JP5729522B2 - 光源装置およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
一例として、本発明のプロジェクタに係わる従来のプロジェクタの一種の一部の一形態を説明する図である、図7を用いてプロジェクタの原理について述べる(参考:特開2004−252112号など)。
ここで、前記光均一化手段(FmA)として、例えば、光ガイドを使うことができ、これは、ロッドインテグレータ、ライトトンネルなどの名称でも呼ばれており、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成され、前記入射端(PmiA)に入力された光は、光ファイバと同じ原理に従って、前記光均一化手段(FmA)の側面で全反射を繰り返しながら、前記光均一化手段(FmA)の中を伝播することにより、仮に前記入射端(PmiA)に入力された光の分布にムラがあったとしても、前記射出端(PmoA)上の照度が十分に均一化されるように機能する。
ただし、図7においては、前記照明レンズ(Ej1A)と前記2次元光振幅変調素子(DmjA)との間にミラー(MjA)を配置してある。
そして前記2次元光振幅変調素子(DmjA)は、映像信号に従って、画素毎に光を投影レンズ(Ej2A)に入射される方向に向かわせる、あるいは入射されない方向に向かわせるように変調することにより、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
ここで、前記光均一化手段(FmB)は、入射側の前段フライアイレンズ(F1B)と射出側の後段フライアイレンズ(F2B)と照明レンズ(Ej1B)の組合せで構成される。
前記前段フライアイレンズ(F1B)、前記後段フライアイレンズ(F2B)ともに、同一焦点距離、同一形状の四角形のレンズを、縦横それぞれに多数並べたものとして形成されている。
一般にケーラー照明光学系とは、2枚のレンズから構成され、前段レンズが光を集めて対象面を照明するに際し、前段レンズは、対象面に光源像を結像するのではなく、後段レンズ中央の面上に光源像を結像し、後段レンズが前段レンズの外形の四角形を対象面(照明したい面)に結像するよう配置することにより、対象面を均一に照明するものである。
後段レンズの働きは、もしこれが無い場合は、光源が完全な点光源でなく有限の大きさを持つとき、その大きさに依存して対象面の四角形の周囲部の照度が落ちる現象を防ぐためで、後段レンズによって、光源の大きさに依存せずに、対象面の四角形の周囲部まで均一な照度にすることができる。
ただし、前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段には、前記照明レンズ(Ej1B)を配置してあるため、対象面は、無限遠から前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上に引き寄せられる。
縦横に多数並んでいるケーラー照明光学系は、入射光軸(ZiB)に平行であり、それぞれの中心軸に対して略軸対称に光束が入力されるため、出力光束も略軸対称であるから、レンズ面に同じ角度で入射した光線は、レンズ面上の入射位置によらず、焦点面上の同じ点に向かうよう屈折される、というレンズの性質、即ちレンズのフーリエ変換作用により、全てのケーラー照明光学系の出力は、前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上の同じ対象面に結像される。
前記合成四角形の像の位置に2次元光振幅変調素子(DmjB)を配置することにより、前記射出端(PmoB)から出力された光によって、照明対象である前記2次元光振幅変調素子(DmjB)が照明される。
ただし、照明に際しては、前記照明レンズ(Ej1B)と前記2次元光振幅変調素子(DmjB)との間に偏光ビームスプリッタ(MjB)を配置して、これにより光が前記2次元光振幅変調素子(DmjB)に向けて反射されるようにしてある。
そして前記2次元光振幅変調素子(DmjB)は、映像信号に従って、画素毎に光の偏光方向を90度回転させる、あるいは回転させないように変調して反射することにより、回転させられた光のみが、前記偏光ビームスプリッタ(MjB)を透過して投影レンズ(Ej3B)に入射され、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
このような液晶デバイスの場合、規定の偏光方向の光の成分しか有効に変調できないため、普通は、規定の偏光方向に平行な成分はそのまま透過させるが、規定の偏光方向に垂直な成分のみ偏光方向を90度回転させ、結果として全ての光を有効利用できるようにするための偏光整列機能素子(PcB)が、例えば前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段に挿入される。
また、前記2次元光振幅変調素子(DmjB)には略平行光が入射されるよう、例えばその直前に、フィールドレンズ(Ej2B)が挿入される。
これらの欠点を克服した代替光源として、近年、LEDや半導体レーザ等の固体光源が注目されている。
このうち、LEDについては、放電ランプと比較して発熱損が小さく、また長寿命であるが、放射される光に関しては、放電ランプと同様に指向性が無いため、前記したプロジェクタや露光装置等の、特定の方向の光のみが利用可能な用途においては、光の利用効率が低いという問題があった。
また、高い指向性を活かして、光ファイバによる光伝送を高効率で行えるため、半導体レーザの設置場所と、プロジェクタなど、その光を利用する場所とを分離することが可能であり、装置設計の自由度を高めることができる。
プロジェクタの光源として、R,G,B3原色の一部または全部に半導体レーザを用いた場合、このような変化によって、画像全体の色や明るさが変化してしまうことになる。
したがって高忠実なプロジェクタに半導体レーザを応用する場合は、色、すなわち白バランスの安定化および明るさの安定化を行う必要がある。
前記した色度計は高価であり、プロジェクタに容易には組み込めないため、機器組込み用として好適な、安価な光センサを使わざるを得ないが、光センサのみを安価なものを使っても、色度計と同等の機能を作り込もうとすると、高コストな精密分光フィルタが必要になるため、簡易仕様の安価なフィルタで代替できる構成を実現する必要がある。
しかし、これまで、安価な光センサやフィルタを使って色度に相関する量を測定すること、および測定結果から効率的にR,G,Bそれぞれの半導体レーザへの投入電力を自動調整する技術が確立されていなかった。
例えば、特開2006−252777号には、分光感度特性の傾きが、光源の発光波長帯域において正の光センサと負の光センサとを用いて光量検出を行うことによって、発光波長が長くなる方向に変化しているか、それとも短くなる方向に変化しているか、あるいは変化が無いかの何れであるかを判別し、その結果に基づき、R,G,B各色光源の投入電力制御の基準レベルを増減する技術が記載されている。
しかし、この技術の場合、発光波長の時間的変化の方向のみを検出して制御するものであるため、光源の点灯直後の、光源自身の発熱による温度変化に伴う、比較的速い色変化は補正できるかも知れないが、非常に緩慢な環境温度の変化や長期間に亘る光源の劣化に伴う色変化には対応できない問題がある。
また、複数色の光源が同時に独立に色変化を起こす場合の、各色光源それぞれを、如何にして投入電力制御すればよいかについて未解決のままであった。
しかし、白バランスのフィードバック制御を行うに際して、3色それぞれの光源の投入電力を如何に変化させれば目標値に集束するかについて未解決のままであった。
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)は、発光波長が複数種類の異なる波長帯域に属するものを含んでおり、
さらに前記光源装置は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光を測定するために、出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光を受光して、前記した波長帯域のそれぞれ毎に、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値とを測定するための帯域光特性測定手段を有しており、
前記制御回路(Mc)は、前記帯域光特性測定手段が生成する帯域光特性測定データを少なくとも間欠的に取得して前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とを生成し、また前記制御回路(Mc)は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の色に相関する色相指示値を生成し、前記色相指示値とその目標値の差異が小さくなるよう、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)をフィードバック制御するものであり、かつ前記制御回路(Mc)は、前記色相指示値の生成に際しては、色度の計算に必要な等色関数それぞれについて、前記した波長帯域のそれぞれ毎に、基準波長における関数値と波長の変化に対する関数の変化率、すなわち波長変化時の関数値変化の傾きとからなる局所帯域等色関数情報を保有しており、前記した波長帯域のそれぞれについての前記波長偏差指示値と前記局所帯域等色関数情報とを用いて、色度座標に相関する量によって前記色相指示値を算出するものであって、
