本発明の一実施形態に係るガスエンジンシステム1について説明する。
まず、ガスエンジンシステム1の全体的な構成について説明する。
図1に示すように、ガスエンジンシステム1は、ガスエンジン2、制御装置3等を備えている。
ガスエンジン2は、吸気部4と、燃料ガス供給部5と、エンジン本体6と、排気部7とを備えている。吸気部4は、外部から取り込む空気及び燃料ガスであるバイオガスを後述するミキサ8により混合して生成した混合ガスを供給する吸気配管9と、空気中に含まれる塵挨等を除去するエアクリーナー10と、を備える。
燃料ガス供給部5は、ミキサ8を備える。ミキサ8は、バイオガスを吸気配管9の内部に供給する第一バイオガス供給配管11と、第一バイオガス供給配管11からバイオガスを一時的に増量する制御を行うための開閉式燃料弁12と、開閉式燃料弁12をバイパスして第一バイオガス供給配管11に接続される第二バイオガス供給配管13と、第二バイオガス供給配管13を通過するバイオガスの供給量、即ち混合ガスに含まれるバイオガスの供給量を調整する燃料ガス調整手段である燃料制御弁14と、第一バイオガス供給配管11内のバイオガスと吸気空気との間に差圧を生じさせ、該バイオガスを第一バイオガス供給配管11から吸気配管9に供給するベンチュリ15と、混合ガスの量を調整する混合ガス調整手段であるスロットル16等を備える。なお、開閉式燃料弁12は、バイオガスを一時的に増量する制御を組み込まない場合には省略される。また、ミキサ8の第一バイオガス供給配管11の上流側(ミキサ8の入口側)には、流量調整弁41が設けられる。流量調整弁41は、ミキサ8の入口側におけるバイオガスの流量を調整する弁である。
エンジン本体6には、吸気マニホールド21がシリンダヘッド22の一側に設けられる。吸気マニホールド21は、図示しない吸気弁を介して図示しない複数の燃焼室に連通される。また、吸気マニホールド21には吸気配管9が連通される。さらに、エンジン本体6には、排気マニホールド23がシリンダヘッド22の他側に設けられる。排気マニホールド23は、図示しない排気弁を介して上記燃焼室に連通される。また、排気マニホールド23には後述する排気配管51が連通される。
排気部7は、上記燃焼室で混合ガスが燃焼することにより排気される排気ガスをガスエンジン2の外部に排出する排気配管51を備える。
次に、制御装置3について説明する。
制御装置3は、エンジンコントロールユニット(ECU)を含み、CPU等の演算装置や、ROMやRAM等の記憶装置、インターフェイス、バス等を備える。記憶装置には、制御プログラムや後述するマップ等が記憶される。
図1に示すように、制御装置3は、ミキサ8の燃料制御弁14のアクチュエータとなるソレノイド14aと、ミキサ8のスロットル16のアクチュエータとなるモータ16aと、流量調整弁41のアクチュエータとなるソレノイド41aと、に接続される。そして、制御装置3は、燃料制御弁14、スロットル16、及び流量調整弁41の開度を調整する。制御装置3により、混合ガス調整手段であるスロットル16の開度と、燃料ガス調整手段である燃料制御弁14の開度と、流量調整弁41の開度とを変更することで、ガスエンジン2の空燃比を調整することができる。
また、制御装置3は、第1ポジションセンサ17と、第2ポジションセンサ18と、第3ポジションセンサ19と、排気温度センサ24と、排気圧力センサ25と、エンジン回転数センサ26と、吸気圧力センサ27と、流量センサ42と、第1温度センサ43と、第2温度センサ44と、圧力センサ45と接続される。
第1ポジションセンサ17は、燃料制御弁14の開度を検出する開度検出手段である。第1ポジションセンサ17により検出された燃料制御弁14の開度は、検出信号として制御装置3に入力される。
第2ポジションセンサ18は、スロットル16の開度を検出するスロットル開度検出手段である。第2ポジションセンサ18により検出されたスロットル16の開度は、検出信号として制御装置3に入力される。
第3ポジションセンサ19は、流量調整弁41の開度を検出する開度検出手段である。第3ポジションセンサ19により検出された流量調整弁41の開度は、検出信号として制御装置3に入力される。第1ポジションセンサ17と、第2ポジションセンサ18と、第3ポジションセンサ19と、はポテンショメータ等で構成される。
排気温度センサ24は、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度を検出する排気温度検出手段である。具体的には、排気温度センサ24は、ガスエンジン2の複数の燃焼室から排出される排気ガスの排気温度を検出する。排気温度センサ24は、排気マニホールド23内であって、ガスエンジン2の複数の燃焼室から排気される排気ガスが集合する通路集合部に設けられる。排気温度センサ24を当該通路集合部に設けることで、当該排気ガスが排気配管51に排気されて排気温度が低下する前に、的確な排気温度を検出することができる。排気温度センサ24により検出された排気ガスの排気温度は、検出信号として制御装置3に入力される。
排気圧力センサ25は、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気圧力を検出する排気圧力検出手段である。具体的には、排気圧力センサ25は、ガスエンジン2の複数の燃焼室から排出される排気ガスの排気圧力を検出する。排気圧力センサ25は、排気マニホールド23内であって、ガスエンジン2の複数の燃焼室から排出される排気ガスが集合する通路集合部に設けられる。排気圧力センサ25により検出された排気ガスの排気圧力は、検出信号として制御装置3に入力される。制御装置3は、当該検出信号に基づいて、排気ガスの排気圧力から、燃焼室内で失火したかどうかを判断して、適正にガスエンジン2を運転できるようにする。
エンジン回転数センサ26は、ガスエンジン2におけるクランク軸の回転を検出する回転数検出手段である。エンジン回転数センサ26はエンジン本体6に設けられる。エンジン回転数センサ26により検出されるガスエンジン2の回転数は、検出信号として制御装置3に入力される。制御装置3は、回転数と設定回転数(目標回転数又は定格回転数)基づいて、ガスエンジン2のエンジン負荷を演算するとともに、回転変動から失火を検出して、適正にガスエンジン2を運転できるようにする。つまり、制御装置3は、エンジン負荷検出手段、及び、失火検出手段を備える。
吸気圧力センサ27は、吸気マニホールド21内の吸気負圧を検出する吸気負圧検出手段である。吸気圧力センサ27は、吸気マニホールド21内に設けられる。吸気圧力センサ27により検出された吸気負圧は、検出信号として制御装置3に入力される。
流量センサ42は、ミキサ8の入口側におけるバイオガスの流量を検出するものである。流量センサ42は、流量調整弁41の上流側に設けられる。流量センサ42により検出されたバイオガスの流量は、検出信号として制御装置3に入力される。
