JP5734176B2 - 食品材料の連続加熱方法および連続加熱装置 - Google Patents

食品材料の連続加熱方法および連続加熱装置 Download PDF

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Description

この発明は、ジュール加熱による食品材料の連続加熱方法、食用肉類加工食品の製造方法および食用肉類加工食品並びに食品材料の連続加熱装置に関するものである。
一般に、食品材料を加熱する手段としてジュール加熱による加熱方法が周知である。
ジュール加熱は、食品材料を導電体として通電し、その際に食品材料の有する電気抵抗を利用して食品材料を発熱させて加熱する手段であり、例えばマヨネーズや飲料、ジャム類などの流動性食品材料の加熱工程に用いられている。
このような流動性食品材料のジュール加熱による加熱装置としては、流動性食品材料の移送される管路の内面の一部を構成するように環状の電極を複数設け、管路の上流側の電極と下流側の電極の間で電圧を加えて、その間で管路内の流動性のある食品材料に通電し、加熱するものが周知である。
ところで、このようなジュール熱による加熱方法に利用される食品材料としては、液状の流動性を有するものばかりでなく、管路内で熱凝固して流動性のなくなる蛋白質を含むソーセージのような食品を用いる要望もあり、この場合には蛋白質と共に所定量の脂質を含有させて潤滑性や柔らかさを調整し、移送可能な状態を保つことが知られている(特許文献1)。
また、ハムやソーセージなどの畜肉加工用ケーシング(袋)として、ビスコース加工紙からなる筒状のファイブラスケーシングは充填後もスモーク加工を行なえるものとして周知であり、これでハムやソーセージを包む場合には、それらの両端部にアルミ製などのワイヤークリップを取り付けて個別に結紮している。
このようなハム・ソーセージをジュール熱で加熱する方法としては、ハム・ソーセージの両端を結紮しているワイヤークリップにスパークが生じないように、環状(ドーナツ型)の電極を所定の圧力で押し当てて低周波数の交流電流を用いて加熱する方法が知られている(特許文献2)。
また、ジュール熱を用いた冷凍食品の解凍装置として、容器に入れた0.1〜4.5重量%の食塩水に冷凍食品を浸し、一対の電極板の間に食塩水を介して冷凍食品に交流電圧を印加して発熱させ、解凍することが知られている(特許文献3)。
特開2011−92102号公報 特開2005−27565号公報 特開2005−65690号公報
しかし、上記した特許文献1に記載されるハム・ソーセージなどの食肉材料の連続加熱方法では、食品材料に所定量の脂肪量を調整する必要があって加熱対象に制約が多く、また食品材料が電極や絶縁部品など多くの部品に管路内で接触するので、スケールが多く発生しやすく、製造工程での作業の煩雑性や製造効率について問題がある。
また、特許文献2に記載されるようなハム・ソーセージをジュール熱で加熱する方法では、個別のハム・ソーセージに対してファイブラスケーシングの外部から電極を所定の圧力で両端部に押し付ける必要があるので、これでは多量の食材を連続的に加熱できないという問題点がある。
また、特許文献3に記載されるような加熱方法では、被解凍食品に交流電圧を与える際に、被加熱食材を個別に食塩水に沈めて静置しておく必要があるので、食塩水中に被加熱食材が流れ出さない程度の低温での解凍加熱しかできず、蛋白質が加熱変性されるような75〜85℃程度の加熱は困難であり、また食品材料を管路などで移送しながら連続的に加熱できるものではなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、ジュール熱を利用して管路を移送しながら加熱する方法または装置について、滞留しやすく移送性の損なわれやすい食用肉類を含む食品材料を連続的に加熱でき、しかも移送中に管路にスケールを発生させ難く、食用肉類の蛋白質の変性する温度まで連続的に加熱できる効率の良いジュール加熱による食用肉類の連続加熱方法および加熱装置にすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、食用肉類を含む食品材料を管路で移送しながら電圧を印加し、前記食品材料にジュール熱を発生させて、加熱された食品材料を前記管路から連続的に取り出すようにした連続加熱方法において、前記管路は、外管と、この外管より小径で前記食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管とからなり、前記内管と外管の間に導電性塩類水溶液を介在させて、前記食品材料を内管で移送する際に、移送の上流側および下流側の前記導電性塩類水溶液に電圧を印加することにより、前記内管を介して前記食品材料に通電しジュール加熱することを特徴とする食品材料の連続加熱方法としたのである。
