JP5736297B2 - ミクロ相分離構造体フィルム及び積層体 - Google Patents

ミクロ相分離構造体フィルム及び積層体 Download PDF

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本発明は、ミクロ相分離構造体フィルム及び積層体に関する。
ブロック共重合体が自己組織化することで形成されるミクロ相分離構造を屈折率周期構造として利用したホトニック結晶および構造発色体が知られている(例えば特許文献1〜3)。特許文献1〜3に記載されている屈折率周期構造は、ミクロ相分離構造を形成するブロック共重合体の構成ブロック鎖の屈折率が互いに異なることにより形成されており、これによりホトニック結晶の光学特性を発現し、構造発色を呈している。
国際公開第2008/047514号パンフレット 特許第3233883号 特許第4581377号 特許第3227109号
Adv. Mater. 2002, 14, No.24, December 17"Bicontinuous Cubic Block Copolymer Photonic Crystals"
ミクロ相分離構造を利用した従来のホトニック結晶には、半導体材料や無機材料を用いたホトニック結晶と比較して構成ブロック鎖間の屈折率差が小さく、十分な光学特性が得られないという問題がある。ミクロ相分離構造を構造発色体の屈折率周期構造として利用した場合も同様に、屈折率差が小さく反射率が低いため、誘電体多層膜のような色鮮やかな金属光沢を得ることが難しい。屈折率差を増大させる方法としては、ミクロ相分離構造の1成分に空孔を導入する方法が非特許文献1に開示されている。しかし、非特許文献1のミクロ相分離構造体は、真空ドライエッチングによって空孔が導入されたものであり、空孔導入も不均一であり、光学特性が向上したミクロ相分離構造を用いたホトニック結晶とは言いがたい。
また、上記特許文献4には、溶液キャスト法によりミクロ相分離構造体を得る際にミクロ相分離構造の1成分のみに相溶するポリマー、オリゴマー、モノマー等の添加成分を添加してミクロ相分離構造体フィルムを作製した後、当該添加成分が溶解可能な溶媒で添加成分を抽出することで空孔を導入したミクロ相分離構造体が開示されているが、本発明者による検討の結果、特許文献4に記載されている方法では、溶媒による添加成分の抽出時にミクロ相分離構造体フィルムが溶解すること等により変形してしまい、光学特性が向上したミクロ相分離構造体は得られなかった。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、優れた光学特性を有するミクロ相分離構造体フィルム及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明に係るミクロ相分離構造体フィルムは、空孔が選択的に形成されたミクロドメインを有するミクロ相分離構造体フィルムであって、第1のポリマー鎖及び第2のポリマー鎖を有するブロック共重合体と、光重合性モノマーを光重合させて得られる光硬化性樹脂と、を含有すると共に、第1のポリマー鎖を含有する第1のミクロドメインと、第2のポリマー鎖を含有する第2のミクロドメインと、を含むミクロ相分離構造を有し、空孔が第2のミクロドメインよりも第1のミクロドメインに選択的に形成されている。
本発明では、ミクロ相分離構造体フィルムが、第1のポリマー鎖及び第2のポリマー鎖を有するブロック共重合体と、光重合性モノマーを光重合させて得られる光硬化性樹脂と、を含有すると共に、第1のポリマー鎖を含有する第1のミクロドメインと、第2のポリマー鎖を含有する第2のミクロドメインと、を含むミクロ相分離構造を有している。このようなミクロ相分離構造体フィルムでは、光重合性モノマーの光重合によって3次元架橋が進行していることにより、ミクロ相分離構造が良好に保持されている。
そして、本発明に係るミクロ相分離構造体フィルムでは、空孔が第2のミクロドメインよりも第1のミクロドメインに選択的に形成されている。これにより、空孔が形成されていない状態に比して第1のミクロドメインの屈折率は小さくなる傾向があり、第1のミクロドメイン及び第2のミクロドメインの屈性率差を容易に大きくすることができる。したがって、本発明に係るミクロ相分離構造体フィルムでは、優れた光学特性を得ることができる。このようなミクロ相分離構造体フィルムでは、例えば、当該フィルムの反射率を増加させることが可能であり、フィルムに金属光沢を付与することができる。
第1のミクロドメイン及び第2のミクロドメインは、ラメラ状であってもよい。
本発明に係る積層体は、上記ミクロ相分離構造体フィルムと、当該ミクロ相分離構造体フィルムの少なくとも一方の主面上に配置された支持体と、を備える。本発明に係る積層体では、ミクロ相分離構造体フィルムを単独で用いた場合に比して機械的強度及び耐薬品性を向上させることができると共に、有機溶媒等がミクロ相分離構造体フィルムに接触して光学特性が低下することを抑制することができる。
支持体は、ミクロ相分離構造体フィルムの一方の主面上に配置された第1の支持体と、ミクロ相分離構造体フィルムの他方の主面上に配置された第2の支持体と、を有し、第1の支持体及び第2の支持体の少なくとも一方が可視光に対して透明であってもよい。この場合、ミクロ相分離構造体フィルムを支持体により支持しつつミクロ相分離構造体フィルムの構造色を視認し易くすることができる。
本発明に係る積層体は、支持体及びミクロ相分離構造体フィルムの間に配置された保護膜を更に備えていてもよい。この場合、ミクロ相分離構造体フィルムと支持体とを積層するに際してミクロ相分離構造体フィルムに有機溶媒等が接触する懼れがある場合であっても、保護膜により遮蔽することにより、ミクロ相分離構造体フィルムに有機溶媒等が接触してミクロ相分離構造体フィルムの光学特性が低下することを抑制することができる。
