以下では、本発明の実施の形態に係る照明装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。従って、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行又は直交などの要素間の関係性を示す用語及び正方形又は長方形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
(実施の形態1)
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置1の構成について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、本実施の形態に係る照明装置1の構成を示す断面図である。図1Bは、本実施の形態に係る照明装置1が備える光学フィルタ50の構成を示す断面図である。また、図1Aに示される白抜きの矢印及び網掛が付された矢印は、光の進行方向を示す。
図1Aに示すように、照明装置1は、出力光L5を放つ。照明装置1は、光源10と、光学フィルタ50と、筐体70と、透光部材80とを備える。本実施の形態に係る照明装置1は、出力光L5により周囲を照らす照明器具である。
なお、各図において、筐体70の底面と平行な面がxy平面であって、x軸方向及びy軸方向は互いに直交する方向である。また、z軸方向は、x軸及びy軸に対し垂直な方向である。
ここで、照明装置1が備える要素について、順に説明する。はじめに、筐体70について、図1Aを用いて説明する。
筐体70は、光源10、光学フィルタ50及び透光部材80を収容する部材である。本実施の形態に係る筐体70は、有底円筒形状である。筐体70の底面に正対して、開口部が設けられている。本実施の形態に係る筐体70は、樹脂製又は金属製のケースである。筐体70の内部空間は、光源10、光学フィルタ50及び透光部材80を収容する閉塞空間である。また、光源10は、筐体70の底面に取り付けられている。透光部材80は、開口部に取り付けられている。また、光学フィルタ50は、筐体70の底面と正対して取り付けられている。さらに、光学フィルタ50は、筐体70において、光源10と透光部材80との間に取り付けられている。また、光学フィルタ50は、筐体70の底面と正対して取り付けられている。よって、本実施の形態においては、光源10、光学フィルタ50及び透光部材80は、この順で、z軸正方向に向かって並んでいる。このため、光源10が放つ入射光L1は、光学フィルタ50と透光部材80とを介して、筐体70から外部空間へと放出される。また、図1Aに示されるように、外部空間に放たれた光は、照明装置1が放つ出力光L5である。
次に、光源10について説明する。
光源10は、光学フィルタ50が有する透過反射膜層52に入射する入射光L1を放つ。具体的には、光源10は、光源基板11、発光素子12及び波長変換層13を有する。
光源基板11は、光源10が実装される基板であり、光源10に電力を供給するための金属配線を有している。
発光素子12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。本実施の形態では、発光素子12は、例えば青色光を発光する青色LEDである。なお、発光素子12としては、LED以外にもレーザーダイオードを用いることが可能である。
波長変換層13は、発光素子12が放つ光の波長を変換する層である。波長変換層13は、具体的には、波長変換材として黄色蛍光体粒子を含んだ透光性樹脂材料で構成される。また、波長変換層13は、発光素子12を封止する封止層であってもよい。透光性樹脂材料としては、例えば、シリコーン系樹脂が用いられるが、エポキシ系樹脂又はユリア系樹脂などが用いられてもよい。また、黄色蛍光体粒子には、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)系の蛍光体粒子が採用される。
この構成により、発光素子12が発した青色光の一部は、波長変換層13に含まれる黄色蛍光体粒子によって黄色光に波長変換される。そして、黄色蛍光体粒子に吸収されなかった青色光と、黄色蛍光体粒子によって波長変換された黄色光とは、波長変換層13中で拡散及び混合される。これにより、波長変換層13からは、白色の光が拡散光として放たれる。すなわち、本実施の形態に係る光源10は、透過反射膜層52に、白色光である入射光L1を放つ。また、本実施の形態に係る光源10は、相関色温度が2700Kの白色光を放つ。
上述の通り、本実施の形態に係る光源10は、開口部から離れた筐体70の底面に取り付けられている。すなわち、光源10は、光源基板11の発光素子12が形成されていない面と、筐体70の底面とが接するように設けられる。このような構成とすることで、光源10は、筐体70の底面から筐体70の開口部(z軸正方向)に向けて、光を放つことができる。光源10から放たれた光は、入射光L1となり、透過反射膜層52を有する光学フィルタ50へ到達する。
続いて、光学フィルタ50について説明する。
光学フィルタ50は、基板51と、透過反射膜層52とを有する。
基板51は、透過反射膜層52を支持する支持基板として利用される。また、本実施の形態においては、種々の光が基板51を透過するため、基板51は、高い透光性を有していることが好ましい。例えば、基板51の可視光透過率は80%以上100%以下であることが好ましく、85%以上100%以下であることがより好ましい。
基板51は、例えばソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス及び無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板を使用することができる。また、ポリカーボネート、アクリル系樹脂及びポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板も使用することができる。さらに、基板51は、ガラス板及び樹脂板のような硬質な材料に加え、フィルムのような柔軟性のある材料を利用することもできる。本実施の形態に係る基板51は、アクリル基板である。
また、例えば、基板51は、例えば、樹脂フィルムなどであってもよい。樹脂フィルムの材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)及びPVAc(ポリ酢酸ビニル)などを用いることができる。基板51の大きさ及び形状は、特に限定されない。基板51は、使用目的及び使用環境などに応じて適切な大きさ及び形状を有する。本実施の形態においては、基板51は、円板形状であって、基板51の円周部分が筐体70に保持されている。
さらに、透過反射膜層52には、光源10が放つ入射光L1が入射される。入射光L1は、透過反射膜層52を介して、透過反射膜層52が反射する反射光L3と透過反射膜層52透過する透過光L2とに変換される。すなわち、透過反射膜層52は、反射光L3の波長領域の光を反射し、透過反射膜層52は、反射光L3の波長領域以外の光を透過させる。このとき、透過反射膜層52を透過した光が透過光L2である。以上のように、本実施の形態に係る透過反射膜層52は、入射光L1の一部を反射し、入射光L1のその他の一部の光を透過させる。つまり、透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光である。
なお、より正確には、透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域、及び、透過反射膜層52の吸収波長領域を除した光である。しかしながら、本実施の形態に係る透過反射膜層52の吸収は、無視できるほど小さいため、ここでは、透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光である、と記す。
また、反射光L3は、透過反射膜層52により定まる反射ピーク波長を含む光である(なお、反射ピーク波長については、図2を用いて後述する)。
ここで、透過反射膜層52が含むコロイド結晶構造体53については、図1Bを用いて説明する。
透過反射膜層52は、コロイド結晶構造体53を含む。なお、本実施の形態に係る透過反射膜層52は、コロイド結晶構造体53である。
