JP5737686B2 - 断熱パネル、その製造法、及びコンクリート壁体の構築構造 - Google Patents
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Description
上記特許文献1,2などに開示されるサンドイッチパネルは、表裏面材間に発泡性の充填材を注入し、発泡させることで一体化を図るものであり、耐火、断熱性、漏水防止が果たされるものである。
一方、コンクリート建築物の断熱性能を高めるものとして、特許文献3に示される型枠兼用断熱パネルが提案されている。このパネルは、独立発泡スチレンフォームの片面に網材を固着した構成であり、曲げ強度の改善が図れるものである。
また、前記特許文献3に記載の型枠兼用断熱パネルは、完成した壁面にはさらに仕上げ(外壁材の敷設や吹き付け)を行わなければならなかった。さらに、独立発泡スチレンフォームの片面に金網等の網材を固着する構成であるため、型枠工事中の断熱材の潰れや、打設時の変形を避けるためにバタ工事(外方向への断熱材の膨れを防ぐために縦や横に単管等を配する工事)に手間のかかるものであった。
例えば表裏面材として高強度の金属面材を用いることにより、コンクリートの打設圧力に抗する強度を備え、広い面積を備える壁体にも適用することができ、一方の金属面材として、化粧材を兼ねる金属面材を用いてもよいため、表面に別途化粧材を配設する必要がなく、足場等を組めない敷地(施工場所)においても外壁の施工(工事)を行うことができ、断熱パネルをそのまま外装化粧として使用することができる。また、内側から施工が行えるので、足場等を組めない施工場所には特に有効である。また、別途化粧材を配設する場合にも、金属面材の表面に化粧材を取り付けるので、固定箇所を選ばず取り付けることができる。さらに、型枠としてより高い強度が必要な場合には、補強材を、金属面材に直接固定することもできる。
また、断熱材として前記従来技術のように注入発泡型の合成樹脂を用いることなく、所定厚みを備えるものであれば、断面矩形状のボードである合成樹脂製ボードや各種のボード状断熱材を適用することができる。
以下に、断熱材、表裏面材、連結材について、それぞれ説明する。
表面材と裏面材とを異なる素材とする場合には、前述のように断熱パネル全体の特性を考慮して適宜に選択すればよいが、表面材は型枠兼用パネルとして用いた場合に外装面となること、裏面材はコンクリートと接触すること、を考慮して適宜に選択してもよい。例えば表面材として化粧性(意匠性)を有する(化粧材を兼ねる)金属面材を用いてもよく、この場合、別途化粧材を配設する必要がないため、足場を不要とできる利点がある。化粧性を有する金属面材としては、例えば平坦状よりも凹凸状などの成型を施したものが挙げられ、この場合にはパネルとしての強度も向上する。
このような成形部としては、成形部を構成する面状部分が鉛直方向に重なり合っている状態を指し、面状部分が鉛直方向に二層以上に重なり合っていればよく、何れか一方又は両方の面状部分が折り返し状に形成されて三層以上に重なり合っていてもよく、ビス等の固定具を容易に固着して一体化することができる。例えば以下に示す構成(後述する図示実施例の構成)に成形してもよいが、特にこれに限定するものではない。
後述する図示実施例では、一方側成形部は、断熱材の端縁からさらに一方側へ延在してその先端を内側へ折り返された構成であり、他方側成形部は、断熱材の端縁から内側へ折り曲げられて断熱材の端縁に係止する段部を介して他方側へ延在してその先端が内側へ折り返された構成である。なお、各成形部における折り返し部は、線状に折り返されたものではなく、先端が半円弧状となるように屈曲状に折り返したものであり、ここに略コ字状に成形された連結材が配設される。
そして、表裏面材の各一方側成形部が対向する一方側の端縁には雌型端部が形成され、表裏面材の各他方側成形部が対向する他方側の端縁には雄型端部が形成され、これらの雌型端部と雄型端部とは係合可能であり、隣接する断熱パネル同士を連結可能に構成されている。詳しくは雌型端部には一方側へ延在する突起状の一方側成形部が対向状に形成され、雄型端部には他方側へ延在する突起状の他方側成形部が対向状に形成され、雌型端部の突起間隔は雄型端部の突起間隔より大きく(広く)、且つ雌型端部の対向する突起の内側に雄型端部の対向する突起の外側が沿うように係合する。
前記表裏面材の少なくとも対向する一対の端縁に、前記断熱材の端縁から外側へ延在する一方側成形部、他方側成形部を設ける。
