JP5739762B2 - 集電体の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態における集電体製造装置Aの構成を示した模式図である。また、図2は、本発明の実施形態におけるグラビア版胴の表面に設けられたセルの形状を模式的に示した平面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。また、図3は、本発明の実施例における硬質アルミニウム箔Sの帯状塗工面B1、B1の構成を模式的に示した平面図である。
本実施形態で用いるドクター刃3の形状は、特に限定なく任意の形状のものを用いることができる。もっとも、円筒型のコンマ型ドクターブレードを用いてコンマロールコーターで塗布を行うと塗布液溜の塗布液に乱流や気泡が発生しやすく、集電体上の導電性樹脂層の膜厚が不均一になりやすいという問題があるため好ましくない。すなわち、本実施形態で用いるドクター刃3の形状としては、例えば、平行刃、三角刃、スクエア刃、傾斜刃、ステップ刃などの任意の形状のものを好適に用いることができる。
本実施形態で用いるドクター刃3の材質は、非金属製であれば特に限定なく任意の材質のものを用いることができる。例えば、ドクター刃3の材質は樹脂組成物であることが好ましい。このようにドクター刃3が樹脂組成物製である場合には、ドクター刃3の摩耗、変形を防ぎ、また電流密度分布に生じたムラを抑え、電池性能を安定させることが可能となる。特に、ドクター刃3の材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートといった汎用プラスチック、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートといったエンジニアリングプラスチックの1種以上を含む樹脂組成物であることが、ドクター刃3の摩耗、変形を防ぐ上では好ましい。
本実施形態で用いる導電性塗料は、非金属製の導電性粒子と、バインダ樹脂と、を含むことが好ましい。ここで、バインダ樹脂としては、特に限定するものではなく、一般的なバインダ樹脂を用いることができるが、特に、硝化綿系樹脂、アクリル系樹脂、キトサン誘導体などを用いることが好ましい。これらの樹脂であれば、金属箔Sとの密着性に優れているためである。
本実施形態で用いるグラビア版胴1は、ドクター刃3の硬度より硬い表面を有することが好ましい。なぜなら、グラビア版胴1の表面がドクター刃3の硬度より硬い場合には、高速で長時間にわたってグラビア印刷を行ってもグラビア版胴1の表面が摩耗、変形することを抑制することができるからである。このようなグラビア版胴1の表面としては、例えば、金属メッキ、ダイヤモンドライクカーボンコーティングおよびセラミックコーティングからなる群から選ばれる1種以上の皮膜を有するものが好ましい。これらの皮膜は、樹脂組成物を材質とするドクター刃3よりも硬度が高いため、高速で長時間にわたってグラビア印刷を行ってもグラビア版胴1の表面が摩耗、変形することを好適に抑制することができるからである。
キトサン誘導体をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させてなる溶液(大日精化工業社製 商品名「ダイキトサンコート」)に導電性微粒子としてアセチレンブラック(電気化学工業社製)をキトサン誘導体とアセチレンブラックとが重量比にして2:1となるようにディスパーにて8時間分散した後、固形分が10%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えて希釈して導電性塗料を作製した。
グラビア版胴1の表面皮膜をクロムメッキの代わりにダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いたこと以外は実施例1と同様にして長尺状の集電体を得た。なお、導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
ドクター刃3をポリアセタール製の代わりに幅920mm、長さ50mm、厚さ1.0mm、刃先厚さ0.1mmのポリエステル製(PET)ドクター刃3を用いたこと以外は実施例1と同様にして長尺状の集電体を得た。このポリエステル製(PET)ドクター刃3の曲げ弾性率(ASTM D790)は、12000〜14000kgf/cm2であった。なお、導電性導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
ドクター刃3をポリアセタール製の代わりに幅920mm、長さ50mm、厚さ1.0mm、刃先厚さ0.1mmのポリエチレン製(PE)ドクター刃3を用いたこと以外は実施例1と同様にして長尺状の集電体を得た。このポリエチレン製(PE)ドクター刃3の曲げ弾性率(ASTM D790)は、8000〜10000kgf/cm2であった。なお、導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