前記した波長帯域のうちの少なくとも一つの波長帯域の前記帯域光特性測定手段は、当該波長帯域の分光感度特性についての第1の分光感度特性を有する第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と、第2の分光感度特性を有する第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)と、によって構成されているとともに、前記した第1の分光感度特性と前記した第2の分光感度特性とは、波長の変化に対する感度の変化率、すなわち波長変化時の感度変化の傾きが相違しており、
前記制御回路(Mc)は、前記した当該波長帯域における前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれの、基準波長での感度値と前記した波長の変化に対する感度の変化率とからなる局所帯域分光感度情報を保有しており、前記制御回路(Mc)は、前記帯域光特性測定データたる、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)が生成する第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と、前記帯域光特性測定データたる、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)が生成する第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とを取得して、前記局所帯域分光感度情報を用いて、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とから前記した発光強度指示値と前記した波長偏差指示値とを生成することを特徴とするものである。
要素光源(U1)に設けられている、少なくとも1個の発光素子(Y1a,Y1b,…)は、駆動回路(P1a,P1b,…)によって駆動されて発光する。
なお、前記発光素子(Y1a,Y1b,…)の個々については、ここでは、例えば半導体レーザや、半導体レーザの放射光を、高調波発生・光パラメトリック効果などのような非線形光学現象を利用して波長変換する光源などであり、そのような光源の複数個を直列接続、あるいは並列接続、さらには直並列接続するなどして、1個の前記駆動回路(P1a,P1b,…)によって駆動できるものとしている。
制御回路(Mc)は、駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)毎に独立に制御し、それぞれの前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)に規定の電力を投入することができるように構成されている。
したがって、これら要素光源(U1,U2,…)のそれぞれの出力光束(Fo1,Fo2,…)の総合的な光の特性を測定するために、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)から、それぞれ一部づつを抽出して集めた、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光からなる測定用出力光束(Fo’,Fo”)を生成し、前記した波長帯域のそれぞれ毎に設けた、帯域光特性測定手段に入射させる。
また、出力光束の光量に相関するとは、前記測定用出力光束(Fo’,Fo”)を測定すれば、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)の、各波長帯域毎の光量と色合いを推定可能であることを指すが、その際、相関の倍率(相関の係数)は、各波長帯域別に相違していても、予めそれを測定して補正できるから構わないし、同様の理由で2個の前記測定用出力光束(Fo’,Fo”)のそれぞれの間で、前記した相関の倍率の相違があっても構わない。
なお、前記した波長帯域のうちの幾つかに対して、いま述べたような構成でない、他の構成の前記帯域光特性測定手段を用いることができるが、そのことについては後述する。
なお、本図において、R,G,B各波長帯域の前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)をグループ化して第1光量測定手段グループ(Ax1)とし、R,G,B各波長帯域の前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)をグループ化して第2光量測定手段グループ(Ax2)として描いたのは、単に便宜上の都合によるもので、例えば、R色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをグループ化し、またG色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをグループ化し、さらにB色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをグループ化するようにしてもよい。
さらに、図においては、各波長帯域の前記出力光束(Fo1,Fo2,…)から、それぞれ一部づつを抽出した光束をひとまとめにした前記測定用出力光束(Fo’,Fo”)を形成するものを描いてあるが、各波長帯域毎の測定用出力光束を、それぞれの波長帯域用の前記帯域光特性測定手段に個別に入力するように構成してもよい。
なお、複数個の前記出射端(Eo1,Eo2,…)からの放射光の総合方法としては、最も簡単には、前記出射端(Eo1,Eo2,…)が同一平面上に位置するように揃えて、前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)の出射端部を束ねる事により実現することができる。
前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)のそれぞれが導光する前記出力光束(Fo)の光量に相関する量を測定できるよう、前記出射端(Eo1,Eo2,…)からの放射光の一部を抽出して総合した測定用出力光束(Fo’,Fo”)を生成し、図1のものと同様に、第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)をグループ化した第1光量測定手段グループ(Ax1)、および第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)をグループ化した第2光量測定手段グループ(Ax2)に入力する構成とすることができる。
なお、ここでは、前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)の全ての出射端部を束ね、白色光の出力光束(Fo)を生成するものを記載したが、R,G,B各波長帯域毎に前記出射端(Eo1,Eo2,…)を分けて束ね、波長帯域別の出力光束を生成し、それぞれを前記帯域光特性測定手段に個別に入力するように構成することもできる。
前記光センサ(C1R,C1G,C1B)からの光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)は、光量測定回路(H1R,H1G,H1B)によって増幅やAD変換等の必要な処理を行い、R,G,Bそれぞれの波長帯域での光量の情報からなる第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)を生成する。
当然ながら、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)の分光感度特性には、前記特性フィルタ(Et1)および前記帯域フィルタ(Et1R,Et1G,Et1B)に起因するものに加えて、前記光センサ(C1R,C1G,C1B)自身の分光感度特性が反映される。
なお、前記特性フィルタ(Et1)は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)のそれぞれに共通のものを設けるように構成するものを記載してあるが、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)のそれぞれに対して個別のものを設けるように構成してもよい。
また、前記光量測定回路(H1R,H1G,H1B)は、前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のそれぞれに対して個別のものを設けるように構成するものを記載してあるが、選択信号に従って前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のうちから1個を選択するアナログマルチプレクサを設けた上で、前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のそれぞれに共通のものを設けるように構成してもよい。
そして前記制御回路(Mc)は、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を読み取ることができる。
また、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)または前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)の何れか一方の前記特性フィルタが素通しであるようにしてもよい。
