JP2018063776A - 電極製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】供給された電極材料から成る塗膜が転写ロールに残留することなく離型し、電極集電体上に転写された塗膜の表面状態が良好であることを実現する、電極製造装置を提供する。【解決手段】第2のロール12上から塗膜23を転写することにより、電極集電体21上に転写した塗膜23から成る電極合材層を成膜する電極製造装置10であって、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したときの第2のロール12の表面の平均粗さ(Ra)が0.5μm<Ra<1.5μmを、第2のロール12の表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.10mm<RSm<0.18mmを、第2のロール12の表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3をそれぞれ満たし、かつ、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したときの第2のロール12の表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす、電極製造装置とする。【選択図】図1
Description
本発明は、一対の回転ロール間に電極材料を供給し、該供給された電極材料を一方のロール表面に塗膜として付着させ、該塗膜を別途供給された電極集電体上に転写することで該電極集電体上に電極合材層を形成することを実現する電極製造装置に関する。
リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて軽量且つエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として今後ますます普及していくことが期待されている。
非水電解液二次電池は、発電要素として、正極および負極を有する電極体を備える。当該正極は、典型的な一例として、シート状の正極集電体上に正極活物質を含む正極合材層を有する。当該負極も同様に、典型的な一例として、シート状の負極集電体上に負極活物質を含む負極合材層を有する。このような電極の製造方法の一例として、正負極いずれかの電極の活物質を含む電極材料を一対の対向する(回転)ロール間に供給し、該供給された電極材料を当該一対のロールのうちの一方のロール(転写ロール)に塗膜の状態として付着させ、該付着した電極材料(塗膜)を、対応する正負極いずれかの電極集電体上に転写して当該塗膜から成る電極合材層を成膜する方法が挙げられる。したがって、このような方法で電極を製造する場合には、一対の対向する(回転)ロールを備える電極製造装置が用いられる。
ところで、この種の電極製造装置を採用する場合、転写ロールに付着した電極材料(塗膜)を電極集電体上に転写する際には、電極材料(塗膜)が転写ロールに残留(付着残り)することなく離型し、かつ転写された塗膜の表面状態も全体に亘って平坦でありほぼ均質な密度、表面粗さを保った良好な状態であることが求められる。このような要求を満たすために、ロール表面に、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型性樹脂材料を、コーティングするなどして用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性樹脂材料は、ロールを構成する材料(典型的にはSUS等の金属材料)に比べて硬度がはるかに低い。そのため、ロール表面に離型性樹脂材料がコートされた転写ロールを用いた場合には、電極製造装置を使用するにつれてロール表面の離型性樹脂材料が磨耗してしまい、所望の離型性能を発揮しなくなる。つまり、ロール表面に離型性樹脂材料がコートされた転写ロールは、使用可能寿命が短く、耐久性が低いことが欠点である。また、ロール表面の離型性樹脂材料が磨耗した転写ロールの使用は、電極材料が転写ロールに残留しがちとなり、電極集電体上に転写された塗膜(電極合材層)の表面状態(品質)が悪くなるため、好ましくない。
離型性樹脂材料を用いることなく、離型性・耐付着性に優れたロール表面が求められている。また、かかるロール表面において、電極材料とロール表面との摩擦によるグリップを抑制して電極の表面潰れを抑制し得るロール表面が求められている。
離型性樹脂材料を用いることなく、離型性・耐付着性に優れたロール表面が求められている。また、かかるロール表面において、電極材料とロール表面との摩擦によるグリップを抑制して電極の表面潰れを抑制し得るロール表面が求められている。
そこで本発明は、電極材料から成る塗膜が転写ロールに残留(付着残り)することなく離型し、かつ、電極集電体上に転写された塗膜の表面潰れが抑制されて表面状態が良好であることを実現する、電極製造装置を提供することを目的とする。
ここに開示される電極製造装置は、第1のロールと、前記第1のロールに対向して配置された第2のロールとを備え、前記第1のロールおよび前記第2のロールの間に供給された電極材料を前記第2のロール上に塗膜として付着させるとともに、該第2のロールに別途供給された電極集電体上に該第2のロール上から前記塗膜を転写することにより、前記電極集電体上に前記塗膜から成る電極合材層を成膜する電極製造装置である。
前記電極製造装置は、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したときの前記第2のロールの表面の平均粗さ(Ra)が0.5μm<Ra<1.5μmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.10mm<RSm<0.18mmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を
それぞれ満たす。