第1温度センサ43は、流量センサ42の上流側(入口側)におけるバイオガスの温度を検出するものである。第1温度センサ43は、流量センサ42の上流側(入口側)に設けられる。第1温度センサ43により検出されたバイオガスの温度は、検出信号として制御装置3に入力される。
第2温度センサ44は、流量センサ42の下流側(出口側)におけるバイオガスの温度を検出するものである。第2温度センサ44は、流量センサ42の下流側(出口側)に設けられる。第2温度センサ44により検出されたバイオガスの温度は、検出信号として制御装置3に入力される。
圧力センサ45は、流量センサ42の下流側(出口側)におけるバイオガスの圧力を検出するものである。圧力センサ45は、流量センサ42の下流側(出口側)に設けられる。圧力センサ45により検出されたバイオガスの圧力は、検出信号として制御装置3に入力される。
制御装置3は、流量センサ42、第1温度センサ43、第2温度センサ44、及び圧力センサ45から入力される検出信号に基づいて、バイオガスの標準状態での燃料流量を演算する。そして、制御装置3は、演算した燃料流量に基づいて、バイオガスの燃料消費量(単位時間あたりのバイオガスの燃料流量)を演算する。このように、流量センサ42、第1温度センサ43、第2温度センサ44、圧力センサ45、及び制御装置3は、バイオガスの燃料消費量を検出する燃料消費量検出手段として機能する。
また、図2に示すように、制御装置3には、目標排気温度マップ31と、燃料消費量マップ32と、目標開度マップ33と、目標スロットル開度マップ34と、目標吸気負圧マップ35と、第1失火マップ36と、第2失火マップ37とがそれぞれ予め実験等によって求められ記憶されている。
目標排気温度マップ31は、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度と、ガスエンジン2の空燃比と、の関係を示すマップであり、所定の回転数におけるエンジン負荷域毎に設けられている。図3(a)に示すように、目標排気温度マップ31においては、ガスエンジン2の空燃比が大きくなるにつれて、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度が低くなるという関係が成立する。そして、ガスエンジン2の空燃比と、排気ガスの排気温度と、の変化割合(グラフの傾斜)は、バイオガスの燃料種、即ち、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)が変化しても変動することはない。従って、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度を検出すれば、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)の変動に関わらず、ガスエンジン2の空燃比を推定することができる。
燃料消費量マップ32は、バイオガスの燃料消費量と、ガスエンジン2のエンジン負荷と、の関係からバイオガスの燃料種を取得するためのマップである。具体的には、エンジン回転数センサ26からの検出値と目標回転数に基づいて制御装置3によって演算されたエンジン負荷(但し、エンジン負荷の検出方法は限定するものではない)と、流量センサ42、第1温度センサ43、第2温度センサ44、及び圧力センサ45の検出信号に基づいて制御装置3によって演算されたバイオガスの燃料消費量と、の関係からバイオガスの組成(燃料種)を取得することができるマップである。図3(b)に示すように、燃料消費量マップ32においては、ガスエンジン2のエンジン負荷が大きくなると、バイオガスの燃料消費量が大きくなるという関係が成立する。そして、ガスエンジン2のエンジン負荷と、バイオガスの燃料消費量と、の変化割合(グラフの傾斜)は、バイオガスの燃料種によって異なる。具体的には、バイオガス中のメタンガスの割合が多い場合(図3(b)の破線)には、バイオガス中のメタンガスの割合が少ない場合(図3(b)の実線)と比べて、前記変化割合は小さくなる。従って、ガスエンジン2のエンジン負荷と、バイオガスの燃料消費量と、を演算すれば、バイオガスの燃料種を推定することができる。
目標開度マップ33は、ガスエンジン2の空燃比と、燃料制御弁14の開度と、の関係を示すマップである。図3(c)に示すように、目標開度マップ33においては、ガスエンジン2の空燃比が大きくなるにつれて、燃料制御弁14の開度が大きくなるという関係がある。従って、燃料制御弁14の開度を検出すれば、ガスエンジン2の空燃比を推定することができる。目標開度マップ33は、バイオガスの組成(燃料種)毎に設けられる。
目標スロットル開度マップ34は、ガスエンジン2の空燃比と、スロットル16の開度と、の関係を示すマップであり、所定の回転数におけるエンジン負荷域毎に設けられている。図3(d)に示すように、目標スロットル開度マップ34においては、ガスエンジン2の空燃比が大きくなるにつれて、スロットル16の開度が大きくなるという関係がある。そして、ガスエンジン2の空燃比と、スロットル16の開度と、の変化割合(グラフの傾斜)は、バイオガス中のメタンガスの濃度(メタンガスの熱量)が変動しても変化することはない。従って、スロットル16の開度を参照すれば、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)の変動に関わらず、ガスエンジン2の空燃比を推定することができる。
目標吸気負圧マップ35は、ガスエンジン2の空燃比と、ガスエンジン2における吸気マニホールド21内の吸気負圧と、の関係を示すマップであり、所定の回転数におけるエンジン負荷域毎に設けられている。図3(e)に示すように、目標吸気負圧マップ35においては、ガスエンジン2の空燃比が大きくなるにつれて、吸気マニホールド21内の吸気負圧は小さくなるという関係がある。そして、ガスエンジン2の空燃比と、吸気マニホールド21内の吸気負圧と、の変化割合(グラフの傾斜)は、バイオガス中のメタンガスの濃度(メタンガスの熱量)が変動しても変化することはない。従って、吸気マニホールド21内の吸気負圧を検出すれば、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)の変動に関わらず、ガスエンジン2の空燃比を推定することができる。
第1失火マップ36は、失火検出時の排気ガスの排気圧力とガスエンジン2の空燃比との関係が定められたマップである。失火検出時の排気ガスの排気圧力を検出し、当該検出した排気圧力を第1失火マップ36に対応されることで、ガスエンジン2のリーン側の空燃比を推定することができる。
第2失火マップ37は、失火検出時のガスエンジン2のエンジン回転数とガスエンジン2の空燃比との関係が定められたマップである。失火検出時のガスエンジン2のエンジン回転数を検出し、当該検出したエンジン回転数を第2失火マップ37に対応されることで、ガスエンジン2のリーン側の空燃比を推定することができる。
