JP3227109B2 - 金属・有機ポリマー複合体と多孔体 - Google Patents

金属・有機ポリマー複合体と多孔体

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JP3227109B2 JP14019397A JP14019397A JP3227109B2 JP 3227109 B2 JP3227109 B2 JP 3227109B2 JP 14019397 A JP14019397 A JP 14019397A JP 14019397 A JP14019397 A JP 14019397A JP 3227109 B2 JP3227109 B2 JP 3227109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、金属・有
機ポリマー複合体とその多孔体に関するものである。さ
らに詳しくは、この出願の発明は、触媒、メンブレンリ
アクター、帯電防止プラスチック等の機能材料として有
用な、新しい金属・有機ポリマー複合体とその多孔体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術とその問題点】従来より、貴金属等の微粒
子は触媒として多く用いられ、その単位重量あたりの触
媒活性は粒径が小さいほど大きい事が知られている。こ
のような観点からも、nmサイズの金属超微粒子は、様
々な用途への利用が期待されているが、nmサイズの粒
径を持つ金属超微粒子は表面の金属原子同士が結合して
凝集し易く、そのままで安定に存在することが困難であ
るため、界面活性剤やポリ(N−ビニル−2−ピロリド
ン)やポリ(2−ビニルピリジン)等のポリマーで保護
・安定化することが試みられている。(Mathias Brust e
t. al., J. Chem, Soc., Chem.Commun., 801, 1994 、N
aoki Toshima et. al., Chemistry Letters, 1245, 198
5) 。だが、このようにして得られた金属超微粒子は通
常、均一な溶液状であるため、触媒として用いた際の反
応生成物との分離が煩雑であることから、工業的に用い
るためには、シリカゲル、ポリマー等への固定化が望ま
れていた。そこで、これまでにも、その為の支持体の形
態としては、比表面積の大きい微多孔体であることが好
ましいことから、シリカゲル、活性炭、アルミナ等の無
機材料を用いることが検討されてきているが、これら無
機材料は基本的にはそれ自身が粉体であるためその成形
性・加工性の点で難がある。このため、これら無機材料
ではなしに、フィルムや膜の形態として用いる為にもポ
リマーによる支持膜が注目され、検討されてきた。
【0003】一方、ポリマーによる微多孔性膜の製法に
関しては、以下に代表される例が知られている。 (1)特開昭64−1739 スチレン誘導体と共役ジエンまたはアクリレート誘導体
のブロックコポリマーをミクロ相分離させ、共役ジエン
またはアクリレート誘導体を加水分解および酸素含有プ
ラズマで処理することにより多孔体を製造する方法。
【0004】(2)特開平2−279741 高分子両末端にイオン結合可能な官能基を持つポリマー
とその官能基とイオン結合可能な官能基を両末端に持つ
別のポリマーの混合物を溶液キャストし、出来たフィル
ムに形成されているミクロ相分離構造の一方の相を塩基
性または酸性の溶媒で抽出する。
【0005】(3)特開平5−287084 触媒等の担体としての可能性を持つとされる数百nmの
孔径を持つ多孔質膜の製法に関するものである。各種ブ
ロックコポリマーの形成するミクロ相分離構造のうち、
共連続構造であることを特徴として、その一方の成分を
分解又は溶出する方法であり、共連続構造であるが故に
形成された孔径分布が非常に狹いことを特徴としてい
る。
【0006】ただ、これらのポリマー微多孔膜が知られ
ているとしても、これらを支持体として金属超微粒子を
固定することは容易ではない。それと言うのも、固定の
ための方法としては、支持体表面に物理的に吸着させる
ことが最も簡単であるが、それでは担持した金属超微粒