コロイド結晶構造体53は、コロイド粒子54と、マトリックス材料55とを含む。マトリックス材料55は、コロイド粒子54間に配置される。本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53では、コロイド次元の大きさを有するコロイド粒子54が、コロイド粒子54の中心間距離d1の間隔をおいて規則的に三次元に配列している。ただし、本実施の形態の目的を損なわなければ、コロイド粒子54の配列は厳密な規則性を有している必要はない。なお、図1Bに示すように、コロイド粒子54は、マトリックス材料55中に、複数存在している。また、コロイド結晶構造体53の厚さは特に限定されないが、例えば1μm以上500μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。
コロイド粒子54の形状は、球形状であって、コロイド粒子54の中心粒径は、150nm以上300nm以下である。また、コロイド粒子54の中心粒径は、160nm以上250nm以下でもよく、さらに、170nm以上200nm以下であってもよい。なお、中心粒径とは、粒子径分布における極大の値である。また、粒子径分布は、画像解析法、コールター法、遠心沈降法又はレーザー回折散乱法などにより測定されてもよい。
コロイド粒子54は、無機材料及び樹脂材料の少なくともいずれか一方を含む。このように、コロイド粒子54は無機材料のみから形成されていてもよく、樹脂材料のみから形成されていてもよい。また、コロイド粒子54は無機材料及び樹脂材料の双方から形成されていてもよい。
無機材料としては、例えば、金及び銀などの金属、シリカ、アルミナ及びチタニアなどの金属酸化物を用いることができる。また、樹脂材料としては、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施の形態に係るコロイド粒子54は、無機材料から構成され、ケイ素及び酸素を含む。本実施の形態に係るコロイド粒子54は、シリカ粒子である。
マトリックス材料55は、有機物により構成される。本実施の形態においては、マトリックス材料55には、300nm以上800nm以下の範囲内の波長領域において高い光透過率を有する樹脂を用いることができる。マトリックス材料55に用いられる樹脂は、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル-スチレン共重合体、スチレン系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。本実施の形態に係るマトリックス材料55は、アクリル系樹脂により構成される。
コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するコロイド粒子54の体積の割合は、例えば、10体積%以上60体積%以下であることが好ましい。また、コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するコロイド粒子54の体積の割合は、例えば、20体積%以上50体積%以下であることがより好ましく、25体積%以上40体積%以下であることがさらに好ましい。コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するマトリックス材料55の体積の割合は、例えば、40体積%以上90体積%以下であることが好ましい。また、コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するマトリックス材料55の体積の割合は、例えば、50体積%以上80体積%以下であることがより好ましく、60体積%以上75体積%以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、コロイド結晶構造体53の光透過性及び形状安定性を良好にすることができる。
コロイド粒子54の中心間距離d1の平均値は、150nm以上400nm以下であることが好ましい。また、コロイド粒子54の中心間距離d1の平均値は、190nm以上390nm以下であることがより好ましく、220nm以上330nmで以下あることがさらに好ましい。コロイド粒子54の中心間距離d1の平均値を制御することにより、狙いとする波長の光を反射させることができる。なお、コロイド粒子54の中心間距離d1の平均値は、コロイド結晶構造体53の表面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。
本実施の形態においては、コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するコロイド粒子54の体積の割合は、26体積%であり、コロイド粒子54の中心粒径は、180nmであり、コロイド粒子54の中心間距離d1の平均値は、290nmである。
図1Bに示すように、コロイド結晶構造体53は、基板51の上に配置されていればよい。コロイド結晶構造体53は、図1Bに示すように基板51の表面と接していてもよいが、コロイド結晶構造体53と基板51との間に図示しない介在層が配置されていてもよい。
ここで、コロイド結晶構造体53の製造方法について説明する。本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53の製造方法は、コロイド結晶構造体53を形成することができれば特に限定されない。具体的には、上述したアクリル系樹脂などのマトリックス材料55の原料中にコロイド粒子54を分散させ、得られた分散液を基板51などに塗布して硬化させることによりコロイド結晶構造体53を製造することができる。
分散液を塗布する方法は特に限定されないが、例えばスプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法及びロールコート法等が利用できる。また、モノマーを重合させる方法は特に限定されず、加熱によって重合させてもよく、活性エネルギー線(電磁波、紫外線、可視光線、赤外線、電子線及びγ線等)によって重合させてもよい。活性エネルギー線によってモノマーを重合させる場合、光重合開始剤などが分散液に添加されていてもよい。光重合開始剤としては、ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤、アニオン光重合開始剤など公知の光重合開始剤を用いることができる。
このようなコロイド結晶構造体53を有することにより、コロイド結晶構造体53、すなわち、透過反射膜層52に入射された入射光L1の一部がブラッグ反射され、反射されなかった光の一部がコロイド結晶構造体53を透過する。
以上のように、透過反射膜層52がコロイド結晶構造体53を含むため、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、従来の色素を用いた場合と比べ、耐久性が高い。この高い耐久性は、コロイド結晶構造体53の構造が熱又は紫外線などにより変化し難く、透過反射膜層52が反射する光の波長の変化を抑制できることに起因する。
また、本実施の形態においては、コロイド粒子54の形状は、球形状であって、コロイド粒子54の中心粒径は、150nm以上300nm以下である。このため、狙いとする波長の光を反射させることができる。
また、本実施の形態においては、コロイド粒子54は、無機材料から構成され、ケイ素及び酸素を含む。このように、無機材料から構成されるコロイド粒子54によって、耐久性をより高めることができる。
また、本実施の形態においては、コロイド結晶構造体53は、有機物により構成されるマトリックス材料55を含む。このように、マトリックス材料55を含み、マトリックス材料55の体積の割合を制御することで、中心間距離d1を容易に制御し、狙いとする波長の光を反射させることができる。
また、以上のように構成されたコロイド結晶構造体53に起因する反射ピークの半値全幅は、30nm以下となる。
本実施の形態においては、コロイド結晶構造体53、すなわち、透過反射膜層52が反射した反射光L3は、光源10側(z軸負方向)へと向かう。さらに、本実施の形態においては、コロイド結晶構造体53、すなわち、透過反射膜層52を透過した光が透過光L2であり、透過光L2は、透光部材80側(z軸正方向)へと向かう。
ここで、図1Aを用いて、透光部材80について説明する。
透光部材80は、光を透過させる部材である。本実施の形態に係る透光部材80は、透過光L2を透過させる部材である。図1Aに示すように、透光部材80から放たれた光は、照明装置1が放つ出力光L5である。そのため、出力光L5は、透過反射膜層52を透過した光である透過光L2を含む。