本発明によれば、優れた光学特性(例えば反射率、透過ブロック特性)を有するミクロ相分離構造体フィルム及びこれを用いた積層体を提供することができる。このようなミクロ相分離構造体フィルム及び積層体は、光学フィルタや構造色材料として有用である。構造色材料は、例えば、可視光範囲に構造色を有するものである。
本発明の一実施形態に係るミクロ相分離構造体フィルムを示す図である。 本発明の第1実施形態に係る積層体を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る積層体を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る積層体を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る積層体を示す図である。 実施例1〜3のミクロ相分離構造体フィルムのSEM写真である。 比較例2〜4のミクロ相分離構造体フィルムのSEM写真である。 ミクロ相分離構造体フィルムの反射分光スペクトルを示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<ミクロ相分離構造体フィルム>
図1は、本実施形態に係るミクロ相分離構造体フィルムを示す図である。図1(a)は、ミクロ相分離構造体フィルムの斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線に沿った模式断面図である。図1に示すミクロ相分離構造体フィルム10(以下、「フィルム10」という。)は、互いに略平行に対向する表面(一方の主面)10a及び裏面(他方の主面)10bを有している。フィルム10の厚さは、例えば10〜300μmである。フィルム10の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよく(図1(a))、矩形であってもよい。
フィルム10は、例えば高分子ホトニック結晶によって形成された構造発色体である。高分子ホトニック結晶は、ブロック共重合体(高分子ブロック共重合体)を含有している。「ブロック共重合体」とは、2種以上のポリマー鎖(構成ブロック鎖、セグメント)が結合した共重合体であり、例えば、モノマーAを構造単位とする第1のポリマー鎖と、モノマーBを構造単位とする第2のポリマー鎖とがポリマー鎖の末端同士で結合した共重合体が挙げられる。
ブロック共重合体としては、例えば、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(エチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(ペンチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(デシルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(ドデシルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(メチルアクリレート)、ポリスチレン−b−ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリスチレン−b−ポリブタジエン、ポリスチレン−b−ポリイソプレン、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン−b−ポリジメチルシロキサン、ポリイソプレン−b−ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピリジン−b−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリビニルピリジン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリビニルピリジン−b−ポリブタジエン、ポリビニルピリジン−b−イソプレン、ポリブタジエン−b−ポリビニルナフタレン、ポリビニルナフタレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリビニルナフタレン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)等の2元ブロック共重合体、及び、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)等の3元ブロック共重合体などが挙げられる。なお、ブロック共重合体は、ポリマー鎖間で屈折率が異なれば上記に限られるものではない。なお、図1(a)では、フィルム10がブロック共重合体として2元ブロック共重合体を含有する形態を一例として示している。ブロック共重合体の含有量は、フィルム10の全質量基準で例えば7〜15質量%である。
ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、構造発色体としての発色性を発現させる周期構造が良好に得られる観点から、8.0×10(g/mol)以上が好ましく、9.0×10(g/mol)以上がより好ましく、1.0×10(g/mol)以上が更に好ましい。ブロック共重合体の重量平均分子量は、構造発色体としての発色性を発現させる周期構造が良好に得られる観点から、3.0×10(g/mol)以下が好ましく、2.5×10(g/mol)以下がより好ましく、2.0×10(g/mol)以下が更に好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算の重量平均分子量として得ることができる。
フィルム10は、ミクロ相分離構造13を有している。「ミクロ相分離構造」とは、複数のミクロドメインが周期的に配置された集合体をいう。「ミクロドメイン」とは、ブロック共重合体の異種のポリマー鎖が互いに混じり合うことなく相分離して形成される相である。