子の流出が起きやすいからである。それを防ぐ為には、
これら支持体に金属超微粒子を何らかの化学的な結合に
より固定することが考えられる。これに関する具体的な
金属超微粒子の担持方法としては、たとえば、スチレン
とジビニルベンゼン共重合体の表面をイミノジアセテー
トで修飾した支持担体を用い、水/メタノール混合溶液
内でパラジウムイオンを還元することでパラジウム超微
粒子を支持体表面に形成・担持させる方法が報告されて
いる(H.Hirai, S.Komatuzaki, and N.Tosima; Bull. Ch
em. Soc. Jpn., 57, 488-494, 1984) 。たとえば以上の
ように、金属超微粒子を支持体であるポリマーの表面に
担持する方法は知られている。
【0007】金属微粒子の支持体への保持性の観点から
は、支持体表面に担持するより、支持体内部に保持され
ていることが好ましい。このようなポリマー内部への金
属超微粒子の導入方法については、ポリ(2−ビニルピ
リジン)とポリスチレンのブロック共重合体のポリ(2
−ビニルピリジン)相を1,4−ジヨードブタンにより
架橋した後、その中にヨウ化銀の微結晶を析出させ、そ
れを光還元することにより銀超微粒子を形成する方法
(R.Saito,S.Okamura and K.Ishizu, Polymer, 1993, 34
-6, 1189)、及び、メタクリル酸モノマーにパラジウム
(II)アセチルアセトナート錯体を溶解し、過酸化ベン
ゾイルで重合・固化させた後、その固化された物を加熱
することにより金属超微粒子を形成させる方法 (中尾幸
道;高分子、43巻、12月号、852-855, 1994)等が知られ
ている。しかしながら、前者はハロゲン化銀の微結晶の
光還元を利用した特殊な方法であり、白金、パラジウ
ム、ロジウム等の触媒として有用な金属系を含む広い金
属系に適用することができない。また、後者はホモポリ
マーの合成・架橋反応であるため、目的とする微多孔体
の形成の為のミクロ相分離構造形成を行うことができな
いという問題がある。
【0008】そこでこの出願の発明は、以上のような問
題点や技術的制約を克服し、従来のような微多孔性支持
担体表面(空孔壁面)に金属超微粒子を担持した金属・
有機ポリマー複合微多孔体ではなく、微多孔性支持担体
としてのポリマー内部に金属超微粒子を含有する、新し
い金属・有機ポリマー複合多孔体を提供することを目的
としている。
【0009】そしてまた、なによりもこの出願の発明
は、これら新しい多孔体の形成をも可能とする、新しい
金属・有機ポリマー複合体を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、まず第1には、互いに非
相溶の2種以上のポリマー鎖が各々の末端で結合したブ
ロックコポリマーによる金属・有機ポリマー複合体であ
って、前記ブロックコポリマーのミクロ相分離構造の一
方の相にのみ金属超微粒子が含有されていることを特徴
とする金属・有機ポリマー複合体(請求項1)を提供す
る。
【0011】そして、金属超微粒子は、その粒径が10
ナノメートル(nm)以下である複合体(請求項2)、
ミクロ相分離構造は、球、シリンダー、ラメラ、共連続
もしくはその類似構造である複合体(請求項3)等をそ
の態様として提供する。また、第2には、この出願の発
明は、前記の複合体の製造方法であって、金属超微粒子
の支持体となるべきポリマーと相溶性のあるポリマーで
金属超微粒子の最表面を保護被覆し、次いで支持体とな
るべきポリマー鎖を含むブロックコポリマーを混合して
無秩序混合状態にある溶液または溶融体を生成させ、溶
媒キャストもしくは温度低下によりブロックコポリマー
の相分離構造を形成することで、ブロックコポリマーの
相分離構造の一方の相にのみ金属超微粒子を取込ませる
ことを特徴とする金属・有機ポリマー複合体の製造方法
(請求項4)を提供する。
【0012】そして第3には、この出願の発明は、ミク
ロ相分離構造を持つブロックコポリマーに金属超微粒子
が含有されている多孔体であって、金属超微粒子はミク
ロ相分離構造の一方の相にのみ含有されていることを特
