JP2005338243A - コロイド結晶積層体及びその製造方法 - Google Patents

コロイド結晶積層体及びその製造方法 Download PDF

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浩 中村
Masahiko Ishii
昌彦 石井
Hideyuki Nakano
秀之 中野
Azusa Tsukigase
あずさ 月ヶ瀬
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Abstract

【課題】複数の光学特性を示すことができ、フォトニック結晶等の光機能材料として幅広い用途で用いることができるコロイド結晶積層体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】親水性モノマーを重合させてなるマトリックス2と、マトリックス2中に配列されたコロイド粒子3とを有するコロイド結晶層41,42が複数積層された積層体4からなるコロイド結晶積層体1及びその製造方法である。コロイド粒子3は、マトリックス2中に固定化されている。積層体4を構成する各コロイド結晶層41,42において、コロイド粒子3は、マトリックス2中に略均一な距離で配置されている。積層体4においては、任意の1つのコロイド結晶層41におけるコロイド粒子3の粒子間距離は、他の少なくとも一つのコロイド結晶層42におけるコロイド粒子3の粒子間距離と異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、マトリックスと、該マトリックス中に配列されたコロイド粒子とを有するコロイド結晶層が複数積層された積層体からなるコロイド結晶積層体及びその製造方法に関する。
粒子径のばらつきが小さく、所謂単分散なコロイド粒子は、例えば該コロイド粒子を分散させた溶媒を蒸発させることにより、規則的に配列して秩序構造を形成し、コロイド結晶を形成できることが知られている。また、コロイド粒子は、これを分散させた溶媒中においても粒子間の相互作用によって規則的に配列し、コロイド結晶を形成することができる。
このようなコロイド結晶は、Bragg回折により、その格子定数に対応した波長の電磁波を反射することができる。例えば、コロイド結晶がサブミクロンオーダーの粒子径をもつコロイド粒子からなる場合には、紫外光や可視光から赤外光の範囲の波長を反射することができる。さらに可視光を反射する場合には、イリデセンス(虹彩色)を示すことが知られている。このような特徴を利用して、コロイド結晶は、特定の波長の光を透過しない光フィルターや特定の光を反射するミラー、フォトニック結晶とよばれる新規な光機能材料、又は光スイッチや光センサ等への応用が考えられている。
コロイド結晶は、これまでいくつかの公報等に開示されている。その作製方法としては、例えばシリカやポリスチレンのコロイド粒子を水分散液中で脱イオンして夾雑イオンを除去する方法等が知られている(特許文献1及び2参照)。
また、コロイド結晶の構造を制御する方法として、コロイド粒子の分散液を加熱又は冷却する方法(特許文献3参照)や、せん断流動を与える方法(特許文献4及び5参照)や、振動を与える方法(特許文献6参照)等が知られている。
また、コロイド結晶の応用例としては、2枚の透明な平板間にポリスチレン粒子からなるコロイド結晶を挟んだ構造の光フィルター(特許文献7参照)や、ポリスチレン粒子からなるコロイド結晶をポリマーでゲル化させて作製したコロイド結晶ゲル(特許文献8〜10参照)等が知られている。
コロイド結晶を光スイッチや光センサ、又はフォトニック結晶等の光機能材料等として実用化するためには、コロイド結晶の結晶構造、即ちコロイド結晶中のコロイド粒子の粒子間距離を制御することが必要である。光機能材料として幅広い用途で用いるためには、例えばBragg回折ピーク等の光学特性を複数示すことができるコロイド結晶が望まれる。
コロイド結晶の結晶構造の制御方法としては、例えばコロイド結晶を構成する上記コロイド粒子の粒子径を変化させる方法がある。
しかしながら、コロイド結晶を形成するコロイド粒子の合成法は限られており、結晶構造を制御することは困難であった。上記した従来の方法に開示されたコロイド結晶の作製方法においても、その結晶構造を自在に制御することは困難であった。
また、コロイド粒子を分散させた溶媒中で、コロイド粒子間の相互作用によってコロイド粒子を規則的に配列し、コロイド結晶を形成させた場合には、粒子濃度や塩濃度によって結晶構造を比較的容易に制御することができる。しかしながら、この場合においても1つのコロイド結晶からは、例えばBragg回折ピーク等の光学特性を1つしか得ることができない。
そのため、得られるコロイド結晶の光学特性は単調であり、光機能材料等としての応用範囲が狭いという問題があった。
特開平5−85716号公報 特開平6−100432号公報 特開平11−319539号公報 特開2002−28471号公報 特開2003−212700号公報 特開2002−128600号公報 欧州特許第0482394号明細書 米国特許第4632517号明細書 米国特許第4627689号明細書 米国特許第4451412号明細書
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の光学特性を示すことができ、フォトニック結晶等の光機能材料として幅広い用途で用いることができるコロイド結晶積層体及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、親水性モノマーを重合させてなるマトリックスと、該マトリックス中に配列されたコロイド粒子とを有するコロイド結晶層が複数積層された積層体からなり、
上記コロイド粒子は、上記マトリックス中に固定化されており、
上記積層体を構成する各コロイド結晶層において、上記コロイド粒子は、上記マトリックス中に略均一な距離で配置されており、