制御装置3は、前記各種検出信号、及び、前記各種マップに基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。以下に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御について説明する。
まず、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第1実施例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第1実施例においては、制御装置3は、排気温度センサ24から入力される検出信号と、目標排気温度マップ31と、に基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
図4に示すように、ステップS1において、制御装置3は、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S1)。
ステップS2において、制御装置3は、ステップS1で読み込んだエンジン回転数センサ26からの検出信号に基づいてガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S2)。即ち、エンジン回転数センサ26及び目標回転数によって、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出する。
ステップS3において、制御装置3は、ステップS2で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応する目標排気温度マップ31を取得する(S3)。
ステップS4において、制御装置3は、ステップS3で取得した目標排気温度マップ31に基づいて、ステップS2で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応する排気ガスの目標排気温度T0を取得する(S4)。
ステップS5において、制御装置3は、ステップS3で取得した目標排気温度マップ31に基づいて、ステップS4で取得した排気ガスの目標排気温度T0に対応するガスエンジン2の目標空燃比を取得する(S5)。
ステップS6において、制御装置3は、排気温度センサ24から検出信号を読み込む(S6)。即ち、排気温度センサ24及び制御装置3によって、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度の実測値Tが検出される。
ステップS7において、制御装置3は、ステップS5において取得した目標排気温度T0と、ステップS6において検出された排気温度の実測値Tと、の差分検出を行う(S7)。
ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいか否かを判断する(S8)。
ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断すると(S8−Yes)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S1)。
また、ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さくないと判断すると(S8−No)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比ではないと判断する。そして、ステップS9において、制御装置3は、ガスエンジン2の空燃比をステップS5で取得した目標空燃比となるように、空燃比を変更する制御を行う。さらに、制御装置3は、ステップS8において、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断する(S8−Yes)まで、ステップS6からステップS9までのステップを繰り返す。
このように、第1実施例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2の空燃比を直接検出することなく、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度の実測値Tを検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、メタンガスを主成分とするバイオガスからなる燃料ガスを燃焼させることにより駆動するガスエンジン2を備えるガスエンジンシステム1において、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度を検出する排気温度センサ24(排気温度検出手段)と、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出するエンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)と、燃料ガスの供給量を調整する燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)と、空気と燃料ガスを混合した後の混合ガスの量を調整するスロットル16(混合ガス調整手段)と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御してガスエンジン2の回転数を所定の回転数に制御する制御装置3と、を備え、制御装置3は、所定回転数におけるエンジン負荷毎に、排気温度と空燃比との関係が定められた目標排気温度マップ31を備え、エンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)により検出されるエンジン負荷からその負荷における目標排気温度と、該目標排気温度に対応する目標空燃比を目標排気温度マップ31より取得し、排気温度センサ24(排気温度検出手段)により検出される排気温度が目標排気温度となり、空燃比が目標空燃比となるように燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御するものである。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、バイオガス中のメタンガスの濃度が変動することよりメタンガスの熱量が変動する場合であっても、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を最適な空燃比に調整することができる。そのため、空燃比変動による機関性能変化(低下)、排ガスエミッションの悪化、燃焼不良を起因とした失火、ハンチングを抑制することができる。また、メタンガス濃度(メタンガスの熱量)を検出することなく、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を調整することができるため、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)を検出するための検出装置を設ける必要がなく、システム全体を簡略化できる。