ミクロ相分離構造13は、ラメラ状のミクロドメイン15を含んでいる。ミクロドメイン15は、複数のミクロドメイン15aと複数のミクロドメイン15bとを有しており、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bは、層状に交互に積層されている。ミクロドメイン15a,15bのそれぞれは、例えば、表面10a又は裏面10bの少なくとも一方に対して略平行に配向していてもよい。また、ミクロドメイン15a,15bのそれぞれは、フィルム10の厚さ方向に振幅を有する波状であってもよい。
フィルム10では、秩序だった特徴的なミクロドメイン構造をブロック共重合体が形成している。ミクロドメイン15aは、ブロック共重合体の一のポリマー鎖を含んでおり、ミクロドメイン15a同士は、互いに同種のポリマー鎖を含んでいる。また、ミクロドメイン15bは、ブロック共重合体の他のポリマー鎖を含んでおり、互いに同種のポリマー鎖を含んでいる。ミクロ相分離構造13は、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈折率が互いに異なっていることにより、ミクロドメイン15aとミクロドメイン15bとが交互に積層されて形成された屈折率周期構造を有している。
なお、フィルム10におけるミクロドメインの形態(モルホロジー)はラメラ状に限定されるものではない。ミクロドメインの形態は、ブロック共重合体の組成に応じて変化し、一のミクロドメインが他のミクロドメインからなるマトリックス中に存在する形態であってもよい。このような形態としては、例えば、上記一のミクロドメインが円柱状であるシリンダー状の形態、上記一のミクロドメインが球状である形態、上記一のミクロドメインが網の目構造を有するギロイド状の形態等が挙げられる。
本実施形態では、ミクロ相分離構造13において空孔(空隙)17がミクロドメイン15bよりもミクロドメイン15aに選択的に形成されている。本実施形態では、例えば、ミクロドメイン15aに空孔17が形成されているのに対し、ミクロドメイン15bには、空孔17が形成されていない。空孔17には、例えば、空気等の気体が満たされている。空孔17の平均孔径は、例えば10〜200nmであり、ミクロドメインの空孔率は、例えば5〜30体積%である。
空気等の気体が満たされた空孔が、ブロック共重合体を含むミクロドメインに形成されることにより、ミクロドメインの屈折率は低下する傾向がある。そのため、本実施形態では、ミクロドメイン15aに空孔17が形成されていることにより、空孔17が形成されていない状態に比してミクロドメイン15aの屈折率は小さくなる傾向がある。これにより、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈性率差を容易に大きくすることができる。ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈性率差を更に大きくする観点から、ミクロドメインに空孔が形成されていない状態において、空孔17が形成されるミクロドメイン15aの屈折率は、ミクロドメイン15bの屈折率よりも小さいことが好ましい。また、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈性率差を更に大きくする観点から、ミクロドメイン15aに含まれる第1のポリマー鎖の屈折率は、ミクロドメイン15bに含まれる第2のポリマー鎖の屈折率に比して小さいことが好ましい。
ミクロドメイン15bには、図1(a)に示すように空孔が形成されていなくてもよいが、空孔が形成されていてもよい。ミクロドメイン15bに空孔が形成されている場合、例えばミクロドメイン15aの空孔率がミクロドメイン15bの空孔率よりも高い状態でミクロドメイン15a,15bに空孔が形成されることにより、空孔17がミクロドメイン15bよりもミクロドメイン15aに選択的に形成されている。
フィルム10を構成する高分子ホトニック結晶は、ブロック共重合体以外の構成成分として、ブロック共重合体及び後述する光重合開始剤を可溶な光重合性モノマーを光重合開始剤の存在下で光重合させて得られる光硬化性樹脂(高分子化合物)を含有している。上記光重合性モノマーとしては、アクリレート及びメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
上記光重合性モノマーとしては、単官能性モノマー又は多官能性モノマーのいずれでもよく、例えばカルボキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート等の単官能モノマー、ジエチレングリコールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングレコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、4,4′−ジアクリロイルオキシスチルベン、ジエチレングリコールメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。上記光重合性モノマーとしては、多官能モノマーが好ましく、ジシクロペンタニルアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートがより好ましい。上記光重合性モノマーは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。光硬化性樹脂の含有量は、フィルム10の全質量基準で例えば40〜90質量%である。
また、フィルム10を構成する高分子ホトニック結晶は、ブロック共重合体及び光硬化性樹脂以外に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、可塑剤、溶媒等が挙げられる。可塑剤や溶媒としては、フィルム10の製造方法において後述する可塑剤や溶媒が挙げられる。