後述する図示実施例のように表面材と裏面材として、同一の面材(金属面材)を使用して向きを変えて用いる場合には、この工程は極めて容易に実施できる。
前記表裏面材の一方側成形部及び他方側成形部がそれぞれ対向するように断熱材の表裏面に配設する。
表面材と断熱材、裏面材と断熱材とは、断熱パネルの使用に際して分離したりズレたりしない程度に接着することが望ましく、その接着強度や使用する接着剤、接着面(全面接着に限らず部分接着でもよい)について何等限定するものではない。
また、表裏面材を対向させて配設した間隔において、合成樹脂発泡体を二次発泡させる条件を付与することで表裏面材を一体化させるようにしてもよい。この場合、二次発泡して膨張した合成樹脂発泡体の表面には、ベタ付きがあるものが多いので、これを利用して表裏面材を接着剤を用いることなく断熱材の表裏面に接着することができる。
前記表裏面材の一方側成形部、他方側成形部に、それぞれ、表裏面材をつなぐ連結材を配設する。
この連結材配設工程は、必ずしも前記表裏面材配設工程の後に実施するものではなく、前記表裏面材配設工程と同時に行うようにしてもよい。
また、特に断熱材の表裏面に表面材、裏面材がそれぞれ接着されて一体化されてなる断熱パネルは、コンクリート型枠工法の型枠として用いることができ、潰れや膨れ等のない型枠兼用パネルとして用いることができ、またパネル自体で外壁面となるため新たに仕上げを行う必要が無く、大幅な工期短縮が図れる。
この貫通孔には、型枠兼用パネルとして用いた際に、間隔保持部材を挿着状に配設してコンクリート打設空間を形成するようにしてもよい。例えば後述する図示実施例のようにこの貫通孔に埋設用棒状材を取り付け、該埋設用棒状材に間隔保持部材を連結してコンクリート打設空間を形成することができる。
この規制部材は、後述する図示実施例では、前記貫通孔内にフランジ状の当接部を備える筒状部材を配設したが、その配設場所としては、貫通孔内やその周辺に限定されるものではなく、また筒状部材に限らず棒状や板状であってもよく、さらに表裏面材との当接部分としても、フランジ状に限らず端部がするものであればL状、Z状のものでもよく、筒状部材とZ状部材とを併用して用いてもよい。
この規制部材により、前記断熱材の潰れが防止されると共にこの規制部材を配した近傍の表裏面材の変形も防止される。
このような規制部材は、特にその材質を限定するものではないが、熱橋等を防ぐために合成樹脂製が好ましい。
この弾性止水材としては、後述する図示実施例のように定形のものを一方側の端縁と他方側の端縁の何れか一方又は両方に取り付けるようにしてもよいし、不定形のものをその連結部分に充填状に配してもよい。
このように本発明の断熱パネルは、表裏面材にビス止めできるため、補強材を取り付ける場合にも容易に施工することができる。打設側)に配設する場合には、型枠としての補強を容易に行うことができ、しかも補強材が内側に配されるために外観に影響を与えることがなく、さらに補強材を取り外す必要がないため、施工を容易に行うことができる。
前述のように前記裏面材3は、前記表面材2と同一の面材(金属面材)を面向きを変えて用いるもので、符号を変更しただけで前記表面材2と全く同様の構成を備える。
即ち前記裏面材3の一方側成形部31は、配設状態において断熱材4の端縁からさらに一方側へ略水平状に延在させてその先端を内側(図面では上側)へ折り返された(折り返し部311)構成であり、他方側成形部32は、断熱材4の端縁から内側へ折り曲げられた段部321を介して他方側へ略水平状に延在させてその先端が折り返された(折り返し部322)構成であり、各成形部31,32における折り返し部311,322は、先端が半円弧状となるように屈曲状に折り返したものであり、ここに後述する略コ字状に成形された連結材10a,10bの片半部分102,104が配設される。
そのため、一方側成形部21,31の厚みと段差221,321の厚みとを一致させれば、雌型端部11の突起間隔(内側)と雄型端部12の突起間隔(外側)は同一となり、高精度に成形できれば隙間無く係合する。
一方側成形部21,31の厚みを段差221,321の厚みより僅かに小さく形成すれば、その分だけを雌型端部11の突起間隔(内側)より雄型端部12の突起間隔(外側)が僅かに大きくなり、弾性が作用する係合状態となり、逆に段差221,321の厚みを大きくすれば隙間が形成される(遊嵌状の係合状態となる)。
図1(d)に示す連結材10aは、前記表裏面材2,3の一方側成形部21,31に配設される略コ字状の成型品であり、一方側成形部21,31の折り返し部211,311には片半部分101,102が配設され、表裏面材2,3をつないで雌型端縁11を形成している。