また当然ながら、例えば先に図1のものについて説明したように、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)をR,G,B各色毎に分けて各色独立に使用する場合は、前記光センサ(C1R,C1G,C1B)のそれぞれは、前記した1個の光センサ回路部(Ah1)にまとめて実装するのではなく、別体として構成すればよい。
(詳細に言うと、後述する式8,式9,式10をそれぞれ Sr と Sr・Δλr , Sg と Sg・Δλg , Sb と Sb・Δλb に関する2元連立1次方程式と見たとき、各方程式の行列式が零でない状態が実現できればよい。)
ここで、分光感度特性とは、いまの場合、R色波長帯域の分光感度特性とG色波長帯域の分光感度特性とB色波長帯域の分光感度特性とからなる組を指す。
ただし、一つの波長帯域における波長の変化に対する感度の変化率の相違の仕方として、一方が正で他方が負、あるいは一方が実質的に零で他方が非零(有限の値)、さらに両方とも同じ符号であるが絶対値が相違する、などの形態があり得るが、その何れでもよい。
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)のうち一つの波長帯域のために使用するものを、同じメーカの同じ型式の製品に統一するならば、前記した帯域幅は、通常は数ナノメートルから十ナノメートル程度に過ぎないが、前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれについて、この帯域幅内における波長の変化に対する感度の変化率の変化は少ないことが望ましい。
したがって、前記制御回路(Mc)は、後述するように、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)から読み取った前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)に基づき、前記局所帯域分光感度情報を利用して、R,G,B各波長帯域のそれぞれ毎に、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値とを近似的に算出することができる。
(参考文献:「色の性質と技術」1986年10月10日初版第1刷,応用物理学会・光学懇話会編,朝倉書店発行)
波長 λ をパラメータとするスペクトル S(λ) で表される被測定光束の三刺激値 X,Y,Z は、CIEにより定められている等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) を用いて、以下の式(式1)
X = ∫S(λ)・xe(λ)・dλ
Y = ∫S(λ)・ye(λ)・dλ
Z = ∫S(λ)・ze(λ)・dλ
の積分計算で求める。
ただし、積分は380nmから780nmの領域で行うとされている。
これらを用いて、被測定光束 S(λ) の色度座標 x,y は、以下の式(式2)
x = X/[X+Y+Z]
y = Y/[X+Y+Z]
のように求められる。
(因みに、一般文献では、等色関数は、x,y,z 各文字の上に横棒を付した記号が使用されるが、本明細書では都合により前記したように表記する。)
したがって前記制御回路(Mc)は、後述するように、R,G,B各波長帯域のそれぞれ毎に算出された前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とに基づき、前記局所帯域等色関数情報を利用して、前記色相指示値たる三刺激値 X,Y,Z または色度座標 x,y を近似的に算出することができる。
なお、レーザ光のような単色光は図の点線上に位置する。 (ただし、RからBに至る直線部、いわゆる純紫軌跡を除く。)
また、純白の色度座標は 1/3,1/3 である。
図において、白色の位置を基準に見ると、概ねRは右側、Gは上側、Bは下側に位置するから、白色光の色度座標は、R成分を増すと x 値が増加、G成分を増すと y 値が増加、B成分を増すと y 値が減少することになる。
例えば、もし x が目標値より大きい場合は、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)のなかのRの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和を p %減少させ、かつGの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和、およびBの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和それぞれを [p/2] %づつ増加させ、また、もし y が目標値より大きい場合は、Gの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和を q %減少させ、かつBの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和を q %増加させるよう、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して制御する。
そして適当な時間をおいて、再度、前記した光量測定データを取得する箇所にシーケンスを戻すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
このフィードバック制御ループにより、光の強度をあまり変化させずに、色度座標とその目標値との差異が小さくなるよう常に制御が行われることになり、光の色の安定化を図ることができる。
また、値 p および q は、光の色の急激な変化が起きない程度に小さい値とすべきであるが、値 x と目標値との差異の大きさに対する値 p の大きさ、および値 y と目標値との差異の大きさに対する値 q の大きさの関係は、実験的に決めるとよい。
なお、前記した値 p に基づく出力電力の増減と、値 q に基づく出力電力の増減とは交互に行ってもよく、あるいは、値 p と q とをそれぞれ決定後、これら両方の値を反映させた出力電力の増減を行うようにしてもよい。
しかし、フィードバック制御により、徐々に目標値に向けて系の状態を変化させて行けるため、前記した方法でも十分実用的である。
なお、最短経路で目標値に向かう仕方については後述する。
理由は、例えば、本光源装置をプロジェクタに応用する場合、プロジェクタ本体の光学系の光の利用効率が、R,G,B各色で同じであるとは限らないからである。
例えば、あるプロジェクタ本体の光学系ではB色の利用効率が低いとすると、目標とする色度座標は、B色成分が多めの、青色がかったものとするであろう。
したがって、目標とする色度座標は、本光源装置の出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の色ではなく、本光源装置を利用する装置の出力に合わせて決めればよい。
したがって、もし、同じ色であっても発光効率の異なる複数種類が混在する等により、前記した前提が成り立たない場合は、例えば、ある発光色のもので、発光効率が高い、種類Aの発光素子と、それより発光効率が10%低い、種類Bの発光素子とがあったとして、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記制御回路(Mc)からの電力設定指令を受信したとき、種類Bの発光素子を駆動する駆動回路は、内部的には、指令された設定電力に対し10%増しの電力を設定する、などとする構成上の工夫により、容易に解決することができる。
その理由は、電力の増加と光量の増加とが相関している限り、それが直線的な関係になくても、少しづつ電力を変化させることにより、フィードバック制御により、徐々に目標値に向けて系の状態を変化させて行けるからである。
駆動回路に対する電力設定は、例えば設定データ長が8ビットであれば256階調であるなど、その細やかさが有限である。
したがって、電力を最小単位づつ増して行く場合、全ての駆動回路の電力設定を一斉に1LSBだけ増すのではなく、例えば、1番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、次は2番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、…、というように、駆動回路を分けて増し、最後の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増したら、次はまた1番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、…、という仕方で増すようにすれば、電力設定の階調数を、駆動回路の個数倍に増すことができる利点がある。
したがって光の色に相関する色相指示値に加えて、R,G,B各波長帯域の全てを総合した光の明るさをも安定化制御する場合には、前記制御回路(Mc)は、算出された Y の値を明度指示値として、これと目標値とを比較し、もし Y が目標値より大きい場合は、前記した電力光量比例則を前提として、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)のなかの、Rの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pr 、およびGの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pg 、Bの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pb それぞれを Q %減少させるよう、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して制御することにより、光の色を変化させないで、光の明るさとその目標値との差異が小さくなる方向へフィードバック制御することにより、光の明るさの安定化を図ることができる。