徴とする金属・有機ポリマー複合多孔体(請求項5)
と、その態様としての、ミクロ相分離構造が共連続構造
であって、一方の相には金属超微粒子が含有され、他方
の相は空孔化されている複合多孔体(請求項6)等を提
供する。
【0013】さらに、この出願の発明は、第4には、前
記複合多孔体の製造方法であって、ブロックコポリマー
の共連続相分離構造の一方の相にのみ金属超微粒子が含
有されている金属・有機ポリマー複合体において、孔を
形成するポリマーを分解するか、またはその相中に共存
しているホモポリマー等の異物を溶解して孔を形成する
ことを特徴とする金属・有機ポリマー複合多孔体の製造
方法(請求項7)と、前記複合多孔体の製造方法であっ
て、支持体となるべきポリマー鎖を含むブロックコポリ
マーに金属超微粒子が含有されている無秩序状態の金属
・有機ポリマー複合体に対し、孔を形成する相のポリマ
ー鎖と相溶性のあるホモポリマーを混合し、秩序化によ
り共連続構造を形成した後に、ホモポリマーを溶出させ
ることで孔を形成することを特徴とする金属・有機ポリ
マー複合多孔体の製造方法(請求項8)をも提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴を持つものであるが、金属・有機ポリマー複合体
とその多孔体を形成するとの観点からは、たとえば以下
の要件により説明することができる。すなわち、金属
超微粒子の支持体となるべきポリマーと相溶性のあるポ
リマーでその最表面を保護された金属超微粒子と、そ
の支持体となるべきポリマー鎖を含むブロックコポリマ
ーを混合し、ブロックコポリマーと金属超微粒子が無秩
序混合状態にある溶液または溶融体を作る。この無秩
序混合体から溶媒キャストまたは温度低下により、ブロ
ックコポリマーの相分離構造を形成させ、金属超微粒子
をその相構造内に取り込んだ金属・有機ポリマー複合体
を得る。この金属・有機ポリマー複合体は、ブロックコ
ポリマーの形成する相分離構造の一方にのみ金属超微粒
子を取り込んだ構造となっている。そのため、電気抵抗
が金属超微粒子を含まないポリマーに比べて小さいこと
が期待され、帯電防止プラスチックとしてそのまま用い
ても良い。
【0015】この金属・有機ポリマー複合体が形成し
ているミクロ相分離構造のうち、共連続構造のもので
は、金属超微粒子を含有している相(金属超微粒子支持
相)と含有していない相(空孔形成相)がそれぞれ連続
したネットワークを形成している。そのため、空孔形成
相のポリマーを分解する、またはその相中に共存してい
るホモポリマー等の異物を溶解することにより、連続孔
を形成することが出来る。その結果、金属超微粒子を支
持体ポリマー内部に保持した微多孔性体を得る。以下
に、さらに、これらの項目個々について詳述する。
【0016】ポリマーで保護された金属超微粒子。 微多孔性体内部に固定すべき金属超微粒子は、「その支
持体とすべきポリマーと相溶性のあるポリマーでその表
面を保護された直径数nmの金属超微粒子」であれば金
属の種類及びポリマーの種類は任意のものでも良く、
「マトリックスとすべきブロックコポリマーが相分離構
造を形成し始める濃度以下で、その保護された金属超微
粒子が凝集することがない」との条件を満たしていれば
良い。この条件を満足している限り、例えば、「有機溶
媒中に形成されたブロックコポリマーのミセル中での金
属塩の還元によって作られたブロックコポリマーにより
保護された金属超微粒子(Markus Antonietti., et. a
l., Advanced Materials, 1000, 7, No.12, 1995) 」等
を用いることもできる。ただマトリックスであるブロッ
クコポリマーのミクロ相分離構造の乱れを抑え、望みの
ミクロ相分離構造を形成させるためには金属超微粒子の
粒径がそろっていることが好ましい。そのためには、た
とえば、下記の方法(特願平09−55234;科学技
術振興事業団、(舩木克典、原田雅史))により合成し
たポリマー保護金属超微粒子を用いることが好ましい。
【0017】すなわち、前記の特願平09−55234
号の出願の発明では、ポリマーで保護された金属超微粒