また、透光部材80は、光透過性の高い材料で構成された部材である。また、透光部材80は、光を散乱させずに透過させる部材であってもよい。例えば、透光部材80は、アクリル又はポリカーボネート等の透光性樹脂材料又はガラス材料等の透光性材料で構成される。また、本実施の形態の透光部材80は、ガラス材料で構成されている。
本実施の形態においては、透光部材80は、円板形状であって、透光部材80の円周部分が筐体70の開口部に取り付けられている。すなわち、筐体70の開口部は、透光部材80により封鎖されている。よって、筐体70と透光部材80とは、光源10と光学フィルタ50とを保護している。なお、照明装置1は、透光部材80を備えない構成であってもよい。
[発光特性]
ここで、本実施の形態に係る照明装置1の発光特性について説明する。
まずは、本実施の形態に係る光学フィルタ50の特性について説明する。図2は、本実施の形態に係る光学フィルタ50の可視光透過スペクトルを示す図である。より具体的には、図2は、本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53を含む透過反射膜層52を有する光学フィルタ50と、比較例1の色素体含有光学フィルタとの可視光透過スペクトルを示す図である。なお、比較例1の色素体含有光学フィルタは、本実施の形態に係る基板51と同等の基板と、有機分子を用いた色素とを備える光学フィルタである。なお比較例1に係る色素はポルフィリン系色素を含む。
まず、本実施の形態に係る光学フィルタ50について説明する。光学フィルタ50の可視光透過スペクトルにおいては、透過率が80%未満である低透過率の波長領域(575nm以上605nm未満)が存在する。この低透過率の波長領域には、下向きに凸のピーク波長(585nm)が含まれる。これは、本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53によって、ピーク波長を含む光が反射されたことに起因する。すなわち、コロイド結晶構造体53が反射光L3を反射したため、光学フィルタ50において、反射光L3の波長領域の透過率は、低下する。
また、上記の低透過率の波長領域以外の波長領域(380nm以上575nm未満、及び、605nm以上780nm未満)においては、透過率が80%以上である高透過率の波長領域が存在する。すなわち、光学フィルタ50は、反射光L3の波長領域以外の光を透過させる。つまり、透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光である。このため、光学フィルタ50は、望ましい光だけを透過させることができる。
次に、比較例1の色素体含有光学フィルタについて説明する。比較例1の色素体含有光学フィルタの可視光透過スペクトルにおいては、透過率が80%未満である低透過率の波長領域(540nm以上615nm未満)が存在する。この低透過率の波長領域には、下向きに凸のピーク波長(590nm)が含まれる。これは、色素体含有光学フィルタが備える色素により光が吸収されたことに起因する。
また、上記の低透過率の波長領域以外の波長領域(380nm以上540nm未満、及び、615nm以上780nm未満)においては、透過率が80%以上である高透過率の波長領域が存在する。すなわち、比較例1の色素体含有光学フィルタは、色素に吸収された光以外の光を透過させる。このため、比較例1の色素体含有光学フィルタは、本実施の形態に係る光学フィルタ50と同様に、望ましい光だけを透過させることができる。
一方で、本実施の形態に係る光学フィルタ50の低透過率の波長領域と、比較例1の色素体含有光学フィルタの低透過率の波長領域とを比較すると、本実施の形態に係る光学フィルタ50の低透過率の波長領域の方が、より波長領域が狭い。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、より狭波長領域の光を透過させない特徴を有する。つまり、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、より狙いの波長領域の光だけを透過させることができる。
図3は、本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53におけるコロイド粒子濃度と反射ピーク波長との関係を示した図である。より具体的には、図3は、コロイド粒子54の中心粒径が161nmから316nmまで変更されたときの、コロイド粒子濃度と反射ピーク波長との関係を示した図である。なお、コロイド粒子濃度とは、コロイド結晶構造体53の全体の体積に対するコロイド粒子54の体積の割合である。さらに、反射ピーク波長とは、反射光L3の反射ピークにおける波長である。
本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53の反射のメカニズムは、ブラッグ反射に起因する。そのため、反射光L3の反射ピーク波長は、コロイド粒子54の中心間距離d1に依存する。上述のように、コロイド粒子濃度が上昇すると、中心間距離d1は、低下する。そのため、コロイド粒子濃度が上昇すると、反射ピーク波長は、短波長側にシフトする。コロイド粒子濃度が低下すると、反射ピーク波長は、長波長側にシフトする。また、中心粒径が増加すると、中心間距離d1は、増加する。そのため、中心粒径が増加すると、反射ピーク波長は、長波長側にシフトする。中心粒径が減少すると、反射ピーク波長は、短波長側にシフトする。
なお、本実施の形態においては、コロイド粒子濃度は、26体積%であり、中心粒径は、180nmであるため、反射光L3の反射ピーク波長は、585nmである。すなわち、反射光L3のピーク波長は、図2に示した低透過率の波長領域における中心波長と一致する。
次に、本実施の形態に係る照明装置1の出力光L5について説明する。図4は、本実施の形態に係る照明装置1が放つ出力光L5の発光スペクトルを示す図である。より具体的には、図4は、本実施の形態に係る照明装置1、比較例1に係る色素体含有光学フィルタを備える照明装置、及び、比較例2に係る光学フィルタを備えない照明装置に関する発光スペクトルを示す図である。なお、比較例1に係る照明装置は、本実施の形態に係る照明装置1が備える光学フィルタ50の代わりに、図2に示した色素体含有光学フィルタを備える点が、本実施の形態に係る照明装置1と異なる。また、比較例2に係る照明装置は、本実施の形態に係る照明装置1が備える光学フィルタ50を備えない点が、本実施の形態に係る照明装置1と異なる。
まず、比較例2に係る照明装置について説明する。比較例2に係る照明装置における出力光は、本実施の形態に係る光源10が放つ入射光L1と同じ光であるため、相関色温度が2700Kである白色光である。
続いて、本実施の形態に係る照明装置1について説明する。比較例2に係る照明装置と比較すると、本実施の形態に係る照明装置1の発光スぺクトルには、585nmを中心とした発光強度が低下した波長領域が存在する。これは、図2に示した本実施の形態に係る光学フィルタ50の低透過率の波長領域と一致する。本実施の形態に係る光学フィルタ50(透過反射膜層52)は、入射光L1の一部を反射し、入射光L1のその他の一部を透過させる。透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光である。上述のように、本実施の形態に係る出力光L5は、透過光L2を含む。そのため、照明装置1が放つ出力光L5は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光を含む。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、照明装置1が放つ出力光L5を所望の光とすることができる。
さらに、比較例1に係る色素体含有光学フィルタを備える照明装置について説明する。比較例2に係る照明装置と比較すると、比較例1に係る照明装置の発光スぺクトルには、590nmを中心とした発光強度が低下した波長領域が存在する。これは、図2に示した比較例1に係る色素体含有光学フィルタの低透過率の波長領域と一致する。比較例1の色素体含有光学フィルタは、色素に吸収された光以外の光を透過させる。このため、比較例1の色素体含有光学フィルタは、本実施の形態に係る光学フィルタ50と同様に、比較例1に係る発光装置が放つ出力光を所望の光とすることができる。
ここで、表1を用いて、図4の発光スペクトルから得られた発光特性について説明する。表1は、図4の発光スペクトルより算出した本実施の形態に係る照明装置1が放つ出力光L5の演色性を示す。より具体的には、表1は、本実施の形態に係る照明装置1、比較例1に係る色素体含有光学フィルタを備える照明装置、及び、比較例2に係る光学フィルタを備えない照明装置の出力光の演色性を示す。なお本実施の形態においては、演色性は、平均演色評価数によって表されている。
