JP5739237B2 - 重量物の搬出方法及び搬入方法 - Google Patents
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Description
ところで、上述した特許文献1の方法は、搬送台車を移動させる牽引手段が直線状の動きをするため、既存設備との干渉を避けるように搬送経路を曲線状に設定することが多くの手間を要するか、事実上困難なことがある。このため、搬送経路を直線状に設置する位置に既存設備が建っている場合には、この既存設備を障害物として撤去しなければならず、搬送経路の設定作業に多くの労力を要してしまい、改修時の工費が増大するおそれがある。
そこで、本出願人は、上述した特許文献1の問題を解決する方法として、例えば特許文献2に示す方法を開発した。
この特許文献2の方法は、地面に炉体基礎まで延在する傾斜路を形成し、この傾斜路を、分割ブロックを載置した運搬台車が走行して高炉炉体の改修作業を行なうことで、特許文献1で問題となっていた搬送経路の設置作業を不要としている。
鋳床本体から切り離された鋳床構造体は重量物であり、この鋳床構造体の重心位置が運搬台車が許容する範囲(重心許容範囲)内に収まるように鋳床構造体を運搬台車に積載しないと、鋳床構造体が不安定となり移動できなくなる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の重量物の搬出方法において、前記重量物が、高炉炉体の周囲に敷設されている鋳床の一部を切り離した鋳床構造体である。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の重量物の搬入方法において、前記重量物が、高炉炉体の周囲に敷設されている鋳床の一部を切り離した鋳床構造体であり、前記特定位置は、前記鋳床構造体を切り離した前記鋳床の位置である。
さらに、請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載の重量物の搬出方法において、前記少なくとも一対以上の副搬送台車は、車体を上昇・下降させるジャッキアップ・ダウン支持機構を有している。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項3又は4記載の重量物の搬入方法において、前記少なくとも一対以上の副搬送台車は、車体を上昇・下降させるジャッキアップ・ダウン支持機構を有している。
また、本発明に係る重量物の搬入方法によれば、地面に搬送経路等の設備を設置する必要がなく、又は特別な架構を用意する必要がなく、重量物の重心位置を搬送台車の重心許容範囲に収めて安定した走行で重量物を搬入することができるので、重量物の搬入に関わる工期の短縮、工費の低減化を図ることができる。また、障害物で複雑な運搬経路をとる必要があろうとも、比較的自由な経路を選択できるため、障害物の撤去の労力が軽減できる。
図1の符号1は、炉体基礎2上に設置された高炉炉体(以下、炉体と称する)であり、炉体1の周囲には、炉体基礎2を覆った状態で鋳床3が敷設されている。
鋳床3は、溶銑を炉外に配置したトピードカー等の受銑容器に導くための溶銑樋等を設置した作業床であり、炉体基礎2から立ち上がる支持脚、シール部材、耐火れんが、底板、冷却配管等を備えた構造を有している。
図1に示すように、傾斜路4の形成位置に重なる鋳床3の一部(以下、鋳床構造体と称する)3Aは鋳床本体3Bから切り離され、鋳床搬送台車5に積載されて退避場所6まで搬出される。なお、本実施形態の炉体1の改修工事では、炉体1の周囲に敷設され、鋳床本体3B及び鋳床構造体3Aの間に位置している鋳床の一部3Cも一時的に撤去される。
ここで、前記傾斜路4を形成する位置の近くであり、鋳床構造体3Aに面する位置に、既存設備7が建っている。
主搬送台車8,8は、旋回を含む任意の方向へ走行(通常の直進走行及び旋回走行)自在な車両である。また、主搬送台車8,8上にそれぞれ搭載されている一対の副搬送台車9,9も、旋回を含む任意の方向へ走行自在な車両である。
一対の副搬送台車9,9の車体上面が搭載面9aとされており、油圧式等のジャッキアップ・ダウン支持機構(不図示)の駆動により車体が上昇・下降する。
(1)鋳床構造体の搬送準備
切り離し前の鋳床構造体3Aの補強材、仮受用受台等の設置等の工事を行なう。次に、炉体基礎2の脚連結部(不図示)と鋳床構造体3Aの支持脚との縁を切る。さらに、鋳床構造体3Aと鋳床本体3Bとの縁も切る。
図1に示すように、他所で待機していた鋳床搬送台車5を、鋳床構造体3Aの下方位置まで走行させる。次に、図6に示すように、鋳床搬送台車5の主搬送台車8,8を停止させておき、鋳床構造体3Aの重心位置Gfが副搬送台車9,9の重心許容範囲Gdに入るように、副搬送台車9,9を、炉体基礎2の一部に乗り上げながら炉体1に向けて後退させる。副搬送台車9,9の重心許容範囲Gdおよび、主搬送台車8,8の重心許容範囲Gcは、積載物の搭載によって、その搬送台車の走行に支障をきたさないような搭載範囲、たとえば台車の搭載面が略水平に維持できる範囲として公知の方法による計算により求めることができる。例えば、搬送台車の複数の車輪を3つのブロックに分け、それぞれのブロックにおける仮想支持点による3点支持を仮定してその3点のなす三角形の重心位置を中心とし、積載物の重心点の高さを考慮して、その重心点位置が高い場合には重心許容範囲を狭く、その重心点位置が低い場合には、重心許容範囲を広く調整することにより決定すればよい。