次に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第1構成例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第1構成例においては、制御装置3は、排気温度センサ24及び排気圧力センサ25から入力される検出信号と、目標排気温度マップ31及び第1失火マップ36とに基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
なお、ガスエンジン2の空燃比制御の第1構成例に係るステップS1からステップS7までは、ガスエンジン2の空燃比制御の第1実施例に係るステップS1からステップS7までと同様のため、説明を省略する。
図5に示すように、ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいか否かを判断する(S8)。
ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断すると(S8−Yes)、ステップS10において、排気圧力センサ25からの検出信号を読み込む(S10)。即ち、排気圧力センサ25及び制御装置3によって、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気圧力の実測値Pが検出される。
ステップS11において、制御装置3は、排気ガスの排気圧力の実測値Pが予め設定された設定値P1以下であるか否かを判断する(S11)。ここで、排気ガスの排気圧力の実測値Pが設定値P1以下であるというのは、エンジン本体6の燃焼室内で失火が生じていることを意味する。即ち、制御装置3は、ステップS11において、失火の有無を検出する。
ステップS11において、制御装置3は、排気ガスの排気圧力の実測値Pが予め設定された設定値P1以下でないと判断すると(S11−No)、エンジン本体6の燃焼室内での失火がないと判断するとともに、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S1)。
また、ステップS11において、制御装置3は、排気ガスの排気圧力の実測値Pが予め設定された設定値P1以下であると判断する(S11−Yes)、即ち、エンジン本体6の燃焼室内で失火が生じていると判断すると、ステップS12において、失火検出時における排気ガスの排気圧力に対応するガスエンジン2の目標空燃比を第1失火マップ36より取得する(S12)。
ステップS9において、制御装置3は、ガスエンジン2の空燃比がステップS12で取得した目標空燃比となるように、空燃比を変更する制御を行う(S9)。そして、制御装置3は、ステップS8において、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断し(S8−Yes)、且つステップS11において、排気ガスの排気圧力の実測値Pが予め設定された設定値P1以下でないと判断する(S11−No)まで、ステップS6からステップS12までのステップを繰り返す。
さらに、ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さくないと判断すると(S8−No)、ステップS10からステップS12までのステップを行うことなく、ステップS9において、ガスエンジン2の空燃比がステップS5で取得した目標空燃比となるように、空燃比を変更する制御を行う(S9)。
このように、第1構成例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度の実測値Tと、排気圧力の実測値Pと、を検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、排気ガスの排気圧力を検出する排気圧力センサ25(排気圧力検出手段)と、排気圧力センサ25(排気圧力検出手段)の検出結果に基づいてガスエンジン2の燃焼室内での失火を検出する失火検出手段(排気圧力センサ25、制御装置3)と、を備え、制御装置3は、失火検出時の排気圧力と空燃比との関係が定められた第1失火マップ36を備え、失火検出手段(排気圧力センサ25、制御装置3)により失火が検出されると、第1失火マップ36より取得した空燃比となるように、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御するものである。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、目標排気温度マップ31とともに、排気圧力センサ25(排気圧力検出手段)の検出結果に基づいてガスエンジン2の空燃比を調整することができるため、より的確に当該空燃比の調整を行うことができる。
次に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第2構成例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第2構成例においては、制御装置3は、排気温度センサ24及びエンジン回転数センサ26から入力される検出信号と、目標排気温度マップ31と及び第2失火マップ37とに基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
なお、ガスエンジン2の空燃比制御の第2構成例に係るステップS1からステップS7までは、ガスエンジン2の空燃比制御の第1実施例に係るステップS1からステップS7までと同様のため、説明を省略する。
図6に示すように、ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいか否かを判断する(S8)。
ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断すると(S8−Yes)、ステップS13において、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S13)。
ステップS14において、制御装置3は、エンジン回転数センサ26からの検出信号をA/D変換して、その回転パルスをフーリエ変換し、ガスエンジン2の気筒数に対応した回転変動の基本周波数成分に対する0.5次の周波数成分の割合を検出する(S14)。
