量%以上、20質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. セルロースエステルフィルムが、アシル基の総置換度が2.0以上、3.0以下のセルロースエステルを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法で製造されたセルロースエステルフィルムを偏光膜の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
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