図1(e)に示す連結材10bは、前記表裏面材2,3の他方側成形部22,32に配設される略コ字状の成型品であり、他方側成形部22,32の折り返し部221,321には片半部分103,104が配設され、表裏面材2,3をつないで雄型端縁12を形成している。
なお、図示実施例では、表裏面材2,3の対向する一対の端縁に一方側成形部21,31を、他方側成形部22,32を設け、断熱パネル1の一対の端縁に雌型端縁11、雄型端縁12を形成したが、さらに別の一対の端縁にも同様な構成の一方側成形部、他方側成形部及び雄型端縁、雌型端縁を形成するようにしてもよく、その場合、上下左右に断熱パネル1を連結することができる。
前記表裏面材2,3を、金属面材にて前述の構成を備えるようにロール成形等の手法、装置を用いて成形し、向きを変えて表裏面材2,3とした。
前記表裏面材2,3の一方側成形部21,31及び他方側成形部22,32がそれぞれ対向するように断熱材4の表裏面に接着剤を用いて接着した。
前記表裏面材2,3の一方側成形部21,31の折り返し部211,311に前記連結材10aの片半部分101,102を配設し、他方側成形部22,32の折り返し部221,321に前記連結材10bの片半部分103,104を配設して一体化した。
なお、一方側に形成される雌型端縁11には、連結用の弾性止水材10cを予め取り付けておいた(前記連結材10aに接着した)。
そして、この断熱パネル1,1同士を接続する場合には、前述のように隣接する断熱パネル1,1の雌型端部11と、雄型端部12とを係合して接続するが、図2(b)に示すように一点鎖線Bにて示す部分にビス等の固定具を打ち込むことにより、接続部分の強度を向上させることができる。なお、この実施例では、各固定具は、4枚の面状部分を貫通して打ち込まれている。
このように貫通孔13を設けることにより、この貫通孔13に間隔保持部材5の一部を構成する筒状部材51bを取り付けることができ、該筒状部材51bに他の部分(51a,51c,51d,52,53)を連結して間隔保持部材5を組み付け、コンクリート打設空間9を形成することができる。
また、筒状部材を兼ねる規制部材51bを埋設することにより、断熱材4潰れが防止されると共にこの規制部材51bを配した近傍の表裏面材2,3の変形も防止される。さらに、この規制部材51bとして合成樹脂製のものを用いたので、熱橋等を防ぐ作用も果たされる。
埋設用棒状材51は、図3(c)〜(f)に示す一方側に頭部511を有するボルト51a、他方側の係止フランジ512を有する筒状部材(規制部材)51b、六角ナット51c、異径ナット51dを連結してなる構成である。
筒状部材51bは前述のように規制部材を兼ね、一方側の端部513が表面材2の内面側に当接し、他方側の係止フランジ512が裏面材3の内面側に当接する状態で前述の断熱材4の潰れを防止する作用をも果たす。
この埋設用棒状材51の一体化について、予め形成した貫通孔13に他方側から筒状部材51bを挿着し、この筒状部材51bを貫通するように一方側からボルト51aを挿入し、他端から六角ナット15cを取り付けて締め付け固定し、型枠パネル1とこの埋設用棒状材51を一体的に固定することができる。
なお、ボルト51aの他端には、異径ナット51dを螺合手段として取り付け、該螺合手段にて他方側の棒状部材52や筒状部材53を接続している。この異径ナット51dや前記六角ナット51cは、非円形状の部材であるから、コンクリート打設空間9内での回転を防止する機構であり、埋設用棒状材51に螺合された棒状部材52をコンクリートの打設後に取り外すときに埋設用棒状材51が一緒に回転して螺合状態が解除されなくなるのを防止する(供回りを防ぐ)ことができる。
前記鍔部521は、棒状部材52が貫通する樹脂製成形材であり、図3(a)より明らかなように他方側の型枠7に当接状に配される。
前記筒状部材53は、図3(a)に示すように中空状の管材(パイプ状)である。
また、他方側に配する型枠(型枠兼用パネル)7は、FRP製の強化プラスチックボードであって、前記間隔保持部材5の他方側の端部を型枠7の外側へ突出させて配置し、型枠7の外側に押さえ部材8を配置させてコンクリートの打設応力に抗するように配置されている。
その後、前記間隔保持部材5の端部を突出させつつ所定位置に他方側の型枠7を配し、間隔保持部材5の端部をフォームタイ(R)等の押さえ部材(ボルト材)8と連結し、型枠7の外側には図示しない縦バタ、横バタ等を配し、前記押さえ部材8にて間隔保持部材5を締め付け固定してコンクリート打設空間9を形成する。