子を形成する為の反応系が均一有機溶媒系であることに
より、粒径のそろえられたポリマーで保護された金属超
微粒子であることを特徴としている。また、金属超微粒
子を保護するポリマーが金属と親和性のある部位を持つ
ことをも特徴としている。金属超微粒子を保護するポリ
マーとしては、具体的には、ポリ(2−ビニルピリジ
ン)、ポリアミノスチレンなどの窒素原子を持つモノマ
ーユニットから構成されるもの、ポリ(メチルメタクリ
レート)などの酸素原子を持つモノマーユニットから構
成されるもの、ポリプロピレンスルフィドなどの硫黄を
含むモノマーユニットから構成されるものなどがある
が、基本的に金属または金属イオンとの親和性があれば
任意のもので良く、これらの金属配位子ポリマーの末端
から、他のモノマーをリビング重合等により成長させた
ブロックコポリマー、他のモノマーとのランダムコポリ
マーであっても良い。金属との親和性のあるポリマー鎖
の数平均分子量(Mn)は1,000〜1,000,0
00であればよいが5,000〜500,000が好ま
しい。ポリマーの合成のし易さ、保護クラスターの安定
性の観点からは10,000〜300,000がより好
ましい。
【0018】これらのポリマーと有機溶媒可溶の金属錯
体および、アルコールなどの還元剤をそれらの共通溶媒
に溶解し、加温することでポリマーで保護された金属超
微粒子を作成することができる。このようにして合成さ
れたポリマーで保護された金属超微粒子は、合成条件
(ポリマーの分子量、反応時間等)に依存せずほぼ一定
の粒径(約4nm)とすることができる。
【0019】ブロックコポリマーの合成。 金属超微粒子とブレンドするポリマーとして、「金属超
微粒子がその内部に含有される相(多孔体の場合は金属
超微粒子の支持体)を形成すべきポリマー鎖」とそれと
非相溶なポリマー鎖がそれぞれの末端で結合したブロッ
クコポリマーを合成する。すなわち、最終的に多孔体と
する場合は、支持体用ポリマー鎖と孔形成用ポリマー鎖
の2種からなるブロックコポリマーを設計し、合成す
る。このブロックコポリマーのブロック数は特に制限は
ないが、共連続構造を取りやすいA−B型ジブロックコ
ポリマーまたはA−B−A型トリブロックコポリマーが
好ましい。これらのブロックコポリマーが形成するミク
ロ相分離構造の一方のみに金属超微粒子を含有した金属
・有機ポリマー複合体を形成するためにブロックコポリ
マーに望まれる要件はたとえば以下のとおりである。
【0020】(i)金属超微粒子含有相を形成するポリ
マー鎖:金属を保護しているポリマーと相溶性があれば
何でも良い。例えばポリスチレン、ポリ(2−ビニルピ
リジン)、ポリ(メチルメタクリレート)等がある。 (ii)金属超微粒子を含まない相を形成するポリマー
鎖:金属超微粒子含有相を形成するポリマー鎖および金
属を保護しているポリマーと相溶性がなければ何でも良
い。また、これらブロックコポリマーを構成しているポ
リマー鎖の数平均分子量(Mn)にはとくに制限はない
が、1,000〜1,000,000であれば良く、ポ
リマーの合成し易さ及び金属超微粒子の導入し易さの点
からはMn=5,000〜500,000のものが好ま
しい。また、上記2種のポリマー鎖の分子量比率は形成
したいミクロ相分離構造に応じて決定される。一方、金
属・有機ポリマー複合体のうち、共連続構造を形成する
ものを用い、最終的に金属・有機ポリマー複合多孔体を
形成する際には、上記ブロックコポリマーを構成するポ
リマー鎖に対して、さらに次の要件が望まれる。
【0021】<a>多孔体における金属超微粒子支持体
とするポリマー鎖は、金属を保護しているポリマーと相
溶性があるだけでなく、室温で支持体構造が壊れない条
件を満足することが望ましい。そのポリマー鎖のガラス
転移温度が室温より高い、(例;ポリスチレン、ポリ
(2−ビニルピリジン)、ポリ(メチルメタクリレー
ト)等)、そして/または支持体ポリマーのモノマーユ
ニットが架橋性の官能基(例えば、アミノ基、イミノ
基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン、ジメチル−プ
ロポキシシリル基等)を持っており、それに対応した架