本実施形態に係るフィルム10は、第1のポリマー鎖及び第2のポリマー鎖を有するブロック共重合体と、光重合性モノマーを光重合させて得られる光硬化性樹脂と、を含有すると共に、第1のポリマー鎖を含むミクロドメイン15aと、第2のポリマー鎖を含むミクロドメイン15bと、を含むミクロ相分離構造13を有している。このようなフィルム10では、光重合性モノマーの光重合によって3次元架橋が進行していることにより、ミクロ相分離構造13が良好に保持されている。
そして、フィルム10では、空孔17がミクロドメイン15bよりもミクロドメイン15aに選択的に形成されている。これにより、空孔17が形成されていない状態に比してミクロドメイン15aの屈折率は小さくなる傾向があり、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈性率差を容易に大きくすることができる。したがって、フィルム10では、優れた光学特性を得ることができる。
<ミクロ相分離構造体フィルムの製造方法>
本実施形態に係るミクロ相分離構造体フィルムの製造方法は、例えば準備工程、光重合工程、可塑剤溶出工程及び溶媒除去工程をこの順に備えている。
準備工程では、まず、上記ブロック共重合体を重合する。ブロック共重合体の重合方法としては、例えばリビングアニオン重合等が挙げられる。ミクロドメインの形態(モルホロジー)は、重合時のモノマー仕込み量を制御する等により調整することができる。
次に、例えば、上記ブロック共重合体及び光重合開始剤を可溶な上記光重合性モノマーにブロック共重合体及び光重合開始剤を溶解させた後に、当該光重合性モノマーと可塑剤とを混合して、ブロック共重合体、光重合開始剤、光重合性モノマー及び可塑剤を含有するポリマー溶液を調製する。このようなポリマー溶液を調製した段階において、例えば、ブロック共重合体の自己組織化によりミクロ相分離構造が形成されている。
ポリマー溶液中のブロック共重合体の含有量は、作製プロセスにおいて粘度を下げるために加熱する必要が無く、室温においてある程度低粘度で流動性を有するポリマー溶液とする観点から、ポリマー溶液の全質量基準で3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、7〜15質量%が更に好ましい。ブロック共重合体の含有量が3質量%未満であると、ミクロ相分離構造を形成する際の偏析力が減少する傾向があり、ミクロ相分離構造の規則性が低下する傾向がある。ブロック共重合体の含有量が30質量%を超えると、偏析力は増大するものの、粘度が増加するため、流動場印加による配向制御が難化する傾向がある。
光重合性モノマーとしては、上述した光重合性モノマーを用いることができる。ポリマー溶液中の光重合性モノマーの含有量は、ポリマー溶液の全質量基準で例えば40〜90質量%である。
光重合開始剤は、活性光線照射により活性化し得る重合開始剤である。光重合開始剤としては、活性光線の照射により分子が開裂してラジカルとなり、光重合性を有するポリマー又はモノマーとラジカル重合反応を引き起こすことにより、材料を高分子量化(架橋)させてゲル化を進行させるラジカル型光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン等が挙げられ、具体的には、IRGACURE651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。光重合開始剤の含有量は、光重合性モノマーの全質量基準で例えば0.05〜0.5質量%である。
可塑剤は、可塑剤溶出工程で使用する溶媒に溶解するものであればよく、常温において固体状及び液状のいずれであってもよい。また、溶媒は、光重合性モノマーに対する溶解性が低いことが好ましい。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル及びクエン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも、高規則性のミクロ相分離構造を形成させる観点から、フタル酸エステルが好ましい。また、可塑剤は、ブロック共重合体のそれぞれのポリマー鎖に対する相溶性に差があってもよい。可塑剤の含有量は、溶媒処理によって空孔を導入し易くなる観点から、ポリマー溶液の全質量基準で5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。可塑剤の含有量が5質量%未満であると、十分な空孔を導入することが困難となる傾向がある。可塑剤の含有量が60質量%を超えると、ミクロ相分離構造体フィルムの力学的強度が低下する傾向がある。
光重合工程では、ポリマー溶液を所望の形状に成形した後に、ポリマー溶液に活性光線(例えば紫外線)を照射することによりポリマー溶液中の光重合性モノマーを光重合させて樹脂フィルムを得る。この場合、光重合性モノマーの3次元的な架橋反応が進行し、簡易な方法でミクロ相分離構造を固定化することができる。活性光線の強度は、例えば1000〜2000μW/cmである。なお、ポリマー溶液に活性光線を照射する前に、ポリマー溶液にずり流動場等を印加して、ミクロドメインの配向性を調整してもよい。
可塑剤溶出工程では、可塑剤を可溶な溶媒を樹脂フィルムに接触させて溶媒を樹脂フィルムに染み込ませることにより、樹脂フィルムのミクロドメイン中に含まれる可塑剤を溶媒に溶解させて溶出させる。溶媒を樹脂フィルムに染み込ませる方法としては、樹脂フィルムを溶媒に浸漬する方法、溶媒を樹脂フィルムに吹き付ける方法、樹脂フィルムの主面に溶媒を滴下する方法等が挙げられる。なお、可塑剤溶出工程後において、可塑剤の一部が樹脂フィルム内に残存していてもよい。
溶媒としては、ブロック共重合体のポリマー鎖の少なくとも一つに対して相溶性を有する溶媒を用い、ブロック共重合体の第1のポリマー鎖に対する相溶性と第2のポリマー鎖に対する相溶性とが互いに異なる溶媒を用いる。すなわち、第1のポリマー鎖に対する溶媒の相溶性は、第2のポリマー鎖に対する溶媒の相溶性よりも高い。