本実施の形態に係る照明装置1が放つ出力光L5は、比較例2に係る照明装置が放つ出力光に比べ、演色性が向上していることがわかる。上述の通り、本実施の形態においては、光学フィルタ50によって、照明装置1が放つ出力光L5は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光を含む。そのため、本実施の形態に係る照明装置1は、所望の出力光L5として演色性の高い出力光L5を放つことができる。一方で、比較例1においても、本実施の形態と同様に、比較例1の色素体含有光学フィルタが、比較例1に係る発光装置が放つ出力光を所望の光とすることにより、出力光の演色性が向上している。
なお、本実施の形態においては、光源10が相関色温度2700Kの光を入射光L1として放ち、反射ピーク波長が585nmであったため、出力光L5の演色性を向上させることができた。また、光源10が放つ入射光L1の相関色温度によらず、反射ピーク波長が580nm以上590nm以下であれば、出力光L5の演色性を向上させることができる。なお、出力光L5の演色性を向上させるためには、反射ピーク波長は、560nm以上620nm以下であれば好ましく、570nm以上610nm以下であればより好ましく、上記の通り、580nm以上590nm以下であればさらに好ましい。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明装置1は、出力光L5を放つ照明装置1であって、コロイド結晶構造体53を含む透過反射膜層52を有する光学フィルタ50と、透過反射膜層52に入射する入射光L1を放つ光源10とを備える。入射光L1は、透過反射膜層52を介して、透過反射膜層52が反射する反射光L3と透過反射膜層52を透過する透過光L2とに変換され、反射光L3は、透過反射膜層52により定まる反射ピーク波長を含む光であり、出力光L5は、透過光L2を含む。
これにより、透過反射膜層52がコロイド結晶構造体53を含むため、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、従来の色素を用いた場合と比べ、耐久性が高い。この高い耐久性は、コロイド結晶構造体53の構造が熱又は紫外線などにより変化し難く、透過反射膜層52が反射する光の波長の変化を抑制できることに起因する。
また、本実施の形態に係る透過反射膜層52は、入射光L1の一部を反射し、入射光L1のその他の一部を透過させる。このとき、透過反射膜層52が反射した光が反射光L3であり、透過反射膜層52を透過した光が透過光L2である。つまり、透過光L2は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光である。本実施の形態に係る出力光L5は、透過光L2を含む。そのため、照明装置1が放つ出力光L5は、光源10が放つ入射光L1から、反射光L3の波長領域を除した光を含む。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50は、照明装置1が放つ出力光L5を所望の光とすることができる。
これらにより、耐久性が高く、かつ、所望の出力光L5を発する照明装置1を実現することができる。
本実施の形態に係る照明装置1は、上記のような構成とすることで、所望の出力光L5として演色性の高い出力光L5を放つことができる。
また、本実施の形態に係る照明装置1は、さらに、透過光L2を透過させる透光部材80と、光源10、光学フィルタ50及び透光部材80を収容する筐体70とを備える。
これにより、筐体70と透光部材80とによって、光源10と光学フィルタ50とを保護することができる。
また、本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53は、形状が球形状であるコロイド粒子54を含み、コロイド粒子54の中心粒径は、150nm以上300nm以下である。
これにより、狙いとする波長の光を反射させることができる。
また、本実施の形態に係るコロイド粒子54は、ケイ素及び酸素を含む。
これにより、無機材料から構成されるコロイド粒子54によって、耐久性をより高めることができる。
また、本実施の形態に係るコロイド結晶構造体53は、有機物により構成されるマトリックス材料55を含む。
これにより、マトリックス材料55を含み、マトリックス材料55の体積の割合を制御することで、中心間距離d1を容易に制御し、狙いとする波長の光を反射させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、光学フィルタ50が有する透過反射膜層52は、1層だけ存在したが、これに限らない。実施の形態2においては、光学フィルタ50aが有する透過反射膜層52aが第1透過反射膜層521aと第2透過反射膜層522aとを含む点が実施の形態1とは異なる。さらに、実施の形態2においては、照明装置1aが蛍光部材90aを備える点が実施の形態1とは異なる。なお、実施の形態2では、実施の形態1と共通の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置1aの構成について、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5Aは、本実施の形態に係る照明装置1aの構成を示す断面図である。図5Bは、本実施の形態に係る照明装置1aが備える光学フィルタ50aの構成を示す断面図である。また、図5Aに示される白抜きの矢印、網掛が付された矢印及びドットが付された矢印は、光の進行方向を示す。
図5Aに示すように、照明装置1aは、出力光L5aを放つ。照明装置1aは、光源10aと、光学フィルタ50aと、筐体70aと、透光部材80aと、蛍光部材90aとを備える。本実施の形態に係る照明装置1aは、出力光L5aにより周囲を照らす照明器具である。
なお、本実施の形態における、光源10a及び透光部材80aは、実施の形態1と同じ構成である。また、光源10aが有する光源基板11a、発光素子12a及び波長変換層13aも、実施の形態1と同じである。
まず、筐体70aについて説明する。
筐体70aは、光源10a、光学フィルタ50a、透光部材80a及び蛍光部材90aを収容する部材である。本実施の形態においては、光源10a、光学フィルタ50a及び透光部材80aは、実施の形態1と同様に取り付けられている。また、蛍光部材90aは、筐体70aの底面に取り付けられている。さらに、蛍光部材90aは、光学フィルタ50aより底面側の筐体70aの円筒内周面にも取り付けられている。
続いて、光学フィルタ50aについて説明する。
光学フィルタ50aは、基板51aと、透過反射膜層52aとを有する。本実施の形態に係る透過反射膜層52aは、第1透過反射膜層521aと第2透過反射膜層522aとを含む。また、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aは、積層される。本実施の形態においては、積層とは、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aを平面視したとき(z軸負方向から見たとき)に、第1透過反射膜層521aの全て及び第2透過反射膜層522aの全てが重なる構造をいう。
本実施の形態に係る基板51aは、実施の形態1と同じである。
さらに、透過反射膜層52aには、光源10aが放つ入射光L1aが入射される。入射光L1aは、透過反射膜層52aを介して、透過反射膜層52aが反射する反射光L3aと透過反射膜層52aを透過する透過光L2aとに変換される。すなわち、透過反射膜層52aは、反射光L3aの波長領域の光を反射し、透過反射膜層52aは、反射光L3aの波長領域以外の光を透過させる。このとき、透過反射膜層52aを透過した光が透過光L2aである。以上のように、本実施の形態に係る透過反射膜層52aは、入射光L1aの一部を反射し、入射光L1aのその他の一部の光を透過させる。つまり、透過光L2aは、光源10aが放つ入射光L1aから、反射光L3aの波長領域を除した光である。
また、反射光L3aは、透過反射膜層52aにより定まる反射ピーク波長を含む光である。本実施の形態においては、反射光L3aは、第1透過反射膜層521aが反射する第1反射光と第2透過反射膜層522aが反射する第2反射光とを含む。さらに、第1反射光及び第2反射光のそれぞれは、異なる反射ピーク波長を含む光である。つまり、本実施の形態においては、反射光L3aは、第1反射光と第2反射光とを複合した光である。そのため、反射光L3aは、2つの異なる反射ピーク波長を含む光である。
