JP2009192681A - 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、生産時の滑り性を確保しつつ、ヘイズ、コントラストに優れた位相差フィルムを提供することにある。また、該位相差フィルムを用いることにより、偏光板加工時の異物による歩留まり低下のない偏光板、及び該偏光板を装着した視認性に優れる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を有することを特徴とする位相差フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年、大型の液晶テレビの普及が進んでいる。これらに代表される液晶表示装置には、高分子の複屈折性フィルムである位相差フィルムが使用されており、斜めから見た場合の背景の着色は改良され、視野角が向上している。
ところで、フィルムには巻き取って保存する際の滑り性を付与するために、マット剤とよばれるシリカなどの微粒子が添加されており、これによりフィルム生産性が確保されている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、位相差フィルムにマット剤を添加すると、延伸処理を施す際にクレーズと呼ばれる微小な空壁や、マット剤粒子の周辺に光学的な配向乱れが生じ、コントラストの低下を招く問題がある。これに対し、例えば延伸処理を施した位相差フィルムにバックコート層を設け、バックコート層に微粒子を添加することによって、延伸時のクレーズの発生を回避して、コントラスト低下を防ぐ方法が考えられる(例えば特許文献2参照)。
マット剤として使用される微粒子としては、シリカなどの無機微粒子などが広く使われている。しかしこれら従来から広く使用されている硬質のマット剤はバックコート層との相溶性が悪い場合が多く、バックコート層を塗布した場合において、乾燥、保存後にバックコート層の表面にマット剤が析出するなどして工程汚染の発生や、偏光板加工時の異物による歩留まり低下等が懸念される。また、バックコート層のバインダーとマット剤との屈折率差が大きいいと、仮にクレーズの発生が無いとしても散乱によるコントラストの低下は免れない。
特開2006−77260号公報 特開2005−234003公報
従って本発明の目的は、生産時の滑り性を確保しつつ、ヘイズ、コントラストに優れた位相差フィルムを提供することにある。また、該位相差フィルムを用いることにより、偏光板加工時の異物による歩留まり低下のない偏光板、及び該偏光板を装着した視認性に優れる液晶表示装置を提供する。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を有することを特徴とする位相差フィルム。
2.前記弾性体微粒子が、コアシェル構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする前記1に記載の位相差フィルム。
3.前記弾性体微粒子のシェル部分が架橋構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする前記2に記載の位相差フィルム。
4.前記位相差フィルムがセルロースエステルフィルムであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
6.前記5に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
7.位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を、フィルム延伸〜巻き取りの間に設けることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
本発明によれば、生産時の滑り性を確保しつつ、ヘイズ、コントラストに優れた位相差フィルムを提供することができる。また、該位相差フィルムを用いることにより、偏光板加工時の異物による歩留まり低下のない偏光板を提供することができ、更に該偏光板を装着した液晶表示装置は視認性に優れる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
通常フィルム中に含まれるマット剤は一次粒子径14〜18nm程度のシリカの微粒子を溶媒中で分散し、0.2〜0.3μm程度の二次凝集体で使用する。マット剤の添加されたフィルムは、延伸工程で130℃〜180℃程度の温度で30〜50%程度延伸される。この時、二次凝集体のマット剤が延伸されて、微小な空隙または裂け目のような微小な亀裂(以下クレーズと呼ぶ)が発生する。これは単分散の球形微粒子の場合にも、微粒子とフィルム樹脂材料の硬さの違いから、微粒子の周りでクレーズが発生するため、同様の現象が発生する。この微小なクレーズが光を散乱させるため、延伸後のフィルムにおいてヘイズが発生し、コントラストを低下させるものである。
しかしながらマット剤を添加しないと、滑り性が極端に悪化し、フィルムを綺麗に巻き取ることができず、フィルムが変形するなど、著しく生産性を悪化させる。この対策として、前述のように、例えば延伸処理を施した位相差フィルムにバックコート層を設け、バックコート層に微粒子を添加することによって滑り性を確保しつつ、コントラスト低下を防ぐ方法が考えられるが、マット剤は乾燥や保管後に析出し易く工程汚染や、偏光板作製時の密着性に起因する歩留まり低下等の原因になる。
本発明者らは検討の結果、マット剤を実質的に含まない位相差フィルムを支持体とし、屈折率差の小さい弾性体微粒子含有するバックコート層をもつことを特徴とする位相差フィルムにより、位相差フィルムとしての光学補償機能と、従来の位相差フィルムでは実現できなかった極めて光散乱の少ないフィルムを作製することができた。これにより、コントラストの低下の少ない位相差フィルム、及びそれを用いた偏光板、画像表示装置を提供することができる。更に該弾性体微粒子を用いることにより、バックコート層の表面へのマット剤の析出がなく、工程汚染や偏光板加工時の異物による歩留まり低下の懸念についても解決することができる。尚、上記「マット剤を実質的に含まない」とは望ましくは全く含まないことを意味しているが、同時に本発明の効果を阻害しない範囲で少量含むことも包含する。
従って、請求項1の発明は、位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を有する位相差フィルムによってフィルム延伸時に微小クレーズを発生せず、滑り性を確保しつつ、ヘイズが低くコントラストの低下のない位相差フィルムを得ることができる。
請求項2の発明は、前記弾性体微粒子が、コアシェル構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする。
請求項3の発明は.前記弾性体微粒子のシェル部分が架橋構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記位相差フィルムが、セルロースエステルフィルムであることを特徴とする。
請求項5、請求項6の発明は、前記位相差フィルムを用いたコントラストの低下のない偏光板、表示装置である。
請求項7は、位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層をフィルムを延伸後巻き取る前に設けることを特徴とする位相差フィルムの製造方法であり、フィルムを巻き取る前に弾性体微粒子を含有するバックコート層を設けることで、滑り性を確保しながら、ヘイズが低くコントラストの低下のない位相差フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(位相差フィルム)
