JP5729871B2 - 洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、特定の構造を有するアルキルエーテル硫酸エステル塩を配合する界面活性剤組成物に関する。さらに本発明は、該界面活性剤組成物を配合することにより、落下分散性(サラサラ性)や耐ケーキング性に優れる洗剤組成物の製造方法に関する。
粉末洗剤に使用される主要なアニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩やアルキル硫酸塩が挙げられる。ここで、アルキル硫酸塩は、天然アルコールを原料とした界面活性剤であり、石化原料から製造されるアルキルベンゼンスルホン酸塩と比べて、天然由来の炭素率が非常に高い。
しかし、アルキル硫酸塩は結晶性が高いことから、得られた洗剤組成物の粉末物性、特に落下分散性(サラサラ性)に課題がある。また、界面活性剤組成物を粉体原料に担持させて洗剤組成物を工業的に製造する工程においては、硫酸エステル基の熱分解を抑制するため、低温(60℃)付近でハンドリング(製剤化)する必要がある。しかしながら、アルキル硫酸塩の有効分は60%程度であるので、界面活性剤組成物を調製する際の持込み水が多くなる結果、低温(60℃)では非イオン性界面活性剤がゲル化し、増粘するおそれがある。そして、界面活性剤組成物が増粘すると、粉体原料への吸油不良が生じ、洗剤組成物の粉末物性等に影響を与えるおそれがある。
一方、このような特性を持つアルキル硫酸塩を使用した粉末洗剤に関連する発明としては、例えば、特許文献1では、非イオン性界面活性剤とアルキルベンゼンスルホン酸塩又はアルキル硫酸塩及び水からなる、20〜80℃の範囲で噴霧されうる易動性を持つ粉末洗剤の製造に用いられる界面活性剤組成物が開示されている。
特開昭63−110292号公報
しかし、特許文献1には、アルキル硫酸塩を使用した実施例に関しては具体的には記載されておらず、また、アルキル硫酸塩を使用した場合の粉末洗剤の落下分散性(サラサラ性)や耐ケーキング性については何ら記載も示唆もされていない。更に、アルキル硫酸塩を使用し、特許文献1の温度範囲の高温(80℃)付近で界面活性剤を使用した場合、短期間で硫酸エステル基の熱分解が生じるという課題については、何ら記載も示唆もされていない。更に、低温(60℃)付近での非イオン性界面活性剤のゲル化による界面活性剤組成物の増粘や、粉体原料への担持不良による最終産物としての洗剤組成物の粉末物性の劣化についても、何ら記載も示唆もされていない。
従って、本発明の課題は、60℃のような低温でハンドリング又は製剤化が可能な界面活性剤組成物を提供すること、該界面活性剤組成物を粉体原料に含浸させて担持させることにより、落下分散性(サラサラ性)や耐ケーキング性(篩通過率)に優れる洗剤組成物を提供すること、並びに、その製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕
(a):下記一般式(1):
1O−(EO)pSO31 (1)
(式中、R1は炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であって、pはEOの平均付加モル数を示し、0≦p≦10の数であり、M1は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を0〜50質量%、
(b):下記一般式(2):
2O−〔(PO)m/(EO)n〕−SO32 (2)
(式中、R2は炭化水素基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であって、m、nはそれぞれPO及びEOの平均付加モル数を示し、0<m≦5及び0<n≦10の数であり、「/」はPOとEOとの結合様式がランダム付加でもブロック付加でもよいことを示す記号であり、M2は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜50質量%、
(c):非イオン性界面活性剤を40〜70質量%、及び
(d):水
を配合してなる界面活性剤組成物であって、
成分(d)の量は、該界面活性剤組成物が60℃にて構造体を形成しない量である界面活性剤組成物;
〔2〕
前記〔1〕に記載の界面活性剤組成物を粉体原料に40〜70℃の範囲で担持させる工程を有する、平均粒径が150〜500μmであって、嵩密度が500g/L以上である洗剤組成物の製造方法;並びに
〔3〕
前記〔2〕に記載の製造方法によって製造された洗剤組成物;に関するものである。
該本発明の界面活性剤組成物は、60℃のような低温でもハンドリングが可能なものが得られるという効果が奏される。また、本発明の界面活性剤組成物を使用することにより、落下分散性(サラサラ性)や耐ケーキング性に優れる洗剤組成物が得られるという効果が奏される。
図1は、流動特性測定装置の概略図である。この装置の詳細は、特開2000−171377号の段落番号0011〜0016に記載されている。流動特性測定装置1は、保持部材2によって保持される測定試料3の流動特性を測定するもので、その保持部材2の支持機構4、傾斜装置5、傾斜測定装置6、重量測定装置7、及び演算装置8を備えている。その支持機構4は、ベース11上に設けられる支柱12により水平軸中心に回転可能に支持される回転部材13を有し、その回転部材13の先端に取り付けられる挟み込み具(図示せず)に保持部材2が着脱可能とされている。その保持部材2は、図2(2)に示すように、円柱体を端面視形状が1/4円になるように分割した形状を有し、xx'=yy'=zz'=4cm、xy=xz=x'y'=x'z'=5cm、∠yxz=∠y'x'z'=90°であり、上部開口が測定試料3の流出部2aとされた中空体(上記寸法は、内部系を表す)である。また、演算装置8に出力装置9が接続されている。その傾斜装置5は、そのベース11上に設けられるモータ16の回転を巻きかけ電動機構17、減速機構18を介して上記回転部材13に伝達し、その回転部材13を回転させることで、上記支持機構4により支持された保持部材2を設定した速度で漸次傾斜させることができる。その傾斜により、保持部材2に保持された測定試料3を流出部2aから落下させることができる。そのモータ16は速度調整装置(図示せず)に接続され、その回転速度を変化させることで保持部材2の傾斜速度を調節できる。