また、値 Q は、光の明るさの急激な変化が起きない程度に小さい値とすべきであるが、値 Y と目標値との差異の大きさに対する値 Q の大きさの関係は、実験的に決めるとよい。
なお、ここで述べた光の明るさの安定化のための出力電力の増減と、前記した光の色の安定化のための出力電力の増減とは交互に行ってもよく、あるいは、前記した値 p,q,Q をそれぞれ決定後、これら3個の値を反映させた出力電力の増減を行うようにしてもよい。
しかし、フィードバック制御により、徐々に目標値に向けて系の状態を変化させて行けるため、前記した方法でも十分実用的である。
なお、最短経路で目標値に向かう仕方については後述する。
ここでは、この点が改善されたフィードバック制御を実現する指針を示す。
ここで、光の強度とは、前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)のなかの一つの波長帯域に属するもの全ての光パワーに相関するもので、人間の視感度とは無関係である。
一方、光の明るさは、人間が感じる明るさであるから、同じ光パワー(密度)であっても、波長が変われば、人間の視感度の影響をうけて大きさが変化する。
そして、決定した前記係数を使用して、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値を微小変化させるための変化量を決定し、これに基づいて前記制御回路(Mc)は、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の出力電力を設定することにより、三刺激値 X,Y,Z 、または色度座標 x,y および光の明るさ Y が、その目標値に維持されるようフィードバック制御を行うことができる。
例えば、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値を全て1%増す場合、前記した出力電力の総和それぞれが、200W,300W,100Wであったならば、それぞれ202W,303W,101Wとすればよい。
先ず、波長 λ をパラメータとするスペクトル S(λ) で表される被測定光束を前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)を用いて測定した前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)から、前記発光強度指示値と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差とを求める計算方法について説明する。
Rm = ∫S(λ)・rm(λ)・dλ
Gm = ∫S(λ)・gm(λ)・dλ
Bm = ∫S(λ)・bm(λ)・dλ
のように表せる。
同様に、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)がR,G,B各波長帯域における分光感度特性 rn(λ),gn(λ),bn(λ) を有するとすると、前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)に含まれるR,G,B各波長帯域における光量測定データ値 Rn,Gn,Bn は、以下の式(式4)
Rn = ∫S(λ)・rn(λ)・dλ
Gn = ∫S(λ)・gn(λ)・dλ
Bn = ∫S(λ)・bn(λ)・dλ
のように表せる。
なお、これらの積分領域は、少なくとも被測定光束 S(λ) のスペクトルが存在する波長帯域を覆う領域とする。
S(λ) = Sr・δ(λ−λro −Δλr )
+ Sg・δ(λ−λgo −Δλg )
+ Sb・δ(λ−λbo −Δλb )
のように表せる。
ここで、R,G,Bそれぞれの基準波長を λro,λgo,λbo とし、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差を Δλr,Δλg,Δλb 、また、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値を Sr,Sg,Sb とした。
Δf = (df/dλ)・Δλ
で近似できる。
よって λ が λro の近傍では、λ=λro +Δλr と書けば、前記した分光感度特性は、以下の式(式7)
rm(λ) = rm(λro+Δλr) = rm(λro) + Ermo・Δλr
rn(λ) = rn(λro+Δλr) = rn(λro) + Erno・Δλr
のように書ける。
ただし Ermo および Erno は、rm(λ) および rn(λ) の微分係数の、λ が λro であるときの値である。
前記した式5,式7を前記した式3,式4それぞれの第1式に適用すると、以下の式(式8)
Rm = Sr・∫δ(λ−λro −Δλr)・rm(λ)・dλ
= Sr・rm(λro +Δλr)
= Sr・[ rm(λro) + Ermo・Δλr ]
Rn = Sr・[ rn(λro) + Erno・Δλr ]
ただし、
Ermo = drm/dλ(λ=λro)
Erno = drn/dλ(λ=λro)
を得る。
これらは、以下のよう
Rm = rm(λro)・Sr + Ermo・Sr・Δλr
Rn = rn(λro)・Sr + Erno・Sr・Δλr
に書き改めれば判るように、Sr と Sr・Δλr に関する2元連立1次方程式であるから、それは初等計算によって解けて Sr と Sr・Δλr の値を、したがって Sr と Δλr の値を求めることができる。
Gm = Sg・[ gm(λgo) + Egmo・Δλg ]
Gn = Sg・[ gn(λgo) + Egno・Δλg ]
ただし、
Egmo = dgm/dλ(λ=λgo)
Egno = dgn/dλ(λ=λgo)
さらに λ が λbo の近傍では、λ=λbo +Δλb と書いて、以下の式(式10)
Bm = Sb・[ bm(λbo) + Ebmo・Δλb ]
Bn = Sb・[ bn(λbo) + Ebno・Δλb ]
ただし、
Ebmo = dbm/dλ(λ=λbo)
Ebno = dbn/dλ(λ=λbo)
を得るから、これらによって Sg と Δλg 、および Sb と Δλb の値を求めることができる。
前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)に関する局所帯域分光感度情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における分光感度特性 rm(λ),gm(λ),bm(λ) の値 rm(λro),gm(λgn),bm(λbn) と分光感度特性の波長の変化に対する感度の変化率の値 Ermo,Egmo,Ebmo 、および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)に関する局所帯域分光感度情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における分光感度特性 rn(λ),gn(λ),bn(λ) の値 rn(λro),gn(λgn),bn(λbn) と分光感度特性の波長の変化に対する感度の変化率の値 Erno,Egno,Ebno を事前に準備しておく。
そして前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)による光量測定データ値 Rm,Gm,Bm と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)による光量測定データ値 Rn,Gn,Bn とが得られれば、前記した式8,式9,式10からなる方程式の解により、簡単に前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb を求めることができる。
Pr = kr・Srp
Pg = kg・Sgp
Pb = kb・Sbp
のように表すことができる。
その Pr,Pg,Pb の値にて実際に発光素子を駆動したときの光量測定データ値 Rm,Gm,Bm 、および光量測定データ値 Rn,Gn,Bn に基づいて、同様に式8,式9,式10を解いて得た、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb それぞれの値と、その元となった目標値 Srp,Sgp,Sbp との比を用いて、比例係数 kr,kg,kb を、以下の式(式12)
kr = kr・Srp/Sr
kg = kg・Sgp/Sg
kb = kb・Sbp/Sb
に従って補正すればよい。
(式12の各式の等号は、その右辺の計算結果を左辺の変数に代入する、という意味で、一般的プログラミング言語、例えばCにおける計算命令の記法に従って表記している。)
Srp = Sr + ΔSr
Sgp = Sg + ΔSg
Sbp = Sb + ΔSb
に従って目標値 Srp,Sgp,Sbp を更新し、前記した式11に従って電力を再設定して、光量測定データ値 Rm,Gm,Bm 、および光量測定データ値 Rn,Gn,Bn を測定する度に行うことにすればよい。
このようにすることにより、前記したように、前記比例係数 kr,kg,kb が真の比例定数ではなく、例えば飽和傾向を示すような、非直線的なものであっても、前記した式11で規定される、単なる比として補正が繰り返し行われるため、R,G,B各駆動回路の電力 Pr,Pg,Pb と、発光強度指示値 Sr,Sg,Sb (やその目標値 Srp,Sgp,Sbp )との正しい対応が維持される。