こうして形成されたコンクリート打設空間9において、前記間隔保持部材5は、一方側の型枠として用いられた断熱パネル1と他方側の型枠7との間に架け渡されて配設されている。
また、他方側に配される棒状部材52は、筒状部材53で包囲したので、コンクリート9"と接触することなく配され、コンクリート9"の打設、硬化後に容易に抜き出すことができ、得られたコンクリート壁9"には、他方側に筒状部材53が埋設された構造であるため、一方側の埋設用棒状材(ボルト材51a)51をつたって冷熱が他方側へ伝熱されても、それ以上の冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されて断熱性能が高いものである。
また、この実施例では、コンクリート打設空間9内での回転を防止する機構として六角ナット51c異径ナット51dを設けたので、埋設用棒状材51に螺合された棒状部材52を外すときに埋設用棒状材51が一緒に回転して螺合状態が解除されなくなるのを防止できる。
10a,10b 連結材
10c 弾性止水材
101〜104 片半部分
11 雌型端部
12 雄型端部
2 表面材
21 一方側成形部
211 折り返し部
22 他方側成形部
221 段差
222 折り返し部
3 裏面材
31 一方側成形部
311 折り返し部
32 他方側成形部
321 段差
322 折り返し部
4 断熱材
5 間隔保持部材
51 埋設用棒状材
51a ボルト材
51b 筒状部材(規制)
51c 六角ナット
51d 異径ナット
52 棒状部材
53 筒状部材
7 (他方側の)型枠
8 押さえ部材(ボルト材)
9 コンクリート打設空間
9' コンクリート
Claims (6)
- 断面矩形状のボードである断熱材の表裏面に表面材、裏面材が配設されてなる断熱パネルであって、
前記表裏面材の少なくとも対向する一対の端縁には、前記断熱材の端縁からさらに一方側へ延在させてその先端を内側へ折り返した一方側成形部、前記断熱材の端縁から内側へ折り曲げられて断熱材の端縁に係止する段部を介して他方側へ延在させてその先端を内側へ折り返した他方側成形部を備え、各成形部における折り返しは、先端が半円弧状となるように屈曲状に折り返して連結材が配設される空間を備えるものであり、前記表裏面材における一方側成形部同士、他方側成形部同士の前記空間に、それぞれ、前記表裏面材をつなぐ連結材が配設され、相互に係合可能な雌型端部と雄型端部とを形成していることを特徴とする断熱パネル。 - 断熱材の表裏面に表面材、裏面材がそれぞれ接着されて一体化されてなることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル。
- 表裏面に貫通する貫通孔を所定間隔で開孔したことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パネル。
- 断熱材には端部が表面材及び裏面材の内面側に当接する規制部材を埋設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の断熱パネル。
- 断面矩形状のボードである断熱材の表裏面に表面材、裏面材を配設させる断熱パネルの製造法であり、
前記表裏面材の少なくとも対向する一対の端縁に、前記断熱材の端縁からさらに一方側へ延在させてその先端を内側へ折り返した一方側成形部、前記断熱材の端縁から内側へ折り曲げられて断熱材の端縁に係止する段部を介して他方側へ延在させてその先端を内側へ折り返した他方側成形部を設け、各成形部における折り返しは、先端が半円弧状となるように屈曲状に折り返して連結材が配設される空間を備える成形工程と、
前記表裏面材の一方側成形部及び他方側成形部がそれぞれ対向するように断熱材の表裏面に配設する表裏面材配設工程と、
前記表裏面材における一方側成形部同士、他方側成形部同士の前記空間に、それぞれ、表裏面材をつなぐ連結材を配設して、相互に係合可能な雌型端部と雄型端部とを形成する連結材配設工程と、
からなることを特徴とする断熱パネルの製造法。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の断熱パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造。
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