ここで、第1透過反射膜層521aが含む第1コロイド結晶構造体531aと、第2透過反射膜層522aが含む第2コロイド結晶構造体532aとについて、図5Bを用いて説明する。
本実施の形態に係る第1透過反射膜層521aは、第1コロイド結晶構造体531aであり、本実施の形態に係る第2透過反射膜層522aは、第2コロイド結晶構造体532aである。
第1コロイド結晶構造体531aは、第1コロイド粒子541aと、第1マトリックス材料551aとを含む。第2コロイド結晶構造体532aは、第2コロイド粒子542aと、第2マトリックス材料552aとを含む。
第1コロイド結晶構造体531a、第1コロイド粒子541a、第1マトリックス材料551a、第2コロイド結晶構造体532a、第2コロイド粒子542a及び第2マトリックス材料552aは、実施の形態1と同じ構成を用いることができる。しかしながら、以下の点が異なる。
本実施の形態においては、第1コロイド粒子541aの中心粒径は、第2コロイド粒子542aの中心粒径よりも大きい。また、第1コロイド粒子541aの中心間距離d2は、第2コロイド粒子542aの中心間距離d3よりも大きい。これにより、第1コロイド結晶構造体531aである第1透過反射膜層521aの反射ピーク波長は、第2コロイド結晶構造体532aである第2透過反射膜層522aの反射ピーク波長よりも、長い波長である。
ここで、第1コロイド結晶構造体531aと第2コロイド結晶構造体532aとの製造方法について説明する。
本実施の形態においては、第1コロイド結晶構造体531aを得るための分散液を基板51aに塗布して硬化させて、第1コロイド結晶構造体531aを得る。次に、第2コロイド結晶構造体532aを得るための分散液を第1コロイド結晶構造体531aに塗布して硬化させて、第2コロイド結晶構造体532aを得る。以上の方法を用いることで、第1コロイド結晶構造体531aと第2コロイド結晶構造体532aとが製造される。
なお、本実施の形態においては、第1コロイド結晶構造体531aに、直接、第2コロイド結晶構造体532aが設けられたが、これに限らない。例えば、第1コロイド結晶構造体531aと第2コロイド結晶構造体532aとの間に、平坦化層が設けられてもよい。平坦化層は、例えば、以下のようにして設けられる。上述したアクリル系樹脂などのマトリックス材料55の原料を分散液とし、当該分散液を第1コロイド結晶構造体531aに塗布して硬化させることにより平坦化層が製造される。
このような平坦化層を設けることで、第1コロイド結晶構造体531aにおける第1コロイド粒子541aに由来する凹凸を平坦化することができる。これにより、平坦化層の平坦な表面に第2コロイド結晶構造体532aを設けることができるため、第2コロイド結晶構造体532aにおける中心間距離d3を設計通りに制御することが可能になる。
以上のように、反射光L3aは、第1透過反射膜層521aが反射する第1反射光と第2透過反射膜層522aが反射する第2反射光とを含む。さらに、第1反射光及び第2反射光のそれぞれは、異なる反射ピーク波長を含む光である。このため、透過反射膜層52aは、狙いとする複数の異なる反射ピーク波長を含む光を反射することができる。
さらに、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aは、積層される。透過光L2aは、光源10aが放つ入射光L1aから、反射光L3aの波長領域を除した光である。また、本実施の形態においては、実施の形態1と同じく、出力光L5aは、透過光L2aを含む。そのため、照明装置1aが放つ出力光L5aは、光源10aが放つ入射光L1aから、反射光L3aの波長領域(すなわち、複数の異なる反射ピーク波長を含む波長領域)を除した光を含む。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50aは、照明装置1aが放つ出力光L5aを所望の光とすることができる。
続いて、蛍光部材90aについて説明する。蛍光部材90aは、反射光L3aを吸収して、蛍光L4aを放つ蛍光材料を有する部材である。
蛍光材料は、反射光L3aに含まれる波長を吸収し、波長変換する材料である。例えば、蛍光材料は、YAG系又はTAG(Terbium Aluminum Garnet)系などの材料を用いることができる。しかしながら、蛍光材料は、これらの材料に限られない。本実施の形態においては、光源10aが放つ入射光L1aは、白色光、すなわち、可視光領域の光であるため、反射光L3aは、同様に、可視光領域の光である。つまり、本実施の形態に係る蛍光材料は、可視光領域の光を吸収する。
また、蛍光材料は、反射光L3aを波長変換して、蛍光L4aを放つ。よって、蛍光L4aの波長領域は、反射光L3aの波長領域とは異なる。なお、上述のように、蛍光部材90aは、筐体70aの底面と、光学フィルタ50aより底面側の筐体70aの円筒内周面とに取り付けられている。このため、蛍光部材90aは、光学フィルタ50a(すなわち透過反射膜層52a)に向けて蛍光L4aを放つ。
ここで、蛍光L4aは、透過反射膜層52aを透過する。これは、以下のように説明できる。
透過反射膜層52aは、反射光L3aを反射する。すなわち、透過反射膜層52aは、反射光L3aの波長領域の光を反射する。一方で、蛍光L4aの波長領域は、反射光L3aの波長領域とは異なる。そのため、透過反射膜層52aは、蛍光L4aを反射しない。これにより、蛍光L4aは、透過反射膜層52aを透過する。また、透過反射膜層52aを透過した光は、透過光L2aであるため、透過反射膜層52aを透過した蛍光L4aは、透過光L2aでもある。
また、透光部材80aは、光を透過させる部材である。本実施の形態においては、透光部材80aは、透過光L2aを透過させる部材である。図5Aに示すように、透光部材80aから放たれた光は、照明装置1aが放つ出力光L5aである。そのため、出力光L5aは、透過反射膜層52aを透過した光である透過光L2aを含む。すなわち、本実施の形態においては、出力光L5aは、透過光L2aと、透過光L2aでもある蛍光L4aとを含む。
これにより、蛍光部材90aが有する蛍光材料は、反射光L3aを吸収して、蛍光L4aを放つ。蛍光材料が無ければ、反射光L3aの波長領域の光は、透過反射膜層52aを透過することができず、消光してしまう。すなわち、蛍光材料が無ければ、反射光L3aの波長領域の光は、出力光L5aとして利用することができない。蛍光材料が反射光L3aの波長領域の光を蛍光L4aに変換することで、照明装置1aは、蛍光L4aを出力光L5aとして利用することができる。すなわち、照明装置1aが放つ出力光L5aの発光効率を高めることができる。さらに、出力光L5aは、透過光L2aを含み、さらに、蛍光L4aを含む光であるので、出力光L5aは、より所望の光となる。
なお、本実施の形態においては、反射光L3aは、2つの異なる反射ピーク波長を含む光である。そのため、蛍光材料は、2つの異なる反射ピーク波長のうち少なくとも1つの反射ピーク波長を含む光を吸収することが望ましい。また、蛍光部材90aが2つの異なる蛍光材料を有することで、それぞれの蛍光材料が2つの異なる反射ピーク波長のそれぞれの反射ピーク波長を含む光を吸収してもよい。
[効果など]
本実施の形態に係る照明装置1aは、さらに、反射光L3aを吸収して、蛍光L4aを放つ蛍光材料を有する蛍光部材90aを備え、出力光L5aは、さらに、蛍光L4aを含む。
これにより、蛍光部材90aが有する蛍光材料は、反射光L3aを吸収して、蛍光L4aを放つ。蛍光材料が無ければ、反射光L3aの波長領域の光は、出力光L5aとして利用することができない。蛍光材料が反射光L3aの波長領域の光を蛍光L4aに変換することで、照明装置1aは、蛍光L4aを出力光L5aとして利用することができる。すなわち、照明装置1aが放つ出力光L5aの発光効率を高めることができる。さらに、出力光L5aは、透過光L2aを含み、さらに、蛍光L4aを含む光であるので、出力光L5aは、より所望の光となる。
本実施の形態に係る透過反射膜層52aは、第1透過反射膜層521aと第2透過反射膜層522aとを含む。また、反射光L3aは、第1透過反射膜層521aが反射する第1反射光と第2透過反射膜層522aが反射する第2反射光とを含み、第1反射光及び第2反射光のそれぞれは、異なる反射ピーク波長を含む光である。
これにより、狙いとする複数の異なる反射ピーク波長を含む光を反射することができる。