重量測定装置として天秤を用い、そこからA/Dコンバータを用いて、演算装置に重量値を取り込む。天秤の精度は0.01gfオーダーのものを用いる。例えば、研精工業(株)製の電磁式はかりHF−2000などを用いることができる。A/Dコンバータはそれを通して演算装置に取り込まれた値のSN比が0.05以下(ここでいうSN比とは、Δ落下率の測定に用いる測定試料の全重量に対応するシグナルに対するノイズの比の値である)となるようなものを用いる。 図2の(1)は、流動特性測定装置の保持部材を漸次傾斜させて測定対象を落下させる状態を示す概略図で、図2の(2)は保持部材の斜視図である。 図3は落下速度分散を表すモデル図である。(3−1)、(3−2)及び(3−3)はそれぞれ測定試料の落下速度分散Vが0、0.5及び2.0の場合を示す。 図4は、実施例1及び比較例1の界面活性剤組成物を2次元像X線回折装置を用い、60℃の条件で解析した結果を示す図である。
1.成分(a)
成分(a)は下記一般式(1):
1O−(EO)pSO31 (1)
(式中、R1は炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であって、pはEOの平均付加モル数を示し、0≦p≦10の数であり、M1は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩である。かかる成分(a)を配合する界面活性剤組成物は、洗剤組成物の表面改質性、洗浄力及び低温溶解性の向上という効果が期待されるため、配合することが好ましい。
1の炭化水素基としては、アルキル基及び/又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。R1の炭素数としては8〜20のものが好ましく、12〜15のものがより好ましい。また、炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖のものが好ましい。
界面活性剤組成物及び洗剤組成物の天然化率、洗剤組成物の保存安定性向上の点から、pのより好ましい範囲は0≦p≦7であり、より好ましい範囲は0≦p≦5であり、より好ましい範囲は0≦p≦2.3であり、よりさら好ましくはp=0、即ち、アルキル硫酸塩である。
1は陽イオンであれば制限されず、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
界面活性剤組成物中の成分(a)の量は0〜50質量%である。さらに、成分(a)を配合する場合には、界面活性剤組成物中の成分(a)の量は1〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらに好ましい。
2.成分(b)
成分(b)は、下記一般式(2):
2O−〔(PO)m/(EO)n〕−SO32 (2)
(式中、R2は炭化水素基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であって、m、nはそれぞれPO及びEOの平均付加モル数を示し、0<m≦5及び0<n≦10の数であり、「/」はPOとEOとの結合様式がランダム付加でもブロック付加でもよいことを示す記号であり、M2は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩である。一般式(2)において、POとEOとの結合の順序は特に制限されず、例えばランダム付加により得られたものや、ブロック付加により得られたものが含まれる。
中でも、下記一般式(2’)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
2O−(PO)m−(EO)n−SO32 (2’)
(式中、R2、m、n、M2は前記と同じである。また、POとEOはこの順序にブロック付加させたものである。)
2の炭化水素基としては、アルキル基及び/又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。R2の炭素数としては8〜20のものが好ましく、12〜15のものがより好ましい。また、炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよい。
洗剤組成物の表面改質性(サラサラ性)、洗浄力及び低温溶解性の点から、mの好ましい範囲は0<m≦3であり、より好ましい範囲は0.1≦m≦1.5であり、よりさらに好ましい範囲は0.3≦m≦0.9であり、さらに好ましい範囲は0.4≦m≦0.7である。また、洗剤組成物の表面改質性(サラサラ性)、洗浄力及び低温溶解性の点から、nの好ましい範囲は0<n≦7であり、より好ましい範囲は0.5≦n≦5であり、よりさらに好ましい範囲は0.9≦n≦2.3であり、さらに好ましい範囲は1.3≦n≦1.9である。また、m及びnの好ましい範囲は0<m≦3及び0<n≦7の数であり、より好ましい範囲は0.1≦m≦1.5及び0.5≦n≦5の数であり、更に好ましい範囲は0.3≦m≦0.9及び0.9≦n≦2.3の数である。
2は陽イオンであれば制限されず、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
界面活性剤組成物中の成分(b)の量は5〜50質量%である。さらに、洗剤組成物の改質性(サラサラ性)・洗浄力の点から、界面活性剤組成物中の成分(b)の量は6〜40質量%が好ましく、7〜35質量%がより好ましく、8〜32質量%がさらに好ましい。成分(a)及び成分(b)の量の合計としては、界面活性剤組成物の10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%がさらに好ましい。
3.成分(c)
成分(c)としては非イオン性界面活性剤であれば特に制限されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、より具体的には、炭素数8〜18、好ましくは10〜14のアルコールにアルキレンオキシドを1〜20モル(好ましくは2〜16モル、より好ましくは3〜12モル、さらに好ましくは4〜10モル、よりさらに好ましくは5〜8モル)付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられ、好ましくはエチレンオキシドである。