溶媒としては、可塑剤を好適に溶解可能である観点から、有機溶媒が挙げられる。また、溶媒としては、効果的にミクロドメイン間の屈折率差を増大させる観点から、空孔が形成されるミクロドメインに含まれるポリマー鎖と相溶し易い溶媒が好ましく、例えば、第2のポリマー鎖に比して第1のポリマー鎖に相溶し易い溶媒を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、溶媒除去工程において空孔の大きさを維持しつつ溶媒を除去し易いため効果的に空孔を導入することができる観点から、沸点が低く揮発性が高い溶媒が好ましく、例えば沸点が100℃以下の溶媒がより好ましい。
溶媒としては、ブロック共重合体がポリスチレン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)の場合、アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、等がより好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが更に好ましい。これらの溶媒は、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)に対する相溶性がポリスチレンに対する相溶性に比して高い傾向がある。上記アルコールの炭素数は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。アルコールの炭素数が4を超えると、沸点が高くなり良好に空孔を導入することが困難となる傾向がある。
また、ブロック共重合体がポリスチレン−b−ポリブタジエンの場合、アルカン化合物が好ましく、n−ブタン、2−メチルプロパン、n−ペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、n−へキサン、n−オクタン、等の低沸点のアルカン化合物がより好ましい。これらの溶媒は、ポリブタジエンに対する相溶性がポリスチレンに対する相溶性に比して高い傾向がある。上記アルカン化合物の炭素数は、4〜8が好ましく、5〜6がより好ましい。アルカン化合物の炭素数が4未満である、常温常圧で気体であり、取り扱いが困難となる傾向がある。アルカン化合物の炭素数が8を超えると、沸点が高くなり良好に空孔を導入することが困難となる傾向がある。
本実施形態では、良好な光学特性を得るために、ブロック共重合体の第1のポリマー鎖に対する相溶性と第2のポリマー鎖に対する相溶性とに応じて、ポリマー鎖に対する相溶性に差がある選択溶媒を適宜使用することができる。3元以上のブロック共重合体においても、同様に、各ポリマー鎖の相溶性に応じて溶媒を選択することができる。また、上記溶媒は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
溶媒除去工程では、樹脂フィルム中に残存する溶媒を樹脂フィルムから除去する。樹脂フィルムの溶媒の除去方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ブロワー等で樹脂フィルムを乾燥して溶媒を樹脂フィルムから除去する。なお、溶媒除去工程後において溶媒の一部が樹脂フィルム内に残存していてもよい。
本実施形態では、上記工程を経ることにより、空孔が形成されたミクロドメインを有するミクロ相分離構造体フィルム(例えばフィルム10)を得ることができる。具体的には、可塑剤溶出工程において、樹脂フィルムに接した溶媒が樹脂フィルム内に浸透して可塑剤と接触することにより、可塑剤が溶媒に溶解することとなる。そして、溶媒中に溶解した可塑剤は、溶媒と共にフィルム外に除去されることや、溶媒内を拡散してフィルム外に除去されることにより、樹脂フィルムから溶出する。これにより、樹脂フィルムにおける可塑剤が占有していた空間に溶媒が満たされて、樹脂フィルム中に溶媒が分散した状態となる。
ところで、上記樹脂フィルムは、(a)第1のポリマー鎖を含む第1のミクロドメインにのみ可塑剤が分散され、第2のポリマー鎖を含む第2のミクロドメインに可塑剤が分散されていない状態であってもよく、(b)第1のミクロドメイン及び第2のミクロドメインのいずれにも可塑剤が分散された状態であってもよい。上記(a)の場合、可塑剤溶出工程において、第1のミクロドメインの内部にのみ溶媒が残存することとなり、溶媒除去工程において、第1のミクロドメインに残存する溶媒が樹脂フィルムから除去されることにより、当該溶媒が占有していた空間に空孔が形成される。これにより、第1のミクロドメインの内部にのみ空孔が形成され、第2のミクロドメインの内部には空孔が形成されていない状態となる。すなわち、空孔が第2のミクロドメインよりも第1のミクロドメインに選択的に形成されることとなる。
上記(b)の場合、可塑剤溶出工程において、第1のミクロドメイン及び第2のミクロドメインの双方の内部に溶媒が残存することとなる。この場合、ミクロドメインのそれぞれに対して同等の相溶性を有する溶媒を用いると、溶媒除去工程においてミクロドメインのそれぞれから溶媒が除去されてミクロドメインのそれぞれに同程度に空孔が形成されることとなり、ミクロドメイン間の屈折率差を充分に大きくすることが困難となる。
一方、本実施形態では、第1のポリマー鎖に対する溶媒の相溶性が第2のポリマー鎖に対する溶媒の相溶性よりも高い。この場合、第1のポリマー鎖を含む第1のミクロドメインでは、第1のミクロドメインに溶媒が染み込むと、ポリマー鎖と溶媒との接触を促進するように、溶媒が占有する空間が拡大する傾向がある。これにより、溶媒が占有する空間の大きさは、第2のミクロドメインよりも第1のミクロドメインの方が大きくなる傾向がある。その後、溶媒除去工程において溶媒が除去されることにより、当該溶媒が占有していた空間が空孔として形成される。これにより、第1のミクロドメイン及び第2のミクロドメインのそれぞれに空孔が形成されるものの、第1のミクロドメインに形成された空孔は、第2のミクロドメインに形成された空孔よりも大きくなる。したがって、空孔が第2のミクロドメインよりも第1のミクロドメインに選択的に形成される。