橋剤を用いることで構造の固定が出来ることが必要であ
る(例えば;ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(ジメ
チル−2−プロポキシシリルスチレン)等)。
【0022】これら支持体形成用ポリマー鎖の数平均分
子量(Mn)にはとくに制限はないが、1,000〜
1,000,000であれば良く、ポリマーの合成し易
さ及び金属超微粒子の導入し易さの点からはMn=5,
000〜500,000のものが好ましい。 <b>ブロックコポリマーのもう一方のポリマー鎖(最
終的に孔を形成する相を構成するポリマー)は、ミクロ
相分離構造を形成する条件、すなわち「支持体とすべき
ポリマーと非相溶であり、かつポリマーで保護された金
属超微粒子とも非相溶であること」を満足していれば基
本的には何でも良いが、孔を形成する場合には、具体的
なポリマーの種類および分子量は後に述べる分解方法に
依存して異なっている。後述のの項目にこの点は詳述
する。
【0023】ブロックコポリマーの相分離による共連
続構造形成および支持体ポリマー相の内部への金属超微
粒子の選択的導入(金属・有機ポリマー複合体の形成)
上記の条件を満足するブロックコポリマーを、上記
の条件を満足する金属超微粒子と共にその系の「秩序−
無秩序転移温度(TODT )」以上に温度を上げて溶融す
るか、これらの共通溶媒に溶解することにより、それら
すべてが相溶した「無秩序状態」を作り出す。この「無
秩序状態」から温度をTODT 以下に下げるか又は溶媒を
蒸発させ濃縮する(キャスト)ことにより、ブロックコ
ポリマーの各ポリマー鎖が相分離して共連続構造を形成
する。その際、支持体とすべきポリマー相中のみに金属
超微粒子が取り込まれ、「ブロックコポリマーの一方の
相内のみに金属超微粒子が存在する相分離構造体」を得
ることができる。なお、秩序状態におけるミクロ相分離
構造をコントロールするため、ブロックコポリマーを構
成している各ポリマーと同種のホモポリマーをその系に
混入しても良い。また、最終的に形成される金属超微粒
子含有微多孔体の柔らかさを調整するため必要に応じて
可塑剤を混入しても良い。
【0024】金属超微粒子を含有した微多孔体(金属
・有機ポリマー複合多孔体)の形成上記で形成された
金属・有機ポリマー複合体から、金属超微粒子を支持体
内部に含有した微多孔体を形成する為には、下記の空孔
形成方法を適用することができる。 (i)金属超微粒子を含んでいない相を形成しているポ
リマー鎖を分解する方法。
【0025】金属を含んでいない相を構成するポリマー
鎖を選択的にモノマー単位の大きさまで分解すること
で、最終的に金属超微粒子がその支持体ポリマー内部に
取り込まれた微多孔性体を得る。この場合適用可能なポ
リマーとしては、古くから知られているオゾン分解の適
用可能な共役ジエン系ポリマー(ポリブタジエン、ポリ
イソプレン等)が代表的なものとして例示される。
【0026】また、光分解を用いる場合には、ポリメチ
ルビニルケトン等その特性吸収波長によって光分解が出
来るポリマーを用いても良い。また、その数平均分子量
(Mn)は共連続構造を形成させる観点から、支持体の
分子量とほぼ同じぐらいが好ましく、支持体の分子量に
応じて設計することができる。
【0027】(ii)金属超微粒子を含んでいない相内
へ、この相を構成しているポリマー鎖と相溶性のある同
種のホモポリマー・オリゴマー・モノマー等を相溶させ
共連続相分離構造を形成した後、これらを溶媒にて溶出
することにより、孔を形成する方法。この場合、ポリマ
ー鎖自身が分解性である必要はなく(あっても良い)、
金属超微粒子を保持する支持体用ポリマー鎖と非相溶性
であれば何でも良い。しかしながら、溶出すべきホモポ
リマー・オリゴマー・モノマーを含んだ状態で共連続構
造を形成するため、混入するホモポリマー等の体積分率
を差し引いた分子量にブロックコポリマーを設計するこ
とが望まれる。
【0028】(iii) その他 上記の方法以外に、イオン結合、エステル結合、アミド
結合等の酸、塩基により切断出来る結合様式により2種
のポリマーの末端同士を結合したブロックコポリマーを