界面活性剤組成物中の成分(c)の量は40〜70質量%であり、低温での洗浄力及び界面活性剤組成物のハンドリング性の点から45〜66質量%が好ましく、50〜62質量%がさらに好ましい。
4.成分(d)
成分(d)は水である。成分(d)の量は、界面活性剤組成物が60℃にて構造体を形成しない量の水である。ここで、構造体とは、特に限定されるものではないが、例えば、界面活性剤組成物の一部又は全体がゲル化又は結晶化した状態を指す。
界面活性剤組成物の構造解析は、例えば2次元像X線回折装置PINT PAPID(株式会社リガク)を使用して、界面活性剤組成物を実際に用いる温度(例えば60℃)で測定することにより実施することができる。より具体的には、構造体を形成しない界面活性剤組成物とは、2θが1.5〜3.0の間でベースラインとの強度比が2.0以上のピーク、より好ましくは1.5以上のピーク、さらに好ましくは1.3以上のピークを有しないものと規定される。
成分(d)の量に関しては、具体的には、成分(d)としての水と成分(c)との質量比〔(d)/(c)〕は、界面活性剤組成物の構造体形成防止の点から0.35以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.26以下がより好ましい。さらに、成分(a)を配合する界面活性剤組成物の構造体形成防止と洗浄性能の点から、〔(d)/(c)〕は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.15以上がよりさらに好ましい。このことから、該界面活性剤組成物のゲル化と結晶化の防止を両立できる範囲として、〔(d)/(c)〕は0.01〜0.35が好ましく、0.05〜0.3がより好ましく、0.1〜0.26が更に好ましい。
さらに、前述の成分(a)であるアルキルエーテル硫酸エステル塩と併用する場合は、成分(a)の結晶化防止と洗浄性能の点から、〔(d)/(c)〕は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。このことから、界面活性剤組成物のゲル化、洗浄性能及び成分(a)の結晶化防止を両立できる範囲として、〔(d)/(c)〕は0.01〜0.35が好ましく、0.05〜0.3がより好ましく、0.1〜0.26が更に好ましい。
また、成分(d)の量に関しては、成分(a)及び成分(b)の量の合計に対する成分(d)の割合〔(d)/((a)+(b))〕(質量比)は、成分(a)を配合する界面活性剤組成物の構造体形成防止の観点から、1.3以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい一方、0.2以上が好ましい。また、0.2〜0.8が好ましく、0.30〜0.65がより好ましい。
成分(a)、成分(b)及び/又は成分(c)は水を媒体とした状態、例えば水溶液の状態で添加されてもよいので、このような場合、媒体としての水が成分(d)として扱われる。当然のことながら、成分(a)、成分(b)又は成分(c)とは別に、成分(d)としての水を添加してもよい。
従って、本発明の界面活性剤組成物の好ましい一つの態様としては、次のものが挙げられる。
(a):下記一般式(1):
1O−(EO)pSO31 (1)
(式中、R1は炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であって、pはEOの平均付加モル数を示し、0≦p≦10の数であり、M1は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を0〜50質量、
(b):下記一般式(2):
2O−〔(PO)m/(EO)n〕−SO32 (2)
(式中、R2は炭化水素基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であって、m、nはそれぞれPO及びEOの平均付加モル数を示し、0<m≦5及び0<n≦10の数であり、「/」はPOとEOとの結合様式がランダム付加でもブロック付加でもよいことを示す記号であり、M2は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜50質量%、
(c):非イオン性界面活性剤を40〜70質量%、及び
(d):水
を配合してなる界面活性剤組成物であって、
成分(d)と成分(c)との割合〔(d)/(c)〕が0.01〜0.35(質量比)であり、
成分(a)及び成分(b)の量の合計に対する成分(d)の割合〔(d)/((a)+(b))〕が0.2〜1.3(質量比)である界面活性剤組成物。ここで、成分(a)及び成分(b)の量の合計としては、界面活性剤組成物の10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%がさらに好ましい。
5.その他の成分
その他成分として、固形化剤などの添加も可能であり、例えば、成分(e−1)としてカルボン酸基又はリン酸基を有する陰イオン性界面活性剤(但し、スルホン酸基を有するものを除く。)及び成分(e−2)として35℃以上の融点を有する、ポリオキシアルキレン型非イオン性化合物及びポリエーテル系非イオン性化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。
成分(e−1)としては、より具体的には、脂肪酸塩、ヒドロキシ脂肪酸塩、アルキルリン酸塩等の陰イオン性界面活性剤等が挙げられる。特に、炭素数10〜22の脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のナトリウム、カリウムのアルカリ金属塩及びアルカノールアミン等のアミン塩から選ばれる1種以上が溶解性の点で好ましい。特に好ましくは、シミ出し抑制の点で、炭素数12〜18、好ましくは12〜16、より好ましくは13〜15の飽和脂肪酸のナトリウム、カリウム塩から選ばれる1種以上である。
成分(e−1)として脂肪酸塩を用いる場合の配合量は、溶解性の観点から成分(c)の非イオン性界面活性剤100質量部に対して40質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