上記した工程からなるこの発明の食品材料の連続加熱方法によると、食品材料を移送する透水性の内管と外管の間に導電性塩類水溶液が介在しているから、この導電性塩類水溶液に印加された電圧は、導電性塩類水溶液をジュール加熱して内管を加熱し、さらに透水性の内管を介して導電性塩類水溶液の接触する食品材料にも電圧が印加されて、食品材料の全体をジュール加熱する。
これによって、食品材料は、移送されながら内部からも表面からも同時に加熱される。
また、この加熱において、食用肉類の蛋白変性温度を超えるように加熱された場合、食用肉類を含む食品材料は硬くなって流動性は低下するが、通常、内管には電極も継ぎ目もない状態のものが採用できるので、食品材料の移送中に管路にスケールを発生させ難く、食用肉類の蛋白質の変性する温度までも連続的に加熱できる方法になる。
また、上記導電性塩類水溶液が、塩類濃度の調整された導電性塩類水溶液である場合には、濃い塩類濃度で発生するジュール熱量よりも薄い塩類濃度で発生するジュール熱量の方が電気抵抗の増加によって大きいことから、ジュール熱による加熱温度を塩類濃度の調整によって加減することができる。
また、ジュール熱の発生量の調整は、上記内管と外管の間に導電性塩類水溶液を介在させる手段として、管路外で調製された導電性塩類水溶液の所定流量を内管と外管の間に導入して流通させてから管路外に排出する流通手段を採用することによっても可能である。
この場合、管路外で導電性塩類水溶液の濃度調整が可能であると共に、導電性塩類が低濃度である場合には流通する流量を少なくし、高濃度である場合には流量を多くすることにより、一定のジュール熱の発生量を維持することができ、さらには流量調整によって発熱量を増減させて調整することができる。
そして、上記したような食品材料の連続加熱方法を用いる際、食用肉類を含む食品材料の移送される量を圧送ポンプで調整して、食品材料を内管内に適度の圧力で圧送させると共に食用肉類の蛋白質の適度に変性する温度まで加熱し、食用肉類などに対する周知の押し出し成形方法を採用することにより、上記の連続加熱方法を用いて食用肉類加工食品を加熱押出成形によって製造することができる。
このように上記の連続加熱方法を用いると、内管の形状で移送されながら成形されるので、加熱押出成形された食用肉類加工食品を得ることができる。
また、上述した食品材料の連続加熱方法を採用した連続加熱装置として、食用肉類を含む食品材料を移送する管路を設け、この管路は非透水性の外管の内側に絶縁性スペーサを介して前記外管より小径で前記食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管を保持したものからなり、前記内管と外管の間隙に別途設けた管路から供給される導電性塩類水溶液を満たし、前記外管はその一部を絶縁筒で設けると共にこの絶縁筒を挟んで環状電極を1対以上設け、前記環状電極に交流電源を接続して前記導電性塩類水溶液および前記内管中を移送される食品材料にジュール熱を発生させる食品材料の連続加熱装置とすることが好ましい。
このような連続加熱装置の外管は、その一部を絶縁筒で設け、この絶縁筒を挟んで環状電極を1対以上設けたものからなり、前記環状電極には交流電源が接続されるので、外管の内側に接する導電性塩類水溶液はジュール加熱され、さらに環状電極が導電性塩類水溶液を介して内管中を移送される食品材料にも電圧が印加されてジュール加熱により加熱される。
また、ジュール加熱された導電性塩類水溶液は内管を加熱するから、食品材料は、移送されながら内部からも表面からも同時に加熱される。
また、通常、内管には電極も継ぎ目もない状態のものが採用されるので、食品材料の移送中に管路にスケールを発生させ難く、食用肉類の蛋白質の変性する温度までも連続的に加熱できる装置になる。