また、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したときの前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす。
かかる構成によれば、電極材料から成る塗膜が第2のロールに残留(付着残り)することなく離型し、かつ、電極集電体上に転写された塗膜の表面潰れが抑制されて表面状態が全体に亘ってフラットであり、ほぼ均質な密度、表面粗さを保った良好な表面状態であることを実現する電極製造装置が提供される。ここで開示される電極製造装置では、ロール表面に対してフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型性樹脂材料をコートすることなく、塗膜の離型性および表面平坦性の良い第2のロールを構成することができる。このため、第2のロールの使用可能な寿命が長く第2のロールの高い耐久性(ロングライフ性能)を実現することができる。
前記電極製造装置は、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したときの前記第2のロールの表面の平均粗さ(Ra)が0.5μm<Ra<1.5μmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.10mm<RSm<0.18mmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を
それぞれ満たす。
また、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したときの前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす。
かかる構成によれば、電極材料から成る塗膜が第2のロールに残留(付着残り)することなく離型し、かつ、電極集電体上に転写された塗膜の表面潰れが抑制されて表面状態が全体に亘ってフラットであり、ほぼ均質な密度、表面粗さを保った良好な表面状態であることを実現する電極製造装置が提供される。ここで開示される電極製造装置では、ロール表面に対してフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型性樹脂材料をコートすることなく、塗膜の離型性および表面平坦性の良い第2のロールを構成することができる。このため、第2のロールの使用可能な寿命が長く第2のロールの高い耐久性(ロングライフ性能)を実現することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電極製造装置の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1に、本実施形態に係る電極製造装置10を模式的に示す斜視図を示す。電極製造装置10は、第1のロール11(以下、供給ロール11ともいう)と第2のロール12(以下、転写ロール12ともいう)とを備える。供給ロール11の回転軸と転写ロール12の回転軸は、水平に並んでいる。しかしながら、供給ロール11と転写ロール12の配置はこれに限られない。また、供給ロール11と転写ロール12は、電極集電体21上に成膜する電極合材層(塗膜)23の所望の厚さに応じた距離だけ離れている。すなわち、供給ロール11と転写ロール12の間には、所定の幅(厚さ) のギャップがあり、かかるギャップのサイズにより、転写ロール12の表面に付着させる電極材料22から成る塗膜の厚さを制御することができる。供給ロール11の外周面と転写ロール12の外周面は互いに対向している。供給ロール11と転写ロール12は、図1の矢印に示すように、逆方向に回転する。
供給ロール11および転写ロール12の幅方向の両端部には、隔壁15が設けられている。隔壁15は、電極材料22を供給ロール11および転写ロール12上に保持すると共に、2つの隔壁15の間の距離によって、電極集電体21上に成膜される電極合材層(塗膜)23の幅を規定する役割を果たす。この2つの隔壁15の間に、フィーダー(図示せず)等によって電極材料22が供給される。
なお、隔壁15は、本実施形態の電極製造装置10の必須の構成ではなく、電極製造装置10は、隔壁15を有していなくてもよい。例えば、ロールの外周の形状に一致した形状のノズルを有するフィーダーを用い、フィーダーのノズルを、供給ロール11および転写ロール12の間のギャップ上に配置した態様も可能である。この態様では、フィーダーのノズルの側面が、隔壁15の機能を果たす。
なお、隔壁15は、本実施形態の電極製造装置10の必須の構成ではなく、電極製造装置10は、隔壁15を有していなくてもよい。例えば、ロールの外周の形状に一致した形状のノズルを有するフィーダーを用い、フィーダーのノズルを、供給ロール11および転写ロール12の間のギャップ上に配置した態様も可能である。この態様では、フィーダーのノズルの側面が、隔壁15の機能を果たす。
本実施形態に係る電極製造装置10では、転写ロール12の隣に第3のロールとしてバックアップロール13が配置されている。バックアップロール13は、電極集電体21を第2のロール(転写ロール)12まで搬送する役割を果たす。図1では、供給ロール11の回転軸と転写ロール12の回転軸とバックアップロール13の回転軸が水平に並ぶように配置されているが、バックアップロール13の配置は、転写ロール12上の塗膜(電極材料)22が電極集電体21に転写されるように、当該電極集電体21を転写ロール12まで搬送するように構成されている限り、図示される態様に限られない。転写ロール12の外周面とバックアップロール13の外周面は互いに対向している。転写ロール12とバックアップロール13は、図1の矢印に示すように、逆方向に回転する。なお、バックアップロール13は、本実施形態の電極製造装置10の必須の構成ではなく、転写ロール12上の塗膜(電極材料)が電極集電体21に転写される限り、バックアップロール13以外の電極集電体21の搬送手段を用いてもよい。