本実施の形態において、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aは、積層される。
これにより、照明装置1aが放つ出力光L5aは、光源10aが放つ入射光L1aから、反射光L3aの波長領域(すなわち、複数の異なる反射ピーク波長を含む波長領域)を除した光を含む。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50aは、照明装置1aが放つ出力光L5aを所望の光とすることができる。
(実施の形態3)
実施の形態2においては、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aが積層される構成が示されたが、これに限らない。実施の形態3においては、第1透過反射膜層521b及び第2透過反射膜層522bは、平面視したときに、重ならずに配置される点が実施の形態2は異なる。さらに、具体的には、透過反射膜層52bは、第1透過反射膜層521bと第2透過反射膜層522bと第3透過反射膜層523bとを含む。また、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bは、平面視したときに、重ならずに配置される。また、実施の形態3においては、照明装置1bは、蛍光部材を備えない点が実施の形態2とは異なる。なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2と共通の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置1bの構成について、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、本実施の形態に係る照明装置1bの構成を示す断面図である。図6Bは、本実施の形態に係る照明装置1bが備える光学フィルタ50bの構成を示す断面図である。また、図6Aに示される白抜きの矢印及び網掛が付された矢印は、光の進行方向を示す。
図6Aに示すように、照明装置1bは、出力光L5bを放つ。照明装置1bは、光源10bと、光学フィルタ50bと、筐体70bと、透光部材80bとを備える。本実施の形態に係る照明装置1bは、出力光L5bにより周囲を照らす照明器具である。
なお、本実施の形態における、光源10b、筐体70b及び透光部材80bは、実施の形態1及び2と同じ構成である。また、光源10bが有する光源基板11b、発光素子12b及び波長変換層13bも、実施の形態1及び2と同じである。
次に、本実施の形態に係る光学フィルタ50bについて説明する。
光学フィルタ50bは、基板51bと、透過反射膜層52bとを有する。透過反射膜層52bは、第1透過反射膜層521bと第2透過反射膜層522bとを含む。第1透過反射膜層521b及び第2透過反射膜層522bは、平面視したときに、重ならずに配置される点が実施の形態2は異なる。さらに、具体的には、本実施の形態に係る透過反射膜層52bは、第1透過反射膜層521bと第2透過反射膜層522bと第3透過反射膜層523bとを有する。また、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bは、平面視したときに、重ならずに配置される。
ここで、本実施の形態における、重ならずに配置について説明する。重ならずとは、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bを平面視したときに、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bが重なる領域がない構造である。
さらに、本実施の形態においては、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bは、平面視したときに、重ならずに、かつ、隙間なく配置される。隙間なく配置とは、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bを平面視したときに、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bが離間されず、接触している構造である。
本実施の形態に係る基板51bは、実施の形態1及び2と同じである。
光学フィルタ50bが有する透過反射膜層52bには、光源10bが放つ入射光L1bが入射される。さらに、入射光L1bは、透過反射膜層52bを介して、透過反射膜層52bが反射する反射光L3bと透過反射膜層52bを透過する透過光L2bとに変換される。本実施の形態においては、透過反射膜層52bは、第1透過反射膜層521bと第2透過反射膜層522bと第3透過反射膜層523bとを含む。さらに、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bは、平面視したときに、重ならず、かつ、隙間なく配置される。そのため、入射光L1bの進行方向によって、入射光L1bが入射される透過反射膜層52bは、異なる。従って、反射光L3bは、第1透過反射膜層521bが反射する第1反射光L31b、第2透過反射膜層522bが反射する第2反射光L32b及び第3透過反射膜層523bが反射する第3反射光L33bを含む。
また、反射光L3bは、透過反射膜層52bにより定まる反射ピーク波長を含む光であるため、第1反射光L31b、第2反射光L32b及び第3反射光L33bのそれぞれは、異なる反射ピーク波長を含む光である。つまり反射光L3bのそれぞれは、光の進行方向によって異なる波長領域の光となる。
また、上述のように、透過反射膜層52bを透過した光が透過光L2bである。本実施の形態に係る透過反射膜層52bは、入射光L1bの一部を反射し、入射光L1bのその他の一部の光を透過させる。つまり、透過光L2bは、光源10bが放つ入射光L1bから、反射光L3bの波長領域を除した光である。また、透過光L2bは、第1透過反射膜層521bを透過する光である第1透過光L21b、第2透過反射膜層522bを透過する光である第2透過光L22b及び第3透過反射膜層523bを透過する光である第3透過光L23bを含む。従って、第1透過光L21bは、入射光L1bから、第1反射光L31bの波長領域を除した光である。また、第2透過光L22bは、入射光L1bから、第2反射光L32bの波長領域を除した光である。また、第3透過光L23bは、入射光L1bから、第3反射光L33bの波長領域を除した光である。つまり、透過光L2bのそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。
ここで、第1透過反射膜層521bが含む第1コロイド結晶構造体531bと、第2透過反射膜層522bが含む第2コロイド結晶構造体532bと、第3透過反射膜層523bが含む第3コロイド結晶構造体533bとについて、図6Bを用いて説明する。
本実施の形態に係る第1透過反射膜層521bは、第1コロイド結晶構造体531bである。本実施の形態に係る第2透過反射膜層522bは、第2コロイド結晶構造体532bである。本実施の形態に係る第3透過反射膜層523bは、第3コロイド結晶構造体533bである。
第1コロイド結晶構造体531bは、第1コロイド粒子541bと、第1マトリックス材料551bとを含む。第2コロイド結晶構造体532bは、第2コロイド粒子542bと、第2マトリックス材料552bとを含む。第3コロイド結晶構造体533bは、第3コロイド粒子543bと、第3マトリックス材料553bとを含む。
第1コロイド結晶構造体531b、第1コロイド粒子541b、第1マトリックス材料551b、第2コロイド結晶構造体532b、第2コロイド粒子542b及び第2マトリックス材料552bは、実施の形態1及び2と同じ構成を用いることができる。さらに、第3コロイド結晶構造体533b、第3コロイド粒子543b及び第3マトリックス材料553bは、実施の形態1及び2と同じ構成を用いることができる。しかしながら、以下の点が異なる。
本実施の形態においては、第1コロイド粒子541bの中心粒径は、第2コロイド粒子542bの中心粒径よりも大きい。さらに、第2コロイド粒子542bの中心粒径は、第3コロイド粒子543bの中心粒径よりも大きい。また、第1コロイド粒子541bの中心間距離d4は、第2コロイド粒子542bの中心間距離d5よりも大きい。さらに、第2コロイド粒子542bの中心間距離d5は、第3コロイド粒子543bの中心間距離d6よりも大きい。これにより、第1コロイド結晶構造体531bである第1透過反射膜層521bの反射ピーク波長は、第2コロイド結晶構造体532bである第2透過反射膜層522bの反射ピーク波長よりも、長い波長である。さらに、第2コロイド結晶構造体532bである第2透過反射膜層522bの反射ピーク波長は、第3コロイド結晶構造体533bである第3透過反射膜層523bの反射ピーク波長よりも、長い波長である。