また、ジュール加熱量の調整可能な加熱装置とするためには、上記内管と外管の間隙に、導電性塩類水溶液の供給路と排出路を接続し、前記供給路には導電性塩類水溶液の塩類濃度の調整装置もしくは流量調整弁またはこれら両方を設けた食品材料の連続加熱装置とすることが好ましい。
このようにすると、ジュール熱の発生量の調整は、導電性塩類水溶液の塩類濃度の調整装置もしくは流量調整弁またはこれら両方を用いて行なうことができる。
また、押出して移送される食品材料を所定形状に成形できる連続加熱装置とするためには、上記した装置において、上記管路が、外管の内側に管路に沿って延びる複数の柱状絶縁性スペーサを配置して前記内管を所定形状に整える。これにより前記内管を通過して加熱されかつ押出される食品材料を前記所定形状に成形することができる食品材料の連続加熱装置になる。
以上のようにこの発明のジュール加熱による食品材料の連続加熱方法、食用肉類加工食品の製造方法および食用肉類加工食品並びに食品材料の連続加熱装置は、食品材料を従来のように燃焼ガスから発生する赤外線などを利用する外部加熱に頼ることなく、ジュール加熱によって食品材料の内部から表面まで均一に通電して加熱することにより、食品加工に要するエネルギーの効率を向上させる省エネルギー効果があり、また加熱用の燃焼ガスの不使用による二酸化炭素の排出抑制効果、すなわち環境負荷低減効果を有するものである。
この発明は、ジュール熱を利用して管路を移送しながら食用肉類を含む食品材料を加熱する方法または装置について、管路を外管と、これより小径で前記食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管とから構成し、前記内管と外管の間に導電性塩類水溶液を介在させて、移送の上流側および下流側の前記水溶液に電圧を印加して、前記内管を介して前記食品材料をジュール加熱したので、滞留しやすく移送性の損なわれやすい食用肉類を含む食品材料を連続的に加熱でき、しかも移送中に内管にスケールを発生させ難く、食用肉類の蛋白質の変性する温度まで連続的に加熱できる効率の良いジュール加熱による食用肉類の連続加熱方法および加熱装置になるという利点がある。
また、このような加熱方法および装置を用いて、所定のサイズで均質な食用肉類加工食品を得ることができる利点もある。
実施形態の連続加熱装置を説明する管路の一部断面側面図 図1のII−II線断面図 他の実施形態を示す管路の断面図
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1、2に示すようにこの発明の食品材料の連続加熱方法およびそれを実施するための装置は、食用肉類を含む食品材料Aを管路1で移送しながら交流電源Eより電圧を印加し、食品材料Aにジュール熱を発生させて、加熱された食品材料A´を管路1から連続的に取り出すようにした連続加熱方法である。
管路1は、外管2と、これより小径で食品材料Aに対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管3とからなり、外管2と内管3の間には導電性塩類水溶液Ws(図2)を介在させ、食品材料Aを内管で移送する際に、移送の上流側および下流側の塩類水溶液Wsに交流電源Eから電圧を印加することにより、導電性塩類水溶液Wsを含浸した透水性の内管3を介して食品材料Aに通電してジュール加熱する連続加熱方法である。
このような加熱方法に好ましく採用される連続加熱装置は、食用肉類を含む食品材料Aを移送する管路1を、樹脂や金属などからなる非透水性の外管2の内側にその長手方向に延びるように配置された柱状の絶縁性スペーサ4を介して小径の内管3を保持したものからなり、内管3と外管2の間隙には配管5から供給される導電性の塩類水溶液Wsを満たし、外管2はその一部を絶縁筒6で設けると共に、この絶縁筒6を軸方向に挟んで環状電極7を1対以上(図示では2対)設けたものであり、環状電極7には交流電源Eを接続し、導電性塩類水溶液Wsおよび内管3の内側に接して移送される食品材料Aにジュール熱を発生させるようにした食品材料の連続加熱装置である。上記した内管3は、食用肉類を含む食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する材質の筒状素材で形成されている。