上記積層体においては、任意の1つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離は、他の少なくとも一つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離と異なっていることを特徴とするコロイド結晶積層体にある(請求項1)。
上記第1の発明のコロイド結晶積層体において最も注目すべき点は、コロイド結晶層が複数積層された積層体からなり、該積層体において、任意の1つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離は、他の少なくとも一つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離と異なっていることにある。
即ち、上記コロイド結晶積層体においては、少なくとも2つの上記コロイド結晶層間における上記コロイド粒子間の粒子間距離が互いに異なっている。したがって、少なくとも2つの上記コロイド結晶層においては、結晶構造が互いに異なる。そのため、上記コロイド結晶積層体においては、結晶構造の異なる上記コロイド結晶層がそれぞれ異なる光学特性を示すことができる。
それ故、上記コロイド結晶積層体は、フォトニック結晶等の光機能材料として、幅広い用途で用いることができる。
第2の発明は、モノマーを重合させてなるマトリックスと、該マトリックス中に配列されたコロイド粒子とを有するコロイド結晶層を積層し、該コロイド結晶層の積層体からなるコロイド結晶積層体を製造する方法であって、
親水性溶媒中に親水性モノマーを5〜30重量%含む低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド粒子を規則的に配列させる第1結晶化工程と、
該第1結晶化工程後に、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定化し、コロイド結晶層を作製する第1ゲル化工程と、
上記第1結晶化工程とは異なる濃度、又は/及び異なる粒子径の上記コロイド粒子を含有する上記低濃度モノマー溶液中に、上記コロイド結晶層を浸漬し、該低濃度モノマー溶液中において、上記コロイド結晶層上に上記コロイド粒子を規則的に配列させる第2結晶化工程と、
上記第2結晶化工程後の上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、上記コロイド結晶層上に規則的に配列された上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化し、上記コロイド結晶層の上記積層体を作製する第2ゲル化工程とを有することを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法にある(請求項6)。
上記第2の発明のコロイド結晶の製造方法は、上記第1結晶化工程と、上記第1ゲル化工程と、上記第2結晶化工程と、上記第2ゲル化工程とを有する。
上記第1結晶化工程においては、親水性溶媒中に親水性モノマーを5〜30重量%含む低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド粒子を規則的に配列させる。
上記のごとく、上記第1結晶化工程においては、特定の濃度の上記低濃度モノマー溶液を用いている。そのため、上記低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド粒子は、粒子間の相互作用により規則的に配列することが容易にできる。
上記第1ゲル化工程においては、上記1結晶化工程後に、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定化し、コロイド結晶層を作製する。
上記のごとく、上記第1ゲル化工程においては、上記低濃度モノマー溶液中に上記特定の濃度で含まれる上記親水性モノマーを重合させている。そのため、上記第1結晶化工程において形成された上記コロイド粒子の規則的な配列、即ち結晶構造を維持しつつ、上記ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定することができる。
上記第2結晶化工程においては、上記第1結晶化工程とは異なる濃度、又は/及び異なる粒子径の上記コロイド粒子を含有する上記低濃度モノマー溶液中に、上記コロイド結晶層を浸漬し、該低濃度モノマー溶液中において、上記コロイド結晶層上に上記コロイド粒子を規則的に配列させる。
上記のごとく、上記第2結晶化工程においては、上記第1結晶化工程と同様に特定の濃度の上記低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド結晶層上に上記コロイド粒子を規則的に配列させている。そのため、粒子間の相互作用により、上記コロイド結晶層上に上記コロイド粒子を規則的に配列させることが容易にできる。
また、上記第2結晶化工程において、上記低濃度モノマー溶液は、上記第1結晶化工程とは異なる濃度、又は/及び異なる粒子径の上記コロイド粒子を含有する。そのため、上記第2結晶化工程においては、上記第1結晶化工程とは異なる粒子間距離で、上記コロイド粒子を規則的に配列させることができる。
上記第2ゲル化工程においては、上記第2結晶化工程後の上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、上記コロイド結晶層上に規則的に配列された上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化し、上記コロイド結晶層の上記積層体を作製する。