用いる。それによる上記と同様な金属・有機ポリマー
複合体を形成後、ポリマー間結合を切断し、金属超微粒
子を含まない相を溶解除去する方法(特開平2−279
741等)を用いることもできる。
【0029】また、これらの空孔形成方法を組み合わせ
て用いても良い。たとえば以上のように説明されるこの
出願の発明の金属・有機ポリマー複合多孔体では、支持
体相内に「あらかじめ合成された支持体と相溶性のある
ポリマーで保護された金属超微粒子」が含有されている
ため、支持体表面に担持させた複合体に比べて金属超微
粒子の保持性が高いだけでなく、支持体に用いるポリマ
ーに金属超微粒子を保持するための「金属に対する結合
性の強いイミノジアセテート基など」の特別なキレート
性の官能基を必要とせず、「ポリスチレン、ポリ(メタ
クリレート)、ポリ(2−ビニルピリジン)等」の比較
的汎用のポリマーで支持体を構成することができる。ま
た、金属・有機ポリマー複合多孔体を形成する方法とし
て、ブロックコポリマーの形成するミクロ相分離構造
(共連続構造)を利用しているため、孔径が小さく(数
十から数百nm)、かつ空孔率も大きく、50%近いも
のを得ることができる。その結果、金属超微粒子を内部
に含むポリマー支持体の表面積を大きくすることがで
き、メンブレンリアクター等の応用に適している。
【0030】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。
【0031】
【実施例】ポリ(2−ビニルピリジン)のホモポリマー
(P2VP:Mn=50,000)とパラジウムアセチ
ルアセトナート(Pd(acac)2 )のベンゼン溶液に還元
剤としてn−プロピルアルコールを次の割合で混合し8
5℃で50時間加熱することにより、P2VPで表面を
保護された平均粒径が4.5nmのPd超微粒子を得
た。
【0032】 (Pd(acac)2 )濃度=6.6×10-4mol/l 2−ビニルピリジンモノマーユニット濃度=2.6×1
-2mol/l n−プロピルアルコール濃度=50volume% この反応後の溶液を一旦蒸発乾固し、1,4−ジオキサ
ンに溶解した後50000rpm・2時間の条件で超遠
心分離を数回行う事により、P2VPで保護されたパラ
ジウム超微粒子((Pd)n −P2VP)を精製した。
この((Pd) n −P2VP)とポリ(2−ビニルピリ
ジン)とポリイソプレンによって構成されるジブロック
コポリマー(P2VP−b−PI:Mn=23,000
−17,000)をこれらの共通溶媒であるクロロホル
ムに下記割合で溶解し、さらに組成調整のため、ポリイ
ソプレンのホモポリマー(PI:Mn=7,000)及
びP2VPホモポリマー(Mn=50,000)を添加
した。
【0033】 溶液組成: P2VP−b−PI(Mn=23,000−17,000)=100mg ((Pd)n −P2VP) =0.4mg PI(Mn=7,000) =30mg P2VP(Mn=50,000) =16mg 溶媒;クロロホルム =20ml この溶液をテフロン容器中でキャストする事により、ジ
ブロックコポリマー(P2VP−b−PI)がミクロ相
分離し、((Pd)n −P2VP)とP2VPホモポリ
マーを含んだP2V相とPIホモポリマーを含むPI相
の2相からなる共連続構造(各相の厚みは数十nm)を
持つフィルムを形成した。
【0034】このフィルムを真空乾燥した後、1,4−
ジヨードブタンによるピリジンの4級化反応によりピリ
ジル基間を架橋することにより、(Pd)n −P2VP
を含むP2VP相の形状を固定化した。この固定化した
キャストフィルムをヘキサンで洗浄することでPI相に
含まれるPIホモポリマーを溶出し、PI相に空洞を形
成した。さらに、ブロックコポリマーの構成体であるP
I鎖をオゾン分解することでこの空洞をさらに広げた。
その結果、粒径約4nmのPd超微粒子をその内部に固
定したP2VPの微多孔膜(平均孔径および平均マトリ
ックス幅共に数十nm)を得た。
【0035】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明により、そのまま帯電防止プラスチックとして利用