本発明でいう位相差フィルムは、下記式(I)により定義されるリターデーション値Roが20nm以上でかつ下記式(II)により定義にされるリターデーション値Rtが|Rt|≧70nmの範囲にあるものを指す。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
上記位相差フィルムのリターデーション値Roは好ましくは、20〜100nmであり、リターデーション値Rtは70〜400nmの範囲にあることが好ましい。
更に、リターデーション値における特に好ましい範囲は、Roは45〜75(nm)であり、Rtは70〜200(nm)であり、更に好ましくはRtは100〜150(nm)である。
リターデーション値を上記範囲にすることで、特に偏光板用位相差フィルムとしての光学性能を十分に満足することができる。
尚、リターデーション値Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
(弾性体微粒子)
弾性体微粒子とは、コアシェル構造を有する重合体微粒子で、ゴム状重合体微粒子(コア(芯)部)にメチルメタクリレート系などの硬質の外縁部に持つ微粒子である。通常はシード乳化重合より形成する方法が知られている。製造方法は特開平7−70255に提案されているものを使用できる。
弾性体微粒子の芯部はゴム状重合体微粒子で、アルキルアクリレート系ゴムが好ましく、該アルキルアクリレート系モノマーとしては、アルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレートまたは該アルキルアクリレート及びこれと共重合可能なモノマーが好適に用いられる。この場合、架橋性モノマー及び/またはグラフト化モノマーを用いることが望ましい。
該アルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレートとしては、例えばエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を挙げることができる。ブチルアクリレートが好ましく用いられる。該アルキルアクリレートと共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられる。また、該架橋性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニルモノマー、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタクリレート等を挙げることができる。ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましく用いられる。
該グラフト化モノマーとしては、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート等の不飽和カルボン酸アリルエステル等を挙げることができる。アリルメタクリレートが好ましく用いられる。このような架橋性モノマー、グラフト化モノマーは、それぞれコアラテックスの全モノマー量の約0.05〜2質量%、好ましくは約0.1〜1質量%の範囲で用いられる。得られるコア(芯)部ポリマーは、ガラス転移温度が好ましくは−30℃以下のゴム状のポリマーである。ガラス転移温度が−30℃を越えるときは延伸時のクレーズが改善できない場合がある。コアラテックスの質量比は、コアシェルポリマー全体に対し40〜70質量%の範囲にあることが望ましい。コアシェル部の比率が高い方が、クレーズ改良効果に優れ、コアシェル比率の低い方が、滑り性に優れる。
次いで行うメチルメタクリレート系ガラス状シェル部の重合は、コアラテックスの存在下、メチルメタクリレート系モノマーを乳化重合することにより行う。該メチルメタクリレート系モノマーとしては、メチルメタクリレートまたは、該メチルメタクリレート及びこれと共重合可能なモノマーが好適に用いられる。
該メチルメタクリレートと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン等のビニル重合性モノマーを挙げることができる。エチルアクリレート、スチレン又はアクリロニトリルが好ましく用いられる。シェル部の重合においても、必要に応じて、上記モノマーに加えて、共重合モノマーとして、架橋性モノマーを少量用いてもよく、このようにして熱可塑性樹脂に一層高い耐衝撃性を付与し得るコアシェルポリマーを得ることができる場合がある。この場合、架橋性モノマーとしては、コアの形成のための重合において用いられたものと同じものを用いることができ、また、そのような架橋性モノマーは、通常、シェル部の重合に用いられる全モノマー量の0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で用いられる。得られるシェル部ポリマーは、ガラス転移温度が好ましくは60℃以上のガラス状ポリマーである。ガラス転移温度が60℃に満たないときは、粒子同士の凝集が大きくなり、分散が悪化する場合がある。また、シェル部はエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのメタアクリル酸エステル系架橋剤などで架橋させた方が、耐溶剤性に優れるため好ましい。
微粒子がコアシェル構造になっていることの確認方法としては、コア微粒子の大きさと重合後の微粒子の大きさを比較し、大きくなっていることで確認できる。また、シェル部分に架橋構造を有する微粒子はコア微粒子と重合後の微粒子の耐溶剤性を比較し、耐溶剤性が付与されたことで確認できる。また微粒子を樹脂で包埋し、断層の切片を作製して電顕等で確認することもできる。この場合、観察しやすいように、シェル部分、またはコア部分に着色しても良い。
平均粒子径は、0.1〜0.5μmの範囲である。平均粒子径が0.1μmより小さいと、十分な滑り性を発揮できず、平均粒子径が0.5μmより大きいと粒子による散乱でヘイズが悪化し、コントラストを低下させるため、この範囲であることが本発明の効果を得る上で必要である。
平均粒径は、例えば、微粒子を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。或いは微粒子を溶媒に希釈し、動的光散乱法式粒子径測定装置ゼータサイザー1000HS(マルバーン社製)を用いて測定して求めることもできる。
屈折率は、積層される位相差フィルムやバックコート層に用いるバインダーの屈折率と近い方がヘイズ上昇が少なく好ましい。セルロースエステルフィルムの屈折率は1.47〜1.49程度なので、弾性体微粒子の屈折率も1.46から1.50が好ましく、1.47から1.49が更に好ましい。
弾性体微粒子の弾性については、一般に知られている方法では微粒子状のため測定できないが、簡便法として下記に示す方法により熱機械測定装置を使用して、微粒子の乾式充填体の荷重に対する圧縮変位率を求め、微粒子の弾性を求めることができる。本発明でいう弾性体微粒子とは、圧縮変位率で0.5〜20%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜2%である。
(圧縮変位率)
熱機械測定装置(商品名TMA−10、セイコー電子工業(株)製)を用い、面積24mm2、高さ2mmに充填した円柱状サンプルに、30gの荷重をかけた時の高さの圧縮変位量(mm)を測定し、次式により圧縮変位率を求めた。