転写ロール12は、図2に示すように、その表面が凹凸のディンプル構造を有する。すなわち、転写ロール12の表面には、複数の凸部30と複数の凹部32とが形成されている。そして、転写ロール12は、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したときの表面の平均粗さ(Ra)が0.5μm<Ra<1.5μmを満たす。また、その粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.10mm<RSm<0.18mmを満たす。また、その粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす。ここで、本明細書において、平均粗さ(Ra)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)および粗さ曲線のクルトシス(Rku)はそれぞれ、JIS B 0601(2001)に記載された定義に従い、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定した値を採用するものとする。
本発明者は、凹凸形成のためのサンドブラストおよびポリッシュのためのサンドブラストを組み合わせて、種々の表面粗さを有する転写ロールを実際に作製し、検討を行った。その結果、数ある表面粗さに関するパラメータの中でも、Ra、RSmおよびRkuが上記の範囲内にあれば、電極材料(塗膜)が転写ロールに残留(付着残り)することなく容易に離型し、かつ転写された塗膜の表面状態も良好であることを見出した。硬度の高いロールの表面粗さによってこれらの性能が得られているために、当然に、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性樹脂材料をロール表面に用いる場合に比べ、転写ロールの使用寿命(耐久性)ははるかに向上する。
本発明者が検討した結果によれば、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したRaが0.5μmよりも小さすぎる場合には、転写ロールの離型性が低すぎて、電極材料が転写ロールから面剥離しないことがある。一方、上記Raが1.5μmよりも大きすぎる場合には、転写された塗膜の表面の凹凸が大きくなり、転写された塗膜の表面状態が悪くなる。したがって、上記Raは、0.5μm<Ra<1.5μmを満たすことが必要である。
また、本発明者が検討した結果によれば、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したRSmが0.10mmよりも小さすぎる場合、転写ロールの離型性が低すぎて、塗膜(電極材料)が転写ロールから面剥離しないことがある。一方、上記RSmが0.18mmよりも大きすぎる場合、転写された塗膜(電極材料)の表面に凹凸が目立つなど、転写された塗膜の表面状態が悪くなる。したがって、上記RSmは、0.10mm<RSm<0.18mmを満たすことが必要である。
また、本発明者が検討した結果によれば、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したRkuが3よりも大きすぎる場合、塗膜(電極材料)が転写ロールから面剥離するものの、転写ロール表面に塗膜(電極材料)の残留(付着残り)が起こり得る。したがって、上記Rkuは、Rku<3を満たすことが必要である。
さらに、ここに開示される技術では、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したときの転写ロール12の表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす。このことによって、転写ロールの離型性を良好に保ちつつ、転写された塗膜(電極)の表面潰れを抑制することができる。このような効果が得られる理由としては、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。
すなわち、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが3よりも大きい転写ロールは、図3に示すように、その表面にサブミクロン(典型的には0.1μm以上2μm未満、例えば0.1μm以上0.5μm未満)の微小凹凸36が多く存在する。転写ロール12の表面にサブミクロンの微小凹凸36が多く存在すると、電極材料の圧延および転写時に電極材料とロール表面との摩擦によるグリップによって、塗膜表面がダメージを受け、電極表面に潰れが発生しやすくなる。これに対し、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが3よりも小さい転写ロール12の表面は、図2に示すように、サブミクロンの微小凹凸の数が少ない(好ましくは存在しない)。そのため、電極材料とロール表面との摩擦(ひいては摩擦によるグリップ)が減少し、塗膜表面がダメージを受けにくくなる。このことが電極表面潰れの抑制に寄与しているものと考えられる。
なお、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定した上記好適な範囲のRa、RSm、Rkuおよびレーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定した上記好適な範囲のRkuを得るには、対象とする転写ロールの表面に凹凸形成を行うためのサンドブラストおよびポリッシュのためのサンドブラストを行う際の条件を適切に選択すればよい。特に、適切な大きさの尖り度の小さい凹凸を形成し、適切な条件下でポリッシュを行うとよい。
供給ロール11、転写ロール12およびバックアップロール13の直径は、従来公知の電極製造装置のロールの直径と同じであってよく、通常、数百mm程度(例えば100mm)である。なお、供給ロール11、転写ロール12およびバックアップロール13の直径は同一の直径であってもよく、異なる直径であってもよい。供給ロール11、転写ロール12およびバックアップロール13の幅(回転軸方向の長さ)は、従来公知の電極製造装置のロールの幅と同じであってよく、作製する電極合材層の幅と使用する電極集電体の幅によって適宜決定することができる。