しかし x,y,Y の系と X,Y,Z の系とは、前記した式2と以下の式(式14)
X = Y・x/y
Z = Y・(1 − x − y)/y
によって互いに変換が可能であるため、三刺激値は色度座標に相関する量であり、したがって、光の色に相関する色相指示値として、色度座標または三刺激値の何れをも採用することができる。
当然、これら以外の他の表色系(例えばRGB表色系)の量であっても、色度座標に相関するものであれば同様に採用することができる。
そこで先ず、制御対象を三刺激値 X,Y,Z とし、これがその目標値 Xp,Yp,Zp に維持されるように制御する場合について説明する。
xe(λ) = xe(λro +Δλr) = xe(λro) + Fxro・Δλr
ye(λ) = ye(λro +Δλr) = ye(λro) + Fyro・Δλr
ze(λ) = ze(λro +Δλr) = ze(λro) + Fzro・Δλr
ただし、
Fxro = dxe/dλ(λ=λro)
Fyro = dye/dλ(λ=λro)
Fzro = dze/dλ(λ=λro)
を得る。
同様に λ が λgo の近傍では、λ=λgo +Δλg と書いて、以下の式(式16)
xe(λ) = xe(λgo +Δλg) = xe(λgo) + Fxgo・Δλg
ye(λ) = ye(λgo +Δλg) = ye(λgo) + Fygo・Δλg
ze(λ) = ze(λgo +Δλg) = ze(λgo) + Fzgo・Δλg
ただし、
Fxgo = dxe/dλ(λ=λgo)
Fygo = dye/dλ(λ=λgo)
Fzgo = dze/dλ(λ=λgo)
さらに λ が λbo の近傍では、λ=λbo +Δλb と書いて、以下の式(式17)
xe(λ) = xe(λbo +Δλb) = xe(λbo) + Fxbo・Δλb
ye(λ) = ye(λbo +Δλb) = ye(λbo) + Fybo・Δλb
ze(λ) = ze(λbo +Δλb) = ze(λbo) + Fzbo・Δλb
ただし、
Fxbo = dxe/dλ(λ=λbo)
Fybo = dye/dλ(λ=λbo)
Fzbo = dze/dλ(λ=λbo)
を得る。
X = Sr・[ xe(λro) + Fxro・Δλr ]
+ Sg・[ xe(λgo) + Fxgo・Δλg ]
+ Sb・[ xe(λbo) + Fxbo・Δλb ]
= Hxr・Sr + Hxg・Sg + Hxb・Sb
ただし、
Hxr = xe(λro) + Fxro・Δλr
Hxg = xe(λgo) + Fxgo・Δλg
Hxb = xe(λbo) + Fxbo・Δλb
および Y に関する以下の式(式19)
Y = Sr・[ ye(λro) + Fyro・Δλr ]
+ Sg・[ ye(λgo) + Fygo・Δλg ]
+ Sb・[ ye(λbo) + Fybo・Δλb ]
= Hyr・Sr + Hyg・Sg + Hyb・Sb
ただし、
Hyr = ye(λro) + Fyro・Δλr
Hyg = ye(λgo) + Fygo・Δλg
Hyb = ye(λbo) + Fybo・Δλb
さらに Z に関する以下の式(式20)
Z = Sr・[ ze(λro) + Fzro・Δλr ]
+ Sg・[ ze(λgo) + Fzgo・Δλg ]
+ Sb・[ ze(λbo) + Fzbo・Δλb ]
= Hzr・Sr + Hzg・Sg + Hzb・Sb
ただし、
Hzr = ze(λro) + Fzro・Δλr
Hzg = ze(λgo) + Fzgo・Δλg
Hzb = ze(λbo) + Fzbo・Δλb
を得る。
ΔX = Hxr・ΔSr + Hxg・ΔSg + Hxb・ΔSb
ΔY = Hyr・ΔSr + Hyg・ΔSg + Hyb・ΔSb
ΔZ = Hzr・ΔSr + Hzg・ΔSg + Hzb・ΔSb
のように表すことができる。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値および前記波長偏差指示値を用いて決定することができた。
ΔX = D・[Xp −X]
ΔY = D・[Yp −Y]
ΔZ = D・[Zp −Z]
によって ΔX,ΔY,ΔZ の値を決めれば、前記した式21は ΔSr,ΔSg,ΔSb に関する初等的な3元連立1次方程式と見ることができ、全ての係数が決まっているため、容易に解くことができて、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求めることができる。
前記した式13に従って、求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を元の Sr,Sg,Sb に加えて発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、前記した式11を介して、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新することができる。
先ず、係数 Hxr,Hxg,Hxb,Hyr,Hyg,Hyb,Hzr,Hzg,Hzb の値を、式18,式19,式20に従い事前に準備しておく。
前記制御回路(Mc)は、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値たる Sr,Sg,Sb に対し、適当な初期目標値 Srp,Sgp,Sbp を定め、また、比例係数 kr,kg,kb の適当な初期値を定め、式11によって前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を設定して発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)の駆動を開始し、適当に定めた暖機運転期間だけ待機する。
それを前記した式8,式9,式10に適用し、これを解くことにより得られた発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、元の目標値 Srp,Sgp,Sbp を式12に適用して比例係数 kr,kg,kb を更新する。
得られた発光強度指示値 Sr,Sg,Sb に基づき式18,式19,式20を介して算出した三刺激値 X,Y,Z と、その目標値 Xp,Yp,Zp とを式22に適用すると式21の左辺が決定されるから、これを3元連立1次方程式と見て解き、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求める。
前記制御回路(Mc)は、前記発光強度指示値の現在の値 Sr,Sg,Sb に対し、いま求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を式13に適用して発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、式11に従って前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新する。
そして前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を読取る動作に戻り、以降、記載したシーケンスを繰り返すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
ただし、あまり小さくすると補正の完了までに過剰な時間が掛かるなどの不都合が生ずる可能性があるため、実験的に好適な値を決めるとよい。
上において述べた三刺激値 X,Y,Z が、その目標値 Xp,Yp,Zp に維持されるように制御する方法の場合、光の色の目標を維持したまま、例えば Sr が所定の値となるよう、光の明るさを小さくしたい場合は、三刺激値の目標値 Xp,Yp,Zp それぞれを、適当に決めた、ある同じ比率で縮小することを試行し、フィードバックループを実際に回してみて、Sr が所定の値になるような適当な比率が見つかるまで、試行錯誤する必要がある。
以下において、制御対象を x,y,Y とし、これがその目標値 xp,yp,Yp に維持されるように制御する場合について説明する。
T = X+Y+Z
= [ Hxr + Hyr + Hzr ]・Sr
+ [ Hxg + Hyg + Hzg ]・Sg
+ [ Hxb + Hyb + Hzb ]・Sb
= Ir・Sr +Ig・Sg +Ib・Sb
ただし、
Ir = Hxr + Hyr + Hzr
Ig = Hxg + Hyg + Hzg
Ib = Hxb + Hyb + Hzb
を得る。
したがって、被測定光束 S(λ) に関する前記した式2の色度座標 x,y は、前記した式18,式19,式23を用いた以下の式(式24)
x = X/T
y = Y/T
の計算で求められる。
Δf = (δf/δu)・Δu + (δf/δv)・Δv + (δf/δw)・Δw
のように近似できる。
色度座標 x,y および光の明るさ Y が、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb を変数とする関数であると見て、以下の式(式26)
Jxr = δx/δSr = [ δX/δSr・T − X・δT/δSr ]/[T・T]
= [ Hxr・T − Ir・X ]/[T・T]
= [ Hxr − Ir・x ]/T
Jxg = δx/δSg = [ Hxg − Ig・x ]/T