成分(e−2)としては、35℃以上の融点を有し、かつ成分(c)の非イオン性界面活性剤と相溶性を有する化合物であることが好ましい。例えば、分子量が1,000〜30,000のポリオキシアルキレン型非イオン性化合物、分子量が1,000〜30,000のポリエーテル系非イオン性化合物などから選ばれる1種以上が挙げられる。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい例として挙げられ、中でも成分(c)の非イオン性界面活性剤の融点より高く、界面活性剤組成物の流動点よりも低い温度範囲で、該組成物の進入硬度を高める効果、及び流動点以上の温度で該組成物を減粘させる効果の向上の点で、分子量1,000〜10,000(好ましくは1,000〜5,000)のポリエチレングリコールがよい。ここでいう相溶性とは、成分(c)の融点以上の温度のいずれかで成分(c)と成分(e−2)の混合物がよく混じり合い、分相しにくい性質をいう。従って、成分(e−2)の成分(c)への混合割合は、ハンドリング可能な範囲で適宜設定すれば良い。
成分(e)としては、成分(e−1)単独又は成分(e−2)単独でも良く、成分(e−1)と成分(e−2)との混合物でも良い。とりわけ、該混合物を成分(e)として用いることは、シミ出し防止効果や耐ケーキング性をさらに向上させることができるため、特に好ましい。更に、その他成分として、ポリエチレングリコール等のポリマー及び/又は芒硝(硫酸ナトリウム)を添加することもできる。
成分(a)と併用する場合、特にアルキル硫酸塩(一般式(2)においてp=0の化合物)と併用する場合、本発明の界面活性剤組成物は高温で硫酸エステル基が熱分解を起すアルキル硫酸塩を配合している。従って、低温の範囲(例えば40〜67℃、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは62℃以下。一方ハンドリングの観点からは好ましくは45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、55℃以上がさらに好ましい)で界面活性剤組成物の調製、ハンドリング及び製剤化を行うことが重要である。
6.界面活性剤組成物
界面活性剤組成物の調製は、例えば以下のようにして実施することができる。成分(b)として有効分60〜70%のアルキルエーテル硫酸エステル塩及び成分(c)として非イオン性界面活性剤、さらには必要に応じて成分(a)のアルキルエーテル硫酸エステル塩を上記規定の温度範囲で混合する。得られる界面活性剤組成物の粘度は非イオン性界面活性剤と水分の比率でコントロールすることができ、例えば成分(c)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルであれば、(d)/(c)=0.01〜0.35とすることで、60℃以下でハンドリング可能な粘度に調整できる。界面活性剤組成物の60℃における粘度としては、1Pa・s以下、好ましくは0.8Pa・s以下、より好ましくは0.65Pa・s以下、より好ましくは0.2Pa・s以下である。また、0.02Pa・s以上であることが好ましい。なお、粘度の測定は、共軸二重円筒型の回転粘度計(HAAKE製、センサー:SV−DIN)を用いて行い、界面活性剤組成物を所定の温度(60℃)に設定した後、剪断速度50〔1/s〕にて測定を開始し、測定開始5分後の粘度を測定値とする。
その為、必要に応じて、50〜60℃の条件下で下記(1)又は(2)の操作を行い、界面活性剤組成物の中の水分量を調整する。
(1)関西化学機械製作株式会社製のウォール・ウェッター(30Lスケール)、又は大川原製作所製のエバポール(機器番号:CEP−1)を使用し、減圧下(5〜20kPa)で界面活性剤組成物中の水分量をさらに減少させる、例えば5〜12質量%まで除去する方法。
(2)特開昭64−47755号公報に記載のような、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸エステルを非イオン性界面活性剤中で中和する方法。
7.洗剤組成物
更に、本発明の目的の一つは、調製された界面活性剤組成物を粉体原料と低温条件下で混合することにより担持させ、低温溶解性及び低温分散性に優れただけでなく、落下分散性(サラサラ性)や篩通過率(耐ケーキング性)に優れる洗剤組成物を製造することにある。従って、本発明の界面活性剤組成物を用いた洗剤組成物の製造方法及びかかる製造方法によって製造される洗剤組成物も、本発明に包含される。
衣料用洗剤の最も一般的な形態は粉末状であり、粉末状の形態を得るためには、本発明の界面活性剤組成物100質量部に対して、粉体原料150〜2,000質量部配合することが好ましく、洗浄力の点から200〜1,000質量部配合することがより好ましい。粉末状の洗剤組成物を得る好適な製造方法は、以下の工程(A)を含んでなり、更に必要に応じて工程(B)を含んでもかまわない。
工程(A):以下に示す粉体原料と60℃における粘度が1Pa・s以下、好ましくは0.8Pa・s以下、より好ましくは0.65Pa・s以下、より好ましくは0.2Pa・s以下であり、一方、好ましくは0.02Pa・s以上である界面活性剤組成物を40〜70℃の条件で混合して、粉体原料に界面活性剤組成物を担持させ、洗剤組成物を得る工程。
工程(B):工程(A)で得られた洗剤組成物と微粉体とを混合し、洗剤組成物の表面を該微粉体で被覆する工程。工程(B)は解砕が同時に進行する場合も含まれる。
ここで、該粉体原料とは、特に限定されるものではないが、一般的に衣料用洗剤に用いられるビルダー(洗剤ビルダー)であり、例えば、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖剤や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤、結晶性ケイ酸塩等の金属イオン封鎖能及びアルカリ能のいずれも有する基剤等の粉体、並びにこれらビルダー単独、又は複数成分からなる造粒物を意味する。また、洗剤組成物に一般的に用いられるその他の基剤、例えば、衣料用洗剤の分野で公知の界面活性剤、アクリル酸ポリマー若しくはアクリル酸マレイン酸コポリマーやカルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤、芒硝、亜硫酸塩等の無機粉末、蛍光増白剤、または上記ビルダー等を適宜配合するスラリーを乾燥させて得られたベース顆粒も粉体原料の一種である。更に、ベントナイト等の粘土鉱物も粉体原料の一種である。