圧縮変位率(%)=圧縮変位量(mm)÷2(mm)×100
弾性体微粒子の分散は、一般的な分散機が使用できる。例えば、サンドミルまたは高圧ホモジナイザーが好ましく使用される。サンドミルは、0.3〜3mmφのビーズとミルベースを入れ、ディスクを300〜3000rpmで回転させ、ビーズの遠心力を利用して、衝突と剪断を起こし分散するものである。使用されるビーズには、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、スチールビーズなどがあり、本発明では、コンタミの少ないジルコニアビーズやコンタミしても問題にならないガラスビーズが特に好ましい。また、サンドミルには、縦型、横型、アニュラー型などいろいろな形状のサンドミルがあり、本発明では、分散剪断力がより均一な横型やアニュラー型のサンドミルが特に好ましい。また、サンドミルは、ディスクやシャフト、分散容器内部が、ビーズによって削られ、コンタミとなる場合が多い。そのため、ディスクやシャフト、分散容器内部にセラミックコーティングやテフロン(登録商標)コーティングを施し、コンタミを最小限に抑えることが好ましい。
サンドミルの例としては、ダイノミル(W.A.Bachofen社)、NEWマイミル(三井鉱山(株))、SCミル(三井鉱山(株))、ナノグレンミル(浅田鉄工(株))などがある。
高圧ホモジナイザーは、ミルベースを細管やオリフィスを高速通過させたり、ミルベース同士を衝突させたりすることで、剪断力や衝突の衝撃力によって分散するメディアレスの分散機である。10〜300MPaの高圧でミルベース同士を衝突させたり、50〜2000μmの細管やオリフィスを通過させる。
高圧ホモジナイザーの例としては、マイクロフルイダイザー(みずほ工業(株))、アルティマイザー(スギノマシン(株))、ナノマイザー(吉田機械工業(株))、クリアミックス、クリアミックスWモーション(エムテクニック(株))などがある。
超音波分散機、ボールミル、高速ディスパー、アトライター、三本ロールミル、ヘンシェエルミキサー、ニーダー等の分散機も使用は可能である。
微粒子の添加方法は微粒子の分散液をバックコート層形成組成物に直接添加する方法が、異物の発生が少ないことから好ましい。また、予め少量の樹脂を含む液中に添加してからバックコート層形成組成物に添加することもできる。
(バックコート層)
本発明に係るバックコート層を位相差フィルムに設ける工程は特に限定されるものではないが、位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を、フィルム延伸〜巻き取りの間に設けることが好ましい。
位相差フィルムがセルロースエステルフィルムである場合、セルロースエステルを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われることが好ましい。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他更に溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、或いは炭化水素類(トルエン、キシレン、シクロヘキサノール)などがある。
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体或いは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂である。
弾性体微粒子の添加量は、上記バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。
バックコート層の塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等のような塗布コーター、またはインクジェット法等を用いて位相差フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。
バックコート層を塗布する工程は位相差フィルムの製膜工程中、具体的には延伸処理を行った後のフィルムにオンラインで塗布してもよいし、位相差フィルムを一旦巻き取った後に繰り出して塗布しても良い。また、2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。本発明では生産性や滑り性の効果の点から延伸処理を行い巻き取るまでの間にオンラインで塗布することが好ましい。
(セルロースエステル)
本発明の位相差フィルムは、光学特性、物理特性、バックコート層との密着性、偏光板加工適性等により、セルロースエステルフィルムであることが好ましい。(以降、本発明の位相差フィルムをセルロースエステルフィルムということがある。)
用いられるセルロースエステルは、総アシル基置換度が2.50〜2.65のセルロースエステルであることが好ましい。総アシル基置換度が2.65を越えると薄膜位相差フィルムに必要なリターデーション発現性が得られ難い。また、2.50未満では、アルカリ鹸化処理で、紫外線吸収剤が溶出したり、セルロースエステルフィルムの表面がハガレ落ちたりして、鹸化液中に異物を発生させる。また、高温高湿条件で偏光子が劣化する。セルロースエステルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースエステルの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等、また特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルなどがセルロースの低級脂肪酸エステルを用いることができる。
上記脂肪酸の中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートがより好ましい。
最も好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基置換度をYとすると 2.0≦X+Y≦2.75
0.5≦Y≦1.5の範囲にあるものが用いられる。
0.6≦Y≦1.3の範囲が更に好ましい。プロピオニル基またはブチリル基置換度を上げることは、吸湿性の改善や弾性率を低下させるため好ましいが、上げすぎると耐熱性が劣化するため、上記の範囲が好ましい。また、ブチリル基よりプロピオニル基の方が耐熱性に優れるため好ましい。従って最も好ましいセルロースエステルは、セルロースアセテートプロピオネートである。尚、セルロースエステルのアシル基置換度の測定方法としては、ASTM−D−817−96に準じて実施することができる。
セルロースエステルは、重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mnが1.4〜3.0であることが好ましい。更に好ましくは、1.4〜2.2である。この範囲にすることで、延伸した時の位相差の発現性、白濁などが向上する。
セルロースアセテートの分子量は、数平均分子量(Mn)で30000〜200000のものが用いられる。35000〜70000のものが更に好ましい。数平均分子量(Mn)が30000未満だと、製膜時にシワが入りやすくなるので好ましくなく、数平均分子量(Mn)が200000を超えるとドープ粘度が非常に高くなるので生産上好ましくない。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出し、その比(Mw/Mn)を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステル、それ以外の原料から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成し易く、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることができる。