Jxb = δx/δSb = [ Hxb − Ib・x ]/T
Jyr = δy/δSr = [ Hyr − Ir・y ]/T
Jyg = δy/δSg = [ Hyg − Ig・y ]/T
Jyb = δy/δSb = [ Hyb − Ib・y ]/T
のように偏微分係数の値を具体的に決めれば、Sr,Sg,Sb を微小変化させたときの x,y,Y の変化量は、以下の式(式27)
Δx = Jxr・ΔSr +Jxg・ΔSg +Jxb・ΔSb
Δy = Jyr・ΔSr +Jyg・ΔSg +Jyb・ΔSb
ΔY = Hyr・ΔSr +Hyg・ΔSg +Hyb・ΔSb
のように表すことができる。
ただし、式27の3番目の( ΔY に関する)式は、式19から得られる次の関係に基づく。
δY/δSr = Hyr
δY/δSg = Hyg
δY/δSb = Hyb
Δx = D・[xp −x]
Δy = D・[yp −y]
ΔY = D・[Yp −Y]
によって Δx,Δy,ΔY の値を決めれば、前記した式27は ΔSr,ΔSg,ΔSb に関する初等的な3元連立1次方程式と見ることができ、全ての係数が決まっているため、容易に解くことができて、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求めることができる。
等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) に関する局所帯域等色関数情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における関数値 xe(λro),ye(λro),ze(λro) と xe(λgo),ye(λgo),ze(λgo) と xe(λbo),ye(λbo),ze(λbo) の値、さらに波長の変化に対する関数の変化率 Fxro,Fyro,Fzro と Fxgo,Fygo,Fzgo と Fxbo,Fybo,Fzbo の値を事前に準備しておく。
前記制御回路(Mc)は、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値たる Sr,Sg,Sb に対し、適当な初期目標値 Srp,Sgp,Sbp を定め、また、比例係数 kr,kg,kb の適当な初期値を定め、式11によって前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を設定して発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)の駆動を開始し、適当に定めた暖機運転期間だけ待機する。
それを前記した式8,式9,式10に適用し、これを解くことにより得られた発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、元の目標値 Srp,Sgp,Sbp を式12に適用して比例係数 kr,kg,kb を更新する。
そして前記した式8,式9,式10からなる方程式を解いて得た前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb の値を、前記した式18,式19,式23に適用すれば、補助係数 Hxr,Hxg,Hxb と Hyr,Hyg,Hyb と Hzr,Hzg,Hzb と Ir,Ig,Ib を介して、三刺激値の X と Y そして T が求められ、そしてこれらを前記した式24に適用して色度座標 x,y の値を求めることができる。
値を求めた x,y,Y と、その目標値 xp,yp,Yp とを前記した式28に適用すると前記した式27の左辺が決定され、また前記した式26の Jxr,Jxg,Jxb と Jyr,Jyg,Jyb によって前記した式27の右辺の係数が決定されるから、これを3元連立1次方程式と見て解き、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求める。
そして前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を読取る動作に戻り、以降、記載したシーケンスを繰り返すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
Δx−Jxr・ΔSr = Jxg・ΔSg +Jxb・ΔSb
Δy−Jyr・ΔSr = Jyg・ΔSg +Jyb・ΔSb
のように組み換えた方程式を適用すればよく、これは初等的な2元連立1次方程式であるから容易に解くことができて、ΔSg,ΔSb を求めることができる。
ただし、このようにした場合は、光の明るさ Y を目標値に維持することはできなくなるが、色度座標 x,y を目標値に維持するフィードバック制御は実行することができる。
同じ色であっても複数個の発光素子を集めた場合、発光波長のバラツキがあるため、それらを総合した光のスペクトル S(λ) は、正確には前記した式5のようなデルタ関数にはならない。
しかし、発光波長のバラツキがあっても、同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合し、その波長の平均値に等しい波長を有する、仮想的な単色光源に置き換えると考えれば、前記した議論が成立する。
ただし、同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合した場合は、波長のバラツキに起因したスペクトル幅の拡がりが存在することになり、その結果、色度座標が少しだけ白色方向に移動する。
しかし、この移動量は僅かである上、本光源装置における色度座標等の計算の目的は、正確な絶対値を確定することではなく、発光素子の温度上昇などに起因して発光波長が変化し、白バランスが崩れるものを、フィードバック制御で補正することであり、波長のバラツキに起因したスペクトル幅の拡がりは、そのような発光波長の変化が生じる前から存在していたものであるから、前記した計算の目的に照らして、実用上の問題は無い。
前記したように本光源装置における色度座標等の計算の目的が正確な絶対値を確定することではないことを前提として、種々の近似計算を行っている。
そのため、目標値 xp,yp,Yp を数値で与えても、フィードバック制御によって達成される状態が所望のものになるかどうかは不明であり、このような使い方は適当ではない。
例えばプロジェクタに応用する場合で言えば、本光源装置をプロジェクタの実機に実際に搭載し、フィードバック制御を停止させた状態で、白色となるべき画像をスクリーンに投影させ、所望の白色が得られるよう、本光源装置のR,G,Bそれぞれの光の強度を手動で調整し、調整が完了したときの本光源装置自身による x,y,Y の測定値を、その目標値 xp,yp,Yp として記憶するとよい。
記憶された目標値の実際の値については無頓着でも構わず、それ以降は、フィードバック制御を実行すれば、所望の白色が得られる状態が達成される。
なお、ここで xp,yp,Yp について述べたことは、三刺激値の目標値 Xp,Yp,Zp に対しても同様である。
また、フィードバック制御のための線形方程式である前記した式21や式27の係数 Hxr,Hxg,Hxb,Hyr,Hyg,Hyb,Hzr,Hzg,Hzb および Jxr,Jxg,Jxb,Jyr,Jyg,Jyb の決定の際にも、求めた基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb の値を使用する計算方法を提示した。
しかし、これら係数に関しては、基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb を全て零とおく近似を行って値を決定することが可能である。
ただし、このような近似を行う場合は、目標への漸近の速さが劣る可能性があるが、係数の計算が簡略化される利点がある。
以下において、このように近似する場合の計算方法について説明する。
X = Hxro・Sr + Hxgo・Sg + Hxbo・Sb
Y = Hyro・Sr + Hygo・Sg + Hybo・Sb
Z = Hzro・Sr + Hzgo・Sg + Hzbo・Sb
ただし、
Hxro = xe(λro)
Hxgo = xe(λgo)
Hxbo = xe(λbo)
Hyro = ye(λro)
Hygo = ye(λgo)
Hybo = ye(λbo)
Hzro = ze(λro)
Hzgo = ze(λgo)
Hzbo = ze(λbo)
のように表すことができる。
ΔX = Hxro・ΔSr + Hxgo・ΔSg + Hxbo・ΔSb
ΔY = Hyro・ΔSr + Hygo・ΔSg + Hybo・ΔSb
ΔZ = Hzro・ΔSr + Hzgo・ΔSg + Hzbo・ΔSb
を得る。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を決定することができた。
なお、三刺激値 X,Y,Z の値は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)による光量測定データ値 Rm,Gm,Bm と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)による光量測定データ値 Rn,Gn,Bn とを取得して前記した式8,式9,式10からなる方程式を解き、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb とを求めた上で、前記した式18,式19,式20によって計算して決定すればよい。