次に、ジャッキアップ・ダウン支持機構を駆動することで副搬送台車9,9の車体を上昇させ、鋳床構造体3Aの下部に搭載面9aが当接して鋳床構造体3A全体が上昇することで、副搬送台車9,9が鋳床構造体3Aを支持する。
次に、図2及び図7に示すように、鋳床搬送台車5の主搬送台車8,8を停止させておき、鋳床構造体3Aと副搬送台車9,9との合成重心位置Gsが、主搬送台車8,8の重心許容範囲Gcに一致するように、鋳床造構造体3Aを支持している副搬送台車9,9を前進させる。
次に、図3に示すように、鋳床構造体3Aと副搬送台車9,9との合成重心位置Gsが、自身の重心許容範囲Gcに収まった主搬送台車8,8を走行させる。その際、主搬送台車8,8は、鋳床本体3Bの近くに存在する既存設備7は避けて走行し、支持している鋳床構造体3Aを退避場所6まで運搬する(図4参照)。
そして、図4で示すように、鋳床本体3Bの鋳床構造体3Aを切り離した領域Sに、図5で示した傾斜路4を形成する。
鋳床構造体3Aを、退避場所6から鋳床本体3Bに搬入する手順は、前述した鋳床構造体3Aを退避場所6まで搬出する手順の逆の手順なので、図示せずに簡単に説明する。
先ず、鋳床構造体3Aを、その重心位置Gfが副搬送台車9,9の重心許容範囲Gdに収まるように積載し、鋳床構造体3Aと副搬送台車9,9との合成重心位置Gsが自身の重心位置Gcに収まっている主搬送台車8,8を、退避場所6から鋳床本体3Bに沿う位置まで走行させる。その際、既存設備7を避けながら主搬送台車8,8を走行させる。
次に、副搬送台車9,9の車体が下降するようにジャッキアップ・ダウン支持機構を駆動することで、副搬送台車9,9による鋳床構造体3Aの支持を解除するとともに、鋳床構造体3Aを下降させていく。そして、鋳床構造体3Aの支持脚を炉体基礎2の脚連結部(不図示)に対応させ、両者を固定する。
したがって、本実施形態によると、旋回を含む任意の方向へ走行自在な鋳床搬送台車5が、鋳床構造体3Aの搬入作業及び搬出作業を行なっており、従来の方法のように地面に搬送経路等の設備を設ける必要がなく、既存設備7を撤去せずに作業が行なわれるので、鋳床構造体3Aの搬出入に費やす労力や時間を短縮することができ、炉体改修工事の工期短縮、工費低減化を図ることができる。
また、本実施形態は、鋳床構造体3Aを鋳床本体3Bの元の位置に搬入する動作においても、鋳床構造体3Aを搬出する動作とは逆の動作を行なうので、退避場所6から安定走行で鋳床構造体3Aを運搬することができるとともに、鋳床構造体3Aを炉体基礎2上に受け渡す動作を容易に行なうことができる。
なお、上記実施形態では、本発明に係る重量物を、炉体1の改修工事を行なう際に退避場所6に搬出入する鋳床構造体3として説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、他の建築構造物の重量物に適用しても、同様の効果を奏することができる。
Claims (6)
- 重量物を積載した搬送台車を他所に搬出する方法であって、
前記搬送台車を、旋回を含む任意の方向に走行可能な少なくとも一対以上の主搬送台車と、これら少なくとも一対以上の主搬送台車上にそれぞれ搭載され、旋回を含む任意の方向に走行可能な少なくとも一対以上の副搬送台車とで構成し、
前記重量物の近くまで前記少なくとも一対以上の主搬送台車が走行し、
前記重量物の重心位置が前記少なくとも一対以上の副搬送台車の重心許容範囲に収まるように前記少なくとも一対以上の副搬送台車を走行させて前記重量物を積載し、
前記重量物を積載した前記少なくとも一対以上の副搬送台車を、前記重量物と前記少なくとも一対以上の副搬送台車の合成重心位置が前記少なくとも一対以上の主搬送台車の重心許容範囲に収まる位置まで走行させた後、前記少なくとも一対以上の主搬送台車の走行により前記他所に前記重量物を搬出することを特徴とする重量物の搬出方法。 - 前記重量物は、高炉炉体の周囲に敷設されている鋳床の一部を切り離した鋳床構造体であることを特徴とする請求項1記載の重量物の搬出方法。
- 搬送台車に積載されている重量物を特定位置に搬入する方法であって、
前記搬送台車を、旋回を含む任意の方向に走行可能な少なくとも一対以上の主搬送台車と、これら少なくとも一対以上の主搬送台車上にそれぞれ搭載され、旋回を含む任意の方向に走行可能な少なくとも一対以上の副搬送台車とで構成し、
前記少なくとも一対以上の副搬送台車に前記重量物が、当該重量物の重心位置が前記少なくとも一対以上の副搬送台車の重心許容範囲に収まるように積載され、前記重量物と前記少なくとも一対以上の副搬送台車の合成重心位置が前記少なくとも一対以上の主搬送台車の重心許容範囲に収まるように、前記少なくとも一対以上の主搬送台車上に前記少なくとも一対以上の副搬送台車が搭載されており、
前記特定位置の近くまで前記少なくとも一対以上の主搬送台車が走行し、
前記少なくとも一対以上の副搬送台車を前記特定位置まで走行させ、前記重量物を前記特定位置に受け渡して搬入することを特徴とする重量物の搬入方法。 - 前記重量物は、高炉炉体の周囲に敷設されている鋳床の一部を切り離した鋳床構造体であり、前記特定位置は、前記鋳床構造体を切り離した前記鋳床の位置であることを特徴とする請求項3記載の重量物の搬入方法。
- 前記少なくとも一対以上の副搬送台車は、車体を上昇・下降させるジャッキアップ・ダウン支持機構を有する請求項1又は2記載の重量物の搬出方法。
- 前記少なくとも一対以上の副搬送台車は、車体を上昇・下降させるジャッキアップ・ダウン支持機構を有する請求項3又は4記載の重量物の搬入方法。
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