ドクター刃3をポリアセタール製の代わりに幅920mm、長さ50mm、厚さ1.0mm、刃先厚さ0.07mmのスチール製ドクター刃3を用いたこと以外は実施例1と同様にして長尺状の集電体を得た。このスチール製ドクター刃3の曲げ弾性率(ASTM D790)は、2142000kgf/cm2であった。なお、導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
グラビア版胴1の表面皮膜をクロムメッキの代わりにダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いたこと以外は比較例1と同様にして長尺状の集電体を得た。なお、導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
ドクター刃3をポリアセタール製の代わりに幅920mm、長さ50mm、厚さ1.0mm、刃先厚さ0.07mmのセラミックコート膜で被覆されたスチール製ドクター刃3を用いたこと以外は実施例1と同様にして長尺状の集電体を得た。このセラミックコート膜で被覆されたスチール製ドクター刃3の曲げ弾性率(ASTM D790)は、2142000kgf/cm2であった。なお、導電性樹脂層は目付量0.6g/m2にて形成されていた。
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた集電体の導電性樹脂層表面を目視により観察し次の4段階で評価した。◎は表面平滑でムラが無い膜状態であり、○は表面平滑だが若干のムラがある状態であり、△は部分的に薄い筋が出ている状態あり、×は全体的に筋が出ている状態である。また、新品を取り付けたスタート時と20000m塗工後のドクター刃先長さを測定し、各材質の比重g/cm3よりドクター刃の摩耗量mgを求めた。なお、金属異物の導電性樹脂層への混入量μg/m2は金属製のドクター刃に限りドクター刃の摩耗量から計算値で求めた。以上の結果を表1に示す。
表1に示すように、ドクター刃3の摩耗量は実施例2のポリアセタールが1.3gで最小となった。また、実施例2においてはスタート時から表面平滑でムラが無い良好な塗工表面が得られており、20000m塗工しても塗工表面の変化は見られなかった。実施例1においてもスタート時から表面平滑でムラが無い良好な塗工表面が得られており、20000m塗工しても塗工表面の変化は見られなかった。実施例1においては実施例2よりドクター刃の摩耗量が若干多くなっている。これはグラビア版胴の表面皮膜であるダイヤモンドライクカーボンとドクター刃の摩擦係数が低いことに起因していると考察される。
B1 帯状塗工面
S 金属箔
1 グラビア版胴
2 塗工液パン
3 ドクター刃
4 バックアップロール
11a セル
11b 凸部
12a 導電性塗料
12b 導電性塗料
Claims (5)
- 集電体の製造方法であって、
金属箔をグラビア版胴に供給して、前記グラビア版胴のセル内に保持した導電性塗料を前記金属箔上に転移塗布する工程と、
前記導電性塗料が転移塗布された前記金属箔を乾燥して導電性樹脂層を形成する工程と、
を含み、
前記転移塗布する工程の前に
樹脂組成物の材質のドクター刃を用いて、前記グラビア版胴の表面に付着している導電性塗料を調整する工程を含み、
前記転移塗布する工程は、前記グラビア版胴に対向するように設けられたバックアップロールによって前記金属箔を前記グラビア版胴に押し付ける工程を含み、
前記グラビア版胴は、前記金属箔の搬送方向と同方向に回転し、
前記グラビア版胴の表面が金属メッキおよびダイヤモンドライクカーボンコーティングからなる群から選ばれる1種以上の皮膜を有する、
製造方法。 - 前記ドクター刃の形状が非コンマ型である、
請求項1に記載の製造方法。 - 前記ドクター刃の材質がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタールおよびポリブチレンテレフタレートからなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含む樹脂組成物である、
請求項1又は2に記載の製造方法。 - 前記導電性塗料は、非金属製の導電性粒子を含有し、
前記非金属製の導電性粒子が炭素粒子である、
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 - 前記転移塗布する工程が、前記金属箔を50〜100m/minの速度で前記グラビア版胴に供給する工程を含む、
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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