上記のごとく、上記第2ゲル化工程においては、上記コロイド結晶層上に規則的に配列された上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化している。そのため、上記第2結晶化工程において形成された上記コロイド粒子の規則的な配列、即ち結晶構造を維持しつつ、上記ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定することができる。
このようにして、上記第2の発明によれば、互いに異なる粒子間距離で上記コロイド粒子が上記マトリックス中に配列された上記コロイド結晶層の積層体からなるコロイド結晶積層体を得ることができる。
上記第2の発明の製造方法によって得られる上記コロイド結晶積層体においては、異なる2つの上記コロイド結晶層間におけるコロイド粒子の粒子間距離が異なっている。即ち、異なる2つの上記コロイド結晶層は、結晶構造が互いに異なる。そのため、上記コロイド結晶積層体においては、結晶構造の異なる上記コロイド結晶層がそれぞれ異なる光学特性を示すことができる。
それ故、上記コロイド結晶積層体は、フォトニック結晶等の光機能材料として、幅広い用途で用いることができる。
次に、本発明の実施の形態例について説明する。
本発明において、上記コロイド粒子としては、例えばポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリマー粒子や、シリカ粒子等の単分散な粒子を用いることができる。
具体的には、ポリマー粒子としては、エマルション重合により合成されたポリスチレン粒子や、ポリメタクリル酸メチル粒子等がある(例えば、ダウケミカル社、ポリサイエンス社、日本合成ゴム社、及び積水化学社等の各社から製造されているものがある)。
また、シリカ粒子としては、例えばストーバー法により合成されたものがある(例えば日本触媒社や触媒化成社等の各社から製造されているものがある)。
また、上記コロイド粒子としては、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリカ等からなるテンプレート粒子に、層状化合物を剥離して得られるナノシートをコートした二層構造の粒子を用いることができる。また、二層構造の粒子からテンプレート粒子を除去した中空粒子を用いることもできる。
上記層状化合物としては、例えば粘土鉱物のモンモリロナイト等のケイ酸塩や、チタン酸塩、リン酸塩、ニオブ酸塩、バナジウム酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩等のイソ及びポリへテロ酸塩のイオン交換性層状化合物や、グラファイト、遷移金属ジカルコゲン化物、二価金属リンカルコゲン化物等の分子性層状化合物等がある。これらの層状化合物は、水などの分散媒中で塩酸や硝酸等で酸処理を施すことにより、一層ごとの薄膜状のナノシートに剥離させ、分散媒中にコロイド状に分散させることができる。このナノシート層は、例えばレイヤーバイレイヤー法等によりテンプレート粒子にコーティングすることができる。
また、二層構造の粒子からテンプレート粒子を除去する方法としては、例えばテンプレート粒子がシリカよりなる場合には、二層構造の粒子を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱する方法や、フッ化水素酸水溶液中でエッチングする方法等がある。また、テンプレート粒子がポリスチレン又はポリメタクリル酸メチルからなる場合には、テトラヒドロフラン等の極性溶媒を水で希釈した溶媒中でテンプレート粒子を簡単に除去することができる。
上記コロイド粒子は、粒子径が0.01〜10μmであることが好ましい(請求項2、請求項13)。
粒子径が0.01μm未満の場合には、上記コロイド結晶積層体の作製時において、上記コロイド粒子間の相互作用を制御することが困難になり、上記コロイド粒子を規則的に配列させることが困難になるおそれがある。一方、10μmを超える場合には、上記コロイド結晶の作製時において、液体中で上記コロイド粒子を規則的に配列させる場合等に、上記コロイド粒子の沈降等の影響を受けやすく、上記コロイド粒子を規則的に配列させることが困難になるおそれがある。
上記コロイド粒子は、その粒子径のばらつきが10%以下であることが好ましい(請求項3、請求項14)
上記コロイド粒子の粒子径のばらつきが10%を超える場合には、上記コロイド結晶積層体の作製時に、上記コロイド粒子を規則的に配列させることが困難になるおそれがある。その結果、上記コロイド結晶層の結晶化が困難になるおそれがある。
また、上記マトリックスは、上記親水性モノマーを重合させてなる。上記親水性モノマーは、水又は水に溶解する溶媒中に溶解するモノマーである。
上記親水性モノマーとしては、例えばアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等がある。
また、上記第1の発明において、上記マトリックスは、95重量%以下の水分を含んでいることが好ましい(請求項4)。
上記マトリックスの水分量が95重量%を超える場合には、上記マトリックスが上記コロイド粒子を充分に保持することが困難になるおそれがある。その結果、上記コロイド結晶積層体の強度が不充分になり、水分が蒸発することにより、結晶構造が壊れたり、歪みが生じたりし易くなるおそれがある。より好ましくは、上記マトリックスの水分量は、40重量%以下がよい。
また、上記マトリックスは、ゲル状であることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記コロイド結晶積層体の製造時に、上記マトリックス中に上記コロイド粒子を固定させることが容易になる。即ち、比較的簡単に上記コロイド結晶積層体を作製することができる。
次に、上記第2の発明(請求項6)においては、上記第1結晶化工程と、上記第1ゲル化工程と、上記第2結晶化工程と、上記第2ゲル化工程とを行う。