本実施形態に係るミクロ相分離構造体フィルムの製造方法では、ブロック共重合体、光重合性モノマー、光重合開始剤及び可塑剤を含有する溶液に光を照射して光重合性モノマーを光重合させることにより、可塑剤を含有する樹脂フィルムが得られる。このような樹脂フィルムでは、樹脂フィルムが可塑剤を含有することにより、ミクロ相分離構造を保持し易いと共に、フィルムの力学的特性(例えば曲げ変形性能)を向上させることができる。また、上記樹脂フィルムでは、光重合性モノマーの光重合によってブロック共重合体の3次元架橋が進行していることにより、可塑剤を溶解可溶な溶媒を樹脂フィルムに接触させる場合であっても、樹脂フィルムが変形することが抑制されている。
そして、本実施形態では、上述のとおり、空孔17がミクロドメイン15bよりもミクロドメイン15aに選択的に形成されたフィルム10が得られる。このようなフィルム10は、空孔17が形成されていない状態に比してミクロドメイン15aの屈折率は小さくなる傾向があり、ミクロドメイン15a及びミクロドメイン15bの屈性率差を容易に大きくすることができる。したがって、フィルム10では、優れた光学特性を有するフィルム10を容易に得ることができる。
<積層体>
上記フィルム10は、空孔を有する多孔質体のミクロドメインを有しているため、機械的強度や耐薬品性を向上させる必要がある場合がある。また、有機溶媒(例えば溶剤系接着剤)等がフィルム10に接触して染み込んだ場合、ミクロドメインの空孔が有機溶媒等により埋められてしまうことによりミクロドメイン間の屈折率差が小さくなり、金属光沢が消失する等のように光学特性が低下する場合がある。これに対し、フィルム10の少なくとも一方の主面(表面10a,裏面10b)上に支持体を配置することにより、フィルム10を単独で用いた場合に比して機械的強度及び耐薬品性を向上させることができると共に、有機溶媒等がフィルム10に接触して光学特性が低下することを抑制することができる。
図2は、第1実施形態に係る積層体を示す図である。図2(a)は、積層体の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線に沿った模式断面図である。第1実施形態に係る積層体100は、上記フィルム10と、フィルム10の表面10a上に配置された支持体20と、を備える。支持体20は、互いに略平行に対向する表面20a及び裏面20bを有しており、裏面20bがフィルム10の表面10aに接している。
図3は、第2実施形態に係る積層体を示す図である。図3(a)は、積層体の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線に沿った模式断面図である。第2実施形態に係る積層体110は、積層体100と同様のフィルム10及び支持体(第1の支持体)20と、フィルム10の裏面10b上に配置された支持体(第2の支持体)30と、を備える。支持体30は、互いに略平行に対向する表面30a及び裏面30bを有しており、表面30aがフィルム10の裏面10bに接している。
支持体20,30の厚さは、例えば0.010〜10.000mmである。支持体20,30は、接着剤を介してフィルム10上に配置されていてもよい。
支持体20,30は、不透明であってもよく、着色されていてもよいが、積層体110においては、支持体20及び支持体30の少なくとも一方が可視光(例えば、波長350〜700nm)に対して透明であることが好ましい。この場合、フィルム10を支持体20,30により支持しつつフィルム10の構造色を視認し易くすることができる。
支持体20,30は、樹脂材料、ガラス又は金属材料等により形成されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂等が挙げられる。金属材料としては、例えばアルミニウム、ステンレス、金が挙げられる。
また、以下に示すようにフィルム10及び支持体20の間、及び/又は、フィルム10及び支持体30の間に保護膜が配置されていてもよい。この場合、フィルム10と支持体20,30とを積層するに際してフィルム10に有機溶媒等(例えば、有機溶媒を含む接着剤)が接触する懼れがある場合であっても、保護膜により遮蔽することにより、フィルム10に有機溶媒等が接触してフィルム10の光学特性が低下することを抑制することができる。
図4は、第3実施形態に係る積層体を示す図である。図4(a)は、積層体の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線に沿った模式断面図である。第3実施形態に係る積層体120は、積層体100と同様のフィルム10及び支持体20と、フィルム10及び支持体20の間に配置された保護膜40と、を備える。
図5は、第4実施形態に係る積層体を示す図である。図5(a)は、積層体の斜視図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線に沿った模式断面図である。第4実施形態に係る積層体130は、積層体110と同様のフィルム10、支持体20及び支持体30と、フィルム10及び支持体20の間に配置された保護膜50と、フィルム10及び支持体30の間に配置された保護膜60と、を備える。
保護膜40,50,60の厚さは、例えば0.01〜0.200mmである。保護膜40,50,60とフィルム10との間、及び、保護膜40,50,60と支持体20,30との間には、接着剤層が配置されていてもよい。
保護膜40,50,60は、不透明であってもよく、着色されていてもよいが、積層体130においては、保護膜50及び保護膜60の少なくとも一方が可視光(例えば、波長350〜700nm)に対して透明であることが好ましい。この場合、透明な保護膜に接した支持体が同様に可視光に対して透明であることが好ましい。これらの場合、フィルム10の構造色を視認し易くなる。