この発明に用いられる食用肉類を含む食品材料Aは、ハムやソーセージを代表例とする食品材料であるが、この発明でいう食用肉類は、人間が食用に供する動物組織であり、いわゆる食肉としての豚肉、牛肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉、家と肉または家きん肉の他、魚肉、鯨肉、甲殻類の肉、軟体動物その他、いわゆる魚以外の水産動物の肉を含めていう。
また、食用肉類以外に含まれてもよい食材としては、例えば野菜やチーズなどの乳製品、香草やきのこ類、海藻類、調味料などの周知の食材が挙げられ、特に限定なく周知の食材を利用できる。
管路1を構成する外管2は、樹脂などの絶縁性素材からなる円筒形状の絶縁筒6と、チタンなどの導電性材料からなる環(リング)状電極7を交互に配置して熱接着などにより一体に接続されたジュール加熱ユニット8を採用できる。
一方、内管3の素材としては、ハムやソーセージ食材が透過しない程度の細孔を有する多孔質性の透水性素材を採用することができる。多孔質性の透水性素材としては、繊維材料からなる紙状または不織布状、編織布状のもの、樹脂シートやゴムシートまたはセラミックスなどからなるスポンジ状の連続気泡を有するものなどをチューブ状に成形加工して採用することができる。
繊維材料からなる紙状の内管素材としては、ビスコース加工紙材であるファイブラスケーシングが挙げられる。このものは、麻原紙に木材パルプから得られる再生セルロース(ビスコース)を含浸し、植物油などで柔軟性を持たせたものであり、一般にハムやソーセージなどの畜肉加工用の袋として周知なものであって、水分を蒸散可能な透水性または透湿性を有している。
その他の周知の透水性素材としては、織布(濾し布)、不織布、オイルリムーブや溶剤抽出によって製造される多孔性シートまたはフィルムの積層体、ポリテトラフルオロエチレンや超高分子量ポリエチレンの焼結体からなる多孔性素材、超高分子量ポリエチレンやポリアミド系樹脂を延伸しフィブリル化させた多孔質フィルムの積層体、物理発泡シート、化学発泡により連続気泡を形成したスポンジ状の素材、微細な目合いの金網などが挙げられる。
図2に示すように、このような透水性素材からなる内管3と非透水性の外管2の間隙に導電性塩類水溶液Wsを満たし、その際に内管3を安定した成形のできる形状に保つためには、外管2の内側に管路に沿って長手方向を並列に揃えて複数の柱状の絶縁性スペーサ4を周方向に所定間隔で配置し、内管3の外側を所定形状に整えることが好ましい。
図3に示すように、外管2の内側に軸方向に沿って径の異なる複数の柱状絶縁性スペーサ9を配置して内管を楕円形状その他の円形状、または多角形状その他の方形状などの周知形状に整えておけば、内管3を通過しながら加熱されて、そのまま押出される食品材料Aを所定形状に押出成形することができる。
このような内管3と外管2の間隙に介在させる導電性塩類水溶液Wsとしては、食品または食品添加物として採用できる電解質性の塩類を採用でき、例えば塩化ナトリウムを主成分とする食塩が挙げられ、これには微量成分として塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどが含まれている。このような塩の成分は、いずれも水溶液中にイオン状態で存在し、塩濃度が高いほど導電性(電気伝導度)を大きくする。
このような導電性塩類水溶液Wsの濃度調整は、例えば食塩水溶液の場合は、0.1〜4.5質量%、好ましくは0.2〜4.0質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%に調整すればよく、通常は1質量%程度を目安に採用して好ましい結果を得ている。
図1に示すように、内管3と外管2の間に調整された導電性塩類水溶液Wsを適量介在させる手段としては、管路外の混合調製器10などで水Wと塩類Sを配合して調製された導電性塩類水溶液Wsを、ポンプPで単位時間当たり所定流量として流量計を備えた流量調整弁11を経由して内管3と外管2の筒状の間隙の一端に設けた供給口12から導入して間隙内を流通させ、他端の排出口13から管路外に排出する流通手段としては、必要に応じて循環路(図示せず)を設けることが導電性塩類水溶液Wsの塩類濃度の調整および流量調整を行なうために好ましい。