ステップS15において、制御装置3は、当該0.5次の周波数成分の割合から、エンジン本体6の燃焼室内での失火の有無を判断する(S15)。ガスエンジン2は、各気筒の燃焼工程ごとに加速されて気筒数に対応した基本周波数で回転変動を生じるが、仮にある気筒が失火するとその時の加速がなくなってその時点での回転変動は基本周期の2倍の周期のものとなり、周波数成分としては0.5次の成分が発生する。従って、この発生した0.5次の周波数成分の割合を検出することで、エンジン本体6の燃焼室内での失火の有無を検出することができる。
ステップS15において、制御装置3は、エンジン本体6の燃焼室内での失火が無いと判断すると(S15−No)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S1)。
また、ステップS15において、制御装置3は、エンジン本体6の燃焼室内での失火が有ると判断すると(S15−Yes)、ステップS16において、失火検出時におけるガスエンジンのエンジン回転数に対応するガスエンジン2の目標空燃比を第2失火マップ37より取得する(S16)。
ステップS9において、制御装置3は、ガスエンジン2の空燃比がステップS16で取得した目標空燃比となるように、空燃比を変更する制御を行う(S9)。そして、制御装置3は、ステップS8において、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さいと判断し(S8−Yes)、且つステップS15において、エンジン本体6の燃焼室内での失火が無いと判断する(S15−No)まで、ステップS6からステップS9、及びステップS13からステップS16のステップを繰り返す。
さらに、ステップS8において、制御装置3は、目標排気温度T0と排気温度の実測値Tとの差の絶対値が予め設定された所定値T1より小さくないと判断すると(S8−No)、ステップS13からステップS16までのステップを行うことなく、ステップS9において、ガスエンジン2の空燃比がステップS5で取得した目標空燃比となるように、空燃比を変更する制御を行う(S9)。
このように、第2構成例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2から排気される排気ガスの排気温度の実測値Tと、ガスエンジン2の燃焼室内での失火と、を検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、ガスエンジン2の回転数を検出するエンジン回転数センサ26(回転数検出手段)と、エンジン回転数センサ26(回転数検出手段)の検出結果に基づいてガスエンジン2の燃焼室内での失火を検出する失火検出手段(エンジン回転数センサ26、制御装置3)と、を備え、制御装置3は、失火検出時のエンジン回転数と空燃比との関係が定められた第2失火マップ37を備え、失火検出手段(エンジン回転数センサ26、制御装置3)により失火が検出されると、第2失火マップ37より取得した空燃比となるように、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)と、を制御するものである。例えば、燃料制御弁14のアクチュエータとなるソレノイド14aを作動させてバイオガスを増加させる。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、目標排気温度マップ31とともに、エンジン回転数センサ26(回転数検出手段)の検出結果に基づいてガスエンジン2の空燃比を調整することができるため、より的確に当該空燃比の調整を行うことができる。
次に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第3構成例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第3構成例においては、制御装置3は、第1ポジションセンサ17、エンジン回転数センサ26、流量センサ42、第1温度センサ43、第2温度センサ44、及び圧力センサ45から入力される検出信号と、燃料消費量マップ32及び目標開度マップ33と、に基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
図7に示すように、ステップS20において、制御装置3は、その時点での各種信号を読み込む(S20)。具体的には、第1ポジションセンサ17からの検出信号と、エンジン回転数センサ26からの検出信号と、流量センサ42からの検出信号と、第1温度センサ43からの検出信号と、第2温度センサ44からの検出信号と、圧力センサ45からの検出信号と、を読み込む。
ステップS21において、制御装置3は、流量センサ42からの検出信号と、第1温度センサ43からの検出信号と、第2温度センサ44からの検出信号と、圧力センサ45からの検出信号に基づいて、バイオガスの標準状態での燃料流量を演算する(S21)。
ステップS22において、制御装置3は、ステップS21において演算した燃料流量に基づいて、バイオガスの燃料消費量(単位時間あたりのバイオガスの燃料流量)を演算する(S22)。
ステップS23において、制御装置3は、ステップS20で読み込んだエンジン回転数センサ26からの検出信号に基づいてガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S23)。即ち、エンジン回転数センサ26及び制御装置3によって、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出する。
ステップS24において、制御装置3は、燃料消費量マップ32を取得する(S24)。
ステップS25において、制御装置3は、ステップS22において演算したバイオガスの燃料消費量と、ステップS23で検出したガスエンジン2のエンジン負荷と、ステップS24で取得した燃料消費量マップ32と、に基づいて、バイオガスの燃料種を判定する(S25)。
ステップS26において、制御装置3は、ステップS25で判定したバイオガスの燃料種に対応する目標開度マップ33を取得する(S26)。
ステップS27において、制御装置3は、ステップS26で取得した目標開度マップ33に基づいて、ステップS23で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応するガスエンジン2の目標空燃比を取得する(S27)。
ステップS28において、制御装置3は、ステップS26で取得した目標開度マップ33に基づいて、ステップS27で取得したガスエンジン2の目標空燃比に対応する燃料制御弁14の目標開度S0を取得する(S28)。
ステップS29において、制御装置3は、第1ポジションセンサ17から検出信号を読み込む(S29)。即ち、第1ポジションセンサ17及び制御装置3によって、燃料制御弁14の開度の実測値Sが検出される。そして、制御装置3は、燃料制御弁14の開度の実測値Sについて、所定サイクル分(例えば100サイクル分)の移動平均化を行う。