上記第1結晶化工程及び上記第2結晶化工程においては、上記低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド粒子を規則的に配列させる。
上記低濃度モノマー溶液は、親水性溶媒中に親水性モノマーを5〜30重量%含有している。親水性モノマーが5重量%未満の場合には、後述の第1ゲル化工程や第2ゲル化工程において、上記親水性モノマーを重合させて得られるゲル状のマトリックスの水分量が多くなりすぎて、上記コロイド結晶積層体の結晶構造が壊れ易くなるおそれがある。その結果、第1ゲル化工程後における上記コロイド結晶層や、第2ゲル化工程後におけるコロイド結晶積層体の取り扱いが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記第2ゲル化工程後に得られる上記コロイド結晶積層体の水分量が多くなり、上記コロイド結晶積層体の強度が不充分になり、水分が蒸発することにより、結晶構造が壊れたり、歪みが生じたりし易くなるおそれがある。一方、30重量%を超える場合には、上記低濃度モノマー溶液中で上記コロイド粒子を規則的に配列させることができなくなるおそれがある。また、この場合には、上記第1ゲル化工程及び第2ゲル化工程において上記親水性モノマーを重合させたときに、それぞれ上記第1結晶化工程及び上記第2結晶化工程において形成したコロイド粒子の配列が壊れてしまうおそれがある。
より好ましくは、上記低濃度モノマー溶液中の上記親水性モノマーの濃度は5〜15重量%がよい。
また、上記第1結晶化工程及び第2結晶化工程においては、上記低濃度モノマー溶液中に上記コロイド粒子を分散させ、溶液中における粒子間の相互作用で配列させることができる。
この場合には、コロイド粒子が配列して結晶構造を形成するときに、その結晶構造(格子定数、結晶型)を粒子間の相互作用によって制御することができる。
特に、粒子間の静電相互作用によって規則的に配列させる場合には、上記親水性溶媒中の低分子イオンを例えばイオン交換樹脂や透析などによって取り除いておくことが好ましい。この場合には、上記親水性溶媒中の上記コロイド粒子の表面に形成される電気二重層が厚くなり、粒子間の相互作用を強くすることができる。その結果、上記コロイド粒子が上記低濃度モノマー溶液中で規則的な配列を形成し易くなる。
上記低濃度モノマー溶液における上記親水性溶媒としては、水、又は水に溶解する溶媒と水との混合溶媒等を用いることができる。水に溶解する溶媒としては、具体的には例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)等のエーテル類、ケトン類、エステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等がある。
また、上記親水性モノマーは、水又は水に溶解する溶媒中に溶解するものである。例えばアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、上記親水性モノマーとしてポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート等のエチレングリコール鎖を有するものを用いる場合には、より親水性が高いものが好ましいため、エチレングリコール鎖長が3以上のものがよい。より好ましくは、エチレングリコールの鎖長が5以上のものがよい。
また、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーは、分子量が200以上であることが好ましい(請求項7)。
上記低濃度モノマー溶液中の上記親水性モノマーの分子量が200未満の場合には、上記第1結晶化工程及び第2結晶化工程における上記コロイド粒子の規則的な配列が乱されてしまうおそれがある。より好ましくは、400以上がよい。
また、上記第2結晶化工程において、上記低濃度モノマー溶液中に、上記コロイド結晶層を浸漬する具体的な方法としては、例えばガラスなどのセル中に、上記コロイド結晶層と上記低濃度モノマー溶液とを入れて浸漬する方法や、上記コロイド結晶層上に、上記低濃度モノマー溶液を塗布する方法等がある。
次に、上記第1ゲル化工程及び第2ゲル化工程においては、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させ、ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定化させる。
上記親水性モノマーを重合させる方法としては、光重合や加熱による重合等がある。
また、上記第1ゲル化工程及び第2ゲル化工程後に得られるゲル状の上記マトリックスは、60重量%〜95重量%の水分を含んでいることが好ましい。
上記マトリックスの水分量が60重量%未満の場合には、上記第1ゲル化工程及び上記第2ゲル化工程において上記コロイド粒子を固定化した際に、それぞれ上記第1結晶化工程及び第2結晶化工程において形成した上記コロイド粒子の規則的な配列が乱されてしまうおそれがある。その結果、所望の結晶構造を有するコロイド結晶層を得ることが困難になるおそれがある。一方、95重量%を超える場合には、上記マトリックスの水分が多すぎて上記コロイド結晶層の取り扱いが困難になるおそれがある。
また、上記第2ゲル化工程後に、上記コロイド粒子を含有する上記低濃度モノマー溶中に、上記積層体を浸漬し、該積層体上に上記コロイド粒子を規則的に配列させる連続結晶化工程と、
該連続結晶化工程後の上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、上記積層体上に規則的に配列され上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化する連続ゲル化工程とを交互に少なくとも1回以上行うことが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記コロイド結晶層が3層以上積層されたコロイド結晶積層体を得ることができる。