セルロースエステルの代わりに、セルロースエステルフィルムの返材を用いても良い。返材とは、セルロースエステルフィルムを細かく粉砕した物で、セルロースエステルフィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたセルロースフィルム原反が使用される。
返材の使用比率は、主ドープ等の処方値の固形分に対して0〜70質量%が好ましく、10〜50質量%が更に好ましく、20〜40質量%が最も好ましい。返材使用量の多い方が、濾過性に優れ、返材使用量の少ない方が、滑り性に優れるため、上記範囲にすることが好ましい。
返材を使用した場合は、その使用量に対応して、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子などセルロースエステルフィルムに含まれる添加剤は減量して、最終的なセルロースエステルフィルム組成が設計値になるように調整を行う。
(可塑剤)
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて可塑剤を含有することができる。可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2009192681
Figure 2009192681
Figure 2009192681
Figure 2009192681
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R2(COOH)m(OH)n
(但し、R2は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
(酸価)
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(c)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤を用いることができる。
一般式(c) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(c)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いることのできるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものである。
以下、本発明に用いることのできる芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×104Pa〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、本発明に用いることのできる芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2009192681
Figure 2009192681
(紫外線吸収剤)
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(d)で示される化合物を用いることができる。
Figure 2009192681
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109)
更に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(e)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2009192681
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n−1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
以下に一般式(e)で表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
この他、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明に係る位相差フィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することも好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、偏光板保護フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えば、セルロースエステルフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースエステルフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記セルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
また本発明において、セルロースエステルフィルム中に本発明の効果を阻害しない範囲で従来の微粒子マット剤を含有することができる。微粒子のマット剤としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類(特にメチル基を有するアルコキシシラン類)、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜16nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、通常、凝集体として存在しセルロースエステルフィルム0.01〜1.0μmの二次粒子となる。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはAEROSIL 200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらのマット剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えばAEROSIL 200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用できる。
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について、セルロースエスエルフィルムの製造方法を例にとって述べる。
セルロースエステルドープの調製方法についてまず述べる。セルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエステルを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%程度である。更に好ましくは、15〜25質量%である。本発明に有用なポリマーをセルロースエステルドープ中に含有させるには、予め有機溶媒に該ポリマーを溶解してから添加、セルロースエステルドープに直接添加等、添加方法については、制限なく行うことができる。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相分離したりしないように添加する。添加量については、前記の通りである。