この発明に用いる交流電源Eは、導電性塩類水溶液Wsが電気分解されないように所要の周波数の交流を採用するが、電圧や周波数は塩類水溶液の濃度や食品材料の加熱変性の特性に合わせて調整して採用すればよく、50Hzや60Hzまたはそれ以下の低周波数に調整してもよく、例えば20KHzのような高周波を採用する場合には、パワーユニットを採用して調整すればよい。
このように構成した食品材料の連続加熱装置を使用するには、ホッパーおよび送り出しポンプ付の充填機14から食用肉類を含む食品材料Aを、原料供給管15を経由して管路1の内管3に加圧状態で送り出し、その際に原料供給管15にも予備加熱用の周知のジュール加熱ユニット8´を任意数だけ設けて予備加熱しておくことが加熱効率の点で好ましい。
そして、所定濃度(例えば1質量%程度)の食塩水となるように水Wおよび塩類Sを適量ずつ配合し混合調製器10で混合調製し、得られた導電性塩類水溶液WsをポンプPで供給路(配管5)に送り出し、さらに流量計を備えた流量調整弁11を経由して内管3と外管2の間隙の一端に設けた供給口12から導入し、間隙内を満たして流通させた後、他端の排出口13から管路外に排出する。
一方、管路1は、外管2に設けたジュール加熱ユニット8で間隙内の導電性塩類水溶液Wsおよび内管3を加熱すると共に、導電性塩類水溶液Wsの染透った内管3から食品材料Aに電圧を印加してジュール加熱する。
これによって、継ぎ目のない内管3内を加圧状態で加熱されながら食用肉類を含む食品材料Aが移送され、管路1の末端から内管3の端面形状に成形されて押し出される。
このように構成される食品材料の連続加熱装置または食品材料の連続加熱方法とすることにより、加熱されると滞留しやすく移送性の損なわれやすかった食用肉類を含む食品材料Aを連続的に加熱でき、しかも移送中に内管にスケールを発生させ難く、食用肉類の蛋白質の変性する温度まで連続的に加熱できる効率の良いジュール加熱によって連続加熱を行なうことができる。
[実施例1:食肉加工食品(ハム用素材)の製造]
豚肉を主材料とするハム用食肉を用い、実施形態の連続加熱装置を用いて予備加熱用の原料供給管に同径のファイブラス配管(楕円筒状、軸直交断面の内径における長径42mm、短径35mm)を接続し、これを連続加熱装置の管路の内管として前記したハム用素材(原木)を製造した。
その際のジュール加熱における連続加熱条件は、1質量%の食塩水を導電性塩類水溶液として用い、電圧200V、交流電流30Aを印加し、食肉を押出し、加熱時間を約2分として中心部分が70〜85℃に至るように加熱した。その際に導電性塩類水溶液を流通させて前記温度を調整し、押出成形してハム用素材(原木)を連続的に得た。
略楕円柱状に押出成形された実施例のハム用素材は、長径40〜42mm、短径33〜35mmの断面が楕円形状であって、加熱前原料に比べて90%以上の歩留まりのものであり、このものは効率の良い加熱方法によって得られたことが確認できた。
このように実施例のハム用素材(原木)は、軸直交断面の縮み量ばかりでなく、軸方向の単位長さ当たりの縮み量も極めて小さくなっていることは勿論であり、極めて良好な食品素材を製造できた。
[実施例2:魚肉類加工食品の製造]
魚肉類(固形エビ肉)を実施形態の連続加熱装置を用いて予備加熱用の原料供給管に同径のファイブラス配管(楕円筒状、軸直交断面の内径における長径42mm、短径35mm)を接続し、これを連続加熱装置の管路の内管とし、魚肉類加工食品用素材を製造した。
その際のジュール加熱における連続加熱条件は、1質量%の食塩水を導電性塩類水溶液として用い、電圧100V、交流電流20Aを印加し、前記魚肉類を押出し、加熱時間を100秒として中心部分が70〜80℃に至るように加熱した。その際に導電性塩類水溶液を流通させて前記温度を調整し、押出成形して柱状の魚肉類加工食品用素材を連続的に得た。
略楕円柱状に押出成形された実施例2の魚肉類加工食品は、長径40〜42mm、短径33〜35mmの断面が楕円形状であって、加熱前原料に比べて90%以上の歩留まりのものであり、このものは効率の良い加熱方法によって得られたことが確認できた。
[実施例3:魚肉類加工食品の製造]