このとき、各コロイド結晶層の作製に用いる上記低濃度モノマー溶液中の上記コロイド粒子の濃度又は/及び粒子径を各コロイド結晶層毎に変えることにより、さらに複数の光学特性を示すコロイド結晶積層体を作製することができる。
上記連続結晶化工程において、上記低濃度モノマー溶中に、上記積層体を浸漬する具体的な方法としては、例えばガラスなどのセル中に、上記積層体と上記低濃度モノマー溶液とを入れて浸漬する方法や、上記積層体上に、上記低濃度モノマー溶液を塗布する方法等がある。
また、上記第2ゲル化工程又は上記連続ゲル化工程後の上記積層体を、親水性溶媒中に親水性モノマーを50重量%以上含む高濃度モノマー溶液に浸漬する高濃度モノマー置換工程と、
上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させる硬化工程とを行うことが好ましい(請求項9)
この場合には、上記コロイド結晶積層体の強度をより向上させることができる。
即ち、上記高濃度モノマー置換工程において、上記積層体を上記高濃度モノマー溶液に浸漬すると、上記コロイド結晶積層体のゲル状のマトリックス中に、上記親水性モノマーが高濃度で含浸される。その後、上記硬化工程において、ゲル状のマトリックス中に高濃度で含浸された上記親水性モノマーを重合させると、ゲル状のマトリックスよりも水分量の少ない新たなマトリックスを形成することができる。このとき、各コロイド結晶層におけるコロイド粒子はゲル状のマトリックス中にすでに固定化されているため、その規則的な配列はほとんど損なわれることがない。また、上記硬化工程において形成した新たなマトリックスは、水分量がより少ないため、より高い強度で上記コロイド結晶積層体の構造を保持できる。
上記高濃度モノマー溶液中の上記親水性モノマーの濃度が50重量%未満の場合には、上記コロイド結晶積層体の強度を充分に向上させることができないおそれがある。
また、上記高濃度モノマー溶液における上記親水性溶媒及び上記親水性モノマーとしては、上記低濃度モノマー溶液と同様のものを用いることができる。
また、上記高濃度モノマー置換工程においては、記第2ゲル化工程又は上記連続ゲル化工程後の上記積層体を乾燥又は凍結乾燥させてから上記高濃度モノマー溶液に浸漬することができる。この場合には、上記高濃度モノマー溶液を上記積層体のマトリックス中に充分に含浸させることができる。その結果、得られる上記コロイド結晶積層体における強度の偏りが少なくなり、より強度に優れたコロイド結晶積層体を得ることができる。また、乾燥せずにそのまま浸漬することもできる。
上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーは、分子量が600以下であることが好ましい(請求項10)。
上記高濃度モノマー溶液中の上記親水性モノマーの分子量が600を超える場合には、上記高濃度モノマー置換工程において、上記コロイド結晶積層体のゲル状のマトリックス中に上記親水性モノマーを充分に含浸させることができないおそれがある。より好ましくは、400以下がよい。
上記硬化工程において、上記親水性モノマーを重合させる方法としては、光重合や加熱による重合等がある。
また、上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させた後に残存する溶媒を、さらに上記高濃度モノマー溶液で置換する連続置換工程と、該連続置換工程において置換した上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させる連続硬化工程とを行うことが好ましい。この場合には、上記コロイド結晶積層体の強度をさらに高めることができる。
また、上記連続置換工程と上記連続硬化工程とを繰り返し行うことができる。
この場合には、上記コロイド結晶積層体の強度をさらに一層高めることができる。
また、上記連続置換工程と上記連続硬化工程とを繰り返す毎に、上記高濃度モノマー溶液の濃度をより高くすることができる。
この場合には、上記連続置換工程と上記連続硬化工程とを繰り返す毎に、上記コロイド結晶積層体の強度を緩やかに高めることができる。そのため、上記第1結晶化工程及び上記第2結晶化工程において形成した上記コロイド粒子の規則的な配列をほとんど損ねることなく、上記コロイド結晶積層体の強度を高めることができる。その結果、所望の結晶構造を有すると共に、強度に優れたコロイド結晶積層体を作製することができる。
また、上記固定化工程、又は上記連続固定化工程後に得られる上記コロイド結晶積層体は、上記マトリックス中に40重量%以下の水分を含んでいることが好ましい(請求項11)。
水分量が40重量%を超える場合には、上記コロイド結晶積層体の強度が不充分なものになるおそれがある。
また、上記親水性モノマーは、光重合により重合させることが好ましい(請求項12)。
この場合には、上記第1結晶化工程及び第2結晶化工程において上記低濃度モノマー溶液中で形成した上記コロイド粒子の規則的な配列をほとんど損ねることなく、上記コロイド結晶積層体を作製することができる。そのため、この場合には、所望の格子定数や結晶型等の結晶構造を有するコロイド結晶積層体を作製することができる。
光重合は、上記低濃度モノマー溶液や上記高濃度モノマー溶液に光開始剤を添加し、光を照射することにより行うことができる。光開始剤としては、例えばベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、アントラキノン、チオキサン、ケタール、及びアセトフェノン等のカルボニル化合物、ジスルフィド及びジチオカーバメート等の硫黄化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、アゾ化合物、遷移金属錯体、ポリシラン化合物、色素増感剤等がある。
(実施例1)