セルロースエステルに対する良溶媒としての有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、塩化メチレン、ブロモプロパン等を挙げることができ、酢酸メチル、アセトン、塩化メチレンを好ましく用いられる。しかし最近の環境問題から非塩素系の有機溶媒の方が好ましい傾向にある。また、これらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用すると、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減できるので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。本発明に係るドープに使用する有機溶媒は、セルロースエステルの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、良溶媒と貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%であり、貧溶媒が2〜30質量%である。本発明に用いられる良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶媒、単独では溶解しないものを貧溶媒と定義している。本発明に係るドープに使用する貧溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等を好ましく使用し得る。本発明に有用なエステル系可塑剤に対しても、有機溶媒の選定は、セルロースエステルの良溶媒を用いるのが好ましい。前記のように、低分子可塑剤を使用する場合には、通常の添加方法で行うことができ、ドープ中に直接添加しても、予め有機溶媒に溶解してからドープ中に注ぎ入れてもよい。
本発明において、前記のような種々の添加剤をセルロースエステルドープに添加する際、セルロースエステルドープと各種添加剤を少量のセルロースエステルとを溶解させた溶液にしてインライン添加し混合を行うこともでき好ましい。例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなインラインミキサーを使用するのが好ましい。インラインミキサーを用いる場合、セルロースエステルを高圧下で濃縮溶解したドープに適用するのが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。
本発明において、セルロースエステルドープは濾過することによって異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識しまごう異物は除去しなければならい。偏光板保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといってよい。濾過に使用する濾材は絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。このため、本発明のセルロースエステルドープの濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好ましい。濾材の材質には特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。本発明のセルロースエステルドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上でかつ溶媒が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲であることが更に好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×106Pa以下であることが好ましく、1.2×106Pa以下であることがより好ましく、1.0×106Pa以下であることが更に好ましい。原料のセルロースにアシル基の未置換若しくは低置換度のセルロースエステルが含まれていると異物故障(以下輝点とすることがある)が発生することがある。輝点は直交状態(クロスニコル)の2枚の偏光板の間にセルロースエステルフィルムを置き、光を片側から照射して、その反対側から光学顕微鏡(50倍)で観察すると、正常なセルロースエステルフィルムであれば、光が遮断されていて、黒く何も見えないが、異物があるとそこから光が漏れて、スポット状に光って見える現象である。輝点の直径が大きいほど液晶画像表示装置とした場合実害が大きく、50μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、更に8μm以下が好ましい。尚、輝点の直径とは、輝点を真円に近似して測定する直径を意味する。輝点は上記の直径のものが400個/cm2以下であれば実用上問題ないが、300個/cm2以下が好ましく、200個/cm2以下がより好ましい。このような輝点の発生数及び大きさを減少させるために、細かい異物を十分濾過する必要がある。また、特開2000−137115号公報に記載のような、一度製膜したセルロースエステルフィルムの粉砕品をドープにある割合再添加して、セルロースエステル及びその添加剤の原料とする方法は輝点を低減することができるため好ましく用いることができる。
次に、セルロースエステルドープを金属支持体上に流延する工程、金属支持体上での乾燥工程及びウェブを金属支持体から剥離する剥離工程について述べる。金属支持体は無限に移行する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムであり、その表面は鏡面となっている。流延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程である。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等をコントロールするのがよい。
金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及び支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金属支持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なっていてもよい。
本発明に適した金属支持体上での乾燥方法は、例えば、金属支持体温度を0〜40℃、好ましくは5〜30℃として流延するのが好ましい。ウェブに当てる乾燥風は30〜45℃程度が好ましいが、これに限定されない。
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。通常、残留溶媒量が20〜150質量%でウェブの剥離が行われる。本発明において好ましい剥離残留溶媒量は20〜40質量%または60〜120質量%で、特に好ましくは20〜30質量%または70〜115質量%である。製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることができる)として、残留溶媒量が多くとも剥離できるゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。その方法としては、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。