かかるベース顆粒を使用する場合、洗剤組成物の溶解性の点で、その量は好ましくは粉体原料の60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。また、100質量%であってもよい。但し、微粉体を含む洗剤組成物の場合は、微粉体の量を除いて算出する。
好適なベース顆粒の物性に関して、その嵩密度は、好ましくは400〜1000g/L、より好ましくは500〜850g/Lであり、その平均粒径は、好ましくは150〜500μm、より好ましくは200〜400μm、さらに好ましくは250〜350μmである。嵩密度は、JIS K 3362の方法で測定する。平均粒径(Dp)は、JIS Z 8801に規定の篩を用いて求める。
例えば、目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、125μmである9段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を10分間振動して篩い分けを行う。その後、受け皿、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの順番に受け皿及び各篩上に重量頻度を積算していく。積算の重量頻度が50%以上となる最初の篩いの目開きをxjμmとし、それよりも一段小さい篩の目開きをxj+1μmとした時、受け皿からxjμmの篩までの質量頻度の積算をQj%、受け皿からxj+1μmの篩までの質量頻度の積算をQj+1%とした場合、平均粒径(Xa)を式(1)、(2)によって求める。
Figure 0005729871
ベース顆粒はスラリー乾燥によって調製される。その乾燥方法として、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥、薄膜乾燥、真空乾燥及び混練乾燥等が挙げられる。中でも生産性の点から噴霧乾燥が好ましい。また、乾燥後に粉砕・分級等を行ってベース顆粒としてもよい。
工程(A)で用いる混合機は例えば界面活性剤組成物を添加するためのノズルや混合機内の温度を制御するためにジャケットを備えたものが好ましい。工程(A)において、本発明の界面活性剤組成物中に成分(b)又は場合により成分(a)の未中和物が含まれている場合は、粉体原料中のアルカリ成分と中和させてもよい。好適な混合時間(回分式の場合)及び平均滞留時間(連続式の場合)は、例えば1〜20分間が好ましく、特に2〜10分間が好ましい。更に工程(B)を行うことにより、洗剤組成物の流動性と耐ケーキング性をより向上させることができる。また、工程(A)で得られた混合物が粉末状を呈していない場合に、工程(B)には、微粉体を助剤として用いて混合物を解砕する工程も含まれる。
該微粉体は、洗剤組成物表面の被覆率の向上、洗剤組成物の流動性と耐ケーキング性の向上の点から、その一次粒子の平均粒径が10μm以下のものが好ましい。平均粒径は、光散乱を利用した方法、例えばパーティクルアナライザー(堀場製作所(株)製)により測定される。
該微粉体は、アルミノケイ酸塩が望ましく、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物のような無機微粉体や、一次粒子が10μm以下の金属石鹸も用いることができる。また、該微粉体が高いイオン交換能や高いアルカリ能を有することが洗浄力の点で好ましい。
微粉体の使用量としては、流動性及び使用感の点で粉末洗剤組成物100質量部に対して好ましくは0.5〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは2〜20質量部である。
工程(B)で用いられる混合機は、添加する微粉体の分散性の向上、解砕効率の向上の点から例えば、混合機内に高速回転する解砕翼を備えているものが好ましい。
また、混合機内の温度は目的に応じて任意に設定すればよいが、本発明の界面活性剤組成物の進入硬度が100g/cm2以上の温度範囲であれば微粉体添加量の低減、解砕効率の向上の点から有利である。
洗剤組成物の物性は、以下のものが適している。
(1)落下分散性(サラサラ性)
落下分散性は、洗剤組成物のサラサラ性の指標であって、以下に示す落下速度分散(V)として評価する。具体的には、図1で概略図として示される流動特性測定装置を用いて測定する。洗剤組成物の落下速度分散Vは、0.8以下が好ましく、洗剤組成物のハンドリング性の観点より、0.7以下がより好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がより好ましく、0.4以下がより好ましい。
落下速度分散Vとは、測定試料を充填した図2に示した保持部材2について、一定の角速度をもって漸次傾斜させて落下する粉粒体の重量を経時的に測定を行い、得られた各単位時間(単位角度とも言える)あたりの測定試料落下重量(測定試料落下速度という)を求め、測定範囲内における該測定試料落下速度の数学的分散値を求めたものである。具体的には、図3に示したように、傾斜角度θに対して、連続的に一定量の測定試料が落下している図3−1のような場合は、測定試料落下速度は一定であり、測定試料落下速度分散Vは0となる。一方、傾斜角度θに対して、測定試料の落下が不連続的である図3−2、図3−3のような場合は、落下速度に変動が表れ、特に図3−3のようにVが大きいほど、不連続性が大きく、振りまいたときに一カ所に塊って投入されやすいことを示している。
測定試料落下速度分散Vは以下のようにして測定する。図1に示される流動特性測定装置を用いて測定試料の流動特性測定実験を行う。具体的な操作は、流出部2aは重量測定装置7の受け皿部分20に対して20cmの高さとなるように保持部材2を備え付けたうえで、保持部材2の角度θを0°に調整する。次に、測定試料を流出部2aの上方10cmの高さから漏斗を用いて流出部2aに充分量注入し、その後流出部2aからはみ出している試料を静かに擦り切って除去する。保持部材2を1秒間に6.0°の角速度で回転させ、保持部材2の角度θが0°から180°となるまで回転させる。その間、重量測定装置7にて80分の1秒ごとに試料の落下重量の測定を行い、その時のθと落下重量を逐次記録する。