魚肉類(エビ肉すり身)を実施形態の連続加熱装置を用いて予備加熱用の原料供給管に同径のファイブラス配管(楕円筒状、軸直交断面の内径における長径42mm、短径35mm)を接続し、これを連続加熱装置の管路の内管とし、魚肉類加工食品用素材を製造した。
その際のジュール加熱における連続加熱条件は、1質量%の食塩水を導電性塩類水溶液として用い、電圧100V、交流電流25Aを印加し、前記魚肉類を押出し、加熱時間を80秒として中心部分が65〜75℃に至るように加熱した。その際に導電性塩類水溶液を流通させて前記温度を調整し、押出成形して柱状の魚肉類加工食品用素材を連続的に得た。
略楕円柱状に押出成形された実施例3の魚肉類加工食品は、長径40〜42mm、短径33〜35mmの断面が楕円形状であって、加熱前原料に比べて90%以上の歩留まりのものであり、このものは効率の良い加熱方法によって得られたことが確認できた。
[比較例1]
実施例1において、実施形態の連続加熱装置(ファイブラス配管使用)に代えて、蒸煮および赤外線加熱により、加熱されるステンレス配管(楕円筒状、長径42mm、短径35mm)を用いたこと以外は同様にして、原料供給管から供給される食肉を連続して加熱し、中心部分が70〜85℃に至るように30分間加熱した後、押出成形してハム用素材(原木)を得た。
略楕円柱状に押出成形された状態で得られた比較例1のハム用素材は、長径33〜35mm、短径27〜29mmの断面寸法であって歩留まりが70〜80%であり、実施例に比べて歩留まりの低いものであった。
1 管路
2 外管
3 内管
4、9 絶縁性スペーサ
5 配管
6 絶縁筒
7 環状電極
8、8´ ジュール加熱ユニット
10 混合調製器
11 流量調整弁
12 供給口
13 排出口
14 充填機
15 原料供給管
E 交流電源
A 食品材料
W 水
S 塩類
Ws 導電性塩類水溶液

Claims (7)

  1. 食用肉類を含む食品材料を管路で移送しながら電圧を印加し、前記食品材料にジュール熱を発生させて、加熱された食品材料を前記管路から連続的に取り出すようにした連続加熱方法において、
    前記管路は、外管と、この外管より小径で前記食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管とからなり、前記内管と外管の間に導電性塩類水溶液を介在させて、前記食品材料を内管で移送する際に、移送の上流側および下流側の前記導電性塩類水溶液に電圧を印加することにより、前記内管を介して前記食品材料に通電しジュール加熱することを特徴とする食品材料の連続加熱方法。
  2. 上記導電性塩類水溶液が、塩類濃度の調整された導電性塩類水溶液である請求項1に記載の食品材料の連続加熱方法。
  3. 上記内管と外管の間に導電性塩類水溶液を介在させる手段が、管路外で調製された導電性塩類水溶液の所定流量を内管と外管の間に導入して流通させてから管路外に排出する流通手段である請求項1または2に記載の食品材料の連続加熱方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の連続加熱方法を用いて加熱押出成形する食用肉類加工食品の製造方法。
  5. 食用肉類を含む食品材料を移送する管路を設け、この管路は非透水性の外管の内側に絶縁性スペーサを介して前記外管より小径で前記食品材料に対する不透過性を有すると共に透水性を有する内管を保持したものからなり、前記内管と外管の間隙に別途設けた管路から供給される導電性塩類水溶液を満たし、前記外管はその一部を絶縁筒で設けると共にこの絶縁筒を挟んで環状電極を1対以上設けたものからなり、前記環状電極に交流電源を接続して前記導電性塩類水溶液および前記内管中を移送される食品材料にジュール熱を発生させる食品材料の連続加熱装置。
  6. 上記内管と外管の間隙に、導電性の塩類水溶液の供給路と排出路を接続し、前記供給路には導電性の塩類水溶液の塩類濃度の調整装置もしくは流量調整弁またはこれら両方を設けた請求項に記載の食品材料の連続加熱装置。
  7. 上記管路が、外管の内側に管路に沿って径の異なる複数の柱状絶縁性スペーサを配置して前記内管を所定形状に整えることにより、前記内管を通過して加熱されかつ押出される食品材料を前記所定形状に成形可能とする請求項またはに記載の食品材料の連続加熱装置。
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