ステップS30において、制御装置3は、ステップS28において取得した目標開度S0と、ステップS29において検出された燃料制御弁14の開度の実測値Sと、の差分検出を行う(S30)。
ステップS31において、制御装置3は、目標開度S0と燃料制御弁14の開度の実測値Sとの差の絶対値が予め設定された所定値S1より小さいか否かを判断する(S31)。
ステップS31において、制御装置3は、目標開度S0と燃料制御弁14の開度の実測値Sとの差の絶対値が予め設定された所定値S1より小さいと判断すると(S31−Yes)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、各種検出信号を読み込む(S20)。
また、ステップS31において、制御装置3は、目標開度S0と燃料制御弁14の開度の実測値Sとの差の絶対値が予め設定された所定値S1より小さくないと判断すると(S31−No)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比ではないと判断する。そして、ステップS32において、制御装置3は、燃料制御弁14の開度がステップS28で取得した目標開度S0となるように、ガスエンジン2の空燃比を変更する制御を行う。さらに、制御装置3は、ステップS31において、目標開度S0と燃料制御弁14の開度の実測値Sとの差の絶対値が予め設定された所定値S1より小さいと判断する(S31−Yes)まで、ステップS29からステップS32までのステップを繰り返す。
このように、第3構成例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2の空燃比を直接検出することなく、燃料制御弁14の開度の実測値Sを検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、メタンガスを主成分とするバイオガスからなる燃料ガスを燃焼させることにより駆動するガスエンジン2を備えるガスエンジンシステム1において、燃料ガスの燃料消費量を検出する燃料消費量検出手段(流量センサ42、第1温度センサ43、第2温度センサ44、圧力センサ45)と、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出するエンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)と、燃料ガスの供給量を調整する燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)の開度を検出する第1ポジションセンサ17(開度検出手段)と、空気と燃料ガスを混合した後の混合ガスの量を調整するスロットル16(混合ガス調整手段)と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御してガスエンジン2の回転数を所定の回転数に制御する制御装置3と、を備え、制御装置3は、燃料消費量検出手段が検出する燃料消費量と、エンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)が検出するエンジン負荷と、の関係から燃料ガスの燃料種を取得するための燃料消費量マップ32と、ガスエンジン2の空燃比と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)の目標開度との関係を、燃料ガスの燃料種毎に定めた目標開度マップ33と、を具備し、燃料消費量マップ32により取得される燃料ガスの燃料種に対応する目標開度マップ33を取得し、第1ポジションセンサ17(開度検出手段)により検出される開度が、取得した目標開度マップ33により取得される目標開度となるように、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御するものである。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、バイオガス中のメタンガスの濃度が変動することよりメタンガスの熱量が変動する場合であっても、バイオガスの供給量を調整する燃料制御弁14の開度を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を最適な空燃比に調整することができる。そのため、空燃比変動による機関性能変化(低下)、排ガスエミッションの悪化、燃焼不良を起因とした失火、ハンチングを抑制することができる。また、メタンガス濃度(メタンガスの熱量)を検出することなく、燃料制御弁14の開度を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を調整することができるため、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)を検出するための検出装置を設ける必要がなく、システム全体を簡略化できる。
次に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第4構成例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第4構成例においては、制御装置3は、第2ポジションセンサ18及びエンジン回転数センサ26から入力される検出信号と、目標スロットル開度マップ34と、に基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
図8に示すように、ステップS40において、制御装置3は、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S40)。
ステップS41において、制御装置3は、ステップS40で読み込んだエンジン回転数センサ26からの検出信号に基づいて、前記同様にガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S41)。即ち、エンジン回転数センサ26及び制御装置3によって、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出する。
ステップS42において、制御装置3は、ステップS41で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に基づいて、ガスエンジン2の出力が一定であるか否かを判断する(S42)。
ステップS42において、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定でないと判断すると(S42−No)、引き続き、ステップS40において、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込み(S40)、ガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S41)。そして、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定であると判断するまで(S42−Yes)、ステップS40及びステップS41のステップを繰り返す。