次に、本発明の実施例にかかるコロイド結晶積層体につき、図1〜図6を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例のコロイド結晶積層体1は、親水性モノマーを重合させてなるマトリックス2と、このマトリックス2中に配列されたコロイド粒子3とを有するコロイド結晶層41,42が2層積層された積層体4からなる。コロイド粒子3は、マトリックス2中に固定化されている。積層体4を構成する各コロイド結晶層41,42において、コロイド粒子3は、マトリックス2中に略均一な距離で配置されている。積層体4においては、一方のコロイド結晶層41におけるコロイド粒子3の粒子間距離が、他方のコロイド結晶層42におけるコロイド粒子3の粒子間距離と異なっている。
本例において、コロイド粒子3は、二酸化珪素(シリカ、SiO2)の粒子である。マトリックス2は、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレートモノマー及びポリエチレングリコールジアクリレートモノマーを重合したものである。
本例のコロイド結晶積層体1の製造方法においては、下記の第1結晶化工程と、第1ゲル化工程と、第2結晶化工程と、第2ゲル化工程とを行う。
第1結晶化工程においては、図3に示すごとく、水等の親水性溶媒中に親水性モノマー251を10重量%含む低濃度モノマー溶液25中でコロイド粒子3を規則的に配列させる。
また、第1ゲル化工程においては、低濃度モノマー溶液25中に含まれる親水性モノマー251を重合させることにより、図4に示すごとく、ゲル状のマトリックス2中にコロイド粒子3を固定化し、コロイド結晶層41を作製する。
次に、第2結晶化工程においては、図5に示すごとく、第1結晶化工程とは異なる濃度でコロイド粒子3を含有する低濃度モノマー溶液25中に、コロイド結晶層41を浸漬し、低濃度モノマー溶液25中において、コロイド結晶層41上にコロイド粒子3を規則的に配列させる。
また、第2ゲル化工程においては、低濃度モノマー溶液25中に含まれる親水性モノマー251を重合させることにより、図1に示すごとくコロイド結晶層41上に規則的に配列されたコロイド粒子3をゲル状のマトリックス2中に固定化し、コロイド結晶層41上にコロイド結晶層42を形成する。このようにして、図1に示すごとく、2つのコロイド結晶層41及び42の積層体4からなるコロイド結晶積層体1を作製する。
以下、本例のコロイド結晶の製造方法につき、詳細に説明する。
まず、図2に示すごとく、コロイド粒子3としての二酸化珪素(シリカ)粒子を水に分散させた水分散液30(触媒化成社製のカタロイドSI−80P)を準備した。この水分散液30にイオン交換樹脂を共存させて約1週間撹拌し、分散媒中に存在する低分子イオンを除去した。
次に、親水性溶媒としてのイオン交換水と、親水性モノマーとしてのメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートモノマ(新中村化学社製 NKエステルAM−90G、エチレングリコールの鎖長9、分子量482)及びポリエチレングリコールジアクリレートモノマ(新中村化学社製 NKエステルA600、エチレングリコールの鎖長9、分子量506)とからなる低濃度モノマー溶液を準備した。
図2及び図3に示すごとく、ガラスセル101中で、シリカ粒子3を分散させた水分散液30に低濃度モノマー溶液25を混合し、シリカ粒子3の濃度が15重量%、親水性モノマー251(メトキシポリエチレングリコールモノアクリレートモノマ及びポリエチレングリコールジアクリレートモノマ)の濃度が10重量%になるように調整した。さらに、光硬化剤(チバスペシャリティケミカル社製 Darocure1173)を添加し、約1時間静置して、図3に示すごとく、コロイド粒子3を低濃度モノマー溶液25中で規則的に配列させた(第1結晶化工程)。
次に、低濃度モノマー溶液25に紫外光を10分間照射し、低濃度モノマー溶液25中に含まれる親水性モノマー251を重合させた。これにより、親水性モノマー251がゲル状のマトリックスを形成し、図4に示すごとく、ゲル状のマトリックス2中にコロイド粒子3が固定化された厚み0.5mのコロイド結晶層41を作製した(第1ゲル化工程)。
次いで、図5に示すごとく、第1ゲル化工程において用いたガラスセル101よりも厚みの大きなガラスセル102を準備し、このガラスセル102中にコロイド結晶層41を入れた。次いで、上記と同様の低濃度モノマー溶液25にシリカ粒子の水分散液を混合してシリカ粒子3の濃度が20重量%、親水性モノマー251の濃度が10重量%となるように調整した。さらに低濃度モノマー溶液25には、上記と同様の光硬化剤を添加した。このシリカ粒子3が分散された低濃度モノマー溶液25をガラスセル102中のコロイド結晶層41上に積層し、約1時間静置し、図5に示すごとく、低濃度モノマー溶液25中で、コロイド粒子3をコロイド結晶層41上に規則的に配列させた(第2結晶化工程)。
その後、紫外光を10分間照射し、親水性モノマー251を重合させることにより、図1に示すごとく、コロイド結晶層41上に規則的に配列されたコロイド粒子3をゲル状のマトリックス2中に固定化し、厚み0.5mmの新たなコロイド結晶層42を形成した。このようにして、2つのコロイド結晶層41,42の積層体4からなるコロイド結晶積層体1を得た(第2ゲル化工程)。これを試料E1とする。
次に、上記試料E1について、その反射スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。また、試料E1は、反射スペクトルの測定において、表面が赤紫色〜青色に反射するものであった。