Iro = Hxro + Hyro + Hzro
Igo = Hxgo + Hygo + Hzgo
Ibo = Hxbo + Hybo + Hzbo
および以下の式(式33)
Jxro = [ Hxro − Iro・x ]/T
Jxgo = [ Hxgo − Igo・x ]/T
Jxbo = [ Hxbo − Ibo・x ]/T
Jyro = [ Hyro − Iro・y ]/T
Jygo = [ Hygo − Igo・y ]/T
Jybo = [ Hybo − Ibo・y ]/T
のように表すことができる。
ただし、x,y および T は、前記したように、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)による光量測定データ値 Rm,Gm,Bm と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)による光量測定データ値 Rn,Gn,Bn とを取得して前記した式8,式9,式10からなる方程式を解き、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb とを求めた上で、前記した式18,式19,式20によって計算された三刺激値 X,Y,Z の値を、前記した式23の最上段の表現、すなわち以下の式
T = X+Y+Z (再録)
および式24に適用して計算する。
Δx = Jxro・ΔSr +Jxgo・ΔSg +Jxbo・ΔSb
Δy = Jyro・ΔSr +Jygo・ΔSg +Jybo・ΔSb
ΔY = Hyro・ΔSr +Hygo・ΔSg +Hybo・ΔSb
を得る。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を決定することができた。
当然、このように基準波長からの偏差を零とおく近似を行う場合でも、前記した式29を挙げて説明したものと同じ手法を用いることによって、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb のうちの一つを方程式34から除外し、色度座標 x,y のみを目標値に維持するフィードバック制御を実行することが可能である。
つまり、前記したように、前記制御回路(Mc)は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)から前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)、すなわち Rm,Gm,Bm および Rn,Gn,Bn を読取る。
それを前記した式8,式9,式10に適用し、これを解くことにより得られた発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、元の目標値 Srp,Sgp,Sbp を式12に適用して比例係数 kr,kg,kb を更新する。
前記した式31または式34を解いて変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb を求めたならば、前記制御回路(Mc)は、前記発光強度指示値の現在の値 Sr,Sg,Sb に対し、いま求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を式13に適用して発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、式11に従って前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新する。
そして前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を読取る動作に戻り、以降、記載したシーケンスを繰り返すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
この場合、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とは、光センサを共有しており、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)として働く場合は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)として働く場合とは異なる特性フィルタ(Et1,Et2)を設けるようにすればよい。
また図5では前記特性フィルタ(Et1,Et2)を往復させるものを記載したが、前記特性フィルタ(Et1,Et2)を配置した円板状の枠を設け、それを回転させるようにしてもよい。
しかし、このように光センサを共有させることにすれば、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とに切り換えての光量測定の時間間隔が、前記した変動の時間スケールより十分短い限り、前記した変動の影響を受けないようにできる利点が生まれる。
特にカラー撮影用の撮像素子には、R,G,Bのカラーフィルタが画素に設けられているため、前記帯域フィルタ(Et1R,Et1G,Et1B)が不要になる利点がある。
光ファイバが破断すると、破断箇所から光パワーが漏洩して光ファイバを機械的に保護するために設けた被覆材に吸収され、被覆材が焼損に至る可能性があるため、光ファイバの破断が起きれば、それを検知して発光素子を消灯する安全対策が必要となる。
全体として大きなパワーを伝送する場合は、同じ色の光に対しても複数本の光ファイバに分割することが、光学系の構成上も、安全性の面からも有利であるが、その場合は、全光ファイバからの総合光量を監視するだけではなく、光ファイバ1本づつの光量を監視し、個別に破断を検知できることが望ましい。
また、撮像素子に投影された同じ色を伝送する全ての光ファイバの像の光量を合計することを、R,G,Bそれぞれの色に対して行うことにより、前記光センサ回路部(Ah1)の機能を兼ねることができる。
本光源装置は、R,G,B3原色に対応して、各色複数本の光ファイバ、すなわちR色光源用光ファイバ(EfR1,EfR2,…)、G色光源用光ファイバ(EfG1,EfG2,…)、B色光源用光ファイバ(EfB1,EfB2,…)は、それぞれ出射端を揃えて束ねられた、ファイババンドルとして構成され、これら3本のファイババンドルの出射端を、それぞれコリメータレンズ(EsR,EsG,EsB)で無限遠の像に変換した光束を、ミラー(HuR)およびダイクロイックミラー(HuG,HuB)を用いて色合成して、本光源装置の出力光束(Fo)を生成するように構成してある。
前記光均一化手段(Fm)の射出端(Pmo)以降の光学系については、先に図7に関して述べたものと同様である。
当然ながら、本発明の光源装置は、フライアイインテグレータによる光均一化手段を用いた、先に図8に関して述べたプロジェクタにおいても利用できる。
前記測定用出力光束(Fo’)はレンズからなる結像光学系(Ea)に入射され、前記ファイババンドルのR色出射端(EoR1,EoR2,…)およびG色出射端(EoG1,EoG2,…)、B色出射端(EoB1,EoB2,…)と共役な実像がカラー映像用撮像素子(C)の撮像面上に結像される。
前記カラー映像用撮像素子(C)によって撮影されたこれらの像の映像信号(Sg)は、前記した第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)および第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を生成するために、光量測定回路(H)に送られる。
前記結像光学系(Ea)の前または後に、図5に記載のものと同様に、特性フィルタ(Et1,Et2)を装着したフィルタ枠(Kt)を配置し、ソレノイド等の移動機構(Km)によって前記特性フィルタ(Et1,Et2)を切り換え可能な構成としている。
また、前記カラー映像用撮像素子(C)の映像に基づき、前記R色出射端(EoR1,EoR2,…),前記G色出射端(EoG1,EoG2,…),前記B色出射端(EoB1,EoB2,…)それぞれの光量を別々に測定し、何れかに光量低下の異常が発生しないかどうかを監視する。
当然ながら、これらのような代替の前記帯域光特性測定手段を用いた波長帯域については、例えばそれがB色であるならば、前記した式10ではなく、その帯域光特性測定手段に応じた計算によって前記発光強度指示値 Sb と、前記波長偏差指示値 Δλb を取得することになる。
実際、発振波長が安定化された半導体レーザや、体積ブラッグ回折格子で構成された共振用反射器を有する半導体レーザや非線形光学高調波発振器などにおいて、このような取扱いが可能な発光素子が存在する。
例えばその波長帯域がG色であるならば、その波長帯域で感度を有する光センサを設け、前記測定用出力光束(Fo’)の光量を測定して取得した前記発光強度指示値 Sg と、前記波長偏差指示値 Δλg = 0 とを前記した式15〜式20に適用すればよい。
A1G 第1光量測定手段
A1R 第1光量測定手段
A2B 第2光量測定手段
A2G 第2光量測定手段
A2R 第2光量測定手段
Ah1 光センサ回路部
Ax1 第1光量測定手段グループ
Ax2 第2光量測定手段グループ
B 青色
C カラー映像用撮像素子
C1B 光センサ
C1G 光センサ
C1R 光センサ
DmjA 2次元光振幅変調素子
DmjB 2次元光振幅変調素子
Ea 結像光学系
Ec1 集光光学系
Ec2 集光光学系
Edm 拡散素子
Ef1 光ファイバ
Ef2 光ファイバ
EfB1 B色光源用光ファイバ
EfB2 B色光源用光ファイバ