ステップS42において、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定であると判断すると(S42−Yes)、ステップS43において、ステップS41で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応する目標スロットル開度マップ34を取得する(S43)。
ステップS44において、制御装置3は、ステップS43で取得した目標スロットル開度マップ34に基づいて、ステップS41で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応するガスエンジン2の目標空燃比を取得する(S44)。
ステップS45において、制御装置3は、ステップS43で取得した目標スロットル開度マップ34に基づいて、ステップS44で取得したガスエンジン2の目標空燃比に対応するスロットル16の目標スロットル開度K0を取得する(S45)。
ステップS46において、制御装置3は、第2ポジションセンサ18から検出信号を読み込む(S46)。即ち、第2ポジションセンサ18及び制御装置3によって、スロットル16のスロットル開度の実測値Kが検出される。そして、制御装置3は、スロットル16の開度の実測値Kについて、所定サイクル分(例えば100サイクル分)の移動平均化を行う。
ステップS47において、制御装置3は、ステップS45において取得した目標スロットル開度K0と、ステップS46において検出されたスロットル開度の実測値Kと、の差分検出を行う(S47)。
ステップS48において、制御装置3は、目標スロットル開度K0とスロットル開度の実測値Kとの差の絶対値が予め設定された所定値K1より小さいか否かを判断する(S48)。
ステップS48において、制御装置3は、目標スロットル開度K0とスロットル開度の実測値Kとの差の絶対値が予め設定された所定値K1より小さいと判断すると(S48−Yes)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S40)。
また、ステップS48において、制御装置3は、目標スロットル開度K0とスロットル開度の実測値Kとの差の絶対値が予め設定された所定値K1より小さくないと判断すると(S48−No)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比ではないと判断する。そして、ステップS49において、制御装置3は、スロットル16のスロットル開度がステップS45で取得した目標スロットル開度K0となるように、ガスエンジン2の空燃比を変更する制御を行う。さらに、制御装置3は、ステップS48において、目標スロットル開度K0とスロットル開度の実測値Kとの差の絶対値が予め設定された所定値K1より小さいと判断する(S48−Yes)まで、ステップS46からステップS49までのステップを繰り返す。
このように、第4構成例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2の空燃比を直接検出することなく、スロットル16のスロットル開度の実測値Kを検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、メタンガスを主成分とするバイオガスからなる燃料ガスを燃焼させることにより駆動するガスエンジン2を備えるガスエンジンシステム1において、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出するエンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)と、燃料ガスの供給量を調整する燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)と、空気と燃料ガスを混合した後の混合ガスの量を調整するスロットル16(混合ガス調整手段)と、スロットル16(混合ガス調整手段)のスロットル開度を検出する第2ポジションセンサ18(スロットル開度検出手段)と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御してガスエンジン2の回転数を所定の回転数に制御する制御装置3と、を備え、制御装置3は、ガスエンジン2の空燃比と、スロットル16(混合ガス調整手段)の開度と、の関係を、所定回転数におけるエンジン負荷毎に定められた目標スロットル開度マップ34を具備し、エンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)により検出されるエンジン負荷に対応する目標スロットル開度マップ34を取得し、第2ポジションセンサ18(スロットル開度検出手段)により検出されるスロットル開度が、取得した目標スロットル開度マップ34により取得される目標スロットル開度となるように、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御するものである。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、バイオガス中のメタンガスの濃度が変動することよりメタンガスの熱量が変動する場合であっても、バイオガスと空気との混合ガスの供給量を制御するスロットル16のスロットル開度を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を最適な空燃比に調整することができる。そのため、空燃比変動による機関性能変化(低下)、排ガスエミッションの悪化、燃焼不良を起因とした失火、ハンチングを抑制することができる。また、メタンガス濃度(メタンガスの熱量)を検出することなく、スロットル16のスロットル開度を検出することで、ガスエンジンの空燃比を調整することができるため、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)を検出するための検出装置を設ける必要がなく、システム全体を簡略化できる。
次に、制御装置3におけるガスエンジン2の空燃比制御の第5構成例について説明する。
ガスエンジン2の空燃比制御の第5構成例においては、制御装置3は、エンジン回転数センサ26及び吸気圧力センサ27から入力される検出信号と、目標吸気負圧マップ35とに基づいて、ガスエンジン2の空燃比を調整する。具体的には、以下のような制御を行う。