そして、保持部材2の傾斜角度θにおける落下率の微分値を角度θにおける落下速度(%/deg.)と定義し、これをv(θ)とする。ただし、ノイズの低減を行うために、以下のデータ処理を行って保持部材の傾きθに対する落下率、落下速度を定義する。
角度θにおける落下率は、角度(θ−2.925°)から角度θまでの計40点分の落下重量の測定値の平均値を角度θにおける落下重量とし、測定試料の全重量に対する、角度θにおける落下重量の比を角度θにおける落下率(%)と定義する。
角度θにおける落下速度は、角度(θ−0.675°)から(θ+0.675°)までの計19点に関して横軸に角度、縦軸に先述の落下率(%)をプロットし、最小2乗法を用いて得られる直線の傾きの値(%/deg.)と定義する。また、前記最小2乗近似直線の傾きの値は、JIS Z 8901に準じて求めることができる。
ここで保持部材2の傾斜角度θ(°)に対して試料粉体の落下速度v(θ)(%/deg.)を測定し、試料粉体の落下率Y(θ)が1%から99%の間となるθに対してv(θ)の値の数学的分散を計算し、これを測定試料落下速度分散Vと定義する。
即ち、V=(nΣ(v(θ))2−(Σv(θ))2)/n2(nはY(θ)が1%から99%の間となるデータの総数)と表すことができる。
(2)耐ケーキング性は、好ましくは篩通過率が90%以上、より好ましくは95%以上である。耐ケーキング性の試験法は、濾紙(ADVANTEC社製 No.2)で長さ10.2cm×幅6.2cm×高さ4cmの天部のない箱を作り、四隅をステープラーでとめる。試料50gを入れ、温度30℃、湿度70%RH雰囲気下、28日間放置した後のケーキング状態について下記の通過率を求めることによって行う。
<通過率>
試験後の試料を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけ、通過した粉末質量を計り、試験後の試料に対する通過率(%)を求める。
(3)洗剤組成物の低温溶解率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。溶解率の測定方法は次の通りである。
5℃に冷却した71.2mgのCaCO3/Lに相当する1Lの硬水(Ca/Mgのモル比7/3)を1Lビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子社製1Lガラスビーカー)の中に満たし、5℃の水温をウォーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADV ANTEC社製、テフロン(登録商標)丸型細型)にて水深に対する渦巻きの深さが約1/3となる回転数(800rpm)で攪拌する。1.0000±0.0010gとなるように縮分・秤量した洗剤組成物を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続ける。投入から60秒後にビーカー中の洗剤組成物の分散液を質量既知のJIS Z 8801(ASTM No.200に相当)規定の目開き74μmの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗剤組成物を篩と共に質量既知の開放容器に回収する。尚、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した洗剤組成物の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した洗剤の溶残物と篩と回収容器の合計の質量を測定し、次式によって洗剤組成物の低温溶解率(%)を算出する。尚、質量の測定は精密天秤を用いて行うこととする。
低温溶解率(%)={1−(T/S)}×100
〔S:対象洗剤組成物の投入質量(g);T:上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供した後、篩上に残存する対象洗剤組成物の溶残物の乾燥質量(g)(乾燥条件:105℃の温度下に篩を1時間保持した後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持する。)。〕
(4)低温での分散性(ペースト形成、ペースト残存率)の評価方法は以下の通りである。
パナソニック製洗濯機「愛妻号NA−F42Y1」のパルセータの6分割された扇状の窪みの1つの外周の近くに、洗剤組成物17.5gを集合状態で置く。次に、洗剤組成物に直接水が当らないようにして、10L/minの流量で5℃の水道水22Lを注水し、注水終了後に静置する。注水終了後から5分後、弱水流(手洗いモード)で攪拌を開始し、3分間攪拌した後に排水し、洗濯槽に残留する洗剤の状態を下記の評価基準によって判定する。下記記載の「残留粒子面積」とは、残留した洗剤粒子を底が平らな容器内に敷き詰めた場合の合計面積をいう。
〔ペースト形成性の評価基準〕
I:凝集物がない、もしくは視認できない。
II:凝集物が殆どない(残留粒子面積25mm2以内)。
III:凝集物が少量残留している(残留粒子面積25mm2を超えて100mm2以内)。
IV:凝集物が多量に残留している(残留粒子面積100mm2を超える)
(5)嵩密度は500g/L以上が好ましく、500〜1000g/Lがより好ましく、600〜1000g/Lがさらに好ましく、700〜850g/Lがよりさらに好ましい。該嵩密度の測定方法は、ベース顆粒と同様である。
(6)平均粒径は、好ましくは150〜500μm、より好ましくは200〜400μm、さらに好ましくは250〜350μmである。該平均粒径の測定方法は、ベース顆粒と同様である。
実施例1
表1に示すように、100質量部(1kg)のノニオン(c)に対して、アニオン水溶液(アニオン(a)及び(b)として54質量部)、3.5質量部のPEG及び2.9質量部の芒硝を混合し、界面活性剤組成物を調製した。アニオン水溶液は有効分75%のものを使用した。界面活性剤組成物中の水分は、100質量部のノニオン(c)に対して、18質量部であった。得られた界面活性剤組成物は、低温でもハンドリングが可能なものであった。
実施例2〜4、比較例1