供給ロール11、転写ロール12およびバックアップロール13の表面の材質としては、従来公知の電極製造装置のロールの表面の材質と同じであってよい。例えば、SUS鋼、SUJ鋼などであってよく、特に高硬度であることから、焼き入れされたSUS鋼および焼き入れされたSUJ鋼が好ましい。
電極製造装置10の各ロール11,12,13には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、公知の表面処理(例えば、高撥水処理)が施されていてもよい。
本実施形態に係る電極製造装置10は、供給ロール11および転写ロール12の間に供給された電極材料22を供給ロール11と転写ロール12の間のギャップにより規定される厚さの塗膜とした状態で転写ロール12に付着させ、さらに当該塗膜23を電極集電体21上に転写して電極合材層(塗膜)23が成膜されるように構成されている。当該構成について、電極製造装置10の使用方法を兼ねて詳細に説明する。
電極材料22は、ペースト、スラリー、および造粒体の形態をとり得るが、造粒体、特に湿潤状態の造粒体(溶媒を少量含む造粒体)が、電極製造装置10において電極合材層を電極集電体上に成膜するという目的に適している。造粒体の粒径としては、供給ロール11および転写ロール12の間のギャップの幅よりも大きな粒径をとり得る。例えば、ギャップの幅は、通常、数十μm程度(例えば30〜50μm)であり、造粒体の粒径は、数百μm程度(例えば200μm〜300μm)であり得る。
電極材料22は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極材料として一般的に使用されているものを用いることができる。例えば、電極材料22が正極用の材料であった場合には、電極材料(正極材料)22は、典型的には、正極活物質、導電材、バインダ、溶媒等を含む。正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNiO2、LiCoO2、LiFeO2、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(LiFePO4等)等が挙げられる。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(グラファイト等)の炭素材料等が挙げられる。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。
電極材料22が負極用の材料であった場合には、電極材料(負極材料)22は、典型的には、負極活物質、バインダ、増粘剤、溶媒等を含む。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料が挙げられる。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等が挙げられる。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。溶媒としては、例えば水等が挙げられる。
湿潤状態の造粒体の形態にある電極材料22を、2つの隔壁15間にフィーダー等によって投入し、電極材料22を供給ロール11および転写ロール12の間に供給する。供給ロール11と転写ロール12は、逆方向に回転している。供給ロール11と転写ロール12の回転速度はそれぞれ、従来の電極製造装置の供給ロールおよび転写ロールの回転速度と同様の速度であってよい、供給ロール11と転写ロール12の回転速度は、同一の速度であっても異なる速度であってもよい。
供給された電極材料22は、供給ロール11と転写ロール12との間のギャップを通過する。このとき、電極材料22が所定の厚さの塗膜に形成されて転写ロール12に付着する。特に限定するものではないが、例えば、電極材料22としての造粒体が、供給ロール11および転写ロール12によって押し潰されながら造粒体同士が一体化していき、引き延ばされて膜状体(塗膜)23を形成する。而して、塗膜(膜状体)23となった電極材料22は、そのまま転写ロール12の表面に順次付着していく。
一方で、バックアップロール13により、電極集電体21が搬送され、転写ロール12まで供給される。電極集電体21が正極集電体である場合には、電極集電体21は、典型的にはアルミ箔である。電極集電体21が負極集電体である場合には、電極集電体21は、典型的には銅箔である。転写ロール12とバックアップロール13は、逆方向に回転している。バックアップロール13の回転速度は、従来の、電極集電体を搬送するためのバックアップロールの回転速度と同様の速度であってよい。
而して、転写ロール12の表面に付着した塗膜23が、バックアップロール13により搬送されてきた電極集電体21に接触すると、当該塗膜23は転写ロール12から電極集電体21上に転写される。これにより、電極集電体21上に、転写した塗膜から成る電極合材層23が成膜される。
ここで転写ロール12の表面粗さに関し、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したRa、RSmおよびRkuが上記の範囲内にあり、かつ、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが上記の範囲内にあるため、電極材料22が転写ロール12に残留(付着残り)することなく離型し、かつ、電極集電体上に転写された塗膜23の表面潰れが抑制されて表面が全体に亘ってフラットであり、ほぼ均質な密度、表面粗さを保った良好な表面状態を実現することができる。