ここで、第1コロイド結晶構造体531bと第2コロイド結晶構造体532bと第3コロイド結晶構造体533bとの製造方法について説明する。
本実施の形態においては、第1コロイド結晶構造体531bを得るための分散液を基板51bの一部に塗布して硬化させて、第1コロイド結晶構造体531bを得る。次に、第2コロイド結晶構造体532bを得るための分散液を第1コロイド結晶構造体531bが設けられていない基板51bの一部に塗布して硬化させて、第2コロイド結晶構造体532bを得る。このとき、第2コロイド結晶構造体532bを得るための分散液は、第1コロイド結晶構造体531bと重ならず、かつ、隙間なく配置されるように塗布される。さらに、第3コロイド結晶構造体533bを得るための分散液を第1コロイド結晶構造体531b及び第2コロイド結晶構造体532bが設けられていない基板51bの一部に塗布して硬化させて、第3コロイド結晶構造体533bを得る。このとき、第3コロイド結晶構造体533bを得るための分散液は、第1コロイド結晶構造体531b及び第2コロイド結晶構造体532bと重ならず、かつ、隙間なく配置されるように塗布される。以上のようにそれぞれの分散液を塗り分ける方法を用いることで、第1コロイド結晶構造体531bと第2コロイド結晶構造体532bと第3コロイド結晶構造体533bとが製造される。
ここで、透光部材80bについて図6Aを用いて説明する。
透光部材80bは、透過光L2bを透過させる部材である。図6Aに示すように、透光部材80bから放たれた光は、照明装置1bが放つ出力光L5bである。そのため、出力光L5bは、透過反射膜層52bを透過した光である透過光L2bを含む。上述のように、透過光L2bのそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光であるため、照明装置1bが放つ出力光L5bは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。
[効果など]
本実施の形態においては、第1透過反射膜層521b及び第2透過反射膜層522bは、平面視したときに、重ならずに配置される。
これにより、本実施の形態に係る透過反射膜層52bは、入射光L1bの一部を反射し、入射光L1bのその他の一部を透過させる。このとき、透過反射膜層52bが反射した光が反射光L3bであり、透過反射膜層52bを透過した光が透過光L2bである。つまり、透過光L2bは、光源10bが放つ入射光L1bから、反射光L3bの波長領域を除した光である。
さらに、本実施の形態においては、第1透過反射膜層521b、第2透過反射膜層522b及び第3透過反射膜層523bは、平面視したときに、重ならずに配置される。そのため、入射光L1bの進行方向によって、入射光L1bが入射される透過反射膜層52bは異なる。よって、透過光L2bのそれぞれは、光源10bが放つ入射光L1bから、反射光L3bのそれぞれの波長領域を除した光となる。つまり、透過光L2bのそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。本実施の形態に係る出力光L5bは、透過光L2bを含む。そのため、照明装置1bが放つ出力光L5bは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。すなわち、本実施の形態に係る光学フィルタ50bは、照明装置1bが放つ出力光L5bを所望の光とすることができる。
本実施の形態に係る照明装置1bは、上記のような構成とすることで、所望の出力光L5bを放つことができる。
例えば、本実施の形態に係る照明装置1bは、植物に対する光害を抑制な可能な街路灯として利用が可能である。ある種の植物においては、特定波長の光が照射されることで、成長が阻害されることが知られている。本実施の形態に係る照明装置1bは、人又は車が通行する道路と当該植物が生育される畑とが隣接する場所に、設けられることが望ましい。これにより、本実施の形態に係る照明装置1bから人又は車が通行する道路に向けては、明るい光が照射され、本実施の形態に係る照明装置1bから当該植物が生育される畑に向けては、上記特定波長を除いた光が照射される。このように、本実施の形態に係る照明装置1bは、植物に対する光害を抑制な可能な街路灯として利用が可能である。
(実施の形態4)
実施の形態1、2及び3においては、光学フィルタが底面と正対して取り付けられたが、これに限らない。実施の形態4においては、光学フィルタ50cは、筐体70cの円筒内周面に設けられる点が、実施の形態1、2及び3とは異なる。さらに、実施の形態4においては、筐体70cが透光性の材料で構成される点が実施の形態1、2及び3とは異なる。なお、実施の形態4では、実施の形態1、2及び3と共通の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置1cの構成について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る照明装置1cの構成を示す断面図である。また、図7に示される白抜きの矢印及び網掛が付された矢印は、光の進行方向を示す。なお、図7においては、図が煩雑になるのを避けるために、光源10cが放つ入射光L1cのうち一部のみが示されている。具体的には、図7には、配光角度(詳細は後述)が0°の光よりもx軸負側の光だけが示されている。しかしながら、配光角度が0°の光よりもx軸正側の光は、配光角度が0°の光よりもx軸負側の光と同じ挙動を示す。
図7に示すように、照明装置1cは、出力光L5cを放つ。照明装置1cは、光源10cと、光学フィルタ50cと、筐体70cと、透光部材80cとを備える。本実施の形態に係る照明装置1cは、出力光L5cにより周囲を照らす照明器具である。
なお、本実施の形態における、光源10c及び透光部材80cは、実施の形態1、2及び3と同じ構成である。また、光源10cが有する光源基板11c、発光素子12c及び波長変換層13cも、実施の形態1、2及び3と同じである。
まず、本実施の形態に係る筐体70cについて説明する。
筐体70cは、光源10c、光学フィルタ50c及び透光部材80cを収容する部材である。
実施の形態に係る筐体70cは、有底円筒形状である。筐体70cの底面に正対して、開口部が設けられている。また、筐体70cは、光を透過させる。より具体的には、筐体70cは、透過光L2cを透過させる。そのため、筐体70cは、光透過性の高い材料で構成された部材である。また、筐体70cは、光を散乱させずに透過させる部材であってもよい。例えば、筐体70cは、アクリル又はポリカーボネート等の透光性樹脂材料又はガラス材料等の透光性材料で構成される。また、本実施の形態の筐体70cは、ガラス材料で構成されている。
筐体70cの内部空間は、光源10c、光学フィルタ50c及び透光部材80cを収容する閉塞空間である。また、光源10cは、筐体70cの底面に取り付けられている。透光部材80cは、開口部に取り付けられている。さらに、光学フィルタ50cは、筐体70cの円筒内周面に取り付けられている。より具体的には、光学フィルタ50cは、筐体70cにおいて、光源10cと透光部材80cとの間の円筒内周面に取り付けられている。このため、光源10cが放つ入射光L1cは、光学フィルタ50cと透光部材80cとに向けて放たれる。入射光L1cは、光学フィルタ50cと筐体70cと透光部材80cとのそれぞれを介して、筐体70cから外部空間へと放出される。また、図7に示されるように、外部空間に放たれた光は、照明装置1cが放つ出力光L5cである。
なお、本実施の形態においては、出力光L5cは、第1出力光L51cと第2出力光L52cとを含む。ここで、第1出力光L51cと第2出力光L52cとについて説明するために、配光曲線について定義する。配光曲線とは、光源10cが放つ光の配光角度(進行方向)と、光度とを示す曲線である。本実施の形態においては、配光角度が0°の方向とは、光源10cからz軸正方向に放たれた入射光L1cの進行方向である。また、配光角度が小さい光を、狭配光角度の光とし、配光角度が大きい光を、広配光角度の光とする。本実施の形態においては、第1出力光L51cは、狭配光角度の光であり、第2出力光L52cは、広配光角度の光である。例えば、第1出力光L51cは、透光部材80cを透過した光である。また、例えば、第2出力光L52cは、光学フィルタ50c及び筐体70cを透過した光である。