保護膜40,50,60としては、光重合性モノマーを塗布後硬化して得られる膜、スプレー塗装等によって得られる塗膜、アルミニウムや金等の金属蒸着膜が挙げられる。保護膜40,50,60としては、光重合性モノマーを塗布後硬化して得られる膜が好ましい。
光重合性モノマーとしては、カルボキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート等の単官能モノマー、ジエチレングリコールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングレコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、4,4′−ジアクリロイルオキシスチルベン、ジエチレングリコールメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。上記光重合性モノマーとしては、多官能モノマーが好ましく、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートがより好ましい。上記光重合性モノマーは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<構造発色フィルムの作製>
(実施例1)
ブロック共重合体として、ポリスチレン−b−ポリ(tert−ブチルメタクリレート)(PS−b−P(t−BuMA)、重量平均分子量1.8×10[g/mol]、組成PS:P(t−BuMA)=49:51[vol%])を真空下リビングアニオン重合により合成した。次に、光重合性モノマーである1,6−ヘキサンジオールアクリレート(別名「1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン」)と、可塑剤であるフタル酸ジオクチルとを質量比70:30で含有する混合溶媒に、上記ブロック共重合体を混合物の全質量基準で10.0質量%となるように溶解させて混合物を得た。また、1,6−ヘキサンジオールアクリレートの含有量に対して0.3質量%となるように、光重合開始剤としてIRGACURE651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を混合物に添加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液には、ラメラ状のブロック共重合体ミクロ相分離構造が形成されており、ポリマー溶液は、ミクロ相分離構造の周期構造に起因した構造発色を呈していた。
厚さ0.08mm、開口部内径40mmのリング状スペーサを円形の石英ガラス板(直径50mm、厚さ1.0mm)の主面上に配置した後、上記ポリマー溶液をスペーサの開口部内に滴下した。続いて、上記と同様の円形の石英ガラス板をスペーサ上に配置し、ポリマー溶液を石英ガラス板で上下に挟み、円形の膜状に展開させた。
その後、5分間紫外線をポリマー溶液に照射(1200μW/cm)してポリマー溶液を硬化させ、可塑剤を含有したミクロ相分離構造を有する樹脂フィルムを得た。
可塑剤を含有する樹脂フィルムをメタノール(溶媒)に浸漬し、15時間放置してフィルム中の可塑剤を溶出させた。その後、フィルムを溶媒から取り出し、ブロワーで溶媒を乾燥させて構造発色フィルムを得た。
乾燥後、メタノール処理したフィルムに強いミラー状の金属光沢が観察された。フィルムは、光重合性モノマーの3次元的な架橋により固定化されているため、フィルムが溶媒に溶解する等の大きな形状変化は確認されなかった。浸漬前後の質量比較から、フィルム中に含有していた可塑剤分の質量減少が観察され、可塑剤溶出が確認された。また、体積収縮も観察された。構造発色フィルムの厚さは0.075mmであった。
(実施例2)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。次に、メタノールに代えてエタノールを用いた点を除いて実施例1と同様の手法により溶媒処理(可塑剤溶出処理)を樹脂フィルムに施し、構造発色フィルムを得た。
エタノール処理したフィルムに強いミラー状の金属光沢が観察された。フィルムが溶媒に溶解する等の大きな形状変化は確認されなかった。フィルム中に含有していた可塑剤分の質量減少が観察され、可塑剤溶出が確認された。また、体積収縮も観察された。構造発色フィルムの厚さは0.075mmであった。
(実施例3)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。次に、メタノールに代えてtert−ブチルアルコールを用いた点を除いて実施例1と同様の手法により溶媒処理を樹脂フィルムに施し、構造発色フィルムを得た。
tert−ブチルアルコール処理したフィルムに強いミラー状の金属光沢が観察された。フィルムが溶媒に溶解する等の大きな形状変化は確認されなかった。フィルム中に含有していた可塑剤分の質量減少が観察され、可塑剤溶出が確認された。また、体積収縮も観察された。構造発色フィルムの厚さは0.075mmであった。
(比較例1)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムに対して溶媒処理を施すことなく、樹脂フィルムを構造発色フィルムとして準備した。構造発色フィルムには、強いミラー状の金属光沢が観察されなかった。
(比較例2)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。次に、メタノールに代えてn−ヘキサンを用いた点を除いて実施例1と同様の手法により溶媒処理を樹脂フィルムに施し、構造発色フィルムを得た。構造発色フィルムには、強いミラー状の金属光沢が観察されなかった。
(比較例3)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。次に、メタノールに代えてアセトンを用いた点を除いて実施例1と同様の手法により溶媒処理を樹脂フィルムに施し、構造発色フィルムを得た。構造発色フィルムには、強いミラー状の金属光沢が観察されなかった。