本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を2.0質量%以下にすることが好ましい、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
ウェブ乾燥工程ではロールを千鳥状に配置したロール乾燥装置、ウェブの両端をクリップで把持しながら、幅保持或いは若干幅方向に延伸するテンター乾燥装置でウェブを搬送しながら乾燥する方式が採られる。本発明においては、テンター乾燥装置で支持体より剥離した後任意の過程で、また任意の残留溶媒量の多いところで、幅保持または延伸することによって所望のリターデーションを付与することが好ましい。ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが更に好ましい。
尚、例えばウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式による延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅方向に×1.05〜×2.0倍で長手方向(流延方向)に×0.8〜×1.5倍であり、特に幅方向に×1.1〜×1.8倍、長手方向に×0.9〜×1.3倍とすることが好ましい。特に好ましくは幅方向に×1.1〜×1.5倍、長手方向に×0.9〜×1.1倍である。
弾性体微粒子の効果は延伸することによってその効果を発揮する。1.0倍では差が見られないが、1.05倍以上でその効果が見られ、1.25倍以上で顕著な差が見られ、1.4倍以上で最もヘイズの差が大きくなり、コントラスト改善に効果が得られる。2.0倍以上に延伸すると、樹脂自身の白化現象が発生するため、2.0倍未満の延伸倍率が望ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は薄い方が前記製造時に用いられる溶媒(ドープ製造)である例えば、残留メチレンクロライド等の減量手段として効果が大きい。
また、セルロースエステルフィルムの膜厚は薄い方が、出来上がった偏光板が薄くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄過ぎると、透湿度や、引き裂き強度などが劣化する。また、位相差フィルムとしてのリターデーション等が得にくくなるので、これらを満たすセルロースエステルフィルムの膜厚は30〜80μmの範囲であることが好ましい。
セルロースエステルフィルムの幅は、1.4m以上の広幅であることが好ましく、好ましくは1.5m〜3mの範囲が、生産性の観点から大サイズの液晶表示装置に好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは前記延伸操作を行い複屈折性を制御した位相差フィルムである。
本発明の位相差フィルムの遅相軸または進相軸はフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
(偏光板)
本発明の偏光板は、前記本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いて、偏光子の少なくとも一方の面に貼合した偏光板であることが好ましい。
本発明の偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の位相差フィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該位相差フィルムを用いても、また他の偏光板保護フィルムを貼合することもできる。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタオプト(株)製)等は好ましく用いられる。
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには、防眩層或いはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層、バックコート層を有することが好ましい。
本発明の位相差フィルムは前記延伸操作を行い複屈折性を制御した位相差フィルムであり、光学補償機能を有するフィルムである。従って液晶表示装置の場合は、液晶セル側に貼合される偏光板保護フィルムとして設計されることが好ましい。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μmが好ましく、特に10〜20μmであることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。中でも熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。又、フィルムのTD方向に5cm離れた二点間の熱水切断温度の差が1℃以下であることが、色斑を低減させる上で更に好ましく、更にフィルムのTD方向に1cm離れた二点間の熱水切断温度の差が0.5℃以下であることが、色斑を低減させる上で更に好ましい。
このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れている上に、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
以上のようにして得られた偏光子は、通常、その両面または片面に保護フィルムが貼合されて偏光板として使用される。貼合する際に用いられる接着剤としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系の接着剤が好ましく用いられる。
(液晶表示装置)
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。本発明の位相差フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。ま特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、本発明により色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(弾性体微粒子Aの製造方法)
10リットルの還流冷却器付き重合容器内に脱イオン水1500質量部、エマルゲン950(花王(株)製)の10%水溶液75質量部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら70℃に昇温した。ここにエチルアクリレート75質量部を加え、10分間分散した後、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬(株)製V−50)の10%水溶液6質量部を添加し、1時間撹拌して、シードラテックスを調整した。
このシードラテックスを75℃に昇温、2,2′−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)(和光純薬(株)製VA−061)を1.38質量部加え、更に下記のコア形成のモノマー乳化液を200分かけて連続フィードし、シード重合を行った。
(コア形成のモノマー乳化液)
2−エチルヘキシルアクリレート 923質量部
ブチルアクリレート 247質量部
アクリルメタクリレート 2.5質量部
1,4−ブチレングリコールジアクリレート 2.5質量部
エマルゲン950(花王(株)製)の10%水溶液 750質量部
脱イオン水 3750質量部
モノマー乳化液フィード後、90℃に昇温し、1時間熟成し、コアの形成を行った。コアの質量平均粒子径は0.10μmであった。