図1に示すごとく、試料E1のコロイド結晶積層体1は、コロイド結晶層41,42が2層積層された積層体4からなる。上述のごとく、2つのコロイド結晶層41,42の作製にあたっては、コロイド粒子3の濃度を各コロイド結晶層41,42で変更した。そのため、コロイド結晶積層体1は、一方のコロイド結晶層41におけるコロイド粒子3の粒子間距離が、他方のコロイド結晶層42におけるコロイド粒子3の粒子間距離と異なっている。そのため、コロイド結晶積層体1においては、結晶構造の異なる2つのコロイド結晶層がそれぞれ異なる光学特性を示すことができる。即ち、図1に示すごとく、試料E1のコロイド結晶積層体1においては、例えば入射光(矢印A)を、コロイド結晶層41とコロイド結晶層42とが、それぞれ異なる反射光(矢印a1及び矢印a2)で反射することができる。
実際に図6から知られるごとく、試料E1のコロイド結晶積層体1は、明瞭な2つの反射ピークを示した。即ち、試料E1においては、図1に示すごとく、異なるの格子面間距離を有する2種類のコロイド結晶層41,42が、それぞれのBragg回折に由来するピークを示すことがわかる。
このように、試料E1は、各コロイド結晶層が複数の異なる光学特性を示すことができる。それ故、試料E1のコロイド結晶積層体は、フォトニック結晶等の光機能材料として、幅広い用途で用いることができる。
(実施例2)
本例は、上記実施例1とは、コロイド粒子の濃度を変えてコロイド結晶積層体を作製した例である。
まず、実施例1と同様に、コロイド粒子としての二酸化珪素(シリカ)粒子を水に分散させた水分散液(触媒化成社製のカタロイドSI−80P)を準備し、分散媒中に存在する低分子イオンを除去した。
次に、実施例1と同様の低濃度モノマー溶液を準備し、この低濃度モノマー溶液を、シリカ粒子を分散させた水分散液に混合し、シリカ粒子の濃度が10重量%、モノマー濃度が10重量%になるように調整した。さらに、実施例1と同様にして光硬化剤を添加し、約1時間静置して、コロイド粒子を低濃度モノマー溶液中で規則的に配列させた(第1結晶化工程)。
次に、実施例1と同様にして第1ゲル化工程を行い、低濃度モノマー溶液中に含まれる親水性モノマーを重合させた。これにより、ゲル状のマトリックス中にコロイド粒子が固定された厚み0.5mmコロイド結晶層を作製した。
次いで、上記と同様の低濃度モノマー溶液にシリカ粒子の水分散液を混合してシリカ粒子の濃度が15重量%、親水性モノマーの濃度が10重量%となるように調整した。さらに上記と同様の光硬化剤を添加した。このシリカ粒子が分散された低濃度モノマー溶液を、実施例1と同様にしてガラスセル中のコロイド結晶層上に積層し、コロイド粒子をコロイド結晶層上に規則的に配列させた(第2結晶化工程)。
その後、実施例1と同様にして第2ゲル化工程を行い、コロイド結晶層上に規則的に配列されたコロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化し、厚み0.5mの新たなコロイド結晶層を積層させた。このようにして、2つのコロイド結晶層の積層体からなるコロイド結晶積層体を得た。これを試料E2とする。
次に、試料E2について、実施例1と同様にして反射スペクトルを測定した。その結果を図7に示す。試料E2は、上記試料E1と同様に、反射スペクトルの測定において、表面が赤紫色〜青色に反射するものであった。
図7より知られるごとく、本例において作製した試料E2のコロイド結晶は、実施例1と同様に、明瞭な2つの反射ピークを示した。即ち、試料E2においても、試料E1と同様に、異なるの格子面間距離を有する2種類のコロイド結晶層が、それぞれのBragg回折に由来するピークを示すことがわかる。
このように、試料E2は、各コロイド結晶層が複数の異なる光学特性を示すことができる。
(比較例)
本例は、上記試料E1及び試料E2のコロイド結晶積層体の優れた特徴を明らかにするため、比較用として単層からなるコロイド結晶を作製する例である。
まず、実施例1と同様に、コロイド粒子としての二酸化珪素(シリカ)粒子を水に分散させた水分散液(SI−80P)を準備し、分散媒中に存在する低分子イオンを除去した。
次に、イオン交換水にアクリルアミドモノマー(AM−90G)及びメチレンビスアクリルアミドモノマー(A600)を含有するモノマー溶液を準備した。
このモノマー溶液を、シリカ粒子を分散させた水分散液に混合し、シリカ粒子の濃度が20重量%、モノマー(アクリルアミドモノマー及びメチレンビスアクリルアミドモノマー)濃度が10重量%になるように調整した。さらに、光硬化剤(Darocure1173)を添加し、約1時間静置して、コロイド粒子を規則的に配列させ、モノマー溶液中でコロイド結晶を形成させた。
次に、コロイド結晶を形成したモノマー溶液に紫外光を10分間照射し、モノマー溶液中に含まれる親水性モノマーを重合させた。これにより、親水性モノマーがゲル状のマトリックスを形成し、ゲル状のマトリックス中にコロイド粒子が配列されたコロイド結晶を作製した。これを試料C1とする。
次に、試料C1について、実施例1と同様にして反射スペクトルを測定した。その結果を図8に示す。試料C1は、反射スペクトルの測定において、表面が青色に反射するものであった。
図8より知られるごとく、試料C1は、明瞭な反射ピークを1つだけ示した。即ち、試料C1においては、特定の格子面間距離を有する1種類のコロイド結晶が、そのBragg回折に由来するピークだけを示すことがわかる。
実施例1にかかる、コロイド結晶積層体の構成を示す説明図。 実施例1にかかる、コロイド粒子を水に分散させた状態を示す説明図。 実施例1にかかる、第1結晶化工程において、低濃度モノマー溶液中でコロイド粒子を規則的に配列させた様子を示す説明図。 実施例1にかかる、ゲル状のマトリックス中にコロイド粒子が固定化されてなるコロイド結晶層を示す説明図。 実施例1にかかる、第2結晶化工程において、低濃度モノマー中でコロイド結晶層上にコロイド粒子を規則的に配列させた様子を示す説明図。 実施例1にかかる、コロイド結晶積層体(試料E1)の反射スペクトルを示す線図。 実施例2にかかる、コロイド結晶積層体(試料E2)の反射スペクトルを示す線図。 比較例にかかる、コロイド結晶(試料C1)の反射スペクトルを示す説明図。