(比較例4)
まず、実施例1と同様の手法により樹脂フィルムを得た。次に、メタノールに代えてテトラヒドロフランを用いた点を除いて実施例1と同様の手法により溶媒処理を樹脂フィルムに施し、構造発色フィルムを得た。構造発色フィルムには、強いミラー状の金属光沢が観察されなかった。
<構造観察>
溶媒処理後における構造発色フィルムの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察結果を図6,7に示す。図6は、実施例1〜3の構造発色フィルムのSEM写真であり、図7は、比較例2〜4の構造発色フィルムのSEM写真である。
溶媒処理により構造発色フィルムに多数の空孔が形成されていることが観察された。ポリ(tert−ブチルメタクリレート)に対する相溶性がポリスチレンに対する相溶性に比して高い溶媒を用いた実施例1〜3では、3次元架橋により保持されたミクロ相分離構造の片側のミクロドメインに選択的に空孔が形成されていることが観察された(図6)。いずれのポリマー鎖に対しても十分な相溶性を有していない比較例2では、ミクロ相分離構造の片側のミクロドメインに選択的に空孔が形成されていることが観察されなかった。また、ポリマー鎖に対する相溶性がそれぞれのポリマー鎖について同等である比較例3および4についても、ミクロ相分離構造の片側のミクロドメインに選択的に空孔が形成されていることが観察されなかった。
<光学特性評価>
マルチチャンネル分光測光PMA−12(浜松ホトニクス社製)を用いて、構造発色フィルムの反射分光スペクトルを測定した。図8は、構造発色フィルムの反射分光スペクトルを示す図である。溶媒処理によって、フィルムは僅かに収縮するため、反射波長の低波長側へのシフトが観察された。反射率は、実施例1〜3において大幅に増大していることが確認された。実施例1〜3では、ミクロ相分離構造におけるミクロドメインの片側成分のみに選択的に空孔が形成されているため、屈折率周期構造の屈折率差が増大して、反射率が増大したものと推測される。一方、比較例1〜4では、反射率は小さいものであり、溶媒処理を施しても反射率に大きな変化は観察されなかった。
<積層体の作製・評価>
(透明支持体への接着)
光硬化性樹脂(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート)を用いて、2枚の透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み0.5mm)の間に上記実施例1の構造発色フィルムを挟み込むように接着し、PETフィルム−構造発色フィルム−PETフィルムの構成を有する多層膜体(積層体)を得た。多層膜体は、構造発色フィルム単独よりも曲げ等の変形に強い構造発色体であった。
トルエンを染み込ませたウエスで多層膜体を数十回拭くという作業によって耐薬品性を評価した。構造発色フィルム単独の場合、変形、変色、白化等の現象が観察されるのに対し、多層膜体に対して同様の処理を行なったところ、変形、変色、白化等は観察されなかった。PETフィルムに挟むことで耐薬品性が向上することが確認された。
(保護膜被覆)
厚み0.075mmの上記実施例1の構造発色フィルムの表面にジシクロペンテニルジアクリレート(光重合開始剤IRGACURE651を0.3%含有)を塗布した後に紫外線照射することによって厚み0.03mmの保護膜を形成し、保護膜被覆構造発色フィルムを得た。
保護膜に溶剤系接着剤を塗布して保護膜被覆構造発色フィルムをPET板に接着したところ、変形、変色等は無く、金属光沢を保持したまま接着することができた。同様に、保護膜被覆していない構造発色フィルムに溶剤系接着剤を塗布してPET板に接着したところ、接着剤に含まれている有機溶剤によって構造発色フィルムの空孔が埋められて金属光沢が消失することが観察されると共に、たわみ等の変形が観察された。
10…ミクロ相分離構造体フィルム、10a…表面(一方の主面)、10b…裏面(他方の主面)、13…ミクロ相分離構造、15,15a,15b…ミクロドメイン、17…空孔、20,30…支持体、40,50,60…保護膜、100,110,120,130…積層体。

Claims (5)

  1. 空孔が選択的に形成されたミクロドメインを有するミクロ相分離構造体フィルムであって、
    第1のポリマー鎖及び第2のポリマー鎖を有するブロック共重合体と、光重合性モノマーを光重合させて得られる光硬化性樹脂と、を含有すると共に、前記第1のポリマー鎖を含有する第1のミクロドメインと、前記第2のポリマー鎖を含有する第2のミクロドメインと、を含むミクロ相分離構造を有し、
    前記空孔が前記第2のミクロドメインよりも前記第1のミクロドメインに選択的に形成されている、ミクロ相分離構造体フィルム。
  2. 前記第1のミクロドメイン及び前記第2のミクロドメインがラメラ状である、請求項1に記載のミクロ相分離構造体フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のミクロ相分離構造体フィルムと、当該ミクロ相分離構造体フィルムの少なくとも一方の主面上に配置された支持体と、を備える、積層体。
  4. 前記支持体が、前記ミクロ相分離構造体フィルムの一方の主面上に配置された第1の支持体と、前記ミクロ相分離構造体フィルムの他方の主面上に配置された第2の支持体と、を有し、
    前記第1の支持体及び前記第2の支持体の少なくとも一方が可視光に対して透明である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記支持体及び前記ミクロ相分離構造体フィルムの間に配置された保護膜を更に備える、請求項3又は4に記載の積層体。
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