これを70℃に冷却し、2,2′−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)(和光純薬(株)製VA−061)1.25質量部を添加し、下記のモノマー乳化液を40分かけて連続フィードし、シェル形成のためのシード重合を行った。
メチルメタクリレート 805質量部
エチルアクリレート 95質量部
スチレン 48質量部
メタクリルアミド 6.3質量部
ジエチレングリコールジメタクリレート 476質量部
エマルゲン985(花王(株)製)の10%水溶液 190質量部
脱イオン水 381質量部
モノマー乳化液フィード後75℃に昇温し、1時間熟成し、シェルの形成を行った。
これを冷却し濾過して、−30℃で凍結、遠心機で脱水洗浄し、60℃で送風乾燥してコアシェルタイプの弾性体微粒子Aを得た。
微粒子の質量平均粒子径は、微粒子をエタノールを用いて質量で50倍に希釈し、動的光散乱法式粒子径測定装置ゼータサイザー1000HS(マルバーン社製)を用いて測定して求めた。
(弾性体微粒子Bの製造方法)
弾性体微粒子Aのシェル形成のシード重合の乳化液量を2/3の質量部にして、かつ連続フィードの時間を27分にした以外は同様にして、弾性体微粒子Bを得た。
(弾性体微粒子Cの製造方法)
弾性体微粒子Aのコア形成のモノマー乳化液の2−エチルヘキシルアクリレート923質量部を461質量部に変更し、ブチルアクリレート247質量部を709質量部に変更した以外は同様にして弾性体微粒子Cを得た。
(弾性体微粒子Dの製造方法)
弾性体微粒子Aのコア形成のモノマー乳化液の2−エチルヘキシルアクリレート923質量部を247質量部に変更し、ブチルアクリレート247質量部を923質量部に変更した以外は同様にして弾性体微粒子Dを得た。
(弾性体微粒子Eの製造方法)
弾性体微粒子Aのコア形成のモノマー乳化液の2−エチルヘキシルアクリレート923質量部を210質量部に変更し、ブチルアクリレート247質量部を985質量部に変更した以外は同様にして弾性体微粒子Eを得た。
(弾性体微粒子Fの製造方法)
弾性体微粒子Aのシェル形成のシード重合の乳化液量を1/2の質量部にして、かつ連続フィードの時間を27分にした以外は同様にして、弾性体微粒子Fを得た。
(比較微粒子G)
更に、比較として市販のシリカ微粒子(シーホスターKE−P30(日本触媒製))を用いた。
以上の微粒子の質量平均粒子径、圧縮変位率、屈折率を表1に示した。
Figure 2009192681
〔位相差フィルム1の作製〕
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルA(アセチル基置換度1.90、プロピオニル基置換度0.95、総アシル基置換度2.85)を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルA(アセチル基置換度1.90、プロピオニル基置換度0.95、総アシル基置換度2.85)を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルA 100質量部
下記アクリルポリマー 5.5質量部
下記糖エステル化合物 5.5質量部
(アクリルポリマーの調製)
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管及び温度計の付いたガラスフラスコに、MMA90モル%/HEA10モル%のモノマー混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸3.0g及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、MMA90モル%/HEA10モル%のモノマー混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを3時間かけて滴下した。その後更に、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、更に2時間反応を継続させ、(メタ)アクリル系重合体を得た。
上記MMA、HEAはそれぞれ以下の化合物の略称である。
MMA:メタクリル酸メチル
HEA:β−ヒドロキシエチルアクリレート
該(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は下記測定により4000であった。
〈分子量測定〉
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
(糖エステル化合物)
Figure 2009192681
上記のように調製したドープ液を、30℃に保温した流延ダイを通して、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる30℃の支持体上に1.8m幅で流延してウェブを形成し、支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になるまで支持体上で乾燥させた後、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
次いで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で70℃の乾燥風にて乾燥させ、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、150℃で幅方向に延伸前の1.3倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で105℃の乾燥風にて乾燥させ、残留溶媒量0.3質量%まで乾燥させてセルロースエステルフィルム1を得た。更に得られたセルロースエステルフィルム1を処理温度105℃で15分間熱処理した。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向の延伸倍率は1.1倍であった。
セルロースエステルフィルム1は、下記式(I)により定義されるリターデーション値Roが45nmでかつ下記式(II)により定義にされるリターデーション値Rtが140nmであり、複屈折性を有するフィルムであった。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
尚、リターデーション値Ro、Rtは自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで測定した。
次いで下記バックコート層塗布組成物1を、3μmの粒子捕捉効率が99%以上のフィルターで濾過して調製した。このバックコート層塗布組成物1を、上記セルロースエステルフィルム1のステンレスバンド支持体に接する面とは反対の面にエクストルージョンコーターにてウェット膜厚が15μmになるようにオンラインで塗布し、90℃で30秒間乾燥させた後、室温まで冷却して、耳部を切り取った後コアに巻き取り、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.6m、屈折率1.49の長尺状の位相差フィルム1を作製した。
〈バックコート層塗布組成物1〉
ジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.4) 0.5質量部
アセトン 70質量部
メタノール 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