100質量部のノニオン(c)に対して、表1に示す量のアニオン(a)、アニオン(b)、PEG及び芒硝を混合し、界面活性剤組成物を調製した。アニオン(a)及びアニオン(b)はアニオン水溶液として添加し、アニオン液の有効分が75%のものを使用した。100質量部のノニオン(c)に対する界面活性剤組成物中の水分を表1に示した。得られた界面活性剤組成物は、低温でもハンドリングが可能なものであった。
Figure 0005729871
なお、実施例と比較例では以下の成分を使用し、表1では略号で示した。
アニオン(a):アルキル硫酸ナトリウム塩(アルキル基の炭素数:C12/C14)
アニオン(b):アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アルキル基の炭素数がC12/C14であるアルコールにPOを平均で0.5モル付加させた後に、次いでEOを平均で1.6モル付加させた化合物、花王株式会社製エマール270J)
ノニオン(c):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数:C12/C14、EO平均付加モル数:6モル)、花王株式会社製エマルゲン106KH
PEG:ポリエチレングリコール(質量平均分子量:1,300)、花王株式会社製XG1300
実施例1及び比較例1の界面活性剤組成物を2次元像X線回折装置PINT PAPID(株式会社リガク)を使用し、60℃の条件で解析した結果を図4に示す。実施例1の界面活性剤組成物では2θ=1.5〜3.0°の間で明確なピークは認められなかった。一方、比較例1の界面活性剤組成物では2θ=2.4付近にベースラインとの強度比2.0程度のピークが検出された。この結果より、比較例1の界面活性剤組成物中には何らかの構造体が形成され、その構造体により粘度が上昇したものと推察することができる。
次いで、以下の手順に従って、洗剤組成物を製造した。
(1)工程(A)に使用するベース顆粒を次のようにして調製した。
混合槽に水410質量部を入れ、水温が45℃に達した後に、硫酸ナトリウム(四国化成株式会社製、無水中性芒硝)110質量部、亜硫酸ナトリウム(三井化学株式会社製、亜硫酸ソーダ)8質量部、蛍光染料(チバスペシャリティケミカルス社製、チノパールCBS−X)2質量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム(セントラル硝子株式会社製、デンス灰、平均粒径:290μm)120質量部を添加し、40%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(花王株式会社製、重量平均分子量1万)150質量部を添加し10分間攪拌し、塩化ナトリウム(南海塩業株式会社製、ナクルN)40質量部と、更にゼオライト(ZEOBUILDER社製、ゼオビルダー、4A型、平均粒径:3.5μm)160質量部を添加し、15分間攪拌して均質なスラリーを得た(スラリー水分50%、温度50℃)。
スラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度285℃で供給され、塔頂より98℃で排出された。得られたベース顆粒中の水分は0.0%、嵩密度は510g/L、平均粒径290μmであった。この得られたベース顆粒100質量部に対して、結晶性ケイ酸ナトリウム(株式会社トクヤマシルテック製プリフィード6Nを粉砕し、平均粒径10μmにて使用)4.2質量部、炭酸ナトリウム(平均粒径:290μm)、セントラルガラス株式会社製)26質量部、粉末ベントナイト(黒崎白土工業株式会社製オドゾルブK−400)9質量部を添加して一様になるまで混合し、粉体原料を得た。
(2)粉体原料と界面活性剤組成物との混合を次のようにして実施し、粉体原料に界面活性剤組成物を担持させた。
工程(A):粉体原料100質量部に界面活性剤組成物35質量部を担持させた。担持機にはリボンミキサー(ホソカワミクロン製:80Lスケール)を使用し、粉体原料の温度:60℃、界面活性剤組成物の温度:60℃、担持機の温水ジャケット温度:60℃で実施した。
工程(B):工程(A)で得られた洗剤組成物を改質機に移し、該洗剤組成物100質量部に、脂肪酸(アルキル基の炭素数:C12〜18)1.2質量部とポリエチレングリコール1.2質量部を添加して一様になるまで混合した。得られた洗剤組成物の嵩密度と平均粒径を測定した。次いで、洗剤組成物の表面を改質するために、微粉体としてのゼオライト(ZEOBUILDER社製、ゼオビルダー、4A型)12質量部を添加した。改質機にはレディゲミキサー(松坂貿易株式会社:FM130D型:130Lスケール)を使用した。微粉体添加時の温度は60℃、微粉体添加後の改質時間はそれぞれのゼオライトについて1分間であった。実施例1〜4と比較例1で得られた洗剤組成物の物性を表2に示した。
Figure 0005729871
表2より、実施例1〜4における改質後の洗剤組成物の落下分散性は、比較例1におけるそれよりも小さい値であることが分かった。洗剤組成物の落下分散性が小さい(即ち、サラサラ性が強い)ほど、洗剤組成物の粒子表面の粘結性が小さいことを示すことから、上記の結果から、アニオン(b)、即ち下記一般式(1)で示されるアルキルエーテル硫酸エステル塩が含まれた界面活性剤組成物を用いると、ゼオライトにより発揮される改質効果をより向上できることが分かった。
本発明によれば、低温でハンドリング又は製剤化が可能な界面活性剤組成物を提供することができ、しかもかかる界面活性剤組成物を粉体原料に担持させてなる洗剤組成物は、落下分散性(サラサラ性)や耐ケーキング性に優れたものである。このような洗剤組成物は、衣料等の洗濯用の洗剤として利用することができる。
1 流動特性測定装置
2 保持部材
2a 流出部
3 測定試料
4 支持機構
5 傾斜装置
6 傾斜測定装置
7 重量測定装置
8 演算装置
9 出力装置
11 ベース
12 支柱
13 回転部材
16 モータ
17 巻きかけ電動機構
18 減速機構
20 受け皿

Claims (13)

  1. 下記の成分(a)〜(d)を配合してなる界面活性剤組成物であり、成分(d)の量は、該界面活性剤組成物が60℃にて構造体を形成しない量である界面活性剤組成物を粉体原料に40〜70℃の範囲で担持させる工程を有する、平均粒径が150〜500μm、嵩密度が500g/L以上である洗剤組成物の製造方法であって、