図9に示すように、ステップS50において、制御装置3は、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S50)。
ステップS51において、制御装置3は、ステップS50で読み込んだエンジン回転数センサ26からの検出信号に基づいてガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S51)。即ち、エンジン回転数センサ26及び制御装置3によって、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出する。
ステップS52において、制御装置3は、ステップS51で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に基づいて、ガスエンジン2の出力が一定であるか否かを判断する(S52)。
ステップS52において、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定でないと判断すると(S52−No)、引き続き、ステップS50において、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込み(S50)、ガスエンジン2のエンジン負荷を演算する(S51)。そして、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定であると判断するまで(S52−Yes)、ステップS50及びステップS51のステップを繰り返す。
ステップS52において、制御装置3は、ガスエンジン2の出力が一定であると判断すると(S52−Yes)、ステップS53において、ステップS51で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応する目標吸気負圧マップ35を取得する(S53)。
ステップS54において、制御装置3は、ステップS53で取得した目標吸気負圧マップ35に基づいて、ステップS51で検出したガスエンジン2のエンジン負荷に対応するガスエンジン2の目標空燃比を取得する(S54)。
ステップS55において、制御装置3は、ステップS53で取得した目標吸気負圧マップ35に基づいて、ステップS54で取得したガスエンジン2の目標空燃比に対応する吸気マニホールド21内の目標吸気負圧F0を取得する(S55)。
ステップS56において、制御装置3は、吸気圧力センサ27から検出信号を読み込む(S56)。即ち、吸気圧力センサ27及び制御装置3によって、吸気マニホールド21内の吸気負圧の実測値Fが検出される。そして、制御装置3は、吸気マニホールド21内の吸気負圧の実測値Fについて、所定サイクル分(例えば100サイクル分)の移動平均化を行う。
ステップS57において、制御装置3は、ステップS55において取得した目標吸気負圧F0と、ステップS56において検出された吸気負圧の実測値Fと、の差分検出を行う(S57)。
ステップS58において、制御装置3は、目標吸気負圧F0と吸気負圧の実測値Fとの差の絶対値が予め設定された所定値F1より小さいか否かを判断する(S58)。
ステップS58において、制御装置3は、目標吸気負圧F0と吸気負圧の実測値Fとの差の絶対値が予め設定された所定値F1より小さいと判断すると(S58−Yes)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比であると判断して、引き続き、エンジン回転数センサ26からの検出信号を読み込む(S50)。
また、ステップS58において、制御装置3は、目標吸気負圧F0と吸気負圧の実測値Fとの差の絶対値が予め設定された所定値F1より小さくないと判断すると(S58−No)、ガスエンジン2の空燃比が、現時点のガスエンジン2のエンジン負荷に対して、最適な空燃比ではないと判断する。そして、ステップS59において、制御装置3は、吸気マニホールド21内の吸気負圧がステップS55で取得した目標吸気負圧F0となるように、ガスエンジン2の空燃比を変更する制御を行う。さらに、制御装置3は、ステップS58において、目標吸気負圧F0と吸気負圧の実測値Fとの差の絶対値が予め設定された所定値F1より小さいと判断する(S58−Yes)まで、ステップS56からステップS59までのステップを繰り返す。
このように、第5構成例に係るガスエンジン2の空燃比制御においては、ガスエンジン2の空燃比を直接検出することなく、吸気マニホールド21内の吸気負圧の実測値Fを検出することにより、ガスエンジン2の空燃比を、ガスエンジン2のエンジン負荷に対して最適な空燃比に調整する。
以上のように、ガスエンジンシステム1は、メタンガスを主成分とするバイオガスからなる燃料ガスを燃焼させることにより駆動するガスエンジン2を備えるガスエンジンシステム1において、ガスエンジン2の吸気負圧を検出する吸気圧力センサ27(吸気負圧検出手段)と、ガスエンジン2のエンジン負荷を検出するエンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)と、燃料ガスの供給量を調整する燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)と、空気と燃料ガスを混合した後の混合ガスの量を調整するスロットル16(混合ガス調整手段)と、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御してガスエンジン2の回転数を所定の回転数に制御する制御装置3と、を備え、制御装置3は、ガスエンジン2の空燃比とガスエンジン2の吸気負圧との関係を、所定回転数におけるエンジン負荷毎に定められた目標吸気負圧マップ35を具備し、エンジン回転数センサ26(エンジン負荷検出手段)により検出されるエンジン負荷に対応する目標吸気負圧マップ35を取得し、吸気圧力センサ27(吸気負圧検出手段)により検出される吸気負圧が、取得した目標吸気負圧マップ35により取得される目標吸気負圧となるように、燃料制御弁14(燃料ガス調整手段)とスロットル16(混合ガス調整手段)とを制御するものである。
このようにガスエンジンシステム1を構成することで、バイオガス中のメタンガスの濃度が変動することよりメタンガスの熱量が変動する場合であっても、ガスエンジン2の吸気負圧を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を最適な空燃比に調整することができる。そのため、空燃比変動による機関性能変化(低下)、排ガスエミッションの悪化、燃焼不良を起因とした失火、ハンチングを抑制することができる。また、メタンガス濃度(メタンガスの熱量)を検出することなく、ガスエンジン2の吸気負圧を検出することで、ガスエンジン2の空燃比を調整することができるため、メタンガスの濃度(メタンガスの熱量)を検出するための検出装置を設ける必要がなく、システム全体を簡略化できる。