2%アセトン分散弾性体微粒子A 0.2質量部
〔位相差フィルム2〜7の作製〕
バックコート層塗布組成物中の弾性体微粒子Aの替わりに、弾性体微粒子B〜F、比較微粒子Gを用いた以外は位相差フィルム1と同様にして、表2記載の位相差フィルム2〜7を作製した。
〔位相差フィルム8〜14の作製〕
主ドープ液中のセルロースエステルAの替わりにセルロースエステルB(アセチル基置換度2.8、総アシル基置換度2.8)を用い、搬送乾燥工程で70℃の乾燥風にて乾燥させ、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、130℃で幅方向に延伸前の1.1倍となるようにした以外は、位相差フィルム1〜7の作製と同様にして、表2記載の位相差フィルム8〜14を作製した。
〔位相差フィルム15の作製〕
セルロースエステルフィルム1の作製において、下記主ドープ液に変え、更にバックコート層を設けなかった以外は同様にして、位相差フィルム15を作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルA 100質量部
上記アクリルポリマー 5.5質量部
上記糖エステル化合物 5.5質量部
2%アセトン分散弾性体微粒子A 0.1質量部
〔位相差フィルム16の作製〕
セルロースエステルフィルム1の作製において、下記主ドープ液に変え、更にバックコート層を設けなかった以外は同様にして、位相差フィルム16を作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルA 100質量部
上記アクリルポリマー 5.5質量部
上記糖エステル化合物 5.5質量部
シリカ微粒子(シーホスターKE−P30 日本触媒(株)製) 0.1質量部
〔位相差フィルム17の作製〕
位相差フィルム8の作製において、下記主ドープ液に変え、更にバックコート層を設けなかった以外は同様にして、位相差フィルム17を作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルB 100質量部
上記アクリルポリマー 5.5質量部
上記糖エステル化合物 5.5質量部
2%アセトン分散弾性体微粒子A 0.1質量部
〔位相差フィルム18、19の作製〕
位相差フィルム15、16の作製において、更に位相差フィルム1と同様にバックコート層を設けた以外は同様にして、表2記載の位相差フィルム18、19を作製した。
〔位相差フィルム20、21の作製〕
位相差フィルム1、8の作製において、セルロースエステルフィルムを延伸、乾燥後一旦ロール状に巻き取り、その後ロールからフィルムを繰り出してバックコート層を設けた以外は同様にして、位相差フィルム20、21を作製した。
《評価1》
(ヘイズ)
〈3枚値〉
フィルム試料3枚を重ね合わせ、ASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)製T−2600DAを使用して測定した。
(粉ふき)
フィルム試料を60℃、80%RHの環境下に10日置いて、バックコート層表面の析出物(粉ふき)を目視で観察した。
○:析出物なし
×:析出物あり
(巻き姿)
フィルム試料をコアに巻き取った時の巻きの状態を観察した。
○:きれいに巻かれており崩れがない
×:巻き姿が歪んでおりきれいに巻かれていない
以上、位相差フィルムの構成、及び評価結果を表2に示す。
Figure 2009192681
本発明の位相差フィルム1〜4、8〜11、18、19は、比較例の位相差フィルムに対し、ヘイズ、粉ふき、巻き姿に優れていることが明らかである。また、本発明の位相差フィルム20、21は、ヘイズ、粉ふきは優れていたが、やや巻き姿に歪みが発生していた。
実施例2
(偏光板の作製)
〈偏光子の作製〉
120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して幅1.4mの偏光子を作製した。膜厚は25μmであった。
〈偏光板の作製〉
作製した位相差フィルム試料1〜21と市販の偏光板保護フィルムであるコニカミノルタタック KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製、膜厚80μm)を下記に示すアルカリケン化処理条件でケン化処理を行った。
次に上記作製した偏光子を用いて、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を使用して、KC8UX、偏光子、上記作製した位相差フィルム試料の順で積層して、表3に記載の位相差フィルム試料を用いた偏光板1〜21を作製した。
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2N−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
上記条件でフィルム試料をケン化、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
《評価2》
(偏光板加工適性)
偏光板試料作製時における、偏光子と位相差フィルム試料との貼合時の異物故障の有無を目視で観察した。
○:貼合時に異物故障がなく歩留まりがよい
△:貼合時に異物故障がややり、歩留まりに実用上問題がある
×:貼合時異物故障があり、歩留まりが低い
(液晶パネルのコントラスト)
上記で得られた本発明及び比較例の偏光板を、SONY製32型液晶テレビKDL−32V2000の予め貼合されていた偏光板を剥がし、本発明及び比較例の偏光板の吸収軸を予め貼合されていた偏光板の吸収軸と同じ方向になるよう貼合し、表示装置を作製し、コントラストの評価を行った。尚、液晶セル側に上記作製した位相差フィルムが接するように貼合した。
評価にはELDIM社製EZ−contrastを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定した。コントラスト=(白表示時の透過光量:cd/cm2)/(黒表示時の透過光量:cd/cm2)を算出し評価を行った。
Figure 2009192681
表3の結果から、本発明の偏光板は、貼合時に異物故障がなく歩留まりに優れた偏光板であることが明らかである。また本発明の液晶表示装置はコントラストに優れた液晶表示装置であることが明らかである。

Claims (7)

  1. 位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を有することを特徴とする位相差フィルム。
  2. 前記弾性体微粒子が、コアシェル構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記弾性体微粒子のシェル部分が架橋構造を有するアクリル系重合体微粒子であることを特徴とする請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記位相差フィルムがセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 位相差フィルムの少なくとも一方の面に平均粒子径が0.1〜0.5μmの弾性体微粒子を含有するバックコート層を、フィルム延伸〜巻き取りの間に設けることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
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