符号の説明
1 コロイド結晶積層体
2 マトリックス
3 コロイド粒子
4 積層体
41、42 コロイド結晶層

Claims (14)

  1. 親水性モノマーを重合させてなるマトリックスと、該マトリックス中に配列されたコロイド粒子とを有するコロイド結晶層が複数積層された積層体からなり、
    上記コロイド粒子は、上記マトリックス中に固定化されており、
    上記積層体を構成する各コロイド結晶層において、上記コロイド粒子は、上記マトリックス中に略均一な距離で配置されており、
    上記積層体においては、任意の1つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離は、他の少なくとも一つのコロイド結晶層における上記コロイド粒子の粒子間距離と異なっていることを特徴とするコロイド結晶積層体。
  2. 請求項1において、上記コロイド粒子は、粒子径が0.01〜10μmであることを特徴とするコロイド結晶積層体。
  3. 請求項1又は2において、上記コロイド粒子は、その粒子径のばらつきが10%以下であることを特徴とするコロイド結晶積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記マトリックスは、95重量%以下の水分を含んでいることを特徴とするコロイド結晶積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記マトリックスは、ゲル状であることを特徴とするコロイド結晶積層体。
  6. モノマーを重合させてなるマトリックスと、該マトリックス中に配列されたコロイド粒子とを有するコロイド結晶層を積層し、該コロイド結晶層の積層体からなるコロイド結晶積層体を製造する方法であって、
    親水性溶媒中に親水性モノマーを5〜30重量%含む低濃度モノマー溶液中で、上記コロイド粒子を規則的に配列させる第1結晶化工程と、
    該第1結晶化工程後に、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、ゲル状のマトリックス中に上記コロイド粒子を固定化し、コロイド結晶層を作製する第1ゲル化工程と、
    上記第1結晶化工程とは異なる濃度、又は/及び異なる粒子径の上記コロイド粒子を含有する上記低濃度モノマー溶液中に、上記コロイド結晶層を浸漬し、該低濃度モノマー溶液中において、上記コロイド結晶層上に上記コロイド粒子を規則的に配列させる第2結晶化工程と、
    上記第2結晶化工程後の上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、上記コロイド結晶層上に規則的に配列された上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化し、上記コロイド結晶層の上記積層体を作製する第2ゲル化工程とを有することを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  7. 請求項6において、上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーは、分子量が200以上であることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  8. 請求項6又は7において、上記第2ゲル化工程後に、上記コロイド粒子を含有する上記低濃度モノマー溶中に、上記積層体を浸漬し、該積層体上に上記コロイド粒子を規則的に配列させる連続結晶化工程と、
    該連続結晶化工程後の上記低濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させることにより、上記積層体上に規則的に配列され上記コロイド粒子をゲル状のマトリックス中に固定化する連続ゲル化工程とを交互に少なくとも1回以上行うことを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項において、上記第2ゲル化工程又は上記連続ゲル化工程後の上記積層体を、親水性溶媒中に親水性モノマーを50重量%以上含む高濃度モノマー溶液に浸漬する高濃度モノマー置換工程と、
    上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーを重合させる硬化工程とを有することを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  10. 請求項9において、上記高濃度モノマー溶液中に含まれる上記親水性モノマーは、分子量が600以下であることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  11. 請求項9又は10において、上記硬化工程後に得られる上記コロイド結晶積層体は、上記マトリックス中に40重量%以下の水分を含んでいることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法
  12. 請求項6〜11のいずれか一項において、上記親水性モノマーは、光重合により重合させることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  13. 請求項6〜12のいずれか一項において、上記コロイド粒子は、粒子径が0.01μm〜10μmであることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
  14. 請求項6〜13のいずれか一項において、上記コロイド粒子は、その粒子径のばらつきが10%以下であることを特徴とするコロイド結晶積層体の製造方法。
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