    (a):下記一般式(1):
    1O−(EO)pSO31 (1)
    (式中、R1は炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であって、pはEOの平均付加モル数を示し、0≦p≦10の数であり、M1は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を0〜50質量%、
    (b):下記一般式(2):
    2O−〔(PO)m/(EO)n〕−SO32 (2)
    (式中、R2は炭化水素基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であって、m、nはそれぞれPO及びEOの平均付加モル数を示し、0<m≦5及び0<n≦10の数であり、「/」はPOとEOとの結合様式がランダム付加でもブロック付加でもよいことを示す記号であり、M2は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜50質量%、
    (c):非イオン性界面活性剤を40〜70質量%、及び
    (d):水
    である、洗剤組成物の製造方法
  2. 成分(b)が下記一般式(2’)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩である、請求項1に記載の製造方法
    2O−(PO)m−(EO)n−SO32 (2’)
    (式中、R2、m、n、M2は前記と同じであり、POとEOはこの順序にブロック付加させたものである。)
  3. m及びnの範囲が0.3≦m≦0.9及び0.9≦n≦2.3の数である、請求項1又は2に記載の製造方法
  4. pが0の数である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法
  5. 成分(c)がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法
  6. 成分(a)及び成分(b)の量の合計が界面活性剤組成物の10〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法
  7. 成分(a)及び成分(b)の量の合計に対する成分(d)の割合〔(d)/((a)+(b))〕が0.2〜1.3(質量比)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法
  8. 成分(d)と成分(c)との割合〔(d)/(c)〕が0.01〜0.35(質量比)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法
  9. 下記の成分(a)〜(d)を配合してなり、成分(d)と成分(c)との割合〔(d)/(c)〕が0.01〜0.35(質量比)であり、成分(a)及び成分(b)の量の合計に対する成分(d)の割合〔(d)/((a)+(b))〕が0.2〜1.3(質量比)である界面活性剤組成物を粉体原料に40〜70℃の範囲で担持させる工程を有する、平均粒径が150〜500μm、嵩密度が500g/L以上である洗剤組成物の製造方法であって、
    (a):下記一般式(1):
    1O−(EO)pSO31 (1)
    (式中、R1は炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であって、pはEOの平均付加モル数を示し、0≦p≦10の数であり、M1は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を0〜50質量、
    (b):下記一般式(2):
    2O−〔(PO)m/(EO)n〕−SO32 (2)
    (式中、R2は炭化水素基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であって、m、nはそれぞれPO及びEOの平均付加モル数を示し、0<m≦5及び0<n≦10の数であり、「/」はPOとEOとの結合様式がランダム付加でもブロック付加でもよいことを示す記号であり、M2は陽イオンである。)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜50質量%、
    (c):非イオン性界面活性剤を40〜70質量%、及び
    (d):水
    である、洗剤組成物の製造方法
  10. 成分(a)及び成分(b)の量の合計が界面活性剤組成物の10〜50質量%である、請求項9に記載の製造方法
  11. 粉体原料が洗剤ビルダーである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 製造される洗剤組成物が、下式に規定される低温溶解率(%)が80%以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法:
    低温溶解率(%)={1−(T/S)}×100
    S:対象洗剤組成物の投入質量(g)
    T:下記攪拌条件にて得られた水溶液を、JIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供した後に、篩上に残存する対象洗剤組成物の溶残物の乾燥質量(g)(ただし、溶残物の乾燥質量は次の乾燥条件:105℃の温度下に篩を1時間保持した後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持すること、で乾燥させた後に求められる。)
    攪拌条件:5℃の1Lの硬水(71.2mgのCaCO3/L、Ca/Mgのモル比が7/3)に対象洗剤組成物1.0000±0.0010gを投入し、1Lビーカー(内径105mm)内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)を用いて回転数800rpmで60秒間攪拌すること。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された洗剤組成物。
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