続いて、本実施の形態に係る光学フィルタ50cについて説明する。
光学フィルタ50cは、基板51cと、透過反射膜層52cとを有する。本実施の形態に係る透過反射膜層52cは、第1透過反射膜層521cと第2透過反射膜層522cと第3透過反射膜層523cとを含む。第1透過反射膜層521cと第2透過反射膜層522cと第3透過反射膜層523cとは、実施の形態3と同じである。
そのため、透過反射膜層52cが反射する反射光L3cは、第1反射光L31c、第2反射光L32c及び第3反射光L33cを含む。第1反射光L31c、第2反射光L32c及び第3反射光L33cのそれぞれは、異なる反射ピーク波長を含む光である。また、透過反射膜層52cを透過する光である透過光L2cは、第1透過光L21c、第2透過光L22c及び第3透過光L23cを含む。第1透過光L21c、第2透過光L22c及び第3透過光L23cのそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。本実施の形態においては、透過光L2cは、筐体70cを透過する。また、筐体70cを透過した光は、第2出力光L52cとなる。そのため、広配光角度の光である第2出力光L52cそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光となる。また、以上のように、出力光L5cは、透過反射膜層52cを透過した光である透過光L2cを含む。
また、本実施の形態に係る基板51cにおいては、高い光透過性を有する点、及び、透光性の材料を用いることができる点は、実施の形態1、2及び3と同じである。一方で、基板51cは、筐体70cの円筒内周面に配置される。そのため、基板51cがリジッドな性質をもつ場合は、基板51cの形状は、筐体70cの円筒内周面に沿うような円筒形状である必要がある。また、基板51cがフレキシブルな性質をもつ場合は、基板51cの形状は、特に限定されない。本実施の形態においては、基板51cは、フレキシブルな性質をもつ。
本実施の形態に係る光学フィルタ50cは、実施の形態3と同じく、塗り分ける方法を用いることで作製される。
さらに、光学フィルタ50cが筐体70cに取り付けられる際には、光学フィルタ50cは、筐体70cの円筒内周面に沿うように光学フィルタ50cを湾曲させながら取り付けられる。
透光部材80cは、光を透過させる部材である。本実施の形態に係る透光部材80cは、入射光L1cと反射光L3cとを透過させる部材である。透光部材80cは、実施の形態1、2及び3と同じ部材で構成されてもよい。図7に示すように、透光部材80cから放たれた光は、照明装置1cが放つ第1出力光L51cである。そのため、本実施の形態においては、出力光L5cは、入射光L1cと反射光L3cとを含む。つまり、狭配光角度の光である第1出力光L51cは、入射光L1cと反射光L3cとが複合された光である。
以上まとめると、本実施の形態においては、筐体70cが光を透過させ、光学フィルタ50cが筐体70cの円筒内周面に取り付けられている。これにより、狭配光角度の光である第1出力光L51cは、入射光L1cと反射光L3cとが複合された光である。すなわち、照明装置1cから狭配光角度方向には、入射光L1cと反射光L3cとが複合された複合照明光が照射される。一方で、広配光角度の光である第2出力光L52cそれぞれは、光の進行方向によって、異なる波長領域の光である。すなわち、照明装置1cから広配光角度方向には、光の進行方向によって光の色が異なるグラデーション照明光が照射される。
(その他)
以上、実施の形態に係る照明装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
なお、実施の形態においては、光源は、白色光、すなわち可視領域の光である入射光を放ったが、これに限らない。例えば、光源が放つ光である入射光は、赤外領域の光又は紫外領域の光であってもよい。この場合、コロイド粒子の中心間距離を制御し、反射光の波長領域を赤外領域又は紫外領域とすることで、実施の形態と同じく所望の出力光を発する照明装置を実現することができる。この場合、透光部材と、透過反射膜層を支持する基板と、実施の形態3における筐体とは、赤外領域の光又は紫外領域の光を透過させる部材によって構成される。
また、実施の形態においては、コロイド結晶構造体は、マトリックス材料を含んだが、これに限らない。コロイド結晶構造体は、マトリックス材料を含まず、コロイド粒子のみを含んでもよい。このときのコロイド粒子の中心間距離は、例えば、コロイド粒子の中心粒径と同等である。
実施の形態においては、透過反射膜層は、コロイド結晶構造体であったが、これに限らない。透過反射膜層は、コロイド結晶構造体を含めばよく、その他の構成要素を含んでいてもよい。例えば、透過反射膜層は、コロイド結晶構造体に加え、散乱粒子を含む散乱層又は光を導く導光層などを備えていてもよい。
なお、実施の形態1においては、コロイド結晶構造体に起因する反射ピークの半値全幅は、30nm以下である例を示したが、これに限らない。コロイド結晶構造体に起因する反射ピークの半値全幅は、50nm以下であってもよく、30nm以下であってもよく、20nm以下であってもよい。
また、各図に示されるように、実施の形態の透光部材において、光が入射される面は平滑である例を示したが、これに限らない。例えば、光が入射される面、及び/又は、光が入射される面と反対面に凸構造が設けられてもよい。この場合、透光部材は、凸レンズ又は両凸レンズとして機能する。また、透光部材が集光レンズであってもよい。しかしながら、透光部材は、これに限るものではなく、その他の形状でもよい。
なお、実施の形態2においては、蛍光材料は、反射光に含まれる波長を吸収し、波長変換する材料であったが、より厳密には、蛍光材料は、以下の性質をもつことが望ましい。
蛍光材料の励起極大波長は、反射光における反射ピーク波長と一致することが望ましい。これにより、蛍光材料は、反射光を吸収し、より効率よく蛍光を発することができる。すなわち、蛍光材料の発光効率を高めることができる。なお、励起極大波長とは、蛍光材料の励起スペクトルにおいて最も強い蛍光強度を与える波長である。例えば、励起極大波長と反射ピーク波長とが一致するとは、励起極大の強度(すなわち、励起ピーク強度)の70%以上となる励起強度に対応する励起波長の領域範囲内に、反射ピーク波長が位置することをいう。また、例えば、励起極大波長と反射ピーク波長とが一致するとは、励起極大波長をλ1(nm)とし、反射ピーク波長をλ2(nm)とすると、λ1-10nm<λ2<λ1+10nmの関係を満たすことであってもよい。
また、実施の形態1で示したように、コロイド結晶構造体を含む透過反射膜層を有する光学フィルタの低透過率の波長領域は、比較例の一つである色素体含有光学フィルタと比較すると、より波長領域が狭い。すなわち、コロイド結晶構造体を含む透過反射膜層を有する光学フィルタがコロイド結晶構造体を含むため、反射光は、よりシャープな反射ピーク波長を含む光となる。これにより、蛍光材料の蛍光材料の励起極大波長と反射光における反射ピーク波長とを、より容易に一致させることができるため、蛍光材料の発光効率をより高めることができる。
また、実施の形態2においては、第1透過反射膜層521a及び第2透過反射膜層522aが積層される例が示されたが、これに限らない。例えば、第1透過反射膜層及び第2透過反射膜層を平面視したとき(z軸負方向から見たとき)に、第1透過反射膜層の一部及び第2透過反射膜層の一部が重なる構造であってもよい。このように、積層とは異なる構造が用いられてもよい。
なお、実施の形態では、光学フィルタが筐体の底面と正対して取り付けられる構成、又は、筐体の円筒内周面に取り付けられてる構成が示されたが、これに限るものではない。光学フィルタは、光学フィルタが有する透過反射膜層に対して光源が放つ入射光が入射する位置関係であれば、どのような位置であってもよい。
なお、実施の形態においては、照明装置は、筐体を備えた照明装置として利用されたが、これに限らない。例えば、照明装置は、光源と、コロイド結晶構造体を含む透過反射膜層を有する光学フィルタとを備えた発光パッケージ又は電子部品であってもよい。
その他、上記各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態又は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。