することや、さらには新規な複合多孔体の先駆体として
有用な、新しい金属・有機ポリマー複合体が提供され
る。そして、この出願の発明では、別途用意した多孔質
ポリマー支持体表面(空孔壁面)に金属超微粒子を担持
するのではなく、金属超微粒子を含む金属・有機ポリマ
ー複合体を多孔化することにより得られる全く新規な金
属・有機ポリマー複合微多孔体が提供される。
【0036】これらは、触媒、メンブレンリアクター等
の機能材料として有用なものとされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 竹治 京都府京都市左京区吉田中大路町19 (56)参考文献 米国特許5234758(US,A) 米国特許4252677(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/20 - 3/21 C08J 9/26

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに非相溶の2種以上のポリマー鎖が
    各々の末端で結合したブロックコポリマーによる金属・
    有機ポリマー複合体であって、前記ブロックコポリマー
    のミクロ相分離構造の一方の相にのみ金属超微粒子が含
    有されていることを特徴とする金属・有機ポリマー複合
    体。
  2. 【請求項2】 金属超微粒子は、その粒径が10ナノメ
    ートル(nm)以下である請求項1の複合体。
  3. 【請求項3】 ミクロ相分離構造は、球、シリンダー、
    ラメラ、共連続もしくはその類似構造である請求項1の
    複合体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの複合体の
    製造方法であって、金属超微粒子の支持体となるべきポ
    リマーと相溶性のあるポリマーで金属超微粒子の最表面
    を保護被覆し、次いで支持体となるべきポリマー鎖を含
    むブロックコポリマーを混合して無秩序混合状態にある
    溶液または溶融体を生成させ、溶媒キャストもしくは温
    度低下によりブロックコポリマーの相分離構造を形成す
    ることで、ブロックコポリマーの相分離構造の一方の相
    のみ金属超微粒子を取込ませることを特徴とする金属・
    有機ポリマー複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ミクロ相分離構造を持つブロックコポリ
    マーに金属超微粒子が含有されている多孔体であって、
    金属超微粒子はミクロ相分離構造の一方の相にのみ含有
    されていることを特徴とする金属・有機ポリマー複合多
    孔体。
  6. 【請求項6】 ミクロ相分離構造が共連続構造であっ
    て、一方の相には金属超微粒子が含有され、他方の相は
    空孔化されている請求項1の複合多孔体。
  7. 【請求項7】 請求項5または6の複合多孔体の製造方
    法であって、ブロックコポリマーの共連続相分離構造の
    一方の相にのみ金属超微粒子が含有されている金属・有
    機ポリマー複合体において、孔を形成するポリマーを分
    解するか、またはその相中に共存しているホモポリマー
    等の異物を溶解して孔を形成することを特徴とする金属
    ・有機ポリマー複合多孔体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6の複合多孔体の製造方
    法であって、支持体となるべきポリマー鎖を含むブロッ
    クコポリマーに金属超微粒子が含有されている無秩序状
    態の金属・有機ポリマー複合体に対し、孔を形成する相
    のポリマー鎖と相溶性のあるホモポリマーを混合し、秩
    序化により共連続構造を形成した後に、ホモポリマーを
    溶出させることで孔を形成することを特徴とする金属・
    有機ポリマー複合多孔体の製造方法。
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