ここで転写ロール12の表面粗さに関し、接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したRa、RSmおよびRkuが上記の範囲内にあり、かつ、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが上記の範囲内にあるため、電極材料22が転写ロール12に残留(付着残り)することなく離型し、かつ、電極集電体上に転写された塗膜23の表面潰れが抑制されて表面が全体に亘ってフラットであり、ほぼ均質な密度、表面粗さを保った良好な表面状態を実現することができる。
電極合材層23が成膜された電極集電体21は、乾燥炉(図示せず)に搬送され、乾燥炉において電極合材層23に含まれる溶媒が除去される。このようにして、電極が製造される。なお、電極材料22が溶媒を含まない場合には、乾燥炉による乾燥処理は不要である。
電極製造装置10によって製造された電極は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池の電極として好適に用いることができる。したがって、電極製造装置10は、好適には、非水電解質二次電池(特にリチウムイオン二次電池)用の電極製造装置である。なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。電極製造装置10によって製造された電極を用いて作製された非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、各種用途に利用可能であり、好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
次に、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
表面状態(具体的にはレーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRku)が異なる例1〜3の転写ロールを用意した。例1の転写ロールの表面プロファイルを図4に、例3の転写ロールの表面プロファイルを図5に示す。これらの表面プロファイルは、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したものである。レーザマイクロスコープは、株式会社キーエンス製のVK−X250を使用した。
各例の転写ロールを用いて電極集電体上に電極合材層を成膜した。具体的には、図1の電極製造装置を用いて、各例の転写ロールおよび供給ロールの間に供給された電極材料を、転写ロール上に塗膜として付着させるとともに、該転写ロールに別途供給された電極集電体上に該転写ロール上から塗膜を転写することにより、電極集電体上に転写した塗膜から成る電極合材層を成膜した。例1の転写ロールを用いて成膜された電極の表面および断面のSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)像を図6に示す。例3の転写ロールを用いて成膜された電極の表面および断面のSEM像を図7に示す。
また、各例の転写ロールを用いて成膜された電極合材層の表面光沢度を光沢度計(日本電色工業株式会社製のPG-II(60°))を用いて測定した。ここでは異なる2種類の電極材料を用いて電極合材層を成膜し、その表面光沢度を評価した。また、各電極材料で2回ずつ成膜および表面光沢度の測定を行った。結果を図8に示す。図8は、各例の転写ロールのRku(レーザマイクロスコープ:分解能0.1μm)と表面光沢度との関係を示すグラフである。表面光沢度の値が小さいほど、電極(電極合材層)表面の潰れが少ないことを示唆している。
図6〜図8に示すように、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが3よりも大きい例3の転写ロールでは、転写した塗膜(電極)表面に潰れが発生し、表面光沢度が増大傾向であった。これに対し、上記Rkuが3よりも小さい例1、2の転写ロールでは、電極表面の潰れが少なく、例3に比べて表面光沢度が低下していた。この結果から、レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したRkuが3よりも小さい転写ロールを用いることにより、電極の表面潰れを抑制し得ることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 電極製造装置
11 供給ロール
12 転写ロール
13 バックアップロール
21 電極集電体
23 塗膜(電極合材層)
36 微小凹凸
11 供給ロール
12 転写ロール
13 バックアップロール
21 電極集電体
23 塗膜(電極合材層)
36 微小凹凸
Claims (1)
- 第1のロールと、前記第1のロールに対向して配置された第2のロールとを備え、
前記第1のロールおよび前記第2のロールの間に供給された電極材料を、前記第2のロール上に塗膜として付着させるとともに、該第2のロールに別途供給された電極集電体上に該第2のロール上から前記塗膜を転写することにより、前記電極集電体上に前記転写した塗膜から成る電極合材層を成膜する電極製造装置であって、
接触式粗さ測定器を用いて分解能2μmで測定したときの前記第2のロールの表面の平均粗さ(Ra)が0.5μm<Ra<1.5μmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.10mm<RSm<0.18mmを、
前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を
それぞれ満たし、かつ、
レーザマイクロスコープを用いて分解能0.1μmで測定したときの前記第2のロールの表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)がRku<3を満たす、電極製造装置。
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2016
- 2016-10-11 JP JP2016200196A patent/JP2018063776A/ja active Pending
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