EfG1 G色光源用光ファイバ
EfG2 G色光源用光ファイバ
EfR1 R色光源用光ファイバ
EfR2 R色光源用光ファイバ
Ei1 入射端
Ei2 入射端
Ej1A 照明レンズ
Ej1B 照明レンズ
Ej2A 投影レンズ
Ej2B フィールドレンズ
Ej3B 投影レンズ
Eo1 出射端
Eo2 出射端
EoB1 B色出射端
EoB2 B色出射端
EoG1 G色出射端
EoG2 G色出射端
EoR1 R色出射端
EoR2 R色出射端
EsB コリメータレンズ
EsG コリメータレンズ
EsR コリメータレンズ
Et1 特性フィルタ
Et1B 帯域フィルタ
Et1G 帯域フィルタ
Et1R 帯域フィルタ
Et2 特性フィルタ
Eu 集光レンズ
F1B 前段フライアイレンズ
F2B 後段フライアイレンズ
Fm 光均一化手段
FmA 光均一化手段
FmB 光均一化手段
Fo 出力光束
Fo’ 測定用出力光束
Fo” 測定用出力光束
Fo1 出力光束
Fo2 出力光束
Ft1 測定用出力光束
G 緑色
H 光量測定回路
H1B 光量測定回路
H1G 光量測定回路
H1R 光量測定回路
HuB ダイクロイックミラー
HuG ダイクロイックミラー
HuR ミラー
J1a 駆動回路制御信号
J1b 駆動回路制御信号
J2a 駆動回路制御信号
J2b 駆動回路制御信号
Ka 矢印
Km 移動機構
Kt フィルタ枠
Mc 制御回路
MjA ミラー
MjB 偏光ビームスプリッタ
P1a 駆動回路
P1b 駆動回路
P2a 駆動回路
P2b 駆動回路
PcB 偏光整列機能素子
Pmi 入射端
PmiA 入射端
PmiB 入射端
Pmo 射出端
PmoA 射出端
PmoB 射出端
R 赤色
Sg 映像信号
Sg1B 光検出信号
Sg1G 光検出信号
Sg1R 光検出信号
Sh1B 第1光量測定データ
Sh1G 第1光量測定データ
Sh1R 第1光量測定データ
Sh2B 第2光量測定データ
Sh2G 第2光量測定データ
Sh2R 第2光量測定データ
SjA 光源
SjB 光源
Tj スクリーン
U1 要素光源
U2 要素光源
W 白色
Y1a 発光素子
Y1b 発光素子
Y2a 発光素子
Y2b 発光素子
ZiB 入射光軸
Claims (7)
- 狭い波長帯域で発光する発光素子(Y1a,Y1b,…)と前記発光素子(Y1a,Y1b,…)を駆動する駆動回路(P1a,P1b,…)を具備するユニットを1個の要素光源(U1,U2,…)として、該要素光源(U1,U2,…)の複数個と、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)を制御する制御回路(Mc)と、を有し、前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)からの放射光を集めた出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)を外部に放射する光源装置であって、
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)は、発光波長が複数種類の異なる波長帯域に属するものを含んでおり、
さらに前記光源装置は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光を測定するために、出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光を受光して、前記した波長帯域のそれぞれ毎に、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値とを測定するための帯域光特性測定手段を有しており、
前記制御回路(Mc)は、前記帯域光特性測定手段が生成する帯域光特性測定データを少なくとも間欠的に取得して前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とを生成し、また前記制御回路(Mc)は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の色に相関する色相指示値を生成し、前記色相指示値とその目標値の差異が小さくなるよう、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)をフィードバック制御するものであり、かつ前記制御回路(Mc)は、前記色相指示値の生成に際しては、色度の計算に必要な等色関数それぞれについて、前記した波長帯域のそれぞれ毎に、基準波長における関数値と波長の変化に対する関数の変化率とからなる局所帯域等色関数情報を保有しており、前記した波長帯域のそれぞれについての前記波長偏差指示値と前記局所帯域等色関数情報とを用いて、色度座標に相関する量によって前記色相指示値を算出するものであって、
前記した波長帯域のうちの少なくとも一つの波長帯域の前記帯域光特性測定手段は、当該波長帯域の分光感度特性についての第1の分光感度特性を有する第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と、第2の分光感度特性を有する第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)と、によって構成されているとともに、前記した第1の分光感度特性と前記した第2の分光感度特性とは、波長の変化に対する感度の変化率が相違しており、
前記制御回路(Mc)は、前記した当該波長帯域における前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれの、基準波長での感度値と前記した波長の変化に対する感度の変化率とからなる局所帯域分光感度情報を保有しており、前記制御回路(Mc)は、前記帯域光特性測定データたる、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)が生成する第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と、前記帯域光特性測定データたる、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)が生成する第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とを取得して、前記局所帯域分光感度情報を用いて、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とから前記した発光強度指示値と前記した波長偏差指示値とを生成することを特徴とする光源装置。 - 前記制御回路(Mc)は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の明るさに相関する明度指示値を生成し、前記明度指示値とその目標値の差異が小さくなるよう、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)をフィードバック制御することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記制御回路(Mc)は、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すときの係数を決定し、前記係数を介して前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値の変化量を決定して前記したフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
- 前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とは、それぞれ光センサ(C1R,C1G,C1B)を有し、前記光センサ(C1R,C1G,C1B)の少なくとも一方の前面に特性フィルタ(Et1,Et2)を設けることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光源装置。
- 前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とは、同じ光量測定手段に対して交互に特性変化を与えることにより、時間分割によって実現するものであり、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とは、光センサを共有しており、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)として働く場合は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)として働く場合とは異なる特性フィルタ(Et1,Et2)を設けることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光源装置。
- 前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)とが有する光センサの少なくとも一方が撮像素子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光源装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載の光源装置を利用して画像を投影表示することを特徴とするプロジェクタ。
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